危ないやつら 第四話

第四話

■紅部早紀

 紅部早紀はこのお嬢様学校のなかでも、異例の生徒会長だった。
 今まで入学した全ての生徒が高い入学金を払って学園に入学したのに対し、彼女は創立以来初めてとなる奨学生として入学した生徒だった。
 この学園に今まで奨学制度を利用した生徒がいなかった理由は大きく分けて2つ。一つはこの酒城中央学園の奨学生認定のハードルがとんでもなく高いこと。もうひとつは酒城には国内屈指の進学校や国立大学へのエスカレーター式の学校が存在し、あえてこの学園を卒業するメリットが一般人にはないためだ。わざわざ特に進学校でもないこの学園に、奨学生として入学するよりは、普通の進学校に進んだほうが将来の進路が大きく広がるからである。といっても、上流階級ではこの学園を卒業したことがステータスとなることもあるらしいが、奨学制度を利用しなければならない家庭には、そのような事情も特に関係はない。
 そんな中、早紀は高い試験のハードルを乗り越え、あえてこの学園を選んだ。その理由を知るものは学園内にいない。だが、彼女は周囲からの好奇の目や、家柄や生活などの環境の違い、わずかだが一般家庭からの入学ということからの蔑みを乗り越え2学年にしてこの学園の生徒会長となった。この学園の生徒はそんな彼女のことを尊敬していたし、いつも人のことを思って行動してくれる彼女のことを学園の誇りに思っていた。
 それが異例の生徒会長にしてこの学園の象徴、紅部早紀だった。

 西校舎裏のベンチに人が来ないことは知っていた。だからこそ私たちは、いつもそこで昼食を食べているんだから。
 周囲を見渡すが、やっぱり今日も人はいない。

(だから、好都合なんだけどね)

 そう思いながらMCフォンからメールを送る。対象は、隣にいる少し栗毛の女の子。名前は花藤椎名、私の友達で普段は私と椎名にもう一人を加えた3人でいることが多い。あいにく今日は2人だけだったが。

「最近、玄と時間合わないわね…」
「もうすぐ大会って言ってたからさ、頑張ってるみたい」
「はー、相変わらず熱心ね。頭が下がるわ」
「早紀はいいじゃん、生徒会があるんだから。そんで玄は部活だし、私もなにかしてみようかな~」

 ちなみに玄というのはここにいないもう一人の方。隣にいる椎名と今いない玄は、私が一年生の時からずっと仲良くしている。親友といってもいい。まあ、関係ないんだけれどね。

「別に、やりたいことがあるわけじゃないなら、無理に忙しくなる必要はないと思うわよ?」
「そう? 私もなにか早紀達みたいに青春しないとまずい気がして来てさー」
「本当にやりたいことができたときに、予定詰め込んでると大変だと思うから」
「へー、なにそれ? 経験談?」
「そうかもね」

 たわいの無い会話。なのになんでこんなに…

「っと、そろそろお弁当食べないとね」
「そうね、そろそろ食べ始めないとまずいかも。今日は特に食べるの遅くなっちゃいそうだし」
「ん? 食べるのが遅くなるって、今日なにかあったっけ?」

 本気で病気なんじゃないのか私は、人を操らずにはいれない病だ。

「まあね。だって今日は『親友』の椎名がお弁当を地面に置いて犬食いで食べるんでしょ?」

「それは……まあ、そうなんだったね。確かに今日は遅くなっちゃいそうだね」

 そう言って座っていたベンチから降りて、芝生に上品に座って、お弁当の包みを解き始めた。

「でも、本当に遅れそうだったら一人で先に行っちゃっていいからね」
「そんな心配する暇があったらさっさと食べて一緒に戻るわよ」
「ふふ、そうだね。さっさと食べちゃおうか」
「ああ、あと『親友』としては犬食いの時は食べながら気にせず喋っていいわよ」
「そ、そう? それじゃあ、くちゃ、おさきに食べちゃうね、ぐちゃ」

