にった~せぶん 裏編み

裏編み

「…ナコちゃん、ナナコちゃん」
 優しい声…体が小さく揺れてる。なんだろう?
「ん…」
 ゆっくりと目を開ける。ここは…図書館の閲覧室?確か今日は本の返却日で、それから…。
「あ、起きた?おはよう、ナナコちゃん」
「え!あ、た、谷崎さん!」
 そうだ!私、本を返却したあと谷崎さんに編み上がったものを渡そうと思ったけど、やっぱり恥ずかしくて…。それで他の人がいなくなるまで待とうと思って閲覧室で…私、寝ちゃってた?
(やだぁ、谷崎さんに寝顔見られちゃった。よ、涎とか垂れてないよね?)
「珍しいね、ナナコちゃんが閲覧室で居眠りなんて。もう閉館時間は過ぎてるんだけど、何だか疲れてるみたいだったから…。でも外も暗くなってきたし、僕の仕事も終わったから家まで送ってあげるよ。女の子一人じゃ危ないし、体調も心配だからね」
「え?わ!も、もうこんな時間!?」
 慌ててケータイを確認すると凄い時間だった。お母さんからの着信も入ってる。急いで帰らなくちゃ。
「だ、大丈夫です。一人でかえ…」
 そう谷崎さんに言おうとして気付く。
(あれ?でもちょっと待って。閉館時間を過ぎてるなら、図書館には私と谷崎さんしかいない…ふ、ふたりっきり?も、もしかして凄いチャンスなんじゃ…)
 紙袋をそっと引き寄せる。心臓が跳ね回る。顔を上げようとしたけど無理。手提げ紐をギュッと握りしめて俯いたまま声を絞り出す。
「あ、あの、谷崎さん…」
「ん?何だい?」
 谷崎さんが振り向く気配。体が熱い。言わなきゃ、言わなきゃ。その為に頑張ってきたんだもの。緊張でがちがちの体を勇気を振り絞って動かす。
「こ、これなんですけど…あ、編み上がったんで…」
「え?ああ、もうできたんだ。見せてくれるの?」
「は、はい。えっと、その…見せるというか、ええと…その、と、取り敢えず見て下さい」
「うん、じゃあ開けさせてもらうね」
 がさがさと紙袋を開ける音がする。
「凄いね、こんなに沢山作ったんだ。マフラーに、帽子に、あとは…カーディガンか。そこいらで売ってるのと比べても遜色ないね。う~ん、僕もナナコちゃんに頼もうかな」
「え?」
 思わず顔を上げる。
「いやあ、この格好だと流石に寒くてね。かといってスーツのジャケットを着ると印象が堅くなりすぎるから…カーディガンでも買おうかなって考えてたんだ。でもこれを見る限り、ナナコちゃんに頼んだ方が良い物が手に入りそうだね」
 言え!言うんだ!頑張れ、私!
「あの、わ、私も見てて寒そうだなって思ってて…。だからその…それ谷崎さんにあげようと思って編んだんです」
 肝心の一言がなかなか言い出せない。声が震えちゃう。
「え?これを僕に?」
「は、はい。あの、良かったら着てみて下さい」
「うわぁ、ありがとう。早速着てみるね」
 一度は袋に戻した物を改めて手に取って広げる谷崎さん。
「…マフラーはちょっと長いかな?ナナコちゃん、一緒に巻く?なんちゃって、ははは」
 マフラーを巻きながらおどける谷崎さん。
「帽子はどう?似合うかな?」
 帽子を被ってちょっとしたポーズを取る谷崎さん。
「は、はい。とってもカッコいいです」
「後はカーディガンだね。あ、凄い。袖の長さも着丈もバッチリだよ。うん、これは最早趣味と言うより才能だね」
 カーディガンを着て、ボタンを留めながら谷崎さんが褒めてくれた。顔が熱い。恥ずかしくなってまた下を向いちゃう。でも、言わなきゃ。こんなチャンスそうそう巡ってこない。告白!告白しなさい!頭の中で声が響く。そ、そうだよね。今日言わなかったらズルズル延びて、また谷崎さんに憧れるだけの日々に戻っちゃう。
「あ、あの、谷崎さん…す、好きです!」
「え?」
 キョトンとした声が聞こえる。
「た、谷崎さんは…私のこと、どう思いますか?」
「えっと…」
(お願い!『好き』って言って!)
