鏡の暗示にご用心 ~エッチな暗示で淫乱メス化~

「ねぇねぇ、図書室にいる紙谷康介(かみや こうすけ)くんって男子、知ってる?」

「知ってる! あの子、めっちゃイケメンじゃない?」

 昼休み、教室後方の席に溜まっていた女子集団から上がった紙谷の名を耳にした和代雪華(わしろ ゆか)は、ページをめくっていた指をぴたりと止めた。

「わかるぅ! 可愛い系イケメンって感じ?」

「そうそう。しかもこの前の期末テストの校内順位、二位とかだっけ? めっちゃ頭いいんだよねぇ!」

「隠れファンとかも多いらしくてさ、康介くんに会うため、放課後、毎日図書館に通い詰めてる女子もいるらしいよ」

「私、今日会いに行ってみようかなぁ!」

 ぎゃはは、がははという女子たちの笑い声を聞きながら、雪華は複雑な気持ちになっていた。

 

「やぁ、和代さん。今日も来てくれたんだね」

 放課後、雪華がいつものように図書館へ赴くと、貸出カウンターに康介が座っていた。

 カウンターには何冊も重ねられた文庫本。

 その手にも、今読み始めたばかりなのだろう、本が握られていた。

 康介は手にした文庫本をそっとカウンターの上に置き、

「さて、和代さんは今日はどんな本をお探しかな?」

 笑顔でそう尋ねて来た。

 その笑顔を直視できない雪華は、視線を下に向けたまま、どぎまぎした様子で、

「……え、えと、今日も、か、紙谷君が勧めてくれる本、なら、なんでも」

 そう述べる。

「今日もそれで良いの? なんだか僕の趣味ばかり和代さんに押し付けてしまいそうで申し訳ないんだけどなぁ」

 苦笑いを浮かべてそう言いながらも、康介はカウンターに積み上げられている文庫本の中から一冊を取り出し、

「じゃあこれ! さっき読んだばかりだけどすごく面白かったよ! 和代さん、確かファンタジー小説好きだったよね」

 雪華に手渡してきた。

「……え?」

「あれ? 違った?」

 まだ数度しか会話したことないのに、自分の好みを覚えてくれていたことに驚いた雪華は康介の顔を一瞥し、

「……い、いや、その……わ、私の好きな、ジャンル、紙谷、君、し、知ってくれて……」

 呟きかけたそのときだった。

 ガラガラガラ!

「あ! あの子じゃない? 紙谷くんって! わぁ、マジで可愛い系男子じゃん! ねぇねぇ! 君が紙谷くん?」

 大声と共に、昼休みに雪華の教室で会話していた女子たちが図書室にドカドカと押し入って来た。

 その騒々しさに図書室を利用する他の生徒からの冷たい視線が注がれたが、それに気づかぬまま、女子たちは紙谷に声をかける。

「えぇ? もし違ったら恥ずくない?」

「いや絶対にそうだって。良い感じのさわやかイケメンだもん」

「ねぇ!」

 文字通り姦しい状態の女子たちに紙谷は笑顔を崩すことなく、

「はい。僕が図書委員の紙谷です。本の貸し出しですか? それとも何かお探しですか?」

 そう尋ねたが、女子たちの集団は紙谷の質問など全く聞いていないらしく、

「わぁ、ほんとに噂通りのイケメンじゃん!」

「ねぇ! かっこいいねぇ!」

「ねぇねぇ! 紙谷くんのお勧めの本教えてよ! あーし、あんま本とか読んだことないんだけどさぁ、読めるやつあるかなぁ?」

「あんまり字ないのがいいかもぉ!」

 図書室中に響く声を上げ続けた。

 そんな女子たちの勢いに押され、雪華は受け取った本を手にしたまま徐々に紙谷のいるカウンターから追いやられてしまう。

「わかりました。では順番にお勧めの本をお渡しします。でもその前にここは図書室です。みなさん、少し声のボリュームを下げてくださいね」

 笑顔のまま康介は唇にそっと人差し指を当て、小声でカウンターを囲んでいる女子たちに述べた。

「「「はぁい」」」

 そんな康介の仕草に女子たちはきゃっきゃっと騒ぎながら、康介のいるカウンターの前に列を作る。

 だいぶ遠くへ追いやられてしまった雪華に気づいた康介は、顔の前で両手を合わせ、

 ご・め・ん・ね

 と、口の形を作って雪華に伝えた。

 雪華は唇をぐっとかみしめたまま康介に一礼し、おすすめされた文庫本を持ったまま、そそくさと図書室を後にした。

 

「雪華はさぁ、もう少し強気に出てもよいと思うけど?」

 帰り道、雪華が友人である桃子に図書室での一件を放すと、桃子は苦虫をかみつぶしたような表情でそう述べた。

「……強気?」

「そ。だって今の話もさ『私が先に並んでました!』って、そのうるさい女子たちに言えば良い話じゃん? せっかく紙谷君とお話してたのに」

「……そんなこと、私、言えないよ」

「そうかなぁ? ほら小さい頃はさ、雪華、男子にも負けないくらい強気で元気な女の子だったじゃん? いつからそんな風になっちゃったわけ?」

「……それは、小さいときの話で……」

「中学生のときだっけ? 男みたいな女だなぁ、そんなんじゃ男にモテないぞ。とか担任に言われて、それ以降、今みたいな感じになったんだよね」

「……」

「あんな時代錯誤なハゲジジイの言うことなんかさ、もう気にする必要ないと思うけど? 男とか女とかもう関係ない! これからの時代は女もガンガン強気で行かないとね!」

 ガハハと、豪快に笑う桃子を見ながら雪華はスッと地面に視線を落とす。

 桃子の言う通り、確かに担任に言われたその言葉もきっかけではあった。

 でも、女の子は女の子らしく、おしとやかで従順でなくてはいけない。

 自分の気持ちに正直であってはいけない。自分を隠して生きる必要があるんだ。

 そう思うようになったのは、もっと後だった気がする…… 

『良いかい雪華。お前は母さんみたいな女にはなっちゃいけないぞ! あんな淫乱女みたいになってはね』

 ふと、父の言葉がフラッシュバックする。

 あぁ、そうか。きっとあのときだ。

 自分の気持ちに正直に生きると言い放った母さんが、父さんとは別の男の人と一緒にどこかへ去って行ったあの夏から私は……。

「……雪華?」

 桃子の声を聞き、物思いにふけっていた雪華はふと顔を上げる。

「大丈夫? 顔色悪いけど?」

 心配そうに雪華の顔を覗き込んでくる桃子に、

「……うん。ありがと。平気だよ」

 視線を合わせることなく、雪華はそう述べた。

 私は、母さんみたいには絶対にならない。

 

