ヤリマンファイル 第4話

■第4話 京香さん

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 立て続けにヤリまくっていたせいで、いつしか黒い手帳の女の名前は、残す所あと3人となっていた。

 たった半月の間に次々と美女達を喰いまくった萬次郎は、残り少なくなった3人の名前を見つめながら、ちょっと勿体無かったかなぁ・・・などと少し後悔していた。

 萬次郎は溜息をつきながらバス停のベンチでもう一度黒い手帳を開いた。そこに残っている3人の女は、極端に歳の離れた女ばかりだったからだ。

 『名前・大前松子/年齢・45才/住所・東京都足立区・・・/携帯・090-7554-1・・・/勤務先・日本海かまぼこ株式会社東京工場/暗号・お母さん』

 『名前・井上瑠璃/年齢・10才/住所・東京都世田谷区・・・/自宅・03-3482-6・・・/勤務先・◎●学校/暗号・中島先生の腋の下はお味噌汁の匂い』

 『名前・田宮京香/年齢・31才/住所・東京都台東区・・・/自宅・03-3889-6・・・/勤務先・専業主婦/暗号・鼻毛を丸めた共産主義者』

 萬次郎は黒い手帳を眺めながら、取りあえず例の45才の『まったくソソらない醜熟発酵ウシ女』をリストから外した。あの醜いオババとヤるくらいなら、本物の牛とヤった方がマシだと本気で思っていた。

 っという事は、残るは10才の少女と31才の主婦だ。

 ロリコンな萬次郎は、『主婦』という響きにはまったくソソらなかったが、しかし、いくらロリコンとは言えどさすがに10才のガキには興味はない。

 ババアを取るかガキを取るか。バス停でじっくりと悩んだ挙げ句、結局、31才の田宮京香に決めた萬次郎は、浅草行きのバスに乗込んだのだった。

 黒い手帳に記されている田宮京香の住所に行ってみると、そこは閑静な住宅街だった。

 そこは新しい町らしく、新築の家がズラリと立ち並び、赤煉瓦調のタイルが敷き詰められている歩道の端には清々しい緑が植えられていた。これまで、黒い手帳の女達をゲットするにはバイト帰りや学校帰りを付け狙っての犯行であり、田宮京香のように自宅に足を運ぶと言うケースは初めてだ。

 そんな田宮京香の自宅に向かう萬次郎は、どうやって田宮京香を自宅から誘き出すかを考えていたのだった。

 田宮京香の自宅は、全体的にアイボリー色が主体となった今風のオシャレな一軒家だった。

 ヨーロピアン調のモダンな門に掲げられた表札を見ると、『田宮耕造・田宮京香・田宮れい』と、3人の名前が記されている。

(この時間、旦那は仕事だとしても・・・子供はいるのかなぁ・・・)

 萬次郎は、カーデニングで溢れる小さな庭を覗き込みながら考えていた。

 京香が自宅にいる事は、黒い手帳に記されていた自宅電話番号に無言電話を掛けて確認済みだったが、しかし、そこに旦那や子供がいるかどうかまでは確認する事が出来なかった。

 塀の中の様子を伺いながら裏へと回る。

 隣家のガレージとの境目にある小さな裏庭にヒラヒラと洗濯物が干してあるのが見えた。萬次郎は静かに辺りを見回した。閑静な住宅街だけあって気怠い午後の昼下がりはひっそりと静まり返り、辺りに人影は全くない。

(よし・・・一か八かだ・・・)

 そう呟いた萬次郎は、隣家のガレージにこっそりと忍び込んだ。

 隣家のガレージの奥にある居間らしき部屋の窓からは、聞き慣れた時代劇のエンディングテーマが聞こえて来た。こんな時間にあんな番組を見ているのは老人に違いない。そうちょっと安心する萬次郎は腰を屈めながら田宮京香の自宅とその隣家の間の細い通路を進んだのだった。

 隣家の風呂場らしき窓の前まで来ると、田宮家の裏庭に干してある洗濯物が真正面から見る事ができた。

 白いモルタルが塗り込まれたギリシャ風の塀から顔を覗かせ、裏庭でヒラヒラと風に靡く洗濯物をソッと見ると、アルミの洗濯竿に干されているTシャツとバスタオルの隙間から、その奥にぶら下がっている小さな布切れ系衣類が見える。ハンカチ、靴下、そしてパンツ。そこに干してあるアニメキャラがプリントされたパンツを見た萬次郎は、娘のれいは、恐らく幼稚園児ではないかと予想した。

(この時間なら、娘はまだ幼稚園だな・・・)

 そう睨んだ萬次郎は、現在、この家の中には京香1人しかいないだろうと判断し細く微笑んだ。

 しかし・・・と萬次郎は、田宮家を覗き込みながら悩む。

 たとえ家には京香が1人だったとしても、どうやってあの家の中に侵入するかが問題だった。最近は、一般家庭でもあらゆる犯罪に対しての危機管理が徹底している為か、セールスを装ったってそう簡単に玄関のドアは開けてはくれない。ましてや新築の家ならば、玄関には防犯モニター付きのインターホンなんかが設置されている可能性が高く、用件は全てインターホンで終わらされてしまうのだ。

 萬次郎は、いかにして怪しまれず京香に玄関ドアを開けさせるかを考えていた。

 そうこう考えていると、田宮家の裏庭の隅に、大きなビニール袋が丸められているのが目に止まった。そのビニール袋には『アクア・フィッシュランド』というロゴが大きくプリントされている。

(あれは・・・熱帯魚が入ってたビニール袋だろうか?・・・)

 そう思いながら、田宮家の中へ目を凝らしてみた。

 小さな裏庭に面した部屋。白いレースのカーテンから微かに透けて見える室内は、どうやらリビングらしい。そんなリビングらしき部屋の奥の壁にボンヤリと灯りが見える。そのボンヤリとした灯りの中にはプクプクと小さな泡が浮かんでおり、それはまぎれもなく熱帯魚が飼われている水槽だと判断できた。

(よし・・・これだ・・・)

 閃いた萬次郎は、腰を屈めたまま元の通路を戻り始めた。途中、隣家のガレージの隅に青い帽子が転がっているのを発見した。恐らくこの家のおじいちゃんかおばあちゃんが早朝のゲートボールで被っている物であろう、まったく飾りッけのない作業帽のような地味なものだった。

 萬次郎は迷う事なくその帽子をヒョイっと頭に被ると、そのまま何喰わぬ顔をして歩き出したのだった。

 隣家のガレージから抜け出た萬次郎は、取りあえず田宮家から離れた。

 バス停の近くに小学校があったのを思い出し、小学校があるのならその近くに文房具店のひとつやふたつは必ずあるだろうと、太った身体をユサユサと揺らしながら小学校に向かって走ると、やはり小学校の正門近くに古びた文房具店があった。

 そこで一番太いマジックを買った萬次郎は、先程盗んだ青い帽子の額の部分に『アクア』とマジックで書き殴った。

(防犯モニターで見られる分には怪しまれないだろう・・・)

 萬次郎は、帽子に殴り書きされたその下手糞な字を見つめてはヘラヘラと笑ったのだった。

 再び田宮家へと足を向けた萬次郎は、小学校の校庭の脇を歩きながら田宮京香の自宅に電話を掛けた。

「はい田宮です」

 3コールで京香が電話に出た。31才と言うだけあって、なかなか落ち着いた声だ。

「いつもお世話になっておりますアクア・フィッシュランドです」

 萬次郎が声のトーンを高めにそう叫ぶと、京香は一瞬「ん?」という感じで考えた後、しばらくしてから「あぁ、はい」と、思い出したかのように返事をした。

「ニュースで御存知かと思われますが、熱帯魚から検出された魚インフルエンザの件でお電話させて頂いたんですが、御主人様はお見えになるでしょうか・・・」

 萬次郎は、そうデタラメを言いながらも、ちゃっかりと旦那の在宅を確認した。

「・・・主人はいませんが・・・えっ?魚インフルエンザですか?」

「そーなんですよ、先日、ベトナムから輸入された熱帯魚から、鳥インフルエンザによく似たウィルスが検出されましてね・・・あれ?テレビのニュースで御存知じゃなかったですか?」

