第五話
狭い室内はカビのような匂いが充満している。
乱雑に並べられた書籍には埃が山のように積もっており、最後に利用されたのがいつなのか予想もつかない。辰巳とて勤めて二ヶ月ほどにもなるが、社会科資料室に入ったのは初めてだ。
「それで、話って何ですか?」
日頃の行いからして良い話でないことはわかっているはずだが、長机を挟み向かい合っている雫に緊張した様子はない。
一方で、辰巳の隣に座る沙織は雫の問いかけを無視するように黙っている。
沙織には終業のホームルーム後に雫を連れ出す役目を与えていたが、あとは全て辰巳に任せるよう指示していた。
「なんで呼び出されたかわかるか」
「さあ?」
「そうか。実は近本に見てもらいたいものがあってな」
「は? 見てもらいたいもの?」
一つうなずき、辰巳は隣へ体を向ける。
「新海先生、僕の目を見てください」
「えっ……?」
ここから先のことは沙織にも伝えていない。いぶかし気な表情を浮かべながらも、先輩教師はじっと辰巳の目を見つめ返してきた。
「俺の目を見つめていると、あなたはまた気持ちの良いところに入っていく……」
「あっ……」
辰巳が暗示を与えると、沙織はすぐに催眠状態に落ちていった。うつろな目をして、頭がふらふらと揺れる。
「何これ。何やってんの?」
生意気な教え子が動揺している姿を見るのは、これが初めてかもしれない。目の前で行われている事が理解できないのか、雫は目を丸くしている。
「近本、お前は催眠術って信じるか」
「はあ? まさか……そういうことなの?」
「そうだ。沙織、靴を舐めて掃除してくれ」
辰巳の足元にかがみ込んだ沙織は、革靴を持ち上げ、長く伸ばした舌で舐め上げた。顔を様々な角度に傾けて舌を這わせるにつれ、くすんだ黒い革は輝きを取り戻していく。しつこい汚れにはよだれを垂らし、舌先をこすりつけて剥ぎ取った。
たっぷりと甲を磨いた沙織は、舌を尖らせて裏側の溝まで掃除しはじめる。
「そんな、嘘でしょ……?」
「まだまだ。こんなことだって出来るぞ」
うさぎ跳び、逆立ち、スクワット。ご主人様の命令に、沙織は見事言いなりになって動いてみせる。
「フゴオ、コォ、ゴオッ」
豚になるよう暗示を与えられた沙織は、四つん這いになって鼻を動かした。パンツスーツが汚れるのもかまわず、美しい豚はほこりまみれの室内を四本の足で歩いて回る。
鼻をくんくんと動かして上履きの匂いを嗅いできた担任教師に、雫は小さな悲鳴を漏らした。
「昨日も新海先生は少し様子がおかしかっただろ? あれも催眠術なんだよ」
操られている沙織の変貌ぶりに、雫はもはや言葉すら出ないらしい。徐々に距離を詰めてくる辰巳を見上げる瞳には、恐怖が宿っている。
いまにも逃げ出そうと腰を上げたその瞬間、辰巳は頭に手を置いて上から押さえつけた。
「お前はもう催眠術にかかっている! お前は立つことができない!」
雫は立ちあがろうと体に力を入れた。が、失敗した。どんな人間でも、座った状態で頭に手を置かれたら立ち上がることは難しい。しかし、直前まで辰巳の催眠術を目の当たりにしていた少女は、自分も催眠術にかかっているからだと思ってしまう。
「ほら、体が動かない。指一本動かすことが出来ない」
頭から手を離しても、雫は微動だにしない。暗示が刷り込まれて、自分は体を動かすことができないと思いこんでいるのだ。
「どんどん体が固くなってきた……。体がガチガチに固まって、どれだけ力を入れても動かすことが出来ない……。ほら、体がますます強張ってくる……」
肘掛けに置かれていた雫の手が固く拳を握った。繰り返し言葉をかけるうち、全身に力が入ってきて、短いスカートから覗く白い太腿に筋肉が盛り上がる。
あまりにも力が入りすぎたためか、細身の体が小刻みに震えだした。
「もっともっと体が固まってくる……。鉄の塊のようにお前の体は固くなる……もうガチガチだ……。俺に触られても、お前の体はびくともしない」
辰巳は雫の額に指を当て、力を込めた。それでも雫の頭はピクリとも動かない。
いまや細い首筋までにまで筋肉が浮かび上がり、ぎりぎりと歯がこすれる音が鳴るほど、奥歯をぎゅっと噛み締めている。
「今度は体から力が抜けてきた……。まったく力が入らない……。全身から力が抜けていく……」
