[AI]「あれ、これ催眠じゃない?」18綾瀬澪 読書

 

 

 ――と、まあ、そんな感じで、私はどんどん、私になっていった。

 

 前は、他人の目が怖くて仕方なかったのに。

 

 今はもう、たくさんの人に見られるのが――楽しい。

 

 

 

 それでも、ちょっとだけ面倒なことは起こる。

 

 たとえば。

 

 

「ちょっと春野。なんか最近、調子乗ってない?」

 

 

 背後からかけられた声。

 

 リップを塗っていた手を止めて、私は軽く振り返る。

 

 

 

 確か……ミユって子。

 

 このあいだの、コンドーム事件のときに話しかけてきた子だ。

 あと、その仲間の子たち。

 

 

「急にそうやって、媚びた感じにしてさ。……ウケんだけど」

 

「てかさ、その髪も勘違いしてない? あんなボサボサだったのに、切ったくらいで可愛いつもり? 笑えるんだけど」

 

 

 

 ミユが、ぐいっと私の正面に回り込んでくる。

 

 そして――目線を胸元に落とした。

 

 

 

「……こ、の、胸とかもさぁ! これ見よがしにぶらさげて、目障りなんだけど」

 

 

 

 制服の胸ぐらを軽く掴まれる。

 

 軽くても怒りがこもっていて、引っ張られたボタンのあたりがきしっと音を立てた。

 

 

 

 私はそのまま、目をそらさずに返す。

 

 

(私はもう、傘なんかなくても、濡れても平気なひまりになったつもりだから)

 

 

「え? そう見えた? ごめんね、ぜんぜんそういうつもりなくて」

 

 

 笑顔のままで、さらっと。

 

 でもたぶん、口元がちょっと緩んでいた。

 

 

 

(……まあ嘘だけど。思いっきり狙ってるよ、悪い?)

 

 

 

 ミユが一瞬むっとしたのがわかった。

 

 でも、そのときだった。

 

 

 

「――やめろよ」

 

 

 

 低くて、でもはっきりした声が、背後から響いた。

 

 

 

 振り向くと、男子たちが数人、こっちに向かってきていた。

 

 

 

「かわいそうだよ、春野さんに……そんなこと」

 

「お前らさ、何してんだよ。普通に意味わかんねーし」

 

「む、胸、とかはさ……別に、わざととかじゃなくて……たぶん、体型が……その、そういう……っ」

 

 

 その子はちょっと恥ずかしそうで、私は思わず口元に笑みを浮かべた。

 

 

 

(……かわいいなあ)

 

(どこかのスケベ術師と違って)

 

 

 ミユは男子たちを睨んでみせたけど、もう誰も彼女の味方はしなかった。

 

 

「きっしょ」

 

「せいぜい男子に媚び売ってれば? 春売りちゃん」

 

 

 

 くるっと背を向けて、立ち去っていく。

 

 その背中に向かって、男子たちがぼそぼそと言葉を重ねた。

 

 

「うわ、ひっでー……」

「性格ブスじゃん……」

 

 

 見送りながら、私は思う。

 

 

 

(正直、こうなるとは思ってなかったよ)

 

(でも――今の私には、傘を差しだしてくれる人が、たくさんいるみたい)

 

 

 

 そして耳に入ってくる、少し離れた男子たちの声。

 

 

 

「あいつら、春野さんが急に可愛くなって羨ましいんじゃないか?」

 

「そ、そうだよな……く~、こんなに可愛かったなんて……!」

 

「……春野さん、絶対彼氏できたよな……」

 

 

 

 私はくるっと振り返って、軽くウインクを飛ばした。

 

 蒼真の方へ。

 

 

 

 彼は教室の端で静かにこちらを見ていたけど――私の視線に、ほんの少しだけ目を細めた。

 

 

 

 私は、くすっと笑って、クラスの男子たちに向き直る。

 

 

 

「……ありがとう、隼人くん、圭太くん、りょうたくん、翔真くんも」

 

 

 

 彼らの顔が一気に赤くなった。

 

 なにそれ、なんで名前覚えてるの、って顔。

 

 

 

(ふふ、色目使ってくれる男子の名前は、全員覚えてるよ)

 

 

 

 私はにこにこと笑って、そのままクラスの輪の中へ、自然に歩いていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――放課後の「イメトレ」は、蒼真の家だけじゃない。

 

 こうして図書室で蒼真と澪ちゃんと話してる時間も、私にとっては立派な練習。

 雑談だって、明るく振る舞う練習になるし、たいていこのあと催眠もする。

 

 

「それでさあ、ミユって子にちょっと言い返したら、男子がみんな庇ってくれちゃって」

 

 そう言ったら、向かいの席で澪ちゃんが読んでいた本を静かに閉じた。

 

「ひまりちゃん、モテモテだね……すごい」

 

