呪いのふたなり少女 第四話

第4話

尋美「圭織…。」

部屋のなかにあった壁掛けの鏡には、尋美の妹であるはずの圭織の顔がちがう顔になっていたのであった。三つ編みの二本のおさげ髪をしていながらその髪の毛を自らなでていたのは、下の妹である由里につきまとって思い余って尋美もいっしょに殺したはずの、あの男の顔がうつっていたのである。

圭織「どうしたのよ、おねえさん。」
尋美「あんた、圭織じゃないわ。わたしのこと、尋美っていつも呼び捨てにして、まずおねえさんなどと呼ぶようなことしないわよ。」
圭織「えっ?」

思わず、女らしいしぐさをする圭織にのりうつっていた男だったが、由里と同じように家族のなかでどんな呼び方をしていたのかなどということは把握もできていなかったことにまた痛感せざるをえなかったのである。

尋美「いったい、あんただあれ?圭織のかっこうしてよくそんなふうに化けられたわね。」
圭織「でも、そしたらなんだと思うの?わたしがにせのロボットかしら。そんなにうたがうなら、わたしのこと調べてみてよ。」
尋美「ほんものなら、じゃあ、まず携帯電話を…あっ。」

尋美のかけた番号で、圭織の携帯電話が鳴り出したのであった。

圭織「ふふふふ、尋美もへんなこと言うわね。」
尋美「あんた、ほんとうに呼び捨てにしたわね。さっき言ったことはうそよ。わたしのことはあだなでいつも呼んでるの。やっぱりあんたは本物じゃないわ。」
圭織「そう、じゃあ、あなたにわたしの正体を見せてあげましょうか。」
尋美「わざわざそんなことしなくてもいいから、出てってよ、ここはわたしと本物の圭織の部屋よ。あっ。」

ベッドの上に、尋美が倒されていた。その正面から圭織がとびかかってきたのである。

圭織「さあ、わたしがほんものの圭織かどうか、この身体をたしかめてみてよ。」
尋美「圭織ったら、そ、そこはどうしたの?」

すでに下着姿になっている圭織の下半身では、下着が股のところでふくらんでいるのを見て尋美も驚いていた。圭織は、尋美の手首を握って下着に入れさせていた。

圭織「ふふふふ、こうしてどうなっているか、たしかめてみるといいわ。」
尋美「ちょっとやめてよ。やりたくもないことさせないで、あっ。」

思わず尋美の感触には、おぞましいものをさわってしまったという思いであった。まさしく、それは圭織の身体に男の呪いによってはえていた男の性器だったのである。しかも、さわられて興奮した男の性器がますますぼっきしてきて下着もその部分がふくらんできたのである。

圭織「いいかしら、下着をさげてみるわね。」
尋美「あっ、きゃあーっ!」

圭織の下げた下着によって現われた性器にふれていたことが尋美にわかると、尋美も驚かずにいられなかった。圭織はその性器をさらに尋美の顔に向けていたのであった。

圭織「うふふふ、うふふふ。」
尋美「や、やめて。あんた、もしかして死んだ男なの?ううっ」

ついに圭織は尋美の口にずぼっと、その性器をつっこませたのである。そして、尋美の両肩に伸びていた髪の毛を両手でわしづかみにしはじめた。女の髪の毛をさわると興奮するという男は、これで性器から精液をとびださせて尋美にその精液を飲ませ、尋美を仲間にしようとしていたのであった。

圭織「ほら、ほら、おまえもだんだん…、この女と同じ身体になるんだよ。うふふふ。」
尋美「うっ、ううっ…。」

ついに尋美も精液を飲まされたようで、尋美の下半身もうずきだし、着ていた洋服や下着がだんだんずれてくるのであった。圭織は尋美の着ていたその洋服もぬがしてしまい、下半身を露骨にして、ついに股から男の性器がはえてくるのが尋美にも見えてきたのであった。

