カルト学園狂躁曲!? 第十章

第十章:学園一のマドンナ様はカルト教団に立ち向かうレオタード・ジャンヌダルクにしてヤンキー君の忠実なる女信徒

 
 夏休みが終わり、気怠さを押し殺し、教室に向かう俊。その背後から忍び寄る影・・・。それは学園乗っ取りをすんでのところで失敗した教祖、いやマッドサイエンスト、いやいやどちらでもなかった。
「おはよーございますッ、尊師!」
 そう、声の主は夏服の制服が眩しい小越郁子だ。
「おい、いい加減、その呼び方止めろよ」
「なんでです?」
 郁子はコックンと首を傾げ、しげしげと俊をその大きな瞳で見つめる。
(コイツ、マジで洗脳されちゃったんだ。淫華学会の僕にされなくてよかったけどさ。いい加減あの勝気で生意気なタカビーお嬢に戻ってくれよ)
 と思いつつ、目の前の郁子を見るとその改めてその美貌に心奪われてしまう。
(こ、こういう従順そうな小越も可愛いけどさ)
「ま、まあいいや。とにかくその呼び方だけはやめろ」
「うーん、そうですか。じゃ、教祖様!」
「もっとまずいだろ」
「それでは、若」
「いつの時代だよ」
「それなら、加々見先生」
「俺がお前に何を教えたよ?」
「じゃ、俊さま」
「俺たち同級生だぞ」
 掛け合い漫才を繰り返したのち、郁子は少々困り顔を作る。
「じゃこれなんかどうですか、・・・しゅ~~ん!・・・とか呼び捨てにしちゃったりして・・・すいません、不敬でしたかぁ?」
 にっこり微笑み、またまた小首をカックンと傾げる郁子。
「そ、それは一番駄目だ!!」
 これまで見た事の無かった郁子のチャーミングすぎる態度に、嬉しさを押し殺しながら拒絶する俊だった。

 放課後、一見平静を取り戻したかにみえる学校を後にしようと体育館を横切る俊。と、またまたあのお嬢さんが登場だ。
「俊さまーぁッ!!」
 全国大会でも多くの観客を魅了したレオタード姿の郁子が、嬉々として走り寄ってくるではないか。おっぱいをレオタードの下でフルフルさせ、健康美溢れる美脚を振り上げ、恥ずかしげもなくヤンキーの俊を大声で呼ぶ、次期生徒会長最有力候補に周囲の生徒、教師も釘付けだ。
(こ、こいつエロイ、あの洗脳室に入れられてから妙にエッチになったんじゃないか?)
 昔から己の美貌を誇示する高飛車なお嬢さんではあったが、今の郁子は天真爛漫、やや天然の入ったほんわかお嬢様と言った風情だ。
「今、お帰りですかぁ? もう少しお待ちいただければ、一緒に帰れますよ!」
 この発言に周囲のほかの男子体育会系の生徒から怒号が飛ぶ。
「な、なんで郁子ちゃんが、学園の恥さらしの加々見なんぞと!? しかも【俊さま】だとぉ!?」
「許せんッ、加々見を締めろッ、殺せ、いやそれじゃ飽き足らん、ミンチにして農業部の豚のエサにしろ!!」

 殺気を感じた俊は、郁子の手を引き、校舎裏に連れて行った。
「おい、小越、頼むから人前で俺を呼ぶなよ」
「・・・御迷惑ですか?」
 初めて見る郁子のしおらしい態度に、またもやドキドキの俊だ。
「じゃないけどさ」
 迷惑のはずはない。嬉しくて小躍りしそうだ。
「・・・では、やっぱり一緒に帰りましょ!! この学園はまだ、淫華学会の手の中にあるのですよ!! いつ、あの校長と科学者が俊さまを狙ってくることやら・・・。わたくし、心配なんです!!」
 この大きな瞳で見つめられると・・・。もう俊クンメロメロだ。だが、それに関しては郁子の言うことはもっともで、淫華学会はこの学校の経営から手を引いたわけでは無い。教祖と科学教師は原因不明の大怪我(一説には一人の美女子生徒の大暴れの犠牲になったらしい)で、しばし入院したというが・・・。
「その前に俊さま・・・」
 と郁子は、輪をかけて乙女チックな声音で恥じらうように囁く。
「・・・してください」
 郁子は切れ長の瞳を瞑り、長い睫毛を震わし、キス顔を作る。
(うっひゃあ~~、超可愛いんですけどぉ!! 嗚呼、もう洗脳万歳、て感じですかね!?)
 心臓を高鳴らせ、股間をビビンと膨らませつつ、ずうずうしい俊はお姫様の唇を戴きにかかる・・・。
(俺のファーストキッスの相手は、やっぱ小越かぁ。悔しがれよ、モテない男ども!!)
 しかし、そうは問屋が下ろさなかった。

