プロローグ
僕の名前は前田一也。県立高校の2年だ。
僕の家は、美容院をやっていて両親は昼間も、夜間も10時頃までそこで働いている。
僕の家から美容院までは歩いて2、3分の距離で駅前から家に向かう途中にある。
僕は成績は中の上。理数系は得意だが文系はちょっと苦手だ。
特に英語は大の苦手で英語があるとそれだけで成績が50番かそこら下がってしまう。
自己紹介はこれくらいにして、今日は前々から計画を立てているある計画を実行に移そうと思う。話を少し過去に戻して・・・。
僕のおふくろが、英語の家庭教師を連れてきたのが今から4ヶ月前の事だった。
当時おふくろは、自動車教習所に通っていて、そこで知り合った女子大生の上北紀子と意気投合したらしい。どうやら、教習所で知り合って息子の話になり、その息子つまり僕の事で英語ができないという事でこの上北紀子が家庭教師を引き受ける事になったと言う事だ。
その頃、今もだが美容院も繁盛しているらしく、今度2号店を出店をするということで、おふくろが自動車の教習所に通い、運転免許をとる様になったのも、その2号店との間の移動や何かで、自分で運転免許があった方が何かと便利だということで、免許を取得した。
この上北紀子は、現役のN大の英文科の女子大生の3年生でたまたま、おふくろと教習所で知り合ってこの僕の英語の成績を少しでも良くしようと言う訳で、引き受けたらしい。
ま、本人も断る訳もなく、僕の家は自分でいうのも何だけども結構裕福な方で、家庭教師のバイト料も良かったのであろう。僕もそのあたりの
事情は分からないが、突然、おふくろが家庭教師を雇ったと言い出した。
「一也、明日から英語の家庭教師が来るからね」
「え、何? おふくろ。家庭教師って何の話?」僕は驚いて聞き返した。
「あんた、英語の成績はからきしじゃないの。他の科目はそれほどでもないのに、英語だけは酷いから、再来年は大学受験だし、今からやっとかないと間に合わないからね」
そういうと、僕の返事も聞かずにさっさと、美容院に出かけて行った。
僕は、今日は学校が休みなので、これから趣味のパソコンでもやろうかと思っていたのだが、なんか、朝から気分が滅入るなぁ。どうせ眼鏡をかけたがり勉風の男か、家庭教師センターから派遣されてくるいかにもバイトで教えますっていう輩だろう。
あれこれ考えてみたものの、おふくろは、言い出したら聞かないし、特に僕も英語の件については、おふくろのいう通り、成績が振るわなく、今まで英語で家庭教師を雇わなかったのが、不思議なほどだなぁと、漠然と思っていたので、すぐに考えるのを止めた。
ま、いいか、家庭教師を雇って英語の成績が上がればめっけものだしな。
僕は、おふくろから見れば、それ程出来の悪い息子ではないらしく、それどころか、おふくろの信頼を得ていると思う。いわゆる優等生だった。
今までは、学校の成績にしろ、宿題にしろ、勉強しなさいと、口やかましくいわれるまでもなく、勉強をしていたので、おふくろとしても家庭教師だのやれ予備校だのと口やかましく言わなかったのだ。
ただ、最近の英語の成績でおふくろも見かねたらしく、この始末である。
ま、身から出たサビということで、僕は諦める事にした。
翌日、僕はこの上北紀子と出会ったのだ。
「ピンポン」「はーい」おふくろの声だ。
どうやら例の家庭教師が来たらしい。僕は、2階にある自分の勉強部屋で机でパソコンに向かってプログラムを組んでいたのを止めて、その先生の来るのを待った。
「コンコン、一也、入るわよ。先生がお見えだから」
おふくろが入ってきた。その後から僕の想像とは違って、女性の家庭教師が入ってきた。
「こちら、上北先生」「これが、話していたうちの息子の一也です」
「今日は、一也君。私は、上北紀子。今日から君の英語を見る事になったの。ヨロシクね」
僕は、不意打ちを食らったような感覚に教われながらも、どうにか返事をした。
「ああ、一也です。こちらこそよろしくお願いします」
「じゃぁ、一也、私仕事があるから、お店の方に戻るけど、ちゃんと勉強しなさい」
「それと、下のリビングのテーブルにお茶が用意してるから適当にしておいてね」
「すみません。私、仕事がありますので、これで、上北先生、よろしくお願いします」
「あ、お気になさらずに。私も終わりましたら、美容院の方に顔を見せますので、」
そう言うと、おふくろは、ドアを閉めて、階段を降りていった。
「さてと、じゃ一也君、とりあえず、君の英語の力を見せてもらうから、ちょっとこの問題をやってみて」
そう言うと、どこかの問題集から切り貼りしたようなコピー紙を取り出した。
その間、僕は先生の様子を観察していた。
身長は160cmより少し小さい。多分158cmくらいか。
やせすぎもせず、太りすぎもせずスタイルも悪くない。顔も割と僕好みの顔だ。美人というよりかわいいという感じの人だ。