 翌日の放課後、いつものように図書室を訪れた雪華の顔を見るなり、

「和代さん、何かあった?」

 康介がそう尋ねてきた。

「……な、なんで?」

「いつもよりも元気ないみたいだから」

 いつもの笑顔を崩し心配そうに雪華の顔を覗き込む康介。

 そんな康介の視線に耐え切れず、いつものように雪華は下を向いてしまう。

「……あ。ううん。大丈夫。えと……き、昨日借りた本、読み終わったよ。すごくおもしろかった」

「あ、ほんと! てか、もう読み終わったんだ! 読むの早いね、和代さん」

「……うん。また紙谷くんのおすすめの本、あるかな?」

 視線を合わせぬままそう尋ねる雪華に、

「うん! 実はとっておきの本があってさ……はい、これ」

 康介はそう言いながら、貸出カウンターの下から大きめの本を取り出した。

 金色の縁取りのされた黒い色の本。

 表紙にタイトルはなかったが、その表紙に描かれたイラストから、

「……白雪姫?」

 雪華はそう判断した。

 黒い表紙に書かれた顔のない女の子と七人の小人のイラストは、雪華が幼いころから何度も見たことのある『白雪姫』の表紙そのものであった。

 雪華の問いかけに、康介は「うーん」と首をひねりながら、

「正確に言うなら『白雪姫をもとに作られた新しいストーリー』かな」

 そう述べた。

「……新しいストーリー?」

「うん。ちょっと変わった本なんだけど、きっと和代さん、気に入ると思う」

 康介から本を受け取った雪華が、その表紙をめくろうとすると、

「あ、ちょっと待って!」

 康介が慌ててそれを制した。

「……な、なに?」

 突然のことに、慌てて指を引っ込める雪華。

「この本を読むときにはね、ちょっとしたルールがあるんだ」

「……ルール?」

「この本はね『夜中の十二時以降に読むこと』『誰もいない部屋で一人で読むこと』『読み終わるまで決して別の人に貸し出さないこと』っていう三つのルールがあるんだ。だから今日の夜中、十二時なったら、自分の部屋で本を開いてね。絶対にその前に開いちゃだめだよ。あと、必ず一人で読むこと。いい?」

 真剣な眼差しでそう述べる康介に、

「……わ、わかった」

 雪華はそう呟いた。

 

「父さん、おやすみなさい」

「お休み雪華。もう遅いから早く寝るんだよ」

 階下にいる父に挨拶を済ませた雪華が自室に戻ると、

 ボーンボーン。

 雪華の自室の壁にかけられた壁時計が、ちょうど十二回目の鐘を鳴らし終えたところだった。

「……よし」

 父が入ってこないよう自室の鍵をしっかりと閉め、ベッドに腰かけたまま雪華は康介から借りた本の表紙を一枚めくる。

 最初のページには、

『この本はあなたの心の奥底にある願いを叶える本です』

 黒い紙に不気味な書体の白字でそう書かれていた。

 さらに雪華がページをめくると、

『昔々あるところに……』

 同じ書体の白字でそう書かれていたのだが、

「あ、れ?」

 そこまで読んだところで、雪華の意識がスッと消滅した。

 

「……あ、れ?」

 気が付くと雪華は巨大な鏡の前に立っていた。

 鏡には真っ黒なドレスを身にまとった雪華の姿が映されている。

「こ、これって」

「あらあら、ずいぶんとピュアで純朴そうな女の子が来ましたわね……どうも、お嬢様。ようこそ鏡のお城へ」

 突然、鏡から女性の声が聞こえて来た。

「え、あ、なに?」

 あまりにも突然の出来事に雪華が混乱していると、

「うん。まぁやっぱり混乱しちゃいますわよね。安心してくださいませ、最初はみんなそうですのよ。では改めまして……初めましてお嬢様。私の名前はミラ」

 鏡がそう名乗ってきた。

「ミ、ミラ? か、鏡がしゃべって」

「あ、これは『夢』ですの。だから深く悩まないでくださいませ」

「……ゆ、夢?」

「そうですわよ。鏡が人の言葉を話すわけないでしょう? そう……お嬢様は今日お借りになった本を読んでいるうちに眠ってしまった。そしてその本を読んだ影響で、こんな夢を見てしまっているんですの。寝る前に見た本はなんでしたか?」

「し、らゆきひめ?」

「そうですわね。これは白雪姫の夢。私はその本に出てくる魔法の鏡。どうかご安心くださいな。これは夢ですから、お嬢様には一切、危険はございませんわよ」

「……夢、なんだ」

「はい。夢ですわ」

 なら、安心だ。

 ミラの言葉を聞いた雪華は、なぜかほっとしてしまった。

 その様子を見ていたのかミラが、

「さぁお嬢様。お嬢様は何やら心の奥底で願っているご様子。どうぞ私にその願いを言ってくださいませ。お嬢様の心の奥底にある願いは何でしょうか?」

 そう述べた。

「……願い?」

「えぇ。私とお話しできているということは、お嬢様には叶えたいと思っている願望があるはずですわ。かつての私の持ち主であるお妃さまは、世界で一番美しい姿をお望みでしたのよ」

 あぁ、白雪姫はそんな話だったよな。

 でも、私に願いなんて……。

 そう思っているとミラが、

「お嬢様。ここは夢の中ですわ。普段なら意識できない無意識も意識化する世界です。心の奥に閉じ込めた、お嬢様の秘められた願望を、素直に述べてみてくださいな。ここには私しかおりませんわよ」

 そう告げた。

 その言葉に、雪華の口から自然と言葉が漏れる。

「……私、もっと自信を持ちたいんです」

「自信を持ちたい?」

「……うん」

 雪華の言葉にミラは、

「ほほん。なるほど、なるほど。女の子らしい素敵な望みですわね。お嬢様はその願いを叶えたいですか?」

 雪華にそう尋ねて来た。

 もし自分に自信があったら、もっと他人に強く言い返せた。紙谷くんにもしっかりとお話しすることができた。

 そう。私は……。

「叶えたい。私、自分に自信を持ちたいの」

「了解いたしましたわ、お嬢様。それは私に続いてご唱和くださいませ。『私は可愛い女の子』。はいどうぞ!」

 ミラからの突然の提案に、雪華は困惑する。

「……そんなこと、言えないよ。だって私、別に可愛く」

「あらあらダメですわよお嬢様。自分に向かってそんなことを呟いては。お嬢様は自信を持ちたいんですわよね」

「……う、うん」

「いいですか? 女の子が自分に自信を持つための一番の方法。それは『自分がこの世界で一番可愛いと思う』ことですの。ほら、目の前の自分をよく見てごらんなさい」

 ミラの指示通り、雪華は鏡に映った自分を見る。

 鏡に映る、俯き加減の暗い女の子。

 自信がなく、いつも下を向いてぼそぼそしゃべる女の子。

 それが、雪華。私だ。

「あれが今のお嬢様ですわ。自信を失い、俯きっぱなしの女の子……でも、本来のお嬢様はあんな姿じゃありませんのよ。本当はもっと可愛く、輝ける存在ですのよ。さぁ、目の前の自分に言い聞かせてごらんなさい。『私は可愛い女の子です』と! さぁ!」

