僕と、生徒会長と、 3話

3話:委員長と生徒会長

「うわあああああああああん! いい! うぇぇぇぇん……! ……ああ、あふぅ、いい、いいよ、ゆうぐん。可愛い可愛いぐぁわいいぃぃぃ。逝っぢゃうううぅぅうぅ! ガイアが私をよんでるのおぉぉぉん……んっほおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 私はベットの上で、片想いの男の子を想いながら、ボロ泣きしながら、9日前、秋場で買ってきた、ゆう君の顔写真付(こっちは盗撮だよ)ショタ抱き枕をすりすり。
 そのまま逝きました。ゆう君は私のものです。あなたの物なんかじゃないんです。

 一息つくと、枕の横に配置しておいた、ゆう君の泣き顔写真もぺろぺろ。か、かわええええ。抱き枕に縛り付けて、首輪もかけちゃおう!
 ちなみにその枕に自作して取り付けた、血管が凄い浮いてるディルドも、秋場で買ってきました。

 勿論私の処女は、未来の旦那様の、ゆう君の物だから絶対に、絶対に、私のおまんこには入れない。擦って絶頂するだけ。いくら本物と似ているからと言って、所詮はまがい物。こんな物の誘惑に、私は、負けない、絶対に。現にディルド買ってから、今日で10日目だけど、一回も中には入れてはいない。
 16回ほど危ない時もあったけど、幸いなことに、ゆう君を足でいじめる妄想をしたり、手で優しくいじめてあげる妄想をすることで我慢できた。
 何というか、量の足コキ、質の手コキって感じ。妄想がほぼリアルな感じというか。いや、そんな機会に現実で出くわしたら、泣いて喜ぶと思うけど。

 しかしまさか、ここまで私のゆう君のアレと、そっくりなのが売ってるとは思わなかった。実物写真でしか見たことないけれど。寸法みたら、19センチだった。

 私は、好きな人が出来たからか、性欲が異常なことになっていて、今までそんな事したことなかったのに、パソコンでエッチな言葉を入力するようになった。完全に欲求不満状態だ。

 ネットで、検索の先生を使って、色々検索してみた結果、コミケって所で同人誌、とやらが手に入るらしい。
 そこで売っている、おねショタモノ(このワードを見つけた時、私は心が震えた)は私にとっての理想のシチュエーションだったのだけど、男の子が、幼稚園○とか小学○とか、精々年齢いっても中○生までしかない!
 違うの! 私が欲しいのはもうちょっとだけ年上の男なの! 一歳年下で大体私たちと同じ年齢を求めているだけなのに! 全然違うの! 世界はなんで私を分かってくれないの!
 そしてヨーコはどうしてそうなったあああ! 私が求めていた理想のおねショタに近いと思ったのに! 私の時間を返せ! 私のトラウマを治療しろ! ちゃんと主人公と結ばれるってネットに書いてあったのに。だからすぐ飛付いたのに! もうネットは信じないネットは嘘つきだ!

 あ、ゆう君からそろそろメールが返ってくる時間だ。楽しみだなあ。どんな萌え文章送ってくるんだろうか。ぐへへ。

 ……ここまで、見てもらえれば大体分かるように。

 私は、一才年下甘えん坊、泣き虫巨根で低身長、SM男子よ、どんと来い! という性癖を持っていた。
 ニッチすぎる。痛すぎる。

 どうしてこんな、もう色々手遅れな感じになっているかというと、少々時間を遡って、お話ししないといけない。

 まず、この性癖に気づいたのは、かなり最近のことで、つまり、テスト終了後の6月の初旬頃だ。
 テストの次の日が休みだったので、誰かとデートしようかなと思ったんだけど、そもそも、そんな男性いなかった。何を寝ぼけていたんだろう、あの時の私。

 でも、確かに私は首輪を誰かと買いにいく、って約束、した気がするんだけどなぁ。
 そう思って、相手が居なくても約束を守ろうと思って、首輪を買いに行こうとした。

 悲しいことに、私の机の上には、その日のプランが書かれてある手書きの紙を、発見してしまった。
 どうやら、その日のエア彼氏との買い物プランを、分単位で決めていたようだった。
 しかも残念すぎる事に、そのメモにはご丁寧に、明らかに気合の入った自筆で

『 ~更に怜を愛してもらえますように~ 愛しい愛しい須藤悠君(たいせつな、あなた)へ―――』

 という、題名が添えられていた。これが黒歴史かあああ!
 違うこれは幻術だ。現実じゃないんだ! 違うんだ私はまだ夢をみているんだ。夢はいくら呼んでも帰っては来ないんだ! もう夢の時間は終わって、私も現実と向き合う時なんだ!

