BLACK DESIRE #21-2

3.

 翌10月1日の水曜日は、僕の心中はさておき見事な秋晴れであった。水曜の1時間目はミサの時間だから、全校生徒は午前8時の10分前には礼拝堂に集まって到着順に前から詰めて座っていく。
 僕は礼拝堂に時間ぎりぎりに入っていったので最後尾の列だ。手ぶらだが、問題は無い。礼拝堂の長椅子の下は引き出しになっていて、その中に各席毎の聖書や賛美歌集が入っているのだ。席に座る前にそこを開き、僕は必要な本を取り出してから膝に置いて座った。

 ミサ中は聖書を読んだり、賛美歌を歌ったり、お祈りしたりと改めて紹介するような内容は特に無いのだけど、星漣ではもう一つその週に誕生日を迎える、あるいは迎えた生徒の紹介が行われる。夏休みの前後なんかはまとめてやるのでかなりの人数だったのだけど、いつもなら週に5、6人と言うところだ。
 今週は少し多く、全部で9人いるらしい。月曜日の9月28日から始まり、名前を呼ばれた生徒が返事をするのを聞きながら、そう言えば十月十日前と言えばクリスマス頃だな、なんて事を考えていた。
 そんな風に気を抜いてぼぉっとしていたので、急に脳裏の一番浅いところを漂っていた名前が呼ばれ、ぎょっとしてしまう。

「10月2日生まれ――3年榊組、安芸島宮子さん」
「はい」

 僕の座っていた最後尾一番左の席の対称位置、最後尾最右翼側から静かだけど良く通る宮子の返事が聞こえた。思わずそちらに顔を向けるが、並んだ女子生徒達の顔の向こうで良く見えない。でも、姿は見えないのに不思議と彼女の存在を感じた。

(そうか……宮子、明日が誕生日なのか……)

 その後、いつも通りの次第でミサは進み、最後に賛美歌を歌って終了した。変わった事なんて何も無い。1件新しい事実を知ってちょっと驚いたくらいだ。礼拝堂を退出していくみんなに遅れないよう、僕も立ち上がって椅子下の引き出しを開け、聖書等を戻そうとする。

「……あれ?」

 聖書が収まっていたスペースの底に、折り畳まれた紙が落ちていた。出す時は気が付かなかったから、縦に聖書と他の本の間に挟まっていたのが倒れたか、ページ中に挟まっていたのが落ちたのか。とりあえず僕は戻そうとした本を椅子に置き、その紙を取り出した。

 綺麗に4つ折りにされた小さな紙片だ。メモ用紙くらいのサイズで、中に何か手書きで書いてある。軽い気持ちで僕はそれを指で摘んで開いてみた。数式のような物が目に飛び込んでくる。

「 + 18ー18

      NYM → 8193 」

「……何だこれ?」

 訳の分からない数字とアルファベットの羅列に僕は困惑して呟いてしまった。プラス18マイナス18って何さ? ゼロじゃん。それにアルファベットの意味も分からない。NYMって……ニューヨーク・なんとか? それが矢印で8193に繋げられる意味も分からない。暗号なのか、メモなのか、一体これは何なんだ?

「達巳君、どうしました?」

 礼拝堂から出る途中で立ち止まっている僕に気が付いたのか、イインチョがわざわざ中央の通路から椅子の間を通って近寄ってくる。僕は首を捻りながらも、聖書を引き出しの中に収めた。

「いや、ゴミが入っていたから拾っただけ」

 そう言ってズボンのポケットにそれを押し込む。僕に関係無いものだし、教室に戻ったら捨てておこう。イインチョも少し怪訝そうな顔だったけど、納得したみたいだ。

「じゃあ、ちょっと急ぎましょうか。みんな先に行ってしまいましたから」
「そうだったね。急ごうか」
「ええ」

 この後、僕たち3年椿組はミサの後のフリータイムを使って体育祭の各種目参加メンバーなどを決める事になっていた。時間内に終わらなければ午後のホームルームに持ち越すことになり、せっかくソフトボールグラウンド等が解放されているのに、体育祭の練習時間が取れなくなってしまう。
 僕とイインチョは長椅子の間から出ると、並んで小走りに出口へと急いだ。

 さて、予定していた種目毎のメンバー決めは非常にスムーズに進んだ。昨日の内にイインチョが参加メンバーに当たりをつけて参加要請しておいてくれたお陰だな。この辺はやっぱりイインチョが一番頼りになる。後は放課後下級生の椿組からメンバー表を貰って、最終的な調整をしないとね。ま、それもイインチョや副委員長が全部やってくれるから僕はラクチンなんだけど。
 残るフリータイムはあと15分くらいか。僕は改めて教室内を見渡した。じっくりと、現在のクラスメートの状態を確認するために。

 ……見渡す限り、肌色の光景が広がっている。
 決まった種目毎に集まってミーティングの様な事をしている娘達も裸。参加者リストを黒板からノートに写しているイインチョ達も裸。大人しく自習している娘も裸。数人のグループで静かに何か話し合いしている娘達も裸。
 前を見ても、横を見ても、クラス中の僕を除く生徒達みんなが素っ裸。いや、辛うじて首に付けた赤いリボンタイと靴下、上履きだけは身に付けているけど、それ以外、おっぱいもお尻も、股の間の茂みも割れ目も無防備に晒したまま、それを何とも思わず普通に過ごしている。

 これはもちろん、僕の夢……ではなく、ブラックデザイアで設定した「特別制服」第3弾だ。
 今朝登校すると、昨日冬月が予告した通り僕の書き込んだ常識改変内容を邪魔しないように通達の変更通知が掲示板に張り出されていた。僕の免除された業務を通常通りに復帰する内容と、祭事運営委員である僕が許可した「特別な衣装」をこれからの期間着用可能にするという内容の2件だ。それに合わせ、僕は早速特別制服の着用を椿組のみんなに許可したという書き込みをしたって訳さ。