それに、いきなり切り貼りとはいえ、手作りの問題集のプリントを用意してあるという事は多少なりとも真剣に僕に教えようという気があるという事だろう。
僕は、優等生らしく「はい、じゃぁちょっとやってみます」と返事をした。
「難しかったらいつでも質問してね。これは、君の実力を知る手がかりに使うんだから無理せず、正直に答えて欲しいの。そうすれば、君がどこで引っかかっているのかが分かると思うから」
僕は、問題に取り掛かった。
こうして紀子との初対面の日は過ぎていった。この頃、僕はまだ紀子の事をどうのこうのという気持ちはなかった。ただの家庭教師の先生の生徒という関係に過ぎなかった。
まぁ、好意はあったにしろ、この様な感情はこの時露程も持っていなかった。
ラポール
家庭教師の最初の日から約3週間が過ぎ、定期テストが始まった。
その頃、家庭教師の効果かどうかは分からないが、英語のテストの点数が以前に比べて良くなった。
これはおふくろも喜び、先生も喜んでくれた。
「やれば、できるじゃない。私の教え方が良かったのかなぁ。フフフ」
その頃は、もう何回も我が家で僕を教えている事もあり、すっかり気を許しているので2人のときは、この様に冗談を言ったり、僕の方もお姉さんが出来たように思えて英語以外の事も時たま相談に乗ってもらったり、紀子の事、これは主に大学生のキャンパスライフや紀子の趣味の事なんかも雑談の時に話すくらいに成っていた。
それからまた数ヶ月が経ち、また定期テストがあった。つい先週結果が分かったが、英語の成績は前の通りだった。いやむしろ若干以前より悪かったかもしれない。
それを見た紀子の反応が僕の中で何かを変えた。
その時から僕の体の中で何かが目覚めたのだった。
「一也君、どうして。前はあんなに良かったのに今回はどうして。私の教え方が悪かったのかなぁ」
と、言い出し、突然泣き出した。さすがに僕は、あせった。しかし、成績が悪くなったのはたまたまで、別に先生が悪い訳でもないし、勉強をサボった訳でもない。
本当に今回はたまたま運が悪かったに過ぎないのだ。
だが、僕は、泣いている紀子を見て不覚にも興奮してしまった。
泣いている紀子を見てかわいく思え、自分の物にしたい。紀子を支配したいと思えた。
この瞬間から僕の中に何かが産まれたのだろう。この感情を別の方向に持っていけばただの恋愛いや、淡い思春期の年上の女性に対する憧れで済んだのかもしれないが、僕は、その一線を超えてしまった。
その時、僕の頭にある考えが浮かんだ。紀子を自分の物にする。
まだ、その時は具体的な方法を思い付かなかったが、今日はその仕上げである。
仕上げをする前にもう少しそれまでの過程を回想する事にする。
泣いている紀子をなだめながら、僕は言った。
「先生、ごめんね。僕の成績の事でそんなに泣いてくれるなんて思ってもいなかったよ」
「本当にごめんなさい。これからがんばるし、先生も今回の汚名を挽回するために協力してくれますよね」
そう言いながら、僕は紀子にハンカチを手渡し、本当に申し訳なさそうに言った。
そして、気を取り直して「そうね。過ぎた事にクヨクヨしていてもしょうがないわね。さぁ、気分を変えて今回のテストの見直しをしようか」
そう言いながら、潤んだ目をしながら僕のハンカチで目をぬぐいテストの見直しを始めた。
突然、僕は以前から興味のあった催眠術をこの紀子に試してみようと思いついた。
「先生、気分直しにちょっと集中力を高めるちょっとしたコツがあるんだけど、先生もやってみない?」
僕は、何気なく紀子にそう切り出した。
「何それ?うーん、そうだね。ちょっと気分転換にやってみようかな?」
そう言ってちょっとその気になったようだ。僕は内心やったと思い、何食わぬ顔で話を続けた。
これまでの間で紀子と僕の間にはある程度の信頼関係は形成されている。これを心理学用語でラポール付けと言うのだが催眠術をかけるにもなによりこのラポールが重要になるのである。
こう、言っている僕も人に催眠術をかけるのは初めての経験である。だけど、どんな名人であっても必ず初めての時はあるし、もし失敗してもこの場合は特に問題ないだろう。
「じゃぁ、先生。まず腕をすっと伸ばしてまず、体の緊張をほぐしましょう」
そう言って、僕は背伸びをして肩の力をがくっと抜いた。「先生、ほら背伸びしてみて、肩の力をがくっと抜いてみて」紀子は何の疑いもなく僕の言う通りに従った。
「そうそう、体の緊張を解いてリラックスした気持ちになって下さい」
「それでは、先生の緊張具合を図るので、まず、腕を組んで下さい。両手を合わせて指をぴんと伸ばして中指だけを離して下さい。そして、その中指に意識を集中して中指をくっつけない様にして下さい」そう言うと紀子は、両手を合わせて中指をぴんと張りくっつけない様にして、その中指をじっと見詰めている。頃合いを見計らって僕は、紀子に催眠誘導をかけていった。
