こんにちは、赤ちゃん
「わわ、美岬お姉ちゃん、芽衣(めい)ちゃん泣き出しちゃったよ」
「ほらほら、慌てない。もう、新米ママさんは頼りないわね」
私が抱きかかえているのは、私と晃(こう)の子供「宮咲 芽衣(みやさき めい)」ちゃん。
えへへ、結局、結婚まで待てなくて、子供作っちゃった。未婚の母ってわけ。だから、今のところは「宮咲」姓なの。
でも、この子のお父さんが、晃だって言うのは誰もが知っている事よ。
新米ママ・・・私のことね・・・を励ましてくれてるのは、従姉妹の美岬お姉ちゃん。私の母方の従姉妹だから、晃とは血が繋がっていないの。
私が中学に上がると同時に結婚して遠くに引越しちゃったから、年に数回しか会えなかった。でも今日は私たちの赤ちゃんを見るために、わざわざこっちに来てくれたわけ。
ちょっと年が離れているけど、小さな頃はよく遊んでもらっていた。私が赤ちゃんの時、オシメを替えてもらってたらしい。その頃、美岬お姉ちゃんも小学生になるかならないかだったけどね。
ちなみに、お兄ちゃんの初恋の相手は、美岬お姉ちゃん。お兄ちゃんが小学生の時、美岬お姉ちゃんが来た時だけ、シスコンを一時止めてくれて助かってたの。これ、お兄ちゃんに言うとすっごく怒るんだけどね。そのうち、京子お姉ちゃんにばらしちゃおかなぁ。
あっ、そうそう、晃と結ばれた時に着けてた勝負下着は、美岬お姉ちゃんがプレゼントしてくれた物だったの。そう言う意味では、私たちの縁結びの神さまかも。えへ。
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「いってらっしゃ~い。気を付けてね」
「はーい」
せっかく来てくれた美岬お姉ちゃんには悪いけど、今から晃と一緒に日課のお散歩。もちろん、芽衣ちゃんをダッコしてね。町内一周なんだけど。
美岬お姉ちゃんは、少し不安そうな顔でお見送り。そんなに私たち頼りないかな?
私の子育て論は過保護にしないって事。最近の子供にアレルギーとかが多いのは、赤ちゃんの時の過保護が原因って言う学説があるらしいの。
年中快適な室温に保たれた家の中で、神経質なほど清潔にする事。これが、赤ちゃんの免疫力の成長を妨げるって学説。
もちろん一つの学説だから100%正しいとは思わない。でも、昔はエアコンなしでも生活していたんだから、今、改めて昔の生活環境で赤ちゃんを育てても構わないと思うの。
だから、少なくとも一日一回はお散歩に連れ出して、外の空気と太陽の光に当てるのが私の日課。赤ちゃんにも四季の移り変わりを実感させてあげるの。
太陽の光に当てるって言っても、夏の直射日光はダメよ。赤ちゃんの皮膚ってまだ弱いから、間接光程度で十分。直射日光だと日焼けを通り越して火傷になったり、将来、ガンの原因になるかも知れないからね。
「やっほー、茜チ~ン、御子く~ん」
「霞ちゃん、トッコ、やっほー。ほら、私たちの赤ちゃん」
散歩を始めて少し行ったところで、トッコと霞ちゃんに出会った。
芽衣ちゃんの顔を、トッコ達に良く見せてあげる。見せてあげると言うより『見て欲しい』の方が正しいかな。私は、親ばかなのよね。
「ひゃー、かっわいー。名前なんて言うの? わー目元なんて、茜にそっくりじゃん」
「トッコぉ、私も赤ちゃん欲しいよぉ。トッコの子供産んで良ーい?」
「メ・イ。種から芽が出るの『芽(め)』に、『衣(ころも)』って書くの」
トッコの問い掛けには私が答えるけど、霞ちゃんの問い掛けには、トッコが空手チョップで答える。
赤ちゃんの顔が親に似てるかどうかなんて、もっと大きくならないと分からないのにね。でも、自分に似てるって言われたら、スッゴク嬉しい。やっぱり、私は親ばか。そばで笑っている晃も、親ばかだと思う。
「ほっぺちゃん、ぷにぷにぃ」