 椎名は長く綺麗な髪を地面につけながら、音を立てて下品に食べ始める。

「ねえ、そんな風に座って食べるのって、食べ難くは無いの?」
「え? そ、それは食べにくいけどさ。んんっ、こうやって食べないと、はむっ、いけないじゃない」

 食べながら喋ってるせいで、口からポロポロと噛んだのが落ちちゃってるわよ。

「そうかもしれないけど、そんな風に食べる必要あるの?」
「早紀にはわかりにくいかもしれないけど、ぺろぺろ、ほら、私も一応お嬢さまなんだよ? そこらへんキチンと食べられるように教えられてるんだからね、ぺちゃぺちゃ」

 そういいながら弁当箱のそこについたケチャップを舐めとっていく。

「そうなの……お嬢さまって…大変そうね……アハハッ」

 こらえきれず、つい笑い出してしまった。
 いきなり笑われた椎名の方は何がおかしかったのかわからず、いぶかしむ様な顔をしてる。顔にケチャップついてるわよ。

「な、なによ? 急に笑い出したりして。私なにか変なこと言った?」
「ご、ごめんなさい。ちょっとした思い出し笑いよ」
「いきなりだから何かと思ったよ…ぺちゃぺちゃ」

 私にぶーたれながらも、必死に舌を伸ばしておかずを口の中に運ぶ。

「ねえ、そうやって食べるの大変そうだけど、こっちの方は手伝ってあげれるわよ」

 私は椎名の牛乳パックを手にとって、自分の靴の先に軽く垂らす。
 さすが、学園指定の高い革靴買わされただけあって、全然染みてこない。

「ちょ、ちょっと、なにやってるのよ!? 私の牛乳なくなっちゃうじゃ…いやいや、それよりも靴汚れちゃうよ!?」

 急にこんなことしたせいで、珍しくあわてている椎名。

「大丈夫よ、こうしないといけないんだもの」
「意味わかんないから、ほら、早く拭かないと。匂いついちゃうから後で洗うとして…」
「だから大丈夫だって。『親友』の椎名はこんな風に足舐めながらじゃないと牛乳飲めないんでしょ?」
「な、なにいって!!」

 何かをまくし立てようとしていたが、私の言葉を聞いた瞬間にしかられた子犬みたいにおとなしくなる。

「何か間違ったこといったかしら?」
「う、ううん…あってる」
「でしょ? ほら、はやくしないと全部落ちちゃうわよ」
「う、うん」

 私のむちゃくちゃな言い分にも反論せず、おずおずと私の靴に舌を伸ばしてくる。

「ぺちゃ…ぺちゃ……ぷちゅううううう」

 土や汚れのついた靴の先を掃除でもするかのように舌を舐めまわす。さっき自分はお嬢さまだって言ってたのに、こんな奴隷みたいなことするなんてね。

「まったく、椎名は大変だね。こうやってもらわないと牛乳ものめないなんて」
「うん…ぺちゃ…ごめんね、ぺちゃぺちゃ、靴汚しちゃって」
「かまわないわよ、椎名のためだもの」
「ぺひゃ、ありがとね…ちゅー」

 靴にキスをするように唇を当てて強い力で飲み込んでいる。
 ふふん、ついつい頭をなでてあげたくなる。本当の犬みたいよ、椎名。

「椎名、ちょっと顔あげてくれる?」
「どうしたの?」

 素直に顔を上げて、つま先の下から私を見上げてくる。
 とっても綺麗で、フランクだけどみんなから頼りにされているお嬢様なのに、顔に牛乳とお弁当のソースがついている姿はかなり似つかわしくない。しょうがないから、そういう姿がふさわしい身分にしてあげる。

「『親友』の椎名は当然私の質問に正直に答えてくれるよね?」
「そんなのあたりまえでしょ、どうしたの?」
「じゃあさ、私のことどう思ってるか教えてよ」
「え、それは…」

 ちょっとした間があって不安になったが、どうやら私の指示に逆らっているのではなく、単に考えこんでいるだけみたいだ。
 普通の能力と違って機械で操るのって実感が薄いから、結構スリリングよ…

「んー、友達なのはあたりまえだけど、やっぱりあこがれでもあるかな。少しでも近づきたいと思ってるし、早紀見ていると頑張れるって思えるんだよね」
「へ、へー。あ、ありがとう?」

