魔法使いの小冒険 第十話

第10話

 ふぁ~、眠い。
 横でアレコレ偉そうに喋ってるピンプルの声も、ちゃんと頭に入ってこないよ。
 ピンプルが「新しい魔法の修行だ」とか言って朝早くからせきたてるもんだから、6時半に学校に着いちゃった・・・。そのまま体育館まで引っ張って来られちゃったけど、女子バスケ部が朝練してる、青春丸出しの場に出くわしちゃったじゃないのさ。

「・・ってかんじに、色々役に立つんだこの魔法は。・・・おい、小僧、聞いてんのか? 往復ビンタして、目ぇ覚まさせてやろうか?」

「う、うるさいなー、朝から。聞いてるってば(だいたい)。 その人形を使えば、どんな人でも操り人形に出来ちゃうって言うんでしょ? もう僕だっていい加減、色んな魔法を覚えてきてるんだから、道具を見た感じで、大体わかるよ。」

 ピンプルは疑わしそうに僕を睨んでる。途中から上の空だったの、気づかれちゃったかな?

「だからテメエは薄っぺらいんだ、この・・・、ま、いいか。もともと今日は実践でこの魔法の発展性を覚えるために早起きさせたんだ。 入門編から上級者コースまで、きっちり体験してもらおうか。 御託は抜きだ。さっき教えた要領で、ちょっと試してみな。」

 はいはい、やってみますよ。
 えーっと?・・・

 僕とピンプルがいるのは体育館の舞台袖。舞台からは元気よく練習してる、女子バスケ部の溌剌とした練習試合の光景がよく見えるよ。
 みんな朝から頑張るねえ・・・。よしっ。僕も彼女たちに見習って、頑張ってみるか!
(ろくなことにならなさそう?ゴメンね)

 僕が目をつけたのは、やっぱりプレーの上手さが目立つ、副キャプテンの相馬先輩。
 学校でも人気の、格好いいスポーツ美少女だよね。
 さっそく僕は、ピンプルに言われたとおり、手に持った「リコちゃん人形」に念じてみたよ。

「お人形さん、お人形さん。ピンク魔術師の言葉に従い、目覚めなさい。 貴方は相馬先輩です。相馬先輩の通りに貴方も動いて、貴方のする通りに相馬先輩も動きます。 貴方の感じる通りに、相馬先輩も感じます。」

 手に持ったプラスチックの人形が、急に熱くなったような気がして、思わず落としそうになっちゃった。
 4文字の複雑な言葉を書き込んである以外は、普通のリコちゃん人形だったはずのものが、一瞬光に包まれたと思うと、相馬先輩そっくりの人形に変わっちゃった。
 急に手にボールを持ってるような仕草をはじめて、足をバタバタさせてるよ。
 うわっ・・・、こういう小さな人形が勝手に動いてるのって、ちょっと怖いかも。

「そうそう、ちょっとイジって、反応を確かめてみろ。」

 じゃあ、お言葉に甘えて、ちょっとお尻でもぺロっと撫でさせてもらっちゃおうかな?

「ヒャッ! 誰?練習中にふざけんな!」

 人形を右手の人差し指と中指でちょっと撫でた途端に、コートから相馬先輩の大声が聞こえたよ。

「あ・・・あれ? 今の、誰がやったの?」

 思わずボールを落として、周りを見回してるのは、ヘアバンドをつけてる相馬先輩。周りの部員たちはみんな、キョトンとして相馬先輩を見つめてるよ。

「洋子先輩、どうかしたんですか?」

「え・・、今誰か、お尻・・・、ゴメン。何でもない・・。試合、再開しよっ。」

 慌てて何でもない素振りをして、練習試合に集中しようとする相馬先輩。パスをもらおうと、大きく背伸びをして、両腕を上げるよ。

「やぁっ!やんっ、もう!誰だよー。」

 急に両腕で肩を抱いて、うずくまっちゃった。
 男勝りの相馬先輩らしくない、か弱い声が出ちゃったね。
 両腕を目一杯上げて伸びをしてた時に、急に胸にワシ掴みにされる感覚が走ったんだから、しょうがないかな?

