第一章
― 0 ―
チャイムの音がした。
ぼく――佐原裕司は自室でベッドに寝転がり、あからさまに暇つぶしといった様子で車専門の雑誌をめくっていたのだけど、その音に反応して身体を起こした。
階下に家族がいるのは知っている。けれど、この時間に来る予定の客は、ぼくにとっても大事な人間・・・少なくとも、第一印象を悪くする訳にはいかない相手だ。なら、家族全員で出迎えるのが正しい作法だと思う。
「あ、おにいちゃん。おにいちゃんもお出迎え?」
「・・・」
部屋を出ると、ぼくは隣の部屋からそっくりで似てないという矛盾した双子の姉妹が出てくるところに鉢合わせた。
最初に声を掛けてきたのが胡桃。無言で小首を傾げるようにして裕司を見
ているのが苺だ。
「うん、早く会ってみたいしね」
裕司の言葉に、胡桃はどこか儚げな表情に笑みを浮かべて頷いた。
「仲良く・・・なれるといいなぁ・・・」
自信が無さそうな口調で、胡桃は弱々しく微笑みながら口にした。可愛らしい顔立ちで、本来ならもっと自分に自信を持っていてもよさそうなのに、胡桃はいつも自分自身を疑ってるような、本当にそれでいいのかなぁ、なんて感じの喋り方をする。
俯き加減に顔を伏せると、胡桃のポニーテールが寂しげに揺れた。
「・・・」
苺がやや無表情掛かった薄い笑顔で、胡桃の頭を撫ぜた。一応、元気付けているらしい。だが、ここまでくると無口というよりも、不思議ちゃんという感じがする。なにしろ、家族でもあまり声を聞いたことがないという徹底振り。顔の造形は胡桃と一緒なのに、受ける印象はまったく違う。
「うん・・・ありがと、苺ちゃん。えへへ」
言葉は掛けられなくても、苺の意思は伝わるという事だろうか。いつも疑問に思うんだけど。もしかしたら、この双子にはテレパシーが繋がっているのかも知れない。
まぁ、どちらもぼくの可愛い妹達という事実は変わらないから、まったく問題は無いんだけどね。
そんな事をしてるうちに、1階の玄関から声が聞こえてきた。両親がお客さんを迎え入れたんだろう。
「ほら、きっと大丈夫。だから、まずは挨拶に行こう」
ぼくは二人に声を掛けると、階段へ向かって歩き始めた。二人の足音を聞きながら階段を下りるとだんだんと玄関から聞こえる声が明瞭になっていった。言葉少なめな、厳格な父の声。おっとりとして、名前の通りの春の海のような母の声。そして、少し高めで、可愛らしい感じの女の子の声。
「はじめまして。佐原裕司と――」
挨拶の途中だというのに、ぼくは目の前の人物に衝撃を受けて、だらしなく口を開いたままフリーズした。
正直な話、もっと綺麗な人は見掛けた事はあったし、個人的な意見では女の人の価値は顔だけじゃないとも思ってる。
それでも、目の前に笑顔で佇んでいる彼女は、まるでぼくの価値観を覆す様な圧倒的な存在感を放っていた。
身長は低い。ぼくの胸くらいの位置に頭がある。全体的に小柄・・・というか華奢で、黒髪のフランス人形・・・そんな感じの子だった。
彼女は、その整いすぎた美貌でぼくを不思議そうに見上げ、にこりと笑みを深くした。
「紫道 舞といいます。ご迷惑をお掛けしますけど、宜しくお願いします」
ぺこりと頭を下げられて、
「えっと、あ、こ、こちらこそっ」
ぼくは慌てて頭を下げた。
後ろで妹達がくすくすと笑っている。それどころか、両親もここにいる訳で、とんだ醜態を晒してしまった気がする。
でも・・・。
微笑む彼女を前に、ぼくはこれからの生活に思いを馳せる。
きっとすごい毎日が待ち受けている、そんな気がした。
― 1 ―
舞ちゃんが来てから1ヶ月が経った。最初は戸惑い勝ちだったみんなも、今ではすっかり家族と言ってもいいぐらいに仲良くなった気がする。
彼女はぼくの遠い親戚で、彼女のお母さんが亡くなってからいままで、ずっと親戚付き合いが疎遠だったのが、彼女のお父さんが亡くなって天涯孤独になったため、後見人として父が名乗り上げたという事らしい。らしい、というのはワンマンな気味のある父は、直前まで家族には話してくれなかったからだ。ある意味酷い話だと思うけど、のんびり屋な母は「あらあら」の一言で済ませてしまうものだから、扶養家族なぼくたちが反対できるはずもなく。
ただ、籍を入れるかどうかは本人が成人するまでに決めるとの事で、立場的には中途半端な感じがしないでもない。それでも、母や妹達が舞ちゃんと仲良くしている様子を見ていると、このままでもいい気もするけど。
「どう、舞ちゃん。この家には慣れた?」
水を飲もうと行った食堂で、舞ちゃんとばったり会ったぼくは、そんな風に聞いてみた。逆に言えば、そんな事が聞ける程度には仲良くなったという訳だけど。
「はい、皆さんが良くしてくれるから、もうすっかり慣れちゃいました」
にこにこと、朗らかに舞ちゃんが答える。その笑顔には、父親を亡くして天涯孤独という少女の影は見当たらない。
父に教えてもらったのだけど、舞ちゃんの父親は資産こそ多いものの、人格に問題が多かったそうだから、舞ちゃんもあまり好きではなかったのかも知れない。
そう言えば、親戚なのに今まで会ったことが無いっていうのも、舞ちゃんの父親の問題が多いという性格のせいだったのかも知れない。お葬式に顔を出した父も、驚くほど寂しいお葬式だったと洩らしていたし。
「それは良かったよ。でも、何かあったら遠慮なく言ってね」
それは、特に意図があって言った言葉ではなかったと思う。けど、それを聞いた時の舞ちゃんの反応は、一瞬だったけどものすごくぼくの印象に残った。
きゅっと、唇を曲げる。
目が、すっと細まる。
たったそれだけで、舞ちゃんの笑顔は酷薄めいたものになった。
まるで、さっきまで微笑んでいたのとは、別人であるかのような。
「はい、そうさせてもらいますね。・・・遠慮なく、ね」
まるで魅入られたように、身動きすらできない。呼吸だって胸を押さえつけられたみたいになって、酷く息苦しい。
なんなんだろう。
怖くて・・・怖くて逃げ出したいのに、ぼくはぼくの意思で、舞ちゃんの前から動かない。動きたくない。それは怖いもの見たさなんて低俗なものじゃなくて、もっと心の奥底からの欲求だった。
「あ・・・」
ふと呼吸が楽になったと思った瞬間、舞ちゃんはいつもの笑顔でぼくの前にいた。今見たものが全て勘違いだったんじゃないかと思わせる、フランス人形めいた顔に柔らかい笑みで。
「どうかしました?」
小首を傾げて尋ねる彼女に、ぼくは小さく首を振って答えた。
「なんでもないよ。・・・それじゃあ、部屋に戻るね」
「はい」
ぼくは彼女に背を向けて、2階の自室へ戻った。
あの感覚はなんだったんだろう――時間とともにその思いは薄くなっていったけど、ぼくの心の奥底に、消し様もない棘が残ったような、そんな気がした。
― 2 ―
「ね、舞ちゃん。一緒にお風呂にはいろう。苺ちゃんも一緒で」
胡桃がそう言ったのは、みんなが夕飯を食べ終わった頃の事だった。ちなみに父は会社の仕事で出張に行き、今日は帰ってこない。会社でそれなりの地位にいる父は、仕事や接待で、まともに家にいる時間の方が少ないくらいで、たまに家にいるとみんなが驚くほどだった。
「いいわよ」
舞ちゃんが答える隣で、苺がコクコクと頷いた。胡桃はよく苺とお風呂に入るのだけど、それに舞ちゃんを誘うのは初めてだと思う。
ぼくは、裸のお付き合いという言葉とともに脳裏に浮かんだ映像を打ち消す様に小さく頭を振ると、自分の食器を流しに運んだ。
「・・・おにいちゃん、みちゃ・・・だめ・・・」
背後から、ぼそぼそという感じで苺が呟くのが聞こえた。たまに声を聞かせてくれたと思ったら、なんて事を言うんだ苺。
「裕司さんて、そういう事をする人なんですか?」
そんな事は無いと判っているという風に、くすくすと笑いながら舞ちゃんが尋ねる。胡桃は舞ちゃんの正面の席で、顔を赤くして俯いていた。
「しませんて。こんな良いお兄ちゃんは、そうそういるもんじゃないですから」
澄ました顔を作って答えると、苺がにやりんぐ♪という顔でぼくを見ていた。兄を弄るなんて、なんて酷いことをするんだ。
「でも、私だったらご一緒しても大丈夫ですよ?」
笑いながら言う舞ちゃんに、今度はぼくが顔を赤くした。敗因は、舞ちゃんの言葉に一瞬でもそのシーンを想像してしまった事だと思う。もっとも、胡桃はさらに顔を赤くさせて、今にも蒸気を噴出しそうではあったけども。
「あらあら。ゆうちゃんも胡桃ちゃんも、恥ずかしがり屋さんだから、あんまりいじめないでいてあげてね、苺ちゃん、舞ちゃん」
「ええ、もちろんです、春海おばさま」
鷹揚に収める母さんに、これまた鷹揚に答える舞ちゃん。太刀打ち出来なさそうな雰囲気を読み取って、ぼくは肩を竦めた。
・
・
・
「苺ちゃん、あなたはえっちなお人形さんになるの。お人形さんだから、声も出せないし、動くこともできない。でも、えっちだからすごく敏感で、何をされても気持ちよくなっちゃうの。考えられるのはえっちな事だけ。感じられるのはえっちな事だけ」
いつも以上に感情を出さない、それどころか本当に人形のような無表情さで、苺はベッドの上に下着姿で脚を投げ出すようにして座っている。足を開いているので、パンツの股間の皺の形まで見えて、酷くいやらしく感じた。
舞ちゃんは歌うように抑揚を付けて囁くと、苺の耳元にから口を離して、今度は苺の正面に座っている胡桃の耳元へ口を寄せた。
「胡桃ちゃん、あなたは目の前のお人形さんと、身体が繋がってるの。だって、こんなにあなたとそっくりなんだもの。だから、お人形さんが感じる事は、あなたも感じる。お人形さんが動かされると、あなたもその通りに動くの。逆に、お人形さんが動かないと、胡桃ちゃんも動けないのよ」
舞ちゃんは胡桃の耳たぶにキスするみたいに、そんな言葉を流し込んだ。胡桃は茫とした表情で、身動きひとつしないままに苺を見つめている。
