広い部屋があった。その広い部屋の一番奥に、背の高い玉座があった。
 その玉座に座る長身の男の目の前に、黒髪の女が傅いていた。
 だが、彼女は息をしていなかった。そして、ぴくりとも動かなかった。
「そして、時は動き出す……で、いいんだよネ?」
 誰に問うているのかすらわからないその呟きの直後、全てが動き出した。