圭織「おほほほ。これで仲間よ。」
尋美「きゃあーっ!」

とうとう、ショックを受けて尋美はがくっとそのまま顔を仰向けにしてしまうのであった。

圭織「うふふふふ。」

圭織は、尋美の顔に両手をかけて尋美を目覚めさせたのであった。しかも、尋美のようすはうつろな感じで、圭織にあやつられるようにして首をあげたのであった。

尋美「圭織、あら、圭織じゃない。」
圭織「そうよ。わたしは圭織。わたし、そういえばいつもなんてあなたのこと呼んでたのかしら。」
尋美「尋美ねえちゃんっていつも言ってたわよ。由里も同じよ。」
圭織「なあんだ。あだななんてうそだったのね。ん?どうしたの?」

尋美が手を伸ばして圭織の腕をつかもうとしたのであった。

尋美「圭織の髪の毛、きれいだわ。ひっぱってみたいの。おっぱいもさわらせて。」
圭織「いいわよ。じゃあ、わたし、後ろ向いてるから、痴漢みたいに襲ってみて。そうだわ。尋美ねえちゃんのおちんちん、しゃぶってあげるわ。」
尋美「うれしいわ。圭織。」

圭織は、はえたばかりの尋美の性器を口に加えはじめた。尋美も上半身を起き上がらせて圭織の背中から手を伸ばし、右手で圭織のブラジャーに手を入れてじかに胸をもみ、左で圭織の三つ編みにしている髪の毛をひっぱり、さらに圭織のおさげ髪を分けている後頭部からうなじやえりあしのところを舌でなめていた。尋美はついに興奮して、精液をとびださせたのであった。

圭織「きもちいいわ、尋美ねえちゃんに襲われているのも。」

悲鳴がきこえてきたと思った母親が心配して上がり、尋美たちの部屋をノックしていた。

尋美「心配しないで、おかあさん、圭織もだいじょうぶだから。」
由里の母「そう。もうすぐばんごはんだから出てきてらっしゃい。」
圭織「わかった。」

これで、圭織にのりうつっていた男も、由里たちが母親のことをママではなくお母さんと呼んでいることもわかり、圭織の癖など尋美にいろいろときいて自分が怪しまれないようにしたのであった。

夕食を下の部屋で母親も加わり、ようやく由里も起き出してきたのだった。

圭織「由里ちゃん、眠れた?わたし、学校でパーティーがあったからちょっと酔っ払ってしまったみたい。」
由里の母「まあ、圭織の学校、お酒なんて飲ませるの?女子校なのに。」
圭織「かるいぶどう酒みたいなものだけど、ちょっとわたしには弱いみたいね。」
由里の母「あら、わたしたちはお父さんもよくお酒飲むし、尋美も飲むのに、圭織はだめみたいね。」
圭織「なれればいいのかもしれないけど、まだだめだわ。」
尋美「そうよね、いずれ飲めるようになるわよ。」

笑い声がその部屋じゅうにひびきわたっていたが、うちふたりは恐ろしい悪魔なのである。

由里「よかった。いつもの圭織ねえさんで。でも、尋美ねえちゃん、三つ編みしてるの初めてみたわ。」
尋美「由里はそういえばやったことなかったっけ、このまえまで長くしていたのに。」
由里「やりかたわからないもん。だいいち、似合わないわよ。」
圭織「また伸びたら三つ編みできるように教えてあげるわよ。」
由里の母「そろそろごはんがたけてきたわ。」

その場は母親がいたこともあって、日常と変わらない光景のようであったが…。

夕食を終えて、かたづけもすみ、三人の姉妹もともに自分たちの部屋に戻っていた。由里だけがひとりの狭いほうの部屋に入っていったが、ときおり下校時の圭織のことを思い出すと不安になるのであった。

由里「圭織ねえさん、また気が狂ったりしないかしら。それに、尋美ねえちゃんのようすもいつもとちがう感じがしたし。絶対に三つ編みなんかしないはずなのに。」

不安にかられた由里がまた扉を開いていた。そして、向かい側にある姉たちの部屋の扉にも耳をあててようすをうかがっていた。

部屋のなかからは、実にあやしげな声もしていたのである。

尋美「いひひひひ。」
圭織「あん、あん、きもちいいわ。尋美ねえちゃん。」
尋美「すっかり、あんたは圭織になりきったようね。わたしはおてんばだったけど、圭織はふだんおとなしいから、こんなみだらな姿を見せてくれるとよけいにおもしろいわ。」