「意識を集中していると頭の中がボーッとしてきて僕の言う通りに体が動いてしまいます」
「あなたの指はあなたの意志に反して次第にくっ付いていきます。自分では、どうしようもなくくっついていきます」紀子の指がピクピクとしながら中指が徐々にくっ付いていった。
「ほら、だんだんとくっついていく。もう自分の意志ではどうしようも無い。ほーら、くっついた」
「先生、まだ緊張していますね。もっとリラックスしなきゃ」
そういいながら、今度はペンダントを取り出し紀子にそれを持たせた。
「さぁ、先生、このペンダントの先をじっと見ていて下さいね」そう言ってペンダントにそっとふれ、揺れを止めた。「先生は、じっとしているからこのペンダントは揺れる訳無いですよね」
「でも、僕は意志の力でこのペンダントを揺らせる事が出来るんです。
それには、先生の協力も必要です。先生もこのペンダントの先をじっと見詰めてペンダントが揺れるイメージを心の中に描いて下さい」「ペンダントが揺れる。揺れる。揺れる。・・・」
紀子の様子を見ながら僕は続けた。「ほら、段々ペンダントが揺れて来ましたよ」
「ほら、揺れる。揺れる」紀子はペンダントに意識を集中している様で、眼をぱちぱちしながら、ペンダントをじっと見ていた。
「ほら、ペンダントが段々揺れてきた。揺れが大きくなってきた。その揺れが大きくなって来るのと同時にあなたの体も段々と揺れてくる。左右に揺れる、揺れる。揺れる。・・・」
そう言いながら、紀子に気が付かれない様にそっと肩に手を置き紀子の肩を左右に揺らし始めた。
「そう、ペンダントが揺れると同じようにあなたの体は左右に揺れます。揺れながらあなたは気持ちよくなってきます」今ではもう、紀子の体から手を放しているが、紀子はペンダントを持ちながら自然に体が左右に揺れている。
「さぁ、体が揺れて来ると段々頭の中がボーッとして何も考えられなくなります。眠い。少し眠くなってきましたね。眠くなるにつれてあなたの体はもっと揺れてきます」
こう言って僕は紀子を深化させていった。
紀子の体はますます大きく揺れてきた。頃合いをみはかって僕は、更に暗示を重ねていった。
「さぁ、今度はペンダントがぐるぐる回り始めました。ぐるぐる。ぐるぐる。
ペンダントが回ると段々あなたの体も回り始めます。ペンダントに合わせてぐるぐる、ぐるぐる回る。
回る、回る」そうすると、紀子は今度は僕の手を借りる事もなく独りでにペンダントと同じく回り始めた。
「さぁ、ぐるぐる回ると、あなたは、さっきよりももっと何も考えられなくなります」
「今、あなたは自分で考える事が面倒で仕方ありません。そして、ぐるぐる回ると、気持ちよくなり、ずっと深い眠りに入ります」「ぐるぐる、回る。回る。そしてふかーい、眠りに入っていきます」
紀子の催眠深度が結構な深さに入ってきたようなので今度は、更に催眠深度を深める事にした。
「さぁ、もう、眠いし、ぐるぐる回って体の力が徐々に抜けてきました」
「もう、ペンダントを持っている事はできません。さぁ、ペンダントが手から離れます」
そうして、紀子はペンダントを手からするりと落した。
「ペンダントが手から離れて、あなたの体の回転は止まります。そして後ろにすっと倒れます」
そう言いながら、僕は紀子の後ろに回り込み紀子が倒れて来るのに備えた。
「さぁ、倒れると体の力がすっと抜けて、あなたは体に力を入れる事ができない。そして、自分で考える事も出来ない。ふかーい、所にすーっと落ちていきます。何も考えられない。眠い、眠い。ふかーく眠りましょう」
床に紀子は横たわっている。まだ、この状態での暗示はある程度有効だが、完全な深化をしなければいけない。
僕は、更に催眠深度を深めるために、弛緩法を繰り返し、紀子の催眠深度を深めていく事にした。
床に横たわっている紀子に向かって更に暗示を与えていく。
「さぁ、あなたは次第に体に力が入っていきますが、まだ気持ちのいい状態のままで、自分で考えるのが面倒です。私が、あなたの肩に手を置くと腰に力が入って上半身が置きあがる事が出来ます」
「はい」そう言って、紀子の肩に手置き、紀子を床に座らせた。
「今度は立ち上がる事が出来ます。1、2、はい」
そう言って紀子を抱きかかえながら立たせた。そして、更に続けた。
「さぁ、体に力は入りますが、未だにあなたは自分で考える事ができません。そして、眠っています」
「眠っていますが、私の言う声は聞こえるし、あなたの体は私の言う通りに動きます。
しかし、私の言う事を聞いていると気持ち良くなり、私の指示通り体を動かすとすごく幸せな気分になります。なぜだか分かりませんが、私の言う事に従いたくなります。私の言う事に従っていると幸せな気分になります」こうして、紀子に僕の命令を聞くのに心理的に抵抗が無くなるように暗示を与えていった。紀子は、軽く眼を閉じ何も言わずに立っている。
