学園特別クラス 第一章

この作品はフィクションです。

第一章(四月~六月)

四月
 須藤成美が、その学園で働けることになったのは、先輩の亜季の誘いがあったからだ。
 前の学校で、セクハラを受け、それを指摘したことで、相手の先生は自主退職したが、どうも居心地が悪くなってしまった。
 正直、依願退職なんて甘すぎると思ってはいるのだが。
 そういう、女性を性欲の対象としてしかみないような男は最低だ。
 もちろん、気にせずそのまま勤めることもできたのだけど、せっかく亜季先輩が誘ってくれたのだから、とオーケーしたのだ。
(それに、かなりの進学校だし、歴史と伝統もあるっていうし。ちょっと面白そうなんだよね)
 寮に住まなくてはならないのがちょっと不安といえば不安だが、お金が浮くとも考えられる。
 夫とは遠距離になってしまうけれど、一年も我慢すれば、一緒に暮らせるだろう。
 かなりお給料はいいと言っていたし。

 理事長先生と校長先生に挨拶する。
 理事長先生は、落ち着いた大人の男性で、校長先生は、色っぽい女の先生だった。
 校長先生は、五十を超えているらしいと亜季から聞いていたが、成美は、これが大人の色気というやつなのかと驚いた。
「挨拶、終わった?」
 挨拶が終わると、体育教師の亜季が、ジャージ姿で、廊下で待っていた。
「あれ、高橋先生、口になにかついてますよ?」
 亜季が口元をぬぐって、ついたものを舐めとる。
「あー、ごめんごめん。それと、高橋先生じゃなくて、亜季先生ね。ここでは、下の名前で呼び合って、親睦を深めるんだから。生徒にも同じことだから気をつけて」
「あっ、はーい」
 要するに、もっとお互いに自分の意見を言い合うことで、対等な対話ができるということらしい。
 教師が生徒に命令するのではなく、お互いが敬意をもって知的に対話する、これがこの学園の方針だと、以前聞かされていた。
 上意下達(じょういかたつ)で服従心を養うのではなく、自発性・自立心を養うのだそうだ。
 寮の部屋に案内されて、荷物を置く。
 けっこう殺風景な部屋だが、広いのは広い。
「そういえば、たか――亜季先生、わたしって、期間限定じゃなくてもいいんですよね?」
「えっ? あっ、ああ、蘭先生が産休を取ったから、その穴を埋めてほしいって話でしょ? うん、産休明けたらさよなら~ってしないから大丈夫」
 心配ないない、と元気に笑う。
 前の学校のときから思っていたけど、元気な人だなあ。
「ちゃんと食事も出るし、なーんにもお金使わなくていいから、お金はたまるよ~」
「本当ですか!」
「そうそう。ほかにもいろいろ楽しいこともあるし、きっと気に入ると思うな」
「えー、ほかにってなんです?」
「それは、あとからのお楽しみ♪」
 そういった亜季の笑顔が、今まで知っていた亜季の笑顔とは、どこか違うような気が、成美はした。
「……ん? どした?」
「あっ、いえ、なんでもないです」
 その疑念をあわてて打ち消して、成美も笑い返す。
(気のせい、だよ、ね……)