 嫌われているとは思ってなかったけど、こう面と向かって憧れてるとか言われると、ちょっと気恥ずかしいわね。
 まあやることはやるのだけれど。

「それじゃあ、続き飲ませてあげるわね」

 残りの牛乳も足の先に垂らそうと思ったが、その前にひとつ忘れていたわね。

「飲む前に『親友』として確認しておきたいのだけど。椎名って人の靴を舐めるたびにどんどんその人の奴隷になっちゃうんだよね?」
「そ、そうだっけ?」
「そうよ、靴を舐めれば舐めるほど奴隷としての自覚が生まれていくの。椎名が奴隷になっちゃうなんて残念だけど、『親友』としては積極的に私の足を舐めるべき、よね?」
「う、うん、そうよね! うん!! そうしないと牛乳飲めないんだし、さっさと早紀の靴を舐めないと!」
「ふふ、いい決意だね。それじゃあ続きいきましょう」

 私が発破をかけると、再び靴の先を舐めまわし始める。

「ペチャ…ペチャ…」
「うわー、すごく集中してて声かけずらいわね…」
「チュー、ぺろぺろぺろ」

 先ほどよりも更に早く、しかもより念入りに牛乳を舐め取っていく。最後に垂れていた靴の裏のほうまで、しっかりと舐め取ってくれた。

「ふう、やっと飲み終わったー。つかれたよー」
「お疲れ様、あんなに急がなくてもよかったのに」
「いやー、これ以上早紀に迷惑かける訳にはいかなかったからね」
「あら、そんなこと気にしなくてもよかったのに」
「そんなわけにはいかないって。あとで靴も洗っておかないと」

 ここまでは歪ではあるが普段どおりの会話、問題はこの先なのよね。

「ねえ、そんなことよりも、今椎名にとって私はどういう存在なのか教えてよ」

 椎名は、先ほどと同じように少し考えた後にこやかに答える。

「んー、私のご主人さまなのは当たり前だけど、やっぱりあこがれでもあるかな。どんなことでもしてあげたいし、早紀のためなら人だって殺してあげたいって思うよ」
「あはは、過激~。ねえねえ、さっきまで私のことどう思ってたっけ?」
「え? すごく大切な友達だよ」
「今はなんだっけ?」
「なにより優先するべき、ご主人さま」

 何食わぬ顔で私への忠誠を話す。あんまり自然に言うもんだから、適当に聞いてたら聞き逃しちゃうわよ?

「すっかり奴隷になっちゃったね」
「うん、私は早紀の命令がこの世のなにより一番大事な奴隷だよ?」

 不思議そうな目で私を見つめてくる。いつも周りを冷静に見つめていた瞳は、今は私の姿だけを映していた。

「今、私が下着脱いでっていったらどうす…」
「はい」

 言い終わる前にスカートに手をつっこんで下着を脱ぎ去る。白いショーツを戦利品のように目の前に掲げ、私の次の命令を待っている。

「じゃあ、それで私の靴磨いてよ。さっきので汚れちゃった」
「うん、わかった。ちょっとうごかないでね…っと」

 さっきまで履いてたショーツを、雑巾みたいに四角く折りたたんで私の靴を拭き始める。ショーツが汚れることをまったく躊躇せず、ゴシゴシと力強く熱心に汚れを拭っていく。

「よし、おわっていいよ。下着がどうなったか見せてくれる?」

 素直にショーツを私の前に広げる。高級そうなショーツが、布地はところどころ切れているは、雑巾として使った部分は汚れで茶色くなっているはという酷い状態になってしまっていた。

「すごくボロボロになっちゃったね。ちょっと本気でやりすぎよ。もう、そんなの履きたくないわよね?」
「うん、これはちょっとね…」
「じゃあ、もう一回履きなおしてよ」
「うん!」

