「今日は冒険楽しいな~♪ 姉さま一緒で嬉しいな~♪ マリアさんも一緒でよかったな~♪」
「ミーシャ、嬉しいのは分かるけど、はしゃぎすぎよ」
「は~い♪」
「うふふ……」
「どうしたのよ、マリア?」
「そういうシーナさんだって、結構楽しそうに見えますよ?」
「そ……そうかなあ?」
「まあ、私もお二人の楽しそうな顔を見るとなんだか嬉しくなりますけどね」
女三人よれば姦しいとはよく言ったものである。三人いるだけで、ここまで旅がにぎやかになるとは思わなかった。
先頭はミーシャ。即興で組んだ歌を歌いつつ、腕を大きく左右に振りかざしながら元気よく歩いている。その後ろをあたし、マリアの順でほほえましく見守りつつ歩いている。
本日は快晴。絶好の行楽……もとい、冒険日和である。
第五話 『旅立ちは温泉の中で』
今のあたしたちは、『虹の広場亭』で受けた依頼を遂行するため、依頼人がいるトリアーナという町へ向かっているところだ。
冒険者の宿というのはその特性上、冒険者への依頼が集まりやすい場所でもある。特に『虹の広場亭』ほどの大手にもなれば、ディアナシティだけでなく、その近辺の町や村から依頼が持ち込まれることも多い。
それらの依頼を整理し、依頼をこなすのに適切な能力を持つ冒険者を募り、その見返りとして幾ばくかの手数料をもらう……これが『虹の広場亭』の大事な収入源となっている。この店が同業他店に比べかなり割安な宿代でまかなえるのはこういった収入があるからに他ならない。
逆に言えば依頼遂行の成否は店の信用問題……ひいては収入に直結する大事である。そのため依頼の振り分けは慎重に行われる。状況によってはおっちゃん……『虹の広場亭』の店主から直接指名がかかるような仕事もある。
今回引き受けた仕事も、そのおっちゃんが直接あたしを指名してきたものだ。ディアナ王国特級冒険者であるあたしを指名するのだから、かなり難しい仕事に違いない。あたしはマリアとミーシャを同行させるという条件でこの仕事を引き受けることにしたのだった。
トリアーナという町はディアナシティから歩いて二日ほどの距離にある。早馬車などを使えば一日で行くこともできるのだが、今回の依頼は特に期限が区切られているわけでもないので、ちょっとだけ寄り道をして三日ほどかけて歩いて行く予定にしている。
さて、そのちょっとした寄り道であたしたちは森の中を歩いている。こういうところを歩いていると、もうそろそろお約束な人たちが出て来そうなものだが……
「へっへっへ……女の子の三人旅は危険だって、親御さんから言われなかったかい?」
ほーら、やっぱり出て来た。
あたしたちの前に姿を現したのは、やっぱりお約束の盗賊団。その数、十人ばかり。みんな鼻の下を長く伸ばしているように見えるのはおそらくあたしの気のせいではあるまい。
「どうだい、おじちゃんたちといいことして遊ばないかい? おじちゃんたちに任せてくれるならとっても楽しい思いを味合わせてあげちゃうよ」
……これで誘っているつもりなのだろうか? 気色悪い以外の何者でもないような台詞を吐きながらにじり寄ってくる盗賊たち。
「やだ、って言ったら?」
「そのときはしょうがねえ、嬢ちゃんには悪いが、痛い目を見てもらっておじちゃんたちだけで楽しむことにするよ」
どっちにしろ連中の頭の中ではあたしたちといやらしいことをする、ということでこれからの流れが確定しているらしい。あいにくとそんな阿呆な考えに同調するいわれなどあたしたちにあるわけがない。
「おう、てめえはその気の強そうな奴にするのか? じゃあ俺はこっちのかわいい女の子をいただくことにするぜぇ」
別の男もまた寝言をほざきながら近づいてくる。その視線はミーシャに向けられている。おそらく華奢な彼女がもっとも与し易しと読んだのだろう……が。
「へっへっへ……おとなしくしていれば痛いことだけはしないようにして……おごっ!?」