 オナニーが止まらない。
 成美は、今日で三度目の絶頂を、夜寝る前に味わっていた。
 気を抜くと、授業と授業の間でも、やってしまいそうになる。
(どうしたんだろ。こんなに、性欲がたかぶったことなんてあったかな)
 一日に三度、というのは、ないこともないだろうけれど、正直、不思議に思う。
 また、最近、寝相が悪くなっているのも変だ。
(ストレス、なのかなぁ)
 学校に来てから、だいたい二週間。問題らしい問題はない。
 授業はとどこおりなく進んでいる。
 この進学校は、歴史があるためか、共学ではなく、男子校である。
 正直、教え子に、ぞくっ、とするときがある。
 クラスのドアを開けたときのオスのにおい――。
 成美は、進学校の中でも、特別クラスといわれる、寮生活をする特別優秀な生徒たちを教えていた。
 彼らは、寮があるだけでなく、授業も別の校舎で行われ、まるでこの学園に学校がふたつあるように思えていた。
 伝統からいえば、この特別クラスこそが、もともとの学校の母体らしい。
 みんな優秀で、学級崩壊なんてありえない雰囲気で、文武両道。
 将来稼ぐ金額を考えると、今から知り合おうとする女の子だってきっといるだろう。
 わたしだって……。
(だめだめ、しっかりしないと! 教え子相手に何考えてんだか!)
 そのまま、成美は眠ろうとしたが、その前に、亜季先生から借りたDVDを見ることにした。
 寮に住んでいるためか、何度かDVDで映画鑑賞会を開いたことがある。
 ひまなときにどうぞ、と亜季先生から、なかば無理やり渡されたものだ。
 見終わったら次々渡してくるから、ひまなときには、自然とみるようになっていた。
 見終わって、今度こそ寝ることにする。
 ここに来てから、夜更かしすることがなくなって、同じくらいの時間に眠るようになったのはいいことだ。
 ブラジャーを外す。
 どうも、最近、胸が大きくなっている気がする。
 気のせいだろうか。
 パジャマを着ると、乳首がパジャマにすれて、甘い刺激が体に走る。
(最近、夜のこの段階まで、性欲高まっちゃうんだよなあ)
 結局、寝るまでに二度ほど上り詰めて、成美は就寝した。

 
「調子はどう?」
「媚薬は順調に効いてる。サブリミナルもうまくいっているみたいだし、体質変更も効果が出てきたみたいだ」
「睡眠学習は?」
 モニターが指さされる。
 そこには、ヘッドギアを頭に取り付けられ、体のあちこちに線がつながった、はだかの成美が映っていた。
「どうかな、たぶん問題なさそう」
「じゃあ、そろそろ、レベル1からレベル2の段階に移行しよう」
 

 成美が目を覚ますと、男子更衣室にいた。
「え?」
 しかも、服を着ていない。
 見ると、横に、服が無造作に脱ぎ捨ててある。
 パジャマじゃなく、いつも授業に着ていくような服だ。
「ど、どういうこと?」
 パニックになりそうな成美の耳に、チャイムが響く。
(まずい! 体育の授業があったら、だれかが入ってきてしまう!)
 いそいで服を着て、更衣室を出ようとするが、外から大きな声がした。
 だめだ、人がやって来てしまった。
 男子更衣室は、プールの更衣室と兼用のため、体育館の隣に別の建物としてたてられているので、授業中はまず人が立ち寄ることはない。
 しかし、休み時間になってしまえば、それなりに人目につく。
(とにかく、授業がはじまるまでやり過ごそう)
 手近なロッカーに成美が隠れると、それを待っていたかのように、とびらが開いた。
 次々と男子生徒が入ってくる音がする。
 濃厚な男の匂いに、くらりとめまいがしそうになる。
(あっぶな~! こんなところ見られたら、言い訳聞かないよ……)
 バクバクする心臓を懸命に落ち着ける成美に、その心臓を止めるような衝撃的なせりふが飛び込んできた。
「あー! 成美先生、超かわいいよな。やりてーーっ!」
(わたしが担任している子たちじゃない!)
 声からすると、トオルくん?
「かわいい、かわいい。俺、特別クラスの先生たちの中で一番好き」
「あー、特クラの先生たち、みんな美人だけど、やっぱ俺たちの担任が一番だよな」
 話の前後を聞いていなかったが、唐突な話題というわけでもないようで、みんなが話にのってくる。
「つーか、俺、先生でオナってるんだけど」
 おおーっ、と男子たちがざわめく。
「マジかよ、やるなあ」
「いきなりオナニーの話かよ。まあ、俺も先生でやってますけど?」
 爆笑が起こる。お前もかよ、と声が響く。
 成美は、体の奥が熱くなってくるのを感じる。
 自分が、生徒たちに性的に見られている感覚。
「実は、俺も」
「僕もなんだよ」
 次々と、告白が続く。
 信じられないことに、ほとんどのものが、成美でオナニーをしたことがあるらしかった。
 ぞくぞくっ、と成美の性感が高まる。
(なんだろこれ、やばい、やばいよ……)
 今すぐに股間に伸ばしたくなる手を、必死に理性でつなぎとめる。
「実はさ……俺、今日、成美先生とセックスする夢見ちゃったんだよな」
 最初に発言した男、トオルの声がする。
 わりと気さくに話してくれる、元気のいい男の子だ。
「で……夢精しちゃいました」
 マジかよ、とか、やべぇな、とか、そんな声を遠くに聞きながら、成美は、自分の股間が熱くなるのを感じる。
(これ……絶対、濡れてる……)
「おい、まさか今はいてるパンツって」
「うん、実は」
「おいおい、一限目だぜ? ちょ、ちゃんと拭いたんだろうな? って濡れてんじゃねーか!」
「そうなんだよ。それで、このパンツ捨てようと思って」
「あー、この更衣室、ふつーにゴミ箱あるしな」
「そうそう。この紙袋にいれて捨てればばれないから」
「なんで寮で履き替えなかったんだよ」
「寝坊してマジ時間なかったんだって」
 替えのパンツに履き替えたようで、そのまま、彼らは更衣室から出ていく。
 おぼつかない足取りで、成美はロッカーから出ると、ゴミ箱に一直線に向かっていった。
 紙袋から、パンツをとりだす。
 そうとう出したのだろう、パンツには大きく染みが広がっていた。
 さすがに精液は拭き取られていたが、一限目だからか、まだ匂いが感じ取れる。
 成美は、何も考えずに、そのパンツを口と鼻にあて、そのまま空いたもう一方の手で、自分の股間をいじくりまわす。
 下着の上から、クリトリスを刺激する。
 愛液で下着がぬれていくのがわかる。
 トントントン、と小刻みに指を動かして、敏感な部分や、挿入口を刺激する。
 成美は、舌を出して、パンツの染みから、少しでも生殖液を啜ろうとなめまわし、口にふくむ。
 徐々に指の動きが激しくなり、指を震わせながら、絶頂へとかけあがる。
 びくん、びくん、と足が動いて、体中に甘い倦怠感がやってきたとき――
「せん、せい?」
 トオルの声が、更衣室に響いた。