尋美が両手で上半身が裸になった圭織の胸をもみながら、はえていた男の性器を圭織の尻に挿入して、圭織にのりうつっている男を興奮させていたのであった。圭織の男の性器からも精液が流れ出ている。

外にいた由里は、その部屋でなにがおこなわれていたかはもちろんわからなかったが、どこかようすがおかしいとも感じていた。いまあけたらこわいことになるだろうと思って、結局自分の部屋に戻っていったのであった。

そのうちに、母親がおふろをわかしたからと、階段の下から呼びに来ていた。

由里の母「まあ、ふたりでいったいどうしたの?」
尋美「わたし、圭織の髪の毛洗ってあげようと思って、いっしょに入ることにしたのよ。なんか、圭織は今日つかれているらしいから。」
由里の母「めずらしいわね。ふふふふ。」

二人の娘が妖怪になっていることもしらず、母親はほほえましく思うのであった。

もちろん、浴場では修羅場の連発である。

圭織「うふふふ。」
尋美「うふふふ。」

たがいに裸になったふたりが、マットの上にすわってまず圭織のしている長い二本の三つ編みにしている髪を、尋美のはえている男の性器に左右から巻きつけていたのであった。

圭織「じゃあ、尋美ねえちゃんのおっぱい、もむわね。」
尋美「どうぞ。」

興奮した尋美の性器から精液もどくどくっと流れ、圭織のきれいに編まれているおさげ髪もべとべとに覆われてきたのであった。

圭織「うふふふ。男役って楽しいでしょう。尋美ねえちゃん。」
尋美「そうね。こうして女の子をいたぶる男の気持ちもよくわかってきたわ。」
圭織「もう、すっかりなりきったわね。」
尋美「そうだわ。由里をいつ仲間にしようか。」
圭織「由里より先に、俺のことをいっしょに殺した由里のともだちをみんなふたなりにするんだよ。」

とつぜんまた、男の口調に戻っているのであった。

ふたりがこうして浴場で戯れていたため少し時間が長くなり、由里もそろそろ自分の入浴する時刻ではないかと思って階下に降りてきたが、洗面所で圭織の三つ編みをほどいた長い黒髪を尋美がドライヤーをあてて念入りにとかしている光景を見て、ふだんこんななかよくしたふたりの姉を見たことがないと思った由里はより戸惑ってくるのであった。

そのふたりの出ていったあとに由里が浴場に入っていたが、ところどころに白い液の流れているのが残っていて、いったいふたりともなにをしていたのだろうかと由里は気になりはじめた。

夜中になっても由里は寝つけなかった。

外で、向かい側の姉たちの部屋をがちゃりとあける音がしていた。

由里「尋美ねえちゃんか、圭織ねえさんが起き出してきたのかしら。」

由里はふたりの姉のことを気になりはじめたようで、自分もゆっくりと部屋の扉を開いていた。そして、寝間着姿のまま階下に降りていた。そのとき、玄関の扉をあける音もしていた。由里が玄関までいくとすでに扉は閉められていたが、かぎが開いているのに気づいた。

由里「いつもみんな、玄関のかぎは閉めているのに、まさか圭織ねえさんたち、こんな夜中に外へ出たのかしら。」

扉をあけてみるとだれの姿も見当たらなかったのでかぎを閉め、すぐに由里はふたりの姉の部屋に戻っていったのであった。なかで寝ているかもしれないと思ってそっとあけてみたが。

由里「い、いないわ。夜中に出ていったんだわ。ふたりとも。」

由里は携帯電話も自分のところから鳴らしてみたが、その部屋にある電話が鳴るだけで、ふたりともそれらを置いていったようである。

ふたりの姉は、男を殺した時にいっしょにいた由里の元クラスメートの少女たちのいる家を狙っていたのであった。ふたりとも寝間着姿で外出していた。圭織は長い髪を乾かしていたが三つ編みではないツインテールに黒いヘアゴムをつかってまとめていた。尋美のほうはさきほどと同じようにあまり長くない髪を二本の三つ編みにしていた。

尋美「ここよ。」

妖怪の魔力で、かぎも閉められているのに家の玄関が開かれてしまい、ふたりがその家に入っていった。そして、少女の寝ている部屋を開き、少女を起して手下に加えようとしていたのであった。

< つづく >

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