胡桃は苺と同じような姿勢で、ベッドの前の椅子に腰掛けてる。ぼくからは、胡桃を斜め後ろから見ている事になる。
「ふふ・・・ふたりとも可愛いわ」
舞ちゃんがほんの一瞬、ぼくの方を見たような気がした。
あまりの事に茫然として、身動きひとつ叶わないぼくを、嘲るような、揶揄するような、誘惑するような、そんななんとも言えない表情だった気が、した。
「じゃあ、はじめるわね」
舞ちゃんは艶やかに微笑みながら宣言した。するりと苺を背後から抱きしめるように密着すると、苺の右手の手首を取る。そのまま苺の左肩・・・自分の顔の前に誘導する。すると、まるで正面からリアルタイムで映像を映しているかのように、胡桃の右手がすぅっと持ち上がり、自らの左肩のあたりで止まった。舞ちゃんはそれを満足そうに見ながら、苺の手の甲に手のひらを重ねて、人差し指以外の指を折りたたませた。
「苺ちゃんはえっちなお人形さんだから、指先を舐められたら感じちゃうの。そうすると、身体が繋がってる胡桃ちゃんも感じちゃう。すごく気持ちよくなっちゃうの」
うふ、と小さく笑って、舞ちゃんは苺の人差し指をその小さな唇で咥えた。そのまま、ぴちゃ、ちゅぷ、くちゅ、といやらしい音を立てて、口の中で苺の指を舐めた。
「あ、んぅ、ひ、ああっ」
小さな喘ぎ声に視線を移すと、胡桃が顔を上気させて、うっとりとした表情で喘いでいた。薄く閉じた瞼が、ときどきヒクっと震える。見えない誰かに持ち上げられたような右手が、何か刺激を与えられているかのようにピクピクと動く。ぼくは、いままで子供だと思っていた妹が、突然女に成長したみたいな衝撃を感じた。
「次はこっちね」
舞ちゃんは苺の両手を取り、ブラを外させた。実際はそんな感じに手を動かして、外すのは舞ちゃんが行っていたみたいだけど、その動きを受けて、胡桃もブラを外した。二人のブラが同時に床に落とされる。
「ぅ」
二人ともあまり発育は良くないが、こうして生で見てみると、とても綺麗な形の胸だと感じた。自然と、二人の胸に目が引き寄せられる。喉がカラカラなのに、動悸が苦しいほどなのに、ぼくの目はただひたすらに二人の胸を凝視している。見てはいけないという認識すら、この激しい衝撃は打ち砕いた。
苺は横から見てやっと少しだけ判る程度の、酷く薄い胸だった。けど、興奮して大きくなっているからか、乳首が胸と比べて大きく感じた。小指の先ぐらいはあるんじゃないだろうか。
胡桃は苺に比べれば大きいけど、それでもやっぱりボリュームには欠けると思う。なんて言うか、手で包んだらすっぽりと収まってしまいそうな、そんな感じ。
それなのに、ぼくの目を惹きつけて離さない。気を抜いたら、ふらふらと部屋の中に入ってしまいそうだった。
「ふたりとも、とっても綺麗よ。今、気持ち良くしてあげるね」
舞ちゃんは苺の両手をとって、苺の二つのふくらみに導いた。手のひらを重ねるようにして、やわやわと苺の胸を押さえつける。
「ん、ふあ・・・」
甘い鼻声が、胡桃の口から漏れた。苺の手の動きに合わせるように、自らの胸を揉んでいる。それがどれほど気持ちいいのか、時々身体が跳ねるように、ヒクン!と暴れる。
「ほら、苺ちゃんも胡桃ちゃんも、すごく気持ちいいでしょう?」
苺はなすがままで、表情も動かない。けど、顔が真っ赤に染まっていたり、脚の付け根で下着が濡れていたりと、快感を感じているのは間違いないみたいだ。
胡桃は乳首が弱いのか、指が乳首に触れる度に身体を大きく震わせていた。けど、自分で思うように指を動かせられないからか、気持ちよさともどかしさの混ざり合った表情を浮かべてる。
「ふふ、触って欲しいのよね・・・ここ」
舞ちゃんは苺の指を誘導して、乳首の頂点を押さえてくりくりと転がすような動きをした。その快感に耐え切れなかったのか、人形のように脱力していた苺の身体が、ビクっと跳ねた。
「ひあっ!ぁああっ!」
同じように指を動かした胡桃が、一際大きな悲鳴を上げた。苺とは対照的に、涙や涎を流しながら、快感で責め苛まれているかのように、頭を振りたくっている。ポニーテールが激しく揺れた。
「こんな風に、して欲しいのよね?」
舞ちゃんは興奮しているかのようにテンションの高い様子で、自分の唇をチロリと舐めてから、苺の指で苺の乳首を摘まむように動かした。まるで壊れかけた自動人形のように、苺が何度も小さく痙攣する。表情も、まるで必死に無表情を装っているみたいに、ヒクヒクと表情筋が動くのが見えた。
「イイ゛っ、は、ああああっ」
泣き声のような声を噛み締めた歯の間から押し出したのは、今にも泣き出しそうな、それでいて嬉しそうな表情の胡桃だった。
自らの両胸を押し潰すような勢いで、指先で乳首を摘まみ、手のひらで双丘をぐりぐりと捏ねている。手が動くたび、胸の肉がいやらしく形を変える。
「はい、ここまでよ」
舞ちゃんは双子の昂ぶりなど知らないとばかりに、苺の手を胸から外した。同時に胡桃の手も胸から外れる。
「あ、やぁっ!」
突然快楽を取り上げられて、胡桃は抗議の悲鳴を上げた。さっきとは別の意味で泣きそうな声だ。
「だいじょうぶ。ちゃんと最後までイカせてあげるから」
舞ちゃんはそう言うと、苺の両膝を外に向けるようにしてた。M字型に開かれた脚の付け根は、信じられないほどの愛液に塗れて、女の子の形がはっきりとわかるぐらいに張り付いていた。それどころか、刺激を待ち望むかのように、ヒクヒクと震えている様子まで見える。
「まずは、どれだけ気持ちいいか、教えてあげるね」
フランス人形のように整った顔に小悪魔めいた笑みを浮かべて、舞ちゃんは苺の右手を取って、今度は中指だけを立てた形に指を動かした。胡桃に見せびらかすように、そのまま苺の秘所へとゆっくりと動かしていく。
「まずは、パンツの上から・・・」
苺の指先が、舞ちゃんに導かれて割れ目の形を浮き彫りにしたパンツをこすった。下から上へ、濡れた下着を押し上げるクリトリスをくすぐり、また下の方へと指を躍らせる。
白く濁った愛液が苺の指先を濡らして、指を離しても粘液の糸がつぅっと伸びるぐらいだった。
「あっ、ああっ、やめないで・・・お、おねがい・・・もっとぉ」
胡桃は羞恥心など無くしてしまったかのように、いやらしい行為をおねだりしている。もっとも敏感な部分を弄った事で、より一層の飢餓感に襲われているみたいだった。普段のおとなしい胡桃の様子からは、まったくの別人のようだ。それとも、胡桃が今感じている快感は、それ程までに凄い快感なんだろうか・・・。
「次は、直接触って、入れてあげるわね」
舞ちゃんは苺の背後から手を伸ばしてパンツの底の部分をずらすと、苺の右手を取って再度その場所に誘導した。けど、さっきと違うのは、パンツの上から形をなぞるのではなく、まるで何かを待ち侘びているかのような秘裂の奥・・・膣に苺の中指を入れさせた事。
「ああ、イ、いいっ!いいよぉっ!」
舞ちゃんに操られる苺の指とまったく一緒の動きで、胡桃は自分の膣を掻き混ぜる。指はあまり深くまではいれていないみたいだけど、その感じ方はいつもの純真な胡桃からは想像も出来ないくらいだった。
全身が汗に塗れ、キラキラと蛍光灯の下で輝く。涙と涎で汚れた顔は、けれどもとても幸せそうで。
「指で掻き回される気持ちよさ・・・これで覚えたよね」
そう言って、舞ちゃんは苺の手を動かした。
手首を握って、両手を広げるような形に。
苺を愛撫する存在はなくなり、苺の動きをトレースする胡桃もまた、快感を取り上げられる。
「やぁっ!お、おねがいっ、くちゅくちゅって・・・くちゅくちゅってもっとしてよぉ!せつなくて、あたま、ヘンになっちゃうよぉ・・・うぅっ」
胡桃の顔が、くしゃっと歪む。今にも泣きだしそうな子供みたいな表情で、あられもなく懇願する。対照的に苺は、やはり胡桃と同じ心境なのか、無表情のままで静かに一筋の涙を流した。
「泣かないの。今からしてあげるから・・・ね?」
舞ちゃんは微笑みながら、右手を苺の秘所に、左手を右胸に伸ばした。どちらも触れる寸前で止めて、胡桃に視線を戻した。
「胡桃ちゃんは、このお人形さんと繋がってるの。だからお人形さんが動けば胡桃ちゃんも動くし、お人形さんがえっちな事をされると、胡桃ちゃんもえっちに感じちゃうの」
それは、舞ちゃんが最初に胡桃に言っていた内容。楽しげに抑揚をつけて言うと、舞ちゃんは苺に触れる寸前で、自分の手を胡桃に見せびらかすように動かした。たったそれだけで、胡桃の心にいやらしい期待が生まれる。
「ぁあ・・・さわって・・・いっぱい、さわって!」
胡桃は食い入るように舞ちゃんの手を見詰めながら、悲鳴みたいな声で懇願した。これが普段あんなにおとなしくて、声を荒げたりする事が無い胡桃かと驚いた。
これ以上焦らしても可哀想と思ったのか、舞ちゃんが苺の秘所のぎりぎり近くで留めいていた中指を、ゆっくりと挿入した。しとどに濡れそぼったそこは、やすやすと・・・いや、むしろ自分から引き込むみたいな感じで、舞ちゃんの中指を飲み込んでいく。
「うぁっ、い、いいッ!すごいよぉ!!」
胡桃が腹筋をヒクヒクと痙攣させながら、押し出すように嬌声を上げた。さんざんおあずけを食らった後で、いっそう快感が深く感じられているように見える。
「胸も、いっしょにしてあげるね」
舞ちゃんがぐちゅぐちゅと音を立てて苺の膣内を擦りながら、左手で苺の弾けそうな乳首を指の股で挟み、右胸全体を押さえ付けた。ゆるゆると手を動かして、胸を捏ねまわす。
「いやっ!いいッ!きもち、いいよぅ!」
両手はだらりと垂らしたまま、胡桃は誰にも触られていないのに上り詰めていく。それは、苺も同じくらいに感じているという事なんだろうか。身動きが取れないままに快感を流し込まれ、激しく悶える胡桃の様子に、ぼくは今にも射精してしまいそうな昂ぶりを覚えた。
