BB 第2話

 少し前、まだ物語の語り部が存在しない頃の話。  その時にはまだ見る事ができず、私の中では、音が世界の全てを構成していた。  徐々に、徐々に。  視界を得るためには、贄が必要だ―――。 「――――――まあ簡単なものですし

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BB 第1話

第1話  不純物が入ったかのように身体が重い。  昨日は飲みすぎた……いや、それ以前からの体調不良だ。  朝から憂鬱な気分になりながらも、なんとか体を起こしベッドから這い出す。  いつまでたっても目が像を結ばないのでよう

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BB 第0.5話

第0.5話 「―――もしもし。吉野だ」 「手紙は届いたぞ。……というより届いたからこそこの番号にかけたんだが」 「実験などと称して、結局君が楽しいだけだろうに」 「まあ、こっちも丁度いい女がいて……おいおい、そんなの持ち

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AA 第四話

 朝から不良に絡まれるなんてのは、運勢が最悪な象徴だ。  その度に、もう朝の占いなんて信じないと固く誓う。  普通の人にとっては。    不良達が静止している、奇妙な情景。  中心の少年は服についた砂をパンパンとはらって

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AA 第三話

「瑛一・・・昨日はサボりか?」 「いや・・・違うけど・・・お前痩せた?てかクラス全員ぐったりしてるような・・・」 「お前がサボったせいでな・・・鬼頭さんの授業が・・・10kmってレベルじゃ・・・ねー・・・」  清清しい朝

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AA 第二話

「御機嫌ですね」 「そうかい?」  明かりの一切無い暗い部屋。ビルの最上階窓からは、眠ることの無い大都市の夜景が見える。  窓際にあるデスクには、闇に溶け込みそうな格好の男が一人。 「一年ほど、そのような顔は見てませんで

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AA 第一話

 昔、交通事故があった。  雨の日の夕暮れ時。山道でのありがちなスリップ事故。  家族4人が崖下に転落し、両親と兄が死亡、弟が重傷を負う悲惨なものだった。  生き残った少年は頭を強く打ち、意識不明。  その後、数週間に渡

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