「・・・はい・・・」

「いやぁ、これがなかなかやっかいなウィルスらしくてですねぇ、もし熱帯魚がインフルエンザにかかっていると、その熱帯魚が泳いでいる水槽から蒸発する蒸気で人間に感染する恐れがあるというんですよ・・・」

「蒸気からですか?!」

「そうなんですよ・・・特に小さなお子さんなんかはコロッと感染してしまうらしくてね、それでウチも慌ててるんですよ」

「えっ?どうしよう、困ったわ・・・」

「もしかして小さなお子さんがおみえですか?」

「・・・ええ」

「今も?」

「いえ、今は幼稚園に行ってていませんけど」

 予想通り、子供は幼稚園に行ってて留守だ。

 萬次郎は、京香が1人でいる事を確認し、携帯に向かって密かにニンマリと微笑んだ。

「それで、どうしたらいいんでしょう・・・」

 京香は、その魚インフルエンザと言うデタラメを信用しているらしい。その熱帯魚を買った『アクア・フィッシュランド』という店名を名乗られた事が、決定的に京香を信用させたのだ。

「今からウチのスタッフをお宅へ伺わせまして水槽の中を殺菌させて頂きます。いえ、もちろん無料でやらせて頂きますし、予防の殺菌剤もサービスさせて頂きます。っで、今、お時間の都合はよろしいでしょうか?」

 萬次郎が一気にそう説明すると、京香は何の疑いもなく「宜しくお願いします」と電話を切った。

 萬次郎は1人ケラケラと笑いながら、小学校の裏門にあった駄菓子屋で錠剤のクッピーラムネを購入すると、そのまま田宮家へと走ったのだった。

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 帽子の額に『アクア』と殴り書きされた部分を、わざとカメラに向けながら、萬次郎は田宮家のインターホンを押した。萬次郎の手には、ここに来る途中に民家のガレージから盗んできた青いプラスチックバケツと車のホイールを磨くブラシが握られていた。

 しばらくすると、スピーカーからカチャッという音が響き、「はい」という京香の落ち着いた声が聞こえて来た。

「お世話になっております、アクア・フィッシュランドの菅原です」

 萬次郎がそう答えるなり、すぐに京香は「少々お待ち下さい」と言いながら、インターホンの受話器を下ろした。

 しばらくして、玄関から京香らしき主婦が出て来た。

 門の前に立っている萬次郎に向かって、何の疑いもなく「どうぞ」と招き入れる京香は、萬次郎が今までに見た事もないような、とんでもなく綺麗な奥さんだった。

 セレブな奥さん。

 京香にはそんな言葉がぴったりな、実に品のある美人主婦だった。

 髪はサラリと長い黒髪で、切れ長の大きな瞳がどことなくエキゾチックな雰囲気を漂わせていた。

 恐らく有名ブランドであろうと思われる高級そうな黒いワンピースからは、スラリと細い脚が伸び、その脚も、きっと毎週通っている高級エステで丹念に磨かれているであろうと思えるような、そんな美しい輝きを見せていた。

「よろしくお願いします」

 玄関で靴を脱いでいた萬次郎にそう笑いかける京香からは、キャバクラ・アマールの美咲と同じシャネルの香水がほんのりと漂っていた。

 ピカピカに磨かれたフローリングの廊下を突き進むと、アクア・フィッシュランドの店員に化けた萬次郎は奥のリビングに通されたのだった。

 そのリビングは、さっき隣家のガレージから覗いていた部屋だった。

 リビングの奥に、巨大な水槽が置いてあった。透き通るような綺麗な水が張られたその水槽の中には、なにやらメルヘンチックな小魚がウヨウヨと泳いでいた。

「大丈夫かしら・・・」

 萬次郎と一緒に水槽を覗いていた京香が、心配そうな表情をしながら呟いた。

「この手の小型熱帯魚が一番感染しやすいんですよね・・・・」

 萬次郎は、わざと京香を心配させるような口調でそう言うとゴソゴソとポケットを弄った。そして、小学校の前の駄菓子屋で買ったクッピーラムネを3粒ほど取り出すと、「まずは検査剤を入れて見ますので」と、それを水槽の中にポイッと投げ入れた。

「このまま10分程、様子を見させて下さい。もし、水槽の水が青色に染まったら陽性という事ですから、そうなれば水槽を殺菌させて頂きますので・・・」

 萬次郎が水槽を覗き込みながらそうデタラメを言うと、京香は、「それじゃあ、こちらでお待ち下さい、今、お紅茶を入れますので」と、真っ白な革張りソファーを指差して微笑んだ。そんな京香に「どうも・・・」と頭を下げながらも、萬次郎は、紅茶の事を「お紅茶」と呼ぶ人を見たのは初めてだ、と、その上品さに感動を覚え、やはりマンコの事もオマンコと「オ」を付けるのだろうかとバカな事を想像した。

 しばらくの間、ソファーにぼんやりと座ったまま、お紅茶をお上品に啜っていた萬次郎は、さてさてどのタイミングで暗号を言おうかとワクワクしていた。

 その間、京香は心配そうに水槽の中をジッと見つめながら、「大丈夫かしら・・・」と何度も呟いている。

 お紅茶を啜りながら、そんな京香の後ろ姿をジロジロと見ていた萬次郎は、その黒いワンピースに包まれたプリップリの尻に顔を埋めながらレロレロと尻の谷間を舐めまくる想像ばかりしては、股間をギンギンに熱くさせていた。

(こんな上品な奥さんは、いったいどんな風に乱れるんだろう・・・)

 そう視姦する萬次郎の妄想はどんどんエスカレートし、一刻も早くあの上品な奥さんのポニョポニョの胸に顔を埋めて悶絶したいと気が焦る。

 しかし、黒い手帳に記されている女は、この田宮京香が最後の女だ。残る2人は10才のガキと醜い熟女だけなのだ。だから、もっともっとこの瞬間を引っ張って、ギリギリまで自分を焦らしてみようと、萬次郎は焦る気持ちを抑えては我慢していたのだった。

 静まり返ったリビングに、水槽から響くポコポコポコっという酸素の音だけが響いていた。

 そんな小気味良い音を背景に、奥さんの尻ばかり見つめていた萬次郎は、ある瞬間に凄いモノを目撃してしまった。

 それは、京香が水槽の中を前屈みになって覗き込む度に突き出された黒いワンピースの尻に浮かび上がるパンティーラインだ。なんと、このセレブな奥さんの尻に浮かび上がるパンティーラインはTバックなのである。

(普通でもTバック履いてるなんて・・・さすが、セレブな奥さんはイカしてるよ・・・)

 そう悶えながらも、萬次郎は水槽を覗き込んでいる京香の尻をジッと見つめながらズボンの股間を揉んだ。

「奥さん・・・熱帯魚の表面に白いプツプツとかが浮き出て来てませんか?・・・」

 萬次郎は水槽をジッと覗き込んでいる京香にそう尋ねながら、こっそりとズボンのファスナーを下ろした。

「いえ・・・今のところは大丈夫です・・・」

 思った通り、京香は心配そうにそのまま水槽を見つめたまま一度も振り返らずにそう答えた。

「よーく見てて下さいね・・・そろそろ反応がでますから、もし白いポツポツが現れたらそれは間違いなく陽性ですから・・・」

 萬次郎は、そう言って京香を水槽に釘付けにさせると、そのまま勃起したペニスをファスナーからピーンと突き出した。

 背後でそんな変態行為が行なわれているなど何も知らない京香は、心配そうに「はい・・・」と返事をしながら、緊迫した表情でジッと水槽を覗き込んでいたのだった。

 グロテスクに勃起した萬次郎の巨大ペニスは、高級感漂うリビングの天井に向けてピクピクと反り立っていた。

 そんな萬次郎のペニスはカサカサに乾いていた。乾燥肌の萬次郎は、季節の変わり目になるとペニスまでもカサカサに乾燥し、酷い時にはセンズリをしただけで乾いた肌がひび割れをしてはチンポの皮に無数の切り傷を作る。

