第一分寮の日常 後編

『第一分寮の日常(後編)』

【お風呂】
 ワタシはアリサ。アリサ・カザシロ・リアウォーター。
 一応ハーフだけど、向こうの血が濃すぎて日本人の面影は薄いかも。
 部活には入ってない。学園に通いながら、勉強したり、グータラしたり、モデルみたいな仕事うけたり、ダラダラしたり。
 お洒落やスポーツも好きだけど、面倒くさいのは正直嫌い。

 だけどこの寮での生活はまぁ楽しい……かな。うん、かなり楽しい。
 本当なら、パパは大企業の幹部で、ワタシも結構難しい立ち位置なんだけど、割と自由に振る舞わせて貰ってる。
 ツバメさんには女子力とか拘らないワタシでも憧れるし、ハナやアカリとの会話は何気にエキセントリック。
 新しい入寮生が来るのは…ワタシ、人見知りだから微妙だけど、ユキノなら何とかなるだろう。

 トモサカ・ユキノは同学年のいわゆる“お嬢様”で、“ヤマトナデシコ”。
 しっとりとした長い髪に、どんな名人も絵に書くことをためらう様な美貌。
 ワタシだって容姿はかーなーり、自信があるけど、そんなワタシでも思わず目を引かれる。
 薔薇の華やかさではなく、百合やコスモスの清涼さと淑やかさを自然に纏わせていて、なるほどこれが日本のオトコの理想か……と納得したものだ。
 容貌や雰囲気に隠れてるけど、体型も結構すごい。
 特にあの胸……着やせしてるけど、カナリのを持ってる、と見ている。
 そんな家格・容姿の両方を揃えたユキノだけれど、話すと結構気さくに感じる。
 多分、皆が遠巻きにしすぎてて友人を作れなかったタイプの子だ。
 ワタシも結構似たような環境なので、同じ寮でも仲良くやれそうな気がする。

 話がそれたけれど、ワタシはワタシなりにこの寮生活を楽しんでる、ってこと。
 まぁ、一人しょーもないのもいるけど。
 エロしか頭に無い痛いのが。

 話変わって。
 今は放課後、あと数時間で夕食ってくらいの時間に、ワタシはお風呂に来ている。
 この寮備え付けの浴場だ。
 大浴場ってほど広くはないけど、一般家庭の風呂よりはやや大きいかな? って感じ。

 今日は新しく入寮者が来る日で、多分カノジョ達は夕食の後で入浴するだろうから、気を使わせないように先に入りに来たのだ。
 ここの浴場は少し変わってるし。

「タノモー!」
 言いながら更衣室に入る。
 誰もいない。……ボケに反応が無いのは寂しいけど、まぁ一人で風呂を独占ってのもオツなもの。
 ワタシはロッカーに服を脱ぎ、持ってきた水着に着替え始める。
 “水着”に、だ。
 これがこの浴場の変わったトコロの一つ。

 一ヶ月のうち一週間ほど、“水着デー”があって、その日には水着でお風呂に入らなければならないのだ。
 理由はわからないけど、規則だからしょうがない。
 面倒くさいけれど、キレイな水着を着るのは嫌じゃないし。

 そして、着替え始めると、もう一つの変わったトコロが分ってくる。
 明らかに視線を感じるのだ。
 一人なのに。

――そう、この浴場には“ユーレイ”が出るのである。

 といっても、何か呪いをかけてきたり、カナシバリにあったりするようなものじゃない。
 全身を舐めるように見られたり、身体わ色々触られるくらいのものだ。
 時には身体を洗うのを手伝ってくれたりもする、“無害なユーレイ”なのである。

 この寮に来る前はユーレイの実在なんて信じなかったけど、いるものは仕方ない。
 この風呂にはそういう幽霊が、“いると決まっている”のだから。
 そんなわけでこの寮の住民は、みな”風呂場のユーレイ”を受け入れて暮らしている。

 ワタシはTシャツとスキニーのショートパンツを脱ぎ、スカイブルーの下着姿になる。

『ヒュウ』

 どこかで口笛が聞こえた気がするけど気にしない。
 下着姿の胸や脚に視線を感じながらも、下着も取って水着に着替える。
 白いビキニタイプで、下は紐で結ぶタイプ。
 結ぶ紐だけ、黒一色に見えて実は色々なカラーで構成されているのがお気に入りポイント。
 先日、モデルの仕事の際に貰った新品である。
 思わず、鏡の前でグラビアポーズ。
 ふん、なかなかセクシーじゃない?

『ヒューヒュー』

 おっと。
 今度は囃すような口笛を聞いたような。
 ちょっといい気になって、モデル歩きで浴場への扉を開けるワタシだった。

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 ◇22.当寮の居住者のうち女性(寮長やその家族を含む)は、202号室の住人、xxxが浴場及び付属更衣室に入っても、これをxxxと認識せず、また害することもしない。xxxがその場で行う行為については、自然で無害な現象としてこれを受け入れ、抵抗しない。(なお、xxxが中の人物に認識されたい時は、専用のミサンガを付ければ認識される。その場合も、原則的にxxxの行為に対して他人は抵抗できない。)

 ◇23.毎月第二週は浴場への入浴時に水着を着用する“水着デー”とする。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 まずはシャワーで髪を洗う。
 上から浴びるお湯が滴り、白い肌をピンクに火照らせる。
 我ながら、水も滴る……ってカンジになってるんじゃないカシラ?
「~~~♪」
 ハナ曰く、シャワーの時は鼻歌がデントウゲイってもの。

