オカルトオアカルト 6話

<オカルト> 東屋蓮 高校生

「………そんな訳で、まだほとんど見学しかしてないような状況なのに、自分で新しいオマジナイかその使い方を考えて、先輩たちの前で披露しろって言われてるんだよ。………最初は冗談かと思ったけど、マジだよ、あの人たち」

 蓮が電話口で思いをぶちまけると、スマホの耳元からは彼女の可愛らしい声が聞こえる。

「そっかぁ。蓮君、可哀想………。私に出来ることがあったら、何でも言ってね。………蓮君の役に立ちたいから」

 蓮の怒りも、学年トップの美少女、国枝清香ちゃんの優しい声を聞いているうちに、氷解してしまいそうになる。本当に、顔があれだけ可愛くて、スタイルも綺麗で、こんなに性格がいいなんて、あって良いことなのだろうかと、不思議になるくらいだ。おまけに声まで可愛い。………小さいころからあれだけルックスが良いと、皆に大事にされて、真っ直ぐな性格に育つということだろうか?

「まだ、入門編の1ページ目っていうようなところで、いきなりオリジナル考えろとか、ある? おかしいよね? ………僕がやってる空手だったら、型も立ち方もいい加減なうちに、組手とか、ありえないよ?」

「んんん………。私、空手のことはわからないんだけど………。でも、格好いいよね………。……………あと、私の習ってたピアノだと………たまに、凄い自己流の演奏する人とかもいて、それはそれで、迫力を感じる時はあるかな。………もうバイエルからブルグミュラまで、一通り基本が出来ちゃうと、逆に出来ないような奏法とかもあって………。まぁ、オマジナイの世界では、何が正解かなんて、私にはわかんないんだけどね。……………………あ、ゴメン。ちょっと待ってて。…………………………………………………お風呂はあとでいいのーぉっ。今、蓮君とお話してるからっ。そうっ。お風呂の順番より、蓮君大事っ。……………………………あ、ゴメンね。今の、ママ」

「ふふふっ。いいよ」

 彼女が、彼女の家族との会話の中で当たり前のように自分の名前を出してくれているのを、電話越しに聞くというのはなんだかくすぐったい。けれど良い気分だった。そして清香ちゃんのご両親が、今、なんとか「ほど良く進歩的で理解的」になっているということがわかって、安心もした。

「ありがとう。なんか、話してるうちにずいぶん楽になったよ。清香ちゃんも早くお風呂入って」

「あ………うん。………わかった。………でもあの………。お風呂あがって、寝る前に、ちょっと声聞きたくなったら、また電話しても良い? ………邪魔しないから」

「もちろんっ」

 蓮は清香ちゃんからは見えないけれど親指を立ててみせた。電話を切った後、深呼吸をしてスマホをベッドに置く。せっかく可愛い可愛い彼女が、アドバイスをくれたのだ。オマジナイの上級車になると逆に出来ないようなことが無いか、その線で考えてみることにした。

<カルト> 木辻朋絵 高校1年生

 司祭様のおうちは教会になっていて、天国に繋がっている。朋絵のお母さん、祥子は朋絵に、そう教えてくれていた。だから、マンションの2階下まで降りて、「井村」と表札の書かれた部屋の前に立った時、朋絵は正直に言うと、拍子抜けしていた。表札の右下には野ウサギの絵が小さく描いてあり、ドアのノブには「Welcome」と書かれた、ブーケをかたどった木札がある。それ以外は、意外と素っ気のない、普通の家のドアだった。もしかしたら白いベールが何重にも垂れているのではないかとか、ドアノブがダイヤモンドのように輝いているのではないかとか、色々と妄想していた自分が恥ずかしくなって、朋絵は思いっきり無表情で立っていた。

「緊張しなくても良いのよ。皆、とっても優しいから」

 母が大切なお友達と紹介してくれた、園原文乃さんは、まだ大学生らしい。母よりも朋絵に歳が近い、綺麗なお姉さんだった。さっき初対面の朋絵に、大事なお話というものを聞かせてくれた。内容はよく覚えていないが、フワフワと地に足がつかないような浮遊感を感じたことだけは、覚えている、というか、魂が感じているような気がしていた。

「大丈夫よね。トモちゃんは賢いから………。きっとママよりうまくやれるわよっ」

 朋絵の母、祥子が、まるで子供がハシャぐように喋る。お母さんは童顔のせいか、38歳という実際の年齢よりも、若く見える。30歳と言っても通るかもしれない。そして、精神年齢はもっと若い。朋絵が思春期になってからは、お母さんの若いノリが逆にテンポが合わなくなってきているので、会話は以前よりも減った。それでも、親子仲は悪い方ではない。朋絵はそう思っていた。娘の朋絵の方が、愛情表現が若干苦手なだけだ………と。

 文乃さんが、一切遠慮するような素振りを見せずに、「井村」家のインターホンを鳴らす。

「………はい」

 インターホンの向こう側から、真面目そうな男の人の声が聞こえる。赤いランプが点いたので、小さくて丸いカメラからこちらの映像が家の中で表示されてることがわかる。当然ながら、朋絵の家と同じシステムだ。母が期待で拳を握っている様子を横目で見ながら、朋絵は一息吐いて、生唾を飲み込んでから、勇気を出して口を開いた。

「503の木辻朋絵です。15歳で、高校1年生です。私が最後で………、木辻家は全員、ペガサス聖家族、イムラ教会の信者になりました」

 隣で文乃さんが優しく頷く。こんな綺麗で知的な女性が、朋絵のお姉さんになってくれるというなら、新しい家族を持つというのは悪くないなと心底思えるような、魅力的な笑顔だった。

「私の性的な体験はゼロです。中学3年の時に、何か月かお付き合いをしたことがありますが、キスをして………その、体をちょっと触らせるところまで行ったのですが、そこから先が怖かったし、高校受験もあったので、別れてしまいました。………あ………でも、その………オナニーは、時々します………。その先輩と、もし続いてて、その先までいっていたらって考えたりしながら、お風呂で、アソコとか触ったりします。………ちょっとです」

 インターホン越しの知らない人に、これまでお母さんにも言っていなかった秘密を語っている自分自身が、信じられないような気もするが、これから朋絵がすることを考えたら、今までのことで恥ずかしがってなんかいられない。朋絵は学校から帰ってきたままの制服を脱ぎながら、他に言うべきことを思い出しながら、話し続ける。

「私の体の中で、エッチだと思うところは、………やっぱりさっきの、アソコです。手鏡を使って初めて観察した時は、ちょっと気持ち悪いと思ったけれど、お風呂で綺麗にしながら触っていると、頭が痺れるような感じがして、癖になります。………あと、お尻がキュッとしていて綺麗って、友達に言われたことがあります。肌もスベスベしてて羨ましいってよく、お母さんに言われます。………あとは、胸の大きさはそんなに自信がないのですが、乳首は、色が薄めで良かったと思っています。………あ、そうだ、下着は白が基本のローテーションです。学校がちょっと厳しいので………」

 服を脱ぐスピードを上げながら、ちょっと慌てて説明する。最初に下着の話をして、次に裸の説明をするという順番を、間違えてしまったのだ。マンションの敷地内とはいえ、朋絵は今、ドアの前、室外の公共スペースで全裸になろうとしている。どうしても、緊張と恥ずかしさが、清純な女子高生をパニックにさせていた。

「大丈夫よ。落ち着いて、朋絵ちゃん。とっても可愛いわよ」

 文乃お姉様に褒めてもらえると、お世辞と思ってもつい、ウットリとしてしまう。理性がフリーズしてそのまま雲の上に突き抜けるような高揚感。自分の魂が喜びで震えていると感じる。

 インターホンのカメラ越しに、誰かわからない人に裸を見せながら自分の秘密を話す。それは普通ではない行動だけど、その行動を通じて、朋絵ちゃんは心の底から、自分がこれまでの常識や道徳、ルールから自由になったことを実感出来る。立派な信者になって新しい家族たちと一緒に魂を浄化していくために、これまでの敷き詰められた古いレールから逸脱するということがとても大事なのだと、文乃お姉様は教えてくれた。朋絵を決して子ども扱いしないその率直でシンプルな説明が、逆に朋絵の魂まで響いた。何でもします。何にでもなりますから、私を導いてくださいと、朋絵は文乃お姉様の前に跪いてお願いした。それがつい15分前のこと。その後、3分くらい、横で感激した祥子に抱き着かれて難儀した。