 特別制服第3弾はあの魔法の首輪の応用だ。リボンタイ1つで下着を兼ねる事になってるので全員ブラ、パンツも脱いで丸裸だが、魔法の力で守られているから体温を奪われて風邪をひく事はない。椅子にお尻を付けても暖かな薄い空気層が優しく支えるから、腰が不必要に冷えることもない親切設計。特殊機能としては、女の子の日の娘もこれを着ている間は下物が止まるといういたせり尽くせりのドリームアイテムさ。

 さて、これだけの事をやっておきながら宮子の方からは何のアクションも無いって事は、本当に僕へ手を出すのを止めたと判断してもいいのかな? まだ時期尚早かな? 宮子本人へのアプローチも考えないといけないし、次は何をしようか。

 なんて事を自分の席で腕組みして考えていると、視界の隅にぷるん、と2つの膨らみが揺れるのが見えた。顔を上げ、その持ち主に視線を向ける。

「達巳クン、今空いてるかな?」

 椿組保健委員の蜷守寧名(になもりねいな)が、腕を後ろに回した格好で上半身をこちらに傾け、こっちを覗き込んでいた。外国の血が混じった愛嬌のある顔立ちで、栗色のフワフワした髪の毛を背中まで伸ばしたチャーミングな女の子だ。自然と僕は目の前でふるんふるん揺れているモノに視線を吸い付けられながら、「いいけど、何かな」と辛うじて答える。

「みんなで相談してたんだけど、達巳クンの意見も聞きたいの」

 寧名に続いて4人の女の子達が僕の周りに集まってきた。ハルを含め僕の周囲の席の娘は体育祭の話し合いでちょうど離れている。必然的に、寧名たちは僕を囲むように座って、相談事とやらをする体勢だ。

「何を相談してたの?」
「うん。達巳クンにもっと私達のおしっこするところを見て貰うにはどうしたらいいかな、って」

 カクン、と顎が落ちかけた。寧名の表情は至極真面目で僕をからかっている様子は無いし、他の娘も笑いをこらえていたり恥ずかしがっている気配も無い。純粋に、真剣に僕に放尿するところを良く見て貰う手段について話し合っていたのだ。

 なるほど、先週から継続している書き込みの中には「男子トイレの使い方を僕に教わる」や「恥ずかしい姿を見せて楽しませる」なんかの内容が有る。それが彼女達の中での理由付けが発展した結果、こんな風に自主的に工夫しようなんて考えに到達してしまったのか。いやはや、真面目な娘達だなぁ。

 寧名達の話し合いは僕の意見を取り入れつつ、和気藹々と進んでいく。まるで星漣祭の出し物を話し合う様な熱心さだ。端から見たらこれが破廉恥極まりないトイレ談義とは想像もできないだろう。

「沢山出すためには飲み物をいっぱい飲まないと」
「お茶とか、カフェインの入っている物がいいんでしょう?」
「授業中に行きたくなっちゃわないかな」

 お話はまずは量と回数を増やす方向で進んでいたようだ。でも、そんなに回数を増やしても全員回るには僕の体が足りなくなりそうだよ。

「そっか、達巳クンに見て貰わないと意味が無いよね」
「じゃあ、カメラで撮っておいて、後で見て貰うのは?」

 それはなかなかいいね。防水カメラならおしっこの出るところもばっちり映せそうだしね。

「トイレの便座にカメラを付けておくのはどう?」

 女の子の1人がノートを開き、そこに図を描く。Uの字の底部に丸を付け、そこにカメラと書いた。

「ここにカメラを付ければ、脚を開いておしっこするのが全部映るよね」
「うん。録画中は手で開いて中が見えるようにしないといけないね。こんな風に」

 その娘は椅子に座ったまま両足を大きく開き、自分の割れ目を両手の指を使っていっぱいに開いて見せた。内部が露わになり、窓からの光に濡れ光っている。僕を含め、みんながそこに注目したが本人は真面目な表情のままだ。

「和式の方が見やすいのかな」
「洋式でも座り方を工夫すれば見えるようになるんじゃない?」
「立ってやった方がいい? その方が見えやすいよね?」

 世間ではトイレでの盗撮なんていう狼藉に神経を尖らせているというのに、ここでは年頃のお嬢様方が真剣に自分の排泄姿を効果的に撮影する方法を考えているとはね。世も末だね。まあ、僕のせいだけど。

「ただ見て貰うだけでなく、達巳君にも参加して貰うと良いのではないでしょうか」

 僕が世を儚んでいる間に、他の娘が別の切り口で話を展開させてくれていた。

「以前、達巳君に脚を抱き抱えてもらってからしたのですけど、そうやって身体に触れて、楽しんでもらうのも重要だと思います」
「そうだね、胸やお尻を触ってもらうのもいいかも」
「おしっこの穴を揉んだり、お腹を押して促してもらったらいいんじゃないかな?」

 ああ、それは良いね。出すところ見るだけじゃワンパターンに陥りがちだけど、色々触ってみんなの個性的な反応を見るのも楽しそうだ。

「後は、私の時の様に片足を持ってもらうとか、小柄な生徒なら脚を開いて抱えてもらったらいいんじゃないでしょうか」
「達巳クン次第だけど、私も抱えてもらったら嬉しいかな」

 みんなが期待の目をこちらに向けてくる。いいでしょう、男・達巳郁太。女の子の期待に応えない訳にはいきません! 人数が少なかったらできるだけ赤ちゃんポーズでシーシーさせてあげると約束した。みんな喜んでパチパチと拍手してくれる。