 すると、ワタシの全身を観察していた視線が近づいてくる。
 上のアングルから胸、首筋、うなじ。おへそ、腰、脚と降りていって、ローアングルからの下腹部やお尻。
 いつものことながら、流石に恥ずかしくなってくる。

 見られるのは初めてじゃない。
 特にあのエロバカには、挨拶でキスもするし、下着見られて嗅がれるし、裸で“添い寝”だって何度もした。
 “添い寝”ついでに剥かれたあげく、色んな“ハジメテ”を持っていかれたのも結構前のことだ。
 とはいえ、アイツのニヤニヤが腹立たしくて、基本我慢して、「ワタシこんなこと全然気にしてませんけど何か?」って顔と態度を心がけてるから、“添い寝”の回数も他の娘に比べて少ない。

 でも、お風呂の“ユーレイ”にまでわざわざ隠す必要も無い。
 相手は無害なユーレイなんだから、イジ張ってもね。

 さて、身体を洗おうとシャワーのお湯を一度切ったところで、後ろから抱きしめられる感触。

「うひゃっ……」
 太ももを撫でられ、思わず声が出る。
 まるで肌の感触を確かめるように太ももを撫でさすり、そのままお腹、胸の谷間、鎖骨付近を撫でていく。
(ン、ちょっと、エロイって……)
 思わず身じろぎするワタシ。

『今夜のために早めの風呂のつもりだったけど、アリサがいるとはね。
 やっぱりアリサとは、風呂でのプレイが一番だね。反応あって。
 ムラムラするよ。』

 耳たぶを舐められたような違和感。
 しばらく胸をぽよんぽよんと弾ませたり、へそあたりにキスされたり、脇の下やふとももを舐められたり、水着の下部分と肌との境目を執拗に触られたり。

「あ……ふ……」
 そりゃ声も出るって!
 なんかいつも以上にヘンタイ的な触り方なんだけど!
 しばらくそうこうしてたら、ムリヤリ体勢を入れ替えられた。

 思いっきり腕を引っ張られ、ボスンと床に腰を下ろす。お尻が痛くないと言うことは下に何かある。
 厚めの胸板に後ろから抱きしめられる感覚。
(なんかコレ、コイビト座りって言うか、誰かのヒザの上に座ってる、みたいな……)
 今まであまりなかったコトに混乱。

『今夜のお楽しみにとっときたいから、エッチできないのは残念だけど……。
 代わりにカラダをあらってあげるよ。スミズミまで、ね。』

 混乱のなか、ヌルっとした感触が水着のブラを外し、直接胸を揉みしだいてくる。

「ヤァン……!」

――ボディーソープの泡だ。
 どうやらカラダを洗ってくれるらしい。
 良く泡立てられた泡が全身をくまなく、容赦なく蹂躙していく。

『~♪ おっぱい-、お腹-、ふともも-、にのうで-、ふとももー、ワキー、背中-、ふとももー、おしり』
「ン……アハ…ッア…」
『下の水着もはいで、またおしりー、ふとももー、ふくらはぎ-、ふとももに戻って、あし首、足のうらー』
「ハッ…ふともも率、高すぎ、……!」

 思わずツッコむ。
 執拗に狙ってくるのはなんなの?

『ごめんごめん、やっぱアリサは足が弱いね』

 そんな声が聞こえた気がしたが、手の感触はいまだ太ももと膝小僧の間を重点的に触ってくる。
 聞くミミ持たないしッ……って、ユーレイに言っても仕方ないんだけど。

「ンン……ヤ、ちょっ、ァ…」
 泡だつものに全身を揉まれ触られ、ヌラヌラしたものに頬や首筋をなぶられ、ワタシは思い切り息を乱してしまう。

(ただカラダ洗ってるだけなのに、なんかヤってる時みたいっ……)

 さっきから腰に押しつけられてる固い感触も、そう感じる理由の一つ。
 その生々しい温度に、どこか慣れたその感触を感じ、カラダが本能的に欲情を促してるよう。

 そして、泡をともなった“手”の……いや、“指”の感触が。
 腰をつたって。
 ワタシの。
 アソコに。
――チュクッ

「ーーーーッ!」
 太さで言えば二本くらい。
 その“指”がワタシのナカに入り込み、リズム良く刺激する。
 とっくの昔にお湯でも泡でも無い液体でヌれていたそこは、躊躇すること無くそれをくわえ込み、締め付ける。
 そんなトコまで、洗わなくたって……なんてもう思わない。
 思っても止まってくれないから?
 いや、止めないで欲しいから。

『もう一本いけるか? ……』

「ンンーー!」

 指が太くなった!
 大きくなった刺激に大きな声が出そうになる。
 出なかったのは、首を固定され、口と舌らしき感触でワタシの唇がふさがれているからだ。

 口内を暴れる舌の感触は、アソコの指と絶妙に連携しワタシを追い詰めてゆく。

 そして、コレがとどめと言わんばかりに一度突起をつねられた後、これまでで一番奥まで指が……!!