これでもかと体を硬直させたあとは、弛緩へと移行する。最初にあごが脱力し、真一文字に結ばれていた唇が開いた。続けざまに白い首筋やほっそりとした太腿に浮かび上がっていた筋肉が沈んでゆき、固く握りしめられていた拳が緩む。
「もう力が入らない。自分では、指一本動かせない……。まぶたを開けていることも出来なくなる……」
肘掛けから手がずり落ちた。暗示を積み重ねるうちにまぶたが垂れ下がり、それにつられるように口がだらんと開いていく。
「ほら、力が入らない……。頭の先っぽから足のつま先まで、自分の力ではちっとも動かすことができない……。そして、目を閉じてしまうと、意思の力も抜けて、お前は深い眠りにつく……」
まぶたが黒目のほとんど覆い隠しても、しばらく持ちこたえていた雫だが、やがてその気力も尽きる。
完全に目を閉じた雫は、寝入りばなのように首をぐらぐらさせ、頭を前に落とした。
(これで、三人目)
まだ四時を少し過ぎたばかり。時間はたっぷりとある。
「お前はもう俺の催眠術にかかっている。催眠術にかかったお前は、何でも俺の言う通りになる。……ほら、催眠術にかかったお前はどうなるんだ?」
「……あたしは、辰巳の言う通りになる……」
教師に対する敬意など欠片も持ち合わせていない少女が、服従を認めた。美女が無防備な表情を晒すこの瞬間は、辰巳をいつも興奮させる。
「お前は俺と話をしているうちに、心と体が切り離されてしまった。心だけになったお前は、これからどんなことが起こっても、俺と向かい合って話を続けているという風にしか思えない。わかるか?」
「はい……」
「そして、これから俺が『リカちゃん』とお前に声をかけたとき、それはお前の体に直接語りかけているんだ。体に語りかけられたお前は、俺が何を言っているのか認識することはできない。認識できないけど、必ず言うことに従ってしまう。そして、それはお前の体が勝手にやったことだから、心だけになったお前は自分が何をやっているのか自覚することができない。さあ、復唱して頭に入れるんだ」
「あたしは……」
雫が言葉に詰まるたび暗示を繰り返し、深く脳に刻みつける。淀みなく唇が動くようになるまで、辰巳は何度も何度も復唱させた。
「それじゃあ、俺が手を叩くとお前は目を覚ます。目を覚ましたとき、お前は自分が催眠術にかけられたことはすっかり忘れてしまっている。だけど暗示だけは心にしっかりと残っている。……はい、目を覚まして」
辰巳が手を叩くと、雫がゆっくりとまぶたを開いた。呆けたように何度かまばたきを繰り返し、ようやく気づいたように辰巳に焦点を合わせる。
「ん、あ? あたし、何してたんだっけ……?」
「何って、ここで俺と話をしてたんだろ。忘れたのか?」
「ああ、そう。そうか……。あれ、新海先生はどうしたんですか?」
「新海先生は用事があるから先に帰られたよ」
「何それ。そっちが呼び出したくせに」
相手が辰巳一人だとわかった途端、雫は椅子の背にもたれかかって長い足を組んだ。
「それで、何の話ですか」
「もちろん、授業態度の話だ。他の先生からも苦情が出ているから、一度きっちり話しておこうと思ってな」
「授業中に騒いだりしたことはないと思うんですけどね。なんで苦情なんかでるんだろう。先生、心当たりありますか?」
「あるな。授業中に漫画を読むのが、良い態度とは言えないだろう。『リカちゃん』右手を上げて」
「ああ、あれ。まだ根に持ってたんですか」
まずは様子見の命令を与えると、喋りながらも雫は右手を上げた。
きちんと伝わっているか心配だったが、うまく暗示は作用しているらしい。挙手をするように右手をぴんと掲げていながらも、雫は何食わぬ顔のまま。
辰巳は雫のすぐそばまで近づいて顔の前で手を振ってみた。それでも少女の視線は正面を見つめたまま微動だにしない。
雫はいま、目の前の景色を正しく認識することができていない。黄ばんだ壁を見つめるその瞳には、椅子に座っている辰巳の幻が映っているはずだ。
「別に根に持っているわけじゃない。どうしてまじめに授業を聞いていられないんだ? 『リカちゃん』立って、スカートをめくりあげるんだ」
「わかってることを聞く必要なんてないと思うんですけどね。副担任なので知ってると思いますけど、あたし成績いいですよ」
