魔法使いの小冒険 第六話

第6話

 ハケが頭に命中しちゃって失神しちゃった僕が、意識を回復したのは、15分ぐらい立ってからのこと。僕を心配そうに見ていたのは、ちゃんと服を着た、里美ちゃんだったんだ。ここはモールからすぐの、街の目抜き通りのベンチ。里美ちゃんに膝枕してもらって寝転んでた。駅前でもあるし、平日のお昼過ぎなんだけど、相当賑わってる場所だよ。状況がだいぶわかってきて、デパートの前の階段を見ると、さっきまで、手すりでオナニー行列作ってた女の人たちはもういなくなってた。どうもピンプルがちゃんと後始末してくれたみたいだね。助かったよ。

「草野君、気がついた?突然空から何か降ってきて、気絶しちゃったんだってね。すっごく心配したのよ。」

 里美ちゃんが心配そうに、タンコブが出来てるあたりをイイコイイコしてくれる。やっぱり優しい娘だなあ。

「もう大丈夫みたい。いてて、・・・ったく何であんなとこで、空からハケなんて落ちてくんだよ。」

「草野君、可哀想。」

 膝枕から起き上がると、まだ里美ちゃんが泣きそうな目で、僕を心配してくれてる。里美ちゃんだって、さっきまですっごいハイレグ水着着て、人前でエアロビやったり、手すりにアソコ擦り付けて野外オナニーさせられてたんだから、充分可哀想なんだけどね。あ、僕のせいか・・・。

「ったくトロいボウズだな。オイ!今時ノビ太だってそんなドジこかねえぞ!魔法使いってのはもっとスマートに行かねえといけねえぜ。」

 ベンチの背もたれに両足を引っ掛けて、逆さまにぶら下がってるピンプルが、また僕に毒づいてる。

「うるさいなあ、もう。空からハケなんて、出来杉君だって予測出来ないってば。もういいから、さっきみたいな、でっかいことがまたやりたいよ。何からやろう。うーんとねえ・・・。」

「おいボウズ。ちょっと待てよ・・、空からハケ・・・。何か引っかかるんだよなー。」

 ベンチの背もたれで逆さまにぶら下がったまま腕を組んでるピンプルはほっといて、僕はさっきの興奮がまた高まってくるままに、駅前の大通りをキョロキョロ見回したんだ。

「ええっと、何か面白そうなものはないかなー・・っと」

 駅前とデパートの前の大通りが交わるここの目抜き通りは、とにかく色んなモノがゴチャゴチャしてて焦点が絞りにくいんだ。交差点では人や車、配達のバイクなんかが、ごったがえしてる。時計の下には待ち合わせの人が一杯。歩道の端っこにはアクセサリーの露天商がいくつか。たこ焼きとかクレープの屋台には行列ができてる。大きなビルについてる大きなテレビには携帯のCMが流れてるけど、選挙カーのウグイス嬢の声や、歩行者用の信号音と喧嘩してて、何言ってるのか全然わかんない。ビジネスマンもOLもいれば、学生っぽい人、フリーターっぽい人、カップルも一杯。もー。なんで金曜の昼間からこんなにみんな街にいるんだ。僕ら学生は土日しか遊びに来れないのに!羨ましいぞ。よーしっ。選んでるのも面倒くさい。こうなったもう、手当たり次第行っちゃえ!イテマエ打線だー(特に意味ないよ)。

 まずはでっかい交差点の手前側にある、女の子やOLさんたちが長い行列を作ってる、クレープ屋さんに近づいてく。ホントに女の人ってこういう、甘いものが好きだよね。歩きながら僕の胸からお腹にかけてと背中に大きく、『僕のこと気にしないで』って書いたサブジェクティブ・レーブルを二つ書いちゃう。屋台の店員さんとお客さんたちに無視されながら、クレープ屋台のメニューが書いてある看板にも、サブジェクティブ・レーブル第2の紋章。
『女の人はクレープよりも、自分のパンツが大好物。スカートやズボンも放り投げちゃって、自分のパンツを食べ歩こう。しゃぶり歩こう。とってもおいしいよ。男の人は気にしないでね。』