「ンアアアァーーー!!」

 頭が真っ白になりながら、ワタシは絶頂を迎えた。

――――。

 しばらくぼうっとしていたワタシだが、再度水着を着込み、いつもより長めに浴槽につかった後、浴場を出る。
 ユーレイからのちょっかいはもうなかった。
 いつもなら、もっと長くいて、色々サレるんだけど、どうしたのやら。
 ……と、着替えようとして気付く。

「下着が、ない……。」

 しかも使用後のヤツだけなくなってる。
 ……“無害なユーレイ”という言葉は撤回しておこう。

【新人歓迎】
 私は朋坂雪乃、瀬能学園2年生です。
 学園では茶道部の主将をしながら、生徒会の手伝いなどをしています。

 本日より、第一分寮へ入寮することになりました
 私の家、朋坂家は歴史有る名家(自分で言うと偉そうで恥ずかしいんですが)で、家も学園から通学圏内なので、車で送迎してもらう場合がほとんどです。
 だから寮に入る必要はそもそもありません。
 更に言うなら分寮でなくても大きな本寮があるのです。

 それでもこの第一分寮に入寮体験をすることになったのは、幼馴染みの後輩の灯ちゃんのお誘いがあったからです。
 彼女の実家の山科家は新進気鋭の商家なのですが、どういうワケかお互いのお父様が親友同士で、また灯ちゃん自身、少々控えめだけど礼儀正しく、誰からも可愛がられるような少女なので、その誘いということで父から許可が下りました。
 “今後まず縁の無い共同生活を通して、社交性を養う”という名目で、“響子姉さんと一緒に”が条件です。

 響子姉さん、森真響子は私の……言うなれば“護衛役”になります。
 私の1つ上のお姉さんで、家で使用人をしてくれている夫婦の一人娘です。
 物心ついた頃からずっと一緒。多分父や彼女の両親は、私の世話係にするつもりだったみたいなんですが……その為の教育の一環として護身術を習ったところ、みるみるその才能を開花させ、若くして剣道・長刀・合気道と様々な武術で段位を持つ凄腕の武道家に成長しました。
 大の大人数人で襲いかかっても問題なく撃退してしまいます。
 私も護身術はある程度習いましたが…あまりそちらに才能は無かったようです。華道や茶道は得意なんですが。

 容姿も綺麗です。触れれば切れそうな氷の美貌に、少し青みがかった長い黒髪をポニーテールにまとめ、背も高くスタイルも良いまさに“格好良い美人”。
 いつも私に危険がないか警戒しているので、人を睨むように見てしまうのは欠点ですが、私にとっては頼り・親しみ・憧れの“姉さん”です。
 人前で姉さんって呼んだら怒られるんですけど。

 申し訳ありません、話がそれました。
 ともかく、そういった事情で今回、入寮体験をさせて頂くことになりました。
 私自身も本当に楽しみです。
 朋坂の家、家族や使用人達は大事な存在ですが、どうしても様々なことに縛られます。
 また家の事情で知り合いは多いんですが、実際に心許せる相手はそうそうおりません。
 その数少ない灯ちゃんや響子姉さんと一緒に共同生活をする、というのはなんだか心が浮き立つような期待感があります。
 ちょっと不謹慎でしょうか?

 さて、そんなことを思いながらも。
 私は新しい自室である205号室で、少し掃除をしています。
 本日は部活も終わり、晩ご飯の前。
 本当なら今日は私たちの歓迎会だったそうなのですが、事情があって明日に延期になったそうです。残念ですが、仕方無いですよね。寮長の佐倉さんは料理が凄く得意だと聞いていますので、今から明日が楽しみです。
 本当は昨日荷物を運び入れたときに掃除を済ませてあるので、チリ一つ墜ちてないんですけど。部屋に入って此処が新しい生活場所だと思うとムズムズしてしまって…はしたないかもしれません。
 服も制服姿のままですし。姉さんに見られたら苦言を貰いそう。
 そういえば、姉さんは――

「お嬢、さま……。」

 入口の閉めたドアから声。
 やっぱりドアの前で待ってたんですね。家を離れても律儀な姉さんです。
 二人の時くらいいつもみたいに『ユキ』で良いのに。
 ……それとも誰か部屋に訪ねて来たんでしょうか?
 いつも冷静な姉さんにしてはなんだか変な声色です。
 少し違和感を感じながらドアを開け、
「響子さん…?」

 念のため“対外用”の呼び方を使いながら外に出ると、そこには、
「…ンッ…ァ…アッ…」

――スカートを自ら捲り上げた響子姉さんと、その姉さんの前にしゃがみ込み、スカートの中に顔を寄せる男性の姿がありました。

 男性は顔をまるで匂いを嗅ぐ程に近づけ(いや、実際に嗅いでいます)、手は姉さんの艶めかしいふとももや、黒に紫のラインが描かれたスポーツショーツに包まれたお尻や局部近くを、味わうようにイヤらしく撫でています。
 対して姉さんは、脚が崩れそうになるのを壁に体重を預けて耐えている状態。
 顔は見たこともないほど赤く染まり、乱れる吐息を何とか沈めようとしています。

 よく見ると制服の上半身の部分もかなり着乱れ、口元からは長い涎が。
――あの体勢になる前、散々胸をまさぐられ、口に唾液を流し込まれたのが目に見えるようです。

「……お、おじょう、さま…ヒゥッ……」

――なんだ、”挨拶”をしているだけじゃないですか。
 違和感は完全になくなりました。

 よく見たら、彼は同じクラスのxxx君です。
 あまり関わりはありませんが、良く私と響子姉さんをネットリとした目で見ているので覚えています。
 正直苦手……というかできる限り関わりたくないタイプですが、それでも礼儀として、これから同じ寮の仲間となる方に挨拶をするのは当然のこと。
 まして、xxx君に対して特別な挨拶が必要になるのは、昨日灯ちゃんやつばめさんから聞いています。
 姉さんはそれを早速実践しているだけのことですよね。