「すごっ、すごいの、きちゃ!きちゃうぅッ!!」
ぴぅっ。ぴっ。ぴゅ。
そんな小さな音を立てて、苺と胡桃の秘所から潮が噴き出した。二度、三度と噴き出して、次第に勢いが弱まっていく。出なくなった頃には、苺と胡桃は意識をなくしたように、ぐったりと脱力して、荒い呼吸を繰り返していた。
「妹さん達のえっちな姿、いかがでした・・・裕司さん?」
ドアが開くと、舞ちゃんが至近距離でぼくを見上げていた。興奮に濡れた瞳がキラキラと輝いてて、ぼくは目が離せなくなった。
「あ・・・君はなんで・・・」
聞きたい事も、聞かなきゃいけない事も、たくさんある。たくさんありすぎて、どう言葉をつないだらいいかも判らないくらい。そんなぼくの様子を、舞ちゃんは面白そうに見上げている。
「いまは、秘密です」
舞ちゃんは、小首を傾げて、ウインクしながら人差し指を振っている。その破壊力のある可愛さに、ぼくはまたどうしていいかも判らなくなる。
「だから、今日のところは部屋に戻っていて下さいね」
舞ちゃんはそう言うと、まるで間接キスをするみたいに、苺の愛液で濡れた指を、ぼくの唇に軽く当てた。指はすぐに離れたけど、不思議な味が唇に残った。どう反応していいか判らないぼくに微笑みかけて、舞ちゃんは「おやすみなさい」と囁くように口にして、ドアを閉めた。
ぼくは、舞ちゃんの手で閉じられるドアを、何も反応できないままに見ていた。まったく馬鹿みたいだと、自分でも思う。けど、衝撃的な場面ばかり見ていて、頭が働かなくなるのは仕方が無いじゃないかと、情けなさを取り繕うみたいに思った。
― 4 ―
そして翌朝。
ぼくは睡眠不足で重たい頭のまま、階下のリビングへ下りていった。
「おかあさん、お皿はここに置いておくから」
「・・・」
そこには、いつもと変わらない様子の胡桃と苺が、結構広いキッチンの中でかあさんの手伝いをしていた。とうさんの姿は見えないけど、多分また出張してるんだと思う。舞ちゃんはテーブルの準備をしてるみたいだった。
ぼくは、胡桃と苺に目を向けた。
何かとかあさんに話し掛けながら手伝う胡桃と、静かに胡桃のフォローをする苺と、それはいつもと変わらな過ぎて、昨日のあれは本当の事だったのか、自信が無くなって行くようだった。
「おはよう」
ぼくが朝の挨拶をすると、いっせいに明るく「おはよう」と挨拶が返ってくる。昨日の夜の記憶が、それだけでもっと確信から遠く離れたところに転げ落ちて、酷くあやふやになった気がした。
「おはようございます。いい朝ですね」
テーブルを拭いていた舞ちゃんが、笑顔をぼくに向けた。変な事なんて何もしていないという、罪悪感の欠片も無い笑顔だった。
「ねぇ、昨日の事だけど・・・」
思わず場所もわきまえずに問い掛けたぼくを、舞ちゃんは笑顔で唇に人差し指を立てて遮った。
けど。
けど、舞ちゃんの目は、笑っていなかった。
冷たくて、感情を感じさせない目だった。
この瞬間、ぼくは舞ちゃんに恋した事に気が付いた。
集団自殺するレミングスの本能の様に、破滅的で逆らい様の無い恋をしたのだと、自覚した。
「ああ・・・」
喘ぎとも絶望ともとれる溜息が、無意識のうちにぼくの口からこぼれた。
だけど、ぼくは舞ちゃんから目を離せない。
こんなにも幸福感から遠い恋愛感情があるなんて、知らなかった。知りたくはなかった。
けれど、もう戻れないという事は、いやというほどに理解してしまった。きっとぼくは、目の前の崖が奈落へ繋がっていたとしても、舞ちゃんに導かれるままに足を踏み外すのだろう。
「ん?」
もう普段と同じ表情に戻って小首を傾げる舞ちゃんに、ぼくは首を左右に振った。
「いや・・・これから、楽しくなりそうだな・・・ってね」
歯切れの悪いぼくの言葉に、舞ちゃんはきゅっ、と笑みを深くした。
「そうね。楽しくなるわ・・・きっとね」
舞ちゃんの言葉は、喜びと絶望を持ってぼくの心に響いた。
きっとすごい毎日が待ち受けている、そんな気がした。
< つづく >
・
・
・
「苺ちゃん、あなたはえっちなお人形さんになるの。お人形さんだから、声も出せないし、動くこともできない。でも、えっちだからすごく敏感で、何をされても気持ちよくなっちゃうの。考えられるのはえっちな事だけ。感じられるのはえっちな事だけ」
いつも以上に感情を出さない、それどころか本当に人形のような無表情さで、苺はベッドの上に下着姿で脚を投げ出すようにして座っている。足を開いているので、パンツの股間の皺の形まで見えて、酷くいやらしく感じた。
舞ちゃんは歌うように抑揚を付けて囁くと、苺の耳元にから口を離して、今度は苺の正面に座っている胡桃の耳元へ口を寄せた。
「胡桃ちゃん、あなたは目の前のお人形さんと、身体が繋がってるの。だって、こんなにあなたとそっくりなんだもの。だから、お人形さんが感じる事は、あなたも感じる。お人形さんが動かされると、あなたもその通りに動くの。逆に、お人形さんが動かないと、胡桃ちゃんも動けないのよ」
舞ちゃんは胡桃の耳たぶにキスするみたいに、そんな言葉を流し込んだ。胡桃は茫とした表情で、身動きひとつしないままに苺を見つめている。
胡桃は苺と同じような姿勢で、ベッドの前の椅子に腰掛けてる。ぼくからは、胡桃を斜め後ろから見ている事になる。
「ふふ・・・ふたりとも可愛いわ」
舞ちゃんがほんの一瞬、ぼくの方を見たような気がした。
あまりの事に茫然として、身動きひとつ叶わないぼくを、嘲るような、揶揄するような、誘惑するような、そんななんとも言えない表情だった気が、した。
「じゃあ、はじめるわね」
舞ちゃんは艶やかに微笑みながら宣言した。するりと苺を背後から抱きしめるように密着すると、苺の右手の手首を取る。そのまま苺の左肩・・・自分の顔の前に誘導する。すると、まるで正面からリアルタイムで映像を映しているかのように、胡桃の右手がすぅっと持ち上がり、自らの左肩のあたりで止まった。舞ちゃんはそれを満足そうに見ながら、苺の手の甲に手のひらを重ねて、人差し指以外の指を折りたたませた。
「苺ちゃんはえっちなお人形さんだから、指先を舐められたら感じちゃうの。そうすると、身体が繋がってる胡桃ちゃんも感じちゃう。すごく気持ちよくなっちゃうの」
うふ、と小さく笑って、舞ちゃんは苺の人差し指をその小さな唇で咥えた。そのまま、ぴちゃ、ちゅぷ、くちゅ、といやらしい音を立てて、口の中で苺の指を舐めた。
「あ、んぅ、ひ、ああっ」
小さな喘ぎ声に視線を移すと、胡桃が顔を上気させて、うっとりとした表情で喘いでいた。薄く閉じた瞼が、ときどきヒクっと震える。見えない誰かに持ち上げられたような右手が、何か刺激を与えられているかのようにピクピクと動く。ぼくは、いままで子供だと思っていた妹が、突然女に成長したみたいな衝撃を感じた。
「次はこっちね」
舞ちゃんは苺の両手を取り、ブラを外させた。実際はそんな感じに手を動かして、外すのは舞ちゃんが行っていたみたいだけど、その動きを受けて、胡桃もブラを外した。二人のブラが同時に床に落とされる。
「ぅ」
二人ともあまり発育は良くないが、こうして生で見てみると、とても綺麗な形の胸だと感じた。自然と、二人の胸に目が引き寄せられる。喉がカラカラなのに、動悸が苦しいほどなのに、ぼくの目はただひたすらに二人の胸を凝視している。見てはいけないという認識すら、この激しい衝撃は打ち砕いた。
苺は横から見てやっと少しだけ判る程度の、酷く薄い胸だった。けど、興奮して大きくなっているからか、乳首が胸と比べて大きく感じた。小指の先ぐらいはあるんじゃないだろうか。
胡桃は苺に比べれば大きいけど、それでもやっぱりボリュームには欠けると思う。なんて言うか、手で包んだらすっぽりと収まってしまいそうな、そんな感じ。
それなのに、ぼくの目を惹きつけて離さない。気を抜いたら、ふらふらと部屋の中に入ってしまいそうだった。
「ふたりとも、とっても綺麗よ。今、気持ち良くしてあげるね」
舞ちゃんは苺の両手をとって、苺の二つのふくらみに導いた。手のひらを重ねるようにして、やわやわと苺の胸を押さえつける。
「ん、ふあ・・・」
甘い鼻声が、胡桃の口から漏れた。苺の手の動きに合わせるように、自らの胸を揉んでいる。それがどれほど気持ちいいのか、時々身体が跳ねるように、ヒクン!と暴れる。
「ほら、苺ちゃんも胡桃ちゃんも、すごく気持ちいいでしょう?」
苺はなすがままで、表情も動かない。けど、顔が真っ赤に染まっていたり、脚の付け根で下着が濡れていたりと、快感を感じているのは間違いないみたいだ。
胡桃は乳首が弱いのか、指が乳首に触れる度に身体を大きく震わせていた。けど、自分で思うように指を動かせられないからか、気持ちよさともどかしさの混ざり合った表情を浮かべてる。
「ふふ、触って欲しいのよね・・・ここ」
舞ちゃんは苺の指を誘導して、乳首の頂点を押さえてくりくりと転がすような動きをした。その快感に耐え切れなかったのか、人形のように脱力していた苺の身体が、ビクっと跳ねた。
「ひあっ!ぁああっ!」
同じように指を動かした胡桃が、一際大きな悲鳴を上げた。苺とは対照的に、涙や涎を流しながら、快感で責め苛まれているかのように、頭を振りたくっている。ポニーテールが激しく揺れた。
「こんな風に、して欲しいのよね?」
舞ちゃんは興奮しているかのようにテンションの高い様子で、自分の唇をチロリと舐めてから、苺の指で苺の乳首を摘まむように動かした。まるで壊れかけた自動人形のように、苺が何度も小さく痙攣する。表情も、まるで必死に無表情を装っているみたいに、ヒクヒクと表情筋が動くのが見えた。
「イイ゛っ、は、ああああっ」
泣き声のような声を噛み締めた歯の間から押し出したのは、今にも泣き出しそうな、それでいて嬉しそうな表情の胡桃だった。