 ・・・どう?看板を見て、何のクレープにしようか迷ってたはずの女の人たちの視線が一瞬止まっったでしょ。見えてはいないはずの紋章に目を留めながら、「ん?」って首を傾げてる。一瞬の間が開いたと思ったら、みんなおもむろにジーンズやスーツのズボンやスカートのチャックを下ろして、スルスル脱いでは、ポイポイ投げ捨てちゃう。こうやって気にかけて見てると、パンティーの柄とか色って沢山あるんだね。次に脱ぐのはパンティーとなると、最初はちょっと周りを気にしてモジモジしてる人も多かったけど、みんな食欲には勝てずに、こんな街のど真ん中で腰をかがめて、パンティーまで下ろしちゃったと思ったら、嬉しそうにかぶりついちゃった。クレープみたいに食べようとしてるけど、もちろん噛み切れないから、一生懸命手と歯で引っ張って、パンティー伸び伸びになっちゃってるよ。赤、白、黄色、花柄、ストライプ、みんな悪戦苦闘しながらも美味しそうに、口に入れたり出したり、クチャクチャやりながら、四方八方に歩き出しちゃった。友達のと交換し合いながら、嬉しそうにお互いのパンティ食べ歩いてるOLさん2人組も、制服の下はスッポンポンなのに、平気で会社に帰って行っちゃうよ。上はおしゃれに重ね着してるギャルちゃんは、下は何にも履いてなくて、その下がブーツだから、ギャップで余計ヤラしい感じだね。こっちの、ビシっとブランドスーツとブランドバッグでキメてるお姉さまも、シルクのパンツが噛み切れなくて、口から出し入れするたびに、涎がだらだら、細いあごを伝ってるよ。それでも気取りながら歩いてるみたい。足をクロスさせて歩くたびに、お尻がプリンプリン揺れてる。髪の毛も眉毛も染めてるコたちも、下の毛は黒いままなんだね(当たり前?)。毛が薄いコ、濃いコ、モジャモジャの人、パンツに押さえつけられてた形のままの人、よくよく見ると色々いて面白いね。お尻だって、大きいお尻、キュっと小さいお尻。ポヨポヨ揺れてるお尻、硬そうに引き締まったお尻・・・。熱中して見てるうちに、みんなそれぞれの方向に歩き去っちゃった。クレープ屋さんの看板とか見てない通行人とか、交差点の車とかはちょっとパニックになってたけど、まあ面白いモノ見れてるんだから、いいよね。それどころか、普通に通り過ぎようとしてく女の人たちの中にも、クレープのメニュー看板が気になって目で確認しちゃう人は結構いるみたいで、ここの通りには、おかしな女の人が大量発生しちゃってるよ。みんな食いしん坊だったから、こんな恥ずかしいことする羽目になったんだよ。

 自分のレーブルを消しながら、女の人たちの様子を満足げに見てると、ふと隣からジュパジュパ聞こえる。目をむけたら、あちゃー。里美ちゃんまで、クレープが気になっちゃってたみたい。ここにいた女の人たちと同じように、下半身スッポンポンになって嬉しそうに、お餅みたいに純白のパンティーを口で引っ張ってる。白いお肌の下半身には、ハイレグの水着を食い込ませた時の跡が、まだちょっと赤く残っちゃってて、なんか可哀想な感じだよ。

「里美ちゃんまでクレープ気にしちゃってたの?もー、スカートは?」

「あっひ」

 里美ちゃんがパンティーに夢中になって口をモゴモゴさせながら指差した先、10mぐらい向こうの地べたには、大事なチェックのスカートが、無造作に脱ぎ捨てられてたじゃない。もう、僕の彼女が人前でこんなお行儀の悪いことしてたら、魔法使いのメンツに関わっちゃうよね。まあ、また僕のせいなんだけど。

 僕が里美ちゃんにバブルを当てて、スカートを取りに行かせてると、今度は反対側から悲鳴が上がった。忙しいなあ。

「だからこんなところで、止めて下さいってば~。ホント迷惑ですから脱がないで下さいよ~。・・・も~、なんで~?お客さんがみんないなくなっちゃったよ~。ちょっと、何でみんな服をここに脱ぎ散らかしてるのよー!ホントひどいよー。」

 赤い三角巾と赤いエプロンの、クレープ屋さんは、小柄でちょっとロリっぽい顔してる、意外と可愛いぽっちゃりさん。泣きそうになって出してるその声も、どっちかというとアニメ声だし、もう画に描いたような、甘いモノ屋の店員さんだったんだ。