「あぁ、出てきたんだ。ちょっと待ってね」

 しばらくスカートの中に顔を埋め、ふとももを舐めていたxxx君ですが、私の気配に気付くと、声をかけてから立ち上がりました。
 姉さんの首筋にキスし、そのまま頬をつたって耳へ。胸をまさぐりながら囁きかけます。

「今日は大事なお楽しみがあるから、先輩はここまでです。今度しっかり使ってあげますから、楽しみにしてて下さいね。……『もう良いですよ』」

 xxx君の囁きの後、姉さんはすぐさまxxx君から離れ、服の乱れを整えます。……あんなに息を乱した後で素早く動けるのはさすが姉さん。まだ涎の跡は残ってますけれど。

「さて、朋坂さん。『こんばんは』」

 まだ頬の赤い姉さんからの、普段より威力の薄まった睨みを無視し、xxx君は私にも挨拶をします。
 私も返さなくては。

「ええ、こんばんはxxx君。今日からよろしくお願いしますね」

 幼い頃から培った社交スマイルを全力で、お辞儀の角度も完璧に。
 後は彼への挨拶です。
 気のすむまでキス、下着を見せ、身体を触られる……でしたか。
 正直どれも恥ずかしいですし、何よりキスならばこれが初めてになるのですが、朋坂家の者として父母に恥じない120%の挨拶をしてみせます。

「ああ……」
「……?」

 そう意気込んだものの、彼は吐息をつくだけで特に指定がありません。
 いや、ずっと彼の目線が私の全身――毎日手入れしている自慢の髪、少しコンプレックスのある胸、それに唇、首筋、お尻、スカート、少し見える太ももや膝小僧などを舐めるようにさまよっていて、居心地が悪いです。
 しかし指定が無い以上、あるまで待つしかありません。
 何をしてるんだろう? 思わず首を傾げます。

「この反応、さっきのも違和感ないみたいだし……ハハ、マジかよ。マジで好き放題にできるのか……あの朋坂雪乃を。」

 下を向いてブツブツ呟くxxx君。少し震えています。
 泣くのを我慢してる? それとも笑いを堪えている?
 もっと近い言葉で言うなら、“今にも叫び出しそうなくらいの興奮をなんとか押さえている”様な…

「朋坂さん、話したいコトがあるんだ」
 意を決した様に顔を上げたxxx君。
 私はその眼と声に背筋が心底ゾクリとしました。

 眼はまるで毒を仕込む直前の蛇の様。
 声はまるで大御馳走にかぶりつく飢え人の様。
 ……今にも逃げ出したいのに、脚が凍り付いて動かない。
 そんな私の代わりに、乱れを整えた響子姉さんが彼に声をかけます。

「オイ貴様、さっさと挨拶を終わらせて……」
「『アナタは黙ってろ。』」
「っ……!」

 え? なんで? どうして?
 xxx君の言葉に応じて言葉を失う姉さん。

「『黙って部屋に戻って、一晩中オレに犯される想像をしながらオナニーしてろ』。分かった?」
「あ、ああ……」
「姉さん!?」

 更に、私を置いて204号室――私の隣の自室に戻ろうとする。
 嘘! 呼びかけるが、姉さんは止まらない。
 いや、一度振り向いてくれたけれど、その顔は、自分でも何故か分からないがそうしなければならない、という強迫観念に怯えたモノだった・
――ごめん、ユキ。
 声を出さず、唇だけで紡ぐ姉さん。
 それを最後に、部屋のドアは音を立ててしまった。

「さて、邪魔者が消えたところで……」

 xxx君が、もう一度“あの眼”で私を見る。
 思わず身をひいてしまうが、脚は動かない。
 動けずにいる私を置いて、xxx君が何かノートにボールペンで殴り書きをします。
 しばらくして書いた内容を、私に見せつけました。

「これを見てよ、朋坂さん。」

 彼が持っているのは、この第一分寮の日誌です。
 その裏表紙から数ページにかけて “瀬能学園第一分寮 特別規則”が記されています。
 これは瀬能学園の本寮と共同の寮規則とは別に、この第一分寮での特別な規則をまとめたものであると昨日教わりました
 。“第一”と“分寮”の間の“女子”の文字が汚く消されていたのを覚えています。
 その規則、11項までは綺麗な字や丸くて可愛らしくも読みやすい字――寮長さんか女学生が書いたと思われる字で書かれているのですが、それ以降はいかにも男性らしい、何とか読める程度の汚い字で殴り書きされています。
 その中に、昨日は無かった規則が記されていました。

 “◇24.204号室の住人、森真響子はxxxの命令に従う。命令は朋坂雪乃を含む誰の言葉よりも優先する。命令には性的行為を含む。”
 “◇25.24項の規則は、xxxの命令に従うことで他の人間に危害が加えられる可能性があっても同様である。”
 “◇26.204号室の住人、森間響子はxxx、朋坂雪乃及び自身の安全確保に従事する。優先順位はxxx、朋坂雪乃、自身の順である。無論、自身が守護対象を害する行為は身体・精神・社会の全てにおいて禁じる。なお、本項と24項・25項が矛盾する場合、xxxへの確認は認めるが、基本的に24項の命令が優先される。”
 “◇27.上記24項~26項は、森真響子が204号室及び第一分寮の住民でなくなった後、及び姓名が変わった場合もこれを適用する。”
 “◇28.―――”