「……わ、私は可愛い」

「もっと自信を持って、大きな声で言うのですわ。さぁ、もう一度、『私は、可愛い女の子』です! さぁ!」

「私は、可愛い女の子、です」

「もう一度、いいえ、何度も、何度でもつぶやきましょう! 言葉は思考を変え、思考は姿を変えますのよ! さぁ! 自信を持つために『私は可愛い女の子です!』りぴーとあふたーみー!」

「私は可愛い女の子、です」

「もっと、もっとですわ。大きな声で、さぁ!」

「私は可愛い女の子です!」

「エクセレントですわ! もっと、もっとですわよぉ!」

 それから雪華はミラに言われるがまま何度も何度も、目の前の鏡に向かって叫び続けた。

 不思議なことに、そう呟いているうちに鏡に映る自分の姿が美しく見え始めていた。

 やがて、

「あはっ! ほら、お嬢様! 鏡の中の姿を見てごらんなさい。目の前の女の子、ずいぶんきれいになったと思いませんこと?」

「……え?」

 雪華が目の前の鏡をじっと見やると、そこには背筋をピンと伸ばし、正面からこちらをじっと見つめ返している女の子がいた。

「あれ、が、私?」

「えぇ。これが本来のお嬢様の姿です。自信と気品に満ち溢れた本来のお嬢様の姿」

「……わ、私って。可愛いのかな? 本当に?」

「勿論です。お嬢様はとっても可愛いですわ。さぁ、自分に自信を持つために、自分で自分に言い聞かせ続けましょう。さぁ、さぁ! 今宵は何百、何千と『私は可愛い女の子』と叫びましょう! さぁ!」

「わ、私は……」

 

 はっ! とそこで雪華は目を覚ます。

「わ、たし……」

 きょろきょろと周囲を見渡す。

 閉じられたカーテンから差し込む朝日。

 転がったクマのぬいぐるみ。

「……本当に夢、だったんだ」

 そう呟いたところで、スマホの起床アラームがけたたましく鳴り響いた。

「学校、行かないと……」

 身支度を整えるため、ベッドから起き上がった雪華は、いつもと同じように学校へ行くための身支度を整え始める。

 顔を洗い、制服に着替え、自室の鏡台で髪の毛をセットする。

 身支度が終わりかけたとき、ふと、鏡台の上に置かれたピンクのリップクリームに気づいた。

 いつだったろうか、勢いで買って一度もつけなかった色つきのリップクリーム。

 どうせ私には似合わないと思ってずっとつけなかったものだ。

 でも、今なら……。

 雪華はそっとそれに手を伸ばし、唇に塗って鏡を見やる。そして、

「私は、可愛い女の子、です」

 そう呟くのであった。

 

「おはよ、雪華」

 学校へ向かう途中、雪華に桃子が声をかけて来た。

「おはよう、桃子」

 挨拶を返した雪華に、

「ん? あれ? あれ? 雪華」

 桃子は顔をしかめながら、その顔をじっと見つめ、そして、

「あ、もしかして雪華。今日、色つきのリップしてる?」

 そう尋ねた。

「う、うん……どう、かな?」

 照れくさそうにそう述べた雪華に、桃子は拍手を浴びせながら、

「めっちゃイイじゃん! すごくいい! すっごく似合ってる!」

 そう大きな声を上げた。

「そ、そうかな」

「うん。うん! すごく良い! え、急にどうしたの?」

「ちょっと気分変えてみたって、いうか……たまにはいいかなって」

「良いと思うよ! すっごく可愛いよ、雪華」

 可愛い。

 私は、可愛い女の子……。

 桃子にそう言われた雪華は、まんざらでもなさそうな表情を浮かべながら校門をくぐる。

 心の中で何度も『私は可愛い女の子なんだ』と呟きながら。

 

 放課後、「ふぅぅぅ」と大きく息を吐き出してから、雪華は図書室の扉を開いた。

 いつものように貸し出しカウンターには文庫本を読みふける康介が座っている。

「やぁ、和代さん」

 雪華が入って来たことに気づいた康介は、文庫本にしおりを挟み、カウンターに置いた。

「こ、こんにちは康介君」

「今日は何を借りる? 今日も面白そうな本を見つけておいたよ」

 そう言いながら文庫本を数冊貸出カウンターに並べる康介の目を、雪華はじっと見つめた。

「ん? どうかしたの?」

 視線に気づいた康介が雪華に顔を向ける。

 二人の視線が混じり合って数秒。

 康介からは何の言葉もない。

「ん? どうかしたの? 和代さん」

「……なんでもない、よ。えと……今日は、これに、するね」

 気づいてくれなかった……。

 雪華が残念そうにカウンターに置かれた文庫本の一冊を手にとると、

「あぁ、いいね! それもすごく面白かったよ」

 康介は無邪気にほほ笑みながらそう述べる。

 そんな康介に気づかれないよう、雪華は小さなため息をついた。

 と、そこへ、

「康介君、相変わらず仕事熱心ね」

 図書室へ入って来たのは、数学教師の伊原睡蓮(いばら すいれん)だった。

 タイトな黒いミニスカートに、胸元がざっくり割れたワイシャツ姿の睡蓮は、男子生徒から色々な意味で人気の教師だ。

 睡蓮はゆっくりとカウンターに近づき、

「読書が本当に好きなのね」

 まるで胸元を強調するようにカウンターに両肘をつき、大きめの胸を康介の目の前にさらした。

「はい。読書は心のオアシスですからね」

「たまには本以外のことにも興味を持ったらどうかしら? 女の子とか」

「はは。考えておきます」

 睡蓮の問いかけを笑顔のままのらりくらりとかわす康介。と、康介は、

「あれ? 先生、髪切りましたよね?」

 と、睡蓮の髪形を見てそう述べた。

「あら、よくわかったわね」

「そりゃわかりますよ。いつも図書室で先生の姿を見てますからね」

「んふ、ありがと」

 照れ笑いを見せる睡蓮の表情と康介の言葉に、雪華は康介に気づかれないようそっと図書室を後にした。

 