ミーシャの投じた小石は勢いよく、そして正確に男の眉間に命中する。
そのまま真後ろに昏倒する男。
「ミーシャ、おぢさんみたいな脂っぽいの、大っ嫌いだもん!」
「この……女だと思って下手に出てりゃいい気になりやがって!」
激昂した連中は、方々からあたしたちに襲いかかる。まだあたしらをなめているのか、素手のままだ。
相変わらずな語彙の薄さに辟易としながら、連中を迎え撃つことにする。
そして数分後……
倒れているのは十人ばかりの盗賊連中。そこに奇蹟も波瀾もありはしなかった。
特にひどい有様なのが、ミーシャを襲おうとした連中である。
ああ見えてもミーシャは弓・投擲の腕で飯を食っている一級冒険者。それに加え、連中の気色悪さに生理的な嫌悪感を抱いたのか、手加減なしに投じられた彼女の小石は、そのことごとくが連中の急所を直撃、かくて死屍累々たる盗賊の山がそこに横たわることになる……実際には死んでないが。
「全く、手間取らせるんじゃないわよ……恨むんだったら、相手の力量を見極められない馬鹿な自分を恨みなさいな」
こんな捨て台詞を吐きながら、あたしたちはその場を後にする。
本当ならこんな連中、身ぐるみはいでしまった方が世のためなのだろうが、管理局の許可なしにそれをやると後々面倒なので、この場は見逃しておいてやる……よかったねえ、あんたらがお尋ね者でなくて。
日もだいぶ西に傾いた頃、あたしたちはアリマーナに到着する。じつは、ここに立ち寄ることが今回寄り道をした理由なのである。
ここは、別名『ディアナの秘湯』と呼ばれる温泉街。距離こそディアナシティから近いものの、先ほど通ったような鬱蒼とした森を抜ける必要があり、一般の人が気軽に立ち寄れるようなところではない。
だが、この温泉は打ち身や捻挫などの養生や肌の美容に適しており、腕っ節に自信のある冒険者や金に糸目を付けない資産家たちの湯治場としてよく使われている。
トリアーナ行くついでに、たまにはこんなところでゆっくりもいいでしょ……というミーシャの提案を受け、今回の寄り道とあいなったわけだ。
適当な宿で部屋を取り、早速温泉に入るあたしたち。無論そこは露天風呂である。
「わ~い、温泉だ~温泉だ~!」
はしゃぎながら飛び込んでいくミーシャ。
「こらこら、子供じゃあるまいに……あんまりはしゃぎなさんな」
「でもでもお姉さま、とっても気持ちいいですよ」
「はいはい、わかったからちょっと待ってなさいよ」
半分あきれた顔でミーシャのはしゃぎようを見るあたし。その隣ではマリアが微笑ましく見つめている。
「ミーシャさん、本当に楽しそうですね」
「ねえねえ、マリアさんも早く早く~!」
「ふふ……じゃあシーナさん、お先に失礼しますわね」
「ああ、行ってらっしゃいな」
……なんであたしが一番最後かって? それは乙女のひ・み・つ……というやつだ。
とにかくあたしも服を脱ぎ終わって、露天風呂に入るあたし。
先に入った二人はゆっくりとお湯に浸かっている。湯煙でよく見えないが、なにやらひそひそ話をしているようだ。
「二人して何話しているの?」
「うわっと! お姉さまびっくりさせないでくださいよお」
「ミーシャさんと互いの思い出なんかを話してました」
「へえ、どんなこと話してたの?」
「えーとね、お姉さま……」
二人してこれまでの会話をあたしに聞かせてくれる。ミーシャもマリアとかなり打ち解けたようである。同じ『人形』という境遇に立って、あるいは連帯感というのが芽生えはじめているのかもしれない。
でも、せっかく温泉に来たんだから、もっと楽しまないとね……
「じゃあさ、一度湯船から上がって身体洗いましょうか……マリア、ミーシャ、二人してあたしの身体を洗ってくれないかな?」
「はい」
「うん!」
静かに頷くマリアと、はっきり首を縦に振るミーシャを確認して、三人揃って湯船を出ることにする。