 病的に思えるほどの陰湿さで書かれた響子姉さんに対する記載。

 しかしそれに反応する余裕はありません。
 何故ならその下の項目を読んだ瞬間、私の意識は――

 私は――

 わたしは――

――――。

―――――――。

―――私は、朋坂雪乃。

 朋坂家の長女。

 瀬能学園の2年生。

 茶道部の主将。

 大事な私の立場、立ち位置。

 でも、何よりも――。

――時間にしたらほんの数秒。
 彼はノートを私に見せながら私の様子を観察しているだけ。

 その間に、私はこれまでにない経験をしていた。

 イメージでいうのなら。
 今までの“私”の何もかもが一度ハンマーで木っ端微塵に壊され。
 残った破片が、異物を混ぜて乱暴に同じ形にくみ上げられ。
 その異物が、毒々しく……いや輝かしく、宝石の様に大切なものとして光りながら新しい私の中心に収まったような。

 まるで蛹から孵化した蝶になったような感動。
 あるいは、とてつもなく深い穴に墜ちた先に、病的なほど柔らかい何かでくるまれた様な安心感。

 様々な感覚が一気に押し寄せる。
 まさしく、”私“は生まれ変わった。

「……朋坂、さん?」

 押し図るような、困惑を押さえるような声。
 目の前では、注意深く私を見つめる視線。
 私の……そう、私の誰よりも大切な存在。
 私の主。

「……ごめんなさい。少し惚けていたようです、『xxx様』」

 何故か流れていた涙を手で拭い、彼に微笑みかける。
 社交ではない、心からの微笑みで。

「……! あ、あぁ、良いよ。気にしなくて。」
 改心の笑みを浮かべる彼。可愛い。
 ……そして嬉しい。
 彼の喜びは私の喜び。

「さて、朋坂さん。『挨拶はもう良いから』、早速だけど部屋に入っても良い?」
「勿論です。xxx様。お聞き頂かなくても、いつでも。……それと」
「……?」
「私のことは、雪乃、と」
「あ、ああ! それじゃ一緒に入ろうか、雪乃」
「はい」

 部屋に入りたいという言葉に頷く私。それに小さくガッツポーズをする彼。
 私の肩を抱き寄せながら、205号室のドアに手を伸ばす。
 はしゃぎ具合に少し可笑しくなってしまいます。彼の言葉を私が拒むなんてありえないのに。
 だって、彼は私の……。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 ◇28.205号室の住人、朋坂雪乃はxxxの奴隷となる。いついかなる時もxxxに関する事項を優先させること。

 ◇29.205号室の住人、朋坂雪乃はxxxの心身全てを愛すること。彼に必要とされることは朋坂雪乃の至上の喜びである。また、他の異性・同性に恋愛感情を持つことはない。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

「ん…ちゅ、ちゅく……」

 部屋に入って鍵を閉めた途端。
 彼から抱きしめられ、唇を奪われ。
 ……いや、奪ってもらいました。
 これは私のファーストキス。彼以外に捧げるなんてあり得ないけど、その彼から奪ってくれたことが凄く幸せです。

 まずは1回長く、そこから啄むように2,3回。その度「うあ…」「甘い…」などと感動したように呟きながら、私の首筋に顔を埋め、髪の匂いと感触を楽しんだ後、首筋を舐めたり、私の胸が胸板により当たるように体勢を変え、今度は唇と頬を舌で舐めたり。

 私は何も抵抗せず、ただ彼の好きにしてもらいます。
 ……吐息が乱れるのは許してほしいですが。

 彼が私の顔を伺うので、すっかり上気した頬で微笑みを返したら、今度は左手で顔を固定し、舌を入れられます。
 しばらく私の舌や唾液、口内全体を味わっていましたが、一度離れます。

「ハッ…ハ…。今度は、雪乃からしてよ。」
「……はい。喜んで」

 是非もありません。
 心からの喜びで、けれどがっついてる様に見られないように、自分からそっと唇を重ね、舌を入れます。

 ……誤魔化しは無駄でした。
 私の舌の動き一つに、彼が反応している。それが嬉しくて、自分から唾液を流し、彼と舌を絡め、私の唾液と混ざった彼の唾液を吸う。

――これじゃ、求められてるんじゃなくて私が求めているみたいです。
 どちらでも、変わりは無いのですが。

 獣のようなキスの中、私の頭と背中にあった彼の両手が、私のスカートを捲り、ショーツの上から臀部に触れてきます。
 最初は、ショーツの刺繍部分を確かめるようになぞっていましたが、キスにつられてか、すぐに荒々しく揉まれるようになりました。
 上下左右に動かしてみたり。お尻の穴を開くように開いてみたり。
 私は、お尻に気をとられてキスを疎かにしないで欲しい、という気持ちを込めて舌の動きをより荒くします。

――本当は、もう濡れてグショグショになっているあの部分に気付いてほしくないだけですけど。
 それとも、彼も私の膝に固い物を押しつけていることを考えると、お互い様でしょうか?
 いや、私にとっては愛しい彼でも、彼にとって私は奴隷です。お互い様なんて考えてはいけません。
 彼の快楽を優先しなければ。

――それにしても、私、こんなにエッチな女の子だったの?

