番外編3 ほんの少し後の二人(前編)
結果から言うと、クリスマス・イブまで保たなかった。
……あ、いや、婚約のことじゃなくてね。
終業式が終わり、体育館から教室に戻る途中、あたしは涼の隣にさりげなく並ぶ。
「ねえ、涼」
「ん? あ、都ちゃん」
「今日、うち、夜遅くなるまで、あたし以外誰もいないんだけど」
あたしがそう言うと、涼は瞬時にその意味を理解してくれた。
「4時に、都ちゃんの家でいい? 僕、部活があるから」
「うん、わかった」
別れ際、涼はあたしの耳にささやいた。
「シャワー、浴びといてね」
何故こんなタイミングで、涼をあたしの家に誘ったのか。
その発端は、プロポーズの日の深夜まで遡る。
「まず、都ちゃんのオナニーを制限したい」
「……え?」
婚約者になったらやりたい催眠。ということで、何考えてるのかをおそるおそる聞いたら、返ってきた答えがそれだった。
…………いろんな意味でよく分からん。
「……何で、それが『婚約者になったら』なの?」
「都ちゃんの生活を直接縛るから」
涼の答えはすぐだった。
「まあ、僕が勝手に思ってただけなんだけどさ。
僕、都ちゃんのために催眠やってるつもりだし、あくまで僕といないときの都ちゃんの生活は都ちゃんのものだから、恋人の間にそういうことはやっちゃダメだと思ってたし、あんまりやりたくもなかったんだよ。
……オナニー気持ちよくなるとかは都ちゃん絶対悦ぶから、ガンガンやったけど」
「うるさい黙れ」
言いたいことは分かった気がするけど、一言余計だ。
「婚約者なら、都ちゃんの生活もちょっとくらい僕のものだからね。エッチなことについては」
「……で、何でそんなことしたいんだよ」
「エッチな理由と、結構真面目な理由がある」
「……まじめ?」
「うん」
何だよそれ。
「僕ら、受験じゃん。だから多分、……これまでのようにはエッチできなくなる」
「…………それは……そうかもだけど……?」
「放っておいたら、多分都ちゃん、これまで以上にオナニー増えるよね? ……それ、勉強に悪影響でしょ」
……それは、多分その通りだ。
どちらかと言えば体力バカなあたしだけど、実際、家に帰ってから2回してしまったときなんかは、結構疲れてしまうこともある。
でも、
「……もやもやしてたら、やっぱり勉強に集中できないし……」
「うん。だから、今のうちにいろいろ試して、勉強しやすくするために、いろいろやった方が良いと思うんだ。あと多分、僕とするときはもっと都ちゃんが満足できるようにならないといけないと思う。当然、やってみてうまく行かなきゃ方法変えればいいし」
「わかった。賛成」
エッチも大事だけど、当然、受験の方が大事だ。
それにしても涼って、いろんなこと考えてるんだなあ。
あたし、そんなこと思いもよらなかったよ。
「で、……一応聞くけど」
「ん?」
「エッチな方の理由は?」
「……都ちゃんの性欲をコントロールして、都ちゃんをもっと僕のモノにしたい」
そっちは予想通りだった。
「――『ラストカードはあなたに』」
気がつくと、涼がニヤついていた。
そして、あたしはいつのまにかベッドの上に起き上がって、座っていた。
そんで、
「きゃっ」
裸のままだった。
思わず、シーツで身体を隠す。
「かわいい声」
「うるせえ!」
あぐらをかく涼が、こちらは裸のまま、意地の悪い声で冷やかす。
「いいじゃんかわいいんだし。っていうか、ちゃんと恥ずかしがってくれるのがかわいいよね、都ちゃん」
「うるっせえよかわいいかわいい言うなっ!」
「都ちゃんはかわいいの」
さっきと同じ言葉、同じ断定。
「恥ずかしがらなくなったら、催眠で恥ずかしくなるようにしてあげるから」
「………………こんのやろう」
何となく逃げ道をふさがれた気がする。いや何のだ。
「都」
あ。
「身体隠しちゃダメ。全部見せて」
涼の言葉を理解した途端、あたしの両手がシーツを引きはがす。
身体が勝手に動く、とても「おなじみ」の感覚。
胸と股間が再び、涼の目に晒される。
……女の子座りだったのだけが、不幸中の幸いだった。
と。
「よっ」
座り直して膝立ちになった涼が、左腕であたしを抱き寄せる。
「かわいいよ」
「……うぅ」
右手があたしの両膝を順にそっとなでたと思ったら、外側を回って、あたしの……あそこを。
えっ、いきなり? と思う間もなく、
「はぅっ……!?」
触ったとたん。
「あ、あ、あっ!!!」
かぁっと。
あそこが、かあっと、熱くなって。
おなかの奥も、つられて熱くなって。
ぞくぞくってして。
からだが。
あたまが。
「あぁ……っ」
したい。
したい。
きもちよく、なりたいっ!