「あ、ああんッ」
 突如、郁子の惚れ惚れするような肢体がビクンと痙攣する。
「ど、どうした、小越?」
「じ、自分でもわかりませんッ、で、でもなんだかカラダが・・・、カラダが痺れて・・・いうことをききません・・・アアッ!!」
 レオタード姿のまんまで、ああん、ああぁぁんとか、喘がれると、あの淫靡な洗脳シーンを思い出し、勃然としてしまう俊。郁子の悶絶する様はエロいが、ご当人はマジで苦悶の表情だ。
「ああんッ、ア、アソコが・・・アソコガ・・・熱いですぅ~~ッ」
 と、レオタードが眩しい股間を両手で恥じらうように隠しつつ、下半身を艶めかしく捩る郁子に、大コーフンの俊だ。たちまち乙女の女陰部分からは、淫らなジュースがジュプジュプと湧き出てきて、その健康的な太腿まで滴を作る。郁子が感じやすく、中々エッチな性感の持ち主であることは、読者諸兄もお分かりであろうが、そこは花も恥じらう女子高生。想い人の前で突如オナニーに耽るはずはない。もちろんこれには裏があった。

 ここは学園調質奥にある秘密部屋。お嬢様ウエポンに徹底的に叩きのめされた傷も癒え、ようやっと復帰した亀頭博士は例の洗脳室から採集した郁子の肉体データを操作し悦に入っている。
「フヒヒヒ、そうそうお前に都合のよいように事は運ばんぞ、加々見ィ。郁子の性感データーは既にチェック済みよ。たとえ、洗脳の服従相手は間違えてプログラミングしたとしても、あの娘の肉体をコントロールすることはいかようにも可能なのだよ、さぁ、小越郁子の陰核が最も反応する快楽超音波を流し続けてやるぞ―イ」
 隠しカメラが、愛する教祖様となった俊の前で痴態を晒す郁子を捉えると、学園長も大盛り上がりだ。
「ええぞ、ええぞぉ。郁子ちゃんの洗脳なくして、我が淫華学会の繁栄は無い! なんとしても、今のうちにスケベ娘へと調教が必要だが、しかし・・・」
 と、そこは百戦錬磨のスケベ男、学園長は策を講じる。
「まてまて、ここで郁子を絶頂に導いても、加々見俊が喜ぶだけだ・・・。亀頭君、まだ、郁子をイカセテはならん、明日の体育部凱旋報告会が狙いめよ。全校生徒の前で、むひひひひ」
 今まで以上にスケベ心丸出しの目でしたり顔の学園長。

「ああ・・・」
 遠隔悦楽責めから解放された郁子は切なげな表情で、跪く。
「大丈夫かよ、小越」
「はい、俊さま。大丈夫です・・・。もうなんともありません。きっと俊さまと関係を密にできる悦びで、ぐッときちゃったんですね、私・・・恥ずかしいですぅ」
 今まで見た事の無いほどにしおらしくも、熱っぽく潤んだ瞳で自分を見つめてくる郁子を、グッと抱きしめる俊。
(な、何だよ、この可愛さは!? しかも、なんなんだよ、あの喘ぎ声は!? 股間濡れ濡れじゃんかよぉ!? それで、俺に惚れてますって顔されたらさぁ、もう・・・)
ノー天気というかなんというか、【青春している】二人には、すべてが学園長の陰謀のうちであることに気が付く由もなかった。

< To Be Continued >

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