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 ◇30.205号室の住人、朋坂雪乃はxxxに身体を求められた時、彼の望むように感じ、望むように快楽を受けること。また、他の男性に欲情することはない。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 長いキス――もはや口でのセックス――のあと、彼はノートに追記し、私に制服を脱ぐように指示する。
 “普段と同じように”と注意付きだ。
 大好きな彼に見つめられて、しかもあんな濃厚なキスの後、普段通りになんてできるわけ無い。でも彼の望みなら仕方ない。頑張って彼を意識から排除しようと眼を閉じながら脱ぐ。
 あんなキスの後でなんだけれども、やはり下着姿も男性に見られるのは初めてで、顔から蒸気が出るくらい恥ずかしい。

 彼の望みなら仕方が無いのだ。むしろ喜ぶべき。
――でも、恥ずかしいのがなくなるワケじゃない。

 エイッ というはしたない掛け声を自分の中だけで叫んで、制服を脱ぎ捨て、下着姿になります。
「……ッ」
 彼が息を呑む音が聞こえる。私も同時に息を呑み、目を開けます。

――白いレース編みの上下。私の一番のお気に入りです。
 でも、彼が凝視しているのは下着では……いや、下着も見ているが、それ以上に見ている場所が。
 白いブラに包まれた私の胸です。

 実は、私の胸は同級生と比べてかなり大きい。所謂着やせ体質です。
 佐倉さんほどではないのですが、あの人のモノが服を押し上げるのに対して、私は元が細型ですし、長年の慣れで隠しているのです。(着物を着るときには体型を隠すのが大事なんですよ。)
 着替えの時は良く同級生や部員に驚かれます。

 とはいえ、流石に下着姿で着やせも何もありません。
 しばらく私の胸を凝視していたxxx君。(呼び方は君付けに戻すように命令されました。少し残念です。)
 しばらくして、夢から覚めたように私の顔を見て、唇を舐めながら話しかけられます。

「雪乃って、こんなにあったんだね。体操服とか、さっき胸に当った感触で着やせなのは間違いないと思ってたけどさ。おっぱいはつばめさんのを飽きるほど見たけど、これはちょっと凄い。」

 両乳をつなぐブラの真ん中を引っ張り、形が変わる谷間を見ながらおっしゃいます。
(コメントしないで下さい! しかも他の女性と比べるなんて!)
 ……その陰湿なニヤニヤ笑いも格好良いのですけれど。
 色んな言葉が頭で重なり言葉が出せない。

「ちょっとそこでくるっと回ってよ、雪乃」
「はい……。」

 もはや恥ずかしさで死にそうですが、彼の望みなら仕方ありません。
 またもエイヤっと心で声を上げ、ゆっくり一周。
 文字通り全身が彼の目に晒されます。

 回る動きに合わせ、サラリと舞う自慢の髪。
 動きにつられ、どうしても揺れてしまう胸。
 火照って赤くなった肌のせいで目立ってしまう白い下着。
 さっき散々触られ、シワがまだ残っているショーツに包まれたお尻。
――そして、既に私の期待で染み、中の毛の部分が薄く透けてしまっている“あの部分”。

 撫でられるような舐められるような、質量を持った視線が全身をまさぐる。
 恥ずかしすぎて顔を上げられない。
 多分耳まで真っ赤だ。
 彼は、そんな私の反応も眼福だというように目を細め、
「ほんと……雪乃は体型も体質も、やらしくてエロい娘なんだね」

――ひどい!
 崩れ落ちそうなのを必死で堪えます。私、お嫁に行けません……。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 ◇31.21項に追記! (ことさら荒い字で)、朋坂雪乃はオレ……xxxの望むことは全て受け入れるけど、恥じらいがなくなるワケじゃない! ”

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

「こっち来てよ、雪乃」
 彼は私のベッドに座りながら私の手を取り、私は下着姿のままで彼に近寄ります。
 すると、高かった彼の目線が私の胸元付近に収まる形に。

 彼はそのまま私にジッとしているように言うと、ブラの上から私の胸を指で軽く撫でます。
 ブラの感触をまずは楽しんでいる様子です。
 そのまま胸を鷲づかみにし、持ち上げて離して楽しんだり、谷間に顔を埋めて谷間を舐めたり、唇でブラの上から出ている肌の感触を楽しんだり、またしばらく胸を弄び始めました。
 その姿は感触よりも私の反応を楽しもうとしているようです。確かに下着姿は恥ずかしいですが、余りエロティックでなく、寧ろ新しいおもちゃを試す子供のような触り方でしたので、感じるよりも母性を覚えてしまい……なんというか、“キュン”としてしまいました。

 ……私、ヘンタイさんでしょうか?
 思わず胸元の顔を抱きしめてしまいます。火照った頬が気持ちよく、ビックリしている顔がまた可愛い。

「xxx君、私の胸は気持ちいいですか?」
「ああ、最高だよ……(ジッとしてろって言っても気が昂ぶると行動に出るんだ。オレが喜ぶ行動だって本能で分かってるのか……セックスの才能もあるとかどんだけスペック高いんだよ雪乃…)
「はい……?」

 聞こえなかったので首を傾げます。

 何か思いついたように私を一度離し、いまだに下着姿の私の前に立つxxx君。
 顎を指で上げられます。
 私の潤んだ瞳を見ながら、獣のような――ワイルドで格好良い――顔で私に話しかけます。