自らの両胸を押し潰すような勢いで、指先で乳首を摘まみ、手のひらで双丘をぐりぐりと捏ねている。手が動くたび、胸の肉がいやらしく形を変える。
「はい、ここまでよ」
舞ちゃんは双子の昂ぶりなど知らないとばかりに、苺の手を胸から外した。同時に胡桃の手も胸から外れる。
「あ、やぁっ!」
突然快楽を取り上げられて、胡桃は抗議の悲鳴を上げた。さっきとは別の意味で泣きそうな声だ。
「だいじょうぶ。ちゃんと最後までイカせてあげるから」
舞ちゃんはそう言うと、苺の両膝を外に向けるようにしてた。M字型に開かれた脚の付け根は、信じられないほどの愛液に塗れて、女の子の形がはっきりとわかるぐらいに張り付いていた。それどころか、刺激を待ち望むかのように、ヒクヒクと震えている様子まで見える。
「まずは、どれだけ気持ちいいか、教えてあげるね」
フランス人形のように整った顔に小悪魔めいた笑みを浮かべて、舞ちゃんは苺の右手を取って、今度は中指だけを立てた形に指を動かした。胡桃に見せびらかすように、そのまま苺の秘所へとゆっくりと動かしていく。
「まずは、パンツの上から・・・」
苺の指先が、舞ちゃんに導かれて割れ目の形を浮き彫りにしたパンツをこすった。下から上へ、濡れた下着を押し上げるクリトリスをくすぐり、また下の方へと指を躍らせる。
白く濁った愛液が苺の指先を濡らして、指を離しても粘液の糸がつぅっと伸びるぐらいだった。
「あっ、ああっ、やめないで・・・お、おねがい・・・もっとぉ」
胡桃は羞恥心など無くしてしまったかのように、いやらしい行為をおねだりしている。もっとも敏感な部分を弄った事で、より一層の飢餓感に襲われているみたいだった。普段のおとなしい胡桃の様子からは、まったくの別人のようだ。それとも、胡桃が今感じている快感は、それ程までに凄い快感なんだろうか・・・。
「次は、直接触って、入れてあげるわね」
舞ちゃんは苺の背後から手を伸ばしてパンツの底の部分をずらすと、苺の右手を取って再度その場所に誘導した。けど、さっきと違うのは、パンツの上から形をなぞるのではなく、まるで何かを待ち侘びているかのような秘裂の奥・・・膣に苺の中指を入れさせた事。
「ああ、イ、いいっ!いいよぉっ!」
舞ちゃんに操られる苺の指とまったく一緒の動きで、胡桃は自分の膣を掻き混ぜる。指はあまり深くまではいれていないみたいだけど、その感じ方はいつもの純真な胡桃からは想像も出来ないくらいだった。
全身が汗に塗れ、キラキラと蛍光灯の下で輝く。涙と涎で汚れた顔は、けれどもとても幸せそうで。
「指で掻き回される気持ちよさ・・・これで覚えたよね」
そう言って、舞ちゃんは苺の手を動かした。
手首を握って、両手を広げるような形に。
苺を愛撫する存在はなくなり、苺の動きをトレースする胡桃もまた、快感を取り上げられる。
「やぁっ!お、おねがいっ、くちゅくちゅって・・・くちゅくちゅってもっとしてよぉ!せつなくて、あたま、ヘンになっちゃうよぉ・・・うぅっ」
胡桃の顔が、くしゃっと歪む。今にも泣きだしそうな子供みたいな表情で、あられもなく懇願する。対照的に苺は、やはり胡桃と同じ心境なのか、無表情のままで静かに一筋の涙を流した。
「泣かないの。今からしてあげるから・・・ね?」
舞ちゃんは微笑みながら、右手を苺の秘所に、左手を右胸に伸ばした。どちらも触れる寸前で止めて、胡桃に視線を戻した。
「胡桃ちゃんは、このお人形さんと繋がってるの。だからお人形さんが動けば胡桃ちゃんも動くし、お人形さんがえっちな事をされると、胡桃ちゃんもえっちに感じちゃうの」
それは、舞ちゃんが最初に胡桃に言っていた内容。楽しげに抑揚をつけて言うと、舞ちゃんは苺に触れる寸前で、自分の手を胡桃に見せびらかすように動かした。たったそれだけで、胡桃の心にいやらしい期待が生まれる。
「ぁあ・・・さわって・・・いっぱい、さわって!」
胡桃は食い入るように舞ちゃんの手を見詰めながら、悲鳴みたいな声で懇願した。これが普段あんなにおとなしくて、声を荒げたりする事が無い胡桃かと驚いた。
これ以上焦らしても可哀想と思ったのか、舞ちゃんが苺の秘所のぎりぎり近くで留めいていた中指を、ゆっくりと挿入した。しとどに濡れそぼったそこは、やすやすと・・・いや、むしろ自分から引き込むみたいな感じで、舞ちゃんの中指を飲み込んでいく。
「うぁっ、い、いいッ!すごいよぉ!!」
胡桃が腹筋をヒクヒクと痙攣させながら、押し出すように嬌声を上げた。さんざんおあずけを食らった後で、いっそう快感が深く感じられているように見える。
「胸も、いっしょにしてあげるね」
舞ちゃんがぐちゅぐちゅと音を立てて苺の膣内を擦りながら、左手で苺の弾けそうな乳首を指の股で挟み、右胸全体を押さえ付けた。ゆるゆると手を動かして、胸を捏ねまわす。
「いやっ!いいッ!きもち、いいよぅ!」
両手はだらりと垂らしたまま、胡桃は誰にも触られていないのに上り詰めていく。それは、苺も同じくらいに感じているという事なんだろうか。身動きが取れないままに快感を流し込まれ、激しく悶える胡桃の様子に、ぼくは今にも射精してしまいそうな昂ぶりを覚えた。
「すごっ、すごいの、きちゃ!きちゃうぅッ!!」
ぴぅっ。ぴっ。ぴゅ。
そんな小さな音を立てて、苺と胡桃の秘所から潮が噴き出した。二度、三度と噴き出して、次第に勢いが弱まっていく。出なくなった頃には、苺と胡桃は意識をなくしたように、ぐったりと脱力して、荒い呼吸を繰り返していた。
「妹さん達のえっちな姿、いかがでした・・・裕司さん?」
ドアが開くと、舞ちゃんが至近距離でぼくを見上げていた。興奮に濡れた瞳がキラキラと輝いてて、ぼくは目が離せなくなった。
「あ・・・君はなんで・・・」
聞きたい事も、聞かなきゃいけない事も、たくさんある。たくさんありすぎて、どう言葉をつないだらいいかも判らないくらい。そんなぼくの様子を、舞ちゃんは面白そうに見上げている。
「いまは、秘密です」
舞ちゃんは、小首を傾げて、ウインクしながら人差し指を振っている。その破壊力のある可愛さに、ぼくはまたどうしていいかも判らなくなる。
「だから、今日のところは部屋に戻っていて下さいね」
舞ちゃんはそう言うと、まるで間接キスをするみたいに、苺の愛液で濡れた指を、ぼくの唇に軽く当てた。指はすぐに離れたけど、不思議な味が唇に残った。どう反応していいか判らないぼくに微笑みかけて、舞ちゃんは「おやすみなさい」と囁くように口にして、ドアを閉めた。
ぼくは、舞ちゃんの手で閉じられるドアを、何も反応できないままに見ていた。まったく馬鹿みたいだと、自分でも思う。けど、衝撃的な場面ばかり見ていて、頭が働かなくなるのは仕方が無いじゃないかと、情けなさを取り繕うみたいに思った。
― 4 ―
そして翌朝。
ぼくは睡眠不足で重たい頭のまま、階下のリビングへ下りていった。
「おかあさん、お皿はここに置いておくから」
「・・・」
そこには、いつもと変わらない様子の胡桃と苺が、結構広いキッチンの中でかあさんの手伝いをしていた。とうさんの姿は見えないけど、多分また出張してるんだと思う。舞ちゃんはテーブルの準備をしてるみたいだった。
ぼくは、胡桃と苺に目を向けた。
何かとかあさんに話し掛けながら手伝う胡桃と、静かに胡桃のフォローをする苺と、それはいつもと変わらな過ぎて、昨日のあれは本当の事だったのか、自信が無くなって行くようだった。
「おはよう」
ぼくが朝の挨拶をすると、いっせいに明るく「おはよう」と挨拶が返ってくる。昨日の夜の記憶が、それだけでもっと確信から遠く離れたところに転げ落ちて、酷くあやふやになった気がした。
「おはようございます。いい朝ですね」
テーブルを拭いていた舞ちゃんが、笑顔をぼくに向けた。変な事なんて何もしていないという、罪悪感の欠片も無い笑顔だった。
「ねぇ、昨日の事だけど・・・」
思わず場所もわきまえずに問い掛けたぼくを、舞ちゃんは笑顔で唇に人差し指を立てて遮った。
けど。
けど、舞ちゃんの目は、笑っていなかった。
冷たくて、感情を感じさせない目だった。
この瞬間、ぼくは舞ちゃんに恋した事に気が付いた。
集団自殺するレミングスの本能の様に、破滅的で逆らい様の無い恋をしたのだと、自覚した。
「ああ・・・」
喘ぎとも絶望ともとれる溜息が、無意識のうちにぼくの口からこぼれた。
だけど、ぼくは舞ちゃんから目を離せない。
こんなにも幸福感から遠い恋愛感情があるなんて、知らなかった。知りたくはなかった。
けれど、もう戻れないという事は、いやというほどに理解してしまった。きっとぼくは、目の前の崖が奈落へ繋がっていたとしても、舞ちゃんに導かれるままに足を踏み外すのだろう。
「ん?」
もう普段と同じ表情に戻って小首を傾げる舞ちゃんに、ぼくは首を左右に振った。
「いや・・・これから、楽しくなりそうだな・・・ってね」
歯切れの悪いぼくの言葉に、舞ちゃんはきゅっ、と笑みを深くした。
「そうね。楽しくなるわ・・・きっとね」
舞ちゃんの言葉は、喜びと絶望を持ってぼくの心に響いた。
きっとすごい毎日が待ち受けている、そんな気がした。
< つづく >
・
・
・
暫くしてぼくはトイレに行くために、自室から降りてきた。この結構広い家も、トイレは一階にしかない。もう少し言うと、お風呂場の隣にしかない。女の子が三人でお風呂に入っている時間に尿意を催したのは、神様に誓ってヘンな気があった訳じゃない。
さて、なぜかうちの広いお風呂場では、声が良く響く。ましてや女の子の高い声がテンションの上昇とともに大きくなれば、それが廊下まで聞こえてくるなんていうのはざらな訳です。
「まいちゃ・・・はだ・・・きれ・・・」
「あら・・・って、とても・・・」
「・・・」
まぁ、ドアを2つも挟んでいれば、聞こえてくるのはこんな程度ですが。
いえ、別に残念ぢゃないですよ?
