第一話:その世界に生きる僕
皆さんご機嫌よう~!!
僕はこの物語の主人公である辰巳裕也(たつみ・ゆうや)だ。
歳は15歳で今年の春で高校生になる予定だ。
しかし、ある日、異変に気付いた。
中学校の卒業前で今では次の登校日まで自宅待機で家でテレビを見ながら過ごしているんだが、ニュース番組を見て驚いたのだ。
画面に映っているのは確かにいつも笑顔が絶えない女性キャスターの加藤あやさんだ。
(あれ? 昨日は確かにちゃんと服を着ていたのに!?)
そう。
昨日の朝のニュースでは確かにちゃんとした服装でニュースを届けていた。
しかし、今朝の番組では服はおろか、下着も着ていないのだ。
それでも本人は気付くことなく周囲も全くこの光景を気にせず、ニュースの情報が次から次へと流れていく。
「ユウヤ……。入るわよ?」
「えっ……。あっ、うん!?」
こんなヘンなニュース番組を見ている所を母さんに見られたらマズいと思って僕は急いでテレビを消した。
だが、母さんの姿を見て、また僕は驚愕してしまうのである。
「ちょっと……。お母さん、何で裸なの!?」
「そっちこそ、何で服着ているのよ? 全裸でいること、常識でしょ?」
「はっ……!? 何がどうなって!?」
自分でも訳が分からない。
真相を確かめるべく僕は再びテレビのスイッチを入れてみた。
そのチャンネルでは朝の音楽番組が届けられてるんだが……。
「いや~!! それにしても思春期の皆さんの全裸姿がこうしてステージで見られるなんてたまりませんね!!」
「こちらこそありがとうございます!! 世の中の女性は男性に全てを尽くす事こそが、一生涯の生きがいとなりますので……」
ちょっと待て!!
リーダーさんよ、何どうどうと全裸でいる事を誇りに思ってんのよ!?
しかも、歌を歌ってるときなんかもうあんな所やこんな所まで丸見えで……。
男性のMCの方は服は着ているけど、しかしなぜ、女性だけ服を着ていないんだ!?
どこのチャンネルを回しても、女性の人は全て全裸である。
挙句の果てにあの〇HKの朝ドラの女優さんでもその通り全裸姿だ。
(う~~ん、まさかあの夢って!?)
僕はここで思い出してみた。
そういや夢の中で誰かに話しかけられた気がするんだ。
彼はこう言っていた。
「これからこの世界は裕也……、お前の思うがままだ。オレと出会った事に感謝するんだな!!
さぁ、自由にその欲望を叶えるがいい!!」
そういえばヤツの名は地獄の底に昔堕ちていった悪魔だと言っていた。
そして僕はそいつと夢の中で会い、夢だからいいかと思ってノートの一部に、『女性は全裸で過ごすことが当たり前の日常となり、それを誇りに思って生活する事!!』と書いたんだっけ?
しかもそれだけだとマズいので、『周囲の人間は女性が全裸でいる事に何も疑問に思わず、通常通り生活する』と……。
まさかな……。
僕はそのノートを確認してみた。
(マ……、マジかよ……!!)
その通り、ノートに書いた内容が実際に現実となって表れているのだ。
これは、悪魔が常識を変えたと言っても良いだろう……。
きっと僕に、何か不思議な力を与えてくれたに違いない。
この時、僕はそう感じた……!!
「ユウヤ……。オレはお前にこの世の全てを自由に操る権利を与えた……!! こうする事でオレの魔力はさらに引き出されるのでな!!
だから、お前が昨夜書いたノートの内容が、現実となった訳だ」
どうやら悪魔の声は、僕にしか聞こえないみたいだ。
僕が悪魔としゃべっていた次の瞬間、母さんから怒りの声が飛び交い……。
「ちょっと裕也……。さっきから誰と話してるの? 朝ごはん、出来たから冷めないうちに食べるのよ?」
そう言ってバタンと扉を閉めて下へと降りて行ったのである。
今朝は、この力がもし、本当なら僕は……、僕は最強になれると思ったそんな朝であった。
< 続く >