「雪乃、この唇は誰のモノ?」
「xxx君のものです」
 答えた唇に降ってくるキス。

「この綺麗な髪は?」
「それも、xxx君のものです」
 髪を手に取られ、口元に持ってきてこちらにもキス。

「このデカいおっぱいは?」
「………xxx君のものです」
 ブラの上から感触を確かめるように触られて。

「このエッチなふとももは?」
「…………xxx君の、ものです」
 なめ回すようにふとももを撫でられて。
「このイヤらしいお尻は?」
「…………アナタの、ものです」
 ショーツの中に手を入れられ、生でお尻を捕まれて。

「じゃあ……」
 そして、お尻から手が離され。

「……ココは?」
 くちゅっ。
 ショーツの上から“あそこ”を触られて。

「……ぜんぶ、アナタの、ものです……!!」

 私は恥ずかしさと――それ以上の喜びで、感極まって泣きそうになりながら、自分から彼にキスをします。
 そう、私の全部は彼のモノ。
 髪の毛一本に至るまで。
 それを言葉にされ、言葉にする度、とてつもない幸福感がこみ上げてきます。

「……いつまで?」
「私が死んでも、ずっと……です」
 触れるだけのキスをして、そう応える私。
 まるでプロポーズがかなった花婿のような顔で、彼は、
「……キミは、最高の女だよ、雪乃……!」
 最高の言葉とともに私を抱きしめ。
――そのまま、私をベッドに押し倒しました。

「あぁんっ………」
 彼が、ブラを荒々しく剥ぎ取り、私の乳首に吸い付いつきます。
 敏感になっていた箇所への刺激に思わず声が出てしまう私。
 その声を聞き、辛抱たまらないと言わんばかりに私に覆い被さります。

――それからは打って変わって激しい攻めです。
 胸を荒々しく揉まれ、乳首にも他の部分にもむしゃぶりつかれ、胸を這って舌が滑ってきたと思ったらそのままディープキス。キスの間も手に眼が有るように器用に乳首をつままれ、引っ張られては指で転がされ、その間に耳を舐められ……。
 数分で息絶え絶えになり、眼からは喜びとも興奮ともつかない涙がでます。
 ショーツの濡れ具合はもう確認するまでもありません。

 そして、私を思う存分蹂躙したxxx君は、一度身体を放し、ズボンとトランクスを押し下げて私に見せつけます。

 黒く、太く、変なテカり方をしている“それ”。
 初めて見る私には、愛しい愛しい彼の身体の一部であることを差し置いても、グロテスクさを拭えません。

「ハハッ、雪乃……コレがキミの中に入るんだ。良く見てよ。」

――そこは、「優しくするよ。だから、良い?」とか言う場面じゃないんですか!
―――そもそも電気も付けっぱなしです!!
――――せめてショーツは脱がせて下さい!!!

 色んな思いが交錯します。躊躇の材料にキリはありません。
 ……でも、それ以上に。
 彼が私との行為で興奮しているという勝利感。
 本当の意味で彼の“所有物”になる期待感。
 喜びに全てが塗りつぶされていきます。

「は…い、来て、ください……!!」
「……ッああ、中で、しっかり受け止めろ!」

 私のショーツを少しずらし、獣のように向かってくる彼。

――ブツッと、私の中で音がして。
 あっさりと、私は少女の証を失いました。

「…………! ……ッ!」
「うは、凄い…ついにやったぞオレは!」
「………ンン、ァ、イヤア…!」
「雪乃ォ! キミの中めちゃくちゃ気持ちいい!
 キミはどう? 痛い!? それとももう感じてンの!?」

 ……痛いに決まってます!
 まるで熱いナイフで体内を抉られたような痛み。
 私の一部が無理矢理に形を変えられるのが分かります。

 涙目になって彼を見ます――愛しい彼ですが、睨みそうになったのは否定できません――が、彼はそれすらも最高のスパイスとばかりに腰を振るスピードを上げてきます。

 それでも、私のナカを気持ち良いと言ってくれる声が嬉しくて。
 痛いばかりでなく、こみ上げてくるモノがたくさんあって。
 止めて欲しくなくて。

 私は意識が飛びそうになりながらも、必死で下腹部に力を入れます。

「うあ……ハ……ッ。更に、締め付けるとか、どんだけだよ! クソ……!」

 彼も、腰の勢いを上げます。
 更にこのままでは自分が負けるとばかりに荒々しく唇を奪い、胸を揉みしだきます。

――本当に、卑怯で、陰湿で、余裕がなくて、小物臭い人。
 でも、私は彼のそんなトコロが愛おしいのです。
 全て受け止めてあげたいのです。
 そんな気持ちを込め、彼の背中に手を回します。

「ッ……いっ、いっしょ、に……!」
「……! あ、あぁ……! イク、イクぞ、雪乃……!!」

――――!!

 彼と私は、一緒に達しました。
 膣内にそそがれ、今も残る熱い体液は、私の全てを塗り替えていくよう。

――その後。
 壁に手をついて、後ろからの2回目。(お互い興奮しましたが、私は顔が見えないのが…。)

 彼のたっての希望で、髪で竿をくるんでの口頭奉仕(思ったより苦くはないのですが、髪がべとつくのは辛いです。でも自慢の髪なので求められるのは嬉しいですし、何より“奉仕”するのは“行為”とはまた違う充足感があります。)

 お互いがお互いの性器を見せ合いながらの3回目。(これはとてつもなく恥ずかしかったです……!)