 翌日の放課後。
 だれもいない空き教室で、トオルと成美は密会していた。
「成美先生。ちゃんと、着てきてくれた? っていうか、着ないでいてくれた?」
 トオルの声に、成美は恥ずかしそうにうなづく。
「じゃ、見せてよ」
 ゆっくりと、成美のロングスカートがたくしあげられる。
「きれいだ」
 下着をつけていない、陰毛に覆われた秘所が、トオルの目にうつる。
 ゆっくりと指を近づけると、
 くちゅ。
「嫌らしい音だね、先生」
 成美は、羞恥心で真っ赤になる。
 トオルは、そのまま、シャツの下から手をいれた。
「ふふっ。こっちも、ちゃんとノーブラにしてきたんだ。えらいえらい」
「トオルくん――いじわる、しないで――」
 恥ずかしそうにいう成美に、トオルは、はっとした顔を見せる。
「かわいいよ、成美先生――成美」
 とくん、と下の名前を言われてはじける、ふしだらな心臓に、成美はびっくりする。
(わたし、こんなに軽い女だったっけな――)
 昨日、トオルの下着でオナニーしていた成美を見て、トオルは言ったのだ。
 先生、よかったら、俺、提案があるんですけど、明日、ノーブラ・ノーパンで授業してくれません?
 ばれたら退職ものだから、と思って、成美は従ったけれど、本当に、ただ恐怖からだけだったのだろうか。
 心のどこかに――たかまる性欲に支配されて――喜んで従おうという気持ちが、あったんじゃないだろうか?
「成美先生、俺のオナニー見ててねっ」
 必死になって、自分を見て、ペニスをしごきあげるトオルに、なにか愛しいものを感じてしまう。
 最初は、脅されてレイプされるのかと思ったけれど、そんなことは絶対にしないとトオルは言った。
 ――なにかあっても、俺が悪者になるからさ。そしたら、俺が厳重処分になるだけだから。ね?
 そして、実際に、こちらには、ほとんど何もしてこない。
 胸と、秘所を、一回触っただけ――物足りない――
 その思考に、はっとする。
(わたし、何を……)
 目の前でしごかれているペニス。
 ごしごしと強く刺激をあたえられ、鈴口からは、いやらしい液があふれてくる。
「成美――いいよ――ああ、いくっ――」
 この子は、わたしのことを考えて、オナニーしてるんだ――
 そう思うと、ものすごい快感がこみあげてきて、どうしようもなくなる。
 トオルの手に吐き出された精液は、とてもきれいな白色をしていた。
「はあっ、はあっ――ありがと、先生、見ててもらって――」
 ティッシュで精液をふいて、ゴミ箱へ捨てる。
「ありがとうございました」
 深々と頭をさげて、トオルは振り返らず去っていく。
(わたし――何もされてないのに――)
 成美の手が、ゴミ箱に残されたティッシュに伸びる。それを、自分の手に握りしめ、寮の部屋へと帰った。
 その日、成美は、トオルのことや、担当しているクラスの生徒たちのことを思い浮かべながら、トオルの精液を舐め、十回以上イった。
 