「霞ちゃんより柔らかいほっぺなんて、久しぶり。お肌もすべすべ。うりゃうりゃうりゃ」
トッコたちは二人がかりで、芽衣のほっぺを触っている。うんうん、分かる。私も芽衣のほっぺは天下一品と思う。
「こうやってね、指を持って行ったら・・・ほら、握手」
「「おー!」」
赤ちゃんって手元に掴める物持って行ったら、握り締めてくれるのよ。生きる本能なのか、これがまた可愛い~~の。
トッコ達は知らなかったのか、目をまん丸にして喜んでる。
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「たっだいま~」
「おかえりぃ」
トッコ達と別れて、町内一周の旅から帰って来た。美岬お姉ちゃんが笑顔で出迎えてくれる。
「けっこう、重くなってきたでしょ」
「うん。でもこれが命の重みなんだもんね。重いけど、重くないよ。えへへ」
美岬お姉ちゃんが芽衣を、私から受け取ってくれる。「重くない」なんて言ったけど、実はちょっと疲れてたのよね。
「芽衣ちゃん、新米ママとのおちゃんぽ、楽しかったでちゅかぁ」
美岬お姉ちゃん、赤ちゃん言葉になってるよ。大人って、赤ちゃんとかペットに話しかける時って、赤ちゃん言葉で話すのよねぇ。これって不思議だよ。
「ん、んん・・・オシメ替えなきゃね」
「あっ、気付かなかった。ゴメンね、芽衣」
オシメが重たくなってるの、先に美岬お姉ちゃんが気付いてくれた。新米ママで気付くの遅れてゴメンね、芽衣。
「はい。じゃあ、こっちでね」
「うん」
美岬お姉ちゃんは、芽衣を抱いたままリビングへ向う。うっ、芽衣、返して欲しかったなぁ・・・。
「茜ちゃん、オシメの替え方分かる?」
「うー、こうかな?」
「そーそー、そこで、こっちも引っ張って、よっこいしょって付けて」
「・・・『よっこいしょ』・・・」
新米ママは、まだまだです。反省。美岬お姉ちゃんに手取り足取り教えてもらう。恥かしいー。美岬お姉ちゃん、くすくす笑ってるよぉ。
でもね、オシメ替える時って下半身裸にするから、全部見えちゃうのよね。今まで見えなかった・・・可愛い足の裏とか・・・太もものプニプニとか・・・。
赤ちゃんって不思議よね。こんなに小さいのに、大人と同じパーツ揃ってるんだよ。
手だってそうだけど、足にも指が五本揃ってるのって、不思議だよ。ちっちゃいのに、五本あるんだよ。
晃も、興味津々って具合で、覗き込んでるよ。晃も足の指に興味あるみたい。似たもの夫婦?
★★★★★★★★★★★★
「・・・ミルクの時間かな・・・」
「そうね」
よし、今度は美岬お姉ちゃんの先を越せたぞ。
今、リビングには私のほかに晃と、美岬お姉ちゃんがいるけど良いよね。ママが赤ちゃんに授乳するのって、街角で見掛けても微笑ましい事だもんね。
「芽衣ちゃ~ん、ママが今、ミルクあげましゅからねぇ」
晃と美岬お姉ちゃんの前で、おっぱいをポロンと出しちゃうよん。
・・・あれ? なんで、まじまじ見てんの?
美岬お姉ちゃんが不思議そうな顔して、私と芽衣ちゃん、それに晃を交互に見てるよ。同性のおっぱい見ても面白くないでしょ。
それとも授乳させるのそんなに変? そんな事ないよね。旦那さまと同性の従姉妹の前だもんね。
「ひゃ、ひゃ、くすぐったいよ・・・」
芽衣ちゃんにおっぱい咥えさせたら、そのくすぐったさに声が漏れちゃったよ。いつも晃が咥えるのと、感じが違うよぉ。晃相手なら、エッチぃけど、芽衣ちゃんは懸命に吸ってるよ。
「ねぇ、ちゃんとおっぱいでてる?」
「・・・ワカンナイ・・・」
美岬お姉ちゃんの問いかけに、ちょっと混乱する。だって、おっぱいのでる感覚って思い出せないから・・・。
おっぱいがでるのって、どんな感じだったけ? 搾り出す感じ? それとも、流れ出す感じ?