 その表紙に目をやると、なにやら横文字が並んでる。

 たぶん、翻訳された小説なんだろうけど……いかにも難しそうなやつ。

 

(ていうか、内容頭に入るのかな、あれ)

 

 中学生が読むものじゃないって感じ。

 まあ、いいか。さすが澪ちゃん。

 

 

「うーん。でも、これでいいのかな。なんか、悪い子になってる気がしてさ~」

 

 私が唇を尖らせると、澪ちゃんは本に指を添えたまま、ちょっと微笑んだ。

 

「いいじゃない。女の子は、悪いくらいが魅力的なものだよ」

 

 さらっと言うなあ、と思っていたら、横で蒼真が肩をすくめた。

 

「まあいいんじゃない、僕に向かない限りは」

 

 あいかわらずの他人事モードである。

 

「悪い女かぁ……澪ちゃんが読んでる本にも、出てくる?」

 

「いろいろかな。ファム・ファタールって言うんだよ、そういうの」

 

 ファム……? なんか舌噛みそうな響き。

 

「こら、ひまりに妙なことを吹き込むんじゃない」

 

「ひまりも、真面目に聞くもんじゃないぞ。澪のやつ、えげつない話ばっかり読むんだから」

 

 蒼真が横から割ってくる。

 え、えげつない話って?

 

「ど、どんなの?」

 

 思わず前のめりになった。心臓がどきどきしてきた。

 

(えっちなやつかな……)

 

「そりゃあ、悪い女が、男を……」

 

「お、おとこを?」

 

 思わず身を乗り出したところで、澪ちゃんが慌ててかぶせる。

 

「いっいやいや、そういうんじゃないんだよ。り、立派に育てる、とか……こう」

「……『育てた後、他の女を堕落させて楽しむ』とかだろうが、それ」

 

 蒼真が割り込んだ。

 

「それはぁ……ファム・ファタールってそういうものだから……」

 

「うわぁ……」

 

 思ってたのとちょっと違ったけど、結構えっちそうだった。

 

「そんなんばっか読んでるから、クラスに馴染めないんだぞ」

 

 蒼真がさらっと言い放つと、私は、話そうと思っていたことを思いだした。

 

「あ、そうそう。それでさ、今日の話の続きなんだけど」

 

 二人がそろって顔を上げたのを確認して、にんまりと笑った。

 

「そーまってば、全然男子の輪に入らないよね?」

 

「いいだろ別に」

 

「よくないでしょー。クラスで浮いてる男子って、女子からするとわりと扱いに困るんだよ?」

 

「僕は別に困ってないし」

 

 うわー、こいつマジかー。

 

「そういうとこがさ!」

 

「蒼真くん、友達いないからね」

 

「ぶっ」

 

 思わず吹き出す。本人の目の前でぶっこんだなあ。

  っていうか言い方もうちょいあるでしょ、澪ちゃん。

 

「そういえば一年のとき、そーまが誰かと喋ってるの見たことないかも」

 

「去年はひまりとクラス違っただろ」

 

 確かに、そうだった。

 私と澪ちゃんが同じクラス。蒼真はたぶんいなかった。

 

 ……いや、どうだろ。

 蒼真、教室だと地味だから。いても気づかなかったかも。

 

「だって、私しかいなかったもんね、蒼真くんの友達」

 

「それ、澪だって友達いなかっただろ!?」

 

「っぷ、あははははっ!」

 

 私、限界。笑い転げながら手で口を押さえる。

 澪ちゃんも笑ってるし、蒼真はちょっとむすっとしてて可笑しいし。

 

 まあ、友達いなかったのは、わたしもだけど……。

 

 この3人の距離感が、なんか好きだった。

 

 

(でも、そっか。蒼真と澪ちゃんは、やっぱり特別な関係なのかも)

 

 

 友達が一人だけで、それが澪ちゃんで。

 多分、この図書室で一緒にいたんだ。

 

(フランス人の話とかしてたのかなあ)

 

 

 ……なんか、そういうのってちょっと、いいなって思ってしまった。

 

 

「そういえば、澪ちゃんもそーまに催眠されたことあるんだよね?」

 

 さらっと聞いたつもりだったけど、澪ちゃんはぴくっと肩を揺らして、小さく口を引き結んだ。

 

「う……ある、けど」

 

「そーまのこと、えっちって言ってたし、やっぱりそういうやつ?」

 

「ち、ちがっ、ちがうからっ! そ、そういう意味じゃなくて、えっと……!」

 

 わたわたと手を振る澪ちゃん。おでこまで真っ赤になってるのが可愛い。

 

 けど。

 

「そうだぞ。俺はエッチな催眠なんかしない」

 

 蒼真が平然と言い放った瞬間――

 

「「いやするでしょ」」

 