「店~員さん、ほら、アレアレ。」

 屋台の前に出てきて、途方に暮れてる店員さんを、僕が呼び止めて、原因を教えてあげたよ。やっぱり困った人は助けてあげないとね。

「ハイ?・・あっ・・・」

 僕が嬉しそうに指差した、屋台のメニューの看板を見た、ロリ入ってる店員さんは、そのまま看板に釘付けになりながら、エプロンの下に履いてた、七分丈のジーンズをズルズル脱いで、他のズボンやスカートが散乱してる歩道に同じように投げ捨てちゃった。ピンクのハートとか星とかの柄がガチャガチャついてる、妙にポップなパンティーも脱いじゃうと、メニューの看板を見たまま、パンティーをちっちゃい口に入れちゃった。

「ぐすん。・・・私のクレープよりおいしいよ~。」

 汗かいて仕事してた自分のパンツの方が、一生懸命作ったクレープより美味しいなんて、悔しいやら、悲しいやら、美味しいやら。店員さんは、泣き笑い状態でパンツをクチャクチャやってるよ。お客さんも自信も無くしちゃったみたいで、ちょっと可哀想だからバブルを当ててあげようね。

プーゥゥゥゥウウッ
『今日はここに散らかってる、スカートとかズボンを古着屋さんに売って、売上の補填にしよっと。こんな出来事は今日しか起こらないと思うから、明日からまた頑張るわ。そうだ、このおいしいパンツの味も商品化出来るかも。』
フワフワ

 今度ここに来た時には、クレープ屋さんに新たなラインナップが登場してると思うよ。でもこの看板の紋章は今消しちゃうから、多分そのメニューは凄い不評だけどね・・いや、ブルセラ好きのオジ様とか、新たなお客さんが開拓出来るかも?

 さあさあ、どんどん魔法を使ってみよう。キョロキョロしてるとやっぱり目につくのが、さっきから耳障りだった選挙カー。交差点の向こう側で、ウグイス嬢が延々と、誰かの名前を連呼してる。白いワンボックスカーの窓からは、キレイだけどちょっとケバそうなお姉さんたちが、真っ赤な揃いのジャケットを羽織って、手を振ってるよ。ちょっとここからだと遠そうだけど、頑張ってバブルを5つぐらい飛ばしちゃおう!

 選挙カーがノロノロと、交差点のこっち側に近づいてくる。ちょうどバブルがフワフワと車の中に入ってったよ。ウグイス嬢の声がピタっと止んで、窓から手を振ってたお姉さんたちも、見えなくなっちゃった。

「おっぱい。おっぱいです。皆様のおっぱいをどうぞよろしくお願いいたします。」

 次々と、お姉さんたちがジャケットも中の服も脱いじゃって、ブラジャーをずらしておっぱいを放り出した、凄い格好で窓から姿を見せてくれたよ。みんな大きく手を振るたびに、おっぱいがダイナミックに揺れてるね。

「今日も揺れております。皆様のために一生懸命揺れております。現在の市の行政には、おっぱいが必要です。皆様のおっぱい、おっぱいをよろしくお願いいたします。」

 選挙カーがゆっくりと、僕の目の前を通り過ぎてくよ。助手席に座ってるウグイス嬢は、声とは違って、ちょっと実物は年がいってるかな?後ろの窓からは、白い手袋のお姉さんたちが、窓から身を乗り出して、おっぱいを持ち上げてこっちに愛想を振りまいてくれてる。

「おっぱいでーす。よろしくお願いしまーす」

「若くてフレッシュなおっぱいを、どうぞよろしくお願いしまーす」

「がんばってー・・。僕、選挙権ないけど」

 多分僕のつぶやきは聞こえなかったと思うけど、小っちゃく手を振った僕に対して、選挙カーのお姉さんたちは嬉しそうに、激しく手を振ってくれた。おっぱいもブルンブルン。多分この選挙カーの持ち主の候補者、選挙前に失格になっちゃいそうだね。でも市の話題作りには貢献しそうだから、本望かな?だって一旦通り過ぎた男の通行人が沢山、小走りで選挙カーを追いかけてるよ。サラリーマンとか目の色変えて手を振ってる。お姉さんたちはもう反響が嬉しくて、箱ノリ状態になって、手を振ったり両手でおっぱいゆすってみたり、大サービス。車は向こうに行っちゃったけど、まだウグイス嬢の声が聞こえてる。

「ありがとうございます。ご声援ありがとうございます。おっぱいです。おっぱいです・・。」

 あの車はああやって今日一日、街をぐるぐる廻るんだね。それともどっかで止められちゃうかな?