「じゃあマリア、胸に石鹸を付けて、あたしの背中を胸で洗ってね」
「了解しました、シーナさん」
「ミーシャは、手であたしの前の方を洗ってくれないかな?」
「いいですよ、お姉さま」
そうして二人はあたしの身体を洗い始めた。
マリアの柔らかい胸の感触が、背中に伝わってくる。時には直線的に、時には円を描いて……その心地よい律動があたしを気持ちよくしてくれる。
ミーシャの手はまずあたしの胸に当てられる。ゆっくりと揉みしだくように外側から洗い始める。これもまたあたしを気持ちよくしてくれる。手はだんだんと乳房の頂点へと近づき……
「きゃん! んもう……ミーシャはいたずらっ子なんだから」
「えへへ……ごめんなさ~い」
突然乳首を襲った軽い痛みに思わず声を上げてしまった。ミーシャが乳首をつねっていたのだ。
あたしの軽いおしかりを受けた後も、両方の乳首を人差し指でこね回すミーシャ。
「あん……」
「んふふ……お姉さま、気持ちいいですか?」
「んもう……ミーシャったらおませさんなんだから、いつの間にこんな技覚えたのよ?」
「へへん、いつかお姉さまにやってあげようって、ミーシャの乳首使って練習してました」
言いながら、細かく人差し指を震わせ、あたしの乳首に微妙な刺激を与えていく。
この子、結構巧いかもしれない……しかも、あたしのために練習してたとは、本当に健気な子である。
ミーシャの手は胸からおなかの付近へと移動していく。そこに来た段階で指が細かく動きだす。
しばらく指を動かした後、ミーシャの顔があたしの方を向く。
「……どうしたの?」
「お姉さま、こそばゆくありませんか?」
なーるほど、脇腹をくすぐると反応するかと思ったわけね。甘い甘い。
「ふふ、あたしが感じるところはそんなところじゃないわよ」
「そうか、ここじゃないんですね……残念」
舌打ちして残念がるミーシャ。
そんなやりとりを続けている間、マリアは黙々とあたしの背中を洗い続けている。
「マリア、気分はどう?」
「そうですね……シーナさんの暖かい感触が伝わって、心地よいですよ」
「なんだ、遠慮っぽいわね……もっと自分が感じるように動いていいのよ」
「分かりました、努力してみます……シーナさんの方はいかがですか?」
「マリアの胸の感覚が心地よく伝わっているわ……こっちはこのままでいいから」
「はい」
持って生まれた資質なのか、それとも指輪の力が永きに渡って働き続けた結果なのか……ミーシャに比べるとマリアの『自我』はかなり薄く感じられる。あくまでも主に従うための『自分』……人間らしく振る舞えと命じている今の状態であっても、決してその姿勢を崩すことはない。
そんな彼女のあり方も個人的には好きなんだけど、こういう対話の楽しさを重視したいときに、この性格はちょっとつまらないかもしれない。
一方、ミーシャの手はさらに下へと動き、そこでいったん止まる。
「……今度はどうしたのよ?」
「お姉さま……お姉さまの大事なところ、触ってもいいですか?」
確かにその下はあたしの大事なあそこである。ご丁寧に断りを入れてきたわけか、感心感心。
「もちろんよ、念入りに洗ってちょうだいな」
「はい!」
張り切った返事を返したミーシャは、そのままあたしの大事なところを洗い始めた。最初は周りからゆっくりと、次第に早くなりながらその手は中心へと向かっていく。
そしてミーシャの右の人差し指が、あたしの蜜壺の中に入れられる。
「わあ、お姉さまのここ、とってもあったかい……」
その感触を確かめるかのようにしばらく指を止めるミーシャ。それが何ともむずがゆい感覚となってあたしに伝わってくる。そんな心の内をちょっと隠して、ミーシャに対してやや高圧的な態度をとる。
「ミーシャ、自分ばかり楽しんでないで……ほら、手が休んでるわよ!」
「あ……ごめんなさい」