「さぁ、これから、あなたに指示を与えます。私が手をパンと叩くとその通りに動きますが、すぐに今よりももっと深い眠りに入ります。さぁ、眼を開けて私の眼を見て下さい。私の眼からあなたは眼が離せなくなり、更に深い眠りに入っていきます。3つ数えて手をパンと叩きます。そうすると、今行った通りに成ります。1,2,3、ハイ」「パン」手を叩いた。
紀子は、眼をすっと開け眼をぱちぱち瞬いたが、すぐに僕の眼をじっと見詰めた。
「さぁ、あなたは、私の眼から眼が離せない。じっと見ているうちに私の眼に吸い込まれていく」そう言ってすっと紀子の顔に指を突き出した。
「僕の眼を見ていると段々瞼が重くなってくる。重くなる。今度は、私の指先を見詰めて目が離せない。どうしても指先から目が離せなくなります」
「でも、私の指先を見ているとさっきよりずっと瞼が重くなり、眼を開けていられなくなります。段々瞼が、落ちてきた。ほーら、眠くなる、眠くなる」紀子の瞼がひくひく動き、段々眠そうに瞼が閉じてきた。紀子の瞳が閉じるかどうかの所で僕は、後ろに回り込んで言葉を続けた。
「さぁ、瞼が完全に閉じてしまいました。もう眼は開けられない、そして、眠い眠い。ますます、眠くなってくる。眠くなると体の力も段々抜けてくる」
僕は、紀子の後ろから頭を持って更に暗示を与えていった。
「私が頭をぐるぐる廻すと更に気持ち良くなって体の力が抜けていきます。これから3つ数えると体の力がすーと抜けて更に深い所に落ちていきます。1、2、3、はい」
そう言って紀子の体を後ろに引いてやると紀子は、僕の体に寄りかかるように全身の力を抜いて、後ろに倒れてきた。紀子の体をそっと、床に寝かせると、更に僕は、暗示をかけていった。
「さぁ、あなたは、すっかり体の力が抜けています。頭、肩、背中、腰、腕、お腹、太股、ひざ、足」
僕は、頭の上から順々に体の部位の弛緩の暗示を与えた。
「もう、すっかりあなたは、深い眠りに入っています。あなたの体は全然力が入りません」
そう言って紀子の様子を見た。
紀子は浅く呼吸をして、すっかり体から力が抜けているようだ。
この段階であまり冒険を犯したくないので今回は、紀子の催眠耐性と、被暗示性の高さの確認、更に催眠深度を深めていくための予備催眠ということで、紀子が通常嫌がるであろうことは、やらない様にする。これは、後のお楽しみということで、今回は紀子の被暗示性を高めて今後の催眠誘導に持っていきやすい様に予備の細工を行うにとどめる事にした。
この時、紀子の無防備の姿に僕の下半身は勃起していたが、今回、いきなり犯る訳もいかずに僕自身の全神経を集中して我慢した。
「これから、あなたの事に付いていくつか質問を行います」
「あなたは、正直にその質問に答えます。決してうそはつけないし、隠す事もできません。それどころか、質問に答える事が楽しくてしょうがありません。いいですね」
「こくん」紀子は、寝ながらうなずいた。「これから、あなたは返事をする時、わかったら「はい分かりました」と答える事が出来ます」
そう言って紀子を見ながら「分かりましたね?」「はい、分かりました」と答えた。
「それでは、質問です。あなたの名前は?」「上北紀子」
「生年月日は?」「昭和56年4月9日生まれ」
「あなたの年は?」「二十歳です」
「あなたは、今、好きな人がいますか?」この質問には、多少時間がかかったが、「はい」と答えが返ってきた。
「それは、誰ですか?正直に答えて下さい」
「別に恥ずかしいことではありません。ここで聞いているのはあなた自身の別の声です」
「私の声はあなた自身の声、自分の声です。自分自身の質問だし、ここにはあなた以外には誰もいません。何を言っても問題ありません。さぁ、安心して言ってみましょう」
この暗示が効いたのか、それ以降の質問にはスムーズに答えてくれるようになった。
いろいろ、紀子自身のかなりプライベートの事を聞き出し、暗示を与えるためのネタを仕入れた。
先程紀子が言っていた好きな人の事は、紀子が通っている大学のサークルの先輩で別にその男と付き合っているものでも、告白した訳でもなく、今時珍しい程の奥手である事が分かった。当然処女である。
僕は、心の中でガッツポーズを取りながらふと時計を見た。
あれから、40分ほど経っている。記憶の欠如としてごまかすにもこれ以上だと紀子が疑問を抱く恐れがある。僕は、紀子を催眠状態から醒めさせて再び深い催眠状態に入れるための鍵言葉を紀子に埋め込む事にした。
「さぁ、良く聞いて下さい。今からあなたにあるキーワードを教えます。このキーワードは、普段あなたは覚えていません。心の奥底の中に無意識の状態で覚えています。普段のあなたは、決して思い出せませんが、私が、そのキーワードを言うと今のように深い催眠状態に入る事が出来ます。その時、あなたは、「わたしは、あなたの催眠のとりこです」と言いましょう。そうすると、あなたは、今のようにすごく幸せな気分になれます。そうして、必ず、今のように深い催眠状態になります。それは、どんな場所でもどんな時でも必ずそうなってしまいます。それでは、キーワードを言います。「紀子は僕の催眠のとりこ」」