 ……エアデート相手がよりにもよって、片想い中の須藤悠君だった。
 これならまだ、ゲーム機とデートした方が健全だわ。

 初めはその名前が誰だか分からなくて、妙に胸キュンする名前だなあ、と思ったのだけど、続けざまに、なんとなーく、机の引き出しを開けてみたら、出てくるわ、出てくるわ、ゆう君の写真が。
 それを見つけた時は、それを見ただけで、私はゆう君を運命の人だと思い、果てながら気絶してしまった。
 自分のことながらド変態過ぎて、最低過ぎて嫌だ。
 いつから私は、こんな残念な女になってしまったんだろう。泣きたくなります。

 しかも、話はそれだけでは終わらないのです。

 初恋の人の写真が知らぬ間に大量にあるのです。しかもかなりピントが合ってます。例えば生徒会長室の背景をわざわざ合成して、全裸のゆう君が正座しているのです。
 私は、この写真を見た時鼻血出そうになりましたが、これはつまり、誰かがいたずらで、私の部屋に入り、私にプレゼントしたのでないならば、私が、無意識の内にストーカーをしたり、盗撮をしないと無理です。私、犯罪者です。名門私立の、女生徒会長が、性犯罪者とか笑えません。というか私、メモを書いたのも全然覚えていませんでした。

 そういう、状況の中で。

 そういえば枕元に、変な機械があるなあと思って起動してみたんです。そうしたら、聞こえるんです。向こうからスーっ、スーっ、って。その呼吸の主はまだ寝ているみたいで、なんだろうなあって。こわいなあ、こわいなあ、とっても可愛いなあってヴォエエ!

 どう考えても盗聴器でした。本当にありがとうございました。

 そんなわけで私は、一才年下甘えん坊、泣き虫巨根で低身長、SM男子よ、どんと来い! に追加して、脳内彼氏持ち、ストーカー、盗撮、住居不法侵入、厨二病患者、夢遊病患者……。
 もう数え役満ですね。良い意味で吹っ切れました。私もすっかりオタクの仲間入りです。

 秋場で気に入ったものを片っ端から買ってきて、帰ってきたらいっぱいゆう君に気持ちよくさせてもらって。
 次の日も学校が、お休みだったので、私は一日中、ゆう君に、泣きながらアへ顔ダプルピースで気持ちよくさせてもらいました。とっても気持ちよかったのに、とっても泣いちゃいました。月曜日から、ゆう君の追っかけになろうとしました。こんな変態女が私のゆう君と付き合うなんて。あり得ません。せめて、ただの、一ファンとしての、おつき合いでよかったのに。

 でも、会えないんです。誰かが私の行動を規制してるかのように、あっちに私のゆう君がいるな、と思っても足が震えて行けなくて。

 欲求不満です。毎日盗聴して、私のゆう君の声に萌えて、勝手に嫉妬して。それでも何とかゆう君にはばれない、遠くのところからなら、私のゆう君を見つめることができるので、こっそり彼を見守っていました。虚ろ目ゆう君かわいすぎでした。高性能の双眼鏡は手放せません。私の胸ポケットは私のゆう君が微笑んでいます。わたしのおっぱいの間には、似非ゆうくんおちんぽのディルドが入っています。まあ警察に見られても大丈夫でしょうけどね。生徒に見られても大丈夫でしょうけどね。この町の支配者はゆう君なのですから。私にもできることがあるなら、何でもおっしゃってくれればよかったのに。私、お預けを食らい過ぎて、Mにも目覚めちゃいました。

 今日は優子さんと、公園デートをするみたいです。さっきのは正直興奮しちゃいました。勿論私も見守りに行きます。
 私のゆう君はガードが固くて、変態お姉さんを萌えさせてくれます。もうおつき合いして9日も経つのに、キスもしてないんです。一昨日までは意識なかったとはいえ、無意識的にキスを拒んでいたみたいなんです。こんな可愛い生物、地上にはゆう君しかいません。あの子は天使か何か?

 ……ああ、どうしてこうなった。私の青春を返して!

 …………え、あんまり厨二病には見えない? あ、じゃあ黒歴史つながりで言うと私のメールと通話履歴なんですが。

「題 好き好きだーいすき私だけのゆう君♪

 本文

 明日のデート楽しみだね♪
 ゆう君は私だけのモ・ノなんだから、他の女を見ちゃダメダゾ! (#゜Д゜)激おこぷんぷん丸!
 モシ、他の女に目移りするようなら、殺すよ? (暗黒微笑)
 明日はいっぱい、いーっぱいゆう君を楽しくさせるから、ゆう君は楽しみにまってなさい☆

 そ・の・あ・と・は・Hなこと。お姉ちゃんが、やさぁーしくお・し・え・て・あ・げ・る☆ミ
 オナニーしないでまってなさい(爆)

 ps

 ずっと一緒にいようね、あ・な・た♪」

 ……やめろおおおおおおおおおおおおお! その術は俺に効く、やめてくれ。頼む。ああああああああああ背中が痒くなるうううう。うっひょおおおおおおおお。
 なんだ……コレは!? また幻術なのか? 幻術か? イヤ……幻術じゃない…………! イヤ……幻術か!? また幻術なのか!? イヤ……なんだコレは!?

 このメールは、朝起きてすぐには気付けなかった。秋場でなんとなーく送信メールを見てみたら、こいつがあった。本当に卒倒しそうになった。ラ時館前で本当に倒れそうになった。また幻術なのか!?