 萬次郎はそんな乾燥ペニスを優しくシゴきながら、もうすぐ潤いを与えてやるから待ってろよ・・・とペニスに語りかけ、期待を込めて唇を歪めたのだった。

 背後で萬次郎がそんな事をしているとも知らず、京香はひたすら緊迫した表情でジッと水槽を覗き込んでいた。水槽を覗き込んでいる京香の尻はソファーに座る萬次郎に向けてプリンと突き出されている。

 萬次郎は京香に気付かれぬよう、京香の尻にできるだけ顔を近づけながらペニスをシコシコとシゴいた。もし、これが京香にバレたのなら、すかさず暗号を唱えればいい・・・。そんな安心感が萬次郎を大胆にさせていたのだった。

 急に大胆になった萬次郎はソファーからソッと腰を下ろし、そのまま床で前屈みになった。息を殺してフローリングの床に頬を押し当てながら、ゆっくりと京香の足首に忍び寄って行く。

(見つかったらどうしよう・・・これ以上はヤバいぞ・・・)

 そんな焦りを感じながらも、萬次郎の脂ぎった顔はフローリングを静かに滑り京香の足下へと進む。

 京香の素足のくるぶしが目の前に迫って来た。そしてそのままゆっくりと顔を上に向けた。

 黒いワンピースの中に、見事な美脚がスラリと伸びていた。そしてその奥にはパンパンにはち切れそうな尻肉が白く輝き、その尻肉の谷間には真っ赤なTバックが埋もれるように食い込んでいた。

(すげぇ!)

 萬次郎が目を爛々と輝かせながら京香のワンピースの中を覗いていると、萬次郎の頭上から「水の色、変わりませんね・・・」という京香の声が聞こえ、京香は、まるでもっと見て欲しいとねだるかのようにキュッと尻を突き出してはゆっくりと股を開いた。

(この奥さん、もしかして覗かれているのを気付いているのか?)

 萬次郎は半信半疑で京香の股間を覗いていたが、しかし、これ以上はさすがにマズいと思い、慌てて元の位置に戻ると、萬次郎は何もなかったかのように平然と「水質は、どうやら大丈夫なようですね・・・」と涼しい顔して答えたのだった。

 水の色が変色しない事に安心した京香は、「このお魚ちゃん達は主人の宝物なの。だから感染してたらどーしようかと思いました」と言いながら萬次郎にクルッと振り向くと、胸の前に手をあてながら「ほっ」とするジェスチャーを見せた。そしてニコッと微笑みを浮かべたまま、またゆっくりと水槽を見つめたのだった。

 そんな京香を素直に可愛いと思いながら、急にムラムラと欲情して来た萬次郎は素早く室内を見回した。

 玄関からリビングへと続く廊下の途中に扉がひとつあった。今までの萬次郎の家宅侵入経験からすると、その扉の向こうはバスルームだ。バスルームイコール脱衣所・・・そこには、このセレブな奥さんの汚れた下着が眠っている可能性は非常に高い・・・。

 セレブな奥さんの性器から滲み出るシミが、いったいどんなものなのか知りたくて堪らなくなった下着フェチの萬次郎は、ブラシが入った青いバケツを手にしながらゆっくりとソファーを立ち上がった。

「一応、念の為に水槽除菌をしておきたいと思いますので、ちょっとお風呂場をお借りしたいのですが・・・」

 水槽を見つめていた京香にそう言うと、京香は「あ、はい」と振り向いた。振り向いた瞬間、京香の黒髪がパラリと乱れた。それは、まるで高価なリンスのCMに出てくる女優達のように美しかった。

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 真っ白なバスルームには、開けっ放しの小窓から降り注ぐ午後の日射しが溢れ、全体的にキラキラと輝いていた。床、壁、バスタブ、シャワー、蛇口と全てが新しく、銀色に輝く蛇口の下の棚には英語がびっしりとプリントされた舶来のシャンプーやリンスが、まるでファンシーショップのように綺麗に陳列されていた。

 そんな清潔感漂うバスルームにしゃがむ萬次郎は、バケツの中にクッピーラムネを5、6個投げ入れると、そこにドボドボと水を溜め始めた。

「準備には、ちょっとお時間が掛かると思いますので、できましたら奥さんは水槽を注意して見ていて欲しいのですが・・・」

 脱衣場からバスルームを覗いていた京香にそう告げる萬次郎は、クッピーラムネの入ったバケツを覗き込んでは携帯で時間を計ったりとしながら、わざとらしい演技を続けた。

「あっ、水槽を見てればいいんですか?」

 京香が慌てて聞き直す。

「はい、もし熱帯魚の動きが鈍くなったり、泳ぎがヨロヨロするようでしたらすぐに教えて下さい」

 萬次郎がそう言うと、京香は「わかりました!」と妙にハリキった返事をし、急いでリビングへと走り去って行ったのだった。

 京香のスリッパの音が遠離って行くと、萬次郎はすかさず蛇口の水を止めた。バスルームから亀のようにヌッと首だけ伸ばし、熟練したコソ泥のようにジロジロと脱衣場を観察する。

 そんな脱衣場は高級な舶来製品の洗濯洗剤の香りに溢れていた。入口のすぐ横に洗面所があり、その奥にはまるで宇宙船のような乾燥機付きの洗濯機がどっしりと置いてあった。

 脱衣場のドアは開けっ放しだった。足音を忍ばせながら脱衣場に立った萬次郎は、脱衣場のドアを閉めようかどうしようかと悩んだが、しかし今更脱衣場のドアを閉めるのは怪しまれるだろうと思い、ドアはそのまま開けっ放しにしておく事にした。

 開けっ放しのドアから廊下を気にしつつ、ソッとバスルームから出ると宇宙船のような洗濯機に近寄る。しかし、その洗濯機は最新型のものらしく、蓋をどーやって開けたらいいのかわからない。下手に触って大きな音を出してもマズイと思った萬次郎は、そのまま洗濯機を見つめたまま立ちすくんでいた。

(くそぅ・・・困ったな・・・)

 下唇を噛みながら悔しがっていた萬次郎の目に、不意に洗濯機と壁の隙間にさりげなく置いてあるクリーム色のカゴが飛び込んできた。

(もしかしたら・・・)

 萬次郎はもう一度廊下に振り返りつつ、その長細いカゴを洗濯機の隙間からズルズルズルっと這いずり出した。

 萬次郎の勘は見事に的中した。そのクリーム色のカゴの底には、湿ったバスタオルや娘の靴下などが転がっていたのだ。

 萬次郎の心臓はとたんに激しく鼓動を打った。ドキドキしながらカゴの中にソッと手を忍ばせる。下着フェチにとってはこの脱衣カゴを物色する瞬間と言うのが何よりも興奮する瞬間なのである。

 萬次郎は、カゴの一番上のバスタオルをパラリと剥ぐってみた。旦那の物らしきグンゼのランニングシャツが丸まっていた。ランニングシャツは、一番上に置いてあったバスタオルの水分をかなり吸収しているらしく、指で摘むとズッシリと重かった。

 そんな湿ったランニングシャツをUFOキャッチャーで運ぶかのように慎重に横にズラすと、その奥にテカテカと黒光りしながら丸まっている衣類を発見した。

(?・・・なんだこれ・・・)

 スッと指で摘み上げると、なんとそれはエナメル素材でできたボンテージ系のTバックだった。

(う、嘘だろ?・・・・)

 紅茶をお紅茶と呼ぶほどの、あの上品でお淑やかな奥さんとこの暴力的なTバックは、どう考えても不釣り合いすぎるのだ。

 驚きながらも萬次郎は、そのゴワゴワとするTバックをパリリっと開いては細いクロッチを広げて見た。

 黒いクロッチに、まるで、枕にシミ付くヨダレのような白いシミがジワっと広がっていた。下着泥棒歴の長い萬次郎には、その白いシミが通常のオリモノではない事ぐらいすぐにわかる。

(これは、明らかに性的分泌物・・・通称、マン汁だ・・・・)

 萬次郎は念の為、更にカゴの奥を漁ってみた。カゴの奥には、黒い網タイツ、チェーン付きのガーターベルトといった怪しげなブツが転がっており、極めつけには穴あきヒョウ柄パンティーという奇抜なモノまで発見してしまい、これはもうソッチ系に間違いないと確信せざるを得なかった。