「なあに?あの選挙カーは。ジュジュっ・・あたまおはひなひとたひじゃないの?ひとまえであんなほほ」

「そうでひゅねえ」

 気がつくと、クレープ屋の店員さんと、里美ちゃんが、眉をひそめて、今見たものの話をしていたよ。でも二人とも、そろそろパンティーを口から離してからそういうこと言いましょうね。もう使い物にならないぐらい、パンティーが伸びちゃってるし、両手まで、唾液でビショビショでしょうが。

 里美ちゃんと店員さんはパンティーの暗示を解除してあげて、ビチャビチャになったパンティーを、なんとか履いてもらったよ(パンティービチャビチャってなんかヤラしい響きだね)。二人にはそこら中に散らばってる、ズボンやパンツを拾い集めてもらうことにしたんだ。もう、二人のパンティーはゴムから生地から伸びきっちゃってるから、拾い集めてる間もしょっちゅう、ズルズル太ももまで落ちてきちゃうみたいだけど、なんだかそれを真っ赤になりながら必死で引っ張り上げて、懸命にお片づけをしている二人の姿は、如何にも女の子の恥じらいを取り戻してくれたって感じで、安心したよ。二人とも今では、なんで自分がこんなにパンティー濡らしちゃってるのかも、なんでこんなにずり落ちてきちゃうのかも、なんで道端で他人の服を拾ってたたんでるのかもわかんないけど、とにかく義務感にかられてお片づけしてるんだ。あ、そうだ店員さんにもちゃんと七分丈のジーンズ、履かせてあげないと、ね。無数に服が脱ぎ散らかされてるから、二人とも自分のパンティー気にしながらの掃除だと、30分以上かかっちゃうかな?

 二人が丁寧にお片づけしている間にも、どんどんこの街角の風景を、魔法で変えてくことにしたよ。もう気分がノってた僕は、ノーティー・バブルも、サブジェクティブ・レーブルの第1、第2の紋章も使いまくって、手当たり次第いたずらしちゃった。

 もうそろそろ30分たったかな?にぎやかなこの街の目抜き通りは、すっかりピンク魔術で様変わりしちゃったよ。四方の歩行者用信号に紋章を書いてあるせいで通行人はほとんど異常を気にしてないみたいだけど、車の方は大渋滞になっちゃってる。だってこの通りは、もう、変な人だらけになっちゃってるんだもん。電信柱には、何人もの女の人が、自分をカブトムシだと思って、全裸でよじ登っては熱烈なキッスをして、「蜜を吸い出してる」。下から見るとアソコもお尻も丸出しなんだけど、ちょっと離れてみると、なんかの雑技団みたいで面白い光景だよ。登ってる女の人を見て、ギョッとして、電信柱を見ちゃった女の人は、自分もうっかり第2の紋章を見ちゃって、嫌でもカブトムシの仲間になっちゃうんだね。あっちの電信柱では、彼女がスッポンポンで登っちゃってるのを、下で彼氏が怒って呼んでるね。でもショートカットでキュートなカブトムシちゃんは蜜を吸うのをうるさく邪魔してる彼氏に、上からオシッコひっかけちゃったよ。

 お洒落なデザイナーズショップのショーウィンドーには、さっきまであったいくつかのマネキンが全部倒されちゃって、替わりにハウスマヌカンさんたちとお客さんたちの、「なりきりマネキン」がズラっと陳列されちゃってる。みんなお店に書かれた第1の紋章の力で、「今、マンコは隠さず見せつけるのがクール」っていうテーマで、自分なりの格好とポーズを、外の人たちに見せつけてるんだ。ちょっと腰をくねらせて、膝までズボンとパンティーを下ろして、右手でアソコを開いてるハウスマヌカンさんは、口をすぼめて、左手で髪を掻き分けながら、こっちを見下ろすようなポーズのまま硬直してる。さすが、オシャレにいつも気を使ってる人はどんな格好でも画になるね。でもガラスにぺったり、開いたお尻を貼り付けちゃってる若奥様なんかは、外のギャルたちに「黒いってば」とか言われて笑われてるよ。それでも中の奥様はすっかり陶酔しちゃったままだねぇ。指差されて、ゲラゲラ笑われてるのに、もう自分がクールに思えてしょうがないのかな?