「わかりましたか?」「はい分かりました」紀子は答えた。
「それじゃぁ、私が、「紀子は僕の催眠のとりこ」というと、あなたはどうなりますか?」
「あなたが「紀子は僕の催眠のとりこ」と言うと、私はどんな時でも今のような深い催眠状態になって「わたしは、あなたの催眠のとりこです」と言います」
そう、言った。とりあえず、暗示はOKだ。これが、後暗示として有効かを実験してみる事にした。
「さぁ、今からあなたの催眠を解きますが、今まで私が聞いたりあなたに指示した事は全て忘れてしまいます。しかし、さっき言ったキーワードだけは、心の奥底で無意識で覚えています。でも、普段は忘れています。これから、5つ数を数えるとあなたは、気分良く目覚めます。1、2、だんだん眼が醒めてきて意識が戻ってくる。3、4、だんだん、はっきりしてきた。5。はい」
紀子は、眼をパチパチして、はっとしたように気が付いた。
「先生、大丈夫?急にめまいがするって言って倒れて。ひょっとすると貧血か何かかなぁ?」
「え、だ、大丈夫よ、そうでも、今は、気分もいいし、大丈夫。私どれくらい倒れていた?」
そんなに長くないです。テストの見直しをやっていてそれからだから、ほんの2,3分って
いうところです」紀子は自分の服装に乱れが無いのを確認し、僕の言う事を信じて立ち上がろうとした。
「先生、大丈夫?そう少し横になったら」僕は紀子に心配そうに声をかけた。
「ありがとう、大丈夫。でも、ちょっとイスにかけさせて」
そういうと、イスに座ろうとした。
「先生、本当に大丈夫?「紀子は僕の催眠のとりこ」なんだから」
紀子は、一瞬「えっ」という表情をしたが、次の瞬間、眼を閉じイスに座ろうとしたままの体勢で、「わたしは、あなたの催眠のとりこです」と言った。
「さぁ、イスに座りましょう」「はい」抑揚の無い声で紀子は答えた。
「今、あなたは深い催眠状態のままです。今、さっきあなたは、貧血で軽いめまいを覚えてしまいました。しかし、今はもう大丈夫です。深い催眠状態で何も恐くはありませんし、すごく幸せな気分です。さぁ、私が、3つ数えると催眠から醒めて元に戻ります。3、2、1、はい」
「先生、本当に大丈夫?今日はもう家庭教師やめにして、帰った方がいいんじゃない?」
「うーん、そうね、ちょっと私も興奮しちゃったみたいだからテストがちょっとね」
「先生・・・」僕は申し訳なさそうにしていると、「そうね。終わった事は言わない約束ね。今度からがんばろう。このテストが最後って訳じゃないし、一也君の成績も段々上がってくるって」
そう言いながら笑った。
「そうですよね。今回、たまたま悪かっただけですから、今度は名誉を挽回しますって」
「こら、調子にのるんじゃないの」紀子は、ちょっとふくれながらも笑った眼で見つめた。
「でも、ごめんね、今日は一也君の言う通り早目に切り上げて帰る事にするわ」
そう言ってその日は帰っていった。
あれから、1週間、僕は、紀子を自分のペットにするために色々計画を練った。
スレーブ
家庭教師が来てからこれほど次回の家庭教師の日が待ち遠しいと思える事はなかった。あれから、2回、紀子には催眠暗示を施して、もう、キーワードによる誘導でどんな瞬間にもすぐさま催眠状態に陥るように訓練している。
さらに、催眠深度を深め、かなりの催眠深度に誘導した。
そろそろ、人格変更等のかなりの暗示を受け入れる頃だろう。
いよいよ、今日がその本番だ。
幸い、おふくろも新しい店の事で忙しいらしく、紀子が慣れているというのと、あれから僕が積極的に勉強し出したのもあり、家庭教師の事は結構おざなりになっている。ま、おふくろの信頼もあり、今の所、紀子の催眠の事は、本人はおろか、周りの誰にも気が付かれていない。
もっとも、この僕は非常に気をつけていたし、記憶の不整合や記憶の削除等も忘れずに丁寧に施していた。
今日は、その辺の忘却暗示も一連の動作に刷り込みをして、催眠から目覚めると必ず、その間の出来事は忘れるようにしようと思う。
それに、紀子には、今日から新しく生まれ変わってもらうようにする。
そう、僕のペットにしてあげよう。
「ピンポーン」玄関の呼び鈴が鳴った。「はーい」僕は、そう返事しながら下の階に降りていき玄関を開けた。
そこには、予想通り紀子が立っていた。「あら、一也君?おかあさんは?」
「なんかこの頃、お店の方が忙しいらしく、今日は居ないんです。さ、先生、上がって下さい」「そう、じゃぁ、おじゃまします」
そう言って紀子は靴を脱ぎだした。僕は、紀子の脇から玄関のドアに近づき鍵をかけ、振り向きざまにキーワードを言った。「紀子は僕の催眠のとりこ」