 そうやって篭の中を漁って行き、一番奥の隅でひっそりと踞っていた白いTバックを発見した萬次郎は、その白くキラキラと輝くTバックに安堵感を浮かべながらそれをソッと摘まみ上げた。それは、高価そうなサテン生地のTバックで、広げたクロッチには健康的な黄色いオリモノがまるでガキ大将の鼻水のようにベッタリとシミ付いていた。

 萬次郎はその白いTバックの黄色いオリモノをクンクンと嗅ぎながら(奥さんは・・・変態だったのか・・・・)と、カゴの中に並べられた奇抜なSM衣装をチロチロと見つめてはそう思った。

 そんな白いTバックのクロッチからは強烈なイカ臭がクワッ!と漂ってきた。萬次郎は水槽を見つめていた時の、奥さんのあのプリプリの尻を思い浮かべながらソレを鼻に押し付け、そして舌先でチロチロと舐めた。

(ヤリたい・・・あんな上品で綺麗な変態奥さんと一発ヤリたい!・・・・)

 萬次郎はズボンから素早くペニスを捻り出し、奥さんの黄色いシミを味わいながらペニスをシコシコとシゴいた。

 続いて、ヒョウ柄の穴あきパンティーを摘まみ上げる。オマンコの部分にポッカリと穴の空いた実に卑猥な下着だ。それを広げて見ると、その穴の部分の周辺には白いシミが所々付いており、明らかにこのパンティーを履いたまま挿入されていたという事実を物語っていた。

(旦那さんと奥さんの結合汁・・・・)

 萬次郎は激しく興奮しながら、穴の周辺に付いているカリカリに乾いた白いシミをチューチューと吸った。それが旦那の精液かも知れないと想像すると、余計、萬次郎の興奮は高まって行く。

 そして萬次郎はその穴の空いた部分にペニスを入れると、ペニスにヒョウ柄のパンティーをぶら下げたまま、なぜか腰を激しく振りながらハワイアンダンスを踊り出した。

 と、その時だった。

 ヒョウ柄パンティーをチンポにぶら下げながらハワイアンダンスを踊っていた萬次郎の背後で、突然、パタッというスリッパの音が聞こえた。

「はっ!」と慌てて振り向く萬次郎。

 そこには、切れ長の目を大きく開いたままのセレブな奥さんが、呆然と立ちすくんでいたのだった。

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 奥さんと目が合ったまま一時停止している萬次郎は、乾いた喉に唾をゴクリと押し込みながら、暗号を言おうかどうしようか迷っていた。

(相手は変態奥さんだ、もしかしたらこのまま催眠術なしでも出来るかも知れない・・・)

 そんな期待を胸にしながら、萬次郎は暗号を言わないまま、奥さんが見ている前で再びハワイアンダンスを開始した。そして激しく腰を振りながらペニスを握る。

 萬次郎の手がヒョウ柄パンティーがぶら下がったペニスをシコシコとシゴき始めると、京香は恐怖で顔を歪めながら「うそ・・・・」っと絶句した。

「奥さん・・・凄くエッチな下着を履いてるんですね・・・ココ、濃厚な味がしますよ・・・」

 萬次郎は京香に見えるようにして、白いTバックのシミ部分をべシャベシャと舐めた。

「いや!・・・やめて!・・・」

 京香は小さな体を震わせながら、ゆっくりと後ずさった。

 そのまま玄関から外へ逃げられてはマズイと思った萬次郎は、「奥さん・・・」と言いながら、すかさず京香の細い手首を掴んだ。

 京香の小さな体がビクン!と飛び跳ねた。萬次郎はそんな京香の手をおもいきり引っ張り、京香を脱衣場の中に引っ張り込むと、その手をビンビンに勃起したペニスに押し付けた。

「僕のチンチン・・・大きいでしょ・・・・」

 萬次郎がそう言いながら京香の小さな手をペニスに擦り付けると、亀頭から溢れ出した我慢汁が京香の白い手の平の中で透明の糸を引いた。

「ダメ!」

 京香は我に返ったかのように激しくその手を引いた。そして、今にも泣き出しそうな声で「警察を呼びますよ!」と、清潔なバスルームにその声を響かせた。

 ここが限界だ。そう思った萬次郎は、京香の小さな体をガシッ!と抱きしめると、京香の上品な白いウナジに自分の脂ぎった顔を押し付けた。

「鼻毛を丸めた共産主義者・・・」

 暗号を囁いた瞬間、萬次郎の太い腕の中で必死にもがいていた京香の身体が、突然ピタリと大人しくなった。

 萬次郎はバラの匂いが漂う京香の小さな耳の中に、ドテッと太った太い舌をゴネゴネと捻り込ませながら、催眠術にかかって無抵抗となった京香の胸を優しく揉んだ。

(うひゃぁ・・・柔らかい乳だなぁ・・・さすがは人妻だ・・・)

 そう思いながら、今度はキスをしてやろうと身体をゆっくりと離し、真正面から京香の顔を覗き込んだ。

 その瞬間、萬次郎の背筋にゾッと冷たいモノが走った。

 なんと、催眠術にかかった京香は、切れ長の目を怪しく輝かせながら唇をニヤッと緩ませていたのだ。

 今までの女達なら、暗号を聞いた瞬間からまるで夢遊病者のようにボーっとしていたはずだ。しかし、この女は違う。妙に目力が強く、薄ら笑いを浮かべたまま挑戦的にジッとこっちを睨み返しているのだ。

 催眠術が効いていないのかと慌てた萬次郎は、京香の目を見つめながらもう一度「鼻毛を丸めた共産主義者!」と暗号を叫んだ。しかし、京香は表情ひとつ変えず、まだ挑戦的な目で萬次郎を睨んだままだ。

 萬次郎はとたんにビビった。この奥さんは狂ってしまったのではないかと怖くなった。

 萬次郎は泣きそうになりながらもう一度「鼻毛を丸めた共産主義者!」と叫ぶ。

 するとその瞬間、京香は彫刻で彫られたかのように美しい唇をニヤリと歪めながら、フっと鼻で笑ったのだった。

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 北向きにある夫婦の寝室は、陽当たりが悪い上にカーテンを閉め切っているせいか、昼間でもどんよりと薄暗く、妙にいやらしい空気に包まれていた。

 黙ったままの京香は、ベッドの枕元に置いてあったスタンドライトをカチッと付けた。薄暗い寝室に温かな電球の灯りがぼんやりと灯り、豪華な羽毛布団が敷かれたダブルベッドが卑猥な雰囲気をより引き立てていた。

 そんなダブルベッドに腰を下ろした京香は、寝室の入口で立ちすくんでいた萬次郎を見つめては、いやらしくニヤッと笑った。

 京香のその笑みを見せられる度、萬次郎の背筋に冷たいモノがゾクっと走った。その笑みに、今までの若い女のコ達にはない何かとてつもない魔力を感じるのだ。

(これが熟女の魅力ってヤツなのか・・・・)

 ロリコンな萬次郎は、かれこれ色々なエロサイトを見て来たが、「熟女」に関するサイトにはまったく無関心だった。あんなゲゲゲのババア達に性的興奮を感じるヤツの気が知れない・・・と、熟女マニアを軽蔑していた程だったのだ。しかし、今、こうして実際にベッドの上でニヤニヤと怪しく微笑んでいる30女を見ていると、そんな熟女マニア達の気持ちがわかるような気がして来た。

(めちゃくちゃ・・・エロいぢゃないか・・・)

 そう思いながら萬次郎がベッドに近付くと、京香は、待ってましたとばかりに黒いワンピースを脱ごうとした。

「あっ、ちょっと待って・・・」

 萬次郎はワンピースを脱ぎ掛かった京香の手を止めさせた。そして、素早くベッドの上に仰向けになって寝転がると、ベッドの端で座ったままの京香に「服を着たまま僕の顔を跨いで下さい」と頼んだのだった。

 そんな萬次郎に静かに視線を向ける京香は、その切れ長の目をいやらしく歪ませながらニヤッと笑うと、肉付きの良い唇から真っ白な前歯を覗かせた。

 京香は怪しく微笑んだまま、グググッとベッドのクッションを軋ませ、仰向けに寝転がる萬次郎の頭上に立った。そして、自分の足下に寝転がる萬次郎の顔を見下ろし、「んふっ」と声を出して微笑んだのだった。