ちょっとだけしょんぼりしたミーシャ。少しの間をおいて、蜜壺からゆっくりと指を出し入れさせはじめる。最初は汗と温泉のお湯で湿っていた蜜壺だが、しばらくしてくちゅくちゅという音と共に別の液体で濡れはじめてきた。
「お姉さま、感じているんですね……ほら、お姉さまの大事なところからいやらしいお汁が溢れはじめてますよ」
「んもう、さぼっちゃ駄目でしょ……左手が空いているんだから、そっちも使って」
といいながら、あたしはミーシャの右手をつかみ、そのまま人差し指を自分の口の中へ含む。そしてゆっくりと舌を絡ませながら、自らの愛液の味を確かめる。
「あん、お姉さまの舌、くすぐったいですぅ」
ミーシャは言われたとおりに左の人差し指をあたしの蜜壺の中に入れ、その壁にこすりつけるかのように指を動かしていく。
「いい、いいわそこ……上手よ、ミーシャ」
「ミーシャ、嬉しいです、お姉さまに褒めていただいて……」
そういうとミーシャは顔をあたしの胸に近づけ、乳首に吸い付きはじめた。適度な吸引力が、様々な刺激で敏感になっていたあたしの乳首をさらに刺激する。
「ああん! ミーシャ、すごい、それ……」
「ちゅぱ……ぷちゅ……ぴちゅ……ぺちゃ……」
あたしの上げた嬌声に気をよくしたのか、さらに熱心になって乳首にしゃぶり付くミーシャ。その間も左手は休むことなくあたしの蜜壺に出入りしている。負けじとあたしはミーシャの右手をなめ回しながら、空いた手でミーシャの乳首をいじってみせる。
「やん、お姉さま……」
「まだまだこれからよ」
とがってきた乳首をさらにいじりながら、ミーシャのうなじに息を吹きかける。ミーシャの身体がぜんまい仕掛けの人形のように突然跳ね上がる。
「ひょっとしてミーシャ……ここ、弱い?」
「お姉さま、そこはいじらないで……」
そう言われてやめる人がどこにいますか。あたしは、ミーシャの右手を掴んでいた左手をミーシャのうなじへと持っていき、軽くさすってみる。面白いようにぴくぴく動くミーシャの身体。
「や……だめ……お姉さま……」
「悔しかったら、あたしをもっと気持ちよくさせて、イカせてみたらどう?」
「意地悪~!」
と悪態をついたミーシャは、身体をぐっとかがめて今度は蜜壺に吸い付きはじめた。同時に両手は太股を中心にくすぐるように動いていく。
「あう……い、いきなりきつすぎる……」
すべてを吸い付くさんとするほどの強烈な吸い付きで、一瞬あたしの意識が飛びかける。それが止まった後も、舌で突起を転がされ、今までの行為で全身性感帯と化していたあたしの身体は、心と関係なく快感に喘ぎはじめた。
こうなってくると、あたしの背中でずっと動いていたマリアの胸も気になりだす。乳首のわずかな突起でさえも、針を刺すような感覚として背中に伝わってくる。
温泉の湯気によってもたらされる暖かな空間、周囲に響く淫猥な音、そしてマリアとミーシャの一挙手一投足……それらすべてが快楽の高みへと導く力となってあたしを襲う。
「あ……い……イク、イク、イッちゃう~!!」
その力に後押しされ、とうとう絶頂に達してしまうあたし。そのまま背中にいるマリアにもたれかかるように倒れ込む。
「お姉さま……お姉さま……」
「んん……」
身体を揺り動かされる感じを受けまどろみから目覚めるあたし……そこにはマリアとミーシャの顔があった。
「ここは……そうか、あんまり気持ちいいんで気を失っちゃったのか……」
頭をちょっと振りながら、ゆっくりと体を起こす。どうやら身体を揺すったのはミーシャの方らしい。マリアはあたしの頭を膝で支えてくれていた。
「大丈夫ですか、お姉さま?」
「ああ、あたしなら大丈夫よ、心配かけさせてごめんね」
「いえ……気絶しちゃったもので、何かミーシャが悪いことでもしたのかと思ってしまいました」
「そんなことないわよ、ミーシャの……とっても気持ちよかったわよ、気持ちよすぎて気絶しちゃった」
言って微笑むあたし。
「じゃあ、今度はミーシャが楽しんでいるところをじっくり見ようかしら……マリアと二人で絡んでみない?」