とたんに紀子の動きが止まり、意志の無い声で「わたしは、あなたの催眠のとりこです」と言った。
ちょうど、玄関に上がろうとして片方の靴を脱いだそのままの状態で固まったように意志のない眼を開けて立っている。
「紀子。さぁ、靴を脱いで僕の部屋に行っていなさい」「はい」
そう言って、靴を揃えて脱ぎ、階段を僕の部屋の方に向かって上がっていった。
僕は、玄関のロックの確認と念のため、チェーンロックをして、紀子が上がっていった階段を登っていった。
紀子は、催眠にもなれて既に大抵の暗示に対して非常に被暗示性が高まっていた。
記憶操作や、感覚支配、運動支配などもう、無理なく暗示を受け入れるようになっている。
今日は、仕上げに人格支配を行い、今日から紀子は僕の奴隷として生まれ変わるのだ。
部屋に入ると紀子はそこに立っていた。
「さぁ、紀子、いつもの様に深い催眠状態になろう。今日は、君に新しい君に生まれ変わって素晴らしい経験を積もう。3つ数えるとあなたは、深い眠りに入り、ずっと深い催眠状態になります。1、2、3。はい」見た目はあまり変わらないが、催眠深度はかなり深くまで陥っている。
「さぁ、紀子、こっちにおいで、そしてベッドに腰掛けなさい」「はい」
そう言うと、紀子は、ベッドに近づきベッドに腰をかけた。
「紀子、僕が3つ数えると、君は猫に成る。3、2、1、はい」そう言うと紀子は、ベッドから4本足で這い出し、「にゃーん」と言って床を四つんばいで歩き回っている。
人格支配も成功した。紀子は、これは演技ではなく本当に自分は猫だと思っている。
試しに紀子の目の前で猫じゃらしの様に30cmの物差しをゆらゆらさせると「にゃん」と言いながら手でその物差しを叩いた。僕は、面白
いのでしばらくこの物差しで紀子をからかい遊んだ。
「さて、もういいか、これからが本番だ」僕はそうつぶやくと紀子に近寄り元通りの状態に戻るように暗示を与えた。「紀子、3つ数えるとあなたは、元の人間に戻り再び深い催眠状態に戻ります。今よりもっと深い催眠状態です。いいですね」「にゃん」紀子は、猫の人格のまま返事をして、僕はそのまま3つ数を数えた。「1、2、3、はい」床に四つんばいに成った状態で再び生気を失った眼をし、その場で動かなくなった。
「紀子、今度は、君は新しい君に生まれ変わる。僕が、3つ数を数えると新しい君に生まれ変わるんだ。そして、新しい君は、僕の言う事は何でも聞く、僕に命令されると嬉しく体の中が幸福感でいっぱいになる。そして、僕の命令通りすると幸せな気持ちがする。今まで君が感じた事の無いぐらいの快感と幸福感が得られるよ。そうしていると幸せだ。さぁ、3つ数えると君は僕の奴隷に生まれ変わるんだ」そう言って紀子を見つめ数を数えた。「1、2、3、はい」
見た目は何ら変わりはないが、確かに紀子は、僕の奴隷に成ったはずだ。
今から、暗示と教育を施していかなければいけない。今日は、忙しくなりそうだ。
「さぁ、紀子、お前は僕のなんだ」「私はあなたの奴隷です。何なりとご命令下さい」
よし、人格変換は上手くいっているようだ。さっそく教育を始めよう。
「紀子、今からお前は、返事をする際には、必ず「はい、ご主人様」と答えるようにしろ」
「はい、ご主人様」紀子は返事をした。「それから俺の言う事には絶対に逆らうな。それと、俺に対しては隠し事は一切出来ない。例えそれが故意にしろ俺に関係のある事やお前の秘密なんかは絶対に隠し事は禁止だ。いいな、わかったな」「はい。ご主人様」
「紀子、俺がお前に暗示や命令を与えている時は、必ず復唱しろ。分かったか?」
「はい、ご主人様。わかりました。暗示や命令の際には必ず復唱いたします」
「よろしい、紀子。お前はいい子だ。かわいがってあげよう。さぁ、服を脱ぎなさい」
1週間の我慢の甲斐があって、紀子を抱く事が出来る。紀子の処女を頂けるのだ。
今日が紀子の安全日なのは本人から聞いて知っている。それに、もう奴隷になったんだから例え妊娠しても、暗示で本人の意思を変え、本人におろさせることも可能だが、この年で一児の父親になるのは、御免だし、ましてや俺の良心が痛む。
良心という言葉がでたが、この時は既に僕は自分を見失っていたかもしれない。
その時には気が付かなかったが、僕の事を僕と呼ばず、俺と言っている自分に後になって気が付くのだが、その時は自分は自分でなかった様だ。僕の中のもう一人の自分が俺となって現れたようだ。
紀子は服を脱ぎ下着だけになった。「何だ、紀子。お前が着ている物はなんだ」「下着です、ご主人様」
「紀子、俺はお前になんと言った?」「はい、ご主人様は服を脱げと・・・。ああ、申し訳ありません」そう言って紀子は、ブラジャーとパンティを慌てて脱いだ。
「紀子、なぜ胸や股間を隠す?」「はい、でも・・・」「はい、でも、何だ?」