おもむろに腰を上げた少女はスカートの端をつまみ、ヘソの上まで豪快に持ち上げる。あらわになった黒いパンツにはレースがあしらってあり、際どい部分まで肌が透けていた。
高校生のくせに、なんて扇情的な下着を履いているのだろうか。官能的な光景に、性欲が一瞬で燃え上がる。
「ああ、知ってるよ。だけど、それは授業を聞かなくてもいい理由にはならないだろう。ただ、授業を聞く気にならないのは、先生にも原因があるんだろうとは思う。だから、言ってくれたら直すよう努力するよ。それすら嫌だって言うのなら、親御さんとも話をしないといけなくなる。それは面倒だろ? 『リカちゃん』おしっこをしよう」
「いや、別に。むしろ、親を呼んだらめんどくさいことになるの先生の方だと思いますよ。うちの親常識ないんで」
ぴくりと雫の内腿に力が入ったかと思うと、黒い下着から透明な液体が湧き出した。薄い布地が抵抗となり、液体は放射線を描くことなく滑らかな太腿を伝って紺のソックスへ染み込んでいく。
小水が肌を濡らしても、雫は顔色一つ変えることがない。
水を吸ったことで重みを増したパンツは股間に張りついて、艶かしくも女性器の形をあらわにしている。厚みを持った肉唇は布越しに鑑賞しているだけでは我慢できないほど、魅力的すぎた。
「それなら、親御さんも一緒に説得するよ。『リカちゃん』服を脱いで裸になってくれ」
「またまた、出来もしないことを口ばっかり。先生、口ではそれらしいこと言っても、行動がまったくついてきてないから、生徒に馬鹿にされてるんですよ」
スカートをめくりあげていた指を離し、ブレザーから腕を抜いて床に放り捨てると、雫はネクタイの結びを解いた。赤をベースに白のストライプが入ったそれを襟から抜き、ソックスに手をかける。
「たしかに、まだ実力が追いついてない部分はあるかもしれない。でも、これは本心だぞ」
「だから、そういうところ」
つるんとした足から引き抜かれたソックスが、丸まって床を転がった。
雫はスカートのホックを外して膝の下まで降ろすと、長い足を窮屈そうに抜いた。自らの衣服を剥いでいく指の動きは止まることなく、ブラウスのボタンにかけられる。
「そんな見え見えの嘘が通じると思ってるところが、どうしようもないんですって。先生、それっぽいこと言ってたら生徒はついてきてくれると思ってるでしょ」
細い指先を滑らかに動かして全てのボタンを外した雫が、ブラウスを脱ぐ。パンツと同じく、ブラジャーもレースをあしらった黒。大きなカップに覆われた双房は、お椀のようにきれいな半球を描いている。
ブラウスを後ろへやった少女が、背中に手を回してブラのホックを外すと、支えを失った乳肉が辰巳の目の前でたゆんと揺れた。
ボディラインの出にくい制服でも隠しきれなかった豊かな乳房がいま、目の前に晒されている。嬉しいことに乳頭は小さく、きれいな桜色だ。
「思ってるわけないだろ、そんなこと」
雫はパンツの腰紐を持ち、体を折り曲げて下ろしていく。膝まで下げたところで足を抜き去り、ついに一糸まとわぬ姿になった。
「まあ、認めないならいいや。でも、みんな気づいてますよ。先生が本当は生徒に興味なんかこれっぽっちもないこと。騙されてるのは、アホの白石くらい」
ツンと前を向いたロケットのような胸。腰はいやらしいくびれを描き、股下は驚くほど長い。白い肌には青い静脈が浮きあがり、透き通るようだ。
本当にこれが高校生の体だろうか。高級風俗嬢も顔負けの見事な肢体に、体中の血液が股間に集まっていく。
肌の皺が見えるほど近くからまじまじと裸体を視姦されていても、雫は気づかない。
「興味はあるさ。俺はずっと、教師になりたかったんだ。『リカちゃん』ブラウスで体についたおしっこをしっかりと拭き取るんだ」
少女の肌は新雪のように白く、きめ細かい。滅多に拝むことのできない美少女は、床に放られたブラウスを拾って、股間にごしごしとこすりつけた。
「ああ。JKが好きとか、そういうことですか。やらしい目で見てますもんね。あたしや白石のこと」
辰巳が後ろに回り込み肉厚の桃尻を鑑賞していても、雫は虚空を見つめたまま語り続ける。わずかに股を開いて太腿に垂れた尿をぬぐうと、少女はブラウスを雑巾のように放り捨てた。