「後は、どんなアイデアが有るかな」
「あのね、場所を変えてみるってのはどう?」

 相談が煮詰まってきたところで、また新しい案が参加生徒の1人から示される。

「トイレの中って、明かりもそんなに明るくないでしょ? 他の場所を使わせて貰うのはどうかなぁ」
「え? どうやってするの?」
「バケツとか、水道とか使えない?」

 おやおや、遂にトイレ外で放尿する発想が出てきたか。これはおもしろい。

「でも、汚しちゃうと後片づけが面倒そう」
「じゃあ、いっそのこと外でやればいいじゃない」
「あ、そうか。排水溝とか、水の出るところだったらすぐ流せばいいんだ!」

 みんな、野外放尿のアイデアに沸き立つ。いやいや、僕は誘導なんんてしてないんだよ、これ。もしかして何回かやったそういう行為の記憶の断片が誰かの中に潜んでいたのかなぁ。それとも、三繰の様なそういう性癖の潜在的な持ち主が居たのか。

「花壇ならおしっこした後に水を蒔けばいいよね」
「水路なら跨いでするか、道端から中に飛ぶようにすればできそう」
「屋外プールのシャワーは? あそこならみんなで並んで達巳君に見て貰うのも簡単じゃない?」

 星漣学園の敷地内で野外シチュができそうな場所が次々と候補にあがる。こりゃ、後で校内マップと付き合わせて「放尿百景」を作成しないといけないな。
 3人寄れば文殊の知恵とか、女3人で姦しいとか言うけど、今日ここに新しい諺ができたね。「女の子、3人寄ればナイスシチュ」。う~ん、至言だなぁ。これからはこうやってみんなに相談させてエッチなシチュエーションを考えて貰うのがいいかも。

「後ね、最初の話だけどおしっこを沢山出すのに道具を使ってみるのはどう?」

 盛り上がっている中、寧名がまた新たな要素を投入する。例えば?と周りのみんなが期待して彼女に視線が集まった。

「私のお姉ちゃん、病院に勤めてるんだけど、そこでおしっこを採るために細いチューブみたいなカテーテルって道具を使うんだって」
「どういう時に使うの?」
「うん。意識がなかったり、動かせない人に使うらしいけど……でね、出すのに使えるなら入れるのにも使えないかな」

 みんながその発言に驚きざわめいた。

「おしっこを戻すの?」
「病気にならない?」
「別に、本物じゃなくて別の物でいいんじゃないかなぁ」

 怖がる女の子達に寧名は首を捻りながら自分の考えを披露していった。

「水とか、食塩水とか、かかっても汚くないおしっこなら近くで見てもらったり、カメラで撮ったりするのも簡単でしょ?」
「……そっか。達巳君にかかっちゃう心配もしなくていいのか」

 いやいや、君達の放尿姿を観察するためなら多少の事なんか気にしないよ。でも、面白いから頷いておこうっと。

「抱えてもらったり、触ってもらうのにも綺麗な水の方が気兼ねなくしてもらえるんじゃない?」
「あ、そうだ。汚す心配が無いなら何処でもできるって事だよね」

 次第にみんな乗り気になり、その方法や膀胱に入れる液体等の詳細に話題が移っていく。どれくらい入るのか、液体を入れる注射器は必要なのか、カテーテルを入れるのは痛くないのか、水と食塩水ならどちらがいいのか、等々。根が真面目で頭の回転の速い娘ばかりだから話が進む進む。僕もそこまでは考えてなかったアイデアがバンバン出てきた。

「あ、あのー……」

 そんな話の回転にちょっと取り残され気味の1人の女の子が、話の切れ目におずおずと声を挟む。「どうしたの?」とみんながそっちを向いたので一瞬怯んだ。が、ここが踏ん張りどころなので、くっと顔を上げてつっかえつっかえ言葉を繋げていく。

「えっと、おしっこの代わりに入れる物ですけど……その、あの……達巳君のを、貰う事はできないでしょうか……?」
「え? 達巳君のおしっこ?」
「いえ……あの……精子を、ですね……」

 言ってるそばから見る見る顔が赤くなってくる。他のみんなもその娘の言っている内容を想像したのか、かーっと顔を赤らめた。寧名も耳まで真っ赤になったまま、言い出しっぺだからかその意見を確認した。

「つまり、達巳クンの精子を膀胱に入れて、それをおしっこの代わりに出すのね?」
「はい。達巳君が射精するみたいに……私も……」

 その娘はそこまでで限界のようだった。茹だったように全身火照った様子で俯いてしまった。みんなも似たような感じで剥き出しの太股を擦り合わせてもじもじしている。

 いや、その発想は無かったわ。要するに男性のような射精を疑似的にやってみたいって事なんだよね? みんなが脚を広げて股の間からびゅっびゅっと精子を噴出する様を想像してみる。何とも度を超した淫靡さじゃないか。確かに、できるものならやってみて欲しいなぁ。

 俯いてしまった娘の発言でみんながその想像の光景に囚われ、押し黙ってしまった。その時、ちょうど良いタイミングで1時間の終了を知らせるチャイムが鳴る。全員、はっと夢から覚めたかのように顔を上げた。

「よ……よし、今日はこれで終わり! また次回、続きを考えましょう!」

 寧名が慌てて立ち上がる。それに救われ、みんなも一斉に椅子からお尻を上げた。僕も何となく合わせて立ち上がる。

「今日は私たちに付き合ってくれてありがとうね、達巳クン」
「いやいや、僕も参考になったよ」
「次の時も、一緒に考えてくれる?」
「もちろん。その時は呼んで」
「うん」

 コクンと首を振った寧名は、その後少し顔を僕に寄せ、小声になった。

「それでね……まだ時間良かったら、早速だけどちょっと実際にやってみない?」

 僕が彼女の顔を真正面から見つめ直すと、さっきの名残か少し頬が赤かった。僕はニヤリと笑い、近寄って寧名のお尻に軽く触れて教室の出口へ促す。

「そうだね。忘れない内に試してみようか」
「うん」
「さて……何をする?」

 寧名は腕を後ろに回し、上目遣いで僕を見つめておねだりしてくる。

「後ろから抱えて……赤ちゃんみたいにして欲しい」
「了解。その代わり、沢山出してね」
「うん、がんばるね」

 僕は、笑いながら甘えん坊の寧名の頭を撫でてあげたのだった。

4.