イキたいっ!!
「りょ、う……っ」
「都、オナニーして。
あとでまた、僕からしてあげるから」
命令と、同時に。
あたしの右手が、おま○こをほじる。
「あんっ!」
そのまま、ねころがる。
おま○こ、きずつけないように。
それだけ、ちょっと、きをつけて。
おくまで、ゆびで、ぐちゅっとする。
「はぁっ! きもちいいぃっ!」
だしいれする。
「ううぅぅぅぅぅぅぅっ……!」
きもちいいよぉ……っ。
「都ちゃん、大丈夫?」
「はぁっ……はぁっ……どう、してぇっ……?」
おま○こをいじめながら、涼にきく。
ああだめ。ちくびもさみしい。
「都ちゃんの両膝を触ってから、おま○こを僕が触るとね、イクまで止まらなくなっちゃうんだよ。
僕と二人きりの時だけだけどね」
「うおぉっ!」
ちくび。
おま○こ。
いっしょに、ぐりってしたら、トンじゃうっ!
「……絶対聞いてないな」
ぐりぐり。
ぐちゅぐちゅ。
「う……ぅぅん……はぅ…………ぅぅぅっ、ん、んっ……!」
「都、うつぶせダメ。声聞かせて」
「んぁぁあっ! あ、ひぃっ、きもちぃぃ、あ、ああっ!」
…………あ…………そうだ……
「ね、ねえ、涼っ」
「ん?」
「キス、してっ」
「え? うん」
……ちゅぅっ
「ふぅんっ!」
ちゅう、される。
めと、めが、あう。
「んんんんんんんんっ!!」
カラダのなか、のぞかれてる、みたい。
「んふうぅぅぅっ!」
めをあわせたまま、べろ、からめる。
あ、イキそう。
イクから、クリ○リスも、いじる。
きゅっ。
ぐちゅっ。
「ふっっぅぅぅぅうううううっっっ!」
ツン、と、くる。
あたま、ぱー、に、なる。
「ふぅぅっぅぅぅ……ぅぅぅぅぅぅぅ……ふ、ふ、ぅっ!」
おま○こ、おく、こりって、してるとこ、こするんだ、えへっ。
あはは、びくんって、して、き、た。
で、クリ、つぶ…………す。
きゅっ。
あ、イ、ク。
「ふっぅ……! …………………………ぅぅぅ…………ぅぐぅぅううううううううううううぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!!!!!!!!」
…………………………………………………………あ……………………イケ……た…………。
「こうすれば、僕の好きな時に都ちゃんを発情させられるからね」
「……まったく」
本当にしょうもないことしか考えない奴だ、涼。
「都ちゃんだって、メチャクチャ発情してからイッた方が、満足でしょ?」
「うるっせえよっ!」
「……そんで、僕がいないときに都ちゃんとかがおま○こを触ると、今度は発情が止まるようにした」
「……」
そっちは催眠の前に聞いた。
……つまり、今みたいなオナニーは、しばらくできないのだ。
「シャワーオナニーでも、気持ちよくなれない。おっぱいを触っても同じ。……いいの?」
あたしの胸を指さしながら、涼が確認する。
「……うん」
うなずく。
実は。
涼は、……胸ならオナニーでイケるようにしようとしてくれた。
けど、断ったのだ。
せっかくだから、我慢してみようと思って。
我慢して、涼としたら、どうなるんだろうって。
そんなことを考えてしまったんだ。
それにきっと本当は、涼はあたしの性欲を独占したいのだ。涼は言わないけど、わかるんだ、そのくらい。
だって……あたしも、もっと、涼のモノになりたいのだ。
このときあたしは、本当にそう思った。
「無理だったら、ちゃんと言ってよね」
「涼、わかってるから。……そのかわり」
「……ん?」
「今から、いっぱい、満足させてよね?」
「もちろん。……どっちか力尽きるまで、今日は止めないからね」
そうして涼は、あたしの両膝に、また手を伸ばして――。
さっきのように、激しくこみ上げてくるものを感じたのが、最後の記憶。
そこから先は、覚えていない。
本当に、全然。
< 番外編2 終わり >