「洋子?どうしたの?誰も、何にもやってないけど・・。体調悪いんだったら、見学する?」

 チームメイトの同級生も、心配そうに声をかけてくる。
 やっぱり相馬先輩は人望も厚いんだね。

「な、何でもない、何でもない! 気のせいだってば。ほら、みんななんでプレー止まってんの! 本番で私が倒れたって、足止めちゃ駄目でしょうが!」

 先輩は目をギュッとつむって、自分の頬っぺたをパンパン叩いて気合を入れると、いつもみたいにみんなに激を飛ばし始めたよ。さっすが相馬洋子先輩。気力が違う。
 プレー中にお尻を撫でられた気がしたって、オッパイ掴まれた気がしたって、負けないぞ!

「ほらほらーっ。さっきのはフェイントよっ!みんな集中力切らすなー。 集中集中、あっ・・・はぁぁんっ!」

 今度は、みんなに激を飛ばしてる間に声が漏れちゃったから、はっきりと体育館中に、相馬先輩の女らしい声が響いちゃった。
 みんなの注目が、真っ赤になって、膝をこすり合わせてる先輩に集まっちゃったよ。
 両手で内腿あたりの肉をギュッと握り締めているんだけど、断続的に刺激が襲ってくるのに耐えられないみたいに、背中がビクッ、ビクッって震えてる。

「何なの~?何で、こんな時に、こんな・・はっ、あんっ、あんっ。」

 すみません。全部僕のせいです。
 相馬先輩人形の股間に指攻撃をかけているのは、舞台袖の僕なんです。
 修行のためには尊敬する先輩も実験台にしなきゃいけない。魔法使いも辛いんです。
 せめてもの償いに、ちゃんと先輩には最後までイカしてあげるから、待っててね・・・、それっ、これでどうだ!

「あー、もう駄目。何かが、グリグリしてるの。 何か、何にもないのに。やだっ、回転駄目! 入ってきて、回転してる~、もー。やだ~! ふ、ふん、フーーーン!」

 強張って反りあがってた相馬先輩の腰が、ゆっくりと、空気が抜けたみたいに床に沈んでいくよ。
 みんな、相馬先輩の凄いセクシーな様子に、唖然としちゃって動きが止まっちゃってる。
 綺麗な先輩がユニフォーム姿で豪快に果てるところが、あんまりにもヤラしくて、僕もちょっとノリすぎちゃったかな?
 反省して、この後は先輩のプレイを助けることにしたよ。

「み、みんなゴメン。何でもないから、気にしないで。 ちょっと私、調子悪いから、・・・その、トイレ行ってくるね。」

 バツが悪そうに立ち上がる先輩。でも先輩。魔法使いの助けがあれば、今すぐプレイ続行出来るからね!

「あ、あれっ?なんで? 私、あっちに行きたいのに・・・。」

 先輩が回れ右をして、コートに走っていく。僕が操作してるせいで、右手と右足が一緒に出たり、ちょっとギコチないかな?でも、さっきの先輩の失態を取り戻して、チームメイトを感心させるために、僕が頑張って手伝わないとね。

「相馬先輩?あの、交代じゃないんですか?」

 後輩の女の子が心配そうに見てる。でも元気なところをアピールしないと。

「わー、何だよ。これ、体が勝手に動くの。」

 元気さをアピールして、両手で力こぶを作ったり、ピョンピョン飛び跳ねたりさせても、相馬先輩の顔は引きつってる。人形を見ると、人形もちゃんと困った顔をしてるよ。
 よく見ると、人形の股間がしっかり濡れてる。そうか、相馬先輩。
 ユニホームのホットパンツと下着が湿っちゃってて、気持ち悪いからトイレに行きたかったんだね。
 でも、この服がプレーに邪魔ならこの際・・。

「きゃーっ!先輩。止めてください。」

「ひえ~、違うの。手が勝手に・・。小林、止めて! 誰か私を止めてー!」

 僕が人形のホットパンツを下ろすと、コートの中では相馬先輩が、悲鳴をあげながら自分でパンツ一丁になっちゃってたよ。
 うーん。ちょっとまずいかもしれないけど、まあ、今の体育館には(僕以外)女子ばっかりなんだから、いいよね?
 ゴメンなさい。先輩。
 それっパンティーもポイっだ!