 萬次郎の目の前には、ムチムチの尻肉にキュッと食い込む赤いTバックがチラついていた。それは、つい先程リビングで京香のスカートの中を覗いた時と同じ光景だ。ただ、さっきと違うのは、そのTバックの中心がじんわりと滲んでいる事だけだった。

「奥さん・・・アソコが濡れてますよ・・・」

 スカートの中を覗き込む萬次郎がハァハァと息を荒くしながらそう呟くと、京香は薄ら笑いを浮かべたまま「エッチ・・・」と呟き、そして焦らすようにスカートの中の股をキュッと閉じたのだった。

 寝室の真ん中に堂々と置いてあるダブルベッドは、30代夫婦の性行為を物語かのように実にいやらしいオーラを醸し出していた。過去に、このベッドの上で奥さんはいったいどれだけ変態行為を繰り返して来たのだろうか。そう考えると、奥さんのワンピースの中を覗く萬次郎は、勃起したペニスをシゴかずにはいられなかった。

「パンツ・・・脱いで下さい・・・」

 ペニスをシコシコとシゴきながら萬次郎が呟く。

 京香はニヤニヤしながらゆっくりとワンピースをたくし上げると、慣れた手つきでTバックの端に親指を引っ掛けた。そしてそのまま、そのスラリと伸びた細い脚にスルスルスルっとTバックを下ろす。

 クルクルに丸まったTバックを、ひょいっと上げた足首からスポッと抜き取ると、そのまま素早くワンピースもスルンと脱ぎ捨て、瞬く間に全裸となった。

 抜群なスタイルだった。スレンダーな身体でタプタプと揺れている釣り鐘型のオッパイは、エッチなセレブ妻に相応しい、実に美しい色形をしていた。

「あなた・・・変態なんでしょ?・・・」

 京香は萬次郎にそう言うと、ツン!と尖った乳首のオッパイの谷間から怪しく目を光らせながら、萬次郎をジッと見下ろし微笑んだ。

 そんな萬次郎の目の前には、モサモサの陰毛に囲われた1本のドス黒いワレメが、京香と同じようにニヤリと微笑んでいる。

「は、はい・・・変態です・・・」

 萬次郎はハァハァと荒い息を吐きながらそう答え、羽毛布団をカサカサと音立てながらペニスをシゴいた。

「じゃあ、ココ、舐めて・・・犬みたいに・・・」

 京香はそう呟きながら、萬次郎の顔の上にゆっくりと腰を下ろした。

 萬次郎の目の前に、ドス黒いワレメがネチャッと口を開きながら迫って来た。

 萬次郎の顔面にウンコ座りの姿勢でしゃがむ京香は、大きく股を開きながら「昨日の晩から洗っていないわよ・・・」と怪しく微笑んだ。

 そんな京香のアソコからは、ムワっとするアンモニアの匂いが漂って来た。かなり使い込んでいると思われる京香のオマンコは、「外はカリッと中はトロッと」のたこ焼きのように「外身は黒く中身は真っ赤」だった。そんな赤く充血した穴はグニャッと変形し、穴の両サイドでダラリンとぶら下がっている分厚いビラビラはまさにローストビーフそのものだ。こんなに醜いオマンコを見たのは、社員旅行で東北の寂れた温泉に行った時に、そこで見せられた老婆のストリッパーのアソコ以来だった。

 しかし、京香のそこから漂って来るオーラは、明らかに温泉街の老婆ストリッパーとは違っていた。たとえオマンコの姿形は寂れた温泉街の老婆のストリッパーと同じでも、やはり、それを持っている人物がセレブな人妻となると、それは全然別物に見えて来るものなのだ。

 萬次郎は、そんなグロテスクな穴を素直に美しいと思った。

 恐る恐る舌を伸ばし、舌の先がソコに触れるとソコはネチャッと生温かく糸を引き、まるで、掏りおろしたオクラが塗り込められているようだった。

「もっと激しく・・・クリトリスを舐めて・・・」

 催眠術にかかっている京香は、今までのセレブ奥さんからは想像できないような言葉を発しながら悶え、萬次郎の顔面に向けて腰をユサユサと振り出した。萬次郎の鼻にネチャネチャのオマンコが擦り付けられ、萬次郎の顔面にはいやらしい女臭が漂う。

 萬次郎は命令されるままに舌をおもいきり突き出し、京香のコリッと固くなっているクリトリスから、ブチョブチョに愛液が溢れ出しているワレメまで舐めまくった。そして京香のしゃがんでいる細い脚を両手で固定すると、ザラザラの陰毛から肛門までも舐め始め、遂に京香は「あぁぁん・・・」という悩ましい声を出し始めたのだった。

 それからしばらくの間、それを延々と続けさせられた。少しでも舌を休めようものなら、京香はオマンコを萬次郎の顔にグググッと押し付けてはねだり、その度に萬次郎は窒息しそうになっていた。

 そのうち、京香の腰の動きが激しくなって来た。顔面で激しく腰を振られる萬次郎は、まさしく顔面ロディオボーイ状態だ。

「入れて!・・・穴の中に舌を入れて!」

 そう叫ぶ京香を股の下から見上げながら、萬次郎はギュッと舌を固めておもいきり突き出した。

 萬次郎の口から突き出た突起舌は、そのままツルンっと京香の穴の中に滑り込む。萬次郎の舌を、酸味の強い刺激が包み込んだ。

「あっあっあっあっあっ・・・・」

 膣筋をキュッと締めては萬次郎の舌をガッツリと銜え込む京香は、コキコキと腰を振ってはピストンを続けた。そしてその状態で、プックリと突き出したクリトリスを細い指先でコリコリと刺激し始めた。

 必死に舌を突き出してい萬次郎の目の前で、上品なネイルが施された京香の細い指がクリトリスを悩ましく転がしている。

(スゲェ・・・こんな変態プレイ初めてだ・・・)

 そう感激していると、いきなり京香の穴から「シュッ!」という、まるでヘビが威嚇しているような音が聞こえた。そしてその音と同時に京香の穴から液体が噴き出し、それが萬次郎の目を直撃したのだった。

 強制顔面騎乗がやっと終わった。絶頂に達した京香は小さな肩をハァハァと激しく動かしながらベッドに横たわっている。

 女性から顔射されるというか目薬をされた、そんな貴重な体験をした萬次郎はベッドに横たわる京香を満足げに眺めていた。

(さすがは熟女だ・・・恥ずかしがりやな少女達にはできない、この大胆なプレイ・・・凄いぞ熟女!・・・)

 そう感激しながら、うつ伏せになっている京香の肉付きの良い尻をペタペタと触っていた萬次郎は、ロリ専から熟専への転向を真剣に考えていた。

 萬次郎はプヨプヨの尻肉をグニョグニョと揉み解し、そしてそのままその手を京香の胸へと移動させた。

 そんな萬次郎の手を受け入れるかのように、ベッドにベタリとうつ伏せになっていた体を少し持ち上げた京香は、横目で萬次郎を見つめながら「うふっ」とまた微笑んだ。

 京香のその柔らかい胸は、まるでクラゲのようだと萬次郎は思った。いや、クラゲを触った事はないが、恐らくクラゲを揉んだらこんな感じなんだろうなぁとふと思ったのだ。

 その柔らかさは、少女が持つピチピチ感とは違った、何とも言えない蕩けるような感触だ。そんな柔らかな京香の身体をいつまでも揉んでいたいと思う萬次郎は、素直に京香の夫が羨ましいと思った。

「いつも、旦那さんとはこんなエッチな事をしてるんですか?」

 萬次郎は京香にそう尋ねながらムニョムニョの乳肉の先にある赤黒い乳首をコリコリっと摘んだ。

 萬次郎に質問された京香は、意味ありげに「ふふふっ」と笑うと、萬次郎をジッと見つめながら「そうよ・・・」と静かに呟いた。そして、京香の横であぐらをかいでいた萬次郎の股間にソッと手を伸ばしながら、「ああいうの・・・嫌い?・・・」と微笑むと、ガチンガチンに勃起している萬次郎のペニスに品やかな指を絡ませて来たのだった。

