「やっぱりどこも高いわね。東京のお部屋って」
 母親がため息交じりに呟く。娘の方は、無言で物件のリストに目を通していた。不動産会社からもらってきたものだ。
 つい先日、都内の大学の合格通知を受け取ったばかりだった。

806 後編

後編 (16) 「ああ…ああ…いい……」  千秋は全裸になり、ベッドの上で喘いでいた。   「私…私ぃ…悪い子になっちゃった……」  自己嫌悪にとらわれる。オーナーと清香の情事の翌日、結局学校には行かなかった。真面目な千

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806 前編

前編 (1)  平日の昼間。電車の中は、余り混んではいなかった。春の暖かい日差しの中ゆったりした雰囲気が漂う車内で、手にした資料を見つめる親子がいた。 「やっぱりどこも高いわね。東京のお部屋って」  母親がため息交じりに

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