「わー。見ないで。やだやだ」

 僕の操作に合わせて、相馬先輩が下半身スッポンポンで突進を始めちゃった。
 あっけにとられてるチームメイトからボールを奪うと、幅跳び選手みたいな歩幅で跳躍。
 ホップ、ステップ、ジャンプで相手チームのゴールに物凄いダンクを決めたよ!
 しかもそのまま空中で縦に3回転。NBAでも見られないスーパープレーだ。
 喜びを表現して、床でブレイクダンスのウィンドミルみたいに、大開脚のまま頭を軸に大回転だ!みんな見て!相馬先輩はやっぱり凄い運動神経なんだぞっ。

「わーっ、目が回るーっ!」

 ピーッ。

 審判役をしてた、キャプテンの谷川先輩が笛を鳴らす。
 スーパーゴールだったからボーナス点とかあるのかな?

「洋子。あんた・・・、凄すぎるけど・・、退場。 服着て、グランド3週ね。」

 ホットな相馬先輩と双璧をなす、クールビューティーのキャプテン、谷川先輩。
 何事にも動じない指令塔っていう噂の人だけど、凄く冷静に相馬先輩の退場を命じちゃった。
 ありゃー。せっかく相馬先輩の名誉挽回を手伝おうとしたのに、失敗しちゃいました。
 しょんぼりと下半身の前と後ろをおさえながら、チームメイトたちから服を受け取ってる相馬先輩。
 もっと上手くいくと思ったんだけど、ゴメンね。

「オイオイ小僧、いきなり操り方が粗いんだテメエは。 もっとスムーズにクレバーにやれって言ってんだろうが、このボケ。」

 ・・・

 女子バスケ部は、相馬先輩がスゴスゴと退場してからしばらくすると、練習試合を終えて、片づけをはじめちゃった。そうか、今日は朝礼があるから、体育館を早く空けないといけないんだね。

「ここの体育館に『傘の紋章』をつけといたおかげで、さっきの姉ちゃんも今朝のストリーキングのことは忘れちまってるよ。他の姉ちゃんたちもそうだ。 だがな、この人形魔法をあんな単純で荒っぽい使い方しか出来ねえと思ったら、大間違いなんだ。 今日はこの場所でこの後から学校中の奴らが集まるんだろ?人形魔法の発展のさせかたを、今からしっかり実践して会得してみろよ。」

 さすがはピンプル!
 退屈な朝礼も、この魔法をちゃんと知り尽くしておいたら、楽しいイベントに早変わりってわけだね?

「わ、わかったよ。早く詳しい魔法の中身を教えてよ。」

「まあ、焦るな小僧。せっかく大勢人が集まるんだから、これまでに教えた魔法も絡めて、上手いこと相乗効果をあげてみろよ。その為に今から、準備の仕方を教えてやる。」

 わーっ・・・なんだか急にウキウキしてきたよ。
 さっきの相馬先輩へのお詫びの気持ちもどこへやら。
 草野知也、すっかり新しいイベントへの期待感一色なんであります(すいません)。

 ・・・

 すっかり準備万端です。体育館には学園の高等部の生徒と先生がみんな集まって、今は生活指導の新藤先生の話を聞いています。
 いっつも長いお説教とか聞かされてとにかく退屈な時間なんだけど、今日はここらへんから、ちょっとずつ変わってくるはずだよ・・・。

「・・・というように、最近当学園の生徒の間にも、気が緩んでいる様子が多々見受けられます。 皆さん、当学園の生徒としての誇りを持って、学生らしく、品位のある行動をして下さい。」

 ちょっとキツめの口調で話しているのは、女子から「古藤」って陰口を叩かれてる、新藤先生。
 シャープな顔立ちの美人だし、まだ三十ちょっとなんだけど、厳しくて容赦ない性格だから、嫌ってる生徒も多いんだよね。
 特に女子の化粧や髪型なんかに細かいチェックを入れるせいで、うちのクラスの女子からも、すっかりオールドミス扱いされちゃってるみたいだよ。

「特に最近、女子生徒の皆さんの服装の乱れを注意することが、大変多いです。」

 また、始まった。うちの学校、男の先生はあんまりこういうこと言わないから、あえて意識して新藤先生が多く言ってるのかもしれないけど、また女子から陰口言われちゃいますよ。
 ここはちょっと、茶目っ気を添えてあげて、中和してあげないと・・・。

 僕が手元の人形をちょこっと動かすと、舞台の新藤先生が、話しながら左手でタイトスカートの裾をスルスルっと上に持ち上げちゃう。肌色のパンストに包まれた、スラリとした足が露になっちゃう。
 生徒たちがちょっとザワザワし始めたよ。