五月
 結局、昨日の消えた記憶のことはよくわからなかった。
 まわりの先生に聞いても、ちゃんと朝礼には出ていたという。
 保健の先生にでも、ちょっと見てもらったほうがいいのかな、と思ったが、その後記憶が飛ぶなんてことはないので、そのままにしておいた。
 夫には、当たり障りのないメールを出している。
 携帯が圏外で、携帯から連絡はつかず、もっぱらメールでのやりとりになっていた。
(これ、浮気、なのかな――)
 あのあと、トオルとは、何度か会っている。
 どこで購入したのか、セクシーな下着を用意して、これを着て授業をしてくれるように頼んだり、以前のように何もつけないでほしいと頼んだり。
 そして、毎度毎度、成美の前でオナニーをして去っていく。
 絶対に手を出してこない、トオルの中だけで完結しているかのような行為に、成美は、徐々にフラストレーションがたまっていた。
 もちろん、手を出してこないのは安心なんだけど、でも――

「実は、俺、美術部なんですけど、冗談で面白いもの作ったんですよ」
 そう言って、トオルが成美に、あるものを手渡す。
「これ、は――」
 ペニスだった。
 やわらかそうな材質で作られたペニス。
「これ、いったい――」
「俺のです」
 その言葉に、一瞬、頭が真っ白になる。
「え?」
「いや、だから、俺のなんですよ。自分のペニスの型をとって、先生にプレゼント」
「プ、プレゼントって……」
 突然のことに、成美は動揺を隠せない。
「先生、俺、気づいちゃったんですよ」
 その言葉に、きくり、とする。
「成井先生、俺の射精したティッシュ、持って帰ってるでしょ?」
 顔が真っ赤になる。
「捨てたものですからね。何に使ってもいいですよ、所有権もないし。じゃ、また、脱いでくれますか?」
 最近は、成美が全裸になって、その様子をみながら、トオルが肉棒をしごきあげるのが、日課になっていた。
 成美も、もう慣れたもので、抵抗もなく、服を脱ぎ捨てる。
 そのまま、ティッシュに精液がこぼれおちるのを見て――
「はい」
 丸められたティッシュと、ペニスの模型を渡される。
「じゃ、また明日」
 ドアが閉まる。
 この教室は、まず、だれも来ない。
 ほとんど人が来ない校舎の中でも、さらに人がいないところにある物置のようなところだからだ。
 だから――、オナニーしたって、ばれやしない。
 そう考えると、成美はゆっくりと、模造ペニスを、自分の穴の中へと沈めた。
「ん――ぁ――」
 ゆっくりと息を吐く。
 丸められたティッシュをほどくと、精液がどろりとこぼれおちてくる。
 それをなめとりながら、ゆっくりとペニスを動かし――すぐにその動きは、速くなる。
 教室。まだみんなが残っている音がする。
 人気があるのに。
 勉強する場所なのに。
 こんなところでオナニーしてる――。
 そう考えると、じゅぷっじゅぷっじゅぷっ、といやらしい音をたてて、すぐに成美は絶頂してしまう。
 ごくり、と精液を呑み込む。
(これじゃ、わたし、本当に変態みたいだ)