 命令した瞬間ジャンプする勢いで足を上げて、ボロボロの布切れになったショーツを履き直す。スカートが捲れてアソコが見えそうになってもお構いなしだ。

「ねえねえ、お嬢さまがそんな下着身に着けるってどんな風に思う?」
「お嬢さまっていうか、普通の女性ならこんな下着すぐ捨てると思う。こんなの履いてる人は良識疑っちゃうよ。まあ、私は早紀の命令がこの世界でなによりも大切だから、今すっごく幸せだけど」

「ふーん、じゃあ私の命令じゃなかったら、いまどんな気持ちだった?」

「色んなとこすり切れててすっごく履きづらいし、伸びちゃってるからすぐにでも脱ぎたいと思ってるとおもう。特に前の布地がちょっと薄くなってて不安なんだよね…」

「でも、『親友』としては今日一日は、その下着はいて過ごすのが健全な学生としては当たり前よね?」

「そりゃそうでしょ、私は早紀の奴隷だけど、まだ普通の学生なんだから。あ、でも早紀が望むならいつでも学校辞めるからね?」

「ありがと、それじゃあ先に教室もどっててよ。あと、『親友』として忠告するけど、教室に戻ったら、今私が『親友』として言った事全部忘れて、いつもの関係に戻るのが当然だと思うわよ?」

「うん、それじゃあ先に戻ってるから。早く来てね? ご主人さま」

 そう言って、椎名は手を振りながら校内に戻っていった。

「うん、楽しかったよ。椎名」

 私も手を振り返して、椎名を見送った。

 あ、椎名と遊んでばっかりいたら、自分の昼食食べるのをすっかり忘れてしまっていた。
 一人操るのに、こんなに熱中してしまっていたら、いつかボロが出るわね…
 まったく、本当に病気だわ…

■紅部早紀

 キーン コーン カーン コーン

 下校を促すチャイムが学園に響き渡る。
 窓の外を眺めると、太陽が街を赤く染めながら、ビルの合間に沈んでいく様子がうかぶ。この学園は街の中心部から離れているため、景観を遮る建物が少ないのがいい場所だと思う。

 ほとんどの生徒が帰宅したため、校内は静寂に包まれているが、グランドからはまだわずかに声が聴こえて来る。大会を間近に控え、遅くまで練習を続けている生徒の声だ。

 私がそんな誰も残っていない校内に残っているのは、佐々永玄という子を待っているためだ。私の友達でいつも私や椎名と一緒に過ごしている。彼女は古い裕福な家の子で、立ち振る舞いもそんな家柄に相応しい古風でおくゆかしく大和撫子然としているが、時々すごく負けず嫌いにで、むきになるところが可愛い所だと思っている。

 ちなみに、椎名には先に帰るように言っておいた。3人で遊ぶのも面白そうだと思ったのだけれど、今日は一人ずつ遊んであげたかったからね。

 というわけで、私はすでに玄を操ることを決めていた。

 立ちながら待つのも疲れてきたので、窓際の席を借りて外の景色をゆっくりと眺めることにした。夕陽が空を黒と赤の2色に分断している。ちょっと窓から顔を出して空を眺めてみると、学園の上にはもう夜の暗闇が押し寄せてきていた。
 外の景色を味わいながら、今日の昼のことを思い返す。椎名を私の好き勝手に操ったことを。
 椎名は私の友人、それは間違いない。
 これから来る玄もそうだ。私たちは親友だとさえ思っている。でも、どんなことをしても罪悪感が沸く気がしない。
 落ちる夕日を美しいと思う。
 人の活気で溢れるこの街が好きだ。
 友達はとても大切な存在。
 でも、私は人を操りたい。
 だからこそ、いつものように学園に来て、勉強して、友達と笑って、人を操るんだ。
 そんなことを思いながら玄が来るのを待っていた。

 ガラガラガラ
 それからしばらく後、玄がやってきた。
 他の子は部活が終わったらそのまま帰るのだけれど、玄にはあらかじめMCフォンで、教室に来るようにメールを送っておいた。

「あら、早紀さんはまだ残っていらしたの?」
「まあね、そっちこそどうして教室に来たのよ。なにか忘れ物?」
「それは…なんとなくこないといけない気がしたのですが…特に用があるわけではないのですけど」
「なによそれ、変なの」
「う~ん。不思議ですわ」