ぼくは誰にとも無く言い分けめいた言葉を胸の内で呟いて、トイレで用を足した。すっきりした気分でドアを開けると――。
「やンッ・・・あ、・・・だめぇ・・・」
「うふ・・・けっこ・・・おおき・・・のね・・・」
「・・・」
喘ぎ声にも似たいやらしい響きを伴って、一体お風呂場はどんなワンダーワールドになっているのか。
別に聞き耳を立てる訳じゃないけど、ぼくの足はトイレの前、脱衣所のドアの前で固まってしまった。
「・・・んぅ・・・ぁ・・・だ・・・」
「あら・・・もう・・・ね」
「・・・」
ぼくの脳裏では、お風呂場はもう想像も出来ないほどのぱらだいす。
・・・いや、そうじゃなくて。
ぼくは意思力の全てを足に注ぎ込んで、自分の部屋に戻っていった。
まさか、自分の家族で興奮するだなんて、許されるはずが無い。
だけど、だんだん小さくなる背後からの声が、強烈な勢いでぼくの胸を掻き乱してたのはどうしようもない事実で。
部屋に戻っても悶々とする気持ちの治まるはずもなく、時間は凄く早かったのだけど、寝る事にした。ベッドの上でごろごろと姿勢を変えているうちに、なんとか眠る事ができたけど、数えた羊の数は1000匹を超えてたという。
なんだか今日は、酷く疲れた。それが、意識が眠りに落ちる前に、ぽつりと頭の中で浮かんだ言葉だった。
― 3 ―
寝た時間が中途半端だったからか、目が覚めたのは夜中の2時過ぎだった。
身体を起こしてシン・・・とした室内を意味も無く見渡しながら、寝起きのぼんやりした頭をぽりぽりと掻いてみる。
このまま寝直してもいいんだけど、なんとなく喉が渇いたような気もするし、ついでにトイレにでも行こうと思って、ぼくはベッドから下りた。
もうすぐ秋というこの時期は、夜も深まると結構寒い。
ぼくはぶるっと身体を震わせてから、足音やドアの開閉音に気を付けて、細く開けたドアから廊下へと身体を滑り込ませた。
真っ暗な廊下に、細い光の線が斜めに断ち切るように走っていた。
あれは、苺の部屋のドアが薄く開いていて、しかも部屋の明かりが付きっ放しという事だ。こんな時間、しかもこんなに冷える状況で、いったい何をしてるんだろうと、ぼくは胡乱な頭で考えた。時々、苺は胡桃の部屋で一緒に寝る事とかあるみたいだから、無人の部屋で電気の消し忘れかも。
そんな寝ぼけた頭にバッドを叩き付けるような、とんでもない光景がドアの向こうで繰り広げられていた。
・
・
・
「苺ちゃん、あなたはえっちなお人形さんになるの。お人形さんだから、声も出せないし、動くこともできない。でも、えっちだからすごく敏感で、何をされても気持ちよくなっちゃうの。考えられるのはえっちな事だけ。感じられるのはえっちな事だけ」
いつも以上に感情を出さない、それどころか本当に人形のような無表情さで、苺はベッドの上に下着姿で脚を投げ出すようにして座っている。足を開いているので、パンツの股間の皺の形まで見えて、酷くいやらしく感じた。
舞ちゃんは歌うように抑揚を付けて囁くと、苺の耳元にから口を離して、今度は苺の正面に座っている胡桃の耳元へ口を寄せた。
「胡桃ちゃん、あなたは目の前のお人形さんと、身体が繋がってるの。だって、こんなにあなたとそっくりなんだもの。だから、お人形さんが感じる事は、あなたも感じる。お人形さんが動かされると、あなたもその通りに動くの。逆に、お人形さんが動かないと、胡桃ちゃんも動けないのよ」
舞ちゃんは胡桃の耳たぶにキスするみたいに、そんな言葉を流し込んだ。胡桃は茫とした表情で、身動きひとつしないままに苺を見つめている。
胡桃は苺と同じような姿勢で、ベッドの前の椅子に腰掛けてる。ぼくからは、胡桃を斜め後ろから見ている事になる。
「ふふ・・・ふたりとも可愛いわ」
舞ちゃんがほんの一瞬、ぼくの方を見たような気がした。
あまりの事に茫然として、身動きひとつ叶わないぼくを、嘲るような、揶揄するような、誘惑するような、そんななんとも言えない表情だった気が、した。
「じゃあ、はじめるわね」
舞ちゃんは艶やかに微笑みながら宣言した。するりと苺を背後から抱きしめるように密着すると、苺の右手の手首を取る。そのまま苺の左肩・・・自分の顔の前に誘導する。すると、まるで正面からリアルタイムで映像を映しているかのように、胡桃の右手がすぅっと持ち上がり、自らの左肩のあたりで止まった。舞ちゃんはそれを満足そうに見ながら、苺の手の甲に手のひらを重ねて、人差し指以外の指を折りたたませた。
「苺ちゃんはえっちなお人形さんだから、指先を舐められたら感じちゃうの。そうすると、身体が繋がってる胡桃ちゃんも感じちゃう。すごく気持ちよくなっちゃうの」
うふ、と小さく笑って、舞ちゃんは苺の人差し指をその小さな唇で咥えた。そのまま、ぴちゃ、ちゅぷ、くちゅ、といやらしい音を立てて、口の中で苺の指を舐めた。
「あ、んぅ、ひ、ああっ」
小さな喘ぎ声に視線を移すと、胡桃が顔を上気させて、うっとりとした表情で喘いでいた。薄く閉じた瞼が、ときどきヒクっと震える。見えない誰かに持ち上げられたような右手が、何か刺激を与えられているかのようにピクピクと動く。ぼくは、いままで子供だと思っていた妹が、突然女に成長したみたいな衝撃を感じた。
「次はこっちね」
舞ちゃんは苺の両手を取り、ブラを外させた。実際はそんな感じに手を動かして、外すのは舞ちゃんが行っていたみたいだけど、その動きを受けて、胡桃もブラを外した。二人のブラが同時に床に落とされる。
「ぅ」
二人ともあまり発育は良くないが、こうして生で見てみると、とても綺麗な形の胸だと感じた。自然と、二人の胸に目が引き寄せられる。喉がカラカラなのに、動悸が苦しいほどなのに、ぼくの目はただひたすらに二人の胸を凝視している。見てはいけないという認識すら、この激しい衝撃は打ち砕いた。
苺は横から見てやっと少しだけ判る程度の、酷く薄い胸だった。けど、興奮して大きくなっているからか、乳首が胸と比べて大きく感じた。小指の先ぐらいはあるんじゃないだろうか。
胡桃は苺に比べれば大きいけど、それでもやっぱりボリュームには欠けると思う。なんて言うか、手で包んだらすっぽりと収まってしまいそうな、そんな感じ。
それなのに、ぼくの目を惹きつけて離さない。気を抜いたら、ふらふらと部屋の中に入ってしまいそうだった。
「ふたりとも、とっても綺麗よ。今、気持ち良くしてあげるね」
舞ちゃんは苺の両手をとって、苺の二つのふくらみに導いた。手のひらを重ねるようにして、やわやわと苺の胸を押さえつける。
「ん、ふあ・・・」
甘い鼻声が、胡桃の口から漏れた。苺の手の動きに合わせるように、自らの胸を揉んでいる。それがどれほど気持ちいいのか、時々身体が跳ねるように、ヒクン!と暴れる。
「ほら、苺ちゃんも胡桃ちゃんも、すごく気持ちいいでしょう?」
苺はなすがままで、表情も動かない。けど、顔が真っ赤に染まっていたり、脚の付け根で下着が濡れていたりと、快感を感じているのは間違いないみたいだ。
胡桃は乳首が弱いのか、指が乳首に触れる度に身体を大きく震わせていた。けど、自分で思うように指を動かせられないからか、気持ちよさともどかしさの混ざり合った表情を浮かべてる。
「ふふ、触って欲しいのよね・・・ここ」
舞ちゃんは苺の指を誘導して、乳首の頂点を押さえてくりくりと転がすような動きをした。その快感に耐え切れなかったのか、人形のように脱力していた苺の身体が、ビクっと跳ねた。
「ひあっ!ぁああっ!」
同じように指を動かした胡桃が、一際大きな悲鳴を上げた。苺とは対照的に、涙や涎を流しながら、快感で責め苛まれているかのように、頭を振りたくっている。ポニーテールが激しく揺れた。
「こんな風に、して欲しいのよね?」
舞ちゃんは興奮しているかのようにテンションの高い様子で、自分の唇をチロリと舐めてから、苺の指で苺の乳首を摘まむように動かした。まるで壊れかけた自動人形のように、苺が何度も小さく痙攣する。表情も、まるで必死に無表情を装っているみたいに、ヒクヒクと表情筋が動くのが見えた。
「イイ゛っ、は、ああああっ」
泣き声のような声を噛み締めた歯の間から押し出したのは、今にも泣き出しそうな、それでいて嬉しそうな表情の胡桃だった。
自らの両胸を押し潰すような勢いで、指先で乳首を摘まみ、手のひらで双丘をぐりぐりと捏ねている。手が動くたび、胸の肉がいやらしく形を変える。
「はい、ここまでよ」
舞ちゃんは双子の昂ぶりなど知らないとばかりに、苺の手を胸から外した。同時に胡桃の手も胸から外れる。
「あ、やぁっ!」
突然快楽を取り上げられて、胡桃は抗議の悲鳴を上げた。さっきとは別の意味で泣きそうな声だ。
「だいじょうぶ。ちゃんと最後までイカせてあげるから」
舞ちゃんはそう言うと、苺の両膝を外に向けるようにしてた。M字型に開かれた脚の付け根は、信じられないほどの愛液に塗れて、女の子の形がはっきりとわかるぐらいに張り付いていた。それどころか、刺激を待ち望むかのように、ヒクヒクと震えている様子まで見える。
「まずは、どれだけ気持ちいいか、教えてあげるね」