 二人そろって即ツッコミ。私と澪ちゃんの声が重なった。

 

 澪ちゃんはため息をついて――

 

「えっちでなかったとは……言えない……」

 

 顔を覆いながら、小声で言った。

 

 私はぷっと吹き出して、わざとらしくのけぞってみせた。

 

「やっぱり~、澪ちゃんてば進んでるな~!」

 

 笑いながら言ったけど、心のどこかが少しだけ、ちくりとした。

 

(……いいなあ)

 

(どこまでしてもらったのかな)

 

 そんなこと考える自分が、ちょっといや。

 でも、止まらなかった。

 

「そ、そういうのじゃないでしょ……!」

 

 澪ちゃんが顔を真っ赤にしながら俯いているのが、ちょっとおかしくて、私はまた笑ってしまった。

 

「でも、いいねそれ。ひまり、人が掛かってるところ見たことないだろ」

 

 蒼真がふと、思いついたみたいに言った。

 

「え……?」

 

 私が首を傾げると、澪ちゃんがすかさず顔を上げた。

 

「な、何言ってるのよ、そんなの見せるわけないでしょ!? ひまりちゃんの前でとか絶対嫌だからね、わたし――」

 

「『秘密の本棚』」

 

「――ぁ……」

 

 ――ん?

 

 蒼真が何か言った。

 

 でも、最初は意味が分からなかった。

 

 ただ、その瞬間。

 

 澪ちゃんの声が、不自然に止まった。

 

 ぴたり、と。

 

 

 

 目の端に映った澪ちゃんに、私はゆっくりと視線を向けた。

 

 口元が、うっすら開いたまま。

 

 言いかけていた言葉の続きを落としたまま、動かない。

 

 

 

 

 その瞳が、わずかに揺れているのが見えた。

 

 焦点がどこにも合っていなくて、遠くを見ているような、でも見ていないような――ぼんやりとした光。

 

 瞼がゆっくりと、でも自然に落ちていく。

 

 その途中、まつげがかすかに震えて、止まる。

 

 唇は開いたままで、でも力が抜けていて、呼吸だけが静かに出入りしている。

 

 肩の力も、指の緊張も、全部すうっと抜けていって。

 

 まるで溶けかけの蝋細工みたいに、澪ちゃんの身体全体が、椅子の背にもたれかかって沈んでいた。

 

 

 

 息が――とても静かだった。

 

 胸元が、ふわ……ふわ……と、深い眠りの中の呼吸になってる。

 

 気配も、空気も、さっきまでとは全然違う。

 

 すぐ隣にいるのに、どこか遠くに行ってしまったような。

 

 

 

 私は、目を見開いたまま、それを見ていた。

 

 そして、ようやく理解した。

 

 

 

(……ああ、今のは)

 

(今の言葉は、澪ちゃんを――『落とす』キーワードだったんだ)

 

 

 

 その言葉を聞いた瞬間、澪ちゃんはトランスに入った。

 

 あの、私が何度も気持ちよくされてきた、あの感覚。

 

 心がふわふわにほぐれて、甘くてとろけて――もう、全部が心地いいあの場所へ。

 

 

 

(澪ちゃん、今……私のよく知ってる、あの気持ちいいところに、旅立ってるんだ)

 

 

 

 それに気づいたとき、私は自分でもびっくりするくらい、ドキドキしていた。

 

 

 澪ちゃんの唇が、かすかに動いていた。

 

 まだ喋っているつもりなのか、それとも反射的な名残なのか――わからないけど、言葉になることはなかった。

 

 瞼は完全に閉じていて、その縁がひく、ひく、と小さく震えてる。

 

 もう、彼女の中に「私」としての意志は、どこにも感じられなかった。

 

 さっきまであんなに表情豊かに動いてたのに、今はただ、静かに――そこに在るだけ。

 

 

 

 私は息を止めて、その顔を見つめてしまう。

 

 焼き付いて、離れない。

 

 

 

(……『ヒト』が……『モノ』になる瞬間だ)

 

 

 

 目の奥で、何度も何度も再生される。

 

 あのまま澪ちゃんが崩れていった、あの静かな、でも抗えない落ち方。

 

 魂がゆっくり抜け落ちていくような、でも……それを気持ちよさそうに受け入れてるような。

 

 

 

 信じられないくらい――えっちな光景だった。

 

 

 

 そして私は、分かってしまう。

 

 今、澪ちゃんがどれほど気持ちいいところにいるか。

 

 どれほど、深く、蕩けて、甘くされているのか。

 

 

 

(……ああ、わかる)

 

(わかっちゃう)

 

 

 

 嫌でも、自分の身体が思い出してしまう。

 

 息を吸っただけで、その時の感覚がぶわっと蘇る。

 

 

 

 座っている椅子の背から、じんわりと伝わってくる熱。

 