 トオルは、それから毎日、成美に、ペニスの模型を届けてくれた。
 これは、タクヤの、これはケーイチの……。
 どうやら、クラスで、模型を作るのが流行ったらしい。
 破棄すると口実をつけて回収したトオルは、それを毎日ひとつづつ、成美に与えているのだ。
 一日一人。別の生徒とセックスする感覚。
 頭が、おかしくなりそうなほどに気持ちいい。
 また、トオルは、成美にカメラを渡して、自分の姿を写真に収めてほしいとも言ってきた。
 もちろん、データを受け渡す必要はなく、ただ見たいだけだという。
 最初は、ふつうの写真を撮って、それを見せていた。
 しかし、だんだんと行為は、頼まれるままエスカレートしていき、今では、はだかの写真や、ムービー機能で撮ったオナニーの映像さえ、トオルに見せるようになっていた。
(なんでだろ……この学校に来てから、エッチなことをしたくてしたくてたまらない……)
「へえ、よく撮れてますね」
 トオルが、カメラを見て感嘆のつぶやきをもらす。
 その声で、成美は我に返る。
「この教室で撮ったやつですか? 俺が帰ったあとに?」
「う、うん」
「そっか、教室かぁ。だったら、俺たちの教室でも撮ってほしいなあ」
「ちょっ、それはさすがにまずい……」
「ですよねぇ」
 ははは、と笑う。
「うちのクラスのおちんちんは、全部コンプリートしましたよね。どうですか?」
「どうって……」
 成美は言葉につまる。
 もちろん、毎日使っている。
 性欲は収まるどころか、むしろ高まったまま、高止まりしていた。
 違うオチンポを気分に合わせて何度も出したり入れたりする。
 しかもそれは、自分の生徒たちのものなのだ。
 その背徳的なオナニーに、成美はすっかりはまっていた。
「でも、教室で先生がはだかになってるの、すっげーエロいです」
 そういって、話を切り替え、トオルは、ペニスに手を伸ばす。
「あっ、くっ、成美先生、エロいっ……」
 ゆっくりと、竿をしごきあげる。
「あぁっ、くっ、やりてぇっ、いいっ……」
 卑猥な言葉を言う生徒にあてられたのか、自分からはなにもしてこない男に焦れたのか――
 成美は、自分の指で、トオルの前で、オナニーをはじめた。
「先生、いいよっ、エロいよっ……」
 トオルの、ぎらついた獣のような目が、成美の体を熱くする。
 自分でも信じられないほど早く、絶頂に達してしまう。
「せんせ……飲んで……」
 まるでそうするのが自然なように、トオルがペニスを突き出してきた。
 そのまま、口を大きく開ける。
(あ、だめ、生徒なのに……)
 その理性の小さなさけびは、目の前にせまる快楽にアッという前に流されてしまう。
 どぴゅっ、どぴゅっ、と飛び出してきた精液が、成美の口に命中し、のどを通って、体の中に入っていく。
 なにもいわれていないのに、成美は、目の前のペニスをくわえ、精液を吸い出していく。
「あっ、先生やばっ、だめっ……」
 その言葉を無視して、成美は尿道に残った精液を全部吸い出した。
「――ありがと」
 そう言って、成美は部屋を後にする。

 わたし、何やってんだろ――。
 部屋に横になりながら、今日のことを考える。
 あんなことを自分からして、しかもありがとう、だなんて。
 これじゃ、完全に浮気だ――。
 今日のことを頭の中で反芻していると、また興奮がやって来て、手が股間に伸びてしまう。
 ベッドの下に隠した、生徒の模造ペニスを取り出すと、それを生殖器につっこむ。
(あ――これ、トオルくんのだ――)
 手で持った感じで、だれのものかいくらかわかるようになってしまった自分に、おどろく。
(本当に、変態になっちゃったんだな)
 ここに来てから、毎晩オナニーをするようになっている。
 しかも、それをカメラで撮影したり、写真を撮ったりして、それをトオルに見せたりするのだ。
 鏡の前に立って、成美はポーズを決める。
 どんな格好がいやらしく見えるだろう。
 どんなポーズをとれば、トオルくんは興奮してくれるだろう。
 ううん、どんな写真を撮れば、クラスの子たちは、わたしでエッチなことを考えてくれるかな――。
 そんなことを考えているうちに、また濡れてきて、適当な模造ペニスを抜き出し、淫穴につっこむ。
 寮は防音だと聞いているけれど、それでも声が漏れないようにして、ぐちゅぐちゅとオマンコをかきまわす。
 この、声を出してはいけないという禁止が、またいけないことをしている感覚をかきたてて、成美を激しく上り詰めさせるのだった。