 その日の夜。

 再び本を開いた雪華はミラに尋ねる。

「……ねぇ、ミラ」

「何ですの? お嬢様」

 鏡に映った黒いドレス姿を見つめながら、雪華が呟く。

「男の子ってさ、どんな女の子が好きなのかな?」

「ほほう、なかなか難しい質問ですねお嬢様。お嬢様はどうお考えですか?」

「やっぱり、こう魅力的な? 可愛いというよりも妖艶というか……少しエッチな感じの方がいいのかなって」

 そう述べる雪華の脳裏に睡蓮の姿が思い浮かぶ。

 その思考がミラに伝わったのか、

「ほほん。お嬢様、男性を誘惑できるようなエッチな女になりたいと思っているのですね。それが新たな心の奥底の願望ですわね」

「え、いや、べ、別にエッチになりたいってわけじゃ」

「気になる殿方に振り向いてもらいたいんですわよね。可愛くなっても気づいてもらえないんじゃ意味がないと、お嬢様は思っておられるようですわよ」

「……うん」

 自分の心の内を全てミラに言われ、ゆっくりと頷く雪華。

「自分に自信があるだけじゃダメなんだ。もっと自分の存在を、一人の女として認識してもらえるようにならないと……ねぇ、ミラ。どうしたら男の子に振り向いてもらえるような女の子になれるか教えてくれないかな」

「男の子に振り向いてもらえる女になりたい。それがお嬢様の新たな望みですか?」

 ミラの問いかけに雪華はしっかりと首を縦に振った。

 ミラは「ほほほ」と微笑むと、

「簡単ですわ、お嬢様。殿方に振り向いてもらえるような女性になるための、たった一つの方法はですね、『フェロモンを出すこと』ですわよ」

「フェロモン?」

「はい。所詮男も一匹の雄。メスの色気と誘惑に、本能では抗えませんの。さぁお嬢様、ではさっそく鏡に向かってオナニーをしてみてくださいな」

「オナッ! な、何を突然。そんなこと、できるわけ」

 ミラの提案に拒絶反応を見せた雪華だったが、

「おやおや、お嬢様は意中の殿方にに振り向いてもらいたいのですわよね?」

「……う、うん」

「そのためには殿方を誘惑するフェロモンを身につけなくてはいけない。身に着けるためにオナニーしなくちゃいけないのですわ。ご理解いただけますか? お嬢様」

 ミラのその言葉になぜか納得してしまうのであった。

 それでもまだ不安そうな雪華にミラは、

「大丈夫ですわ、お嬢様。以前も言いましたがここは夢の世界ですの。誰かに見られる心配はございませんのよ。思う存分、自分を解放なさってくださいな」

「で、でも……」

「さぁ、お嬢様。思い切り気持ち良くなってくださいませ……まずはスカートと下着をお脱ぎくださいな」

「……うん」

 ミラに促されるまま、雪華はスカートを脱ぎ捨て、そのままショーツも脚から抜き去った。

 そしてその場に腰を降ろし、目の前の鏡に向かって大きく股を開く。

 鏡に映し出された己の秘所に、恥ずかしさからか、雪華は思わず目を背ける。

「お嬢様、しっかりとご覧くださいませ。お嬢様のオマンコ、とっても綺麗ですわよ」

「そ、そんなこと言わないでよミラ」

「いいえ、言葉はとても大事です。さぁ、お嬢様も言ってみてくださいな。『これが私のオマンコです』と、鏡を見つめたまま。さぁ」

「……こ、これが私の、お、オマ。オマン……コ……です」

 消え入りそうな声で呟く雪華にミラは、

「もっと大きな声でおっしゃってください。それにほら、自分のオマンコをしっかり見てくださいな。ピンク色で、ひくひく動いて、美しいですわよ……」

 そう呟く。

 まるで耳元で囁かれているかのように聞こえるミラの言葉に、雪華は顔をぱっと赤く染めた。

「いやぁ……ミラ、そんなこと……言わないでよぉ……」

「私は本心を述べたまでですわよ。さぁ、ご覧くださいませ。お嬢様」

 ミラに言われるがまま、雪華は目の前の鏡に視線を向ける。

 鏡に映った己の秘所。

 まるで生き物のように蠢くその姿を見た雪華の呼吸が、荒く熱くなっていく。 

「さぁ、私に続いて言ってくださいませ。『私はこれからエッチなオナニーをします』……はい」

「わ、私は、こ、これからエッチなオナ、オナニーを、し、します……」

「うふふふ。よく言えましたわね、お嬢様。それでは早速、オナニーをしてみてくださいな」

 ミラのその言葉に、雪華はもはや抵抗しなかった。

「……ん」

 雪華は片方の手を、小ぶりな胸の先端で自己主張を始めていた乳首にそっとあてがい、もう一方の手を女裂の上部で、こちらも自己主張を始めていたクリトリスへとあてがう。

「んあ……っ」

 ピンっ! と勃ったクリトリスに指先がちょんと触れた瞬間、雪華の身体中に心地よい痺れが駆け巡る。

 その快感に雪華は思わず声をあげた。その様子を見たミラは、

「あは、とっても美しいですわよお嬢様。お嬢様はオナニーの経験、どれくらいありますの?」

 そう尋ねる。本来ならはばかられるようなその問いかけに、しかし雪華は素直に答える。

「しゅ、週に一、二回、くらい……かな」

「あらあら、そうですのねね。あまりご経験がないご様子ですので、私が少しお嬢様にご教授いたしますわ。さぁお嬢様、今のようにクリトリスだけではなく、オマンコの入り口にあるビラビラにも触れてみてくださいませ。触れたらそのまま上下にこすってみてくださいな。それと同時に、今触っている乳首を親指と人差し指でそっと挟んで、摘まむようにこすっても気持ち良いですわよ」