 背骨の付け根あたりがゾクッとして、腰の奥がきゅうんと反応した。

 

 それだけで――

 

 

 

「……っ♡」

 

 

 

 小さく、震えた。

 

 喉の奥がびくっと跳ねて、息が漏れた。

 

 

 

 私、また――イっちゃった。

 

 見てるだけで、触れてもないのに。

 

 たった今目の前で、澪ちゃんが「落ちた」その姿に、自分の快感が重なって――重なってしまって。

 

 身体の奥が、じんじんと余韻を引きずってる。

 

 

 

「澪。君は秘密の本棚になった。君の中には、どんな本でも入っている」

 

 澪ちゃんの横顔が、静かに揺れている。

 

 表情はとろけたままで、でもちゃんと、蒼真の声に応えているのがわかる。

 

 

 

「澪は、どんな本にでもなれる」

 

 その言葉に合わせて、瞼がぴく、と震えた。

 

 ゆっくりとした、落ち着いた甘い声。

 こっちまで気持ちよくなってくる。

 

 でも……ちょっと違和感。

 

 

(“澪は”……って)

 

 

 ひとつひとつの文のたびに、「澪は」って繰り返されるのが、なんだか妙に気になった。

 

 まるで、わざとそう言ってるみたいで。

 

 

 

(……え、なにそれ。もしかして)

 

(私が勝手に、トランスしちゃわないように、って……)

 

 

 

 心を見透かされたようで、ちょっとだけ、顔が熱くなった。

 

 自分では平静を保ってるつもりでも、たぶん蒼真には、バレてる。

 

 

 

「どんな物語も、澪を受け入れてくれる。それは、澪。君が一番、嬉しいことだね」

 

 

 

 ああ……。

 

 私は、思わずその言葉を頭の中で反芻した。

 

 

 

 澪ちゃんのこと、ちゃんと見てるんだなあ。

 

 言葉じゃなくて、もっと深いところを。

 

 

 

 彼女がどんな風に世界を見ていて、どんな場所に身を置きたいと思ってるのか。

 

 “本”になりたい。

 

 “物語”に混ざりたい。

 

 それが、澪ちゃんの本質なのだと――そう言い当てるように、蒼真は囁いていた。

 

 

 

(……やっぱり、私だけじゃなかったんだなあ)

 

(前から、こういうこと……してたんだろうな)

 

 

 

 澪ちゃんのための言葉。

 

 澪ちゃんのための催眠。

 

 私が欲しかったみたいに、彼女にもそれが与えられてた。

 

 

 

 そのことに、なんとなく胸の奥がざらっとした。

 

 でも、それは嫉妬っていうより――ただの、寂しさ。

 

 

 

 そのとき、不意に。

 

 

 

 ――春野さん、絶対彼氏できたよな……

 

 

 

 この前、教室の後ろで聞いた男子の声が、唐突に思い出された。

 

 

 

(……ううん)

 

(私と蒼真は、そんなんじゃないよ)

 

 

 

 そう思って、口の中で呟いてみる。

 

 でも、そのあとすぐに。

 

 

 

(……残念だけどね)

 

 

 

 私はほんの少しだけ目を伏せて、息を吸い込んだ。

 

 その空気は甘くて、苦くて、ちょっとだけ、切ない味だった。

 

 

 

 

 

 蒼真は、澪ちゃんに暗示を重ねていく。

 

 

 

「澪。君の中には、たくさんの物語がある」

 

 澪ちゃんの胸が、ふわっとひとつ、息を吐いたみたいに上下した。

 静かに、けど確かに、その言葉に応えてる。

 

 

 

「……ぁ……」

 かすれた、か細い息が澪ちゃんの唇から零れた。

 

 

 

「秘密の本棚には、知識と記憶、空想と幻想、すべてが並んでいる」

 

 唇が少しだけ開いて、細く息を吸い込む音が聞こえる。

 考えるより先に、感じてるみたいだった。

 

 

 

「……ぅ……」

 ほとんど音にならないほどの、小さな震え。柔らかい吐息。

 

 

 

(澪ちゃん、気持ちいいんだ……)

(蒼真の声で、澪ちゃんの大切な世界が、やさしく開いていく)

 

 

 

「扉をひとつ開くたびに、違う世界が広がっていく」

 

 瞼の奥が、ゆるく震える。

 

 

(えっち、だ……)

 

 

「……ぁ……ぁ……」

 唇がほころび、浅い息がふわりと広がった。

 

 

 

 何かが見えてるみたいに。

 いや、きっと見えてるんだ。

 

 

 

 けど、それが何かは、私には分からない。

 澪ちゃんにしか見えない、澪ちゃんだけの世界。

 

 

 

「ある日はおとぎ話。森の奥に住む魔法使いと、銀の羽根を持った獣たち」

 