 お店の前から歩道に白い机を出してた携帯のブースは、そのままテレフォンセックスのブースになったから、みんな自分のおっぱいを揉みしだきながら、自分の携帯の登録番号に、片っ端からエロ電話かけちゃってるよ。黄色いジャンパーをはおって、新商品の案内してたはずの店員さんも、興味で見にきてただけのはずの女の子たちも、みんなイスに前後反対に足を開いて座り込んだり、机に寝転んだりして、自分の知り合いや家族に、順番に赤裸々な自己紹介しながら喘ぎ声を聞かせちゃってるんだ。こうなっちゃうと、交友関係広いコほど、後で恥じかいちゃうのかなー。動画が送りたくって、机の上に立ち上がって脱衣始めちゃう店員さんもいるね。よっぽど興奮してるのかな?『自分が普段なら絶対エロ電話かけたくないような相手ほど、興奮してエスカレートしちゃうよ』って暗示をバブルで送ってあげちゃったから、きっと普段は最悪にウザがってる、お義理の男友達か、嫌な上司にでもヨガリ声聞かせてるんだろうね。

 さっきまで街頭で募金を呼びかけてた、純粋そうなボランティアの女の子たちは、今は大声で「ボッキ」をお願いしてるよ(ベタでゴメンね)。行列を作ってる男の人たちを、3人の女の子たちが、テコキしたりパイずりしたり、フェラしてあげたりしながら、箱に精子を流しこんでるね。男の人たちの列が、どんどん長くなってる。三つ編みの真面目そうな女の子が、並んでたホームレスのおじいちゃんのチンポを、苦しそうな笑顔で、頬張っちゃってる。よっぽど臭いのかな?でもちゃんと、濃そうな精子を口一杯に出しちゃったおじいちゃんにも、丁寧にお礼を言ってるから偉いよねー。大事そうに、口から精子を、箱に垂らしてるけど、そんなに精子貯めて、どこに送るつもりかな?ってまあ、やらせてる僕が疑問に思ってちゃ、どうしようもないけど。女の子たちは、自分がいいことしてるって実感で、目が輝いてるんだし、これだって立派な社会奉仕活動なんだから、いいよね。・・・でもさっきのホームレスさんのチンポは、ちょっとキツすぎたみたい。涙目で吐き気と戦いながらもなんとか笑顔で次の人を迎えてる女の子には、激臭ほど大好きになるバブルを送ってあげといたよ。これで一安心だね。

 時計の周りでは、待ち合わせの女の子たちが、時計を中心に、列を作って、フォークダンスのジェンカを踊ってるよ。たまたま時計の前の靴屋さんからカセットテープでジェンカがかかってたから、これを何度も再生してもらうことにしたんだ。女の人たちは、時計を一周するごとに、着ていた服を一枚ずつ脱いでいっちゃうよ。全裸になっちゃった女の子は、もう一人の全裸の女の子を捜して、時計の下で激しいシックスナインを始めるように魔法をかけちゃってるんだ。早く待ち合わせの相手に来て欲しいだろうね。今ちょうど先頭になってる、さっきまで水色のワンピースを着てた女の子も、すっかり下着姿になっちゃったよ。もし待たせてるのが彼氏だったら、大事な彼女が時計の下のOLさんたちみたいにハードレズショーを始めちゃう前に、急いで来てあげてねー。

 通行人に、ガムの試供品を渡してた、キレイ系のお姉さんは、今もさっきと同じことをしてるよ。でも一度自分で噛んで、口移しでガムを配るようになっちゃったんだ。お姉さんの服に第2の紋章を書いてあるから、お姉さんにガムを勧められた人は、男女関係なしに、お姉さんの熱い抱擁とディープキスを、腕も舌も絡めて積極的に受け入れるしかないんだ。ガムを口移しでもらった人は、今度はもらった人同士で、お互いのガムを口移しで交換。色んな味の種類があるみたいだから、全部試してあげるのが、体を張ってガムをくれてるお姉さんへのお礼になるよね。お姉さんを中心に、20人ぐらいの老若男女の間で、とってもホットで濃厚なラブシーンが、繰り広げられてるよ。30代半ばぐらいのミセスが、幼稚園ぐらいの自分の子供と舌を絡めあった直後に、70歳ぐらいのおばあさんとガッシリ抱き合って、ネットリとした接吻。おばあさんが積極的になりすぎて、入れ歯と一緒にガムを落としちゃうと、ミセスは迷わずに、落ちたガムごと歩道にブチュ~ってやっちゃった。バイキン入らないように、気をつけないといけないよ。