 ミラに言われるがまま、雪華は指先を動かす。

 すると、

「んああっ、んっ! ふぁぁぁっ!」

 その効果なのか、雪華はそれまでよりも大きな声で喘ぎ始めた。

 親指と人差し指で乳首をこねくり回しながら、女裂の割れ目を上下にこする。その圧倒的な快感に、雪華は湯ひと際大きな声を上げる。

「ああぁぁっ! 何、こ、これっ! き、気持ちいいっ!」

「そうでございましょう? オナニーはコツがわかると、普段の何倍も気持ちよくなれるんですのよ、お嬢様」

 やがて、ぐちゅぐちゅという水っぽい音が響き始める。

 それが自分の秘所から響いていることに雪華もすぐに気づいた。

「あぁぁ……っ。んふぅぅぅぅ……んあっ! ここぉ、すごくぅ……濡れ、て……るぅぅっ! んあぁぁっ!」

「あはっ、とっても良い感じですわねお嬢様。ではそのままいやらしい言葉も述べてみましょうか。『私はオナニーが大好きな淫乱です』さぁ」

「お、ふあああぁぁっ! わ、たしはぁぁ、んぁぁぁっ! オナニー、が、んんっ! 大好、大好きなァァぁ! んああふあぁっ! 淫乱ですぅぅ、んあぁぁっ!」

「良いですわよぉお嬢様。さぁ、もっと激しく、気持ちよくおなりになってくださいませぇ」

 ミラの言葉を受け、雪華は己の女裂に沿って上下に動かしていた指先をさらに激しく動かし始めた。

「これぇ、これえぇっ! すごい気持ちいいい! オナニーぃぃ、気持ちいいぃ! 気持ちいいよぉぉ!」

「あは。オナニーをすることは最高に気持ち良いことなんですわよお嬢様。もっともっと気持ちよくなりましょう。そしてもっともっと美しく、フェロモンむんむんなお嬢様に生まれ変わりましょうね」

「ふぁぁぁっ! あっ! んぁぁぁ! なるぅぅ! 生まれ変わるのぉぉ! んはぁぁぁ! んあぁぁぁっ!」

 顎をのけぞらせながら快楽を叫ぶ雪華にミラはさらに告げる。

「お嬢様のオマンコ、ぐちゅぐちゅになってますわね。ほら、ご自身で鏡に映った姿を見てごらんくださいませ」

 その言葉を聞いた雪華は目の前の鏡に視線を向けた。

 鏡には、淫らに喘ぐ自分の姿が映っている。

「あぁぁ! エッチだよぉぉ、鏡の中の私ィぃ、すごくえろぉぉい。んはああっ!」

「お嬢様のオマンコが卑猥にぐにぐにと歪む姿、見えておりますか?」

「あぁぁぁっ! 見えるぅぅ、わらしのオマンコがぁぁ、グニグニ歪んでるのみえるよぉぉ! えろぉぉい。おまんこすっごくえろいのぉぉぉぉっ!」

 これまでの雪華からは考えられないような卑猥な言葉を叫ぶ口の端からは、白く泡立った涎が垂れる。

 乳首とクリトリス、そして愛液を噴き出す女裂をさらに激しくいじくりまわしながら、雪華は快楽に堕ちていく。

「あ……あぁ、はぁ……んぎぁぁっ!」

 感電したかのように、雪華は身体をビクンッ! ビクンッ! と小刻みに震わせる。

「あぁぁっ! 気持ちいぃっ、きもちぃぃぃよぉぉぉっ! 鏡に映った自分を見ながらオナニーするのぉ、気持ちぃよぉぉっっ! 最高だよぉぉっ! ふぁぁぁっ! んはぁぁっ!」

 どうして自分はこんなにも恥ずかしいことをしているのか。

 いや、もうそんなことはどうでも良い。今はこの心地よさを味わ続けていたい。

 至上の快楽の前に、雪華の思考は完全に消滅してしまっていた。

 もっともっと、エッチなことをしていたい。

 それしか雪華には考えられなかった。

「ふうううぅぅぅっ! んんっ! ひうあああぁぁぁっ!」

 猛烈な快楽が雪華の心を、思考を徐々に黒く塗りつぶしていく。

 そんな雪華の姿にミラは「うふふ」と黒い笑いをこぼした。

「んあぁぁあぁぁぁっ! んっ! んっ! んんんぅぅっ! ふああぁぁっ! あっ! んあっ!」

 そしてついに雪華の身体の中心で溜め込んでいたものが一気に爆発した。

「い、イクぅぅっ……イキますぅぅぅ……わたし、わらしぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ! あああぁぁぁっ! いくっ! イクぅぅぅぅっ! イッちゃうのぉぉぉっ! インぐぅ、イングウぅぅっっ!」

 絶頂を迎えびくんびくんと激しく痙攣を繰り返す雪華に、ミラが間髪入れずに呟く。

 

「さぁお嬢様、私と一緒に言ってくださいませ。『私はエッチな女の子です』」

「……わ、私はぁぁ、えっちなぁぁぁ、おんな、のこぉ……れふぅ」

「『男を誘惑するのが大好きです』」

「おろこぉぉ、誘惑すうのぉ、だいす、だいすきぃぃ、れ、すう……んあっ!」

「『私は、エッチな女の子です』」

「私はぁぁ、エッチなァァ……誘惑するのぁ……ぁぁ」

 それから気を失うまで、雪華は己の女裂をこすりながらミラの指示通り、己の卑猥なアヘ顔の映る鏡に向かってそう言い続けるのであった。

 

「お、おい……なんか……」

「あぁ、なんか、なぁ……」

 いつもよりも教室が騒がしい。

 男子たちが色めきだっているのを、雪華は肌で感じていた。

「なんかさ、今日の和代、いつもよりも色っぽく見えねぇ?」

「あぁ、なんかいつもと違うよな。気持ち、スカートも短くね?」

 そんな声が聞こえてくる。

 確かに今日はいつもよりもスカートを五センチも短くしているし、実は下着も紐のをつけてきていた。

 ミラが言っていた通り、男子ってそういう変化に気づくんだ……っていうかこれ、私が男子たちからとっても注目されてるってことだよね。

 そう思った瞬間、雪華の股間からじゅわっと愛液が溢れだす。

「……んふっ」

 何気なく微笑んだ雪華の姿を見た男子たちが、前傾姿勢になっていく姿を雪華が微笑ましそうに横目で見ていると、

「……わ、和代」

 と、近くの席の男子、湊(みなと)が消しゴムを手に雪華の元へとやって来た。

「ん? なぁに? 湊くん」

 机に肘をつき、顎の下に手を置いた雪華は湊の目をじっと見つめながら尋ねる。

「えと、その……これ、お前のだろ。そこに落ちてたぞ」

 そう言って湊は、雪華に手に下消しゴムを差し出した。

 雪華は湊を見つめたままニヤッと微笑み、

「ありがと、湊くん」

 湊の手から消しゴムを受け取った。

 その際、雪華はあえて湊の掌を指先でなぞる。

「……お、おう」

 手のひらを撫ぜられどぎまぎした様子の湊に、雪華はパチンとトドメのウインクをする。

「じゃ、じゃあな」

 湊はそう言うと、その場から去ろうとしたが、

「あ、ちょっと待って。湊くん」

 パッと、雪華は去って行こうとする湊の手を取った。

「え、お、あ?」

 突然雪華に手を握られた湊は、慌てふためきながら、

「な、なんだよ、い、いきなり」

 そう尋ねる。

 雪華は上目遣いのまま湊を見つめ、

「あは、そんなに慌てないで大丈夫だよ、湊くん。別にとって食べちゃうってわけでもないんだからさぁ……ねぇ、湊くぅん? 今日ぉ、放課後とか暇ぁ? もしよければさぁ、消しゴム拾ってくれたお礼にぃ」