「胸は、そこまで小さいとも思わないですが、ちょっと左に比べると、右が形が悪いかもって思って、それがコンプレックスではあります………。あと、………コンプレックスでいうと………、ヒジがすぐカサカサします。あと、生まれつきの髪質のせいなのか、Youtubeで見たのと同じ髪型にならなくて、なんかすぐ、モサッとしてしまうのが、ヤです」

 裸でレンズの前に胸を近づけたり、横を向いたり、後ろを向いたり、一生懸命、自分の体のことを説明する。インターホンの向こう側にどんな人が何人で見ているのかわからないというのが、独特の恥ずかしさとなって朋絵を責めてきていた。

「入ってくださーい」

 オンナの人の声がインターホンのスピーカーから聞こえる。ドアのロックが開錠される、重ための金属音。イムラ教会の扉が開いた。

「あら、いらっしゃい。こちらでお靴を脱いでくださいね。きちんと綺麗にしておきますから」

 それほど広くない玄関に、2人の女の人が裸でしゃがみこんで作業をしている。確か、母の祥子が「セレブ・コンビ」とアダ名をつけていた、塚本さんと真壁さんだ。2人とも新婚らしくて、若々しい裸。エクササイズから脱毛、ネイルのお手入れと、体磨きに余念のない2人の生活が、高校生ではあっても女子の朋絵には見てとれた。その2人が、玄関の石模様の上にお尻をついたり、両足をついてしゃがんだ体勢で、せっせと靴磨きに励んでいる。朋絵や祥子、文乃が靴を脱ぐのを恭しく手伝った2人のセレブ妻は、愛おしそうにその、手にした靴に何度もキスをした。そして労働を心から楽しむような表情で、靴磨きに勤しむ。

「出来るだけ、これまでの生活とギャップのある日々を、短期間であっても体験させてあげているの。その方が、魂が新しい集団生活に馴染んでくれるからね」

 文乃がそう言って塚本さんの頭を撫でると、塚本さんは嬉しそうに文乃お姉様の足の甲にキスをする。靴箱に引っかかっていた靴ベラを手にした朋絵のお母さんが、悪戯っぽく笑ったあとで、真壁さんのお尻をぺチッと軽く叩いた。すると真壁さんは仰け反って喘ぐと、玄関の床に股間からプシュッと何か、液体を飛ばした。

「真壁さんって、お仕置きされるのが大好きな体質になっちゃったんだって」

 朋絵のお母さん、祥子が妙に嬉しそうに言う。朋絵はどちらかというと、自分の母親よりも、真壁さんの奥さんの方に共感して、お尻がヒヤッとする感触を覚えた。真壁さんも朋絵も、全裸でこの家にいるからだ。今、鼻歌交じりに朋絵たちの靴を磨いたりキスしたりを繰り返している、塚本さんについてもそうだ。つい先日まで、ブランドものの洋服やバッグで身を固めて、近所を闊歩していた2人のプチセレブさんたちが、他人の家の玄関先で全裸で跪いたり四つん這いになったりしつつ、嬉々として雑用に勤しんでいる姿は、異様なものに感じられた。

「入信した後、早いタイミングで一度これまでの習慣とは違う自分を体験してもらった方が、早く魂が落ち着くの。家の外での行動も含めて変化をつけていこうとすると、もうちょっとマイルドな方法もあるんだけれど、うちの司祭様は、それまでの社会生活を破壊しないようにっていうところに拘ってて………。だから家の中ではかえって極端な振り幅になってるところがあるの」

 文乃さんが朋絵に説明する。そして、心配するなといった手つきで、朋絵の髪を撫でてくれた。

「友介さん、入りますね」

 文乃さんは、朋絵が想像していたよりもカジュアルな口調で、司祭様がいるはずのリビングルームのドアを開けた。手を引かれて部屋に入ると、そこには朋絵を導いてくれる、頼もしい司祭様がいた。ほとんど裸の姿に、申し訳程度にバスタオルを腰に引っかけている。その左右を肉感的な美女や、可憐な美少女がはべって、裸の素肌を、中央の司祭様にそれぞれの角度から密着させていた。皆、司祭様に触れているだけで、オンナとして最高の喜びを味わっている。司祭様に異性として求めて頂けるようなことがあれば、それだけで愉悦の絶頂に達してしまうのだろう。そこまでのことを、朋絵はその光景を目にしただけで、女としての本能で理解した。まだバージンである朋絵のお腹の奥、子宮のあたりが震えていて、その振動が魂の震えまで繋がっているように思った。

「木辻朋絵さんだね。………急なことで色々と申し訳ない。君のご両親を入信させることになってしまって、君だけを放っておくわけにはいかなくなったんだ。家族を引き裂くことは絶対にしたくないから」

 美女たちに四方八方から密着され愛撫されて、まるで裸の宗教画のように肉体の絡み合った体勢でこちらを見ながら、司祭様は妙に心配そうな、生真面目な声で朋絵に語りかけていた。

「どんなかたちで弁解しようとしても、取り繕うとしても、結局僕たちが君の魂と性格、………人生を捻じ曲げてしまっていることに違いは無いと思う。せめて、君が苦しまないで済むようにしてあげたいと思っています」

「私は………。どうなっても平気です。………全てお任せしますし、司祭様やお兄様、お姉様たちの言う通りにしますから、どうかお導き下さい」

 朋絵は気がついたらそう答えていた。考えるより先に、口が動いて言葉が零れ出た、という感覚だったが、それは決して嫌な感覚ではなかった。本当の本心が自然に口をついて出た、という感じだ。

 そこまで聞いた司祭様が、ゆっくりとソファーから体を起こす。今まで、ソファーに座っていたとわからないくらいに彼の周辺を埋め尽くしてひしめきあっている美女たちが、名残惜しそうに彼の肌を撫でながら、ゆっくりと手や乳房を離していく。立ち上がった司祭様は、朋絵の隣に立つ、文乃お姉様の方へ顔を向けて、ゆっくりと頷いた。無言で通じ合うように、文乃お姉様が手を叩く。すると、洗面所へと繋がる廊下から、新しい人影が、リビングへと入ってくる。ちょうど朋絵とお母さんの祥子のペアと、よく似た背格好の2人。それは朋絵の幼馴染みである、同じマンションの三島瀬里と瀬里のお母さんだった。

「瀬里ちゃん? ………え…………。瀬里ちゃんも?」

 朋絵が驚いた声を出すと、全裸の瀬里は、少し恥ずかしそうに微笑んで、頷いた。朋絵と瀬里は小学校から中学まで同じ学校に通っていた仲の良い友達だったが、高校が別々になってから、一緒に遊ぶ機会が減っていた。朋絵は進学校へ、そして瀬里は大学までエレベーター方式で進学できる、私立の学園高校へ入学した。それ以来、お互いに新しい友人も出来て、徐々に疎遠になっていたのだ。その幼馴染と、久しぶりに同じ部屋で対面する。そんな時に限って、朋絵も瀬里も全裸で立っているのだった。もっとも、同じ裸といっても、1点、大きく異なっているところがあった。瀬里の両足の間に、成長とともに生えているはずの、アンダーヘアーが無くなっている。綺麗に剃毛されているようだったのだが、驚いた朋絵は思わず視線を外してしまったので、その部分が剃られていたのかどうかは、はっきりとはわからなかった。(瀬里ちゃんって、前からああなってたかな? ………)朋絵の方も顔を赤くしながら、思い出そうとしていたのだが、彼女と一緒にプールに行ったのは小学生の時のことだったので、それはあまり役に立たない回想だった。

「三島さんのご家族も今日、皆さんの魂が融合出来たの。朋絵ちゃんと同じタイミング。2人はもともと仲良しだったんだよね? どっちも可愛いし、友介さんには、2人同時に楽しんでもらいたいと思って、瀬里ちゃんたちに待っててもらったの」