俺は、少し語尾を強めに言った。「申し訳ございません、ご主人様、存分に私の体をご鑑賞下さい」
うん、どうやら紀子もこの状況に慣れてきたようだ。人格変換の場合も本人が持っているイメージに自分がなったと思い込んでそういう人格に変わるだけで、その人物を良く知らなかったり、全然違うイメージを持っていたりするとこちらの期待通りには行かない。
紀子が持っている奴隷のイメージは僕が思っているのと多少違うようだ。
まぁ、いい。これから僕のペットとして紀子を教育していけばいいだけだから。
「紀子、ご主人様にご奉仕しろ。まず、ひざまずいて俺のズボンのチャックを開けろ」
「はい、ご主人様、ご奉仕させていただきます」よしよし、だいぶと飲み込んできたな。
「ご主人様、チャックを開けました」「よし、それじゃ俺の一物をしゃぶってくれ、フェラチオって知っているか?」「はい、ご主人様。やった事はないですが、どうすれば良いかは知っています」
そう言うと紀子は、おれのイチモツを咥えて一生懸命しゃぶり始めた。
紀子も貞操観念だけはしっかりしているくせにフェラを知っているとは、結構抑圧されているのかも知れない。ま、徐々に紀子の抑圧されている性欲なんかを吐き出させて俺好みのペットにしてやるとしよう。
そう思いながらも、俺のイチモツは既にはちきれんばかりになっていて、紀子の処女を頂く事にする。
そうしながらも、俺は、紀子に暗示を与えた。
「紀子、お前は淫乱な奴隷だ。お前は、俺に抱かれるのが何よりの幸せだ。そして、俺とのSEXでは、どんな事をされてもお前がこれまで味わった快感よりももっとすごい快感になる」
そう言って、「さぁ紀子、ベッドに横になれ」そういって俺は、ベッドに横たわった紀子を貪り食う様に犯した。紀子も、暗示が効いているので、俺とのSEXは、快楽以外なにも感じなく、しきりに、「いい。いい。あぁ、ご主人様」と喘ぎつづけている。
そこで、俺は、SEX中に紀子にまた新たな暗示を与える事にした。
「いいか、紀子、これからお前は俺がSEXを求めると必ずいつでもどんな時でもそれに応じなければいけない。もし逆らったらこの快感は二度と訪れない。でも、俺の言う事を聞いていれば、この快楽を再び味わう事が出来る。いいか、紀子。お前は俺の物だ。誓うか?」
そろそろ俺もいきそうになっている。紀子も今まで味わった事も無いような快感の渦の中で何度もイキながら俺の暗示を理解した。「誓います。誓います、ご主人様、紀子はご主人様の永遠の奴隷です」
それを聞きながら、俺は、紀子の中で果ててしまった。
息も切れ切れにベッドで横になった俺は、紀子に言った。「良かったよ、紀子。さぁ、後始末をしてくれ」
そう言うと、紀子はベッドから置きあがり俺のイチモツをきれいになめ始めた。
「よし、紀子、良い子だ。でも、ベッドが汚れてしまったな。まぁ、いい。シーツだけだし」
そう言うと、紀子は泣き出し「ごめんなさい、ご主人様。ご主人様のベッドを汚してしまって、紀子はいけない女です。罰を与えて下さい」そう言って、鳴咽しながら泣きじゃくった。
おいおい、ここまでとは、暗示が強烈だったのか?俺は少し心配になりながらも、こう言った。
「大丈夫だ、紀子。ベッドは汚れても良い様にしてあったし、シーツは新しい物に変えてある。何も心配する事はないよ」「ご主人様、私、新しいシーツを買ってきます」そう言うと、服を着ようとしている。
「待て、紀子。もういい。シーツはおふくろには内緒で今日のために予め俺が取り替えておいた物だ。それにベッド自体も汚れていないし、シーツだけだから、それに良く考えればもし、新しいシーツがあったらおふくろが怪しむじゃないか」
「ああ、そうですね。流石ご主人様。お優しいし、頭も冴えていらっしゃる。では、シーツ代を弁償させてください」「よし、紀子、それじゃシーツ代と後、お前の体をきれいにしろ」
「今から下に行ってシャワーを浴びよう、一緒に来い」そういうとぱっと紀子は笑顔になり、「はい、ご主人様」と言い、俺について下の風呂場についてきた。
そこで俺は、紀子に俺の体を洗うように指示をし、それから自分の体を洗うように命じた。
その時また俺の中で紀子をおもちゃにして遊びたい気持ちが出てきたが、そこは、我慢して紀子の体をきれいにして、再び2階の俺の部屋に戻ってきた。
紀子の体を弄ぶよりも、紀子に命令してまずベッドを元の状態に戻させて、それからまた深い催眠状態にして紀子に暗示を与えた。
「紀子、お前は、キーワードを覚えているね」「はい、ご主人様。「紀子は僕の催眠のとりこ」です」
「そうだ、紀子。普段それは、お前は覚えていないが、再び催眠状態に陥った時、心の奥底の中に無意識の状態で覚えていた言葉が蘇りますが、これから3つ数えると催眠状態でもあなたは思い出す事はできません。完全に忘れてしまいます。でも、私が「紀子は僕の催眠のとりこ」と言うと再び深い催眠状態になり、今のように淫乱な奴隷の紀子に成ってしまいます。分かりましたか?」