「かなりいい線いってるね」
 目の前のモニターには、はだかの成美が映っている。
 ヘッドギアをつけられ、体にも線がつながっているのが見える。
「媚薬に睡眠学習は上々、サブリミナルは一人でいるときはオナニーばっかりだからあまり効果ないけど、他の先生たちと映画見るのが一週間に一回あるから問題ないとして、体質変更もうまくいっているみたい。最近、サイズの一回り大きいブラジャーを買ったはず」
 かち、と手元のボタンを操作すると、びくびくっ、と成美の体が動く。
 とろり、と淫液が股間からあふれてくる。
「今はまだ無意識学習だから、起きているときは以前よりも感じる程度だけど、睡眠学習と同じシチュエーションをしたら、きっとすごい快感が得られるはず」
「じゃあ、レベル3へ」

六月
 デジタルカメラの、無音のシャッター音。
 それが、わたしの体を、なめるように撮っている。
 最近、気づいたのだけど、オナニーをするときに、クラスの子たちとセックスすることを考えたり、こういう風に恥ずかしい恰好を取られることを想像すると、ぐっと快感が深まることがわかった。
 こんな想像、したことなかったけれど、もしかして、そういう性癖があったのかな。
 そして、今、現実に、トオルくんにわたしの体を撮影されている――まるで、露出狂の変態みたい――
 そう思うだけで、成美のあそこは熱くなり、湿ってきて、潤潤とうずく。
 ここは、いつもの教室ではなく、成美がいつも授業をしている教室だ。
 特別クラスの、二年S組。
 一時間目の体育の授業(成美が更衣室に入ったあの時間だ)、みんなが出払ったところで、その時間に授業のない成美と、さぼったトオルが、撮影会をしているのだ。
 このような撮影会は、すでに何度か経験していて、だんだん成美も慣れてきたところだった。
「あー、いいっすよ、成美先生。かわいい」
「そ、そうかな」
 成美も、かわいいと言われて、悪い気はしない。
「俺、言いましたっけ? ぶっちゃけ、毎日先生でオナニーしてます」
 かぁっ、と成美のほっぺたが赤くなる。
 更衣室で盗み聞きしてたから知ってるよ、なんて言えるわけがない。
「あ、もっと胸、よせてあげてもらえます? そうそう、最高!」
 言われるがままに、最近だんだん大きくなってきたように思う自分の胸を、両手でつかんで、谷間になにかをはさみこむように押しつぶし、相手にむける。
「えっろいな~、俺、成美先生にそんなことしてもらえるなんて、夢みたいっすよ」
「そ、そんなこと。トオルくんにとったら、おばさんでしょ?」
「とんでもない! 許されるなら、今すぐにセックスしたいです」
 その直接的な言い方に、どきっとしてしまう。
「あ、股開いてもらっていいですか? うわぁ、オマンコ丸見えだ」
 卑猥な言葉が飛び出して、思わず恥ずかしさから顔をおおってしまう。
「もう、恥ずかしいよぅ」
 トオルも、恥ずかしそうに笑う。
「あっ、すいません……でも、マジでかわいい」
 そのまま、足と足の間に体を挟み込んで、至近距離で成美の女性器を撮影する。
「成美先生。濡れてます」
 思わず、成美は顔をおおう。
「やだ、言わないで……」
「興奮したんですか? ――俺もですよ」
 そういって、いやらしく笑いながら、トオルも自分の股間を指さす。
「その……えっと、口で、して、あげようか?」
 提案しているのだが、その実、成美も我慢できなくなってきているのだった。
 若い男の子の、教え子のおちんちんを、口の中でたっぷり味わって、若い牡のにおいと味を感じて、そのまま新鮮なザーメンを飲ませてほしい。
 そんな気持ちが、ふつふつとわきあがってくる。
「今日はちょっといじわるしちゃおっかな」