 文乃さんは笑顔で説明してくれる。不思議な演出に驚いている朋絵だが、これが文乃お姉様のお考えなら、きっと良いことなのだろうと、朋絵にも瀬里にも思えた。

「15歳の2人の美少女。どちらもバージン。瀬里ちゃんの方は立ったいま、下の毛もお母様に剃ってもらって、体もアソコも丁寧に洗ってもらいました。こちらの朋絵ちゃんは学校から帰ってきたままの、普段の延長っていう状態の体。2人の処女を同時に大人のオンナにしてあげながら、セックスの具合を見比べて、友介さんが気に入ったスタイルで、まだマンションに残っている、娘さんたちの処理の仕方を決めましょう」

 文乃さんが誇らしそうに説明すると、イムラ先生は少し困惑したような口調で聞き返す。

「そうすることが、彼女たちにとっても、良いことだと、文乃ちゃんは提案しているの?」

「もちろんです。司祭様が快感を感じるほど、その魂の流れが私たち信徒により強い喜びを与えてくれます。友介さんの性癖を色々と試して、発掘して、追求すれば、それが私たち皆の幸せに繋がるんですよ」

 しばらく無言でいたイムラ先生は、文乃お姉様に向けて頷いた。司祭様と先輩信者の関係ということで朋絵が想像していたやり取りとは、少し違った力関係を感じ取ったけれど、同時に朋絵には、この2人がお互いのことを思いやっていることも、はっきり感じ取った。

 ファサファサっと、布の音を聞いて、朋絵が後ろを振り返ると、いつの間にか、お母さんの祥子は来ていた服を脱ぎ捨てて、娘である朋絵の真後ろに立っている。瀬里ちゃんの後ろにも、同様に裸になった三島由里さんが、しずしずと立つ。朋絵にとっては全裸の母を見られることに対して、沢山の他人の前で自分が裸で立っているのとは、また別の種類の恥ずかしさを感じさせられていた。

「じゃあまずは、三島さん親子から、お願いします」

 文乃さんがごく自然な素振りで案内すると、由里さんが嬉しそうに頷く。自分の前に立っていた瀬里ちゃんの手を引くようにして、イムラ先生の前へ進んで自分の娘と先生とを引き合わせる。

「娘の瀬里です。先ほど、お風呂をお借りして、綺麗な体にしてまいりました。イムラ先生のお力で、大人のオンナにしてあげてください」

 実の母親に促されるままに、自分の倍くらいの年齢の男性と、瀬里ちゃんは口づけを交わす。瀬里ちゃんの腕を引っ張り上げるようにして、イムラ先生に抱きつかせる由里さん。朋絵の知識が今も正しければ、これが瀬里ちゃんのファーストキスのはずだった。娘の首筋や胸、脇から腰までを撫でまわすように、して瀬里ちゃんを愛撫する由里さん。キスをしながら、瀬里ちゃんがビクビクっと敏感に感じて背筋を震わせる。華奢な瀬里ちゃんの太腿の間に指を潜りこませた。瀬里ちゃんの腰がヒクつく。

「………ご覧ください。イムラ先生。瀬里はもう準備出来ています」

 由里さんが嬉しそうに人差し指と中指、2本の指をくっつけて、イムラ先生に見せる。その後で、ヌルヌルと光っている指を、リビングルームにひしめく美人の女性たちにも、見せつけるように手を上に掲げた。キスが終わったばかりの瀬里ちゃんは、イムラ先生の体に裸でしがみついたまま、恥かしそうに俯いた。彼女の股間の恥ずかしい液は、内腿から膝まで垂れている。これはアンダーヘアーを剃ったせいなのだろうか、それとも、瀬里ちゃんが特別に感じやすい体質なのだろうか? 疑問に思った朋絵が自分の足元を見て、瀬里ちゃんと同じくらい赤くなった。幼馴染の全裸でのファーストキスを見ていて、朋絵自身も内腿が少し濡れていることに気がついたのだ。さっき文乃さんに外国のお話を聞かせてもらった後、ずっと朋絵の足は地についていないような浮遊感を感じていた。そしてお腹の奥のあたりがポカポカと温かい。そのせいだろうか? 朋絵も瀬里ちゃんと同じくらいエッチな体の反応を見せてしまっていた。

 瀬里ちゃんの体を、大事そうに抱きかかえたイムラ先生が、ソファーに彼女を座らせるようにして、両膝の間をゆっくりと広げていく。瀬里ちゃんの股間の割れ目は赤く濡れていた。アンダーヘアーが無いので、全てが無防備に曝け出されている。その彼女のスレンダーな体に、イムラ先生がグッと圧し掛かって抱き締めて、腰を寄せていく。瀬里ちゃんのアゴが上がった。

「瀬里、綺麗よ」

 イムラ先生の背中にオッパイを押しつけるようにして、由里さんが、痛みと恥ずかしさに喘いでいる、娘の瀬里ちゃんを応援する。イムラ先生は柔らかそうな体の由里さんと華奢な瀬里ちゃんという、親子にサンドイッチされるようにして、腰を上下させる。体の感度が上がっているのは、母親の由里さんも同じようで、オッパイの先がイムラ先生の背中で擦れるだけで、あられもない声を漏らして悶えて、体をくねらせる。イムラ先生が動くたびに、美女と美少女の親子が喘ぐ。その喘ぎ声に少し甘えたトーンが混じるのは、2人の意外な共通点だった。こんなところに遺伝子が作用しているのだろうか。

「朋絵も、もうすぐ、ああやって大人になるのね」

 耳元で、お母さんが囁く。朋絵が振り返って見ると、近づけられた祥子の顔は、ウットリと三島さん親子の痴態に見とれていた。念のために朋絵はお母さんの下半身を見下ろす。やはり、膝まで内腿が濡れて光っていた。こちらはこちらで、親子の共通点と見られるのだろうか? 人目を気にして、朋絵は慌てて顔を反らした。

 一音ずつ、瀬里ちゃんの喘ぎ声の音階が高くなる。もうすぐ彼女はイってしまいそうだ。初体験でイクところまで感じるなんて、普通は無いと、朋絵は友人や先輩に聞かされていた。その、普通でない状況を、彼女はもうすぐ目にする。…………そう思って見ているうちに、瀬里ちゃんはアゴを上げて、首筋に腱と血管を浮かせて、絶頂の声を漏らした。同じタイミングで、イムラ先生の背中にしがみついて、オッパイと股間を精一杯擦りつけていた由里さんも、はしたない声を上げる。瀬里ちゃんは初体験でイッた。しかもお母さんと一緒に。

 イムラ先生が結合していた下半身を離していくと、赤く濡れたモノがズルリと瀬里ちゃんの中から出て来る。まとわりついた液体がソファーに垂れないうちに、素早く別の女の人が口を開けて咥えこんだ。足を開いたままの姿勢で呆然と天井を見上げている瀬里ちゃんにも、脱力したように膝立ちになった由里さんにも、左右から女の人たちが優しく抱きしめるように体を寄せて、キスと愛撫を始める。部屋には湿ったような喘ぎ声がまた、いくつも響き始めていた。

「友介さん………。こちら、木辻朋絵ちゃんと、お母さんの祥子さんです。………朋絵ちゃんは瀬里ちゃんの幼馴染み、みたいです。仲間外れにならないように、してあげて欲しいです」

 文乃お姉様に紹介された朋絵の背中を、祥子さんが軽く押す。イムラ先生は、少しだけ疲れた顔をしていたけれど、2回頷いたあとで、朋絵の方へ近づいてきた。司祭様が裸で、朋絵の近くへ来てくれている。それだけで、朋絵の胸は高鳴って、体がカーっと熱くなってくる。魂と子宮が震えているような気がした。

「是非お願いしますっ」

 祥子が反射的に返事をする。自分の娘を差し出すことに、前のめりになっているお母さんに対して、(………もう………)と朋絵が内心、溜息をつく。朋絵にしても、ここまで来て嫌がるようなつもりはないのだが、真面目に生きてきた15歳の娘が、今バージンを失うということに関して、もう少し、躊躇いというか、デリカシーのようなものを期待できないものだろうか? そんなことを考えているうちに、自分がイムラ先生の至近距離、手の届く距離に立っていることに気がつく。先生が歩いてきたのだろうか、それとも朋絵自身が近づいて行ったのだろうか、これから起きることへの想像が頭の中で大きくなりすぎて、朋絵はもう、冷静に考えることが出来なくなっていた。