・・・あれ、あれれ?
「美岬さん、ちょっと、芽衣ちゃん押さえてて・・・」
「オーケー」
美岬お姉ちゃんが晃に応えて、芽衣ちゃんを落っことさないように支える。別に支えてもらわなくても、私、落っことしたりしないよぉ。
「・・・茜ちゃん、ちょっと眠ろうか・・・」
「・・・はれ?・・・」
晃の手でおでこを押さえられる。その手が瞼の方に降りてくると、急速に意識が遠のく。
あれ、いつの間に、私、晃に催眠術かけられてたんだっけ?
「今から10数えると、茜は催眠から覚めるよ。催眠から気持ち良く目覚める。目覚めるといつもの茜に戻るよ。まだ、赤ちゃんを産んでない茜に戻るよ。一つ・・・二つ・・・三つ・・・意識が少しハッキリしてきた・・・四つ・・・五つ・・・徐々に手足に力が戻ってきた・・・六つ・・・七つ・・・意識はもうハッキリしてます・・・八つ・・・手足に力が行き渡っている・・・九つ・・・次で完全に催眠が解ける・・・十。はい(パン)。茜は催眠から覚めた。茜はまだ赤ちゃんを産んでない」
手を叩いた大きな音で、催眠から覚めた。
「?」
催眠から覚めて、胸の辺りに違和感を感じた。
「!」
そして、胸に抱いている物体を見て驚いた。
「・・・な、なんじゃ、こりゃ~・・・」
こんな変な声を上げるほど驚いたわけじゃないよ。ちょっと気恥ずかしくなって、ふざけてみたわけ。
横を見たら、くすくす笑ってる美岬お姉ちゃんが居る。
「お姉ちゃん、お姉ちゃん。ちゃんと持ってってよ。芽衣ちゃん、落ちないように持ってってよ」
「はい、はい」
パニック起こしてる私。美岬お姉ちゃんは、くすくす笑いを続けながらも、きちんと芽衣ちゃんを支えてくれてる。
あー、びっくりした。催眠から覚めたら、美岬お姉ちゃんの初めての赤ちゃん、芽衣ちゃんを私がダッコしてるんだもん。
しかもただダッコしてるだけじゃなくって、私、おっぱい丸出しで芽衣ちゃんに咥えさせてる。これって・・・。
「えーっと・・・私じゃ、おっぱい出ない・よ・・ね・・・?」
「うーん、たぶん・・・でたら、逆に困るかな、妊娠後期の可能性が高いから」
冷静に分析されても困るんだけど。
芽衣ちゃんもまだ私のおっぱい吸い続けてるし。ちょっと・・・と言うより、かなりくすぐったい・・・。
「もう、芽衣ちゃん、受けとって貰いたいんだけど・・・」
「でも、茜ちゃんが自分でおっぱいあげだしたんだけど・・・」
いぢめないで欲しい・・・。もう、催眠術にかかっている時のこと、思い出してるよ。
新米ママの見栄で、美岬お姉ちゃんに先を越されないように、進んでおっぱいあげるって言い出したんだよね、私が。
★★★★★★★★★★★★
「あの調子なら、茜ちゃんでもおっぱいでるかなぁって、思ったんだけどね」
「・・・もう許してよ・・・」
晃をリビングから追い出して、二階の自室に篭ってもらってる。今度こそ、本物のママ・美岬お姉ちゃんが授乳させるから。
美岬お姉ちゃんがおっぱいをだして、芽衣ちゃんにおっぱい飲ませてる。ママさんが赤ちゃんに授乳させてるのって、全然エッチじゃないよね。不思議ぃ。
「初めて見たけど、催眠術って凄いのね。茜ちゃんの将来の姿、見たようで感動しちゃったよ」
「・・・恥かしい・・・」
そう、さっきまで、催眠術で芽衣ちゃんを自分達の子供って思い込まされてたの。もちろん、無理やりじゃなくって、私の方が晃にお願いしたのよ。美岬お姉ちゃんも面白がって反対しなかったし。