「当学園の品位を落とさないよう、清潔感のある、真面目な身だしなみに気をつけてください。」

 言いながら先生は、今度は両手でスカートをお腹まで捲り上げちゃった。
 なんと先生の下着は清純な純白!言っていることにも説得力がありますね。
 キリっとした眉と切れ長の目。「デキる女」風の美貌が、安っぽいエッチポーズと釣り合わなくて、ちょっと笑える光景になっちゃってる。

 ・・・実はね、新藤先生は僕の持ってる人形のせいで、体を操られちゃってるんだけど、自分では自分の体の異変に全く気がつかないんだ。
 それはこの人形にされてる、目隠しのせい。
 これに目隠しをすると、相手は、操られて動いてる自分の体のことに、意識がいかないんだってさ。
 だから、こうやって先生がスカート捲りあげたまま思いっきりガニ股のポーズをとっちゃっても・・・、こうやって後ろを向いて、自分の手でお尻をペシペシ叩いても・・・、ほら。
 本人は自分がそんなことしてるって気がつかずに、平然とお説教を続けてるでしょ?
 生徒のみんなは、クスクス笑いどころか、完全に指をさして先生のことを哂いはじめちゃった。

「皆さんには慎みのある身だしなみと行動を・・・。こらっ、先生が真剣に話をしているのに、どうして笑っている生徒がいるのですか?」

 限界までガニ股になって、おサルのポーズみたいに両手で輪を作って頭にのせてる新藤先生が、真剣に怒っても、体育館中の生徒たちはみんな笑いを止められないよね。
 いつもの厳格なオールドミスのイメージと、下着を全開に見せびらかしながらおかしなポーズをとってる、今の新藤先生とのギャップが我慢できないぐらい大きいんだもん。
 それでも先生は、自分の体の動きには全く気づかないもんだから、爆笑する生徒たちを冷静にたしなめようと努力してるよ。

「皆さん、何を笑っているんですか?いい加減にふざけるのを止めないと、先生怒りますよ。」

 侮辱されてると思った先生は、肩を震わせて怒り始めてるよ。
 でも体はスカートを脱ぎ捨てちゃって、ぶんぶん振り回したり、自分の頭に被せたりしてるんで、全く説得力がない状況だよね。男子の中には、気を利かせてるつもりで指笛を吹いて盛り立ててる生徒もいるけど、先生は今、自分の格好に全く気がつかないから、怒りの火に油を注いじゃってるよ・・・。

「いい加減にしなさいっ!私は今、真面目に皆さんの服装について、注意をしているんですっ!」

 怒った新藤先生が、ついに怒鳴り声を上げたと同時に、先生はシャツとジャケットを前から引きちぎっちゃった! ちょっと力を入れすぎたかな?
 僕が人形を操作するままに、一気に自分の上の服を破り捨てちゃって、上半身もブラだけになっちゃったんだ。激しい動作のせいで、頭にのってたスカートも落ちちゃう。
 先生がどこまでやる気なのかわからなくて、笑ってたみんなも、一瞬静かになっちゃった。

 ここでもうちょっと目盛を上げておこうかな・・・。
 そう、ここまで他の先生たちが止めに入らないのは、ちゃんと『気分円盤』を使ってるからなんだ。
「体育館にいる人」という対象で、「舞台で起きることを邪魔せずに楽しみたい」っていう気分を、目盛で操作してるんだ。この目盛をもうちょっと上げてやると・・・、ほら、生徒たちもまた盛り上がり始めたよ。よく見ると、校長先生や教頭先生も指笛吹いて応援してる!
 こんなにみんなに期待されてるんだから、もう新藤先生にも限界までいってもらっちゃうしかないよね。

「いつまで笑ってるつもりですか? 今は朝礼中なんです。もっと自分のしていることに、自覚を持ってください。いいですか、皆さんのしていることは、とても恥ずかしいことなんですよ!」

 先生は目を吊り上げてプンプン怒っちゃってるけど、自分が今、ブラを剥ぎ取って、こぼれ出たオッパイでマイクスタンドを挟み込んでるだなんて、思いもよらないみたい。
 まあ、それに気づいてたら、生徒への注意どころじゃないよねえ・・・。
 先生のオッパイは、ちょっと乳輪が大きめで外側を向いてるんだけど、かなりの重量感。
 声を張り上げてお説教しながら、両手で寄せ上げてると、マイクスタンドは簡単に谷間に飲み込まれちうよ。
 ガニ股のまま、ゆっくり腰を上下させてスタンドを擦り上げると、すごい迫力。
 歓声上げてた男子の一部は思わず体を「くの字」に曲げて無口になっちゃう。
 女子もみんな、普段は「オバサン」とか陰口叩いてた先生の、熟れた体のヤラしさに、息を飲んじゃう。