「……失礼しますね」

 イムラ先生の声が聞こえると、その顔が近づいてくる。朋絵は本能的に瞼を閉じて、顔を上げる。唇が重ねられた。木辻朋絵のファーストキス。幼馴染みの瀬里ちゃんは見ているだろうか? それとも近所のお姉様や奥様とのエッチなことに夢中で、気がついてもいないのだろうか? 唇が離れると、今度は首筋をキスされる。その瞬間、イムラ先生の頭が朋絵の顔の横に来て、大人の男性の髪の毛の匂いを嗅いだ。胸とお腹の奥がまた、キュッと締めつけられる。朋絵はこの人に、オンナにしてもらう。抱きかかえられるままに、体の力を抜いた。首から鎖骨、オッパイと、司祭様のキスはだんだんと下へ降りていく。(瀬里ちゃんと違って、学校から帰って来て、シャワーも浴びてない………)朋絵はそう思うと、目をつむったまま、キュッと唇を噛んで顔を横に背ける。イムラ先生のすることを拒んだり、邪魔したりすることは絶対にしたくないけれど、自分の匂いに嫌悪感を抱かれることは不安だった。そんな朋絵を宥めるように、オッパイをプニプニと触ってくる手がある。男の人の指ではない。朋絵が目を開けるとイムラ先生の肩越しに、母の祥子がこちらに微笑みかけながら、朋絵のオッパイを触っている。自分の体はさっき由里さんがやっていたように、イムラ先生の背中に押しつけて、イムラ先生の耳を舐めながら、手は先生の脇をくぐるようにして朋絵の胸まで伸ばしている。さっきの由里さんに対抗しているのだろうか、祥子さんはいつも天真爛漫で、少しだけ欲張りだった。

 イムラ先生はキスから、舐めるという行為、そしてさらに口を開いて、朋絵の体を口に含む、咥える、甘噛みするというような行為に進んでいく。誰かが、何人かの手で彼女の体を後ろから持ち上げてくれる。朋絵のお腹から腰の部分がイムラ先生の顔に突き出されるような体勢になる。その部分が近づいてきても、イムラ先生は顔を背けたりしない。朋絵の体を口にふくんで愛撫してくれる。アンダーヘアーの中に鼻先を入れて、舌で彼女の敏感な粘膜を優しく撫でる。そこまでされて、朋絵は不安な気持ちも投げ出した。自分がどれだけ汗をかいて汚れていても、司祭様は汚い朋絵なら汚いまま、受け入れてくれるのだと信じることが出来た。不安と一緒に両手両足を投げ出すようにして、全て身を任せる。天井を見上げていた。その天井が少しだけ遠ざかる。彼女の体の位置が、支えていてくれるご近所の女の人たちに、少し下げられたようだ。すると腰骨を力強い手で掴まれる。気がつくと、イムラ先生の腰と朋絵の腰が同じ高さに調整されていた。

「行くよ………。少しだけ痛むと思う」

 グッと先生の、固くて熱いモノが朋絵の中に押し入ってくる。彼女の純潔を守ってきた膜が裂けてしまう感触。それは本当に、「少しだけ」の痛みだった。もっともっと強い痛みを予想して両目を強く閉じていた朋絵が、今度はその目を丸くして先生を見る。イムラ先生は、唇の緊張を抜くようにして少しだけ微笑んだ。

「気持ち良くなる。とても幸せな気持ちになれるよ」

 先生が言う通り、突然岩の隙間から温泉が湧き出てきたかのように、快感が朋絵の足の爪先から脳天までを満たしていく。幸せ過ぎて、少し涙が零れてしまった。ここで朋絵は心底納得する。全て、朋絵はイムラ先生の言う通りになるのだ。だから処女膜を突き破られても、少ししか痛まなかった。そして今、言われた通りに気持ち良くて仕方なくなっている。もしかしたら、瀬里ちゃんも同じようにして、初体験でイクことが出来たのかもしれない。

「朋絵ちゃん、綺麗………。大好きよ」

 イムラ先生の肩越しに、お母さんも幸せを噛みしめている。先生が言った言葉が、祥子さんにも影響しているのだろうか。少し強めに朋絵のオッパイを揉んでくるお母さん。朋絵は思わず少しだけ力を入れて右手を上げると、イムラ先生の腕の下から祥子さんの胸元まで手を伸ばして、母のオッパイも揉みかえした。こうして朋絵の初体験は、幼馴染みや近所の女の人たちの目の前で、お母さんとペッティングをしながら行われることになった。速いピッチで、快感が朋絵の頭を揺らすように突き上げてくる。朋絵は喘ぎながら、体をくねらせながら、体の中で暴れる快感の渦の中でバタバタと悶えていた。そして目の前が真っ白になって体が痙攣をした時、快感の津波に意識を押し流されながら、左手でイムラ先生の肩を、右手で祥子さんのオッパイを強く、とにかく強く掴んでいた。その刺激で、同時に母の祥子さんもイってしまったようだ。それを知って、満足感を得ながら、朋絵の意識は愉悦の中に沈んでいった。

 目が覚めると、木辻朋絵の視界は、沢山の女の人がいろんな角度から顔を出して見下ろしている姿で埋められていた。真ん中にはお母さんがいる。みんな、朋絵を笑顔で祝福していた。全員、朋絵のお姉様なんだと気がつく。ここにいる、綺麗な、裸のお姉様たちと、自分が魂で繋がっているということが実感出来て、朋絵は嬉しくてまた泣きそうになっていた。

「朋絵ちゃん、立てるかな? ………手伝ってあげようか?」

 お姉様たちが口々に、朋絵のことを気遣いながら、上体を起き上がらせてくれる。視界が変わると、裸だったはずの自分の腰に、何か黒い物が装着されていることに気がつく。幸せな気持ちで満たされていた朋絵だったが、この時はさすがにギョッとした。成人男性のように、両足の間にぶら下る黒い棒状のモノ。それはどうやらゴムで出来た、ペニスを模したもののようだった。

「イムラ先生が、2人の女の子の初めてを相手したところで、ちょっと疲れたって仰っているから、由里さんと祥子さんとは、貴方たちが責めてあげて。2人ともとっても綺麗なお母さまね」

 お姉様たちに誘導されて、朋絵は四つん這いになってこちらを笑顔で振り返っている母親の、お尻の後ろに膝立ちになる。気がつくと自分のすぐ右側には、同じような体勢になっている三島由里さんと瀬里ちゃんとがいた。

「朋絵。お願いっ。ママを気持ち良くして」

「瀬里なら出来るわ。頑張って」

 祥子さんと由里さんが娘たちにお願いする。朋絵と瀬里ちゃんとは、お互いの顔を見合わせながら、少しだけ困ったような視線を交わし合うと、すぐに頷き合って、自分たちの母親の腰を両手で捕まえる。ついさっき、イムラ先生が自分たちの股間に入れてくれた時のことを思い出すように、ゆっくりと自分の母の割れ目から入れるべき穴を見つけ出して、ゴムのペニスの先端を、そろそろと押しこんだ。

「あっ………いいっ。朋絵ちゃんっ」

「瀬里ちゃん、最高っ」

 お母さんたちが、背筋を弓なりにして、顔を上向かせて、その感触を噛みしめる。とりあえず、自分の母親が喜んでいることはわかったので、少しホッとした。腰を前に突き出すと、ゴムのペニスはさらに奥まで入って、若いお母さんたちが快感に打ち震える。朋絵と瀬里ちゃんはまた、お互いの顔を見つめ合って、照れ笑いを浮かべる。瀬里ちゃんが左手を差し出してきた。朋絵はゴムペニスで母親を貫いたまま、左手でその腰を掴んだままの姿勢で右手を横に伸ばして、隣の瀬里ちゃんと手を繋いだ。別々の高校に行くことになってから、今まで、こんなに彼女と親しい仕草をすることはなかった。