 澪ちゃんの頬がほんのり染まって、目尻がほどける。

 幸福に染まる横顔。陶酔の表情。

 

 

 

「……ふ、ぁ……」

 うっとりと、夢のなかで笑うような吐息が落ちた。

 

 

 

 喉の奥が熱くなって、私は思わず膝の間で指を組み直した。

 かすかな嫉妬。憧れにも似た、共鳴。

 

 

 

「ある日は星々の図書館。光の言葉で紡がれた、誰も知らない未来の記録」

 

 澪ちゃんの指先が、机の縁をすり……と撫でる。

 そこには、きっと誰にも触れられないページ。

 

 

 

「……ぁふ……」

 澪ちゃんの喉がわずかに鳴って、呼吸が甘くほどけた。

 

 

 

 私の脇腹の奥が、くすぐられるように、ふるっと震えた。

 息を吸うだけで、甘くなる空気。

 

 

 

「ある日は、誰とも知れない少女の書いた、小さな恋の物語」

 

 喉が小さく震えて、澪ちゃんの口から艶めいた吐息が落ちる。

 

 

 

「……ん……♡」

 蕩けた声。ほんの少し、うらやましくなる。

 

 

 

 思わず私も息をのんだ。

 喉が勝手に鳴って、胸の下のあたりが、ぐっと熱を持つ。

 

 スカートの中の脚が、知らないうちに組み直されてた。

 

 

 

(ねえ、澪ちゃん)

(そんなに……気持ちいいんだね)

 

 

 

 私の心も、その景色に引き込まれていく。

 澪ちゃんとは違うけど――その心地よさは、私にも分かってしまう。

 

 

 

(私も、そうだったから)

(蒼真はずっと……私の“世界”に、寄り添ってくれたから)

 

 

 

「その世界に触れるたび、澪は、その中にいる」

 

 肩がわずかに落ちて、澪ちゃんの身体全体が、ふわりと沈んでいく。

 

 

 

「……ん、ふぅ……♡」

 夢の奥でほどけていくような、幸福の響き。

 

 

 

 それを見るだけで、私の下腹がじんわり疼いた。

 知らず、腰が少しだけ浮いた気がした。

 

 

 

「ページをめくるたび、澪の心に風が吹く」

 

 首がわずかに傾く。夢の重力に引かれているように。

 

 

 

「……ふ、ぁぁ……」

 澪ちゃんの喉奥で、甘くとろけた声が広がった。

 

 

 

「どんな言葉も、物語も、澪を包んでくれる」

「それが嬉しいね。……澪にとって、それが、いちばん嬉しいことだね」

 

 

 

「……ん、んぅ……♡」

 唇がわずかに揺れて、やわらかな吐息がとろけた。

 

 

 

 目の前で起きているすべてが、私の身体にも入り込んでくる。

 肌の表面がじんじん熱くて、下着の中も、ほんのり濡れているのが分かった。

 

 

 

(こんなの、誰だって好きになるに決まってるでしょ)

 

 

 ――蒼真は、ずるい。

 

 

(私じゃなくても……こんな風にしてもらった女の子なら、みんな)

 

 

 

 澪ちゃんの蕩けた顔が、たまらなく綺麗で。

 その幸福に寄り添う蒼真が、憎らしいほど優しかった。

 

 

 

 

 

 

 

「澪。君の心の中には、本がある」

 

 蒼真の声は変わらず穏やかで、静かだった。

 それでいて、ゆっくりと澪ちゃんの中に入り込んでいく。

 

 

 

「澪は……その本のとおりになれる」

「本の世界と、ひとつになれる」

 

 

 

 澪ちゃんの唇がゆるやかに揺れる。

 

 

 

「……ふ、ぁ……」

 それは、たしかに気持ちよさそうな、うなずきだった。

 

 

 

「それが澪にとって、いちばん幸せなことだよね」

「だから澪は、本のとおりになっていると……どんどん、気持ちよくなっていく」

 

 

 

 瞼がかすかに震え、まつげの影が頬に落ちた。

 頬が、ほんのり染まっていくのが見える。

 

 

 

「……ぅん……」

 

 

 

 甘い声。

 もう言葉でも、意志でもなく、ただ感じたことだけが、そこにある。

 

 

 

「澪は、えっちな子だから……」

「本に従っているだけで、どんどん、えっちな気持ちよさを感じちゃう」

 

 うわ。

 

「本のとおりにしているだけで……幸せで、勝手にイっちゃうくらい……気持ちよくなる」

 

 

(……何言ってるのさ、スケベ)

 

 

 でも。

 澪ちゃんの唇はかすかに開いて、深く甘い呼吸がもれた。

 

 

 

「……ん、ぁぁ……♡」

 

 

 

 私は何も言えなかった。

 でも、その姿を見ているだけで、どうしようもなく胸が詰まる。

 