 そうだ、このメアドはフリーメールで脳内彼氏(ゆう君)に送ったメールなんだ。きっとそうにキマッテル。
 でも、ゆう君からもメール貰ってる。こんな感じ

「題 Re:好き好きだーいすき私だけのゆう君♪

 本文 えーと明日はよろしくお願いします。いつも思うけどメールすごいね。僕はメールとかあまりしないので上手く文章書けないけどいつか怜お姉ちゃんみたいな文書けるようにがんばります! おやすみなさい。」

 頑張らなくていいから。
 私、絶対あえて指摘してなかったんだろうなって思う。初々しくて、可愛いから。これ、自分で書いて、定時になったら返信来るっていう奴だよね。私も今、ハマってる。とってもゆう君可愛いんだぁ。うふふ。

 ラ時館前で、嫌な予感がしたので、通話記録もみました。

 発信履歴
 ゆう君
 ゆう君
 ゆう君
 ゆう君
 ゆう君
 ……

 無言電話かあああああああ。犯罪者じゃねえかあああああああああ。
 ゆう君律儀に全部受けてるし、どうせ、私のド変態な性格から考えると、無言電話受けて不安になってるゆう君にはぁはぁしてたんだ。うわあああああああああああああ。

 だって、だって! 着信履歴にゆう君の名前ないもん! あかーんこれもうあかーん!
 違うこれもフリー電話なんだ。宛先は、本当のゆう君じゃないんだ。
 だれだこんなことやったのは。私じゃない私じゃない私じゃない誰だ。誰だ。だれだ。だれだぁ。

―――

「わしじゃよ」
「はぁ?」
「いや、こっちの話しじゃ」

 今日はテストが終わった次の日。彼女も初恋も友人もない僕は、恒例のように午後3時ごろまで寝て、のんびりネットでもしようかなあと思ったんだけど、ハカセに呼び出し食らいました。なんか誰かとデートしなきゃいけなかったような、ま、まさかデートの相手って……違う! やめろ! わしはホモじゃない!
 ……うーん、なんか変な感じするなあ。いや、同性愛の話しじゃなくてね。
 ぽっかりと穴が開いた感じっていうか。うーん。

 ハカセの研究室に入れてもらうと情○大陸の曲がかかっていて、ああ、これはめんどくさいパターンだなと思ったのです。
 なんか偉い人ごっこをやりたいそうです。仕方ないので付き合います。

 てんてんてんっ、てんっ、てー、てて、てっててっててー♪

「ここは首都から少し近い郊外の、閑静な住宅街。裏手には小さな山がある。ここに一軒の研究所がある。プロハカセの仕事場である。世界でも有数のプロハカセ。彼の仕事は決して世間に知らされるものではない。私は、プロハカセの一日を追った」
「その調子じゃ悠! サイコーじゃ!」

 正直もう飽きた。でもここで終わらせると更に面倒なので、もうちっとだけ続くんじゃ。

「プロハカセの朝は早い――。ハカセ、これはなんですか?」
「うむ! よくぞ聞いてくれた! これは『タケノコースタ―』じゃ」

 なんだよそれ。

「むむっ!? 我が発明品を知りたそうな顔をしているな! 教えて進ぜようこれは――」

 長ったらしいのでまとめると、ハカセは裏の山の所有者で、その山ではタケノコが採れる。で、ハカセ、タケノコの匂い好きだから、うまく切り取って、コースターにしたんだって。
 おい、発明しろよ。角度とか、ちょうどいい大きさとか、どうでもいいから。

「はぁ。不労所得万歳ですね。ではこちらの――」
「いいところに気が付いた悠よ! これは『床でもドアー』じゃ! これはもう本当にすごくてのう――」

 たーすーけーてー! ハカせもん~!

「あんなこといいな、できたらいいな、ポケットの中にも雲が流れる僕と君が旅する世界、夢の中へ、夢の中へ、行ってみたいと思いませんか? ウウッウ~♪」

 ハカセやめてください。年を考えてください。ただでさえ歌ネタは滑りやすいんだから。ハカセはなんでいつもこうなのか。せめて歌を変えるのは、分かりづらいからやめて。歌詞を飛ばすのもやめて。

「はぁ。……ハカセ、いい加減僕を呼び出した理由を教えてくれませんか?」
「さーあ? 冗談です。ごめんなさい。……悠、お主、なんかぽっかりとした穴は開いてないか? ポカリでも飲むか?」

 ハカセはもう親父って年じゃないんだよなぁ。
 10年前、還暦のお祝いに僕しか駆けつけなかったこと、今でも覚えてるぞ。
 はっ、僕この人と付き合ってるからぼっちなんじゃ。

「何を真剣な顔でつぶやいておる。実はな、儂には夢がある。恋をしたいんじゃ」
「帰ります」
「こ、これが、天丼か。お主、いつから芸人になったんじゃ……あーもう、分かった、分かった、本題に入るぞ――」

 ……つまり、ハカセはデータ回収をしたいらしい。

「それが、この洗脳スマホじゃ。あ、お主のスマホちょいと貸してくれ」
「一見ふつうの携帯に見えるけど。僕のスマホと、同期でもするの?」
「いや違う。アドレスとメールと通話記録を消そうと思っての」
「……ハカセ」
「なんじゃわしは友人、親友じゃろう? いいじゃないか見せておくれ」
「そうじゃなくてさ、僕、両親とハカセと変態しかメアド知らないんだけど」