「トモちゃん、どっちが先にママをイカせられるか、競争しよっか?」

「セリちゃん……………負けないよ………」

 三島瀬里ちゃんと木辻朋絵は、幼馴染と手を繋いだまま、競い合って腰を振り始める。玩具のペニスを娘たちに突き立てられる母親は、歓喜の表情で悶え狂う。それを近所の若奥様とお姉さんたちとが、心から祝福して応援してくれる。朋絵は幸せ過ぎて、この新しい家族たちと、一生離れたくないと願っていた。

<カルト> 井村友介 会社員

「もう、ちょっとやり過ぎかなっていうくらいだと思うんだけど」

 信者のほとんどが『イムラ教会』から自分の部屋へと帰っていったあとで、友介はダイニングテーブルの席に浅く腰を下ろしながら、缶ビールを開けた。キッチンで洗い物をしていた塚本さんと真壁さんのうち、真壁さんが近づいて友介にお酌しようとするのを、友介は手のひらを見せて静止した。友介の顔は、まっすぐ文乃ちゃんを見ている。彼女は一度、恭しく頭を下げた後で、割とカジュアルな口調で返答する。

「最初が肝心ですから。………初めに体験として自分を取り巻く世界が大きく変わったんだって理解してもらった方が、途中で悩んだり、迷ったりしないですみます」

 始めのお辞儀は、友介が「これまで通りの接し方にしてほしい』と文乃ちゃんに頼んだので、それに従っているんですよ、というサインのようなものだ。

「司祭だなんて、柄にもないことをしているから、疲れるよ。………文乃ちゃんに何回注意されても、チャイムが鳴ると、自分でインターホンに出ちゃうね。………他は任せられても、こればっかりは、癖だな」

 友介がグラスにビールを注ぎきると、空になった360mlの缶は、真壁さんが会話の邪魔をしないように、そっと引き取ってキッチンへ戻っていく。友介が首を伸ばしてキッチンの様子を見ると、塚本さんはもう、大人数でのディナー後のお皿洗いを済ませていて、キッチンの床を拭いていた。この人は本当に、四つん這いになってお掃除をするのが好きなようだ。全裸にエプロンだけの姿だと、柔らかい肉のついたお尻が丸出しになっている。

「それは……あんまり責められないな、って思ってます。友介さん、チャイムが鳴ると、もしかしたら雪乃お姉ちゃんかもしれないって思うから、自分で出たがってるんですよね? ………そういうところは、司祭様らしくはないけれど………、友介さんらしいなって、思います」

 文乃ちゃんは、なんだか久しぶりに、素の彼女らしい笑顔を見せてくれた。

「……………雪乃が、もし、運良く自分の力や誰かの助けを借りてカルトから脱会して、必死の思いでここに逃げ込んできたら、気絶してしまうかもね。………自分が置いて行った旦那が、自分のいたカルトの司祭になって、一緒に住んでいた自宅を教会にしちゃってるんだから………。そう思うと、誰よりも先に、彼女に僕の口から説明させてもらわないといけないよね。さすがに」

 友介がビールを喉に押しこんだあとで、自嘲するように口元を緩める。アルコールの回りが早いことからも、自分が疲れていることが実感できた。

「…………ごめんなさい。友介さんに反論したいっていう訳じゃないんだけど、やっぱり、それは甘い期待だと思います。………セノオ主教って、友介さんや、私とは、ちょっとタイプが違うみたいですよ」

 文乃が申し訳なさそうに話す。友介は無言のまま少し眉を上げて、文乃の言葉の続きを待つ。彼女の様子だと、「セノオ主教」の新しい情報を入手したのだと思われた。

「ジェイクお兄様と、……小塚お姉様からも聞きました。私たち、てっきり『主教』っていうポジションから、ナカガワ先生みたいに、年配の男性を思い浮かべてたと思うんです。それでちょっとタチが悪い主教っていうから、もう………エロ親父みたいな………。でも、位階と年齢って、関係ないんですね。私、詳しく話を聞いて。………そんなに厄介な人だったんだって、ちょっとゾッとしたんですよ。………それ以来、イムラ教会の信者さんたちはもっと厳しく教育しないといけないって、自分を引き締めてるんです」

 文乃ちゃんが複雑そうな表情で、先輩信者さんたちから聞いたセノオ主教の話を説明し始める。

「セノオ主教って、ほとんど生まれた時から、この教団のメンバーだったんです。お母さんがそもそも主教で。…………それで、育てられ方からして、普通のメンバーとは違っているんです。大人になってから信者になった私たちとは、スタート地点から違っていて、………あの、一言で言うと、無敵なんだそうです」

 聞いているほどに、友介の気持ちは重く、こわばっていくようだった。聞き終わった後、真壁さんが申し訳なさそうに、グラスをお下げして良いですか? と尋ねてきたので、ようやく気がついた。友介が半分ビールを飲んだグラスの中には、すでに泡も消えて、少しヌルくなっているであろうビールが、まだしっかり残っていたのだった。

<カルト> 西峰賢人 中学生

 賢人が宮内怜奈先生のことを大好きになった頃に妹尾明日香とも仲良くなったのか、それとも妹尾明日香と親しくなったあとで宮内先生のことを好きになったのか、今ではもう、はっきりとは思い出せない。

 妹尾明日香は賢人が中学1年生だった時に転校してきた女子生徒だったけれど、あまり学校には来ていなかった。賢人の中学に転入する前にいた学校とはカリキュラムが全然違っていたらしくて、勉強になかなかついていけなかったらしい。義務教育の間にそんなに住んでいる地域で教えている内容が違うのか、賢人にはよくわからなかったが、元々親しくなる前に彼女が不登校気味になっていたので、詳しい話を本人から聞くことはなかった。明日香が色々と彼女のことを聞かせてもらうことになるのは、もっと後のことだった。

 賢人は2年生で彼の担任になった、佐原玲奈先生のことを好きになった。初恋だったかもしれない。優しくて包容力があって、責任感も強くて、そして綺麗だった。ストレートで長い黒髪は、賢人にとって大人の女性の象徴のように感じられた。時々、佐原先生に、授業で分からなかったところなど、放課後に教えてもらうことで接点を持った。佐原先生は自分の担当分野である現代国語以外でも、賢人が質問を持って行くと、ヒントをくれた。そんな先生と、少しでも話しているのが、彼の楽しみになっていた。

 同じ時期に、たまに学校に来ても保健室に入り浸ったり、図書室で本に埋もれたりしている妹尾明日香が、よく放課後に佐原先生と面談をしていた。そこで、面談終わりに授業の質問などをしている賢人と、すれ違うことが多くなった。

 ある日、賢人は放課後の教室で、妹尾明日香に呼び止められる。

「西峰君って、………佐原先生のことが好きなんでしょ?」

 妹尾がこんな声をしていたんだと、賢人は初めて知った。それくらい彼女は、学校では目立たない、レアキャラだった。それなのに、初めて賢人の前で口を開いた明日香は、意外なほど堂々と喋っていた。

「いや………、何、急に言い出してんだよ。俺は別に、佐原先生が………好きとか嫌いとかじゃなくて…………。先生だから」

「西峰君の魂がビビッてくぐもってるのが、わかるんだよね………。そんだけわかりやすいと、ちゃんと戦力になってくれるのかわかんないけど、佐原先生は駒にしときたいから、君が使えるかもしれないって思ってね」

 不登校で問題になる生徒は、もっと喋り方から覇気が無かったり、オドオドしているものだと思っていた賢人は、妹尾明日香がいきなり上から目線で話してきたので、本当に戸惑った。けれど彼女の目や言葉には、確かに人の心をワシ掴みにして離さないような、不思議な力があったと思う。日中、授業時間に仕方がなく教室の隅に収まっている時の彼女は、猫を被っているのだろうか、それとも猫以外の何かを被っていたのだろうか。今、話してみる妹尾明日香は、妙に尊大な態度がそれなりに似合うような、雰囲気というかオーラがあった。顔立ちも良く見てみると、小悪魔系というか、Sっぽい可愛らしさはあった。

「お前、何が言いたいの? テキトーなこと、言ってんなよ」

 賢人が突き放そうとしても、明日香はクスクス笑いながら髪を弄っている。その立ち振る舞いは、なんだかいくつも修羅場をくぐってきた人間を見るようで、賢人は少しだけゾッとした。