 もったいぶったように告げる雪華は、そのままそっと湊の耳元に口元を寄せ、

「放課後、私と一緒にイ・イ・コ・ト、しなぁい?」

 そう呟いた。

 その言葉を聞いた湊が慌てて前傾姿勢をとったのを見て、雪華は再び「あはっ」と微笑むのだった。

 

 

 放課後の誰もいない教室。

 そこに響き渡る、淫らな水音。

「んはぁぁぁ、はぁぁっ……湊くんのちんぽぉ、良いにおぉぉい。んろぉぉぉ……おちんぽ、らいすきぃぃぃ……んぼぉぉっ、んじゅっ、じゅるるるっ! じゅぼぉあぁぁ!」

 教室の真ん中で、制服姿の雪華が湊のいきり立つ肉棒にしゃぶりついていた。

 湊の肉棒から漂ってくる性臭をたっぷりと吸い込み、はぁはぁと荒い息遣いをあげる雪華。

 そんな雪華を取り囲むように立つ、ズボンを脱ぎ捨てた男たちは、そのいきりたった肉棒を雪華の頬や髪、制服に押し当てて、同じように荒い気を吐く。

「んんんぱぁっ! あはぁ、湊くんのおちんぽ、最高だったよぉぉ。他のみんなのおちんぽはぁ、どうかなぁ?」

 湊の肉棒を口から吐き出した雪華は、自分を囲む男たち一人一人の顔を眺めながら、

「あぁぁ、みんなおちんぽ勃起させてるぅ。ねぇ、それって私が可愛いからだよねぇ? 私が可愛いから、みんなおちんぽを勃起させてるんだよねぇ?」

 そう尋ねた。

 するとその中の一人が、

「あぁ、和代は最高にかわいくて、めっちゃエロイ。だから、な」

 そう述べながら、己の肉棒をそっと雪華の目の前に差し出してきた。

 ビンッ! ビンッ! と脈打つ肉棒を見た雪華は、

「あぁん、ありがとっぉぉぉ、うれしいよぉぉ。やっぱり私ってぇ、可愛いんだよねぇぇ。じゃあお礼にぃぃ、君のおちんぽぉ、たぁっぷり舐めてあげるぅぅ。他のみんなもぉぉ、そのくっさいおちんぽぉぉ、私のいやらしいベロで、ぺろぺろしてあげるからぁ、待ってて、ね……んあぁぁっ、んぶっ。んぬぅぅ……ぶじゅるるるるるっ!」

「くおっ!」

 湊の肉棒を舐め上げ、すでにどろどろになっていた口内に男の肉棒を咥え込む。

 雪華の口の中の心地よさに、肉棒を咥えられた男子は思わず唸り声をあげた。

「んじゅぞぞぞっ! ぞぞっ! んじゅぅっ! じゅうるるっ! んじゅるるるっ! んばぁぁあっ! おいひぃぃっ! おいしいよぉぉっ! じゅるるるるっ! んじゅうぅぅっ!」

 鼻の穴を大きく膨らませながら、男の肉棒をしゃぶり続ける雪華の様子に、

「っぉぉ、こ、れは……」

「え、えろぃ!」

 周囲の男たちから思わず声が上がる。

「ろぉぉ? 雪華のおくひぃぃ、えろぃぃぃ? 私ィ、ふぁわいい、えっちなおんなのほぉぉ?」

「あぁ、和代の口マンコ、最高だぜ……ちんこ、溶けちまいそう……あああっ!」

 肉棒を咥えられた男から称賛の声が上がる。

 その声を聞いた雪華は、

「んぷはっ! じゅろじゅろっ……んじゅ、褒められたぁ。んちゅぷ、じゅぷ、ちゅろっ! うれしいよぉぉぉ、んじゅるうっ!」

 男の肉棒をさらに喉奥にまで咥え込み、嬉しそうにほほ笑む。

 そんな雪華に、他の男たちから、

「ほら雪華。ちんぽ一本だけじゃ満足できないだろ? そろそろ俺たちのちんぽも相手しろよ」

「お、俺のも!」

 そんな声が上がった。

「んぶうぅ、んちゅぅ……んちゅぴっ! あはぁっ、おちんぽぉぉ、いっぱあぃ、相手すぅるぅぅぅぅっ! んはぁぁっ!」

 その言葉に応えるように、咥え込んでいた肉棒を口から引き抜いた雪華は、別の肉棒を片手でにちゅにちゅとしごきながら、周囲の肉棒を一本ずつ、物色するように眺めた。

 何本もの肉棒から漂ってくる強烈な男の匂いに、うっとりとした表情を浮かべ、

「あはっ! このおちんぽでっかぁい、これ、たぁべちゃお……んぶあぁあっ! んじゅるるるっ!」

その中から好みのものを見つけたのか、今度はその肉棒を口に咥え込んだ。もう一方の手にも、近くにあった別の男の肉棒が握られており、左右の手が同時にゆっくりと、男たちの肉棒をしごき始める。

「んじゅるるうっ! んじゅっ! ぢゅるるるるるっ! んばぁ、こっちもぉ……んじゅるるるるっ! んぢゅううぅっ! じゅぴぃっ! じゅるるっ! これもぉぉっ! んじゅぅっぅっ。これもだいすきぃぃぃっ!」

 周囲にある男たちの肉棒を順番に、片っ端から手にとってはしごき、口に含んで舐めまわす。

「んじゅるるるるっ! んはぁぁぁっ! んばぁぁっ! ぢょぞぞぞ! ぢゅろろろろっ! んうっ、んはっ、んんんんっ!」

 やがて雪華の口と手の刺激に耐え切れなくなったのだろう、肉棒を刺激されていた男たちは脚をぶるぶると震わせ始め、立っているのもやっとという感じになってきた。

 その様子を感じ取った雪華は、咥えていた肉棒を口から取り出し、

「あはっ。もう出そうなの? 出そうなんだね? いいよぉ、みんなの精液ぃ、雪華がぁ、ぜぇんぶ顔で受け止めてあげるからぁ。ほら、出して、出してぇ……ほらぁ、はやく出してぇぇっ!」