 

 

(澪ちゃん……)

 

 

 

 可愛い。

 悔しいくらいに、可愛い。

 

 

 蒼真は、静かに言葉を続ける。

 

 

「澪。君の心の本棚から、今日は一冊、特別な本を取り出そう」

 

 

 澪ちゃんの胸が、ふわりと上下する。

 小さな反応。でも、その中に、確かにとろける気持ちがあるのがわかった。

 

 

「君の中にある、いちばん素直で、いちばん簡単な本」

「とても小さな子のための、絵本だよ」

 

 

 

 思わず、小さく声が出た。

 

 

 

「……え……」

 

 

 

 自分の声だと気づいて、あわてて口を押さえる。

 でももう、遅かった。蒼真も気づいたかもしれないけど、誰も何も言わない。

 

 だって、澪ちゃんがそんな可愛い本を読んでる姿なんて、全然想像つかない。

 

 

 

 蒼真の声が、続いた。

 

 

 

「その本は、全部ひらがなで書いてある」

「とっても簡単なことしか、書いていない」

「むずかしいことは、なにもわからない小さな子供の本だ」

 

 

 

 澪ちゃんの身体が、さらにふにゃりと緩むのが見えた。

 骨の力が抜けていくような、やわらかな沈み込み。

 

 

 

「……ぁ……う……」

 

 

 

 でも、それでも――

 

 

 

 抵抗してるのかな。

 澪ちゃんはきっと、賢い女の子で居たいだろうし。

 私みたいに、ちょっとおバカでもまあいいか、とは思わないよね。

 

 

 

 蒼真の声が、さらに追い込んでいく。

 

 

 

「今日の澪は、小さな子供だよ」

「むずかしいことは、なにもわからない」

 

 澪ちゃんの喉が、ひゅっと鳴って、うめくような息がもれる。

 

「なにを聞かれても、あたまのなかがふわふわして……どんなに考えても、わからなくなる」

 

 

 

「……ぅ……や……」

 

 

 

 それは、小さな、かすかな抵抗。

 でも、あまりにも弱くて、無力で――

 

 

 

「質問されても、どんなに簡単なことでも、澪には絶対に分からない」

「考えても、考えても、わからないんだ」

 

 

 

 その瞬間、私は息を呑んだ。

 胸の内が、ふるふると揺れる。

 

 

 

 あの澪ちゃんが。

 クラスで誰よりも静かで、大人びてて、蒼真と難しい話をしてた――

 賢くて、気高くて、他人をあまり寄せ付けない優等生。

 そんな澪ちゃんが。

 

 

 

 そんなふうになるなんて。

 

 

 

 どうしようもなく、ドキドキした。

 でもそれは、怖さじゃなかった。

 たぶん――これは、えっちな気持ちだ。

 

 

 抵抗しているらしい澪ちゃんに。 

 

 蒼真の声が、やわらかく、寄り添っていく。

 

 

 

「でも、大丈夫」

「僕や、ひまりが教えてくれたら、ちゃんとわかる」

 

 

 

 えっ、いきなり名前呼ばれた。

 びっくりして、心臓が跳ねた。

 

 

 

「だって、教えてくれることが、間違ってるわけがないよね」

「だから、安心していい」

 

 

 

 蒼真が、何をやりたいのか、何となくわかったかも。

 

 それって、私が澪ちゃんに“教える側”ってこと……?

 うわ、すごく面白そう。

 

 

 

「ちょっと変に思えても、それは正しいこと」

「澪が信じる人が教えてくれることだから」

 

 

 澪ちゃんの表情が緩む。

 

 

「だから、教えてもらったことは、ぜったいに正しい」

 

 

 

 澪ちゃんの顎が、揺れるように、こくん、と小さく動く。

 

 

 

 ――ゾクっとした。

 

 

 

 だって、それがあまりに従順で、綺麗で――

 

 

 

 本当に、聞き分けのいい子供みたいだったんだから。

 

 

 

 そして、蒼真の声がすっと落ち着く。

 

 

 

「それじゃあ、その絵本に、特別なカバーをかけよう」

 

 

 

 私は思わず、姿勢をほんの少しだけ前に倒していた。

 その先に、どんな“澪ちゃん”が現れるのか――知りたくてたまらなかった。

 

 

 

「表紙だけは、いつもの澪が読んでいる、難しそうな本に見える」

 

 

 

 澪ちゃんのまつげが、やわらかく揺れた。

 

 私は、息をひそめたまま、続きを待った。

 

 

「だから澪は、自分が“ちゃんと考えてるつもり”でいられる」

 

「でも実際には、やっぱり難しいことはなにもわからない」

 

 

 

 澪ちゃんの表情は穏やかで、優しい笑みのようにさえ見える。

 まるで何も知らずに微笑む子供。

 “自分では気づいてない”って、こういうことなんだなって思った。

 