 ぼっちをなめるな。泣いた。

「大丈夫儂もお主しか知らないから」

 二人で泣いた。携帯渡した。

「…あーやっぱすごいことに……激おこぷんぷん丸ってなんじゃ?」
「ハカセよく知ってるね。ムカ着火ファイヤーってことだよ。すごいことって、どういうこと?」
「え? あー、えー。うんあのー、儂の研究がああなってこうなったから、なんか悠の携帯バグったっぽい」
「なにをどうすればそうなるのか。じゃあ早く直してよ」
「うむ1分……いや、この量じゃと5分かかるかもしれん……おや、このメール相手は怜たんではないのう」
「はぁ。さっさと直してよね」

 6分後、綺麗になった僕の携帯が帰ってきた。うん、僕も一通り見たけど問題ないみたい。

「で、最初の話しに戻るが」
「またプロハカセの続きやるの?」
「違うわ! まあやってもいいがの。洗脳スマホの話しじゃ。これから悠は1週間かけて、舞専学園の生徒先生関係者全員に洗脳をかけてもらう」
「何言ってんだこいつ」
「ふふん、まあお主一人じゃ辛かろうて。儂もサポートに入ってやる。最初に悠に渡したときと違ってかなり性能うpしてるからのう。という訳で、すいっちおん」

 もう一度何言ってんだこいつ。
 そう言おうと思って、僕は、ゆっくりと意識が遠のくのを感じた。

「……え……な、なにこれ……は……か……」

「……ふうむ。一応成功じゃのう。虚ろ目の悠を見たら、怜さんすごいリアクションしそうじゃなあ。もう、悠のこと好きになってるっぽいし。こっちも一応行動規制と思考規制をかけておくか。面白そうじゃし」

 小さい頃同じ場所に立っているのに、背丈と、着ている物が違う、という体験をしたことがないだろうか。
 僕は今その体験をしたところである。ついでに言うと、僕は、それだけでなく、後ろから抱きつかれ、頭の匂いを嗅がれていたり、撫でられたりされていた。変態に。

「ふぉえ!? ななななな……」
「あ、悠さん起きたんですね。私を褒めてください。8日間あなたをボディーガードをしてましたから。くんくん。すーはー。なでなで」

 誰だこいつ。いや、知ってるけど。口調が僕の知り合いと明らかに違う。すいません、ちょっと立ちました。

「……ハカセ、小宮山のクローンでも作ったの?」
「やめて下さい、そんな他人行儀な呼び方。かわいく優子って呼んで下さい」

 誰だこいつ。ハカセが解説してくれた。

「この8日間、儂の助手の優子君と、悠と儂で、町中を洗脳した。おかげでこの第8研究室もキャパがいっぱいいっぱいじゃよ。じゃからあんまり大勢に一斉に過激な命令下すと、パソコンぶっ壊れるからやめてほしい」

 いや、話飛びすぎですハカセ。一から説明してください。

「富川さん、そんな説明しても私の悠さんは分かりません、悠さん、私を優子って呼んでくれれば私が説明します」

 別にあなたの悠さんでは、ないんですが。
 正直さっさと説明して欲しいので、名前を呼んであげる。

「優子、説明して」
「はぁぁー。幸せです。悠さん、私感動で涙が出てきました、私ここ一週間ずっとあなたが目を覚ますのをお待ちしていたんです」

 いや、分かったから説明して。

「はぁ、悠さん可愛いです。頭なでなでしてあげます……ふぉえ、なんで離れるんですか!? 私、ここ1週間ずっとあなたのそばにいて、それで」

 ああ、もう面倒くさい。

「分かった。ちゃんと説明してくれればまた、ぼ……俺、なでなでされるから。い、いや別に好きだからなでなでされるんじゃないからね! お前が撫でたいって言ったからなでなでされるんだから勘違いしなしでよねっ」

 ふっ。小宮山なら乗ってくれるはず。ってそれじゃ駄目じゃん。

「……ブッ……すみません、富川さん、ティッシュあります? 鼻血……」

 誰だこいつ。幻術なのか!?

 こんなコントを繰り返したのでまとめます。
 えーつまり。

・小宮山優子はバイ。
・小宮山優子は経験人数3桁突破したため、もうイケメンや美人は食傷気味。
・たまには普通の奴とヤるか→僕。最初は僕がついでで、狙っていたのは生徒会長。
・でもなんかすごい恐い経験した上に、生徒会長と僕とのラブラブっぷりを見て、略奪愛に目覚めた。
・8日前ハカセに呼び出される。小宮山は自身の性格、性的趣向、倫理観に、嫌気がさしていたようで、自分から今の性格になりたいと志願した。
・三人で協力して学校関係者を洗脳。それらの家族も洗脳。ついでに警察等の公共施設も洗脳。アイテムの調子が良いと、町全体を洗脳。

「……なるほど。分からん」
「まあ明日になれば分かるじゃろ。とりあえず、今日はおかえり」

 ハカセの家を追い出され、自宅へ帰る。もうなんだったんだ。タケノコースタ―と床でもドアーの話ししか聞いてない。ってあれ、なんでもう暗いんだろ。

「悠さん、悠さん、悠さん」

 小宮山は当然のように我が家に侵入してくる。いくら、頭なでて良い、っていっても限度がある。お母さん、この人が変態です。

「……」
「か、母さん? 聞いてる?」

 母さんはまるで僕が見えていないかのように家事を進める。

「ふふっ。悠さんのお義母さんも洗脳しちゃったんです。いつものように、お風呂入りましょ」
「いや、ちょっと待て。母さん悪ふざけにも大概に」
「はぁ。悠さん、現実見て下さい。この町は私たちが洗脳したんです」