自分で言い出した事なのに、オシメ替えもできなかったのが恥かしい。顔が赤くなる。
「何、恥かしがってるのよ。私が感動したのは、茜ちゃんの顔がお母さんの顔になってたことよ」
「・・・」
別の意味で、顔が赤くなる。私でもお母さんの顔になってたのね。なんだか嬉しい。美岬お姉ちゃん、私をからかってたんじゃなかったのね。
「でも、私のおっぱい咥えさせたの良かったの?」
別に自分のが汚れてるなんて思ってないけど、お風呂からあがったばかりでもないし。話題を変えたいこともあって、美岬お姉ちゃんに聞いてみる。
「えー、さっき言ってなかったっけ。今日は、茜ちゃんにダッコして貰いに来たんだって」
「?」
ほぇ? ダッコはとっくの昔にしてるけど。お散歩だってさせてもらったし。
「今日は・・・茜ちゃんについてる細菌を貰いに来たのよ」
「あっ、それ、おっぱい経由でも良いの?」
美岬お姉ちゃんの持論は、過保護にしない事。その中で一番注目している事は、核家族ゆえに親族からの有益な細菌を積極的に貰う事らしい。
最近の子供にアレルギーとかが多いのは、小さい頃から、身近な細菌を体に持ってないことだって学説があるらしいの。
昔、核家族なんて言葉がなかったころ、祖父母や叔父叔母、兄弟と一緒に寝たり、お風呂に入ったりしているうちに、細菌・・・手っ取り早く言うとばい菌ね・・・をもらってるんだって。
でも、その細菌と言うのは100%悪い物じゃなくって、元々、血縁者はその細菌に免疫力を持っているから、近親者の細菌を貰ったら「程よい刺激=免疫力の強化」になるし、他の有害な細菌の増殖を押さえてくれるってわけ。
だから、従姉妹である私の細菌ももらうつもりだったって。もううちのお母さん、芽衣ちゃんから言えば、大叔母・・・祖父母の兄弟の事・・・の細菌はもらったって。まあ、一回くらいで細菌を確実に貰えるわけじゃないけど。
「ふふ、でもね・・・」
「なに?」
美岬お姉ちゃんの含み笑い・・・。
「・・・芽衣、間接キスしちゃったね、晃君と・・・」
「なんで?」
まだ、芽衣ちゃんとキスしてないわよ?
「だってぇ、もう、茜ちゃん、晃君としちゃったんでしょ。さっき、茜ちゃんのおっぱい見ても晃君が、焦ってなかったのが証拠よ」
「!?」
「あーぁ、茜ちゃんのおっぱい経由して、晃君と間接キスしちゃったね、芽衣ちゃん」
「おね、おね、お姉ちゃん!」
さっき、私が授乳しようとした時、驚いた顔してたのは、私の行動だけじゃなくって、晃が私のおっぱい見ても焦ってないのを、見てたからなのね。
私の周りって、こんな人ばっかり? 京子お姉ちゃんに、トッコに霞ちゃん、それに一番の強敵、お母さんも居るし・・・。
この後、しつこく、いつからとか、もうお母さんは知ってるのとか聞きまくられた。からかってるつもりはないんだろうけど、けっこう恥かしいよー。
★★★★★★★★★★★★
「じゃあ、またね。今度会うときは、茜ちゃんの『出産祝』持ってくるからね」
「お姉ちゃん、そんなのまだまだ先だよ」
くすくす笑いながら、美岬お姉さんは帰って行った。出産祝の前に、結婚式に招待してるわよ。ううん、その前に、お兄ちゃんの結婚式だってあるわよ。
「芽衣ちゃん、可愛かったね」
「・・・うん・・・」
晃の言葉になんだか切なくなってきた。