 それからも何度も何度も求められ、何度も絶頂を経験しました。
 もはやお互いのカラダで汚れていないところがないような状態です。
 明日の朝の掃除が大変そうだと言うと、行為後の朝の整理はつばめさんが手伝ってくれるとのこと。
 そんなことまでしてもらえるなんて、頭があがりません。
 とはいえせっかくの寮生活だから、自分のことは自分でしたい。
 そして、大切な主もできたので、その人の世話も焼きたい。
 それから、それから……。

 意識を手放す前、一筋の涙が流れました。
 彼……xxx様に規則を見せてもらった、あの決定的瞬間のように。
 これは、生まれ変わった私の、産声?
 それとも、昨日までの私の――?
――。
――――。

【おやすみなさいと、蛇足】

 泣く子も彼女も眠る丑三つ時。

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 ◇32.20●●年●●月●●日時点で205号室の住人、朋坂雪乃とxxxの間に子供はいないことを前提とし、朋坂雪乃は、xxxとの間に子供を授かったとき、合法的に生むことができる様、朋坂家の力を含む全ての力を総動員した策を練り、行動に移すこと。なお、子供が生まれた場合もxxxを一番に愛すること。

 ◇33.上記28項~32項の規定は、朋坂雪乃が205号室を及び第一分寮の住民でなくなった後、及び姓名が変わった場合もこれを適用する。”

 ◇34.204号室の住人、森真響子は、32項規定の内容に積極的に協力する。また子供についても守護対象となり、優先順位はxxx、朋坂雪乃、子供となる。なお27項の規定は、本項についても適用する。”

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

「……まぁ、こんなもんかな。」
 とりあえず書き上げた規則をチェックし、ノートを閉じる。
 朋s…雪乃は、灯ちゃんという繋がりからここに至るまでかなり苦労した。
 規則を手に入れる前からの長い片思い(オナペット)だし、執着が強い。
 何も考えずナマでやりまくりたいし、それなりに大事にしたい気持ちもある。

 そんなワケで他にはない子供の規則を設けた。
 ……まぁ、他の女の子とも何も考えずヤりまくってるわけだけど。
 特につばめさんには絶対に孕んでもらいたいし……まぁ、後はなるようになるだろ。

 面倒くさい作業が終わったところで、オレももう一眠りしようか。
 そう思いつつも、ベッド周りの行為跡以外は綺麗な部屋を見渡し、眼に入った衣装棚を物色する。
「どれどれ……へぇ、やっぱり着物が多いんだ。畳めないから触らないでおこう。
 意外に凝った下着多いな。コレとか今度履いてもらおう。」
 黄色とオレンジの二色柄、ピンク、紫に黒。
 レース地や刺繍のある高級感のあるヤツが多い。流石お嬢様だけど、着物に下着って付けないんじゃ?
 出てきた黒のショーツを被ったり、匂ったりしていたらムラムラしてきたので、雪乃の方へ行く。
 パイズリは明日の朝に取っておくので、お掃除フェラだけでもしてもらおう。
 寝てるなら口だけ使わせて貰えば良い。
 そう思い近づくと、雪乃が脱ぎ捨てた制服に生徒会のバッジが見える。
――そういや雪乃、生徒会の手伝いしていたな。

 本人と家名が有名すぎて霞んでいた。
 瀬能学園の生徒会は美男美女・名門氏族が集う華の頂点。
 そして生徒会長は――。

「…………(ゴクッ)

 正直、なぜこのノートがこんな変な力を持っていたかは全くの謎。
 第一分寮って狭い範囲でしか効かない……かと思えば、この寮に係わることなら“オレが第一分寮にいることを認める”で寮の外まで適用される驚愕のルールブック。
 しかし第一分寮に絡めてできることなどどうやっても限界があるはずだ。
 まずはそれをもっと知らなければ。

「……ま、今週一杯は雪乃と響子先輩で楽しむつもりだし、急ぐこともないよね。
 ゆっくり、考えるとしよう。」

 そう呟いて、響子の傍に近づき、フェラの準備をする。

 高望みはしないと自分に言い聞かせつつ、次の段階にどうしても思いを馳せてしまう。

「『オレ達は駆け上がったばかりだ、この長い第一分寮坂をな……』なんてね。」

< 未完 >

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【後書きと、言い訳】
 未完といっても、続きませんが。

 皆様初めまして、五十嵐(イガラシ)と申します。
 18禁小説を書くこと自体が初めてなので、自分が興奮できるようにしか書けていないのですが、少しでも皆さんの琴線に触れれば幸いです。
 更に何かしらの感想を頂けたら小躍りして喜びます。

 なお、この文章、書き上げた後に気付いたのですが、恥ずかしながらKRT様の名作『BLACK DESIRE』と、シチュエーションに何点か重複がある模様です。
(挨拶でキスとか、当たり前と錯覚させて水着を着せるのとか……。)
 同じ(というのは比べる相手が偉大すぎて甚だ寒い思いですが)ルール改変系のテーマですし、あちらは大長編で多岐にわたるシーンがあるその一部ですので、パクリという程ではないかと感じ、そのままで投稿することに致しましたが、何分我が身、我が文章可愛さで判断を誤っている可能性も否定できません。・
 もしKRT様ご本人や他の読者様から不快を示すお言葉が届いた際は投稿取止め・改訂を検討させて頂きますので、ご意見あれば下さい。

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