フランス人形のように整った顔に小悪魔めいた笑みを浮かべて、舞ちゃんは苺の右手を取って、今度は中指だけを立てた形に指を動かした。胡桃に見せびらかすように、そのまま苺の秘所へとゆっくりと動かしていく。
「まずは、パンツの上から・・・」
苺の指先が、舞ちゃんに導かれて割れ目の形を浮き彫りにしたパンツをこすった。下から上へ、濡れた下着を押し上げるクリトリスをくすぐり、また下の方へと指を躍らせる。
白く濁った愛液が苺の指先を濡らして、指を離しても粘液の糸がつぅっと伸びるぐらいだった。
「あっ、ああっ、やめないで・・・お、おねがい・・・もっとぉ」
胡桃は羞恥心など無くしてしまったかのように、いやらしい行為をおねだりしている。もっとも敏感な部分を弄った事で、より一層の飢餓感に襲われているみたいだった。普段のおとなしい胡桃の様子からは、まったくの別人のようだ。それとも、胡桃が今感じている快感は、それ程までに凄い快感なんだろうか・・・。
「次は、直接触って、入れてあげるわね」
舞ちゃんは苺の背後から手を伸ばしてパンツの底の部分をずらすと、苺の右手を取って再度その場所に誘導した。けど、さっきと違うのは、パンツの上から形をなぞるのではなく、まるで何かを待ち侘びているかのような秘裂の奥・・・膣に苺の中指を入れさせた事。
「ああ、イ、いいっ!いいよぉっ!」
舞ちゃんに操られる苺の指とまったく一緒の動きで、胡桃は自分の膣を掻き混ぜる。指はあまり深くまではいれていないみたいだけど、その感じ方はいつもの純真な胡桃からは想像も出来ないくらいだった。
全身が汗に塗れ、キラキラと蛍光灯の下で輝く。涙と涎で汚れた顔は、けれどもとても幸せそうで。
「指で掻き回される気持ちよさ・・・これで覚えたよね」
そう言って、舞ちゃんは苺の手を動かした。
手首を握って、両手を広げるような形に。
苺を愛撫する存在はなくなり、苺の動きをトレースする胡桃もまた、快感を取り上げられる。
「やぁっ!お、おねがいっ、くちゅくちゅって・・・くちゅくちゅってもっとしてよぉ!せつなくて、あたま、ヘンになっちゃうよぉ・・・うぅっ」
胡桃の顔が、くしゃっと歪む。今にも泣きだしそうな子供みたいな表情で、あられもなく懇願する。対照的に苺は、やはり胡桃と同じ心境なのか、無表情のままで静かに一筋の涙を流した。
「泣かないの。今からしてあげるから・・・ね?」
舞ちゃんは微笑みながら、右手を苺の秘所に、左手を右胸に伸ばした。どちらも触れる寸前で止めて、胡桃に視線を戻した。
「胡桃ちゃんは、このお人形さんと繋がってるの。だからお人形さんが動けば胡桃ちゃんも動くし、お人形さんがえっちな事をされると、胡桃ちゃんもえっちに感じちゃうの」
それは、舞ちゃんが最初に胡桃に言っていた内容。楽しげに抑揚をつけて言うと、舞ちゃんは苺に触れる寸前で、自分の手を胡桃に見せびらかすように動かした。たったそれだけで、胡桃の心にいやらしい期待が生まれる。
「ぁあ・・・さわって・・・いっぱい、さわって!」
胡桃は食い入るように舞ちゃんの手を見詰めながら、悲鳴みたいな声で懇願した。これが普段あんなにおとなしくて、声を荒げたりする事が無い胡桃かと驚いた。
これ以上焦らしても可哀想と思ったのか、舞ちゃんが苺の秘所のぎりぎり近くで留めいていた中指を、ゆっくりと挿入した。しとどに濡れそぼったそこは、やすやすと・・・いや、むしろ自分から引き込むみたいな感じで、舞ちゃんの中指を飲み込んでいく。
「うぁっ、い、いいッ!すごいよぉ!!」
胡桃が腹筋をヒクヒクと痙攣させながら、押し出すように嬌声を上げた。さんざんおあずけを食らった後で、いっそう快感が深く感じられているように見える。
「胸も、いっしょにしてあげるね」
舞ちゃんがぐちゅぐちゅと音を立てて苺の膣内を擦りながら、左手で苺の弾けそうな乳首を指の股で挟み、右胸全体を押さえ付けた。ゆるゆると手を動かして、胸を捏ねまわす。
「いやっ!いいッ!きもち、いいよぅ!」
両手はだらりと垂らしたまま、胡桃は誰にも触られていないのに上り詰めていく。それは、苺も同じくらいに感じているという事なんだろうか。身動きが取れないままに快感を流し込まれ、激しく悶える胡桃の様子に、ぼくは今にも射精してしまいそうな昂ぶりを覚えた。
「すごっ、すごいの、きちゃ!きちゃうぅッ!!」
ぴぅっ。ぴっ。ぴゅ。
そんな小さな音を立てて、苺と胡桃の秘所から潮が噴き出した。二度、三度と噴き出して、次第に勢いが弱まっていく。出なくなった頃には、苺と胡桃は意識をなくしたように、ぐったりと脱力して、荒い呼吸を繰り返していた。
「妹さん達のえっちな姿、いかがでした・・・裕司さん?」
ドアが開くと、舞ちゃんが至近距離でぼくを見上げていた。興奮に濡れた瞳がキラキラと輝いてて、ぼくは目が離せなくなった。
「あ・・・君はなんで・・・」
聞きたい事も、聞かなきゃいけない事も、たくさんある。たくさんありすぎて、どう言葉をつないだらいいかも判らないくらい。そんなぼくの様子を、舞ちゃんは面白そうに見上げている。
「いまは、秘密です」
舞ちゃんは、小首を傾げて、ウインクしながら人差し指を振っている。その破壊力のある可愛さに、ぼくはまたどうしていいかも判らなくなる。
「だから、今日のところは部屋に戻っていて下さいね」
舞ちゃんはそう言うと、まるで間接キスをするみたいに、苺の愛液で濡れた指を、ぼくの唇に軽く当てた。指はすぐに離れたけど、不思議な味が唇に残った。どう反応していいか判らないぼくに微笑みかけて、舞ちゃんは「おやすみなさい」と囁くように口にして、ドアを閉めた。
ぼくは、舞ちゃんの手で閉じられるドアを、何も反応できないままに見ていた。まったく馬鹿みたいだと、自分でも思う。けど、衝撃的な場面ばかり見ていて、頭が働かなくなるのは仕方が無いじゃないかと、情けなさを取り繕うみたいに思った。
― 4 ―
そして翌朝。
ぼくは睡眠不足で重たい頭のまま、階下のリビングへ下りていった。
「おかあさん、お皿はここに置いておくから」
「・・・」
そこには、いつもと変わらない様子の胡桃と苺が、結構広いキッチンの中でかあさんの手伝いをしていた。とうさんの姿は見えないけど、多分また出張してるんだと思う。舞ちゃんはテーブルの準備をしてるみたいだった。
ぼくは、胡桃と苺に目を向けた。
何かとかあさんに話し掛けながら手伝う胡桃と、静かに胡桃のフォローをする苺と、それはいつもと変わらな過ぎて、昨日のあれは本当の事だったのか、自信が無くなって行くようだった。
「おはよう」
ぼくが朝の挨拶をすると、いっせいに明るく「おはよう」と挨拶が返ってくる。昨日の夜の記憶が、それだけでもっと確信から遠く離れたところに転げ落ちて、酷くあやふやになった気がした。
「おはようございます。いい朝ですね」
テーブルを拭いていた舞ちゃんが、笑顔をぼくに向けた。変な事なんて何もしていないという、罪悪感の欠片も無い笑顔だった。
「ねぇ、昨日の事だけど・・・」
思わず場所もわきまえずに問い掛けたぼくを、舞ちゃんは笑顔で唇に人差し指を立てて遮った。
けど。
けど、舞ちゃんの目は、笑っていなかった。
冷たくて、感情を感じさせない目だった。
この瞬間、ぼくは舞ちゃんに恋した事に気が付いた。
集団自殺するレミングスの本能の様に、破滅的で逆らい様の無い恋をしたのだと、自覚した。
「ああ・・・」
喘ぎとも絶望ともとれる溜息が、無意識のうちにぼくの口からこぼれた。
だけど、ぼくは舞ちゃんから目を離せない。
こんなにも幸福感から遠い恋愛感情があるなんて、知らなかった。知りたくはなかった。
けれど、もう戻れないという事は、いやというほどに理解してしまった。きっとぼくは、目の前の崖が奈落へ繋がっていたとしても、舞ちゃんに導かれるままに足を踏み外すのだろう。
「ん?」
もう普段と同じ表情に戻って小首を傾げる舞ちゃんに、ぼくは首を左右に振った。
「いや・・・これから、楽しくなりそうだな・・・ってね」
歯切れの悪いぼくの言葉に、舞ちゃんはきゅっ、と笑みを深くした。
「そうね。楽しくなるわ・・・きっとね」
舞ちゃんの言葉は、喜びと絶望を持ってぼくの心に響いた。
きっとすごい毎日が待ち受けている、そんな気がした。
< つづく >
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暫くしてぼくはトイレに行くために、自室から降りてきた。この結構広い家も、トイレは一階にしかない。もう少し言うと、お風呂場の隣にしかない。女の子が三人でお風呂に入っている時間に尿意を催したのは、神様に誓ってヘンな気があった訳じゃない。
さて、なぜかうちの広いお風呂場では、声が良く響く。ましてや女の子の高い声がテンションの上昇とともに大きくなれば、それが廊下まで聞こえてくるなんていうのはざらな訳です。
「まいちゃ・・・はだ・・・きれ・・・」
「あら・・・って、とても・・・」
「・・・」
まぁ、ドアを2つも挟んでいれば、聞こえてくるのはこんな程度ですが。
いえ、別に残念ぢゃないですよ?