 何故教室に来たのかわからないという風だ。まあ、そうなる風に仕向けたのは私なのだけれど。
 しかし、こうやって操るぞって思いながら改めて見てみると、やっぱり玄は美人よね。スレンダーな体つきで全身隙が無い、特に指先が白くてか細く、髪を掻き揚げる仕草をするとすごい絵になる。
 椎名は活発でさばさばしている、姉御肌でとても頼りになるのだけど、玄は落ち着いて物静かで、そばにいるととても落ちつく。
 なのに、椎名は帰宅部で、玄は陸上部、それもエースっていうのは、初め結構違和感があったのよね。付き合ってみると彼女達の遠くでは見えない面が見えてきて、いつのまにか違和感は消えていたのだけど。

「まあ、いいわ。それじゃあ用がないようなら一緒に帰りましょうか?」
「あ、ちょっと待って下さる? 私、早紀さんに見せておきたいものがありましたの」

 そういいながら、何気なく、玄はコートとブレザーを脱ぎ、Yシャツのボタンに手を掛ける。

「明日でもいいと思ったのですけど、今日のうちに見せておけば楽ですものね」

 最後には、上半身がブラジャー1枚になってしまう。玄によく似合う淡い青の高級そうな下着だが、ちょうど乳首の部分が丸く切り取られていて、乳輪がまったく隠せていない状態になっている。

「どうかしら、似合うと思います? 早紀さんに感想を聞かなきゃと思いましたの」
「んー、かなりエロくていいとおもうよ。下品ではあると思うけれどそれが玄とのギャップで魅力アップ、みたいな?」
「うふふ、早紀さんにそう言っていただけると見せた甲斐がありましたわ」

 自慢のオシャレが認められたのを嬉しそうに笑う玄。

「でも、上だけだとバランス悪くないかしら?」
「あ、そうでしたわ。そちらをお見せするのを忘れていましたわ」

 そう言って、今度は思いっきりスカートを捲りあげ、自分からスカートの中身を見せにいってるポーズをとる。
 おしとやかな普段の玄からは想像もつかない大胆な格好。いくら同姓だといっても、通常の彼女は悪ふざけでもこんなことはしない。しかも、今の玄は自分ではいたって真面目な顔をしていて余計に可笑しい。
 スカートの下のスパッツとショーツもブラジャーと同様に、ちょうど大事なところを隠す布が、スパッと切り抜かれていて、下着を着けているのに、そのまま見せるよりも卑猥になってしまってる。

「ほら、こっちの方もしっかりと見て感想を聞かせてくださいます?」
「い、いいとおもうわよ…」

 いつもの玄を知っているだけに、今の彼女の姿は情操を掻き立てられもするし、笑いがこみ上げてきたりもした。

「だけど、どうしたこんなことしたの? 下着がもったいないし、大切なところが全然隠せてないわよ?」
「う~ん。そうなんですけどね」

 スカートをまくりながら考え込む玄。もちろん乳首もアソコも丸だしのままだ。

「今日部活が終わったときに。急に思いついたんですの。なんか、乳首とアソコを早紀さんに見せないとって。でも下着を脱ぐわけにはいけないでしょ? だから切り取ってしまいましたわ」
「へー、その下着お気に入りだった?」
「それほどでもなかったですわ。この前買ったばかりでしたので」
「ありゃ、もったいなかったわね」
「そうかもしれませんが、これ以外方法が思いつかったのですもの」

 話しながら、胸を前に突き出したり、股間を動かしたりしている。
 私に見せないと、って思っているのだろう。
 特にアソコを見せようとするときに、力をこめて前に突き出そうとするがなかなか上手くいかないようで、プルプル震えながら股間を押し出していた。

「それで、どうするつもりだったの?」
「え、どういう意味ですの?」

 きょとんとした顔をする。

「私にそれを見せてどうするつもりだったの?」
「えっと、どうするつもりだったのかしら…と、とにかくあなたに見せなきゃって思っただけで……どうしてだったかしら…」

 深くツッコミを入れられると、困惑した様子で自分の行動を考え始める。
 これ、もっと続けたらどうなっちゃうのかしら…
 ちょっと興味はあったけど、とんでもないことになったらやばいし、玄で試すのは止めておきましょう。

