第一話 1. 広い部屋があった。その広い部屋の一番奥に、背の高い玉座があった。 そしてその玉座は真っ赤だった。まるで血を塗りたくったような、ただの赤ではない、深い赤、これぞ深紅とでも呼ぶべき色で、玉座は一色に塗られて
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広い部屋があった。その広い部屋の一番奥に、背の高い玉座があった。
その玉座に座る長身の男の目の前に、黒髪の女が傅いていた。
だが、彼女は息をしていなかった。そして、ぴくりとも動かなかった。
「そして、時は動き出す……で、いいんだよネ?」
誰に問うているのかすらわからないその呟きの直後、全てが動き出した。