ぼくは誰にとも無く言い分けめいた言葉を胸の内で呟いて、トイレで用を足した。すっきりした気分でドアを開けると――。
「やンッ・・・あ、・・・だめぇ・・・」
「うふ・・・けっこ・・・おおき・・・のね・・・」
「・・・」
喘ぎ声にも似たいやらしい響きを伴って、一体お風呂場はどんなワンダーワールドになっているのか。
別に聞き耳を立てる訳じゃないけど、ぼくの足はトイレの前、脱衣所のドアの前で固まってしまった。
「・・・んぅ・・・ぁ・・・だ・・・」
「あら・・・もう・・・ね」
「・・・」
ぼくの脳裏では、お風呂場はもう想像も出来ないほどのぱらだいす。
・・・いや、そうじゃなくて。
ぼくは意思力の全てを足に注ぎ込んで、自分の部屋に戻っていった。
まさか、自分の家族で興奮するだなんて、許されるはずが無い。
だけど、だんだん小さくなる背後からの声が、強烈な勢いでぼくの胸を掻き乱してたのはどうしようもない事実で。
部屋に戻っても悶々とする気持ちの治まるはずもなく、時間は凄く早かったのだけど、寝る事にした。ベッドの上でごろごろと姿勢を変えているうちに、なんとか眠る事ができたけど、数えた羊の数は1000匹を超えてたという。
なんだか今日は、酷く疲れた。それが、意識が眠りに落ちる前に、ぽつりと頭の中で浮かんだ言葉だった。
― 3 ―
寝た時間が中途半端だったからか、目が覚めたのは夜中の2時過ぎだった。
身体を起こしてシン・・・とした室内を意味も無く見渡しながら、寝起きのぼんやりした頭をぽりぽりと掻いてみる。
このまま寝直してもいいんだけど、なんとなく喉が渇いたような気もするし、ついでにトイレにでも行こうと思って、ぼくはベッドから下りた。
もうすぐ秋というこの時期は、夜も深まると結構寒い。
ぼくはぶるっと身体を震わせてから、足音やドアの開閉音に気を付けて、細く開けたドアから廊下へと身体を滑り込ませた。
真っ暗な廊下に、細い光の線が斜めに断ち切るように走っていた。
あれは、苺の部屋のドアが薄く開いていて、しかも部屋の明かりが付きっ放しという事だ。こんな時間、しかもこんなに冷える状況で、いったい何をしてるんだろうと、ぼくは胡乱な頭で考えた。時々、苺は胡桃の部屋で一緒に寝る事とかあるみたいだから、無人の部屋で電気の消し忘れかも。
そんな寝ぼけた頭にバッドを叩き付けるような、とんでもない光景がドアの向こうで繰り広げられていた。
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「苺ちゃん、あなたはえっちなお人形さんになるの。お人形さんだから、声も出せないし、動くこともできない。でも、えっちだからすごく敏感で、何をされても気持ちよくなっちゃうの。考えられるのはえっちな事だけ。感じられるのはえっちな事だけ」
いつも以上に感情を出さない、それどころか本当に人形のような無表情さで、苺はベッドの上に下着姿で脚を投げ出すようにして座っている。足を開いているので、パンツの股間の皺の形まで見えて、酷くいやらしく感じた。
舞ちゃんは歌うように抑揚を付けて囁くと、苺の耳元にから口を離して、今度は苺の正面に座っている胡桃の耳元へ口を寄せた。
「胡桃ちゃん、あなたは目の前のお人形さんと、身体が繋がってるの。だって、こんなにあなたとそっくりなんだもの。だから、お人形さんが感じる事は、あなたも感じる。お人形さんが動かされると、あなたもその通りに動くの。逆に、お人形さんが動かないと、胡桃ちゃんも動けないのよ」
舞ちゃんは胡桃の耳たぶにキスするみたいに、そんな言葉を流し込んだ。胡桃は茫とした表情で、身動きひとつしないままに苺を見つめている。
胡桃は苺と同じような姿勢で、ベッドの前の椅子に腰掛けてる。ぼくからは、胡桃を斜め後ろから見ている事になる。
「ふふ・・・ふたりとも可愛いわ」
舞ちゃんがほんの一瞬、ぼくの方を見たような気がした。
あまりの事に茫然として、身動きひとつ叶わないぼくを、嘲るような、揶揄するような、誘惑するような、そんななんとも言えない表情だった気が、した。
「じゃあ、はじめるわね」
舞ちゃんは艶やかに微笑みながら宣言した。するりと苺を背後から抱きしめるように密着すると、苺の右手の手首を取る。そのまま苺の左肩・・・自分の顔の前に誘導する。すると、まるで正面からリアルタイムで映像を映しているかのように、胡桃の右手がすぅっと持ち上がり、自らの左肩のあたりで止まった。舞ちゃんはそれを満足そうに見ながら、苺の手の甲に手のひらを重ねて、人差し指以外の指を折りたたませた。
「苺ちゃんはえっちなお人形さんだから、指先を舐められたら感じちゃうの。そうすると、身体が繋がってる胡桃ちゃんも感じちゃう。すごく気持ちよくなっちゃうの」
うふ、と小さく笑って、舞ちゃんは苺の人差し指をその小さな唇で咥えた。そのまま、ぴちゃ、ちゅぷ、くちゅ、といやらしい音を立てて、口の中で苺の指を舐めた。
「あ、んぅ、ひ、ああっ」
小さな喘ぎ声に視線を移すと、胡桃が顔を上気させて、うっとりとした表情で喘いでいた。薄く閉じた瞼が、ときどきヒクっと震える。見えない誰かに持ち上げられたような右手が、何か刺激を与えられているかのようにピクピクと動く。ぼくは、いままで子供だと思っていた妹が、突然女に成長したみたいな衝撃を感じた。
「次はこっちね」
舞ちゃんは苺の両手を取り、ブラを外させた。実際はそんな感じに手を動かして、外すのは舞ちゃんが行っていたみたいだけど、その動きを受けて、胡桃もブラを外した。二人のブラが同時に床に落とされる。
「ぅ」
二人ともあまり発育は良くないが、こうして生で見てみると、とても綺麗な形の胸だと感じた。自然と、二人の胸に目が引き寄せられる。喉がカラカラなのに、動悸が苦しいほどなのに、ぼくの目はただひたすらに二人の胸を凝視している。見てはいけないという認識すら、この激しい衝撃は打ち砕いた。
苺は横から見てやっと少しだけ判る程度の、酷く薄い胸だった。けど、興奮して大きくなっているからか、乳首が胸と比べて大きく感じた。小指の先ぐらいはあるんじゃないだろうか。
胡桃は苺に比べれば大きいけど、それでもやっぱりボリュームには欠けると思う。なんて言うか、手で包んだらすっぽりと収まってしまいそうな、そんな感じ。
それなのに、ぼくの目を惹きつけて離さない。気を抜いたら、ふらふらと部屋の中に入ってしまいそうだった。
「ふたりとも、とっても綺麗よ。今、気持ち良くしてあげるね」
舞ちゃんは苺の両手をとって、苺の二つのふくらみに導いた。手のひらを重ねるようにして、やわやわと苺の胸を押さえつける。
「ん、ふあ・・・」
甘い鼻声が、胡桃の口から漏れた。苺の手の動きに合わせるように、自らの胸を揉んでいる。それがどれほど気持ちいいのか、時々身体が跳ねるように、ヒクン!と暴れる。
「ほら、苺ちゃんも胡桃ちゃんも、すごく気持ちいいでしょう?」
苺はなすがままで、表情も動かない。けど、顔が真っ赤に染まっていたり、脚の付け根で下着が濡れていたりと、快感を感じているのは間違いないみたいだ。
胡桃は乳首が弱いのか、指が乳首に触れる度に身体を大きく震わせていた。けど、自分で思うように指を動かせられないからか、気持ちよさともどかしさの混ざり合った表情を浮かべてる。
「ふふ、触って欲しいのよね・・・ここ」
舞ちゃんは苺の指を誘導して、乳首の頂点を押さえてくりくりと転がすような動きをした。その快感に耐え切れなかったのか、人形のように脱力していた苺の身体が、ビクっと跳ねた。
「ひあっ!ぁああっ!」
同じように指を動かした胡桃が、一際大きな悲鳴を上げた。苺とは対照的に、涙や涎を流しながら、快感で責め苛まれているかのように、頭を振りたくっている。ポニーテールが激しく揺れた。
「こんな風に、して欲しいのよね?」
舞ちゃんは興奮しているかのようにテンションの高い様子で、自分の唇をチロリと舐めてから、苺の指で苺の乳首を摘まむように動かした。まるで壊れかけた自動人形のように、苺が何度も小さく痙攣する。表情も、まるで必死に無表情を装っているみたいに、ヒクヒクと表情筋が動くのが見えた。
「イイ゛っ、は、ああああっ」
泣き声のような声を噛み締めた歯の間から押し出したのは、今にも泣き出しそうな、それでいて嬉しそうな表情の胡桃だった。
自らの両胸を押し潰すような勢いで、指先で乳首を摘まみ、手のひらで双丘をぐりぐりと捏ねている。手が動くたび、胸の肉がいやらしく形を変える。
「はい、ここまでよ」
舞ちゃんは双子の昂ぶりなど知らないとばかりに、苺の手を胸から外した。同時に胡桃の手も胸から外れる。
「あ、やぁっ!」
突然快楽を取り上げられて、胡桃は抗議の悲鳴を上げた。さっきとは別の意味で泣きそうな声だ。