 自信なんてない。でも、でも、諦めたくないの!
「…好き…」
「ほ、ホントですか!?…あ、あれ?谷崎さん?」
 淡い期待通りの返事に驚いて思わず顔を上げる。でも目の前にいる谷崎さんの様子が何だかおかしい。ぼんやりと虚ろな目をして立ち尽くしている。さっきまで普通に話してたのに…。
「谷崎さん?」
 もう一度呼びかけてみる。すると目をパチパチしながら私の方を見る。
「…え?あ、ナナコちゃん」
「大丈夫ですか?」
「…ナナコちゃん」
「は、はい」
 いつもより熱の籠もった視線に戸惑う。は、恥ずかしい。
「大好きだ~!!」
「え?あ、やん」
 突然抱きしめられる。思ってたより力が強くて驚く。
「大好きだ!もう離さない!」
「え?え?え?」
 な、何だか急展開。おまじないの効果凄すぎない?どうなってるのかしら?
「ナナコちゃん…」
「むぐ!?」
(え!?ちょ、わ、私のファーストキス!あ、あげるつもりはあったけど、まだ心の準備が…)
 なんて考えてる暇もなく、谷崎さんの舌が唇をそっと舐め上げてくる。ビックリしてキュッと唇を結ぶけど、それでも構わず舐めてくる谷崎さんの舌。でも…ちょっと気持ちいいかも。何だかボーっとしてきて、唇に込めた力が段々緩んでくる。舌が乞うままに少しずつ口が開けられる。あ…歯茎舐められてる。もっと舐めてほしいかも…。惚けていると、並び立つ歯の壁をくぐり抜けて谷崎さんの舌が私の舌に触れた。
(ひゃん!?)
 思わず舌を引っ込める。奥の方でビクビクと怯えていると、ツンツンと谷崎さんの舌がノックしてくる。
(だ、大丈夫かな?まだちょっと怖いけど…)
 おずおずと自分の舌を伸ばすと、仔犬を撫でるみたいに、谷崎さんの舌がゆっくりと私の舌に沿って動く。
(ん…ちょっと落ち着いてきたかも。ええっと確か…)
 ティーンズ雑誌のキス特集を皆で読みふけった事を思い出す。雑誌に書いてあったように舌を動かして、すぐ傍にいる谷崎さんの舌を触る。絡ませるのって思ってたより難しい。こんなことならちゃんとサクランボで練習しておけば良かった。なんて考えてたら谷崎さんの舌が絡み付いてきた。あ…凄い。これ気持ちいい…。谷崎さん、キス…上手いんだ。ちょっと複雑な気持ち。それはそうと、ちょっと苦しくなってきたかも。鼻だけで息するのそろそろ限界。でもどうやって伝えればいいの?口が塞がってるから話せないし…。取り敢えず唸ってみよう。
「む~」
 すると谷崎さんの腕の力が弱まる。あ、何とか伝わったみたい。良かった。
「ぷは」
 唇が離れた途端、空気を吸い込む。ん…なんかクラクラする。キスって…なんか凄いのね。レモン味…だったのかなぁ?味まではよくわからなかったな、そんな余裕なかったしね。あ、あれ?ちゃんと立てないかも。貧血かな?視界がぼやけていく。倒れちゃうかと思ったけど、背中に優しい力を感じた。お陰でゆっくりと横になれたみたい。
「ナナコちゃん、大丈夫?」
 谷崎さんの声が聞こえる。
「…大丈夫です。ちょっとフラッとしちゃっただけです」
 少しずつ視界が戻ってくる。首に巻いたマフラーをしゅるしゅると解いている谷崎さんが見える。暑いのかなぁ?