 妖艶な笑みを浮かべながらそう叫ぶ。

「ううっ!」

 ついに男の一人が大量の精液を雪華の顔面に吐き出した。

 するとそれに呼応するかのように、周囲にいた男たちも次々と射精を始める。

 バシャバシャと音を立てながら大量の精液が雪華の顔面目掛けて降り注いでいく。

「ああああっ! あつうぅぃ! みんなの精子、すっごくあつくてぇぇぇ、すごぉいにおぉぉぃぃぃぃ! あはぁっ! すきぃぃっ、これすきぃぃぃっ! 精液大好きぃぃぃぃ! んはぁぁっ!」

 大量の精液を顔面に受けながら、雪華は恍惚の笑みを浮かべそう叫ぶ。

「んぁはぁぁぁぁっ、すっごぉぉい、熱い精液ぃ、いっぱぁぁい、んちゅぅ、んじゅるっ。ぴちゅあ……っ」

 最後の男が射精を終わると、雪華は自分の顔にぶっかけられた精液を指ですくい取っては口へと運んでいく。

 口の中で精液の味をじっくり感じながら、精液をこくん、こくんと嚥下していく雪華の姿に、

「ほら、雪華、さっさと服を脱げ。んで、俺の上にまたがるんだ!」

 我慢できなくなった男の一人がそう叫んだ。

「はぁい」

 雪華は嬉しそうに、男に言われるがまま、精液でべとべとになった制服を脱ぎ捨てると、教室の床に寝転がった男子の上にゆっくりとまたがっていく。

 すでにぐちょぐちょになっていたショーツを床に、ぽいと投げ捨てる雪華。

 ぐちゃりという艶めかしい音が教室に響く。

「あはあぁぁ、入れるよぉ、いれちゃうよぉぉ……んんっ!」

 精液を大量に浴びたことで完全にスイッチの入った雪華は、すでにぐちょぐちょに濡れそぼっていた女裂に肉棒をあてがうと、そのまま一気に己の膣内へ挿入した。

「んははあぁぁぁっ!」

 躊躇なく肉棒をずぶずぶと飲み込んでいく雪華の膣内は、まるで生物のようにウネウネと蠢き、男の肉棒を膣の奥へ奥へと誘う。

「くっ、すごっ!」

 雪華の膣内はまるで何十万匹ものみみずが這いずり回っているかのように蠕動しており、男の肉棒をあらゆる方向からねっちょりと包み込んでいく。

「あぁぁぁっ! きもちいぃぃぃぃっ! このおちんぽぉ、硬くて、すっごぉぉぉい!」

 肉棒を最奥まで飲み込んだ雪華は、男の胸に両手を当てると、そのまま腰を前後に激しく振り始めた。

「んほぉぉぉっ! んっ! んひぃぃぃっ! おちんぽぉぉぉ、きもちぃぃっ! 「んおぉぉっ! ほぉぉっ! ぎもじ、ぎもじちぃぃぃぃぃっ!」

 雪華の痴態に感化されたのか、周囲にいた男たちは先ほど射精をしたばかりだというのに、すでに硬く勃起した肉棒を激しくしごき始めた。

 雪華のいやらしく動く腰と尻の動きを凝視しながら、にゅちゅにゅちゅと音を立てながら肉棒をしごく男たちの、刺さるような視線を受けた雪華は、

「あはぁぁっ! 見られてぅぅっ! 雪華のいやらしい腰ふりぃ、みんなに見られちゃってるぅぅぅっ! んはあぁぁぁっ! さいこぉぉっ! もっとぉ! もっと見てぇぇえっ! 雪華のいやらしい姿をもっと見てぇ!」

 視姦されることに快感を覚えたのか、髪をさらに振り乱し叫んあ。

 その腰の動きはさらに激しさを増し、前後へのグラインドの幅も大きくなっていく。

「んあああああっ! んひぃぃぃっ! あっ! ああっ! あああああぁぁぁっ!」

「くっ!」

 そのあまりにも激しい動きがもたらす快感に、男も思わず顔を歪める。

 その表情を真上から見下ろしながら、

「あはっ! その顔ぉ、すっごく気持ち良さそぉ。んあぁぁぁっ! そんなに雪華のオマンコが気持ちいのぉ? んんあっ! 雪華に乗っかられてぇ、ぐちゅぐちゅのおまんこでぇ、がっちがちのおちんぽをしごかれてぇ、気持ちいいのぉぉぉ?」

「あぁ、気持ちいいぞ、雪華……ぐあっ!」

 ぱぁんっ! ぱぁんっ! という肉同士のぶつかり合う音が教室に響き渡り、それがまた卑猥な雰囲気を引き立てる。

 二人の痴態を見つめる男たちも、肉棒をしごく手により一層、力をこめる。

「あぁぁっ! もうっ! だめぇぇえっ! 気持ちよすぎるううぅ!」

 下からの強烈な腰の突き上げに耐え切れなくなった雪華が、天井を仰ぎ見るくらいにのけぞりながら喘ぎ、啼く。

「あああっ! もっとぉぉっ! もっとしてぇぇぇっ!」

「ぐっ、ごあぁぁっ」

 前後だけではなく円を描くように動かし始めた雪華の腰の動きに、組み敷かれた男はついに限界を迎えようとしていた。

 それを膣奥で敏感に感じ取った雪華が、

「あぁぁっ! おちんぽびくびくしてるぅぅっ! イクの? 射精しちゃうの? いいよぉぉっ! ガンガン感じまくっている雪華のオマンコの奥にぃぃぃ、精液ぃぃっ! たっぷり中出ししてぇぇえっ!」

 卑猥な叫び声をあげた。

 それとほぼ同時に、

「ぐううっ!」

 肉棒から大量に放たれた白濁の欲望が、雪華の子宮口に吹きかけられた

 びゅるるるるる! びゅぶぅぅぅっ! びゅるるるるる!

 それに合わせるように周囲の男たちも、雪華の全身めがけ再び大量の精液を吐き出していく。

「あああああっ! すごぃぃぃぃっ! オマンコの中ぁぁ、身体全身でェェェ、熱い精液を感じるぅぅぅっ! あああああぁぁぁぁっ! あっ! あはぁぁぁぁぁぁっ!」

 びしゃびしゃと降り注ぐ精液の雨を全身に浴びながら、雪華は舌を天井に向けて突き出して身体を激しく震わせた。

「すごぉぉいぃぃっ! 精液のにおいぃぃっ。男の人のにおいぃぃぃっ。あっ! 匂いで、また、ああぁぁっ! イクっ、匂いだけでイッちゃう! 精液のにおいでぇぇぇぇっ! だめぇっ! だ、めっ! あっ! あぁぁぁぁっ!」

 雪華は狂ったように笑いながら、

「あはっ! あははっ! 雪華、しあわせなのぉぉ。エッチな私をもっと見てぇぇぇ! 男子から振り向かれたいのォォォ! んあぁぁぁっ! あぁぁぁっ! あひあぁぁぁっ! あはっ! あははっ! あひぃあああっ!」

 男の上で腰をがむしゃらに振り続けた。

「あはっ! あはははっ! たのしぃぃぃっ! たのしいいよぉぉぉぉっ!」

 あれ? 私どうして男の人に注目されたいって思ったんだっけ?