純白だったブラウスは、おしっこが染み込んでかすかに黄ばんでいる。
積もりに積もったこれまでの恨みが、嗜虐心となって溢れてきて、辰巳はこの排泄物で汚れた布地を思いっきり雫の顔にこすりつけてやりたくなった。
「人聞きの悪いことを言うな。そんな不純な気持ちで教師になったわけじゃない。『リカちゃん』ブリッジしてくれ」
その場で上体を後ろに反らし、雫は見事なブリッジをした。帰宅部にあるまじき、意外なまでの運動神経。
丸い膨らみの頂きにある乳頭はピンと天を向き、ぱっくりと割れた陰裂からは桃色の柔肉がのぞいている。
天地が逆さまになっても、雫は異変に気づくことなく辰巳とは真反対の壁を向いたまま会話を続ける。
「へー、じゃあどうしてですか?」
「子供のころに尊敬できる教師に出会って。俺もこうなりたいって思ったからだよ」
雫はまだ綺麗なブリッジを維持しているが、それでも自重を支える腕や太腿には筋肉が盛り上がり、顔が赤く染まっている。
頭に血が登ってきているのは雫だけではない。艶めかしい裸体を鑑賞している辰巳も、興奮のあまり頭がくらくらとしてきた。
「ふうん。どんなところを尊敬してるんですか?」
「えっと、そうだな……。『リカちゃん』パイズリしてくれ」
刺激的なブリッジを崩した雫は、辰巳の足元に身をかがめると、ベルトのバックルを外してスラックスの前を開いた。
「ほら出てこない。だめじゃないですか、せめてそれくらいは考えておかないと」
ボクサーパンツを降ろして固くなった肉棒を取り出した少女は、それを豊かな二つの膨らみで挟み込み、両の手で圧迫してきた。つきたての餅のような乳房は肉竿に張りつくように変形し、いきり立ったそれを優しく包み込む。
「どうせ、就職決まらなかったから親戚に頼み込んでうちに入れてもらっただけでしょ。教師になりたかったわけじゃない」
両の胸をすらせたり、押しつけたりと、雫は様々な形でペニスを刺激してくる。一時たりとも同じ形を見せることのない柔らかな膨らみは、眺めているだけでも官能を揺さぶられてしまう。
「聞いてる?」
「ああ、おお……。違うぞ、俺は本当に教師になりたくて」
雫が横乳を平手でぎゅっと押し込んできたので、肉棒に密着したおっぱいが縦に長く潰れた。そのままカリ首を持ち上げるように弾力のある乳肉でしごいてくるので、男根は爆発しそうなほど熱くなる。
自在に形を変える白い膨らみは辰巳の五感をフルに刺激する。快感に押し流されて、会話が頭に入ってこない。
「嘘。授業なんか早く終わればいいくらいにしか思ってないでしょ。そういうの、見てたらわかりますから。ちゅっ」
瑞々しい唇が亀頭に触れた途端、カウパー腺から粘液が溢れた。
雫はミルクアイスのように白く滑らかな乳房で肉茎をしごきながら、亀頭を包み込むような口づけをし、裏筋を舌で舐めあげる。
これでもかという奉仕に、辰巳の下半身が痺れるように疼いてきた。
「だから、んっ、先生は、ちゅっ、生徒から信頼されないんです。れろ」
気がつけば、辰巳に無意識の奉仕を続ける雫の頬が赤く上気していた。自分が何をしているか自覚していなくとも、男を喜ばせている魅力的な体は反応するらしい。
乳肉をむんずと掴むと、雫は固く尖っている乳頭を竿にこすりつけてきた。白い膨らみが上下するたび、肉竿にこりこりとした感触があたって、尿道を突き刺すような快感が湧いてくる。
「そ、そうだったのか。『リカちゃん』全力で俺のちんこをし、しごきあげてくれ。お前は俺の精液がかかっても、何も気がつかない」
雫は再度美乳で肉棒を挟み込み、付け根が持ち上がるほどの力を込めて、竿から亀頭にかけて揉み上げてきた。汗で接着力を増した乳房がカリ首の裏をこするたびに下腹部が強烈に疼いて、すぐに全身が痺れるような幸福感が襲ってくる。
どろりとした粘液が尿道を流れる、この感触。真白い双乳に挟まれた男根が脈打って、大量の白濁液が放出された。
「新海先生が人気あるのも、美人だからってだけじゃないですから。結局、辰巳先生は教師だと思われてないんですよ」
一度放出が終わっても、張りのある乳でしごかれるだび、びゅっびゅと二度目、三度目の精液が放出される。勢いよく発射された粘液は雫の顔面に着地して、綺麗な面を下品なまでに汚していく。