 いやいやいや、いくらハカセの道具とはいえ、洗脳とかありえんし。だってこの町4万2千人ぐらいいるんだよ? 仮に洗脳できたとしても、3人で洗脳してたら間に合わんでしょ。っと突っ込んだら教えてくれた。

「流石に3人で直接支配したのは2千人とかですよ。この町の人口は、正確に言うと4万1412人です。その内4万1408人は富川さんの、これまで60年間の知識を結集した集大成である、富川アンテナで簡易洗脳です。つまり簡易洗脳にもスマホ洗脳にも、被っている層がある、ということですね。」

 パラボラアンテナみたいに言うな。ハカセの家の、どこにもアンテナなかったじゃん。

「それはあの山の上に」

 まさかのタケノコ伏線!? なんだかすごい電気料金かかりそう

「じゃあどういう洗脳施したの?」

「そうですね、簡易洗脳の方は、私たちの行動に気を払わなくなりますし、無意識的に私たちを傷つけないようになりました。今の私たちは透明人間だと、思って下さい。だから街中でセックスしても問題ありません。明日セックスしましょう。セックス」

 あ、いつもの変態だ

「分かったよ、今回の発明品は本当にぶっ飛んでたからあんまり信じてないけど、明後日学校に行けば分かるよね」
「いえ、明日は月曜日なので、明日でおkです」
「うん、もうそれでいい」

 一緒にお風呂に入ろうとした変態を拒絶し、優子の手料理で晩御飯を済ませた。美味しいかった。なんか申し訳ない。
 にしても、父さんも母さんも本当に無視するなあ。息子としては悲しいんですけど。

「悠さん、今日も一緒に寝ましょ」

 語尾にハートマークが付きそうなほど、機嫌がよろしい優子さん。正直かわいすぎて、ハカセの家からずっと立ちっぱなしでした。クールぶってて申し訳ございません。僕、結構興奮してます。ごめんなさい。

「いや、ありえんし。俺、ベット出すから」
「無理して俺って言わなくていいですよ。後、出すのはベットじゃなくて、お布団だと思います」

 くっ。テンパってるのがばれてる。

「心配せずとも大丈夫です。私、悠さんが手を出すまで、チューもベロチューも足コキもテコキもパイズリ……はギリギリのサイズですかね。見て下さい。どうおもいま」
「ベットから二度と出ていけ!!」

 つーか100人以上としたんなら絶対やってるだろそういうの。童貞に聞くなよ。ちなみに美乳で挟めると思いました。ネットのエロ画像の何倍もエロいと思ったのでした。ごめんなさい。

 結局僕が布団を出して、横で寝ようとしたら、変態が、僕と変態が一緒に寝るか、僕がベットに寝るかの二択を出してきたので、僕は迷わず、ベットで寝る方を選択しました。そこらの小説の主人公と一緒にしないでいただきたい。僕には好きな人がいるん……あれ?

 次の日です。

「……うさん、悠さん、愛しています。朝ですよ」

 お腹の上に優子さんが乗っていました。童貞憧れのシチュエーションです。これなんてエロゲ? ついでにフェラをしてくれるとですね

「早く降りろよ変態」
「はい。あ、よだれ垂れてますよ、悠さん、お掃除しましょうか?」

 はいお願いします。

「はいおねが……自分で拭くから、いいから」
「ペロペロしてさしあげますよ?」

 あの万年性悪発情変態淫乱レズビッチ委員長が、こんな従順でエロ可愛い敬語ボーイッシュ美少女になるなんてありえない。トリックだと言ってくれべネット。

「お願い……朝ご飯を、お願い」

 がくっとする変態……洗脳が本当なら、可哀そうだけど。でも、僕完全には信じてないし、浮気はダメだし! なんとか誤魔化せてよかった。

「かしこまりました。くすっ。まぁ今朝はこれで許してあげますよ。盗み聞きしている泥棒猫も満足でしょうし」

 誤魔化した……。なんか後半ぼそぼそ言ってたけど。多分大丈夫。うん。
 朝ご飯を食べて歯を磨いて、顔とかその他諸々準備して。

 勿論、着替えは別々だ。僕、頑張った。
 変態が、ティッシュとかはハンカチとか持たしてくれた。こういうのマメだよね。なんか最近、こんなかいがいしく世話されてた……気がする。

「さて学校ですよ、悠さん! ほら、皆私たちに気づかない! せっくす! せっくす!」

 こいつ洗脳されてないんじゃね、と思った。でも体中密着してそういうこと言うから、普通に興奮します。ごめんなさい。
 っていうか、本当にみんなが無視する。
 このクラスの人たちは、ノリがいいから、まだ信用できないという旨を委員長に伝えると、仕方ないわね、という目でこちらを見ると、僕から離れて脱ぎだした。ちょ。

