幻市 第四章

第四章  さあ、どこまで話したっけ。  そうそう、友達が来てるさなか、僕が発作を起こしたんだったよね。大事な所なんだ。このあたりから大きな距離のあった《シンイチ》と《てん》の間が急速に近づき始める。  《てん》に感情が芽

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幻市 第三章

第三章  《シンイチ》は自分自身を恐れていた。彼自身事態を正確に把握できていたわけではなかったけれど、いくつか彼が推定したことがある。 一つ、時々自分は性的衝動を抑えられなくなって暴行魔になってしまうことがある(覚えてい

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幻市 第二章

第二章  《シンイチ》は2日間、寝込むことになった。  病院からも、警察からも何の連絡もなかったけれど、野杖医師に対しておこなった行為が何の咎めもなしに済まされるとは思えず、《シンイチ》は怯えていた。  滅多に寝付いたこ

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幻市 第一章

[編集部注]  本稿はKなる人物により当編集部に持ち込まれた音声テープを文字起こししたものである。Kは自称フリーターであり、このテープはKにより仕掛けられた盗聴器により盗聴された物との事である。  当編集部はKが行った盗

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