ある大雨のなかを、一台の車が走っていた。
 ここは、富士山麓に近いほとんど人の入らない横道だった。
 もちろん、家もホテルなども何もなかった。
 それどころか、人が踏み入ると生きて帰れないと言われている、恐ろしいミステリー・ゾーンと言われている、幽すいな場所だった。