 なにかたくらんだ様子で、トオルが笑う。
「オナニーして、おねだりしてくれたら、いいですよ」
「お、おねだりって?」
 ちょっとだけ不安になって、成美が聞く。
「ほら、エッチな言葉で、してほしいことを言うんですよ。前に貸したアダルトビデオでやってたでしょ?」
 どこから仕入れてきたのか、アダルトビデオをトオルは成美に貸してくれたのだ。
 本来、それを叱らなくてはならない立場の成美だったが、つい引き込まれてみているうちに、虜になってしまった。 
 男の顔も女の顔も、仮面で隠されていたから、妙な生々しさと淫猥さがただよっていて、何度もオナニーしてしまった。
 複数の人が出ていたが、なぜか一人以外は喘ぎ声以外は無言で、それがまたセックスのことしか考えていないように見えて成美は興奮した。、
 その一人は、とても卑猥な言葉や、男に媚びるセリフを言っていて、男性のための性欲処理人形であるかのようにふるまっていた。
 そのセリフを聞くと、成美はとても興奮してしまうので、自分が本当は、そういう風に男の人から扱われたい願望を隠しているのではと考えてしまうのだった。
「映像みたいに、うまくいえないと思うよ?」
「いいですよ、ういういしいのもかわいいし」
「もう」
 ちょっとだけほっぺたを膨らませて、成美は自分の秘所に手をやる。
 今、服はすべて脱いで、教卓の上に置いてある。
 この階で今、授業をしているのはこのクラスだけだし、防音もばっちりだから、ばれない。
 ばれない、はずだけど、もしだれかが急に入ってきたら、言い訳はきかない。
 そう考えると、あとからあとから、いやらしいよだれが、下の口からあふれでてくる。
 それを指ですくって、そのまま中をかきまわしたり、泉の近くの突起にぬりたくったりする。
「んっ、ふうっ、はあっ……」
 もし、ここで誰かが入ってきたらどうしよう――
 クラスのみんなが、何かの用事で早く帰ってきたら――
 変態教師って思うだろうか、もしかしてこのままエッチされちゃったりして――
「ほらほら先生、おねだりおねだり!」
 せかされて、あわてて、よく考えもせず、成美は口を開く。
「んっ、わ、わたし、な、成美は、神聖な学び舎でひとりエッチをする、淫乱な先生ですっ」
 自分で言葉に出すと、こんなに興奮するんだ――
 じゅぷじゅぷと水音を立てて、自分の秘裂をかきまわしていく。
「成美先生は、教室で、全裸で写真を撮られるのが好きな露出狂で、そのままオナニーしちゃう変態です」
 はあはあと喘ぎ声があがる。
(やばい、なにこれ、すごく気持ちいい――)
「じ、実は、クラスの子たちのペニスの模型で毎晩オナってます、ほんとはみんなに犯されたいと思って、あっ、んんっ、んはぁっ!!」
 クラスのみんなに犯される想像をした瞬間、電気が走って、そのまま絶頂に――
「ただいま――って、え?」
「え?」
「あ」
 がらりと開いたドアから、クラスメイトの顔がのぞく。
「いっ――ひっ、ひぁ、だめ、だめよ――」
 エクスタシーの余韻を感じながら、クラスの教え子と目があってしまう。
 ぽかんとした顔で、自分の全裸を見つめる生徒。
「おい、後ろつっかえてんだからよー、入るぜ――あっ」
 少人数クラスのためか、先がつまっていても、どんどん入ってくる。
 そのたびに、成美を見る目が増えて、その眼が成美の裸と、そしてマスターベーションにくぎづけになる。
 一度絶頂したにもかかわらず、見られているのに興奮して、またオナニーをはじめてしまったのだ。
「あっ、ひっ――み、見ないで、見ちゃダメ、ダメなのにっ、ふっ、ふああぁぁっ――!」
 そしてそのまま、成美先生は、全生徒の前で絶頂した。