「ええ……えええええぇぇぇぇぇ!?」
いったん承諾の返事をした後、わずかな間をおいて素っ頓狂な声を上げるミーシャ。
「ま、まりあさんとするんですか!? お姉さまの目の前で!?」
「あら、ミーシャはマリアとするのはいや?」
「そういうわけじゃないんですけど……マリアさんとですか……」
うーん、やっぱりまだ心の底から打ち解けてはいないか……
「なんだっら命令してほしい? 『問答無用でマリアと絡みなさい』って」
「うっ……ずるいです、命令されたら逆らえないのを知っててそういう意地悪言うんだから」
「あたしはね、ミーシャにはマリアと仲良くなってもらいたいのよ。これからずっと一緒にいるのに、わだかまりがあったらお互いによくないし」
「うん……」
「だから、ミーシャにはマリアのすべてを肌で感じ取ってもらって、その上で心の底から仲良くなってもらいたいの……そうなってくれるとあたしもとっても嬉しいし」
「マリアさんと仲良くすると、お姉さまが嬉しい……?」
「そうよ……だめかしら?」
ふと真剣な面持ちになってミーシャを見つめるあたし。
しばらく押し黙っていたミーシャだが、やがて無言のまま首を小さく横に振る。
「じゃあ、してくれる?」
今度は小さく頷く。そしてゆっくりとマリアのそばに行き、真っ直ぐ向き合う。
「二人は愛し合う恋人同士、今日この場で二人は互いに愛の告白をし、その愛を確かめ合うの……あたしはこの場にいるけど、二人はあたしを見てもあたしだと認識することはできない……」
そんなことを言い聞かせながら、あたしは二人がよく見える場所に移動する。
「声も聞こえるけどあたしが言っているとは認識できない、そして誰もあなた達を見ていない……だから二人は心ゆくまで楽しんでいいのよ……はい!」
かけ声と共に手拍子を打つと、ふと二人の雰囲気が変化する。
ミーシャはマリアを目の前にしてもじもじしている。対照的にマリアはじっとミーシャを見つめている。
「あの……マリアさん……ミーシャ、マリアさんのことを愛しています……もし、マリアさんがミーシャのこと愛しているなら、これからずっとおつきあいしていただけますか?」
「はい、私もミーシャさんのこと愛しています。だから、こちらこそよろしくお願いします、ミーシャさん」
互いの挨拶が終わると、ミーシャはゆっくりと顔を近づけ、マリアの唇を奪う。
「う……む……」
「ふ……ん……」
最初は軽く唇を触れ合わせる程度、一度離したあとで今度は深く唇をむさぼりあう。
「マリアさん、胸が大きくてうらやましい……」
そう言ってミーシャはマリアの胸を揉みはじめた。
「ミーシャさんだって、可愛くて奇麗ですよ。たとえばほら、この髪なんか……」
ミーシャの髪を梳く。いつもは後ろで二つにまとめられている軽く波打った桃色の髪が、マリアの指に引っかかり、そして抜けていく。
「あん……マリアさんくすぐったいです」
指がうなじにかすったのか、甘ったるい声を上げるミーシャ。お返しとばかりに乳首の先を弄りだす。
「ミーシャさんったら、お上手なんだから……」
「まだまだよ、えいっ!」
乳首の先を人差し指と中指で挟んでひねる。とたんにマリアの体が跳ね上がる。
「きゃうん!」
「あ、ごめんなさい……大丈夫ですか?」
あまりのリアクションに思わず謝ってしまうミーシャ。
「ふふ、大丈夫よ……気持ちよくしてくれたお礼に、ミーシャさんの乳首も弄ってあげる」
「えっ!? やん!」
不意に訪れた乳首への攻めに驚いたのか、今度はミーシャの体が跳ね上がる。
「ほらほら、どんどんいぢめちゃうぞ」
「んもう……こっちだって負けないもん!」
今度は互いに相手の乳首を攻めはじめる。より相手に感じてもらおうと、手を変え品を変え攻めていくミーシャ。一方マリアは単調に、しかしミーシャの感じそうなところを的確に攻め続けている。このあたり、互いの性格がよく出ていて面白いところである。