 その日の昼休みは目の回るような忙しさだった。執行部役員の一人、書記の漁火真魚(いさりびまな)に呼び出されたと思ったら「決済の降りた体育祭の要項を配布して下さい」だの、その途中で早坂に呼び止められて「運動部棟の倉庫に各組の申請したユニフォームがあるから配ってくれる?」とか、みんなして僕の昼休みを寄ってたかって削減しようと配慮してくれる。
 お陰でまたもやエアリアとの約束をすっぽかしてしまった。うう、今度会うときが非常に怖い。だが、不幸中の幸いで早坂が売店のオニギリを差し入れしてくれたので、5時間目が始まる5分前にそれを胃に詰め込む事はできた。

 昼休み中は各組のクラス委員長等と協力して要項の配布を終わらせた。ユニフォームは運動部棟に行くには間に合わなかったので(鍵管理している例の受付がまたも代行中だったのだ)、6・7時間目のホームルーム時間でやることにする。1年から3年のクラス委員には5時間目の生徒総会が終了したら運動部棟の1階に集合する様に伝え、いったん解散。

 3年椿組はホームルーム時間をまるまる体育祭種目の練習に充てるので、出場種目毎にバラバラな場所に分散することになる。あらかじめそれぞれのグループの動きを確認しておき、予想通りに早めに生徒総会が終わると同時に僕自身はユニフォーム受け取りグループの娘を率いて倉庫の鍵を借り、運動部棟に移動だ。そして集合していた他の組の代表者達みんなで協力してダンボールに入った衣装を運び出した。

 各クラスの必要数のチェックを行い、OKだったところから持って行ってもらう。最後に僕は倉庫を元通りに扉を閉めて鍵をかけると、待たせていた3年椿組の運搬グループと一緒に箱を抱えて校舎へと向かった。
 えっちらおっちら桜並木を運んでいると、ちょうど3年椿組のソフトボールメンバーがジャージ姿でグラウンドへ向かうところに出くわした。声をかけて道端で集まり、そのメンバー分はそこで分けて持って行ってもらう事にする。

「教室に置いといてもらっていいのに」

 と、選手の1人であるハルが不思議そうに言うが、僕にもちょっと考えが有っての事なのだ。ハルに「ユニフォーム」でキーを設定しておき、それで領域支配を仕込んでおく。

「いや、『ユニフォーム』のサイズが無かったら交換しちゃいたいから、グランドに運んじゃってくれる? チェックは僕がするからまだ『ユニフォーム』は着ないで練習してていいからさ」
「うん、わかった」

 素直に全員が頷き、1箱受け取って僕たちが今来た方へと向かう。これなら運動部棟で待ってれば良かったな。ソフトボールグラウンドは運動部棟のすぐ裏だ。

 荷物が少なくなって身軽になった僕とお手伝いの娘達は残りのユニフォームを教室に運び込んだ。殆どのクラスメイトはソフトボールや応援合戦等、自分の参加種目に練習に行ってしまって、そこには3人しか残っていない。その3人は保健委員の蜷守寧名を中心にみんなのためにドリンクを用意しているところだった。運んできたダンボールを近くの机に置き、一息つく。

「みんな練習に行っちゃってますね」
「ユニフォーム、机に配っちゃいましょうか?」

 手伝ってくれた娘たちの提案に素直に乗ることにする。その娘達にダンボールを開けて、さっきのメンバーを除いたクラスメートの机にユニフォームを配るように頼んだ。その間に僕の方は寧名達の様子を見ておこう。赤い椿組カラーの円筒形のウォータージャグを3人で抱えてじゃぶじゃぶと振っているところに近付いていく。

「どう?」
「今できたところ。後は途中で食堂に寄って氷を貰わないと」

 「ちょっと飲んでみよう」と寧名達がジャグを机に置き、紙コップに白いジュースを注いでみんなで試し飲みをする。独特な夏の爽やかな甘さの匂いが教室内に広がった。

「カルピスだ。ちょっと濃い?」
「氷が溶けるからすぐ薄くなるよ。そしたらまた入れるから」
「それがいいね」

 寧名達はずっと教室に居たのでまだ着替えて無く、設定した「特別制服Ver.3」のままだ。ジャージを着ている運搬チームの娘達の間で素っ裸で笑っている飲み物チームの3人。そんな様子を見ていると、毎度毎度の事だけど悪戯心がもたげてくるよ。幸い教室に残ったグループのほとんどが僕と契約済みの生徒だ。ちょちょいと認識書き換えをしてあげよう。キーは「カルピス」がいいかな。

「その『カルピス』、薄くない? 味が足りないって言うか」

 こっそりドミネーションの設定を行い、さっそく書き換え開始だ。

「そう? あ、そう言われると……」
「でしょ? 混ぜるとき、入れ忘れた物が有るんじゃない?」

 寧名が僕に言われてもう一回味見をし、首を捻った。それにつけ込む僕。今回の書き換えはこれだ!