 先生がスタンドをパイずりしながら、パンストを股間のところから思いっきり破っちゃうと、もう、格好よささえ感じちゃって、みんな拍手喝采だよ。
 新藤先生、すっかりイメージチェンジに成功したみたいだね。
 そろそろかな?先生の人形から、目隠しを外してあげる。

「今日の皆さんは、本当にどうしたっていうんですか?いつもはもっと大人しく、朝礼を聞いているはずです!もっと慎みを持って行動して下さい。風紀の乱れは、こうした気の緩みから・・・、風紀の・・・、乱れ・・・。キャ・・、キャーーーーァァァァッ!! 私、何してるの?」

 先生の表情が一変しちゃった。お説教している時の先生は自信満々で、毅然とした顔つきだったのに、急に顔をクシャクシャにして、悲鳴を上げてる。でも人形の動きは続けてるから、先生の体は相変わらずマイクスタンドをパイずりしながら、パンツをゆっくり下ろしていっちゃう。
 足が開いたまんまだから、なかなか動きがギコチないんだけど、下着が膝まで降りると、大事なところが全校生徒に丸見えになっちゃうよ。
 新藤先生、なかなか下の毛の生えてる面積が広くて、ヤラしい感じ。
 大事なところの周りはボッテリと皮膚が盛り上がってて、小豆色の割れ目が見えてるね。

「イヤーー。体が・・。言うこと聞かない・・・。こんなこと・・なんで?」

 先生が両手でアソコを隠そうとすると、僕の手元の人形の手も同じように動こうとする。
 人形の方をこんなに動かすなんて、なかなか強力な抵抗。
 やっぱり全校生徒の前で、おマ○コ全開っていうのは、先生にとっては耐えられないことなのかな?
(そりゃそうか・・・)

 でも、ここまできたら、観念してもらうしかないです、先生。
 僕がもっと強い力で人形の両手を上げると、舞台の上の先生も、凄い勢いでバンザイしちゃう。
 さっきの相馬先輩人形にした要領で、股間を小指でグリグリしてあげると、すぐに先生のアゴが上がっちゃって、全身がさらに真っ赤になってきたよ。

「あっ、はっ、・・・うんっ・・・・やだ・・・。」

 さっきまでの強い口調とはうってかわって、先生が弱々しいあえぎ声を出し始めると、男子も女子も、みんな生唾を飲んで、悶える先生をくいいるように見つめちゃう。
 そろそろかなって思った頃に、舞台が暗転。体育館の両側から、スポットライトが新藤先生に当たったよ。さすがは「プロの照明・音響係たち」だね。

 実はさっきクラスメイトの男子5人に、『子鬼の名刺』を渡して裏方さんに変身してもらってきたんだ。
 両手はバンザイ、足は限界までのガニ股、オッパイはスタンドの棒を挟み込み・・・。
 ポーズこそヘンテコだけど、眉をハの字にしてあえぎまくる先生は、とってもセクシーで、生徒も先生も、一瞬も目を離せずにいるよ。
 先生の全身に汗が光り始めたところも、割れ目から覗く粘膜がヒクヒクしてるところも、全部ピンクに色を変えたスポットライトが照らしちゃう。
 先生を応援する声が高まっていくよ。
 みんな、新藤先生が腰を前後に振って悶え狂うのと合わせて、大きな手拍子をしてる。
 体育館全体がすっごいグルーヴ感に包まれちゃってるね。
 まるでロックスターのライブみたい。

「うっ・・・はっ・・・みんな・・、先生・・・、こんなこと・・・したいんじゃ・・ないの。
 今日は・・、みんなの・・、風紀の、乱れを・・・はっ、はぁぁあああんっ!」

 先生が絶頂に達しちゃったのが、誰の目からも明らかになっちゃった。
 内股の腱がブルブルって震えた後で、内腿を先生の液が垂れていくよ。
 先生は失神しちゃったみたいで、首がガックリ横に倒れると、半開きの口から涎が頬っぺたに伝っていっちゃう。

 しばらく凝視してたみんなだけど、最初はパラパラと、すぐに大きな拍手を始めたんだ。
 みんな舞台の上で起きることを、邪魔せずに楽しんで見守りたいって思いで一杯だったから、すっかり感動しちゃったみたいだね。拍手と声援と指笛の嵐で、耳が痛いぐらいだよ。

 先生の表情も、よく見るとウットリとして、ちょっと満足そう。
 多分これまで、こんなに生徒たちと一体感を感じながら熱い視線を送られたことってなかったんじゃないかな?
 女性としても、教師としても、至福の瞬間を味わっちゃったのかもしれませんですな
(都合よすぎる考え方?)