とはいえ、このままずっとちちくりあっているのを見ていたところでちょっとつまらないので、二人に催促をしてみる。
「さあ、これからあたしが言うことはあなた達の心から湧き出してくる『思いつき』……二人ともそうしたら気持ちよくなれそうだと思えること。それがどんどんわき出てきて頭の中にたまっていく……」
あたしの声は聞こえるが、あたしが言っているとは認識できていない……先ほど言ったこの命令がちゃんと働いていれば、今のあたしの声は二人の心に響く『天の声』と聞こえるに違いない……多分。
「頭の中がその思いつきでいっぱいになったら、思い切って相手に提案してみよう。もし先に相手が提案してきたら、喜んでその提案を受け入れてあげよう。そうしたら二人ともとっても幸せになれる……」
一通り吹き込んだあと、本題の提案に移る。
「さあ、二人の頭の中には『自分の秘部を相手の秘部にくっつけてこすってみたい』……この思いがどんどん湧いてくる……そう、二人は『自分の秘部を相手の秘部にくっつけてこすってみたく』思えるようになるの……」
このあと何度も同様のことを二人に言い聞かせ続け、そしてしばらく待ってみる……
動いたのは……予想通りというか、やっぱりミーシャが先だった。
「あの、マリアさん……あたしの大事なところ、マリアさんの大事なところでこすってくれませんか?」
問われたマリアはミーシャを慈しむような顔で、
「いいですわよ、ミーシャさんのたってのお願いですもの」
と答えてみせた。
そして二人は互いの秘部をくっつけた……といっても、そういう体勢に体を持っていくにはかなりの試行錯誤があった。
最初は二人がそのまま抱き合った状態でくっつけようとしていたが、触れるどころか近づけることさえままならなかった。体を交差させるようにしたり、逆さにしたりしながら、結局行き着いたのは互いの脚を大きく広げ、その状態で互いの股を近づけることだった。まあ、普通に考えればそうするぐらいしか手段はないだろうが、さすがにその体勢へと移行するのは、ミーシャの方にやや抵抗があったようだ。
「じゃあミーシャさん、動くわよ……んっ!」
「ひゃん……マリアさん、ちょっと気持ちい……はうん!」
今までに味わったこともないような感覚にとまどいながらも、二度、三度とこすりあわせるうちに気分が高まってきたようである。その声はだんだんとあえぎ声へと変化していく。
「あ……ミーシャさん、そこ……あん!」
「マリア……ふん、さん……あはん、とって……もうん、いいで……ふぅ」
「来て……ミーシャあん、さん、もっと……きてぇん!」
「あ……はい、イキます、いまからイキます~!」
「はああぁぁぁぁっ!!」
「イクうぅぅぅぅっ!!」
絶頂に達した二人は、その場でゆっくりと眠りに入った。
その後あたしたちは、自分たちの身体を洗い直し、そのまま露天風呂から上がることにした。さすがにこののぼせた状態でもう一度湯船に浸かってしまうと、熱さで卒倒しかねない。ゆっくりと温泉を楽しむのは明日の朝にしよう。
そして、宿泊部屋へと戻るあたしたち。
「あ~、楽しかった……お姉さま、今夜も三人でゆっくりと楽しみましょう」
あれだけ色々やったのに、まだ元気はつらつなミーシャ。しかもマリアと三人で絡もう、とまで提案してくる。
マリアと仲良くなってくれたのは嬉しいんだけど……とりあえず釘ぐらい刺しておかないと、こっちの身が持たない。
「楽しむのはいいけど、今夜は程々にするわよ。温泉来て疲れてたんじゃ来た意味無いでしょ?」
「あはは、それもそうですね」
横でその様子を静かに見守るマリア。その顔にはいつものように柔らかい微笑みが浮かんでいる。
それに対してあたしとミーシャは無言の笑顔で答えてみせる。
三人娘による初冒険……初日の夜はこうして更けていった。
< つづく >