 ペニスに絡み付く京香の5本の指は、まるでタコの足のように器用に蠢いていた。優しく上下にシゴきながらも、我慢汁が溢れる尿道を人差し指でクチュクチュと摩擦し、そして亀頭のカリ首の裏までも指腹でスリスリと擦ってくれた。

(この奥さんは・・・催眠術にかかっていなくても、いつもこんなにスケベなのだろうか・・・それともこんなにスケベなのは、やはり催眠術の効果なのか?・・・・)

 そんな疑問を持った萬次郎は、こんなスケベな奥さんなら、催眠術をかけなくとも簡単にヤらせてくれそうな気がした。

 京香の指に弄ばれていた萬次郎は、5本の指に弄られるペニスをグッと突き出しながら、「・・・奥さん・・・もう我慢できません・・・」と、苦しそうに唸った。

 すると京香は怪しい笑みを浮かべたまま、ゆっくりと体の向きを変えた。そしてベッドの上を静かに歩伏前進しながら萬次郎の股間へと近付いて来た。

「入れたい?・・・」

 京香はそう呟きながら、ビーンと反り立つペニスに頬擦りした。

「入れたいです・・・もう出ちゃいそうです・・・」

 萬次郎は股間で熱い吐息を漏らしている京香を見下ろしながらそう答え、京香のムチムチの尻肉の谷間に指を滑り込ませた。京香の尻肉の奥からは、ネトネトの熱い汁が太ももにまで溢れていた。

「まだダメよ・・・今からじゃない・・・」

 京香はそう微笑むなり、美しい形をした唇から小さな舌をチロッと出すと、尿道から溢れる我慢汁をペロッと掬い取った。

 ズキン!という衝撃を亀頭に感じた萬次郎は、俯せで寝転んでいる京香の尻の奥に更に指を伸ばす。そこにあるネトネトと糸を引くワレメは、だらしなく口を開きっぱなしで、いとも簡単に萬次郎の芋虫のような太い指を向かい入れた。

「ふぅん・・・ふぅん・・・」と鼻を鳴らしながら亀頭をレロレロと舐め、萬次郎の指がもっと奥に入るようにと、俯せになっている腰をキュッと突き上げる京香。そして萬次郎の4本の指がグニグニとワレメの中に挿入されると同時に、京香は大きな口を開けては萬次郎の肉棒をパクリと銜え込んだのだった。

 催眠術にかかった変態熟女のそのフェラは、想像を絶する気持ち良さだった。若い娘によくありがちな、ただジュポジュポと激しくしゃぶればいいというやっつけ仕事なフェラとは違い、それは、『ねっとり』という言葉がよく似合う、実に悩ましいスローフェラだった。

 寝室の窓に、午後の日射しが照りつけていた。ほんの少しだけ開いているカーテンの隙間から光がそそぎ込み、それはまるでオーロラのような光を作り上げていた。

 薄暗い寝室でキラキラと輝く、そんなオーロラを見つめながら萬次郎は京香の舌技に悶えていた。

 京香は、喉の奥までペニスを呑み込むと、それをジュルルルルルっと音を立てながら引き抜き、そしてまたプチュプチュプチュ・・・っと喉の奥にまでペニスを飲み込む。それを何度も何度も繰り返しては、時折、ダラリンと垂れ下がる金玉を爪の先でカリカリとくすぐった。

(こんな濃厚なフェラは初めてだ・・・・)

 萬次郎がイキそうなのを必死で堪えながら悶えていると、不意に寝室のドアが少しだけ揺れたような感じがして、萬次郎は慌ててドアに振り返った。

「いいから・・・そのまま・・・」

 そこに立っていた男は、萬次郎と目が合うなりそう呟きながら部屋に入って来た。そしてそのままゆっくりとベッドに近付いて来ると、寝転がっている京香の足下にスッとしゃがみこみ、ベッドの上の萬次郎を見上げては「こんにちは」と微笑んだのだった。

-21-

「あの・・・・えっと・・・・・」

 突然、部屋に忍び込んできた男を前にして、呆然とした萬次郎が絶句していると、男は萬次郎の目を穏やかに見つめながら京香のムチムチの尻を優しく擦り、そして「初めまして。京香の旦那です」とポツリと呟いた。

「・・・・・・・」

 萬次郎はフリーズを起こしたPCのように、それまでハァハァしていた呼吸までも止めながら愕然とした。

「いや、気にしないで下さい。これは私も公認の事ですから・・・」

 旦那は余裕の笑みを浮かべながらそう呟くと、「あなたも、鼻毛を丸めた共産主義者さんでしょ?」と萬次郎に聞いた。

「・・・はい・・・まぁ・・・その・・・・勝手にすみません・・・」

 萬次郎は京香にジュブジュブとしゃぶられながら小さく詫びた。

「いやいや、謝らなくてもいいんですよ。むしろ私たちには有り難い事ですから」

 広げた手の平を顔の前で振りながらそう笑う旦那は、妙に落ち着いている。

「でも・・・」

 旦那を目の前にして、さすがの萬次郎もモジモジと俯いてしまった。

「いいんですよ。私は妻が他人に感じさせられているのを見るのが好きなんです。ですから、どうぞ御遠慮なさらずに・・・」

 旦那はそう言いながら、俯せで両膝を立てていた京香の股間を覗き込んだ。

「ほぉ・・・今日はまた一段と感じてますねぇ・・・膣がヒクヒクと痙攣していますよ」

 旦那は、嬉しそうにそう呟きながら再び萬次郎に目を戻すと、「そろそろ、食べ頃かと思いますが?」と、怪しげにニンマリと微笑んだのであった。

 夫婦のダブルベッドの真ん中に、ハァハァと息を荒くさせた京香が、まるで生け贄のように大きく股を開いて寝転がされた。

 ベッドの下にしゃがんでは目を爛々と輝かせている旦那は、股を開いた京香の前にビーンと反り立つ萬次郎の巨大ペニスを見ては「これは凄い・・・」と声を漏らした。

「・・・本当に入れちゃってもいいんですか?・・・・・」

 萬次郎は戸惑いながら旦那をソッと見る。

「入れちゃってもいいです。是非とも、その逞しい肉棒で妻を狂わせてやって下さい」

 旦那は、大きく開いた目に狂気的な光を輝かせながら興奮している。

 旦那が見ている前で妻とヤル。そんなシチュエーションは嫌いではなかったが、しかし、さすがの萬次郎も、こうマジマジと目の前で見られていると非常にヤりにくい。

 しかし、ベッドに横たわる京香は美しすぎた。あれほどお淑やかで上品だった奥さんが、催眠術をかけられているとは言えど、卑猥に大きく開いた両足を自分で抱えながら、早く入れてとばかりに濡れたオマンコをヒクヒクさせているのだ。しかも旦那が見ている目の前で。

 すると、不意に萬次郎の亀頭の先から我慢汁がニトーっと垂れた。その瞬間、もう我慢できない!と、そう思った萬次郎は、旦那の視線を気にしながらも、股を開く京香の体にむしゃぶりついたのだった。

 京香の体は全体的に柔らかかった。それは、ぴちぴちの肌というよりムニュムニュの肌、といった感じだった。

 極上に柔らかい乳に顔を埋め、その中心で固くなっている乳首を乱暴に舐めた。乳首を舐めながら、その上質な肌を味わうかのように京香の身体中を弄っていると、不意に旦那の手と触れた。