「玄は、私にオナニーを見せるためにそんな格好をしたんでしょ?」
「あ、そうだった……かしら」
「そうだよ、普段はお淑やかなのに、こんな風に下着切り取っちゃう変態さんなんだから、玄にはびっくりしたわよ」

 力強く、玄に染み込ませるように喋る。

「そう……でしたわね。ごめんなさい、私のオナニー見てもらってよろしいですか?」
「玄は本当に変態なんだね」
「そうなんですの、私変態だから、早紀さんにすぐにオナニー見てもらいたかったの!」

 自分で言ってて興奮してきたのか、だんだんと声が大きくなっていく。

「いいよ、玄は変態さんだけど、友達だもんね」
「あ、ありがとうございますわ。それじゃあ、すぐに始めますわね」

 そう言ってブラジャーの上から、胸に手をあててこねるように揉み始める。
 こういうことに慣れていないのかややぎこちない手つきだが、代わりに、義務感のためか強く揉んでいる様で、白磁のような胸がグニャグニャと形を変える。

「確認なんだけど、誰が何をするんだっけ?」
「え、ええと……私がオナニーを早紀さんにみてもらいます」
「変態の玄が、だよね?」
「そ、そうですわ。下着を切ってアソコを丸出しにしてしまうようなド変態の玄が、早紀さんにオナニーを見てもらうんですの!」

 教室中に響き渡る大声で宣言をする。

「どう、気持ちいい?」
「きゅ、急にやったから…ハアッ…そんなに…んんっ、気持ちよくはないですわね」
「そう? 私に見られると興奮する露出狂なのに気持ちよくないの?」
「え……ああんっ!」

 私がそういった途端、玄の体に電撃が走ったように跳ね上がる。急に私の視線を意識してその先を見せ付けるように弄り出す。

「き、気持ちいいです。早紀さんに見られながらオナニーするの、すごく気持ちいいですわ」
「イクときは露出している部分を思いっきり抓っちゃうのよね? そのために下着を切ったんでしょ?」
「そ、そうですわ。オナニーして、思いっきりイけるように、今日は下着を切ってきたんですもの」
「しかも、どこが気持ちいいのか我慢しきれず、思いっきり叫んじゃうんでしょ? 玄ってば本当、変態すぎるよ…」
「ああんっ、そう、私は、つっ、イクときどこが気持ちいいのか、叫んじゃうんですの……はあっ…うっ…はあっ…乳首が最高ですわぁ!!」

 学校に人がいなくてよかったね。

 しばらく後、私は手持ち無沙汰だったので、玄と世間話をしていた。もちろん玄はよだれを垂らしながら、全力でオナニー中だ。

「はあ、明日は体育あるのよね。玄は楽勝だろうけどさー」
「あら…ふっ…早紀さんなら…ああんっ…真面目にやれば、なんだって上手く……くう、できるでしょうに」
「どうも体を動かすのって苦手なのよね。あなたが羨ましいわよ」
「そ、そんなこと言って…ん、普段、体育だけは…つっ…手を抜いてるの…知ってましてよ…クリトリス、最高ですわぁ!!」
「手を抜いてるんじゃ無くて、あれが私の限界なのだけど…あれ以上動いたら次の日は筋肉痛よ。」
「はあっ…はあっ…はあっ…はあっ…はあっ…はあっ」
「って大丈夫? 肩で息してるわよ?」
「え、ええ。でも少し疲れてしまいましたわ。ちょっと休憩してから…」
「でも、まだやれるわよね? なんたって玄は陸上とオナニーだけはいつも本気で取り組んでるんですものね」
「と、当然ですわ。私の誇りにかけてオナニーをやりきってみせますわ。さ、さあ、続きをやるので見ていてくださいね……あはんっ!!」
「お~、その調子よ。頑張ってね」
「まかせて……んんっ…ください。そ、それで、はんっ! な、なんの話をしていたのですっけ? …っ!」
「最近玄は部活頑張ってるね、って話だったかな。もうすぐ大会なんだっけ?」
「そ、そうですわね。来週の、はんっ、土曜日が…あんっ…大会になってますわ」
「へえ、そうなんだ。それじゃあ椎名と一緒に応援にいこうかしら」
「あ、ありがとうございますわ…はんっ…ぜ、ぜひ…あっ、お待ち…していますわ…乳首最高ですわああ!!」
「うん、大会頑張ってね」