今日、平日にも関わらず、美岬お姉ちゃんが来てくれたのは、久しぶりに芽衣ちゃんを見せてくれるのと細菌を受け取る事、それに、私たちの婚約のお祝いを伝えてくれるためだったの。晃に芽衣ちゃんを会せるのは初めてだったよね。
「もしかして、催眠残ってる?」
「・・・ちょびっと・・・」
切ない理由は分かっている。催眠術にかかっていたからだって分かってるけど、さっきまで芽衣ちゃんを自分の子供だって思い込んでいたから・・・。子供と別れて寂しがってるの、私。
「もう一回、ちゃんと解こうか?」
「・・・ううん、良い。それよりダッコして・・・」
このままだと泣きそうだから、晃に甘えたいの。それに母親の心境を消すのはもったいない気もする。
「にゃー」
「・・・なに、それ・・・」
リビングのソファーで、晃の膝の上にダッコしてもらう。何もしゃべらないと、恥かしいからネコの真似をしてみる。鳴き声だけでなく、晃の胸に頭を摩り付ける。
晃も私の心境を理解してくれてるのか、笑いながらも優しく抱きしめてくれる。
「私、晃の赤ちゃん欲しい」
「もちろんだよ。僕の赤ちゃん産むのは茜ちゃんだけだよ」
そうじゃないの。それは、分かってるの。
「・・・あのね、今、欲しいの・・・ダメ・・・?」
「・・・」
分かってるの。今、赤ちゃん作るのはまだ早いって。でもね・・・。
「今日だけ、今回だけ・・・ダメ?」
「今日だけだよ・・・(ちゅ)」
昨日しちゃった時、コンドーさん付けてたから、今日は妊娠の可能性あるって晃にも分かってると思う。実際、今日くらいが排卵日。一番危ない日。
「二階に行こうか・・・」
「(こくん)」
晃にダッコされて、お姫さまダッコされて二階の晃の部屋に向う・・・。
★★★★★★★★★★★★
「(トッコ、お座布団持ってない?)」
「あるよ・・・」
茜が小さな声で、生理用品を借りに来た。
私は自分で言うのも変だけど世話焼き。だから、自分が生理の時以外にも、生理用品は持ち歩いている。たいがい借りにくるのは、うっかり者の霞ちゃんや一部の生理の安定していない人ばかりなんだけどね。
茜が借りにくるなんて珍しい。茜は皆に羨ましがられるほど、安定しているしマメだから、借りに来たのは初めてかも知れない。
「茜が借りにくるのって初めてじゃない。珍しいね」
「・・・うん、今月来ないかと思ったから・・・」
「はぁ?」
「こっちの話し・・・ありがとね」
茜はにこにこしながら、トイレに向かった。
・・・何、やばい事してるのよ~!
私も、茜と御子くんの赤ちゃんは見てみたいけど、まだ早いわよー。あなた達、幾つだと思ってるの。
トイレから戻ってきた茜を捕まえて聞いてみた。やっぱり、従姉妹さんの赤ちゃん・・・えっと芽衣ちゃんだっけ・・・を見て感化されたらしい。
一番危ない日に『その気』でしちゃったけど、結局、無排卵月経らしくて、赤ちゃんは授からなかったって。
あつ、無排卵月経って言うのは、排卵日(一番危ない日)でも卵子がでない事ね。これ別に珍しい事じゃなくて、誰にでもあるの。基礎体温付けてたら、排卵日特有の体温の上昇がないから、後から分かるのよ。
それに排卵してても、100%「受精する」わけでもないし、受精しても100%「着床する=妊娠する」わけでもないんだけどね。
「大丈夫、もうこんな事しないよ。ちゃんと赤ちゃん作る時は、トッコ達にも言うから」
「・・・」
にこやかに笑って、茜は席に戻っていった。
・・・私たちに『今日から子作りに励みます』って言われても、困るんだけど・・・。
< つづく >