むせ返るような雄の臭いにも、雫の涼しい顔は崩れない。顔を白濁液まみれにしたまま、挑発的に微笑む。
パイズリに夢中で全く気がついていなかったが、興奮状態では聞き流していた言葉も冷静になると癪に障る。なぜ七つも年下の少女に説教されなければならないのか。
まだまだお仕置きの必要がありそうだ。
「なるほどな。気づいていなかったよ。『リカちゃん』オナニーを見せてくれ」
「まあ別に、あたしはやる気があるかないかなんてどうでもいいんですけどね。教えるものさえ教えてもらえれば」
雫は冷たい床に腰を下ろし、はしたなく股を開くと、豊かなふくらみに左手を添えた。
「でも先生、教える方も全然できないから。ふっ……」
「すまない、力不足は認めるよ」
汗ばんだ胸を包み込むように、雫は優しく触れるだけの愛撫をはじめる。丸見えになっている女性器へ伸ばした右手も割れ目を避け、ゆっくりと官能を楽しむように、ふっくらした肉唇をなぞっている。
二本の指をなめらかに動かして、かすかに濡れそぼった女陰を撫でている雫の口から、しっとりとした溜め息が漏れた。
「別に認められても得るものがないんで。現社なんて入試で使わないからいいけど、これが主要科目だったら辞めてもらってますよ。ふぅ……」
艶めかしい吐息が、辰巳の性を掻き立てる。何でもないように会話を続けながらも、雪のような肌は赤く火照っていて、とろんとした目で自慰に耽る雫は女子高生であることを忘れさせるような色気があった。
少しずつ胸乳を揉む手の動きが大きくなってゆき、下から上へ、五指を食い込ませるように雫は豊満な乳房を愛撫する。
「だから、最初の話。どうして、まじめに授業を聞いていられないのかに対する答えは、ふぅ……。漫画でも読んでた方が、マシだからですね。あたしも、自分の身になると思った授業は、ちゃんと聞いてますよ。例えば、友永先生とか。あっ、ん……」
乳肉を揉み上げていた指先が乳首に移った。固く膨らんでいる突起を指の腹でこすり、転がす。敏感になった性感帯への刺激に、細い腰が情欲的なくびれをつくる。
もう一つの手は細い指が裂け目をなぞるように動き、びらびらやクリトリスのそばを擦るうちに、陰唇がぷっくりと膨らんでいく。
「つまり、俺がちゃんとした授業になれば聞いてくれるってことか」
「いやあ、それはどうだろ。あっ、現社ってセンターでも使う気ないし。んっ、多分、きっ、聞かないと思いますよ」
雫は左手で大陰唇を広げて桃色の柔肉を剥き出しにすると、右手の人差し指につばをつけ、陰芽を半分ほど覆っている包皮に伸ばした。包皮の表面を撫でるような、優しいタッチ。それだけでも艷やかな雫の唇からは熱い吐息が漏れる。
小さな突起の周をなぞるたびに指は深く食い込んでゆき、ときおり振動を加えたり、圧迫したりと変化をつけて敏感な場所を刺激する。体中の昂ぶりを吐き出すように、膣から愛液が垂れてきた。
「センター試験のためだけに勉強してるわけじゃないだろ。教養を身につけるためだ」
「だ、だから、テスト、はいい点とりますよ。だいたい、あ、あたしの方が、先生より、教養あると思うけど。んんっ……!」
丸く膨らんだクリトリスの根っこを掘るように、指で掻きむしる。快楽神経の塊から生み出される刺激に、白い太腿が何度も引きつけを起こしているが、雫の指はますます動きを加速させていくばかり。
「あ、はあっ、ふっ、せ、せんせいに、望むのは、ふっ……」
「どうした近本。なんで震えてるんだ?」
上品な薄い唇から漏れる淫らな喘ぎ声を、雫はもう抑えることができない。包皮の上から小さな豆粒をつまみ、縦筋に沿ってしごきはじめると、下半身の震えは全身へと広がっていった。
「はあ……ん、ああっ、あ……んっ!」
いましもエクスタシーに達しようと夢中で指を動かす雫に、返事をする余裕は残っていない。がむしゃらに陰芽を刺激して、ひたすらに艶めかしい声を洩らす。
「はっ、ああ……あっ、んんっ……うっ……!」
息をつまらせるような嗚咽と共に、びくびくと裸体が震えた。
たちまち雫の全身から力が抜けて、後ろへ倒れた。股間からとろりと愛液が垂れて、床に染みをつくる。
絶頂の余韻に浸るように、雫は安らかな顔で目を閉じていた。