 僕が人形を動かすと、イッちゃった時のままのポーズで、失神してる先生がヒョコヒョコと動き出す。
 カニみたいに横歩きで、舞台袖にはけていったよ。
 でもまだ体育館は鳴り止まない拍手で割れんばかり。
 舞台の真ん中には、先生が脱ぎ捨てたり破り捨てたりした服が、マイクの周りに散乱しちゃってる。
 スポットライトはそれを照らしてるままで、次の何かを待ってるみたいだね。
 うん。全校生徒にも、プロの裏方さんたちにもこうして期待されてるんだから、次の出し物に進むしかないでしょう!

 僕が久しぶりに胸ポケットから取り出したのは、一本のストロー。
「色んな魔法を組み合わせて、人形魔法の効果を最大限試してみな」っていうピンプルの言うように、今日は久々にシャボン玉も使わせてもらうよ。
 プーゥゥゥゥッ・・・・フワフワフワ。
 僕が飛ばした一つの『ノーティー・バブル』がゆっくりと体育館を飛んでいく。
 ユラユラと校長先生の頭に当たると、先生は満面の笑みで指笛を吹いてたのが一変して、舞台に駆け上がっていったよ。

「えー皆さん。今、新藤由香里先生には、素晴らしいパフォーマンスを見せて頂きました。
 私も女性の生身の美しさというのは、素晴らしいものだと思います。
 そこで今日は、朝礼は中止しまして、章花台学園高等部の、ミスコンテストを行いたいと思います。」

 普段はおっとりとしたおジイちゃんの校長先生が、急に白髪を振り乱して力説しだすから、ちょっと生徒はみんなビックリしちゃったけど、みんな相変わらず「舞台の上で起こっていることを邪魔せずに楽しみたい」って思ってるから、すぐに拍手と歓声で校長先生の提案を迎え入れちゃったよ。

 校長先生がマイクスタンドを舞台の脇に移し替えて、新藤先生の服を舞台袖に持っていってる間も、生徒の歓声と手拍子は止まらない。いい感じで準備が整ったんではないでしょうか?
 僕は万を持して、人形魔法・第3段階の用法に移ることにしたよ。
 人形用の大きな家、『ドールハウス』を出してきたんだ。

 僕が『子鬼の名刺』を渡していたのは、実は照明・音響係じゃないんだ。
 他にも4人のクラスメイトを「会場スタッフ」にしちゃってる。その子たちが、指示通りに、テーブルと人形の家を持ってきてくれたから、僕は舞台正面にブースを作ってもらって、そこからこの魔法を駆使することにしたよ。
 ブースには画用紙で四方に『窓の紋章』を書いてある。
 この紋章を見た人は、僕のしていることと、このテーブルの存在は、全く気にならなくなるようになってるんだ。
 急に準備したにしては、結構考えてあるでしょ?

 ここでドールハウスをパカっと開いてみました。
 なんと中身は、僕らのいる体育館とそっくりの構造になってるよ。
 体育館とこのハウスに同じ呪文を記すと、こうなるんだってさ。
 中では、リコちゃん人形よりもさらに小さい、動物をキャラクターにした「シルビア・ファミリー」がコチョコチョと動いてるよ。ハウスの中の舞台を見ると、顔だけ校長先生になってる熊の人形が、マイクスタンドの高さを調整してる。

 こんなちっちゃな人形、しかもこんなに沢山、どうやって動かすかって?
 実はこのハウスの中の人形たちは、ドールハウスの煙突から僕が呼びかけると、その通りに動いてくれるんだってさ。煙突がマイク代わりになってるんだね。
 準備が随分面倒くさいけど、かなり強力で便利な魔法だっていうのが、そろそろ僕にもわかってきたよ。