「綺麗な肌、してるでしょ・・・」

 旦那は嬉しそうにそう笑いながら自分の妻の太ももをムニムニと揉み、そしてそのまま奥に手を伸ばすと、いきなり萬次郎のペニスを握った。

「しかし・・・半端じゃなく大きいねぇ・・・こんなのを入れられたら妻は本当に狂ってしまうだろうねぇ・・・」

 旦那はニヤニヤと笑いながら萬次郎のペニスを優しくシゴいた。

「いや・・・はははは・・・・」

 萬次郎がそう照れ笑いをしていると、旦那は萬次郎のペニスを握ったまま狂気的な目を輝かせると、妻のワレメに萬次郎のペニスの先をグニグニと押し付けた。

「ほら・・・どうだい京香・・・この大きなチンポが欲しいかい・・・・」

 旦那は、萬次郎のペニスをまるでバイブのように扱いながら、妻に向かって囁きかける。

「あぁぁぁん・・・入れてぇ・・・奥まで入れてぇ・・・・」

 朦朧と喘ぐ京香は、自分の手で両足を大きく抱えながら、マングリ返しのようなポーズでオマンコをパックリと開いた。催眠術のせいか京香は自分の夫さえもわからないようだ。

「よし・・・今、入れてやるからな・・・・」

 旦那はそう呟くと、握っていた萬次郎のペニスをグッと引っぱり、穴の中にヌメヌメと押し込んだ。

「あっ!・・・あぁぁぁぁん!」

 京香の声が薄暗い寝室に響き渡った。

 我慢できなくなった萬次郎が、ペニスを握っていた旦那の手を押し潰すかのようにグイッ!と腰を突き出す。旦那の手から解放された萬次郎のペニスは、まるで龍が天に昇が如く勢い良く突進し、グググググっと京香を串刺しにしたのだった。

「ああああああああああああ!」

 細い腰をエビ反りにさせながらペニスを受け入れる京香は、今までにない絶叫を寝室に響かせた。

 それと同時に、なぜか旦那も「おおおおおおおおおおお!」と低い悲鳴を上げる。

 京香の穴は見た目はグロいが、しかし中身は素晴らしいシマリ具合だった。ヌルヌルに濡れた膣壁が萬次郎のペニスをズッポリと包み込み、尚かつ、グニュグニュと絡み付いて来た。

(す、凄く、気持ちいい!)

 瞬間に脳味噌が溶けて行くような衝動を受けた萬次郎は、無我夢中で京香の柔らかい体を貪り、ズン!ズン!と深くペニスを突き刺した。

 ペニスが子宮をノックする度に「あん!あん!あん!」と激しく喘ぐ京香は、テラテラに輝かせた唇を萬次郎の唇に押し付けて来た。まるでところてんを啜った時のような柔らかい感触が萬次郎の口内に広がり、京香の生温かい舌は、萬次郎の分厚い舌に絡み付いてはプチャプチャといやらしい音を響かせた。

 そんな、人妻の濃厚なテクニックに酔いしれながらも、ふと隣を見ると、今までベッドの枕元にしゃがんでいた旦那の姿がない。萬次郎が、あれっ?と思った瞬間、萬次郎の尻になにやらモサモサとした感触が走った。

 見ると、旦那が萬次郎と京香の結合部分を覗き込んでいた。腰を動かす度に旦那の髪の毛が萬次郎の尻に当たる。そのくらい、旦那は結合部分に急接近していた。

 そして、しばらくすると、今度は萬次郎の金玉辺りになんとも言えないくすぐったさが走った。

「ウヒャ!」と萬次郎がケツを萎めながら旦那を見ると、なんと旦那は結合部分をチロチロと舐め、ついでに萬次郎の金玉や肛門まで舐めていたのだ。

(このおっさん、催眠術にかかってないのに、とんでもない変態だ!)

 萬次郎は、そう思いながら、結合部分から溢れる汁をジュルジュルと啜る旦那を見下ろした。

 すると、とたんに旦那と目が合った。

「中に出してもいいですよ・・・催眠術がかかっている時は妊娠しませんから・・・」

 そうニヤリと笑う旦那を見た瞬間、萬次郎はクラクラと目眩がするほど興奮した。

 おら!おら!おら!おら!っと萬次郎は激しく腰を振る。

 もはや悲鳴に近い叫び声をあげる京香は、萬次郎の腕にガッシリと抱かれながら、浜に打ち上げられたハマチのように小さな体をビシバシと跳ね上がらせていた。

「いくぅ!いくぅ!いっちゃう!」

 京香がそう絶叫しながら、くの字に曲げていた両足をピーンと高く突き上げると、萬次郎にもスイッチが入った。

「うっ!」と息を止めながら、ラストスパートとばかりにズボズボと巨大ペニスを激しくピストンさせると、萬次郎の尿道になんともいえない快楽がニュルニュルニュルっと走った。

「あぁぁ!」

 萬次郎は顔を顰めながら京香の柔らかな体にしがみついた。そして「くふぅ!」と鼻から息を噴き出し、京香の極上に柔らかいオッパイに顔を埋めた。

「イッたの?ん?中出ししちゃったの?ん?ん?」

 この最高の瞬間に、旦那は萬次郎の耳元でしつこくそう囁く。

(くそっ・・・黙ってろよ変態ジジイ・・・あぁぁぁ・・・・)

 射精時に邪魔をされるほど嫌なモノはない。

 そんな、五月蝿い旦那を必死に無視しながらも、萬次郎は、京香のオマンコの中に一滴残らず精液を吐き出した。

 そんな萬次郎が、余韻を味わうかのようにゆっくりと腰を振っていると、京香の壷から溢れ出した精液がプチョプチョといやらしい音を立てていた。そして、互いの荒い息が沈静化して来たと同時に、萬次郎は静かに腰の動きを止め、京香の壷の中からゆっくりとペニスを引き抜いた。

 ヌポッとペニスが抜かれたオマンコは、しばらくの間パックリと口を開いたままだったが、しかし、京香がフゥ・・・と溜息をついた瞬間、ダムが崩壊したかのように大量の精液が溢れ出した。

 その瞬間、傍でジッと見ていた旦那が、いきなり京香のオマンコにしゃぶり付いた。旦那は京香の股を大きく開き、オマンコにぴったりと唇を押し付けては、溢れ出て来る萬次郎の精液をズルズルと啜った。

 そんな光景を、目を丸くして見ていた萬次郎は、ふと、旦那のズボンのチャックからポロリンと突き出しているモノを発見した。それは、紛れもなく勃起した旦那のペニスだったが、しかしそれは、実に品粗な短小で、まるで『柿の種』のようだった。

-22-

 京香の催眠術が解ける前にと、萬次郎と旦那は、ベッドでぐったりと眠っている京香を残したまま急いで家を出た。忍び込んだ家から、こうやって旦那と一緒に逃げ出すのはなんとも不思議な気分だった。

 家を出ると、2人は取りあえず駅に向かって歩き出した。旦那が、これから会社へ戻らなければならない、と言ったからだ。

 閑静な住宅街に、カツコツと響く2人の足音。

 萬次郎は、旦那の横顔をソッと見て、その表情が穏やかなのを確認すると、恐る恐る質問してみた。

「どうして僕が・・・その・・・鼻毛を丸めた共産主義者だって事がわかったんですか?・・・」

 萬次郎がそう尋ねると、旦那は一瞬、ふっ、と笑った。

 そして、「妻の所には、あなたみたいな人がよく来ますからね・・・・」と呟くと、笑顔を残したまま急に口を閉ざした。

 そのまま2人は黙ったままバス停を通り過ぎる。萬次郎はこのままバスに乗りたかったが、しかし、この男なら、あの不思議な黒い手帳の秘密を知っているかも知れないと思い、そのまま駅まで同行する事にした。

 緩い坂道を下ると、そこには緑色のネットが張り巡らされた小学校のグラウンドが広がっていた。グラウンドには、はしゃぎまわる子供達の声とサッカーボールが蹴られる「ボン!」という音が響き、グラウンドの向こう側には、先程マジックを買った文房具店が小さく見えた。

「ちょっと、休みましょうか・・・」

 旦那は、グラウンドの外に備え付けられている簡易的なベンチに腰を下ろした。そして腰を下ろすなり「いかがですか?」と内ポケットからタバコを取り出した。

 萬次郎が「いえ・・・」と断りながら、恐る恐る旦那の隣に腰掛けると、旦那はタバコを静かに口に銜えながら、「どうでした、私の妻は・・・」とポツリと呟いた。

「はぁ・・・まぁ・・・それは・・・素晴らしかったです・・・」

 言いにくそうに萬次郎がそう答えると、旦那は「それは良かった・・・」と、満足げに頷きながら煙草に火を付けた。

 旦那がタバコの煙を深く吸い込むと、萬次郎は重い口を開いた。

「あのぅ・・・ひとつお聞きしたいのですが・・・」

「・・・なんでしょう・・・」

 旦那は、タバコの煙を吐きながら、すぐにそう答えた。

「この、鼻毛を丸めた共産主義者って暗号は・・・いったい、なんですか?」

 萬次郎がそう聞くと、旦那はキョトンっとした顔をして萬次郎に振り向いた。

 そして、ジッと萬次郎の目を見つめたまま、「それは、こっちが聞きたい」と、驚くようにそう言った。

「じゃあ、旦那さんはこの暗号の意味と言うか、秘密と言うか、謎は、なにも知らないんですか?」

 萬次郎がそう聞くと、旦那は眉をしかめながらタバコを一服吸い、「なんにも知りません」と首を振りながら答えた。そして、すぐさまフーッと煙を吐くと、「あなたはどこでその暗号を知ったんですか?」と、怪しむように萬次郎の目を見つめる。