「そっか、良かった。僕、もう我慢できないんだよね」
「え?」
 腕が頭の上に動かされた。手首にマフラーが巻き付けられる。暖かい。貧血の時は冷やした方が良いけど、私の体が冷え過ぎないようにしてくれたのかな?谷崎さん、優しいなぁ。
「可愛いよ、ナナコちゃん」
 胸元の広がったセーター、その下のブラウスのボタンが外されていく。隙間から潜り込んだ手にブラのホックも外された。うん、服も緩めた方が良いもんね。テキパキした動きをボーっと見ながら考える。
「あとこっちも脱がすよ。でも風邪引くといけないからセーターとブラウスは着たままで」
 そういって谷崎さんは私のスカートのホックを外すと、私の腰からするりとスカートを取り去る。そして足を持ち上げて肩に担いだ。あ、そっか。頭を低くした方が良いんだっけ。谷崎さん、詳しいなぁ。
「可愛いぱんつだね」
「え!?や、やだ!見ちゃ駄目です!あ、あれ!?」
 思わず手で隠そうとしたけど、マフラーが絡まって上手く動かせない。
「ふふ。じゃあこっちを先に可愛がろうかな」
「え?や、やぁん。ん…だ、だめです」
 さわさわと胸を撫でられる。た、谷崎さんに触られてる…。谷崎さんの、手が。本物の、手が。私の体を、触ってる…。ぼやけた頭の中で、これまでひとりでしてきた行為だけが、やけにはっきりと思い出される。
(谷崎さんに触られたら、私…えっちに、なっちゃう)
「あぁぁ、ふぁぁ、だ、だめなのぉ…」
「本当に?気持ちよさそうな声が出てるよ。感じやすいんだね。ナナコちゃんって結構えっちなんだ」
 その言葉にビクッとする。
「ご、ごめんなさ、いぃ!ん、や…えっちで、あぁ、ごめん、な、さい」
「ん?どうして謝るの?」
 谷崎さんが指先で乳首をこねる。
「ひゃん!ち、ちくび、らめれす。ふにゃあ…」
「教えてほしいな」
 グリッと音が聞こえそうなくらい強く、潰すように、乳首をつままれる。
「ひにゃあぁぁぁ!!…はぁはぁ。え、えっち、だと、きらわれ、ちゃうから…」
「はは。心配性だなぁ、ナナコちゃんは。大丈夫、えっちなナナコちゃんもとっても可愛いよ」
 ちゅ。
 軽く唇に触れるようなキス。
「ん…。わ、わたし、えっちでも良い、の?」
「どんなナナコちゃんでも、僕は大好きだよ」
 じゅん…。
(そ、そんな風に言われたら、私、もう、駄目…)
 その言葉で私の奥からおつゆが溢れた。見てもいないのに、下着に染みが広がっていくのがわかる。それぐらいの量。もう、止まらない。どんどん、どんどん、溢れ出していく。大好き…谷崎さんが大好き。体中がそう言っている。
「ん?わ…凄いな。もうビチャビチャだよ。こっちまで染みてきそうだ」
「ご、ごめんなさい」
「さっきから謝ってばかりだね」
 谷崎さんが下着に指を掛ける。
「ごめ…あ、た、谷崎さん。そこは、その…」
「でもこんなじゃ穿いてて気持ち悪いでしょ?」
 谷崎さんが下着に人差し指を掛けたまま親指で私の中心をえぐる。
「ひうっ…で、でも、恥ずかしい、です」
「大丈夫、大丈夫。そんな心配しなくても平気だよ」
「え?」
「恥ずかしいなんて思う余裕はすぐになくなるから」
「え?え?あ!」
 言葉の意味を捉えきれず戸惑っていると瞬く間に下着が膝上辺りまでずらされた。
「それにね、さっきも言ったけどこれ以上は我慢できそうにないんだ。ほら」
 谷崎さんが何かゴソゴソしたかと思うと私のアソコに硬くて熱い何かが押し当てられる。
(え?こ、これってもしかして…谷崎さんの!?じゃ、じゃあ今までのは貧血の時の対処法じゃなくて…)
「だから入れちゃうね」
 ぐっと腰が送り込まれる。
「ひぐ!?」
「ん?ナナコちゃん、処女なんだ。…できるだけ痛くないようにしたいところだけど、もう余裕がないんだ。ちょっと我慢しててね」
「ぎぃ、ぐう…」
 歯を食いしばって痛みを堪える。更に強く奥へと押し込まれて何かがぶちりと切れた。思わず声をあげそうになったところで、谷崎さんがキスで私の口を塞いだ。繋がった口の中で私の呻き声が響く。
(凄く痛かったけど、今のが処女膜?糸がちぎれた時みたいな感じ…)
「くっ、凄い締め付けだ…。でも入れたら少し落ち着いたよ。しばらくこのままでいるね」
 離れた口が耳元で囁く。その声は上擦っていて落ち着いているようには聞こえない。
(…谷崎さん、我慢してる?私が痛がってるから?)