「どうですか? これでも信用できませんか。目を開けて答えてください悠さん」
「俺は、目を開けないけど信じます。ありがとうございました」
「あなたにだったら見られてもいいので、ほら、はやく見て、下さい」
「はやく着て、下さい」
「流石にガード固いですね。これだから童貞は」
「どどど童貞じゃねーし」
「……まあ、富川さんから聞きましたけどね。でも、私だって負けませんから。私にも性技があるから!」

 その正義は正義だよね。それだったらかっこいいと思う。
 とりあえず服を着なおしてもらった。
 本当に皆気付かないようで、授業受けなきゃ期末テストやばいし、怒られるから……うん、誰に? うちの母さん父さんは放任主義だから、成績のことなんか言われたことない。テスト0点取ったときでも、なんも言われなかったのに。

「勉強なんて後からでも間に合います! 今日は洗脳の効果が本当かどうかだけ、確かめてみましょう!」

 あんた、本当に委員長かよ、と思いつつ、僕も自分に甘いので学校をサボった。街中の色々なところを巡ってみたんだけど、だれも気が付かなかった。ここまで来たら、僕もハカセ達が言っていたことが本当だと信じざるを得なかった。後でハカセに謝っておこう。ああ見えてかなりピュアだから。
 まあそんなことはどうでもいいんだ。問題は隙あらばあの手この手で僕を誘惑してくるコイツで、変態な部分は据え置きしてもらったらしく、丁寧な物腰にエロワードがポンポン出てくるものだから、僕は興奮しっぱなしで、いやもう本当にごめんね。あっちも僕から手を出すまでは、直接は何もしないつもりのようだ。
 例えばこんな感じ

「ふふっ、白いの、出してくれるんですか? 私コレ大好きなんです。悠さんのえっちぃ」

 僕はアイスを買ってあげただけです。僕に抱きついて耳元で囁かないでください。あなたの指で僕の胸をくるくるしないでください。

「ん……。っちゅれろぉ。ちぅ。ちゅ。……ふぅ。ん、どうしたんですか。コレ、欲しいんですか? しょうがないですねぇ。特別です。んっ、んっ、んっ、じゅっぽっじゅぽっ……んっんっん? っっ…………んっ、んく、ん…………ごくん……きゃあ! お胸に白濁液落としちゃったあ。悠さん、甘いの、とってくれませんか」

 アイスはそんな食べ方しません。バニラは白濁液ではありません。わざわざ、かがんで上目使いしなくていいです。口周りがべたべたです。正直フルで立ちました。後で怒られます

 あっ、ちなみに僕、あざといのは大好きです。他にはこんな感じ。

「丁度お昼に公園来ましたし、悠さん、私、お弁当作ってきたんです! えっと、その……朝、早起きして作ってみたんです……。あっ、人差し指、みないでください、ちょっと切ってしまっただけですから……」

 顔赤くするのは技術でできるんですか?

「わたしのを、食べて下さって、ありがとうございます。食後の運動をなさいますか? 私の太ももの上でお眠りになさいますか?」

 そこら辺に転がって寝てます。

「悠さん、ニーソがお好きなんですよね。私、普段は履いてないんですけど、悠さんの為なら、私……。ちょっとたちあがって一回転してみます! 似合ってたら、ちゅーしてください」

 やめてくれ、その技は僕に効く。やめてくれ。黒だ。

「ああん、これ、すごぃぃ! どこまでもイっちゃいますぅぅ!」

 ただの馬の形した、遊園具です。そんなに気合い入れて揺れたらスプリング切れます。やめて下さい。
 正直こういうあざとくて明るくて、エロワード連発してくるの大好きなんです。童貞で女の子に憧れ持ってて、本当に申し訳ございません。

 そして日没。勝ったな。僕は最後まで手を出さなかった。やればできるじゃないか。童貞も守れぬ男に、一体何を守れると言うのか。

「……はぁ。……悠さん、今日のデート……とっても楽しかったですね……」

 言葉と態度が明らかに違うんですが。そこまで落ち込まんでも。

「あー、優子さん、そんなに落ち込まないで、ほら、おつき合いするにしても最初は体の関係からじゃなくて、お互いをもっと知ってから」
「優子って呼んで下さい、って何度も言いましたよね。悠さんなんでそんなにヘタレなんですか? 慰めなんかいりません、よけい惨めです。ここは少年誌じゃないんですよ。ラブコメやってる場合じゃないんですよ。ジャンル違いなんですよ。さっさと据え膳食ったらどうなんですか? 今日いっぱいパンチラしましたよね? 何色だったか覚えてますか?」

 黒です。

「もう! 悠さんの馬鹿! そんなに生徒会長がいいんですか! ハーレムぐらいやって見せてください!」

 そういえば、僕と生徒会長がラブラブとか言ってたな。

「その生徒会長ってどんな人なの?」
「絶対教えません!!」
「僕、その人のこと全然知らないんですけど」
「それは……あっ、僕って言ってくれましたね」
「……俺、そんな事言ってません」
「言いましたー。くすっ。一歩前進です。……はっ! だからラブコメやってる場合じゃないんです! 速く犯せ、いいから犯せ!」

