3種の神器 第2章

第2章 相続

 翌朝俺が目覚めると咲絵さんの姿は無く、携帯のアドレスのメモが残されていた。
 また咲絵さんと会ってHできるのかな?
 のんびりトイレを済ませ、簡単にシャワーを済ませる。お風呂はこのままでいいんだよな?
 携帯で時間を確認すると8時、何時間Hしたのかわからないけど随分寝たようだ。夜の間に友人から届いていたメールに返信しながら部屋の中を見回す。
 気が付くと内線のPHSが点滅している。見て見ると内線電話の他にメールも使えるようで川村さんからメールが届いていた。起きたら電話するようにと川村さんの内線番号が書いてある。川村さんを呼び出すと、すぐに来て食堂に案内される。
 ぼーっとしながら、川村さんのタイトスカートのお尻を眺めると全然知らないはずの知識が頭に流れ込んでくる。
「川村さん、それってシャネル?」
「はい、そうですが。お詳しいですね」
「いや、あてずっぽう」
 ごまかしたが、俺はシャネルが服を出してることすら知らなかった筈。
 食堂で朝食の好みを聞かれ洋風を希望、卵をどうするか聞かれる。俺の知ってる卵料理は目玉焼き&卵焼き&ゆで卵が全てだ。しかし卵料理が色々頭に浮かび自然と
「卵はポーチドエッグ」
 なんてオーダーして見る。料理ができる前に給仕された牛乳とグレープフルーツジュースを飲んでいるとポーチドエッグが出てくる。初めて見る料理なのに食べ慣れているかのようにパンに半熟の黄身を乗せて味わう。
 茹でられたソーセージやたっぷりのサラダに各種のフルーツを味わうと、レギュラーコーヒーなんてブレンドしか飲んだことがないのに自然とコロンビアを頼む。魔力の影響なのか?豪華な朝食に満足して食べ終えると川村さんが
「お爺様がお待ちです」
 と言って祖父の部屋に案内する(広すぎてまだ部屋の位置関係が把握しきれない)。
 祖父は部屋で寛いでいたが、俺が来ると川村さんを隣の部屋で待機するように命じて俺をソファの向かいに招き寄せる。俺は聞きたいことが山のようにあったが、それを言う前に祖父がにやりと笑って話しかける。
「夕べはどうだった?うまくできたか?気持ちよかったか?」
「あ、あの、はい。気持ちよかったです。ありがとうございます」
「熊野の跡取りになれば毎日でもできることだが。どうだ、跡を取ってくれる気になったか?」
「その前にいくつか質問いいですか?」
「ふむ、こちらも伝えることがあるから手短にな」
「まず、昨日の咲絵さん」
「ほう、もう名前で呼ぶようになったか」
「あ、えっとその」
「すまん、すまん続けてくれ」
「楠さんがあんなことをしたのはお爺さんが用意したの?」
「ふむ、そうだ。後で説明しよう。他の質問は?」
「3種の神器の魔力を僕に譲ったって事だけど、どんな力でどうやって使うの?」
「それで最後か?」
「あと、僕が熊野の跡取りになると何をどうすればいいの?」
「全部か?」
「はい」
 祖父はゆっくりと語りだした。年寄りの長くてくどい説明を要約すると。

1)強く見つめた相手を魅了し、感情や行動を誘導できる。(視線を話してから2時間くらい)
2)少しでも肌に触れた相手は、本能や無意識まで自由に操れる。(1日くらい)
3)肌を交えた相手は僕(しもべ)となり、離れていても意識に命令したり知識を使うことができる。(個人差が大きいが最低でも10年、長ければ寿命が尽きるまで)

 そして魔力を持つことで常人とは段違いの体力を得て健康が保たれること。
 この3つの力は本人の好きなように使ってよいが、歴代の熊野家当主は国を支配したりせずに、熊野家を安定して保護成長させるように使ってきたこと。
 咲絵さんは俺に魔力を譲る前に記憶と感情を操って、スポンサーである熊野家の依頼で後継者に女の体を教えるように誘導したこと。
「それって、どのくらいの力なの?」
「例えば、咲絵という女優は6月に来年結婚することになっているが、見たこともないお前に女の体を教えることが当然と思わせ、お前との交わりで快感を得るように誘導した」」
 分かっていてもキツいな、しかも6月結婚!?
「執事の加藤は以前熊野工業のエリートでな、外資と結んで会社を乗っ取ろうとしたが、操る力で野望や感情を奪って完全な操り人形になった」
「!!!相手が男でもいいの?」
「いやその、わしは両刀でな。男も操れる」
 お見それしました。僕には無理です。祖父と加藤さんのベッドシーンを想像してしまいげんなりする。
「後はお前が好きにすればよい」
「はあ?」
「僕(しもべ)の力はお前の力となる。お前は知識は僕(しもべ)に任せて人を統べて熊野家を、熊野グループを思うように導け」
 勉強する代わりにHして、僕(しもべ)を増やしていってから考えろと?
「夕べの女優はたいした知識も無かろうが、女優だから感情を抑えて表情に出さないくらいの力はあるじゃろ」
 なるほど、でも咲絵さんが結婚するとかの知識は入って来なかったけど
「神器の力は使い慣れるまでは無駄な知識だけが入ってきたりする。なるべく多くの相手に使って慣れるしかない」
 ひたすら色んな女性とHしまくれと?
「わしは隠居して伊豆に引っ込む。屋敷の女達はお前のために用意した。まずは屋敷の女達を僕にすることから初めよ」
 人権とかを無視した発言をすると祖父は一休みするからと言って寝室に行き、俺はこれからの事を加藤さんと川村さんに相談するように言われて部屋を出た。
 部屋の外で待っていた二人と食堂に戻り、これからの話し合いをする。
「熊野グループ後継者としての仕事は加藤がお手伝いします」
「身の回りやプライベートのお世話は川村が承ります」
 公(おおやけ)が加藤さん、私(わたくし)が川村さんと言う担当らしい。
「まずは公的な手続きを準備します。養子の手続きは一日学校を休んで頂いて区役所に行かなくてはなりません。転居の手続きは私が手続きしておきます」
 細々とした所は全部加藤さんがやってくれるらしい。
「私はご主人様の身の回りの調度品や服を用意いたします」
 えっと、ご主人様?
「お爺様は隠居して伊豆の山荘に行かれるとの事なので成樹様がご主人様となります」
「ごめん、ヲタクじゃないんでご主人様ってのはやめて欲しい」
「では何とお呼びしましょう?若様?成樹様?」
「成樹君でお願いします」
「ご主人様を君付けで呼べませんので成樹様と呼ばせていただきます」
「はい、了解しました」
「ではまずお召し物ですね。拝見すると昨日の服のままですし」
「一日しか着てないし、下着は替えました」
「すぐに着替えを用意いたします。お好みのブランドなどございましたらお知らせください」
「同じウニクロでいいです」
 咲絵さんは男性ファッションには疎いようでさっぱりブランドの知識が無い。勿論俺は母親の買ってきた服を順番に着るだけだ。
「では、これから買いに行きましょう」
「は?」
「天気も良いですし、失礼ですが中流で育たれた成樹様に熊野家の財力を実感していただきます」
「はい、よろしくお願いします」
 そうして俺は半日デパートを連れまわされた。デパートに着くと店長と外商部長なる肩書きの人たちに最敬礼で迎えられ、川村さんが見立てた服を山のように買い込むこと数軒、ぐったりとして帰宅した。

< つづく >

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