その一方で、雫の痴態を眺めていた辰巳は一度射精したばかりだというのに、もう生殖器が疼いている。いますぐにでも、体を交えたいほどに。
「だから……辰巳先生に望むのは、あたしの邪魔しないでってことだけ……。別に騒いだりしたことないでしょ……。自習さえさせてくれてたらいいから」
「そうは言っても、お前にだけ認めてたら他の生徒に示しがつかない。『リカちゃん』すごくエッチな気持ちになってきた。頭の中がやらしいことでいっぱいになって、体がとても疼く」
ぴくん、と細身の体が震えた。
「あっ、あ……」
落ち着きを取り戻しつつあった雫の白い肌が、再び淫らに染まっていく。
自在に動かすことも、感覚を操ることも、雫のすべては辰巳の思うがまま。
「どうした、近本。『リカちゃん』俺の顔に跨って、顔面騎乗位をしてくれ」
辰巳が床に大の字になると、雫は顔を跨いで腰を下ろしてきた。粘液で濡れた股間がゆっくりと近づいてきて、女性器はおろか肛門の皺までくっきりと見えたかと思うと、柔らかいお尻に口を塞がれる。
「べ、別に、何でも……。それより、示しって、他の授業でも自習してる子はたくさんいますよ。大抵の先生は勉強してるのなら黙認してますけどね。絡んでくるのは、しょうもない先生ばっかり」
ぱくりと割れた肉の裂け目からとろりとした液体が垂れてきて、辰巳の鼻を濡らした。
雫の愛液は暖かくて、乳製品のような匂いがする。その分泌液を潤滑油のように使い、腰が動いた。張りのあるヒップが辰巳の顔を滑り、眼前をグロテスクな二枚貝が通過する。
遠慮のないスライドで物理的に呼吸器官が塞がれてしまうことはもちろん、ふっくらとした感触が顔の上を撫でていくことが心地よく、満足に息をすることができない。
なんとかフリーになるわずかなタイミングを狙い、辰巳は形だけの会話を続ける。
「わかった。そういう、ことなら、自習は認めるよ。でも、漫画を、読むのは、辞めてくれ」
「そっ、そうで、ふっ……くう……」
暗示によってすでに発情している雫は、唇や鼻が女陰をこするたびに艶のある声を洩らす。絶え間ない運動摩擦にも潤滑油は失われることがないばかりか、さらに量を増してゆき、辰巳の顔面をどろどろにする。
表面をなぞるだけでは物足りなくなったのか、少女は体重をかけて顔の凸凹に性器を押しつけてくる。負けじと、辰巳もぶにぶにした肉唇に口づけをすることで応戦する。
「はあっ……んん……! や、んっ!」
腰をリズミカルに振って雫は顔面騎乗位を楽しんでいる。前後運動に従って辰巳の唇と雫の陰唇が熱い接吻を繰り返し、押し潰された媚肉から滲み出した愛液を肉びらごと舐め上げる。
「あっ、か……!」
反射的にか、雫の腰が浮いた。
辰巳はすかさず舌を伸ばして追撃する。隙間が出来たことによってかえって愛撫がしやすくなり、アナルからクリトリスまで思う存分に舐めることができた。
そうすると膣はますます愛液を吐き出すので、中に舌を挿し込んで掻き出した。ねっとりとした分泌液は生っぽく、かすかな苦味がある。
辰巳はさらなる刺激を与えるため、陰唇を舌で舐めしゃぶりながら、赤々としたクリトリスに鼻を押しつけた。
「んんっ!」
極めて敏感な性感帯を同時に責められた雫の総身が震えを起こす。そのまま足から徐々に力が抜けていくように腰が沈み、辰巳の顔面に尻もちをついた。
「ああっ、はっ、ああっ、はっ、はあ……」
快感に押し流された雫は会話を続けることすらできなくなり、ただひたすらに喘いでいる。このまま舌でイかせることも容易いだろうが、すっかり放置されていた肉棒が早く入れさせて欲しいと叫んでいた。
分身のおねだりに答えるため、辰巳は力づくで臀部を持ち上げる。もっちりとしたお尻は指が食い込むようで、雫の体は驚きを覚えるほど軽かった。
「どうした近本。さっきから様子がおかしいぞ。『リカちゃん』騎乗位の体勢で、俺のちんこを入れるんだ」
「はあ……。わかんない、でも、体が……」
舌と鼻の二点責めから開放され、会話をする余裕を取り戻した雫は辰巳の腰に跨りペニスを握った。鈴口を濡らしている我慢汁を塗りたくるように二、三度竿をしごいてから膣口に押し当てる。
「体が、どうした?」
「いや、なんでもない。んっ、うっ……!」