 

 

「わからなくて、くやしいよね」

 

 

 

 澪ちゃんの喉が、ひゅっと鳴る。

 ほんの少しだけ、口角が揺れた。

 

 

 

「でも、本のとおりにしていると……とっても気持ちいい」

 

 

 

「……ん……、ぁ……♡」

 

 

 

 聞こえた。

 とろけた声。

 さっきまで悔しがってたのに――もう、あんな声を出してる。

 

 

 

「澪は、本が大好きだから、自然に本のとおりになる」

「そうすれば、幸せになれる。気持ちよくなれる」

 

 

 

 私は唇を噛んだ。

 だって、それが……あまりにも、気持ちよさそうだったから。

 

 

 

「でも……自分では、その気持ちよさに気づかない」

「本に夢中になっているときって、そういうものだよね」

「幸せに浸っていても、甘くイってたとしても、そのことには、気づかない」

 

 

 

 澪ちゃんの肩が小さく震えた。

 目元に力はなくて、ただただ、甘く蕩けている。

 

 

 

 蒼真の声が、少しだけ間をおいてから、ゆっくりと落ちてくる。

 

 

 

「澪。今日の本は、もう手の中にある」

「絵本のページは、もう開かれている」

「本のとおりに、澪はなれる」

 

 

 

「……ふぁ……」

 

 

 

 澪ちゃんの唇が、わずかに開いた。

 その声は、どこか嬉しそうで――どこか無邪気だった。

 

 

 

 そして、蒼真が小さく息を吸う。

 声に、やわらかくも鋭い響きが宿る。

 

 

 

「さあ、澪――『読書を始めよう』」

 

 

 

「……う、ぁ……♡」

 

 

 

 澪ちゃんの肩が、ふるりと震えた。

 小さく、だけど確かに――目の奥まで反応してる。

 

 ぶるぶる、まぶたが震えた。

 

 

 首筋がぴくりと動いて、背中のラインがしなやかに波打った。

 指先が震え、膝が内向きにすこし寄る。

 

 

 

 ――『秘密の本棚』で、『読書』。

 

 

 

 そういう起こし方なんだ。

 澪ちゃんらしいな。

 

 

 

 そして、澪ちゃんのまぶたが――静かに、開いた。

 

 

 

 

 

 まぶたが持ち上がる。

 薄く光を宿した瞳が、ぼんやりと宙を見て――それから、少しだけこちらを向いた。

 

 

 

 蒼真が、やさしく問いかける。

 

 

 

「澪、大丈夫?」

 

 

 

 澪ちゃんは、ゆっくり瞬きをしてから、唇を開く。

 でも、その返事は――なんだか、とてもおぼつかない。

 

 

 

「あれ……だいじょうぶ、って……えっと……わかんないけど、うん……?」

 

 

 

 声が、ふわふわしてる。

 意味も、自信もあいまいで、どこか子供みたいな言い方。

 

 

 

 あ、本当に掛かってるんだ。

 私の目の前にいる澪ちゃんは、もう“普通”の澪ちゃんじゃないんだ。

 

 

 

 いつもの丁寧で落ち着いた雰囲気だけが、なんとか残ってるけど――

 その目の奥は、どこかぼんやりしてる。

 

 

 

 私、なんて声をかければいいんだろう。

 普通に話しかけていいのかな。

 でも、普通じゃないって、見ててわかる。

 

 

 

 そう思って黙ってると、蒼真が何でもない調子で口を開いた。

 

 

 

「そういえば、澪が読んでるその本、どんな本なの?」

 

 

 

 あっ。

 その質問――ちょっと、ずるい。

 

 

 

 澪ちゃんが読んでるのは……うん、『従妹ベット』。

 でも――今の澪ちゃんは、それが答えられないんだよね。

 暗示で、「簡単なことがわからない」って、されてるから。

 

 

 

 澪ちゃんは本を見て、ぱちぱちと目を瞬かせた。

 そして、口を開く。

 

 

 

「これ……えっと……これはね……その……あの、えーと……」

 

 

 

 やっぱり。

 出てこないんだ。

 知ってるはずなのに、言葉にならない。

 

 

 

 私は、本の表紙を指差して、少しわざとらしく言ってみた。

 

 

 

「この漢字、なんて読むの? “じゅう”? “いもうと”?」

 

 

 ぶっちゃけ、私は読めない。

 でも、澪ちゃんは読めるはずだもんね、絶対。

 

 

「え、えっ?」 

 

 

 澪ちゃんがびくっとして、視線を本に落とす。 

 

 

「……あれ……えっとね……わかるよ。わかる、もん……」

 

 

 

 ページをめくるわけでもなく、ひたすら表紙を見つめてる。

 その視線がだんだん揺れて、眉が少し寄って――

 

 