 そんなこんなで、すっかりこの通りはピンク色に染まっちゃった。そろそろ里美ちゃんたち、お片づけ終わったかな?すっかり満足して、指を一鳴らし。全部の魔法をいっぺんに解除してあげると、黄色い悲鳴と、興奮した低い叫び声が、そこら中で上がっちゃって、何も聞こえないぐらいになっちゃった。泣きながらスッポンポンでしゃがみこむ女の子たちと、大騒動でひっくり返りそうな色んなお店の中。どうにも出来なくて、キャーキャー言いながら電信柱にしがみついたままの女の子たち以外は、みんな突然自分たちの異常さに気がついた後は、狼狽のあまり、とりあえず体を隠そうとしながら、逃げ回ってるんだ。結構年いってそうなキャリアウーマンも、全裸の自分に気づいたら、「お母さん」とか口走りながら、歩道の植え込みに飛び込んじゃって、身を隠そうとモゾモゾしてる。半裸で仲良くジェンカ踊ってた女の子たちは、とにかく体を覆うために、落ちてた誰かの上着を必死で取り合いを始めてる。ボランティアの女の子たちは顔と口と胸から精子を垂らしながら、放心してへたり込んじゃってるよ。下半身の異常に気づいてシャツを懸命に伸ばして下を隠しながら、裏道に逃げ込むOLさんたち。机の上で正座しちゃってドモりながら携帯にすごい形相で弁解してる店員さん。彼氏や友達を呼ぶ声や、カメラ付き携帯のシャッター音とそれを止めさせようとする声、まさに阿鼻叫喚の大パニックになっちゃった。僕が里美ちゃんが心配になっちゃって、さっきのクレープ屋台の方向に振り返ったその時、悲鳴とドタバタの中から、突然ピンプルの叫び声が聞こえてきた。

「ボウズ、危ない!上だっ!」

 とっさのことで上を見上げた僕は、慌てて真横にとびのいちゃったよ。さっき一回、ハケに当たってなかったら、こんな素早い反応は出来なかったと思う。なんと僕のいた場所に落ちてきたのは、赤茶けた硬そうなレンガだったんだよ。僕が唖然としてまた空を見上げると、物凄い数のレンガが、落ちてくる。避けきれないって思って頭を抱えてうずくまっちゃった僕の周りに、キレイな円を描いて、落ちてきた無数のレンガが壁を作ったんだ。怖くてずっと下を向いているうちに、大量に積み重なったレンガが、僕の周りに塔の壁みたいに高く積み重なって、ついに真っ暗になっちゃったみたいだった。

 「無法かつ非道なる魔術師崩れよ、顔をあげよ。」

 しわがれた声に呼びかけられて、僕は暗いレンガの壁の部屋の中で、怖々周りを見回したよ。部屋はさっきのレンガで出来てるみたいだけど、ずっと広かった。壁の向こう側には、とてもさっきの街があるようには思えない、気味悪いぐらい静かな空間だった。僕を見下ろしてたのは、小学生ぐらいの、ちょっと小太りのおじいさん。横じまのセーターとつりズボンで、頭には変な帽子をかぶった、なんかよくわかんない着こなしだけど、怖そうなおじいさんだったんだ。左手にはレンガを、右手には鉄の器具を持ってて、ベルトには木のハケがぶら下がってた。

「私は秩序が使わす番人の一人、レンガ職人じゃ。因果応報の庇護者、『三日月顎のヘルツォーク』王に仕えし条理の防人、『ブリックハルト』と言えば、寿命無き者の中で知らぬものはいない。」