ぐにゅりと食い込む感触のあと、辰巳の亀頭は雫の中へ入っていった。狭穴は自在に形を変えることで貪欲に肉棒を咥えてゆき、固い突起物のようなものに当たったところでようやく止まった。
下から見る雫の乳房はまさに釣り鐘のようであり、細身の体と対比されることで実物以上に豊かに見える。きゅっと引き締まったくびれはそれだけでも美しいが、巨乳と合わさることによってたまらない艶めかしさを放っている。
「ふぅ……。それで、何の話してたんだっけ?」
「自習に関しては認めるという話だ。でも、漫画を読むのは認められない」
一つため息を着いた雫が腰を振りはじめると、滑らかな曲線が柳のように揺れた。均整のとれた肢体を眺めながらの行為は、ある種AVを見ながらのオナニーと近いようにも思えるが、繋がった部位から伝わる生暖かさと、部屋中に満ちた女の匂いによって、格別の興奮を与えてくれる。ぼーっと美少女の腰振りを受け入れているだけでも、性器がじんじんと疼いてきた。
「あ、ああ、そ、そう、あっ、ああ」
もとより劣情を与えられている上に、先ほどの顔面騎乗位ですでに限界近くまで体が高まっていたのか、ストロークを開始するなりすぐに雫の声が乱れだした。辰巳は依然としてマグロのごとく横たわっているが、それでも雫はただひたすらに自分が気持ちよくなることだけしか考えていないように、一方的かつ容赦なく腰を振り、恥骨を押しつけるようにえぐってきては嬌声を上げる。
「な、何だ。わかったのか」
「はあっ、あっ、わっ、あ、ああっ、んんっ! くぅ、ああっ、わあああ!」
雫が下腹部を押し出す動きに合わせ辰巳も腰を突き上げると、淫らにくねる肉体から一際甲高い声が上がった。
腰をぶつけるように動かすたび、雫の豊満な乳肉が目の前でたぷたぷと揺れる。刺激的な光景に辰巳はたまらず乳房を鷲掴みにした。
指が食い込むほどの力を込めて白い膨らみを揉みしだくと、雫は結合したまま上体をぐねぐねと暴れさせた。
「どっちだ! わかったのか! わからないのか!」
「ああっ、はあ、わっ、んんっ、ああああ! あああっ、いいっ、気持ちいいいぃぃ!」
心と体が切り離されたという暗示はどこへ行ってしまったのか、術をかけた辰巳にもわからない。とめどなく溢れる快感でいっぱいになった雫は、頭を振ってよがりはじめた。
雫が激しく裸体を揺さぶるたびに、中へ入れたままの陰棒も右へ左へひねられて、まったく予想もつかない角度からの刺激が襲ってくる。
少女の膣は強欲なまでにペニスへ絡みつき、びくびくと痙攣を繰り返すことで男根から子種を搾り取ろうとしている。
「はああ、ああっ、あああっ、はああ、わああ! ああああぁぁああああ!」
開きっぱなしになった口から垂れた涎があごを伝い、辰巳の腹部に落ちた。雫の体はひどく引きつけを起こしていて、いまにもイってしまいそう。
だが、まだまだ辰巳は満足していない。辰巳がこれまで受けた屈辱は、この程度では満たされない。
「『リカちゃん』俺がイッていいと言うまで、お前は行くことが出来ない!」
「はああっ、あっ……あああ……!」
肉棒を咥えたまま膣がうごめいて、強烈な締めつけを起こした。かまわず膣壁をえぐるように容赦なく突き上げれば、雫は舌を突き出して叫んだ。
とうにエクスタシーに達していながらも、少女はイくことができない。絶えず痙攣する媚肉は亀頭を引くたびにこれでもかとカリ首をえぐってきて、目の前が真っ白になるような快感を植えつけてくる。
「がっ、あ……!」
あまりの快感に耐えきれず、体がショートを起こしたらしい。野獣のような唸り声を出し、雫の瞳がぐるりと反転した。
白目を剥いて失神しながらも尚、雫の腰は止まらない。それどころか、ますます激しく下半身を暴れさせて快感を貪ろうとする。結合部からは洪水のように愛液が溢れ、下腹部を打ち合わせるごとにぐちゅぐちゅと品のない音が響く。
「おっ、おっ、おあ……」
これまでの経験からは考えられないほど強い締めつけが続いていて、直接肉棒を握りしめられているようだ。その上、生暖かでねっとりとした感触まで加わり、辰巳の男根は破裂寸前。腰を引くたびカリ首にえげつないほどの摩擦が加わって、まぶたの裏にスパークが散っている。
意識が飛びそうになるほどの快感に、熱い精液が付け根から湧き出してくるのがわかった。