 ふとそんなことが雪華の脳裏によぎったが、

 まぁ、もういいや。もっと気持ち良りたいもん。もっと気持ちくなろぉぉ。可愛くてエロイ私を、もっと見てぇぇ、もっと犯してぇぇ。

 やがて雪華の意識は、快楽という名の怪物に飲まれてしまった。

 

「……こうして、和代雪華は、男たちから愛される淫乱ドスケベな姫になりましたとさ。めでたし、めでたし」

 かつて雪華に貸し出した黒い表紙の本を読み終えた康介は、ぱたりと本を閉じた。

 かつてタイトルのなかったその本の表紙にはいつの間にか『エロイキ姫』のタイトルがピンク色の文字で書かれており、アヘ顔をさらす雪華と肉棒をさらけ出す男たちのイラストが描かれていた。

 そんな本の表紙を優しく撫でながら康介は、

「たくさんの男の人たちに振り向いてもらって、一生愛してもらえる人生を送れるようになって良かったね、和代さん……例えそれが性欲処理便器だとしても、ね」

 そう述べた。

 そんな康介のその背後から、

「あはっ。今回もおいしい女の子の魂をありがとうぉ、ご主人様ぁ」

 白く長い腕がそっと伸び、康介の首にゆっくりと巻き付いた。

 ピンクのアイシャドウと長い黒いアイラインを引いた女の子の顔が、康介の頬にぴたりとくっつく。

 そのまま女の子は紫色に塗られた唇を康介の耳元に近づけ、

「でもぉ、私が今一番欲しいのはぁ……ご主人様のその魂なんだけどなぁ」

 そう呟いた。

 康介はその顔をそっと押しのけ、

「これで三人目。あと十人集めたら、その話もなかったことになるんでしょ。メア……いや、今回はミラ、と呼ぶべきかな」

 貸し出しカウンター内に立つ、黒いマイクロビキニを身にまとった小柄な女の子、メアはケラケラと笑いながら、

「んもぉ、相変わらずイケずだなぁ、ご主人様はぁ。そんな大変な思いをしなくても、ご主人様が私にその魂を差し出してくれれば、すぐ済む話なのにぃ。しかも……この世のものとは思えないとびきりの快楽つきで、だ、よ?」

 真っ赤な長い舌で自分の紫の唇をペロッと舐め上げながらそう述べた。

 そんなメアの姿に、いつもは笑顔を崩さない康介はむっとした表情で、

「メアの誘惑に乗るつもりはないよ。大変かもしれないけど、僕は残り十人のピュアな女の子の魂を君に差し出す。そうすれば君は十三人の女の子を淫魔界に誘い込めるし、僕は僕の望みを叶えることができる。それでいいだろ」

 そう述べた。

 康介のその言葉にメアはぶぅと頬を膨らませながら、

「んもぉ、相変わらず頑固なんだからぁ」

 そう述べた。

 そのままメアは康介から黒い本を取り上げ、

「ま、とりあえずこの本は貰って行くね。雪華ちゃん、とってもエッチな子になってくれたし、素敵な淫魔になってくれそうだよぉ」

 その表紙を優しく撫ぜながらそう呟いた。

「……他の二人はどうしてる?」

 康介の問いかけにメアはにやぁと微笑みながら、

「あはっ。鈴ちゃんもアリスちゃんも頑張ってくれてるよぉ。男の子たちの新鮮な精を吸って、さらにエッチに、大胆になってるもん……今度、連れてきてあげようか?」

 そう尋ね返してきた。

 康介はしばし考えこんでから、

「いや、いい」

 と、メアに告げた。そんな康介の顔を覗き込みながら、

「あれぇ? もしかして自責の念にでもかられちゃってるのぉ? だったらぁ、ご主人様の魂を差し出してくれればぁ、三人とも淫魔から元の人間に戻れるんだよぉ?」

 先ほどと同じ質問を投げかけた。

「……くどいようだけど、そのつもりはないよ」

 康介がそう強く述べたところで、

 ガラガラッ!

 と、図書室の扉が開かれる音がした。

 図書室にやってきたのは、一冊の本を抱えた眼鏡の少女だった。康介は普段通りの笑顔を顔に張り付け、

「いらっしゃい。ようこそ図書室へ。本をお探しですか?」

 そう眼鏡の少女に問いかける。

 その背後にメアの姿はない。まるで最初からそこにいなかったかのように、忽然と姿を消していた。

 眼鏡の少女ははにかみながら康介に尋ねる。

「あの……図書委員さんのおすすめ本、ありますか?」

 康介は少女の顔を見つめながら、

「はい。勿論ですよ。どうですねぇ。あなたには……この本なんていかがですか?」

 タイトルのない、真っ黒な表紙の本を手渡すのであった。

4件のコメント

  1. 読ませていただきましたでよ~。

    おしとやか・・・というか引っ込み思案の女の子が妖艶エロエロになるお話でしたね。
    桃子ちゃんとの会話から勝ち気な本性を曝け出されてその上で屈服させられるのかと予想しながら読んでたのでぅが、そんなことは全然なかったw

    独占スキーなみゃふとしては肉便器展開はぬぅとなったのでぅが、康介くんが鋼の意志で自分の霊を売らない以上、手を出すこともなさそうなので仕方ないでぅね。

    であ、次回作も楽しみにしていますでよ~。

    1. 霊てなんだw
      たましいって書いたのに変換候補で出てるの見てなかった・・・
      っていうかたましいで霊って変換できるんだなぁgoogle日本語入力

  2. 久しぶりの投稿ですが、催眠や洗脳を使って文を書くって難しいと改めて思いました。
    他の投稿者様の凄さに改めて感心させられました(^^)

    催眠や洗脳で女の子が、堕ちていく様子はめっちゃ好きなので、これからも読者の皆様を楽しませる作品を書いていきますm(__)m

  3. あ、名前を入力し忘れました(ーー;)
    ぽぷらです(ーー;)

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