 それから更に30分後

「はあっ、はあっ、はあっ、はあっ、はあっ、ああんっ! はあっ」
「………」

 休み無いオナニーで、玄が途中から喋る余裕がなくなってしまったので、私も喋らないでただ玄の様子を眺めていた。

「はあっ、はあっ、くっ、はあっ、あはんっ、はあっ、はあっ」
「そろそろ限界かな……」
「はあっ、はあっ、くうっ、はあっ、はあっ、はあっ、きゃあ!」

 全身から滝のような汗を流しながらも、自分を慰める手を止めることは無い。何度も抓っているのに興奮が止まらないせいで、アソコからは壊れた蛇口みたいに液体がこぼれ、乳首も常時勃っている状態だ。白い肌には、乱暴につけた手形がいくつも付いてしまっていた。

「はあっ、はあっ、はあっ、ああんっっっ、ク、クリトリス、気持ちいいですわ!」

 破けたショーツから覗いているクリトリスを指でコリコリお挟んで達する。
 私の命令で萎えることがないので、息を整える暇も無く、股間に手を突っ込んだまま、次の自慰を始める。

「はあっ、くうんっ、はあああっ、ああっ、はあっ」

 それでも私の視線が気になるのか、私が上を向けば胸を突き出してくるし、下を向けば股間を突き出してくる。

「はあっ、ああああんっっっっ、…ア、アソコが、最高に、…はあっ…気持ちいですわぁぁぁ!!!」

 声を出すのも苦しい状態なのに、どこでイったのかは一々叫んで教えてくれる。通常ではありえない快感が引っ切り無しに訪れているだろうことを、玄の惚けた表情が教えてくれる。
 玄の足元は汗とか、愛液とか、涎とか、色々な体液が零れ落ちて、水溜りができてしまっていた。

「うん、そろそろいいわよ。次で終わりにしましょう?」
「は、はいっ!」
 私がそういうと、玄は顔を輝かせてうなずく。運動部の体力でも、さすがにきつかったかしら。

「じゃあ、最後に思いっきり両方の乳首抓って終わりね」
「はあっ、はあっ、わ、わかり…ました…わ。」

 覚悟を決めて、自分の乳首を指で挟む。少し躊躇したあと、指先に今日一番の力を込める。

「っつっつっつううう、ち、ちくびぃがああっっっ!!! き、きもちいぃぃぃ、あああんっ、乳首、しゃいこーですわあぁ!!!」

 断末魔みたいな声をあげると、玄はそのまま床に倒れ込む。

「だ、大丈夫!?」

 急いで体を抱き起こして、顔を覗き込む。顔がゆでだこみたいに真っ赤で、息を止めたまま走ったあとのアスリートぐらい激しく呼吸をしている。

「はっ、はっ、はっ、はっ、はっ、はっ、はっ、はっ、はっ、はっ、」

 何も喋れないみたいだけど、息が乱れている以外に異常はないみたいだ。
 ふう、命に関わるようなことがあったらどうしようかと思ったわ…。
 糸が切れた人形みたいな倒れ方だったから、正直かなりびびったわよ…

 とりあえず、玄に何も無くて安堵する。
 ちょっと調子に乗りすぎたわね…

 反省はするが、おそらく明日にも今日と同じようなことはするんだろうな…

(明日は誰と遊ぼうかしら、まず生徒会で仕事してから…)

 玄の頭を膝に乗せて、ゆっくり体をさする。無意識か知らないけど、私のスカートを強く引っ張って自分の方に手繰っている。相当参っているみたいだ。

(おわびに、来週は全力で応援してあげるわ。悪かったわね、玄)

 そのまま、玄が回復するまで待って、記憶を消してから一緒に帰った。

< 続く >

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