「は、はい。そうですか、ぼ、僕は草野知也です。学校では『草野』とか、『知也』とか呼ばれてるけど、家では・・・。」

「私の話を聞け、罪人よ。そなたは私の警告を無視して、ピンク魔術を不法使用しつづけ、無制限に人々に、混沌の力でもって不幸を与えた。堤防を破るは容易いが、立て直すのは容易ではない。そなたは多くの人々を不道徳に弄び、辱め、人格を歪め、人それぞれが長年かけて築き上げた信用と自負と人間関係の城を、あざ笑って踏み潰した。己の魔術師格にそぐわぬ不法行為の結果として、そなたの魂には28黒レンガ分の罪が蓄積された。更にそなたの秩序破壊の一層の進展を確認した私の判断の下に、死がそなたを抱擁する前、今この時をもってそなたに罰を下す。これは『死者と不死者と死を待つ者たちの万国法』18,539条の取り決めのもとに、執行されるものである。」

「ちょ、ちょっと待ってくださいよ。僕、死んじゃうの?ゴメンなさい。申しませんから許してくださいよ。」

「死ぬのではない。そなたは死の恩寵を賜ることなく、無限峡谷の荒野で、これら28の黒レンガを引きずって、贖罪の旅を続けるのだ。引きずったレンガが全て擦り切れて無くなるまで、嘆きながら彷徨い歩き続けるのだ。死がそなたを抱擁するのは、超常なる行いが作った罪を全て償ってからのことだ。今謝っても遅い。原因には結果を積んで敷き詰めていくのが私の仕事なのだ。原因は既に過去に起こっており、結果をそれに従わせることしか私には出来ない。」

 僕はもう、すっかり脅えきっちゃって、涙がボロボロこぼれちゃった。なんか難しいこと言ってるけど、とにかくこのおじいさん、僕を酷い目にあわせる気なんだよ!だって僕が見上げると、黒光りするレンガが何十個も、僕の上に、今にも落ちてきそうな感じで浮いてるんだもの。こんなことになるんだったら、ピンプルの言うことなんか・・、ピンプルなんかの・・・。あんな、ピンプルなんかの。

「ちょっと待ったぁー!」

 ピンプル?僕とこの怖いおじいさんしかいなかったはずの、レンガの部屋の隅っこから、聞きなれた声がした。僕がすがるような目で探すと、レンガの壁が僕の後ろの一面だけ、蔦にびっしり絡まれてて、蔦が開けた小さな穴から、緑の帽子と、チビの妖精の上半身が出てた。やっぱりピンプルは、僕を見捨ててなかったんだー(現金?)。

「早まるんじゃねえぜ、レンガじじい。そいつは正式な召喚で俺を呼び出して、俺との契約の下に、ピンク魔術を学んでる、280年ぶりの『アプレンティス』だ。ピンク魔法の行使自体、不法でもなんでもないんだぜ。」

「・・・久しぶりだな。ピンプル・ディンプル・フレックルス・ポボロ・デポロ・マルコ・ハンス・デル・ボスケ・クリソバランティス。不埒な妖精どもは全て壁の向こうに追いやったはずだったのだが、またしつこく沸いてきたか。そなたらの主と私たちの主が『長老オークの下の誓約』で誓い合ったことを知らぬわけではあるまい。今は『論理と科学の満ちたる第4期』。誓約の下、アプレンティスによるピンク魔法の行使にも罪は発生しうるのじゃ。『傘の宣言』なしにはな。」

 ピンプルは、ようやく体全体を、壁の穴から出せたみたい。そばかすだらけの顔をクシャクシャにして笑ってる。

「だから俺様が時間をかけて、『祭典の原っぱ』まで行ってきたってわけよ。ほら、これを見やがれ」

 ピンプルが嬉しそうにポケットを手で探ってる。・・・まだ探ってる。

「あれ?どこいったかな?確か、さっきはこっちのポケットに・・忘れてきたってことは・・ないよな。だって出てくる時には、確かに・・」

 何やってんだよー!この緊迫した場面で、忘れ物は許されないってば!

「おうおう、これだこれだ。ほら、ブリックハルト、これを見やがれ、正真正銘、『七つの三つ編みの女神』ちゃんの直筆サインだっ!」

「おおおおおおおおっ」

 僕の上で、今にも落ちてきそうだった、沢山の黒いレンガが、僕の上で突然砕け散っちゃった。砂一つ落ちてこないまま、なくなっちゃったんだ。おじいさんは目玉が飛び出そうな程、びっくりしてる。

「なんということだ。祭典の主催者、『山羊の足のランダムダイス』王の末娘、『七つの三つ編みの女神』による、傘の宣言ではないか!第三位の人格神の宣言は、絶対時間と空間の拘束を受けずに、あまねく適用される。280年ぶりのアプレンティスよ、貴様の罪は過去においても罪ではなくなった。原因なきところに結果を積むことは出来ぬ。貴様は自由じゃ。」