「え――それでは、今日の授業をはじめます――」
 成美は、全裸で、教壇に立っている。
 そのまま、教科書を読み、問題を生徒に答えさせる。
「はい、正解」
 手をあげて答えた生徒が、にっこり笑う。
 彼も全裸で、そして、ペニスがしっかりと勃起していた。
 彼だけではなかった。
 このクラスで、服を着ているものは、現時点では、一人もいなかったのだ。
 あのあと。
 オナニーをみんなの前で披露した成美は、すべてを包み隠さず話した。
 やけに最近、性欲がたかまっていること。
 男子更衣室に記憶がないまま、はだかで寝ていて、ロッカーでみんなの話を聞いたこと。
 そこで、トオルが夢精したパンツを使って、オナニーしたこと。
 それをトオルに見られて、ノーブラやノーパン、エロ下着で授業をしたこと。
 空き教室で、自画撮りやオナニーをしたこと。
 撮った写真や映像をトオルに見せたこと。
 クラスのみんなの模造ペニスで毎晩、自分を慰めていること。
 などなど。
 そこまで聞くと、クラスのみんなは、謎の団結心を発揮して、みんなで秘密を守ることを誓い合った。
 いわく、こんなおいしいシチュエーションを台無しにしたくなんてない。
 そして、クラスのみんなに、それなりにエロいことをすることと、成美が望まないかぎり、こちらからは絶対に手を触れないことを約束したのだった。
 今日の全裸授業は、特別のイベントだ。
 一度だけ、生徒たちからの要望で、全裸で授業をすることにしたのだ。
 大雨の降る、うすぐらい教室。
 防音に大雨で、音が聞こえることもないし、カーテンを閉めるので、万が一にも外から気づかれることはない。
「はあっ……ああっ……」
 説明をする成美の耳に、若い男の喘ぎ声が届く。
「うっ……くっ……」
「せんせ……はあっ……」
 教科書から顔をあげると、クラスの男子全員が、成美を見て、オナニーしていた。
 クラス中の視線が、成美に注がれている。
 性欲にまみれたぎらぎらした光と、若いエネルギーの澄んだ光が混ざり合い、美しい混合を成している。
 クラス中の視線が、わたしに注がれている。
 しかも、みんなが、自分のおちんちんをしごいている――。
 あまりの光景に、クラクラする。
「おっ……」
 一人の男子が射精した。
 思わず、成美の目はその男の子に注がれる。
 ティッシュで丁寧に精液が拭かれると、すぐにまたその男の子は、成美を見つめてきた。
 きゅうんっ、と胸が熱くなる。
 そのまま、その男の子は、成美を見つめたまま、ペニスをしごきだす。
(一回出したのに、すごい―――)
 一回射精したにもかかわらず、ペニスがあまり萎えているようには見えない。
 他の何人かの男子も射精するが、すぐにまたペニスをしごきだす。
 出てきた精液をペニスにぬっているものもいる。
 そして全員が、成美を見ている。
 見ている。
 いやらしい目で。
 性欲にあふれた目で。
 獣の野性的な目で。
 おまえが欲しいという目で。
 あなたと交わりたいという目で。
 成美先生の中で射精したいという目で。
 ――もう、我慢できなかった。
 成美は、教卓にのぼり、M字開脚をして、みんなに生殖器を見せつけ、そのままオナニーをはじめる。
「んんっ、ふうっ、はあっ、んんっ、ああっ、ふっ、おおっ、くっ、はああっ、ふっ、ふうううっ!!」
 すぐに絶頂してしまう。
 だが、それでやめることなく、すぐに二回目。
 全然、性欲が止まらない。
「ああっ、んんっ、ふうっ、あっ、ふうっ、あんっ、ああっ、あああっ!!」
 殺していた声が、だんだんあふれ出てしまう。
 二度目の絶頂。
「おおっ、ふうっ、おんっ、ああっ、いくっ、いっちゃうっ!!!」
 三度目。
 生徒たちの視線を感じるだけで、信じられないくらいの快感が襲い掛かる。
 みんなに見られているというだけで、たまらない。
 生徒たちも、次々と射精していき、机の上にはティッシュやトイレットペーパーが並んでいく。
 結局、この時間だけで、成美は十回、オーガズムを迎えた。

< 続く >

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