「いや別に、君に悪い取引を持ってきてるつもりはないんだよ。私が急に、変な集団に言い寄られて囲われたって言えば良い。私の場合、佐原先生が信頼するだけの、事情が揃ってるんだよね。………君は私の言う通りに動いてたら、佐原先生を君のものにすることができるんだから………。私のこと信じられないっていうなら、これから私の秘密基地についてきたら、証拠を見せてあげるから。そこで、佐原先生を賢人君のものにする作戦を練ろっか?」

 売り言葉に買い言葉というか、賢人はこの不登校児がそこまで大口を叩くなら、ついていってやろうと腹を括った。………中2の男子として、『秘密基地』という言葉に微妙な懐かしさと魅力を感じてしまったこともあるかもしれない。そして妹尾明日香の帰る家(本当に学校に伝えている家とは別の、「秘密の基地」だったようだ)についていって、人生で初めて、本物の秘密の基地を目にした。

 妹尾明日香に案内された高級住宅では、その家の本来の持ち主らしい、お金持ちらしい中年夫婦が、跪いて明日香と賢人を迎え入れた。そこには何人もの女の人や男の人が共同生活を送っていて、誰もが彼女のことを「セノオ先生」とか「主教様」と呼んで、崇めたてていた。明日香が一言命じると、みんな当たり前のように服を脱いで裸になったり、明日香の命令通りに抱き合ってエッチなことをしてみせたり、レスリングのような戦いを見せてくれたりした。彼女は玩具のコレクションを見せるように、賢人に自分のシモベたちを紹介して、見せびらかす。なかでも最近彼女が手に入れたという、抜群に綺麗な女の人の話をする時には、明日香は本当に自慢げに賢人にその美人のスペックの高さとレアさを説明してきた。

「井村雪乃っていうんだって。結婚する前は、園原雪乃。あんまり人妻に見えないでしょ? スタイルも良いし、顔もちょっとアタシの好みから言うと甘めなんだけど、可愛いいは可愛いし………。あと何より、魂が綺麗。ツヤツヤしてて、涎でそうになるんだよね」

 独特の評論をした後で、明日香は雪乃さんという美人の人妻さんに、裸になるように命令した。テキパキと、一切躊躇することなく、皆とお揃いの白いワンピースを脱いで、裸を見せてくれる雪乃さん。賢人は息を飲んだ。本当に綺麗で、柔らかそうで女性的で、適度な肉づきがあって、理想的な裸だった。何より、少し顔を赤らめながら、明日香みたいに生意気なガキの言葉に従って脱いでいく彼女が、色っぽかった。

「いちおう記念ってことで、フェラしてもらっとく? ………どうせ初めてヤルのは、佐原先生がいいんでしょ?」

 賢人は何か答えようとしたのだが、喉がカサカサに乾いていて、声が出なかった。仕方がなく首を縦に振る。もしかしたら賢人は、この家に入ってから今まで、唾を飲むことをわすれていたのかもしれなかった。

 雪乃さんに、口で賢人の、女性経験の無いおチンチンを愛撫してもらった。雪乃さんはお淑やかな顔をしているけれど、ここへ来てから鍛えられたのか、何のためらいも見せずに賢人のおチンチンを咥えこんで、舌と口の中の粘膜を上手に使って、賢人を射精まで導いた。気怠い快感の余韻に浸っている賢人を、見下ろすようにして、明日香が彼女の作戦を説明してくれた。

。。

 1週間のあいだ、妹尾明日香は学校にも来ず、先生からの連絡にも答えなかった。その後、西峰賢人が佐原先生に、勉強の相談に行った帰りに、ポツリと呟く。

「僕、妹尾さんの今いるところ、多分わかります。………ペガサス聖家族っていう教会で、神様のことについて凄く真剣な人たちに、一緒に暮らそうって言われてるって、前に言ってました」

 突拍子もない話だと賢人は自分で語りながら思っていたけれど、意外なことに、佐原先生は信じた。そして、賢人に、もしその人たちの集まりの場所までわかるなら、2人で確認に行こうかとまで、自分から言い出したのだった。

 後から、明日香に説明してもらうと、なぜこの時、佐原先生がこんな話をアッサリ信じたのか、賢人にもやっと合点がいった。そもそも妹尾明日香は、このペガサス聖家族という新興宗教団体が集団で移住している村で育ったらしかった。母親はシングルマザーだけれど、このカルト村で高い地位、主教という位階にある、重要人物だった。明日香はそんなカルト村で、外の情報や価値観から遮断されて、純粋培養のように宗教のことだけを教えられて、育てられてきたということだった。

「ママは結局、教会の仲間割れみたいな争いに巻き込まれて、遠いところに追放されちゃった。その騒ぎのせいで、私も、いままでほとんどあったこともなかったパパに連れ出されて、聖家族村からは離れることになったの。色々あって、パパとも暮らせないっていうことになって、今は親戚が私を預かってるっていうことになってるけど、私にとっては、秘密基地で暮らしてる方が、自由で好き。賢人もこの前見たから、わかるでしょ?」

 そんな複雑な家庭環境があったから、彼女が中学の勉強になかなかついていけなかったり、多少の不登校は先生に多めに見られていた。だから賢人がそのカルトの名前を出した瞬間に、佐原先生は信じて疑おうとしなかったのだ。妹尾明日香が、歪んだカルトから脱会できたと思ったら、またその集団に取りこまれようとしている。そう信じた佐原先生は、その確証を得るために、賢人が案内する、聖家族ペガサス教団のナカガワ教会まで、ほぼ独りで乗り込んだ。そしてそこで、一つの宗教説話を聞くことになる。『ヨシュアの探訪と、民が得られる融合による歓喜』という話だった。信者たちの間では『ヨシュアの家探し』という呼び名で通っている説話だ。

 その言葉を聞いているうちに、賢人は隣に立っている佐原玲奈先生の横顔から、表情が消えていくのを見た。ボンヤリと、夢を見ているような顔で、その場に立ち尽くしている。よく見ていると、微妙に体がユラユラと揺れていた。

「………………賢人………。そろそろ、良いと思う。………佐原先生、連れて来てよ」

 小声で囁くように、妹尾明日香が信者の人たちの間から顔を出して、賢人に伝える。彼女はこっそり、あまり他の信者の人たちの目につかないように、賢人と佐原先生とを、その簡素な教会から連れ出していく。最後、広間を出る時に、振り返った彼女が「ナカガワ先生」という説話を離していたオジサンに、目で合図をするように視線を送ったところを、賢人は見ていた。

「明日香は、さっきのナカガワ先生っていうオジサンと、知り合いなの?」

 帰り道、白いバンと待ち合わせしている場所まで歩いている時に、賢人が聞くと、明日香はしばらく黙っていた後で、小さく頷いた。

「…………ん…………。あの人、………私のパパなんだって………。……………全然会ったことなかったし、ママは写真も見せてくれなかったから、去年初めて会ったんだけど。…………まぁ、寂しいとかオネダリすると、時々こうやって、信者を分けてくれるんだよ。…………子供に玩具を買い与えるみたいにね…………。バッカみたい………」

 明日香は吐き捨てるようにそう言った。そして、言われるままにボンヤリと歩いたりバンに乗りこんでシートに着席したりしていた、魂の抜け殻のような佐原先生を指さして、こう言った。

「約束だから、コレ、あんたにあげるよ。私の注意事項を守る以外は、好きにしていいよ」

 こうして佐原先生は、魂も身体も、受け持っている生徒である西峰賢人が管理することになった。

 妹尾明日香が白いバンで送ってくれた、佐原先生の借りているアパートの前で、賢人と佐原先生は、明日香たちと別れた。その日は賢人が泊りがけで佐原先生の体を弄ぶということになっていた。