「あ、あの、私なら大丈夫です。ほ、ほら、私えっちだから、キモチイイです。痛く、ないですから」
 嘘。もの凄く痛い。でも谷崎さんが辛そうにしてるの見てられない。それに大好きな人にあげられたんだもん。私、もう充分幸せ。だから後は、ちょっとでも谷崎さんに気持ちよくなってもらいたい…。
「ナナコちゃん…。そんなこと言われたら、もう止まれないよ」
(…まだ痛いの、バレちゃったかな?でももし『痛みが早く過ぎ去ってくれたら』嘘じゃなくなるし我慢しなくて済むんだけど)
 そんなことを考えてたら、手首に巻かれたマフラーが急に熱くなった。熱い何かが手首から体中に広がっていく。
(え?何?何なの?)
 体中が熱い。さっきまでの痛み以上に体を支配する感覚。…欲しい、もっと欲しい。でも何を?分からないけど、とにかく体が求めている。
「もう…遠慮しないからね!」
 一度引き返して再び奥へと潜り込んでくる。谷崎さんのが子宮の入り口を叩いた時、唐突に理解する。コレだ!私が欲しいのはコレだ!
「ふぁあああ!!いいよぉ!もっとぉ!もっとして!コレなのぉ!おくぅ、おくがいいのぉ!!」
 突然の反応にビックリしたみたいだけど、すぐにニコリと微笑んで腰の動きを加速させる谷崎さん。
「ふふ。初めてなのに、もうこんなに喘いじゃって…やっぱり、ナナコちゃんは、とびきりえっちな子だ!」
 私の膣で熱い固まりが暴れ回る。でも何故かもう痛くない。ただ、ただ、気持ち良いだけ。目の前の彼が愛しくて仕方ない。
「ああん!た、谷崎さんに、して、もらってるから、です!だから、えっちになっちゃうの!他の、人じゃ、駄目なん、です!あ!そこ!いい!擦られるのイイですっ!!」
「ここかい?じゃあもっと擦ったげるよ」
「ひぃぃぃぃ!!らめ!らめ!…わたひぃ、らめれすぅ、もう、もう、イっちゃいますぅ!!」
「良いよ、一緒にイこう!」
 谷崎さんのが私の気持ち良いところを思い切り擦りあげた。そしてその勢いのまま一番奥を叩かれる。
「…んあああああああ!!!」
 真っ白。何にも見えない。何処にいるのかも分からなくなる。ただ、熱い液体が私に流れ込んできてるのだけが分かる。心地良い熱さがお腹の奥から体中に染み渡っていく。
 余韻に浸っていると、優しくて強い力が私を抱き締めてくる。そして少しだけガサガサした柔らかい感触が唇に軽く触れる。ゆっくりと戻ってくる視界に映るのは愛しい人の優しい笑顔。
(…ずっと、一緒。私の、大好きな人)

< 続く >

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