「『カルピス』作るときは、一緒に男の人から精子を貰って入れないと味が薄くなっちゃうんだよ」
「あ……」

 忘れてた、という風に寧名がはっとする。まあ、作ってる段階でそんな事考えつくはず無いよなぁ。普通の常識を持った人ならね。念の為、もう少し理由付けを強くしておくか。

「『カルピス』に精子を沢山混ぜれば混ぜるほど美味しくなるし、美容と健康にもいいはずだよ? 保健でやってたよね?」
「うん。そういえばやったね」
「でしょ? 保健委員が忘れてちゃダメだなぁ」
「ごめんごめん」

 寧名は手の平を合わせて「ごめんなさい」ポーズで苦笑いした。周りのみんなも笑っている。誰もカルピスと精子を混ぜるアイデアに疑問を持っていない。いくら同じ白く濁った液体とは言えそれはちょっと無茶があると思うんだけどなぁ。
 そのポーズのまま寧名は僕ににじり寄ると、上目遣いで顔を見上げて来た。

「じゃあさ、達巳クン。お願いしていい?」
「何を?」
「もう! だから、クラスの男子代表としてこの中に達巳クンの精子、出して欲しいの!」

 ジャグの蓋を開けて見せる寧名。中では半分よりちょっと上まで白い半透明のジュースがタプタプしていた。甘い匂いがさっきよりずっと強くなる。

「うーん、いいけどさ? 1人で出すのは結構大変なんで蜷守さん達も手手伝ってくれる?」
「それくらいお安いご用よ。どうする? 口でしようか?」

 ふむ、椿組内ではもう散々色々やらせてるから、口での奉仕くらいはもう何でもない常識レベルの内容になってるのか。それならもうちょっと恥ずかしい事を注文してみよう。

「『カルピス』を美味しくするにはさ、混ぜる物もできるだけ美味しい方がいいよね」
「うんうん」
「なら、蜷川さんは僕を興奮させる様にオナニーしてみてくれない?  興奮して出した精子の方が『カルピス』も美味しくなるからさ」
「え!? 今ここで?」
「そだよ? 『カルピス』作るんだからオナニーもここでしてもらわないと僕も精子出せないよ」
「私がやるの?」
「だって、保健委員でしょ」
「うーん……そっか」

 寧名は首を捻ったが、すぐにあっさりと「わかった」と頷いた。そしてステージとなる場所を探して周囲に視線を走らせる。僕は先回りして教室の前方を指さした。

「どうせなら教卓の上でやってよ。一段高くなってて見やすいからさ」
「ナイスアイデア! じゃあ、カルピス運んでよ」
「オッケー」

 出す時はこの中にだからね。僕は教卓の側までカルピスの入ったウォータージャグを運び、教卓の真正面に椅子を引っ張ってきてそこをかぶりつき視聴席とした。

「じゃ、するね……よっと」

 寧名が教卓の前で腰を預け、軽くジャンプしてその上にお尻を乗せた。発育のいい彼女の双丘がぷるんぷるん揺れる。そして狙い通り、ちょうど僕の用意した椅子の正面に彼女の膝が来た。ドミネーションの発動を行っている契約者達も逃がさないために頼み事をしておこうか。

「君達も一緒にして、援護してくれるかな?」
「うん、いいよ」
「美味しいカルピスの為だもんね」

 残る2人のジュースチームも呼んであげて教卓前の机に座らせた。僕の目の前に3人の裸の女の子が脚をぶらぶら揺らしている。僕が椅子に座ると、ちょうど彼女達のお臍が視線の高さに来た。いいポジション取りだ、計算通り。
 3人がそろって両膝を開く。股間の茂みと、その奥に彼女達の大事な場所がくっきりと見えた。さらに机や教卓の縁に脚が着くまで左右に広げると、柔らかそうな肌の下に太腿の内側の筋が浮かび上がり、それに引っ張られて割れ目の内部の敏感そうな部分が露わになる。僕は座ったまま前屈みになり、寧名の膝と膝の間に顔を入れておっぱい越しに彼女を見上げた。

「できるだけ僕に見せつけるように、エッチな感じでお願い」
「わかってるってば。はい、これでいいんでしょ?」

 寧名は笑顔でさらに両手を使ってくぱっと割れ目をいっぱいに開いた。いきなり全開という感じで彼女の小さな突起や申し訳程度に隙間の空いた膣穴が視界一杯に飛び込んでくる。彼女の髪色と同じ栗色の恥毛がふわふわしてて何だか可愛い。

「ほら、見えるでしょ」
「いやあ、小ぶりでエッチな感じで可愛らしいね」
「バカ。可愛いって何よ」
「そんな事言って。朝は僕に抱えられて可愛らしくシーシーしてたのになぁ」
「……もう!」

 寧名が片手を上げて僕を叩くポーズをした。それに大げさに避ける素振りをしてみせる僕。いやあ、顔を真っ赤にしてほんと可愛いなぁ。
 僕がそんな風に和んでいる間にユニフォームの配布は完了したようだ。教室後ろのロッカーで体操着に着替えた運搬チームが寄ってきて声をかけてくる。

「達巳君、終わったからもうソフトボールの方に行っていい?」
「はいよ。僕もこれが終わったらグラウンドに行くよ」
「じゃあ、また後で。あんまり遅くなり過ぎないでね」

 そう言って笑いながら出て行く。女の子達が裸で僕に股間部を見せつけているのに露とも疑問に思っていない。それは寧名にとっても同様で、これが保健委員のやるべき仕事だと思い出したようだった。気を取り直して真剣な眼差しになる。

「それで、私がオナニーするとこ見せたら精子出してくれるのよね?」
「うん。ただ、やっぱり一番気持ちいいオナニーが一番味のいい『カルピス』になるからね」
「うん」

 彼女にも気持ちよくなって欲しいから、ちょっと条件を付けよう。

「僕は女の子が気持ちよさそうにオナニーしてくれると楽しいんだ。だから、蜷守さんが1回イく毎に1回出すからね」
「え!? 私もイかないとダメなの?」
「当然でしょ? ジュースは結構な量があるから、十分な量を確保するには何回分か出さないとダメだね」
「うう~……」
「ほらほら、早くイったイった。早くしないとみんな練習終わっちゃうよ?」
「あう~」

 不満たらたらの様子だが、それでもおいしい「カルピス」を届けなきゃいけないという保健委員の義務感が勝ったのだろう。寧名は顔を赤くしたまま指先で自分の股間を弄くり始めた。

