第5話
男ののりうつった圭織と、その圭織によってふたなりの仲間になってしまった姉の尋美が、いちばん下の妹である由里の友人たちを襲いに夜中に訪れていた。男を殺した時に同行していた少女たちのうち、杉口悦子の家にまず入っていた。男にとっても同じ学校にいて同じクラスだった少女たちである。
圭織「この子ね。ものすごく生意気な女で、由里に近づこうとするとすぐ邪魔していたからな。」
のりうつっている女のツインテールにした髪をなでながら男が以前のことを思い出して話していた。
尋美「いったん、めざめさせようかしら。」
圭織「そうだな。そうしないと俺のうらみがわからないだろうからな。」
尋美が悦子の首に手をかけて起こしていた。
悦子「ん、うう、ううーん、はっ。」
ベッドに寝ていた悦子が目をさますと、目の前に立っているふたりを見て驚いていた。
悦子「あなたたちは、由里のおねえさん、尋美さんの三つ編みなんてはじめて見たけど、どうしてこんな夜中に、はっ。」
圭織「くくくく。」
圭織の顔が、だんだん変わって男の顔にかわっていたのを見て悦子は驚いてしまった。
悦子「きゃーっ、あんた、なによ、死んだはずなのに。ううっ。」
圭織にのりうつっていた男は悦子にとびかかっていた。
圭織「よくもよくも。」
悦子「やめてよ。どうしてわたしに抱きつくの。あんたの好きなのは由里でしょ。きゃあ。」
悦子のそれほど長くないポニーテールにしていた髪の毛をわしづかみにしてひっぱっていた。
圭織「ひひひひ。」
着ていたネグリジェをずらして、ついに男の性器を露骨に出していたのであった。
悦子「きゃあーっ、なによ、やめて。尋美さんも、どういうこと?」
悦子の顔にその性器をおしつけていた。
圭織「うふふふ。けど、おまえじゃあ興奮できないから精液が出てこないな。あんたやってみるかい。」
尋美に声をかけていた。
尋美「わたしが?おほほほ。たのしみにしていたわ。女の子を一度襲ってみたかったのよ。」
圭織にのりうつっている男は悦子の上半身を起こして背中にまわり、首に腕をまきつけて、悦子が精液を飲みやすいようにした。尋美も着ていた寝間着や下着をずりおろして男の性器を悦子の顔に向けたのである。
悦子「尋美ねえさんも、どういうこと?うっ。」
尋美「くくくく。」
尋美の性器が悦子の口にずぼっと入ってしまい、興奮した尋美が精液を大量に出して悦子は飲み込んでしまった。
悦子「うぐっ。うう、うう…いたい。」
悦子は下半身に痛みを感じていた。悦子の股からも、とうとう男の性器がはえてきたのである。尋美がベッドからおりると、圭織にのりうつった男が悦子の寝間着や下着をずりおろしていた。悦子は、自分の股に性器がはえていたのを見てまた驚いてしまった。
悦子「きゃあーっ!」
ショックでがくっと倒れてしまった悦子の頭に尋美が手をかけてまた目覚めさせていた。
尋美「うふふふ。これでおまえも仲間になったのよ。」
うつろな表情で悦子は首をたてに振っていたのであった。
下僕にした悦子をつれて、由里の姉たちは次に上村香代の家を訪ねていた。
悦子の時と同じように妖怪の魔力で家をあけ、部屋にしのびこんだのである。だれも家の者は気づいていない。
香代のマッシュルームの髪の一部を、圭織にのりうつった男がひっぱってめざめさせていた。
香代「うう、ううん…はっ、こんな夜中に、まあ悦子、どうしてここに、それに由里のおねえさんたちまで、ああっ。」
またも圭織の顔がいっしょに殺した男の顔に変わって香代は驚くのであった。そして、ネグリジェや下着をずらして男の性器をまた香代に見せつけるのであった。
圭織「うふふふ。」
香代「きゃあーっ、もしかして悦子も…。」
尋美「うふふふ。」
悦子「くくくく。」
着ていた寝間着や下着をずらしてまた男の性器を香代に見せつけていたのである。
香代「いったいどういうこと?みんなどうしたの?」
悦子「香代もこんなふうになるのよ。香代が仲間になったら、次は野梨子よ。」
香代「わたしが?いやよ。」
悦子「うふふふ。わたしたちは人殺しをしたことで呪いを受けなければならないのよ。」
香代「人殺しって。ああ、由里を追いかけた男のことね。あんなの、死んだってしかたのない男らしくない男でしょ。きゃあ。」
圭織にのりうつっている男がいつのまにか香代の背中にまわって抱きついていたのである。
圭織「ここに本人がいるのに、よくそんな口をきけるな。」
香代「由里はいやがってたのに、あんたの存在自体が…、ううっ。」
悦子が露骨に出していた男の性器をとうとう香代の口にずぼっと入れこんだのであった。
悦子「くくくく。」
香代「悦子もどうして?ああっ、うう…。」
香代の股からも男の性器がはえていた。尋美が香代の寝間着や下着をぬがせて、香代も仲間になったことを示していた。
尋美「これであなたもわたしたちの仲間よ。」
香代「きゃあーっ!」
その場で香代もがくっとなって倒れ、悦子が香代の頭に手をかけて目覚めると、香代の心も悪魔と化していたのである。