 ふいに萬次郎の頭に、黒い手帳の事は話さない方がいい、と過った。

 萬次郎が言葉に詰まっていると、旦那は「岡田さんから聞いたんですか?」と萬次郎の顔を覗き込んだ。

「岡田?・・・」

 萬次郎はそう首を傾げながらも、その岡田という男が黒い手帳の秘密を知っているのだろうかと考える。

「じゃあ竹原さん?それとも木暮さん?いや、松岡君かな?」

 旦那の口から色んな名前が飛び出して来た。萬次郎は、そんな名前を聞きながら、それら全員が暗号を唱え、あの上品な奥さんと変態セックスをしたのかと想像すると、再び下半身が熱くなって来た。

 そんな名前が30人ほど告げられた頃、萬次郎は「実は名前は知らないんです・・・」と答え、旦那の口から溢れるセックスリストをストップさせた。

 旦那は「そうですかぁ・・・」と残念そうに呟いた後、再びゆっくりと萬次郎の顔を見つめ、「どうして『鼻毛を丸めた共産主義者』という言葉を妻に言うと、妻はおかしくなってしまうのでしょう・・・」と、眉を顰めながら尋ねた。

 萬次郎は、それはこっちが聞きたいくらいだ・・・と、思いながら「それはいつからですか?」と話題を変えてみた。

 旦那は「あれは確か・・・」と言いながら空を仰ぐ。

 小学校のグラウンドに授業を告げるチャイムがなり響いた。いつしかサッカーをしていた子供達は消えていた。

 旦那の証言をかいつまんで話すとこうだった。

 去年の冬、旦那が会社から帰ると、妻がベッドの上で裸になったままボンヤリとしていた。

 瞬間に誰かにレイプされたと思った旦那は、慌てて警察に通報したが、しかし、被害者本人である妻がハッキリ覚えていない、と、証言が曖昧だったため事件は立件されなかった。しかし、旦那は実際に妻の膣から溢れる他人の精液を見ているのである。

 そんな旦那は、これは単なる妻の浮気だと思い始めた。そして、妻に内緒で盗撮カメラを寝室に設置していたのだが、しかしある時、そこに録画されていた盗撮ビデオを見た旦那は、そこに映し出されているあまりにも不可解な状況に驚いた。

 盗撮ビデオに映っていた男達は、いつも違う人物だった。そして、男達は皆、決まって『鼻毛を丸めた共産主義者』という意味不明な言葉を最初に妻に投げ掛けていた。妻はその言葉を聞かされるなり、まるで魔物に取り憑かれたかのように変身し、自らの意思で男達の股間に舌を這わせていたのだった。

 旦那はある時、そんな妻を追及しようと、夕餉の後のリビングで、妻に『鼻毛を丸めた共産主義者』の秘密を問い質した。すると、驚いた事に、妻はその言葉を聞くなりいきなり旦那の服を脱がせ始めたのである。リビングでは幼稚園になる子供がテレビを見ていた。旦那は慌てて妻を制止させるが、しかし妻は、狂ったような輝きを目に宿しながら、今度は自分が全裸となり、そして子供が見ている目の前で、ソファーに横たわりながらオナニーを始めたのだった。

 そんな妻の奇怪な行動は、2時間もすると、まるで取り憑いていた魔物がフッと取れたように正気に戻った。正気に戻った妻は、まったく何も覚えていない。

 そんな妻を見ていた旦那は、すぐに(これは催眠術だ)と気付いた。誰かが妻に催眠術を掛け、その暗号が秘密のサークルで取引されては、色々な男達が妻を犯しにやってくるんだと、旦那は、まるで三流の官能小説のような事を想像した。

 そんな旦那は素直に興奮した。そう、この旦那は、元々『寝取られ願望』のある変態だったのだ。

 それからというもの、旦那は『鼻毛を丸めた共産主義者』の男達が来るのを待ちわびた。そんな旦那に、最初は嫌がっていた妻だったが、しかし催眠術が解けた後のなんともいえない快感に人知れず酔いしれていた妻は、催眠術がかかってさえいれば浮気と言う罪の意識に捕われる事はない事から、そんな旦那の性癖をいつしか受け入れるようになったのだった。

 それからは、催眠術に掛かった妻と催眠術をかけた男、そしてそこに寝取られ願望の旦那が加わっては、変態乱交プレイという形に変わったのだった。

 旦那は、そんな話しを、嬉しそうにニヤニヤしながらゆっくりと語った。

 そんな旦那を見ながら、ふと萬次郎は、それなら何も催眠術なんかなくても普通に単独さんを募集して3Pすればいいのに・・・と思い、それを旦那に問い質してみた。

「いやぁ、やっぱり催眠術がかかってるのとシラフとでは違いますよ。あなたも御存知のように、催眠術がかかった妻と言うのはとても変態で、貪欲なセックスをするでしょ?あんなセックスはシラフの妻ではとてもできませんからね・・・」

 旦那は、この催眠術がまるで媚薬でもあるかのように説明しながら、嬉しそうに笑った。

 そんな旦那の話しを聞いていた萬次郎は、確かに、今回の自宅侵入はあまりにも簡単すぎたと今更ながらそう思った。それに、水槽を見つめていた奥さんのスカートの中を覗いた時も、今になって思えば変だ。あれほど堂々とスカートの中を覗かれていたのなら、普通なら気付いて当然なのだが、しかしあの時の奥さんは、わざとらしく尻を突き出しては股を開いたりしていた・・・・。

 萬次郎はそう思いながら、すかさず旦那に聞いた。

「今回、奥さんは最初から僕がニセモノだったって事を気付いていたんですか?」

 旦那はクスッと笑った。

「もちろんです。あなたが『アクア・フィッシュランド』という名前で電話して来た時から妻は感づいていましたよ。だって、『アクア・フィッシュランド』ってのは、私が経営している店ですもん・・・」

 旦那は堪え切れずにぷっと噴き出した。

 そして散々笑った挙げ句、また言葉を続けた。

「あなたから電話があった後にね、すぐに妻は私の携帯に電話を掛けて来たんですよ。だから私は急いで準備をして家に帰ったんです。そしたら、あなたはウチの風呂場で妻の下着をチンコに挿んで変な踊りを踊っているじゃないですか・・・ふふふふふ。私はね、風呂場のそんなあなたをこっそりと覗きながら、廊下で妻にペニスをしゃぶらせていたんです・・・」

 なんという悪趣味!・・・・

 萬次郎は、自分の『アクア・フィッシュランド』の失態を揉み消そうと、旦那のその変態趣味を密かに軽蔑してやった。

 そんな旦那はニヤニヤと微笑みながら、「あなたのおかげで、随分と楽しませて貰いましたよ」と、微笑みながらベンチからゆっくりと立ち上がった。そして、うぅぅぅん・・・と大きな背伸びをすると、萬次郎に顔を向けながらを、「それでは私はこれから会社に戻りますので・・・」とゆっくりと歩き始めた。

「あっ、あのぅ!」

 萬次郎が旦那を呼び止めた。萬次郎はまだ黒い手帳の秘密については何も聞いていないのだ。

 すると旦那は足を止めてゆっくりと振り返った。そして萬次郎が何か言おうとする前に一言ポツリとこう言った。

「暗号はお一人様一度限りです。それがルールです。ですから、二度と妻の前に姿を現せないで下さいね・・・もし、再び現れたら、警察に言いますよ・・・」

 旦那は笑顔のままそう呟くと、それではごきげんよう、と言葉を残し去って行ったのだった。

< 続く >

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