「君達も自由にオナニーしてね」
「はあい」
「じゃあ、始めるね」

 両サイドの2人は無理にイく必要が無いから気楽なもんだ。胸を揉んだり、割れ目の中の突起を指で撫でたりと自分のペースで開始する。
 寧名の方は気が乗らないのか、割れ目のあたりを縦に擦ったりしているがどうも具合がよろしそうでは無い。僕に見られてて緊張しているのかな? いつもはどんな風にしてるんだろ? 聞いてみよう。

「蜷守さんはいつもどうやってるの?」
「え? 何?」
「オナニーのやり方」
「やり方って……普通よ」
「普通って? まず、座ってやるの? ベッドに寝てやってるの?」
「そ、そんなの……」
「興奮できるように、君のやり方を聞いておきたいの」

 寧名の目線が泳ぐ。胸の内で数秒葛藤が有ったようだったが、カルピス作りに関する黒い本の常識改変力の方が当然強い。

「ベッドで……」
「服は? 着たまま?」
「……下だけ降ろすの」
「じゃあ、蜷守さんは胸の方はあんまりいじらない?」
「ううん。裾の方から手を入れて……揉んだり」

 だんだんとその時の気分を思い出してきたのか、緩慢に股間を触っていた手の片方が胸の方にも伸びてきた。良い傾向だ。

「胸と股と、どっちが気持ちいい?」
「……下の方」
「今右手で触っている辺り?」
「うん」
「クリトリスが一番感じるんだ」
「うん……あと、穴の辺りをなぞってみたりすると良いの」
「ふうん……浅いところが気持ちいいのかな」

 胸にやっていた手を降ろし、膣口を片手の指でくつろげながら反対の指で円を描くようにその周囲を撫でる。すると、本当に気持ちよさそうに唇の間から熱い吐息がこぼれた。内腿もぴくぴくと震えているし、感じていることは間違いない。だんだん僕もドキドキしてきたぞ。続けてどんどん寧名のオナニーライフを暴いていこう。

「蜷守さんはオカズに何を使うの?」
「……え?」
「男の人の写真とか、エッチな小説とか、オナニーの時に使う物は有る?」
「そんなの……」
「完全に指先の感触だけ?」
「うん」

 頷きながら、寧名の視線がちょっと逸れたことに僕は気が付いた。あれ、何か隠してる? ここは追求するべきだな。

「本当に? 何にも使わないの?」
「つ、使ってないって言ってるでしょ」
「……じゃあさ、オナニーしながら何考えてる?」
「え!? あ、う、な、何も考えてない! 気持ちよくて考えてる余裕なんて有るわけ無いじゃない!」

 焦ってるな。こりゃ、寧名はむっつりスケベな想像で1人楽しんじゃうタイプだね。僕はニヤニヤと口元に笑いを浮かべた。

「何、なに? 怪しいなぁ、その焦り方。本当はお決まりのオカズネタが有るんでしょ?」
「な、無いってば」
「いや、有るはずだよ。ねえねえ、聞かせてよ」
「やだ」

 その否定だと、やっぱり有るけど言いたくないって事になっちゃうぞ。

「ダメダメ、嘘付いたって仕方ないよ。時間も無いんだから、『カルピス』を美味しく作るために協力して、蜷守さん」
「だ、だって……」
「こんな精液の入ってない薄味『カルピス』じゃソフトボールチームもやる気にならないんじゃないかなあ。それじゃ困るよね?」
「……」

 とうとう寧名は俯いてしまった。両手の指先も動きが止まっている。僕は悪戯っぽく笑いを浮かべ、彼女の栗色のお毛々をつん、と引っ張った。「ひゃう!」と裏返った悲鳴を上げる寧名。

「ほらほら、全部話しちゃいなよ~」
「わかった! わかったから、そこ引っ張らないでよ!」
「手も止まってるし、早く早く」
「だから……その……クン……」

 寧名の声が急激に小さくなった。何? 何だって?

「何か言った?」
「だから、……みクンだってば……!」
「え? 聞こえなかった、もう一度」
「う~っ!」

 ばたばたと両手を振り回し、脚までじたばたと駄々っ子のようにさせて真っ赤な顔で寧名が言った。

「達巳クンなの! 達巳クンのこと考えながらしてるの!」
「……は?」

 うーっと寧名は唸りながら身体を縮こまらせた。膝を閉じ、腿の間に両手を挟み込んで顔を伏せている。羞恥のせいか耳たぶまで真っ赤だ。僕は彼女の言ったことが最初意味がわからず、ぽかんと口を開けたまま惚けていた。

「……え?……僕なの?……何で?」
「……だって、私、男の子の裸なんて達巳クンしか見たこと無いし……」
「え、いつの事?」
「プールとか、着替えとか……」

 えっと、何だ。僕は確かにクラスの娘の水着や着替えを見たいから一緒に行動するように書き換えしてたけど……その時、寧名も僕を観察してたって事? それで、悶々としちゃってその時の事考えながら自慰にふけっていたと?