つぎつぎに、友人が汚染されていることも知らず、由里は家でふたりの姉が夜中に外出しているままであることに不安を感じずにいられなかった。
由里「なんか、どこか変だわ。」
特にすぐ姉の圭織のようすは昼間に自分の学校にまで出てきていたことからようすがおかしいと感じはじめていた。しかし、その原因が自分のことをしつこく追っかけていた男を尋美や友人たちと組んで殺していたことにあるとは夢にも思わなかった。それまで毎日のように男に追いかけられて不愉快な思いを続けていたことがなくなってもう心配することもないと思って気が楽になった由里にとっては、男のことなど過去のこととしてきれいさっぱり忘れていたのである。まず思い出したくない人物であった。
そもそも、一緒に男を殺した時の同行者は姉の尋美を除けば以前の級友で、新しく進学してべつの友人を作っている由里にとってはすでに悦子や香代らともつきあいがすっかりなくなっていたのである。
少したって、由里の持っていた携帯電話が鳴り始めた。見慣れない番号だが、いなくなった姉たちのこともわかるかもしれないと出てみた。
由里「もしもし、えっ、あなたは野梨子なの?」
野梨子「そうよ、ひさしぶりだけど。」
野梨子と話をするのも、男を殺した時以来である。
由里「どうしたの?こんな夜中に。」
野梨子「それが、すごくこわい夢を見たのよ。由里といっしょにいて殺されそうになる夢を、なんか心当たりないかって。」
由里「な、なあに?いきなり、そんな夢あんまり気にしないほうがいいと思うけど。」
野梨子「うっ。」
由里「もしもし、どうしたの?もしもし…。」
野梨子の身になにかあったのだろうか。姉に加えて由里は寝ようとしても寝る気になかなかなれなかった。
野梨子の部屋には、事実、尋美たちが訪れていたのである。
野梨子「きゃあ、いったいみんなどうしてわたしの家に…。」
尋美「どこへ電話していたの?」
野梨子「由里のおねえさんたち、それに悦子や香代も、どうして?」
圭織「このわたしの顔をよく見るのね。」
野梨子「はっ、きゃあ。」
由里たちといっしょに殺していたはずの男の顔だった。しかも、圭織の身体に、ネグリジェやツインテールのロングヘアになっている男の顔を見てよけいに気持ち悪く感じた野梨子であった。
野梨子「だけど、由里もいっしょに、みんなで殺したんじゃない、きゃあ。」
野梨子の三つ編みまでできる長さのないみじかめに二つにまとめていたおさげ髪を圭織にのりうつっている男がわしづかみにしていた。
尋美「じゃあ、こんどは香代ちゃんのばんね。」
香代「はい。」
寝間着や下着をずらしてまた野梨子に性器を見せはじめたのであった。
野梨子「きゃあー、香代の…。」
悦子「うふふふ。わたしもよ。野梨子もこうなるのよ。」
野梨子「やめて、ううっ!」
野梨子の口にずぼっと香代の性器がはいりこみ、香代の放った精液を野梨子も飲み込んでしまった。そして、野梨子の股からも性器が現われたのを見て野梨子は叫んでしまった。
野梨子「きゃあーっ!」
ちなみに、どんなに叫び声をあげても部屋の外にきこえないようにまた妖怪の魔力が封じているのである。またその場にがくっとなって倒れた野梨子の頭に香代が手をかけ、うつろな表情で目覚めさせるのであった。とうとう、由里といっしょに男を殺しにいっていた由里以外の全員が、男の仲間であるふたなりになってしまったのである。
由里のほうは、野梨子のことも気になったので、携帯電話を何度もかけ直したがなかなか出てこなかった。だが、しばらくして電話がかかってきた。
由里「もしもし、まあ、野梨子。」
野梨子「ごめんなさい、とつぜん。ちょっと眠れなかったけど、もうだいじょうぶよ。薬も飲んだし。」
由里「そう、なんの薬なのかしら。」
野梨子「ちょっとした精神安定剤みたいなもの。おかあさんがくれたの。」
由里「よかったわね。野梨子は心配症だったから、早く直してね。」
野梨子「ええ。」
こうして、由里もその言葉を聞いて一安心したのか、姉のこともそのうち戻ってくるだろうと思うようになって寝床についたのであった。
だが、恐怖は由里のところに現実に近づきつつあった。
野梨子「うふふふ。」
電話をかけ終えた野梨子が片手を口にあてながら不気味に笑っていた。
尋美「さ、野梨子ちゃんも、みんなでいきましょ。」
野梨子「はい。」
うつろな表情で返事していた。野梨子に香代、悦子と、由里のふたりの姉の計五人が由里の寝ている家に近づいてきたのであった。
圭織「ふふふふ。由里もきっとびっくりするぞ。」
片手でツインテールのかたほうの髪をつまみながら、もういっぽうの片手を口にあてながら圭織にのりうつった男が不気味に笑うのであった。
眠れなかった反動で深く眠っていた由里だったが、外で大きな物音がしたので目覚めていた。
由里「もしかして、ねえさんたちが戻ってきたのかしら。」
事実、尋美たちであったが、みな青い表情で不気味な笑いを浮かべているのであった。
尋美「うふふふ。」
悦子「くくくく。」
香代「うふふふ。」
野梨子「くくく。」
圭織「うふふ。」
< つづく >