「ルールはシンプル。1日に1回は賢人が怜奈先生とセックスをして、イカせること。他の用事があったり、セックスが面倒くさくなったら、怜奈に命令して、イクまでオナニーさせるのでも良い。とにかく、魂を解放した直後の先生はしばらく、動物みたいにサカるはずだから、ちゃんと性欲を発散させないと、行動が不安定になるよ。あと、急激な人間関係の変化は、本人の魂の納得がいっていないと、怜奈の精神を混乱させるから、2週間くらいは、ちゃんと怜奈が『自分は賢人の玩具で、性奴隷だ。そうしているのが自分の幸せだ』って、魂で納得するように、意識的に躾けること」

 賢人は帰り道のバンの中でそう説明されて、一体どうやってそんな魂の納得を得るのか、明日香に尋ねる。明日香は当然のことのように答えた。

「普段だったら佐原玲奈先生がしないようなことを、敢えてするように、命令して仕向けるの。元々、先生の魂には『賢人の命令には絶対服従。賢人がアンタに信じてもらいたがってることは、どんなことでも完全に信じこんで疑わない』っていう、私の教えを刻みこんでおいたから、あとはそれを日常的に思い出させて実感させるだけ。10日もすれば、安定してくるはずだから」

 目からいつもの知性の光を失って、ただただボーっと前を向いて大人しく椅子に座っている佐原先生を見ても、まだ明日香の説明は完全に信用することが出来なかった。その様子を感じ取って、明日香が溜息をつく。

「怜奈、命令するよ。今ここでパンツ脱いで、アンタのご主人様、大事な大事な賢人お兄様に渡しなさい」

 明日香がポロっと口に出す。まるで赤信号だから止まりなさいと言っているような、当たり前の口ぶり。

「……………はい………。ご命令ありがとうございます」

 さっきまで前をボーっと見つめていた佐原先生がやっと意識を取り戻したように表情に生気を得ると、両手をスカートの中に入れる。5センチくらい、シートに座っている腰を上げた。

 佐原先生がパンツを脱ぐっ。そう思って生唾を飲み込みながら凝視していた賢人は、自分が若干フライング気味にだったことに気がつく。まず先生は、パンプスを脱いで、履いていた肌色のパンストをクルクルと太腿から足先まで降ろしていく。その後で、スカートをさらに捲り上げるようにして、手をショーツの腰のゴム部分まで伸ばし、やっと淡い水色のショーツを脱いだ。まだ体温の残るショーツを両手で持つと、少し恥ずかしそうに、そして緊張気味に、賢人に差し出した。

「お願いします…………。ご主人様………」

 お辞儀をしながら、賢人にショーツを手渡してくる、賢人の担任の美人教師。賢人はまだ、夢を見ているような気がしながらも、スベスベした素材の布を受け取っていた。

「じゃーね。怜奈先生、ちゃんと飼いならしなさいよ」

 走り去ろうとするバンの窓から、妹尾明日香は手を振る。今までで一番嬉しそうな、意地の悪そうな笑顔を浮かべていた。

 ポケットにしまうことも思いつかずに、まだ手に彼女のショーツを持った状態で、賢人は担任の先生の部屋へと案内される。きっと彼女の生徒でここに入ったのは、賢人が初めてだっただろう。そして、この部屋で、カーテンも閉めない明るい状態で、服を全部脱いで裸になるように命令した男も、賢人が初めてだったはずだ。怜奈先生は少しだけ躊躇したあとで、ペコリと頭を下げて、命令に対して御礼を言って、仕事着を脱いでいった。ジャケットの袖から腕を抜くと、シャツのボタンを外していき、淡い水色のブラジャーを見せる。賢人の視線を感じて鎖骨のあたりの肌まで赤くなった怜奈先生が背中を向ける。体を隠しながらも、きちんと命令には従って、服を脱いでいく。

「……………佐原先生は………、僕に裸を見られるのが、凄く楽しいから、隠さないって………言ったら………、信じられますか?」

 賢人がオドオドと質問すると。先生の動きが止まる。しばらく部屋の向こう側を向いていた先生が、クルッと顔を振り返らせて、賢人に笑顔を見せた。

「バァッ…………。……………私のオッパイ……………。どうですか?」

 まだ少し顔は赤いけれど、その恥ずかしさを頑張って振り切るように、怜奈先生は体をターンさせて賢人に真正面から向き合うと、ブラジャーを持った両手でバンザイするようにして、オッパイを自分から揺すって見せた。ボリュームがあるオッパイは、薄い肌色の乳輪が少し大きめだけれど、ボリュームもあって、形も良かった。怜奈先生が頑張っておどけるように肩を揺らすと、僅かに時間差を持ってタプンタプンと揺れる。

「あの………どうぞ………」

 右手にまだ温かいブラジャーを手渡される。そこで気がついたのだが、賢人はまだ左手に、怜奈先生のショーツを握りしめたままだった。ご主人様は下着を手に持ちたがっている………。怜奈先生は奴隷として、後輩信者として、そう感じ取ったのかもしれなかった。

 ホックを外したあとで、スカートの横に着いたファスナーを下ろして、ファサっと足元にスカートを落とした時、怜奈先生は生徒の前で完全に無防備な、裸を晒す。先生はわざわざ両手を背中に回して、胸を突き出すような姿勢になった。普段のお淑やかな佐原先生の仕草とのあまりにも大きなギャップに、賢人は思わず照れて顔を右に反らした。10秒後にはわざわざ先生の方から賢人が向いている方に歩いてきて、裸の自分を見せてくる。素晴らしいプロポーションに思わず見入る。賢人の視線が怜奈先生のお尻やアンダーヘアーに集中すると、怜奈先生は恥ずかしそうに、それでも嬉しそうに腰をくねらせて、腰回りを360度、賢人に見せてくれる。また恥ずかしくなった賢人が視線を落として俯くと、わざわざその視界に入るために、床に寝そべってポージングまでする。秘かに口元を緩めて、怜奈先生は楽しんでいた。

「先生、さっき僕が言った、『裸を見られることが楽しい』っていうのは先生の気の迷いでした。元々の先生に戻る……………って言ったら、信じられるのかな?」

 笑顔で体をくねらせていた先生の仕草から、目に見えて「ウキウキ感」、「ワクワク感」が抜けていく。キョトンとした表情になった先生が賢人と目を合せる。その後で自分の姿を見直して、瞼と口を大きく開いた。

「………キャッ……………いやっ………」

 急に両腕で自分の体を抱えるようにしてうずくまる先生。その慌てぶりを見ると余計にさっきまでの先生の変貌ぶりがきわだつ。

「大きく伸びをして」

「…………………ご…………ご命令…………ありがとうございます」

 今度はいやいや、腕を大きく天井へ突き上げて、背伸びをする。先生。タユンと揺れるオッパイ、胸を反らした時に見えた肋骨の形、縦長になったおヘソ、骨盤のかたちが見えた腰。全てを曝け出しながら、先生は泣き出しそうな表情をしていた。

『ちゃんと飼いならしなさいよ』

 賢人の頭の中に、妹尾明日香のさっきの言葉が響く。もしかしたら、頭の中だけでなく、魂まで響いたような言葉だった。

「怜奈先生。……………僕とセックスをして。あの、僕は童貞だから、先生がリードして、僕が満足するように、セックスをするんだ」

 先生が目を潤ませる。涙が零れるのかと心配したけれど、怜奈先生は泣きはしなかった。

「はい………。ご命令ありがとうございます。・あ…………あの…………、…………避妊具を………コンドームを、買ってきても、良いですか? …………そういった用意はしていませんので」

 先生が、ご主人様の命令に逆らないように気を遣いながらも、質問する。瞬きは多いけれど、その目はしっかりと理性を保っているように見えた。賢人は少し迷う。けれど、さっきの明日香の言葉を思い出して、思い切って結論を出す。

「駄目。怜奈先生は、僕の気持ち良いことを最優先にしてセックスをして。不都合があったら、先生の方で対策を打って欲しいな。色々と考えられるでしょ? 大人だし、先生なんだから」

 彼女の表情が変わる。ウットリと上を見るようにして、体をブルブルっと震わせた。顔が上気して、息が少しの間暴れる。内股になって、太腿の内側を擦り合わせるような仕草をして、やっと答えた。