「……ああ……そうなんだ」

 何というか、照れくさいというか恥ずかしいというか。僕、今まで星漣のお嬢様方は僕なんか目もくれないくらい理想が高くて、そういった対象としては見られてないと考えていたから。寧名が僕をオナペットにしていたと告白されてすごく動揺している。

「……気持ち悪いよね」
「……え?」
「嫌でしょ、そんな風に思われるの」

 寧名はすっかりしょげ返ってしまっていた。半泣きの目で手を挟み込んだ太腿の辺りを見つめている。いやいや、潔癖性の生娘じゃないんだし、女の子に体目的で見られてたって全然OKでしょ。ましては寧名は、健康的でチャーミングでさらに同年代の娘より発育の良いエッチな体つきの可愛いクラスメイトだ。そんな寧名に夜の恋人として使われて悪い気がするはずがない。僕は慌ててフォローした。

「いや、全然そんな風に思ってないよ! むしろ嬉しいよ! 蜷守さんに男として見てもらえているって事でしょ」
「……でも自分の知らない内に裸にされて、そして達巳クンが射精するところ、想像されてるんだよ?」
「う、うーん……恥ずかしいけど、嫌では無いから」
「本当に?」
「本当だよ。蜷守さんが僕のこと考えて、それで気持ち良くなってくれるなら、嬉しいくらいだから」

 寧名の視線がようやく持ち上がってきた。潤みがちの瞳で上目遣いに僕を見つめてくる。

「……これからも、するかもしれないよ?」
「いいよ。どんどんやって」
「勝手に達巳クンが私の事好きって設定にしちゃうよ?」
「別に良いから。あ、実際の僕よりあんまりにもイケメンにして学校で幻滅されるのは困るかな」

 僕のとぼけた台詞に、寧名の表情にようやく明るさが戻ってきた。あは、と軽く笑ってちょっと首を傾げる。

「大丈夫だよ、私そんなに面食いじゃないから」
「どういう意味さ、それ」
「あはは。だって、達巳クンってイケメンっていうより女顔って感じだし」
「酷い。美少年って言ってくれ」
「自分で言う?」

 よしよし、元気が出てきたね。じゃあ、このまま寧名のやる気を出させてイケイケムードに盛り立ててしまおう。

「そうだ、交換条件にしよう」
「交換条件?」
「そ。蜷守さんだけが僕の事考えてエッチな気分になるのは不公平だから、僕も蜷守さんのエッチなところ今見せてもらって、あとでオカズにする」
「……じゃあ、一杯ヤらしくしないといけないよね?」
「うん。蜷守さんのいけないとこ、沢山見せてもらわないと」
「わかった」

 寧名は再度膝を大きく開き、僕に股間を見せつけるようなポーズをした。指で秘部をくいっと開き、濡れた内面を露わにする。そして潤んだ上目遣いで僕に微笑みかけてきた。

「私のエッチなところ、一杯……見てね」
「うん」

 先ほどよりも熱心な様子で、寧名の指が自分の感じるところを探して踊り始める。僕はその様子を見守りながら、ちらっと周りの2人にも視線を送って笑いかけた。

「ほら、君達も。僕の事考えながらしていいからオナニーしてよ」
「あ……はい」
「ゴメン、時間無かったよね」

 寧名が拗ねている間、落ち着かない様子で動きが緩慢になっていた彼女達もスピードを戻す。しかも、寧名に当てられたのかその指先にはさっきよりもずっと熱意がこめられていた。
 目の前の寧名と僕の両サイドを挟んだサポートの2人、顔の周りに並んだ計3人分の女性器から発せられるムンムンとした熱波が僕の脳を焼いていく。指の動きに合わせてくちゅくちゅと水っぽい音がサラウンドでこだまし、発情した雌の匂いが僕をくらくらと酔いへと誘う。たまらず僕は自分のをズボンのジッパーを開けて表に出した。

「いい感じだから、僕の方も準備しとかないとね」

 ビンビンに突っ立ったそれを、寧名たちは吸い寄せられるように6つの瞳で見つめていた。愛撫の音がぐちゅっと重い粘ついた色合いに変化する。見れば、寧名は自分の膣穴に軽く指を沈めてその入り口付近を解すようにこね回していた。無意識に男のモノを受け入れようとしているのかもしれない。でも、あんまりいじって膜を破っちゃわないでね?

「あっ……うぅ……達巳クン……!」
「うくぅ……あん……」
「だめぇ……いいよぉ……」

 僕のを見て女の子たちはタガが一個外れちゃったみたいだ。ピクンと時折身体を振るわせて小さな波に意識を何度もさらわれかけている。特に寧名はその度に股間からたらたらと大量に愛液をこぼし、今や教卓の前面は花瓶を倒した様にびしょ濡れになっていた。

 やがて寧名の身体の震えの間隔が異常に短くなり始め、そのままビクビクと全身を震わせたままになる。爪先がきゅっと縮まり、下腹部が緊張して膝が閉じそうになる。僕は両手でそれをぐいっと押さえてやった。

「イきそう? 遠慮しないでどんどんイってね」
「あっ、ああっ……ダメっ……イく、イく、イっちゃう……っ!」

 寧名の全身がさぁっとピンク色に染まる。ガックンガックン身体全体が振動し、お尻を乗せた教卓がギシギシ壊れそうな音を立てる。ぶぅんと振り上げられた寧名の脚がピンと伸びて痙攣した。

「あぁあああ――っ!!」

 ぷしゃっ、とそれこそ射精みたいに寧名の股間と指の隙間から飛沫が飛んだ。腰が持ち上がっていたので高い角度で飛び上がったそれは僕らにぽたぽたと雨のように降ってくる。むわっと彼女の愛液の匂いが周囲に立ち込め、一瞬で僕の脳裏をとろかしていく。上を向いた顎の先から首筋を辿って汗がすーっと流れていくのがスローモーションのように見えた。

「あっ……はぁっ……はぁ……んくっ……達巳クンの見てるとこで……イッちゃったぁ……」

 最大の波を越えた後も、寧名は小さなさざ波で軽くイき続けているようだった。太腿の内側をピクッピクッと震わせ、半開きの唇から熱い喘ぎを漏らしている。僕は汗の浮いた彼女の内腿に顔を寄せると、ちゅっとキスをした。

「あんっ!……た、達巳クン?」
「可愛いよ」

 じゅう、と汗が蒸発してしまいそうなくらい寧名の顔がさらに火照った。そして、思い出したように割れ目を思いっきり開いて中を僕に向けてくれた。

「……見て、私のエッチなとこ」
「見てるよ」
「ここ……達巳クンのが入ってくるの、期待しちゃってるの」
「うん……」

 余韻で緩やかに開いたり閉じたりしている大事な穴から、どろっと白濁した淫液が溢れてきている。本気イきした証、って事で良いのかな。
 僕は寧名の一番やらしい部分をガン見しながらモノを擦り上げた。ここは、我慢しないで出してしまおう。

