第四章:学園マドンナとヘタレ男子の大戦争!!
夏休み初日体育館。多数の部活に混じり、体操部サブキャプテン、美少女郁子は瑞々しいレオタード姿で凛とした掛け声を発しながらランニング中だ。
「ファイオ~、ファイオ~、ファイオ~、皆で行くぞ、インターハイッ!!」
それをまたまた邪な視線で見つめる俊。それに気が付いた郁子はポンとほっぺを膨らませ、学校でも名だたるエロ男子に詰め寄る。
「まーた、来たんだ加々見クン。もう、いい加減にしないと先生に言いつけるんだからッ!」
「ま、そう怒るなって。これでも小越のファンを自認している俺だぜ」
と、いいつつも体操部顧問の美人教師にまつわる噂にも興味津々の様子だ。
「その絵里ちゃんセンセイ、ミョーな噂が流れているよな。絵里ちゃんの【生徒指導】受けた奴らがみーんな呆然自失で、わけのわからねぇ呪文みたいなの呟いてさ。俺のダチの昭仁と達也までこないだっから、何を聞いても上の空でぼーっとして変な教科書呼んでるんだよ」
郁子の表情が変わる。
「もしかして、『淫華の灯火』とかいうヤツじゃない?」
「あ、そうそう、そういうの」
「やっぱり噂はホントだったんだわ」
と郁子。
「実は、うちの父がPTA会長だから気になる噂を聞いたの。実は隠しているけど校長の島影って、影乃原隆元という宗教家なんだって。マインドコントロールの技術も持っているみたい。新学期からは道徳の時間に『淫華の灯火』に書いてある教えを実現する特別授業をするって話だし、私たちに軍事訓練みたいな事もさせるつもりらしいわよ。サリンを撒いたカルト教団みたいにテロの準備でもさせるつもりなのかしら」
「それってヤバくね?」
「ヤバいに決まってるじゃない」
思わず青くなって顔を見合わす二人。
「昭仁や達也も洗脳されちまってるのかな?」
「かもしれないね・・・」
「どーしよ、俺カルトとか、マジで怖いし」
と、半泣きの俊。と、対照的に学園一のマドンナ様は拳を握りしめた。
「あーもうッ、男のくせにだらしないんだからッ!! いいわ、私、校長先生を直に追及してくる!! そして何を企んでいるのか、その陰謀を暴いてみせるわ!!」
「・・・ってお前、それヤバくね!? お前まで洗脳とかされるんじゃねえの?」
俊の心配など耳にも入らぬ様子で、端正な美貌をキッと引き締めるレオタ娘の怒りは留まるところを知らない。
「どーせ、このまま闘わず言いなりになっていたら、いずれは洗脳されちゃうでしょーが!! 学校が宗教団体に乗っ取られてもイイの!? 教育の場を自分の宗教活動に利用しようなんて許せないんだからッ。皆をマインドコントロールを解かせて、絶ッ対にぎゃふんといわせてあげるんだから!!」
勝気でお嬢様特有のワガママ娘だが、正義感は人一倍強い郁子は生徒の人権と、次期生徒会長の名誉にかけて宣言する。
「これは私たちと、影乃原隆元の全面戦争なんだから!!」
< To Be Continued >