 敬語はいいんですか?
 個人的には委員長は、優子はとても素敵な人だと思うし、正直今日一日でかなりメロメロにされたと思う。でも、ぼくには、その、生徒会長とやらがとても気になるわけなのです。夜も何とか優子の猛攻を切り抜けながら、眠りました。でも最後に言われた言葉が気になります。でも、優子なら大丈夫。なんだかんだで、優しいから。

「分かりました。あなたがそのつもりなら、私にも考えがあります。大丈夫です。後で、あなたたちみたいに、いちゃいちゃカップルになれますから、私にすべてを任せてくださいね。愛してます。おやすみなさい悠さん」

 更に次の日です。
 今日は僕が意識を落とされてから、ちょうど今日で10日目。
 まあだからと言って、僕がすることは変わらなくて、いつも通りに彼女、優子に朝を起こしてもらって、よだれが垂れていたので、舐めとってもらいました。

「はぁ。はぁ。どうしたんですか悠さん。はぁ。昨日はあれだけ嫌がっていたのに、今日はあっさり、ペロペロさせてくれるんですね。はぁ。はぁ」
「どうしてそんなに息荒いの? 優子。優子が僕のよだれ舐めて起こしてくれるのなんていつものことじゃない」

 どうしたんだろう。大丈夫かな。彼女に熱でもあったら大変です。僕はすぐに彼女を心配して、病院にでもいこうか? と提案しました。

「くふっ……はぁぁあぁ……優しいですね。悠さん。でも私は現在生まれて以来、人生初の絶好頂なので問題ありません。いいですよ、悠さん、ジャンル、合ってきましたよ」
「時々優子は訳のわからないこと言い出すよね」
「ほら、そんなことより、いつものちゅーしましょう、ね? ああああぁ、10日も待った。いつもなら2、3日で方が付くのに。ぐふ、私。いっぱい我慢しましたよ。さぁ、悠さん、誓いのキスを!!」

 いつものキス。そうです。僕たちは小さい頃からの幼馴染なんです。この間、初めてセックスしたんです。僕達はコンドームを付けてなかったから、もし優子が妊娠したら、責任とって結婚しないといけません。大切な彼女なのになんで中に出しちゃったんだろう。でも、それから、彼女もデレデレしてくれて、男冥利に尽きます。……でも、なんでだろう。今はキスする気にはなれないんです。

「……ごめんね、今日は、いい、かな」

 愕然とした表情で僕を見る優子。ごめんね、ごめんね。

「……な、嘘……ちゃんと設定したのに、どうして……」
「優子?」

「ああ、きにしないでください。そうとわかればいくらでもやりようありますし。こうえん、いきましょうか。みせつけせっくすしたいです。おぼえてますよね。きのうのばしょです。だいたい、まいにち、まいにち、ゆうくんいがいのものをつっかって、でぃるどなんかつかっておなにーするひと、ゆうくんにはふさわしくないんです。それなのにみれんがましくすとーかーしてばっかりで。ゆうくんがけがれます。ちかづかないでください。あなたたちは、もうおわったんですよ。ゆうさんは、こみやまゆうこのものです。すどうゆうは、こみやまゆうになるんです。ゆうとゆうこ、おにあいでしょう。さいしょっからうんめいのあかいいとでつながってるんですよ。れいなんてつめたくて、ゆうくんがこおっちゃいます。ゆうれいのれいでしたっけ? いまのあなたにぴったりですね」

 ……え、え。あの優しい優子が、今何言ってるの? 僕の頭と顔をなでまわしながら、笑顔なのに、恐い。目が冷たい。こんなの、僕の知ってる優子じゃない。助けて。

「ああ、ごめんなさい、『ゆう君』。設定し直しますね?」

 僕の意識は、また、なくなっていった。

「悠さん起きてください、悠さん!」

 目が覚める。どうやら、公園で眠っちゃったみたい。優子がひざまくらで寝かせてくれてたみたい。

「昨日の、やり直し、しましょうか」
「うん? ……? うん」

 昨日優子と公園来たっけ?

「丁度お昼に公園来ましたし、悠さん、私、お弁当作ってきたんです! えっと、その……朝、早起きして作ってみたんです……。あっ、人差し指、みないでください、ちょっと切ってしまっただけですから……」

 優子可愛い。うっとりします。こんな甲斐甲斐しい幼馴染が恋人だなんて。
 僕は一生の運を使い果たした気分です。

「くふっ。嬉しいです。そんなこと思っていてくれたんですね。それがあなたの本当の気もちなんです。あなたは、優子のことが、好きで好きで、仕方ないんです」

 あ……れ……? 僕、いつの間にか口に出してしまったみたいです。恥ずかしいけど、僕の本当の気持ちなんだから、仕方ないよね。

「わたしのを、食べて下さって、ありがとうございます。食後の運動をなさいますか? 私の太ももの上でお眠りになさいますか?」

 僕は動けないので、優子に食べさせてもらってる。しょうがないんだ。僕、昔から優子がいないと何もできないから。いつもは口移しなんだけど、今日は焦らしてるのかな? とっても切ないです。また眠ったら優子に申し訳ないし、うーん、僕、動けないからなぁ……いつも優子に動いてもらってるのが申し訳なくて。