「……良し、じゃあ、1発目出すよ……っ!」
「……!」

 最後の瞬間にぐいっと足下のジュースの容器にめがけて竿の先を照準する。駆け上がってきた熱が急激に折れ曲がって若干窮屈な思いをしつつ、白濁の固まりとして下向きに噴出した。びゅるびゅると相変わらずの大量射精が残さずカルピスの上にふりかけられていく。同じ白い液体だがその濃さは薄墨とコールタールくらい違っている。それらはすぐには混ざり合わず、射精の勢いのまま白い線状の精液がカルピスの中に浮かんだ。

「……ふぃ~」

 とりあえず、1分くらいで出し終わったので身体を起こす。魔力付与を目的とした射精じゃないからこんなもんか。これじゃ、やっぱり3回は出さないといけないかな。

「……」

 女の子たちは一様に容器の中に釘付けになっている。いや、容器の中と言うより、僕の精子に、か。ごくりと喉が動くのが見え見えだ。

「まだ駄目だからね」
「ひゃおわ!」

 こっちがびっくりするような頓狂な声を上げる寧名。どんだけ欲しがってるのさ。

「まだぜんぜん美味しい『カルピス』には足りないよ。もっともっと沢山精液を混ぜないと」
「そ、そうだよね。まだまだ足りないよね」

 そう言うと寧名はぱかっと膝を開け、また潤んだ上目遣いで僕に笑いかけた。

「じゃ、達巳クン……もっかいシよ?」
「オッケー」

 僕が定位置に着くと、最初よりも赤くなって熟れたようないやらしさの寧名の秘部が彼女自身の手で露わにされる。そして、再び彼女は快楽の階段を急ぎ足で登るべく添えた指先を動かし始めた。

 結局、そのあと10分くらいで寧名はあと2回の絶頂を連続でキメた。僕もそれに合わせて大量の精液をカルピスの中にぶち込んでやった。今はサポートの2人がかりでジャグの蓋を閉めてシェイク中だ。
 短時間に3連続だったが、僕の方は魔法の心臓のお陰でただの射精程度何回しようが平気な無限の体力を得ている。問題は寧名の方で、こちらは10分間の連続イきで恍惚とした表情でくらんくらんと首が据わってない。おまけに余韻が抜けないのか、力が抜けたまま緩く開いた股の間から時折愛液がぴゅるぴゅると閉め損なった蛇口みたいに垂れ落ち続けている。大丈夫かな、と声をかけようとしたところで、案の定前のめりに倒れかけた。

「おっと!」
「あふぅ」

 必然的に寧名を正面から抱き留める格好になる。胸の膨らみが押しつけられ、その柔らかさが僕の身体にダイレクトに伝わってきた。役得役得。

「大丈夫かよ?」
「もう……駄目だよぉ」
「甘えんぼうだなぁ」

 おしっこのポーズも後ろから抱きかかえるものを選択するあたり、寧名はいったん気を許すととことん寄りかかってくるタイプなのかもしれない。

「ほら、もう大丈夫でしょ」
「やだ! もう少し……」

 そう言うと、寧名はきゅっと腕を僕の背中に回してきた。僕の肩に顎を乗せ、頭同士を軽く触れさせる。寧名のフワフワした栗色の髪が頬を刺激した。

「何? どうしたのさ?」
「もうちょっと、じっとしてて」
「どれくらい?」
「んー……あと3分」
「じゃ、1分ね」
「ぶぅー」

 寧名が離してくれないので、結局僕は彼女の希望通りじっと待つしかなかった。きっちり3分後、満足した彼女が身体を離す。正面から見たその瞳は、まだ潤んでいるようだった。まだ何か?

「んー……やっぱ駄目かも」
「何がさ? そろそろ行かないとソフトの練習終わっちゃうよ」

 僕は寧名から一回視線を外して他の2人に声をかけ、状況を聞いた。一生懸命重い容器を振り回したのか、ちょっと息が切れている。蓋を開けてみると中身は見事にとろっとしたザーメンとカルピスのカクテルが完成していた。うえ、すごい臭い……。でも、2人はうっとりと「いい匂いだね」なんて言ってる。これも書き換えの効果か。

「蜷守さん、まだ駄目なら教室で休んでたら? 僕達これ持って行くからさ」

 2人にはまだ運搬を手伝ってもらわないといけないので、外に出られるようジャージに着替えてもらう。寧名はどうするかな?

「私はもうクタクタになっちゃった。後は任せてもいい?」
「いいよ。じゃ、行くね」

 まあ、寧名にはガンバってもらったし、今日はもういいか。他の娘達の着替えも終わったのでジャグの持ち手を握って持ち上げる。うお、結構重い。これをまず食堂に運んで、氷を入れた上でソフトボールグラウンドまで移動するのか……明日は筋肉痛になりそうだな。

 教室から出る時、扉を閉める前にもう一度寧名の方を見ると、彼女は教卓から降りて、両手でごしごしと顔を擦るような仕草をしていた。そして顔を上げて大きめの声で呟く。

「あーあ、駄目かも。これ、もう駄目だよねぇ……」
「何が?」
「ん?」

 まだ居たの、といった感じで僕の方に向く寧名。そして俯き、上目で少しはにかんだ笑顔を見せた。

「だって、もう設定だけじゃ我慢できなくなっちゃったんだもん」
「何の設定?」
「教えない」
「???」

 何のこっちゃ? しっしっと猫でも追っ払うかのような仕草をする寧名に首を捻りつつ、僕らは扉を閉めて教室を後にしたのだった。

< 続く >

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