「はい、ご主人様。私はご主人様が「紀子は僕の催眠のとりこ」と言うと今のように淫乱な奴隷の紀子に成ります」「よろしい、紀子。そして淫乱な奴隷に成ったらどう言うんだ?」
「はい、ご主人様、私は淫乱な奴隷に成ったら「わたしは、あなたの催眠のとりこです」と言います」
「よろしい、紀子。それから、これも必ずするんだ、これも、心の奥底の中に無意識の状態で覚えていなさい。「僕が、紀子の催眠術を解くとその催眠術に懸かっている間の事は自動的に全て忘れてしまうんだ」僕が特に絶対に忘れるなと言った事以外は、全て忘れてしまう。いいね」「はい、ご主人様。私は、ご主人様が私の催眠を解く時に私はその間の出来事をすべて忘れてしまいます」「よろしい、じゃぁ、一旦催眠を解くよ。1、2、3、はい」
「あれ、私なんでこんな所にいるの?靴を脱いで・・・」僕は慌てて言った。
「紀子は僕の催眠のとりこ」そう言うと紀子は取り乱すのを止めて「わたしは、あなたの催眠のとりこです」と言い、ちょっと熱っぽい表情で僕の事を見ている。
しまった。忘却暗示は入れていたが、記憶の整合性の事を忘れていた。
こればっかりは、自動的にする訳もいかないし、とりあえず、今日の所は、記憶の整合を行おう。
幸い、本人も一瞬の事で、状況を把握はしていない。これはまだなんとか成るだろう。
「紀子、君は、玄関で靴を脱いだ後、僕と一緒に2階に上がり、この部屋で英語の勉強をしていた。いいね」「はい、ご主人様。私は、ご主人様と英語の勉強をしていました」
「よろしい、それに、今日何か体の変調があるかもしれないが、それは気のせいだ。明日になったらきれいさっぱり消えるし、違和感もなくなる。いいね」
「はい、ご主人様。体の変調は気のせいですから忘れてしまいます」
「OK。紀子。それじゃ、今言った事は催眠を解いた後も覚えている。体の違和感の事は忘れなさい。そして、今までお前は、僕と英語の勉強をしていた。3、2、1、はい」
「先生。どうしたの?ぼーっとして、」
「あれ、私何を慌てていたんだろう。ちょとどうかしているわね。ごめんなさい」
「あら、こんな時間。そろそろ、終わりにしましょうか」
「じゃ、また来週ね」
ここで、俺はある計画を実行する事を閃いた。
「先生、ちょっと、今日の所で分からない所があるんです」
「何?一也君?」「えーっとですね。「紀子は僕の催眠のとりこ」」僕は、いいながらニヤリと笑った。
「わたしは、あなたの催眠のとりこです」再び、紀子は僕の催眠奴隷に戻った。
「紀子、お前は確か一人暮らしだったな」そう聞くと紀子は「はい、ご主人様。私はマンションで一人暮らしです」
「よし、今度の日曜日は暇か?」「はい、ご主人様。今度の日曜日は涼子と買い物の約束をしていますが、それは断れます。そもそも、涼子から誘ってきて私は、それに付き合う約束をしただけですし、問題ありません」
暗示の効果であろうか、紀子は積極的に俺の指示を理解し、俺の命令を最優先で考え様としている。
これは、俺も予想していなかった効果だ。紀子の被暗示性の高さと訓練の賜物だろう。
「よろしい、では、紀子。涼子の約束を断って日曜日は俺のために朝から開けておけ。それに、くれぐれも、涼子に約束を断った理由を悟られるな。わかったな」
「はい、ご主人様。涼子の約束を上手く断って、日曜日はご主人さまのために開けておきます」
「じゃあ、日曜日は俺とデートだ。その時に結構金を使うかもしれないので、5万ぐらいは持って来いよ。ご主人様のために奴隷がお金を払うのは当然だからな」
「はい、ご主人様。お金はちゃんと用意しておきます」
「よし、それじゃぁ。携帯の電源は忘れずに入れておけよ。日曜に俺から電話する」
「わかりました。ご主人様」
「それじゃ、紀子、催眠を解くぞ。1、2、3、はい」
「何?どこ?」紀子は、俺が催眠をかけた事にも気がつかず、質問の内容を聞いている。
「あ、先生ごめん。僕の勘違いだ。わかった。ああ、なるほど。そうか・・・」
一人で納得した様子で、僕は、うんうん、一人で頷いた。
「変な一也君。何、もういいの?」「うん、いいよ。じゃぁ、また来週だね」
俺は、誤魔化しながら微笑んだ。
「変なの。ま、いいわ。じゃぁ、またね」
そう言うと紀子はバッグを持ち、部屋から階段の方に向かった。
僕も、その後からついていき、玄関の鍵をあけ、ドアを開けて、「先生、さようなら」と言い、ドアを閉めた。
今度の日曜日が楽しみだ。
僕は、今夜の事をおかずにベッドに潜り込んだ。ビデオかデジカメに撮っておけばよかったな。でも、そんな物見つかるとやばいし、ま、いいか。紀子がいる限り今日のような事は幾らでもできるから。
本物を味わうと止められない。僕は、何時の間にかベッドで眠りこけてしまった。
< 続く >