 

「……わかるから、まって……ね……?」

 

 

 

 声が、くぐもっていく。

 まるで、頭の奥のほうに沈んでいくみたいに。

 

 

 

 澪ちゃんは、本をぎゅっと抱えるみたいに持ち直して、もじもじと身体を揺らす。

 

 

 

 そして――

 

 

 

「……ふ……ぅん……♡」

 

 

 

 ああ、もう、感じてる。

 わからないってことが、気持ちいいってことに、なっちゃってるんだ。

 蒼真の暗示が、澪ちゃんの中で、ちゃんと生きてる。

 

 

 

 澪ちゃんが、小さく腰を引いて、膝をぎゅっと揃える。

 

 

 

 見てるだけで、こっちまで熱くなる。

 でも、それ以上に……ちょっと、悔しいな。

 

 

 

 だって――こんなの、幸せに決まってるじゃん。

 

 

 蒼真が、ふっと笑って言った。

 

 

 

「いとこ、だよ。いとこ」

 

 

 

「へー、そうなんだ。蒼真って、やっぱ頭いいね」

 

 

 

 私が素直に言うと、澪ちゃんがハッとした顔で口を開く。

 

 

 

「そ、そうだよ。いとこ……えっと……ベ……ット?」

 

 

 タイトルを一文字ずつ、指で押さえながら読んでる。

 

 ちょっと怪しいイントネーションだったけど、なんとか言えた。

 

(……あ)

 

 そうか、子供になっても、カタカナは読めるんだ。

 澪ちゃんはえらいなー。

 

 でも。 

 

「答え聞いてから言われてもなあ」

 

 蒼真は容赦なかった。

 

 彼がそう言うと、澪ちゃんがぷるぷるしながら抗議してきた。

 

「知ってるもん! ほんとに、知ってるんだよ!? うそじゃないもん……!」

 

 

 可愛い。

 

 可愛いから、次は私ね。

 

 

「じゃあ、じゃあじゃあ、作者のこれ、えーっと……バルザックさん? どこの国の人なの?」

 

 あ。 

 

 その瞬間、澪ちゃんの表情がピタッと止まった。

 

 

 

「え……く、に……?」

 

 

 

 声が小さくなって、目が泳ぐ。

 さっきと同じ、考えても考えてもわからない顔。

 あれだけ賢かった澪ちゃんが、ほんとに、子供みたいな顔してる。

 

 

 

「いや、だってそんなの……うう……わたしのせいじゃないもん……」

 

 

 

 目元が潤んで、ぐるぐる迷子になったような顔で、本をぎゅっと抱きしめた。

 

 

 

「国とか、そんなの気にするわけないじゃない……ひまりちゃん、意地悪だよ……」

 

 

 

 泣きそうな顔のまま、パラパラと本を開いて、一文字ずつ読むように目で追っている。

 でも、すぐに瞼がとろんとし始めて、口からは甘い声が漏れた。

 

 

 

「ん……ふぅ……あ、あれ……なんで……♡」

 

 

 

 身体をもじもじさせながら、指先でページの隅をさまよわせる。

 

 

 

 これ、もう絶対、まともに読めてない。

 でも必死に“読もうとしてる”ところが、なんかもう、たまらなく可愛い。

 

 

 

 しばらくそんな様子を見ていた蒼真が、ふっと口を開く。

 

 

 

「フランス人だろ。澪が教えてくれたんじゃなかったか?」

 

 

(またフランス人なんだ??)

 

 

 でも、その瞬間――

 

 

「……♡っ」

 

 

 

 澪ちゃんが、びくんと肩を震わせた。

 

 

 

 動きが止まって、足元がぎゅっと閉じられる。

 

 

 

 私は、それを見て……なんとなく分かっちゃった。

 

 ――イった、ね。これ。

 

 同性の勘ってやつ。

 今の澪ちゃんの反応、完全に“そう”だった。

 

 

 

 あーあ。

 いいなあ。

 気持ちよさそうに、イかされちゃって。

 

 ずるいんだ。

 ずるい澪ちゃんは――

 

(もっと、いじめてあげなくちゃ、ね♡)

 

 

 

2件のコメント

  1. 頭のいい子が考えられなくなってあたふたするのはかわいいなぁ(not無様化)
    一人ひとり違う導入方法って考えるのも大変だし、人数増えてくると管理も大変だろうなぁ
    そして澪ちゃんが催眠をかけられて気持ちよくなってるのを見て嫉妬するひまりちゃんもかわいい。
    Sっ気が出てきてるけどひまりちゃんもついでに落としてしまえばいいと思うのでぅw

    1. これは完全に筆者の趣味なのですよね。
      催眠は相手を理解して相手の求めるように誘導してあげるのが好きなのです。
      まあひまりも当然可愛がられますよねこの展開。仕方ない。

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