 僕が咳払いを一つして、煙突からドールハウスの内部の体育館に話しかける。

「ウォホン、えー、この体育館の中にいる、『自分はとても可愛い、綺麗だ』と思っている女の子は、舞台の上に集合して下さい。」

 動物のキャラクターたちが、チョコチョコ歩いて、僕の指示通りに舞台に上がっていくよ。
 なんだか心温まる光景だね。
 3頭身の、動物の被り物を被ったみたいな生徒たちの人形が、ヨチヨチと舞台に上がっていくんだ。
 うーん、実にファンシー。
 ちなみに僕がハウスの中から、本当の舞台に目を移すと、女の子たちと何人かの先生たちが、舞台に上がっていってる。みんなキョトンとして、なんで自分が歩いているのかわからないみたいだけど、体は脇目もふらず、一直線に舞台にむかっているね。

 こうして見ると、うちの高校はやっぱり女の子のレベルが高いなあ。
 可愛い子が一杯いるよ。でもなかには、それ程でもない子も舞台に上がってる。
 自己評価が結構高いんだね。あ、松永。あいつはちょっと、自意識過剰じゃないの?

 僕がキョロキョロと自分のクラスの列を振り返ると、里美ちゃんは自分の列から動かないみたい。
 本当は学校の中でも指折りの美少女なのに、奥ゆかしいよね。里美ちゃんはミスコン免除です。
 だってこの後、僕の彼女をみんなの見世物になんて出来ないもん(自分勝手ですいません)。

 舞台上には、佐竹先生も、穂積先生もいるよ。二人とも確かに相当な美人だけど、舞台の上でもさらにみんなの前にこようとしちゃってるのは、やっぱり勝気な性格からかな?
 相馬先輩も、今朝の失敗なんて綺麗さっぱり忘れたって顔して、舞台にいるよ。
 あっ・・・谷川キャプテンも・・・。
 あの人、「自分の見た目なんて気にしてない」って顔してて、やっぱり内心では「私はとても可愛い」ってちゃんと思ってたんだ。
 いっつも冷静なクールビューティーも、心の中は年頃の女の子なんだね。
 ありゃりゃ、失神してたはずの新藤先生も、半裸のままで、這って舞台に戻ってくる。
 執念の自意識ですね。
 ざっと見てみると、里美ちゃん以外の評判の美少女・美女はたいがい舞台に上がってるみたい。
 生徒会の役員の子も、吹奏楽のアイドルも、テニス部のマドンナも保健の浅野先生も、みんなしっかり舞台の上で整列しちゃってる。
 真面目そうな3年の先輩も、ウブな雰囲気の1年の子も、実はしっかり自分に自信を持ってるんだね。
 うーん、女性は強いなあ。

 僕がキュー代わりに、校長にノーティー・バブルを飛ばすと、校長も迫真の演技で台詞をちゃんと喋ってくれる。

「さあ、ミスコンをすると言っただけで、これだけの女性が立候補してくれました。 みんな自分の美貌に自信満々の、美女、美少女です!」

 満場の喝采の中、舞台の上の女の子たちは、みんな赤くなって否定しようとしたり、言い訳をしようとしたりするよ。

 でも校長は、「自分はとても可愛い、美しいって思う人、手を上げて下さーい」と煽る。
 おっ、僕の仕事の番だね。
「自分がとても可愛いと思う人、校長の言うとおりに手を上げましょう」って煙突の中に呼びかける。
 すると舞台の上の女の子たちは、首を横に振ったりして謙遜しながらも、右手をピンって上げちゃった。
 舞台を見ている生徒はみんな、好き勝手に歓声上げたり笑ったり、ツッコミを入れたりしているね。

 舞台の上には20人ぐらいの美女・美少女が、恥ずかしそうにしながら挙手してる。
 もう言い訳出来ないよね。みんなとっても可愛いんだから、隠さなくったっていいのに。
 綺麗なんだから、何にも隠す必要ないんですって。なんにも。
 ねえ?

 よーし、気合が入ってきたですよ。今日はいよいよ、うちの学校、夢のミスコンだ!
 魔法使いの凄さを、存分に見せちゃうよ!
 なんせ僕は、ピンク魔術師なんだから!

(急に力んじゃってゴメンね。 今日の僕って、朝からニタニタしながら人形イジッたり、話しかけてたり・・・、時々、「魔法使いだ」って力まないと、自分がどう見えてるか不安なんだよね・・・)

< 第11話へ続く >

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