『リカちゃん』! いっ、イッていいぞ!」
爆発の直前、体が浮くほど思いっきり突き上げると、雫の喉から唸り声が弾けた。
辰巳が中へと精子を注ぎ込んでいる間、雫は狂おしく裸体をくねらせながら獣のような咆哮をあげる。そうして最後の一滴まで出し尽くすと、少女は糸が切れたようにぱったりと後ろへ倒れ込んだ。
硬さを失ったペニスは自然と抜けて、栓を失った膣から互いの粘液が混じり合ったものが溢れ出す。
「あっ、あっ……ああ……あっ」
男根が抜けても尚、雫は快感に耐えきれないようにのたうち回っていた。白目を剥いたまま長い手足を振り回し、ごろごろと床を転がっていたかと思えば、上体をエビ反らせて両手で宙を掻きむしるように身悶えする。全身の体液が撒き散らされて、床が怪しいぬめりを帯びた。
たっぷりと淫らなダンスを鑑賞していると、雫はやがて干からびた蛙のように四肢を投げ出したまま、動きをとめた。その股間から透明な液体が広がっていく。
「ふっ……はぁ……あっ、ひ……」
ぴくぴくと痙攣しながら失禁する雫を見ていたら、辰巳はこれまでの屈辱が洗い流されていくような思いがした。
あれだけ大声を出していれば誰かが気づいたかもしれない。こんなところを見つかれば間違いなくクビだろう。
だが、仮にそうなったところでもうかまわない。
もう教師生活に未練はない。目を疑うほどの美女と美少女が、すでに自分のものになっているのだから。
いまの雫は言葉一つで夏帆のように骨抜きにすることができる。あるいは沙織のように奴隷にすることもできるだろう。辰巳にしなだれかかり甘えてくる雫も、ちんぽをしゃぶらせてくださいとお願いしてくる雫も、想像するだけで血が沸き立つようだ。
だが、二人のようにするのはまだ早い。もうしばらくは、この生意気な教え子のままで楽しませてもらう。
◇
あれから目が回るような日々が続いている。
辰巳が職員室で昼飯を食べていたら、スーツの内ポケットに入れている携帯が振動した。
「『四棟の裏』」
やはり、予想していた通りの呼び出しだ。
急いで昼食を終え、指定された場所へ行くと雫は壁に背をあずけて待っていた。
「遅い」
長いこと待たされた雫はずいぶんご立腹らしく、大股で辰巳に近づいてくるとネクタイを捻りあげた。
「ライン送ってから何分立ったと思ってんの?」
「そんなこと言われても、飯食ってたんだから仕方ないだろ」
「はあ~、飯? 先生には、ご主人様の命令より優先するものなんてないでしょ」
雫は辰巳の肉棒をぎゅっと握りしめると、五指をぐにぐにと動かして根本からしごいてきた。朝も一発やったというのに、ご主人様はもうすっかりその気らしい。
「おい、痛いだろ」
「そんなこと言っても、固くなってきてますよ。やっぱり先生はだめな教師ですね」
不敵に笑った雫は野外だというのに、薄手のブラウスを脱ぎはじめた。するすると白い肌を露出していき、躊躇することなくパンツも脱ぎ捨てると、生まれたままの姿となる。
何度見ても魅力的なこの裸体。辰巳もすぐにスイッチが入った。
「ご主人様を待たせた罰。先生にはあたしのオナニーを見てもらいます」
「そんな、やめてくれ」
雫はいま、自分が辰巳のご主人様であると思い込んでいる。持ち前の嗜虐心に加え、性的に喜ばせることが男にとって最も屈辱となるという常識を植えつけられた雫は、ことあるごとに辰巳を呼び出しては様々な形で楽しませてくれた。
特に少女が気に入っているプレイは、自分のオナニーを見せつけることだ。
「ほら、目を逸らしたら罰を与えますからね。……んっ、ふぅ……」
教師の前で全裸の教え子が自慰にふけっている姿を誰かに見られたらどうなるだろうか。
滅多に人が来ないとはいえ、誰にも見つからないという保証があるわけではない。学校で遊ぶのが危険なことはわかっている。なのにやめることができない。
自分がこんなに倒錯した性癖を持っているなんて知らなかった。
それでも堂々としていられるのは、クビになったところで沙織が養ってくれるとわかっているからだ。いざとなれば雫だって辰巳のために自らの身体を使って稼いでくれるだろう。
おそらく、自慰が終われば雫はいつものように辰巳を求めてくるはずだ。今日はこのまま野外ですることになるのかもしれない。
それも悪くない。
< 続く >