「だいじょうぶ。ちゃんと最後までイカせてあげるから」
舞ちゃんはそう言うと、苺の両膝を外に向けるようにしてた。M字型に開かれた脚の付け根は、信じられないほどの愛液に塗れて、女の子の形がはっきりとわかるぐらいに張り付いていた。それどころか、刺激を待ち望むかのように、ヒクヒクと震えている様子まで見える。
「まずは、どれだけ気持ちいいか、教えてあげるね」
フランス人形のように整った顔に小悪魔めいた笑みを浮かべて、舞ちゃんは苺の右手を取って、今度は中指だけを立てた形に指を動かした。胡桃に見せびらかすように、そのまま苺の秘所へとゆっくりと動かしていく。
「まずは、パンツの上から・・・」
苺の指先が、舞ちゃんに導かれて割れ目の形を浮き彫りにしたパンツをこすった。下から上へ、濡れた下着を押し上げるクリトリスをくすぐり、また下の方へと指を躍らせる。
白く濁った愛液が苺の指先を濡らして、指を離しても粘液の糸がつぅっと伸びるぐらいだった。
「あっ、ああっ、やめないで・・・お、おねがい・・・もっとぉ」
胡桃は羞恥心など無くしてしまったかのように、いやらしい行為をおねだりしている。もっとも敏感な部分を弄った事で、より一層の飢餓感に襲われているみたいだった。普段のおとなしい胡桃の様子からは、まったくの別人のようだ。それとも、胡桃が今感じている快感は、それ程までに凄い快感なんだろうか・・・。
「次は、直接触って、入れてあげるわね」
舞ちゃんは苺の背後から手を伸ばしてパンツの底の部分をずらすと、苺の右手を取って再度その場所に誘導した。けど、さっきと違うのは、パンツの上から形をなぞるのではなく、まるで何かを待ち侘びているかのような秘裂の奥・・・膣に苺の中指を入れさせた事。
「ああ、イ、いいっ!いいよぉっ!」
舞ちゃんに操られる苺の指とまったく一緒の動きで、胡桃は自分の膣を掻き混ぜる。指はあまり深くまではいれていないみたいだけど、その感じ方はいつもの純真な胡桃からは想像も出来ないくらいだった。
全身が汗に塗れ、キラキラと蛍光灯の下で輝く。涙と涎で汚れた顔は、けれどもとても幸せそうで。
「指で掻き回される気持ちよさ・・・これで覚えたよね」
そう言って、舞ちゃんは苺の手を動かした。
手首を握って、両手を広げるような形に。
苺を愛撫する存在はなくなり、苺の動きをトレースする胡桃もまた、快感を取り上げられる。
「やぁっ!お、おねがいっ、くちゅくちゅって・・・くちゅくちゅってもっとしてよぉ!せつなくて、あたま、ヘンになっちゃうよぉ・・・うぅっ」
胡桃の顔が、くしゃっと歪む。今にも泣きだしそうな子供みたいな表情で、あられもなく懇願する。対照的に苺は、やはり胡桃と同じ心境なのか、無表情のままで静かに一筋の涙を流した。
「泣かないの。今からしてあげるから・・・ね?」
舞ちゃんは微笑みながら、右手を苺の秘所に、左手を右胸に伸ばした。どちらも触れる寸前で止めて、胡桃に視線を戻した。
「胡桃ちゃんは、このお人形さんと繋がってるの。だからお人形さんが動けば胡桃ちゃんも動くし、お人形さんがえっちな事をされると、胡桃ちゃんもえっちに感じちゃうの」
それは、舞ちゃんが最初に胡桃に言っていた内容。楽しげに抑揚をつけて言うと、舞ちゃんは苺に触れる寸前で、自分の手を胡桃に見せびらかすように動かした。たったそれだけで、胡桃の心にいやらしい期待が生まれる。
「ぁあ・・・さわって・・・いっぱい、さわって!」
胡桃は食い入るように舞ちゃんの手を見詰めながら、悲鳴みたいな声で懇願した。これが普段あんなにおとなしくて、声を荒げたりする事が無い胡桃かと驚いた。
これ以上焦らしても可哀想と思ったのか、舞ちゃんが苺の秘所のぎりぎり近くで留めいていた中指を、ゆっくりと挿入した。しとどに濡れそぼったそこは、やすやすと・・・いや、むしろ自分から引き込むみたいな感じで、舞ちゃんの中指を飲み込んでいく。
「うぁっ、い、いいッ!すごいよぉ!!」
胡桃が腹筋をヒクヒクと痙攣させながら、押し出すように嬌声を上げた。さんざんおあずけを食らった後で、いっそう快感が深く感じられているように見える。
「胸も、いっしょにしてあげるね」
舞ちゃんがぐちゅぐちゅと音を立てて苺の膣内を擦りながら、左手で苺の弾けそうな乳首を指の股で挟み、右胸全体を押さえ付けた。ゆるゆると手を動かして、胸を捏ねまわす。
「いやっ!いいッ!きもち、いいよぅ!」
両手はだらりと垂らしたまま、胡桃は誰にも触られていないのに上り詰めていく。それは、苺も同じくらいに感じているという事なんだろうか。身動きが取れないままに快感を流し込まれ、激しく悶える胡桃の様子に、ぼくは今にも射精してしまいそうな昂ぶりを覚えた。
「すごっ、すごいの、きちゃ!きちゃうぅッ!!」
ぴぅっ。ぴっ。ぴゅ。
そんな小さな音を立てて、苺と胡桃の秘所から潮が噴き出した。二度、三度と噴き出して、次第に勢いが弱まっていく。出なくなった頃には、苺と胡桃は意識をなくしたように、ぐったりと脱力して、荒い呼吸を繰り返していた。
「妹さん達のえっちな姿、いかがでした・・・裕司さん?」
ドアが開くと、舞ちゃんが至近距離でぼくを見上げていた。興奮に濡れた瞳がキラキラと輝いてて、ぼくは目が離せなくなった。
「あ・・・君はなんで・・・」
聞きたい事も、聞かなきゃいけない事も、たくさんある。たくさんありすぎて、どう言葉をつないだらいいかも判らないくらい。そんなぼくの様子を、舞ちゃんは面白そうに見上げている。
「いまは、秘密です」
舞ちゃんは、小首を傾げて、ウインクしながら人差し指を振っている。その破壊力のある可愛さに、ぼくはまたどうしていいかも判らなくなる。
「だから、今日のところは部屋に戻っていて下さいね」
舞ちゃんはそう言うと、まるで間接キスをするみたいに、苺の愛液で濡れた指を、ぼくの唇に軽く当てた。指はすぐに離れたけど、不思議な味が唇に残った。どう反応していいか判らないぼくに微笑みかけて、舞ちゃんは「おやすみなさい」と囁くように口にして、ドアを閉めた。
ぼくは、舞ちゃんの手で閉じられるドアを、何も反応できないままに見ていた。まったく馬鹿みたいだと、自分でも思う。けど、衝撃的な場面ばかり見ていて、頭が働かなくなるのは仕方が無いじゃないかと、情けなさを取り繕うみたいに思った。
― 4 ―
そして翌朝。
ぼくは睡眠不足で重たい頭のまま、階下のリビングへ下りていった。
「おかあさん、お皿はここに置いておくから」
「・・・」
そこには、いつもと変わらない様子の胡桃と苺が、結構広いキッチンの中でかあさんの手伝いをしていた。とうさんの姿は見えないけど、多分また出張してるんだと思う。舞ちゃんはテーブルの準備をしてるみたいだった。
ぼくは、胡桃と苺に目を向けた。
何かとかあさんに話し掛けながら手伝う胡桃と、静かに胡桃のフォローをする苺と、それはいつもと変わらな過ぎて、昨日のあれは本当の事だったのか、自信が無くなって行くようだった。
「おはよう」
ぼくが朝の挨拶をすると、いっせいに明るく「おはよう」と挨拶が返ってくる。昨日の夜の記憶が、それだけでもっと確信から遠く離れたところに転げ落ちて、酷くあやふやになった気がした。
「おはようございます。いい朝ですね」
テーブルを拭いていた舞ちゃんが、笑顔をぼくに向けた。変な事なんて何もしていないという、罪悪感の欠片も無い笑顔だった。
「ねぇ、昨日の事だけど・・・」
思わず場所もわきまえずに問い掛けたぼくを、舞ちゃんは笑顔で唇に人差し指を立てて遮った。
けど。
けど、舞ちゃんの目は、笑っていなかった。
冷たくて、感情を感じさせない目だった。
この瞬間、ぼくは舞ちゃんに恋した事に気が付いた。
集団自殺するレミングスの本能の様に、破滅的で逆らい様の無い恋をしたのだと、自覚した。
「ああ・・・」
喘ぎとも絶望ともとれる溜息が、無意識のうちにぼくの口からこぼれた。
だけど、ぼくは舞ちゃんから目を離せない。
こんなにも幸福感から遠い恋愛感情があるなんて、知らなかった。知りたくはなかった。
けれど、もう戻れないという事は、いやというほどに理解してしまった。きっとぼくは、目の前の崖が奈落へ繋がっていたとしても、舞ちゃんに導かれるままに足を踏み外すのだろう。
「ん?」
もう普段と同じ表情に戻って小首を傾げる舞ちゃんに、ぼくは首を左右に振った。
「いや・・・これから、楽しくなりそうだな・・・ってね」
歯切れの悪いぼくの言葉に、舞ちゃんはきゅっ、と笑みを深くした。
「そうね。楽しくなるわ・・・きっとね」
舞ちゃんの言葉は、喜びと絶望を持ってぼくの心に響いた。
きっとすごい毎日が待ち受けている、そんな気がした。
< つづく >