意識及び無意識の状態での精神掌握能力について No.02

05.実験詳細

1998/09/12

まずは都に対して手術を行った。同日に帰宅後の都を睡眠剤と麻酔で眠らせ、人体改造の手術を行った。幸い、途中で緊急事態もなく成功。意識を回復させ、夕食を食べさせた。

1998/09/13

次に真知子に対しても同様に手術を行った。同日に帰宅途中の真知子を睡眠剤と麻酔で眠らせ、人体改造の手術を行った。しかし、手術中に脳波に異変が生じ、このまま手術を行うと命を失う危険性があったため、必要最低限の処置のみを行った上で手術を中止した。そして、拉致場所に戻した。

1998/10/12

昨日に真知子に家に招くのはどうかと誘ったところ、すぐにその話が広まり、今日の夕方頃から都の家に来ることになった。そのタイミングで二人を同時に拉致し、実験を行うことにした。そのときの行った実験の内容としては、お互いに過去の関係を一時的に忘れさせた上で、お互いが相手に【能力】を使用し、【能力】についての基礎事項を確認した。結果は以下の通りである。

・【能力】を使用できるようにするための準備

二人ともに相手との【握手】が必要であった。恐らく、精神的なリンクの際に手は重要な役目を果たしているからであろう。この辺りについては、また追って実験をしたいと思う。

・【能力】使用時の二人の違い

【能力】を用いて【命令】を実行するとき、手術の進度の影響か、二人の【能力】の詳細が異なっていた。都の方は、手術が完璧に成功したため、相手の【命令】実行時は相手の意識を失わせた状態で実行できるが、真知子の方は、手術中の脳波の異常の影響で相手を無意識にさせる能力を付与できなかったため、相手の【命令】実行時は、意識を保った状態で実行させるようだ。このとき、【命令】は肉体のみが実行し、精神はそれと独立してしまうようだ。結果的には二人に異なる【能力】を付与できたので、従来の実験よりも実験が増えてしまうが、様々な結果が得られるだろう。

・当時の音声

二人の【命令】とその実行時の反応を音声として記録できたため、ここに文字データとして掲載しておく。

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※ここでの実験において、名前による記憶想起を防ぐため、都を『実験体α』、真知子を『実験体β』と定義している。

まず、私はαに対してβに自慰行為をさせるように命令させた。

「実験体β、【自慰行為をしなさい】」

「はい、分かりました」

そう言って、実験体βは自慰行為を始めた。

「…」

実験体αは、何もすべきことがなくなったため、その場で待機している。

「…///」

実験体βは、何も言わない。しかし、その顔は、僅かに赤くなっている。ここで、追加で実験体αに命令させた。

「実験体β、【自慰行為時の感覚を倍増させなさい】そして、『笑顔になりなさい』」

「はい、分かりました」

お互いの【能力】には、【命令】実行直前には可能な限り常に了解の返事をとらせるように設定してある。万が一【命令】に背こうとしているとき、それを分かりやすくするためである。

「はい、分かりました。…」

それでも実験体βは、すぐに無言になった。都の【能力】では『命令』に必要なことと返事以外は、身体を使用しないようにしてあるためだ。

「実験体β、【自慰行為を終了しなさい】。そして、【自慰行為時の感覚をリセットしなさい】」

「はい、分かりました」

次に、実験体βに対して同様に自慰行為をさせるように『命令』させた。

因みに、当時実験体αは意識を保っていた。しかし、本人は助けを呼ぶような素振りをしない。きっと、何も思っていないのだろう。

「実験体α、【自慰行為をしなさい】」

「…分かった」

「…」

先程と同じ無言になっているようだが、実験体βは筆者からの命令待ちで、実験体αは自慰行為中に何も言っていないだけである。

「…はぁ…はぁ」

少し、実験体αの息が乱れてきた。さすがに普段無口でも、呼吸までは黙ることができないようだ。ここで、先程と同様の追加の『命令』をさせた。

「実験体α、【自慰行為時の感覚を倍増させなさい】。そして、【笑顔になりなさい】」

「…分かっ、たぁ。…あぁ!」

先程と明らかに異なる反応が見られた。顔もより一層赤くなり、喘ぎ声もあげていた。

それでも、先程と同様に了解の返事を欠かさない。返事から判断するに、どうやら真の精神と【命令】を受ける肉体がそれぞれ独立しているようだ。改善の余地があるかもしれない。

「実験体β、【自慰行為を終了しなさい】。そして、【自慰行為時の感覚をリセットしなさい】」

「…分かった」

※二人には、実験終了後に忘却措置を行い、この実験に関するすべての記憶を忘却させている。

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