 おじいさんの後ろの壁が組替えられて通路みたいなのが出来て、おじいさんは僕らに背を向けちゃった。

「やい、レンガじじい。この宣言書は持ってかないの?女神ちゃんが生書きサインして、最後にキスマークつけてくれちゃってるんだぜ。」

 おじいさんは2、3歩いて立ち止まると、帽子を深くして顔を隠しながら、ピンプルから紙をひったくったんだ。

「これは宣言書の保管責任の一環としてじゃ、その、番人としては出動したが手ぶらで帰っておると、その責務の信頼性が低下して、ゆくゆくは・・番人が信頼性を失うことで秩序が乱れるので、女神さまの宣言書は私が預かるのであって、誤解をしてはならんぞ。」

 おじいさんはブツブツ言いながら、レンガの通路を早足で立ち去っちゃった。しばらくすると、レンガが音を立てて、上に向かって崩れていって、僕はこの街一番の、大通りにまた立ってたんだ。周りを見回すと、僕が散々遊び散らかして大騒動になった街が、いつもの状態に戻ってる。心配してた、交差点の向こう側を見ると、里美ちゃんが美味しそうにクレープを食べながら、店員さんと話をしてたんだよ。

「これって・・・どういうこと?」

 僕が呆然と聞くと、いつの間にか肩に乗ってたピンプルが、自慢気に喋りだした。

「みんな、さっきあったことは、夢だったとか、一時のきまぐれだったとか、悪い出来心だったとか考えて、勝手に自分の中でごまかして、極力思い出さないようにしてんだ。これが、さっき女神ちゃんがサインしてくれた、「気まぐれペテロ」の紋章の中の3っ目の「傘の紋章」だ。範囲の指定をして、こいつを書いおけば、そこで行うピンク魔術は、魔術師の書生、「アプレンティス」の練習として、最悪の結果から守ってくれるんだ。こいつさえ書いてれば、その範囲で起こった色んな問題も、騒動も、なんだかんだと理屈を捻じ曲げて、後からみんな納得してくれる。魔法の後では、何とかそれぞれの生活や人格に復帰出来る。人間に修復不可能な激しいダメージを与えないことで、さっきみたいなとんでもない罪とかを残さずに済むんだぜ。」

「そっか~。僕はそのマークを書いてなかったから、さっきのおじいさんに、魔術の不法使用とか言われて・・・。あれ?僕、ピンプルからそんな話聞いてたっけ?」

 偉そうだったピンプルが、急に表情を崩しちゃった。

「でへへ。スマンスマン。実はオイラ、人にモノ教えるのがあんまり久しぶりだったんで、順序間違えてた。最初に「傘の紋章」次に「窓の紋章」最後に「部屋の紋章」ってのが、サブジェクティブ・レーブルを覚える順序だったんだよなー。第1から第3が逆になってた。そうだよ。それじゃなきゃ、とんでもないことになるんだよ。だって散々遊んだ後に、上手いことごまかせないもんなぁ。そうそう。まあ気をつけろよってこった。でへへへ。」

 ひっ酷い。僕がさっきまで死ぬほど怖い目にあったのは、ピンプルのポカだったってこと~?うぅっ・・。魔法使いも辛いよ。

「まあそんな顔すんなよ。テメェだって、俺が気がついて、宣言書もらいに走り回ってる、1時間弱ぐらいの間に、無茶しすぎだったんだから、しょうがねえよ。いくら何でも大雑把で無制限な魔法をかけすぎだし、1個1個の魔法の使い方がどんどん雑になってたぜ。あんな調子で片っ端からこの街のやつらに無理な暗示ばっかり押し付けて、突然ほっぽりだしたら、社会不適合者やら自殺者だってどんどん出かねないだろうが。魔法使いってのはもっとスマートに行かねえと駄目だ。もっとキメの細かい、通好みの魔法の勉強からやり直しだな。ムッツリスケベ。」

 確かにさっきの僕は、ちょっと調子にノりすぎちゃってたかな?反省。どうやら魔法使いの道は、すんごく長くて険しいみたいだよ。あーそれにしても、さっきは怖かったぁ。

< 第7話へ続く >

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