「んあっ……! はぁぁ、いい、いいですよ、ゆうさん逝きそうです。そんなこと気にしなくていいんですよ。私が好きでやっているんですから。そういえば、悠さん、ニーソがお好きなんですよね。私、普段は履いてないんですけど、悠さんの為なら、私……。ちょっとたちあがって一回転してみます! 似合ってたら、ちゅーしてください」

 ……ああ、可愛いよぉ。天使みたい。あっ、白のパンツ。他の人には見せちゃだめだよ。うちの学園のスカート、丈が短いんですからね?
 ちゅーは……。

「いい、いい、イクっぅぅぅ! ……はぁぁ! ……はぁ、悠さん、嫉妬してくださったんですね? それもあなたの気持ち。ほら、ちゅー」
「ちゅーは、したくない、かな」
「っ! それはあなたの気持ちではないんです。悪い人に植え付けられちゃったんです。安心して。今、私が助けてあげますからね、ほら、ズボン脱いじゃいますよ」
「あっ優子、こんな外で脱がさないで」
「いつも毎日外で見せ付けセックスしてるじゃないですか」

 だ、だめだ。いくら毎日外で見せ付けセックスしてるからって。あれ、今僕達、誰にみられてるんだろう。ああ、もうあれも全部……

「あれじゃなくて、チンポって言いなさい」
「ごめんなさい優子。チンポ、優子を見てるだけで立っちゃって」
「はぁぁ……。しょうがないですね……鎮めてあげます。大切な人が辛そうなのに、放ってはおけませんからね」

 大切な人? この気持ち。……優子……優子……。ごめんね、ごめんね

「なんで謝るんですか? 大丈夫です。今、助けて差し上げますからね」
「嫌だ、今日は辞めよう? ね、ねえ止めてってば。んっ、んっ」
「口では……という奴ですね。私の手で、しっかり気持ちよくなってますよ、あなたのチンポ。ほら、もっと気持ちよくなる、ほらもう、エッチな液体が出てきましたよ。はぁ、もう我慢できないです」
「やめて、お願いだから、優子、でちゃうから」
「ふふっ、白いの、出してくれるんですか? 私コレ大好きなんです。悠さんのえっちぃ」

「あっ、あっ、ああ」

「悠さん、今度はお口でしてあげますね。されたことないんでしょ? 可哀そうに。私が、優子が悠さんのフェラ童貞奪っちゃいます。ん……。っちゅれろぉ。ちぅ。ちゅ。……ふぅ」
「ああああっ……ど、どうしてやめるのぉ」

 つい言葉が口をついちゃった。この10日間、出してないから、ずっと、ずっと焦らされてて……。え、僕、毎日優子としてるんじゃ……

「ん、どうしたんですか、コレ。欲しいんですか? しょうがないですねぇ。特別です。んっ、んっ、んっ、……じゅっぽじゅっぽっじゅぽっ……んっんっん? っっ……んっ、ん…………ごくん……きゃあ! お胸に白濁液落としちゃったあ。悠さん、甘いの、とってくれませんか」

「はぁ……はぁ……な、自分のなんて嫌だよ! 優子許し……ちゅむ。んんっ……んくっ」
「可愛い。もういいですね。……んっ……しょっと」

 僕は優子の為すがままにされた。僕は優子の服の上に付いた精液を舐めさせられ、優子はとうとう、僕の身体の上に乗っかってきた。悔しいけどまた僕のチンポが大きくなった。

「心配しなくていいですからね。悠さんとっても可愛いです。ほら、パンティー脱いじゃいました。欲しいですか? ふふっ。怜さん、あなたの顔に置いておきますね。悠さん、ずっと、ずっと一緒です」

「や、やめて……優子はそんな人じゃないよね。僕ずっと信じてきて」
「やっぱり、あなたに惚れて正解でした。悠さん。私の今までの経験は、全てあなたに捧げるためにあったんです。私で、たくさん、気持ちよくなって下さいね…………んっ……あっ、何、これ、すごいぃ……きもちいいぃ」
「あっああああ、優子だめぇ! お願い! 止めて! あっ、イッちゃう、ああっ」
「ああん、これ、すごぃぃ! どこまでもイっちゃいますぅぅ!」

 僕はお願い、止めてと言った。何度も涙を流した。でも全然聞いてくれなくて、悔しいけど、優子のは気持ちよくて、すぐに逝ってしまいそうで。そのうち僕は優子じゃないんだって思った。今僕とセックスしてる人は、僕の一番大切な人で、気づくとその人の名前を呼んでいた。

「助けて! れい! れい! 助けて! れぃぃ! ああっ……れい、あっ、きもちいい、すき、怜っ! 僕いくぅうぅぅ」

 僕は射精の気持ちよさで、気絶しかけます。
 なでなで、撫ででくれる人がいます。きっと怜です。すごく安心します。嬉しいです。

「あっ……はぁぁぁ……悠さん、素晴らしいです。こんな気持ちの良いセックス、初めてです。ふふっ。『今は』それでいいですよ。ゆう君。私が、あなたの怜になってあげる。愛してるよゆう君」

 ボーっと眠くなっていきます、怜が撫でてくれたから。安心したので涙がでます。おやすみ、れい。

「おやすみ、ゆう君」

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