「何か言いたそうね。騎士グレイ・マフリー」
 この街の警備隊隊長マリア・デ・ラ・トリニダートは、緑色の瞳に憤怒の色を浮かべたまま俺の名前を呼んだ。
 俺より十も若いが、その年よりも幼く見える童顔だ。細く折れそうな小柄な体躯と相まって、まるで小娘に罵倒されているかのような錯覚を覚える。