「………はい。…………仰る通りです。ご命令ありがとうございます」

 さっきよりも少しテキパキとした仕草で、怜奈先生は生徒を自分のベッドへ招き入れる。時々悩ましそうな表情を浮かべていたけれど、それでも懸命に賢人に奉仕する。少し普段の彼女のイメージを覆すような熱烈なキスをして、胸をギュッと賢人に押しつける。ときどきぎこちなくなる手の動きで賢人の服を脱がせながら、大切そうに彼の肌をキスで埋めていく。賢人の体の固い部分、柔らかい部分あらゆる場所にその感触を覚えこませるように、怜奈先生はその柔らかいオッパイをムニュムニュと押しつけた。そして寝かせつけた賢人の乳首を舌でくすぐるように舐めながら、左手で賢人のトランクスを下ろし、右手で勃起した彼のモノを撫でさすった。

 賢人が命令したことではあるけれど、ここまでエッチなことを、あのお淑やかな怜奈先生が自分からしてくるとは、意外に思えた。やはり、真面目とはいっても、中学生と成人女性では、経験値が違うんだと思った。賢人の下半身にまたがるように膝を開いて、ペニスを自分の膣の中へと導こうとする、賢人の現代国語の担任。美人で真面目で責任感が強くて、スタイルが良い怜奈先生は、今、自分からヴァギナで生徒のモノを咥えこんで、腰を上下し始めていた。

 先生の下着が見れたことも嬉しい。その下着を手渡されて、彼女の裸を見せてもらえたことももっと嬉しい。そして彼女が今、自分からリードして、賢人の初体験を、自分の体を懸命に駆使して、楽しませてくれていることも嬉しい。そして何より、これが賢人の命令一つで、いつでもどこでも、彼女の都合も関係なく再現出来るということ。いや、もっと過激なことでも変態なことでも自由にさせられるということ。その可能性が、賢人のペニスを大きく高揚させる。そして自分でも早いと思うタイミングで、喜びをペニスから噴出させてしまっていた。

「先生は、………ゴムつけないで、するの、初めて?」

「……………………はい」

 射精後の気怠い快感に沈みながら、賢人がやっと質問をすると、怜奈先生は微妙に複雑な表情を見せながら頷いた。

「…………初めてナカ出しされて、どうだった?」

「……………………………」

 しばらく怜奈先生が考える。回答について真摯に考えをまとめている時の、少し口をすぼめる癖は、教室にいる時の先生と一緒だ。今、彼女が裸で、オッパイもお尻も丸出しにして、膣に賢人のおチンチンを咥えこんでいるということが、嘘みたいに思える瞬間だ。

「………私が………どう感じるかは、あまり関係がないことです。私の感覚とかモラルとか評判とか都合とか安全とかよりずっと優先順位が高いのが、賢人お兄様が気持ち良いかどうかです。だから、ご命令を頂いた以上は、他のことはあまり頭には浮かんでも来ませんでした。………………でも、ご命令に従っている自分を意識すると、頭の芯というか、魂のあたりから温かいものが溢れてくるような、本当に幸せな気持ちになるんです」

 怜奈先生が精一杯、説明してくれる。けれどコンドーム無しで初めてセックスをして、相手が童貞ですぐイッてしまったということについては、そこまで気持ち良くはなかったということだろうと、賢人は解釈した。

「もっともっとしよう。僕が良いっていうまで、先生は全力で僕を気持ちよくして」

「はいっ。ご命令、ありがとうございますっ」

 怜奈が雷に打たれたかのように、背筋をビクッとさせて、命令に反応する。賢人に顔を重ねると、舌で賢人の口をこじ開けるようにして、ディープキスを始める。お尻が完全に賢人の腰に密着するように下ろして、射精後に少し萎んだペニスをもっと奥へと誘いこむ。何回も繋がって、何回も射精していくうちに、賢人も慣れていくだろう。だんだんと、怜奈先生を自分のペニスとテクニックで喜ばせられるようになるかもしれない。そんな希望を頂きながら、賢人は怜奈先生の柔らかくて温かい体にしがみくようにして腰を振った。

 気がついたら夜になっていたので、賢人は先生の携帯を借りて家に電話した。今日は友達と勉強をしていたら、遅くなったので、友達の家に泊っていくと、母親に伝えた。目で合図をすると、先生も電話に出てくれて、一緒に勉強の面倒を見ていたら遅くなってしまったと、賢人の母に伝えてくれた。親の了解をとって電話を切ったあとは、どちらからともなく、2人で抱き合ってまた体をまさぐり合う。まだ部屋のカーテンを閉めてもいないことに、賢人はその時、ようやく気がついた。

。。

 いつの間にか、賢人はベッドで大の字になって眠りこけていたようだった。ずっと、人魚姫のように綺麗な生き物たちに、股間や下半身を愛撫されているような夢を見た。正気に戻ったのは、夢精した後のことだった。

「…………………あ…………、ここ…………先生の家…………だよね? …………………ゴメン、…………僕、寝てた?」

 賢人が上体を起こして、目を擦りながら訪ねると、彼の股間に覆いかぶさるようになって頭を動かしていた、佐原玲奈先生が頭を上げて彼を上目遣いに見る。恨めしそうな目で、ジトっと見上げていた。

「おはよう…………ございます………」

 少しハスキーになった声で、怜奈先生は朝の挨拶をする。目の下にくっきりとクマが出来ている。頬が少しやせたというか、やつれたように見えていた。

「え…………先生は……………夜の間中、ずっとそんなことしてたの?」

 夢精後の、小さくなった賢人のオチンチンを咥えてしゃぶったり、タマを手で撫でたり、腿のあたりをペロペロと舐めたりを繰り返している怜奈先生に、賢人が質問する。

「…………だって、もう良いって、………やめるご指示を頂けませんでしたから…………」

 そう答えた先生の口元からアゴ、首、胸にかけて、先生の涎と賢人の精液が混ざったものが乾いたような跡がべったりとついている。賢人が自分のモノを見ると、すっかり皮までふやけたようになって、力なく横たわっていた。寝落ちしてから今まで、ずっと見ていた気がする、人魚姫とイチャイチャするエッチな夢は、どうやら怜奈先生がフラフラになりながら続けてくれたご奉仕の刺激のせいだったらしい。

「……………ゴメンなさい、先生。もう止めて、休んで良いよ」

「ご命令…………ございまし…………ボフッ」

 先生は、返事の途中で顔からベッドに倒れこんで、そのまま昏倒してしまった。

。。

 賢人は慌てて学校に行く準備をした。怜奈先生は体調不良ということで、お昼前に登校してもらうことにした。明日香の言葉を借りると、『魂で聞いてくれた』という状態なのだろうか? 賢人は疲労で昏倒していたはずの怜奈先生の耳元で、賢人とは別のタイミングで、登校する手筈を伝えたところ、怜奈先生は眠ったままでコクリ、コクリと頷いた。賢人が自分と先生との関係のことや、ペガサス聖家族や妹尾明日香のことを、他の人に伝えないで欲しいとお願いすると、先生は寝顔のまま、素直に首を縦に振ってくれた。そして学校で見た佐原玲奈先生は、まだ疲れが取れきっていないらしく、目にクマはついていたけれど、それでも気丈に授業をしていた。どうやら、賢人とのことを騒ぎ立てたりもしていないらしかった。中学2年の、昨日童貞を卒業したばかりの男子は、そのことに改めてホッと胸を撫でおろした。

 そんな賢人がドキッとしたのは昼過ぎの5時限目、彼のクラスの現代国語の授業が始まる前のことだった。

「ごしゅじ…………………。西峰君、ちょっと良いかしら?」

 クラス担任でもある、佐原先生に、廊下へと呼び出された賢人。何が起きようとしているのかわからず、心臓を激しく打ち鳴らしながら、賢人は廊下へ出た。佐原先生が近づいて、まだ色合いの良くない顔を近づけて、周りに聞こえないように話す。

「………ご主人様…………………。まだ眠くて、気絶しそうです。……………私に、今日の最後まで、きちんと授業や仕事が出来るように、命令してください」

 賢人は、怜奈先生のお願いを聞いて、ホッとする。賢人に対する反抗や抵抗、あるいは彼を懲らしめるための行動が目的で呼び出したのでは、なかったらしい。

「僕が命令したら、先生が意識して寝ないようにするよりも、眠気覚ましに聞くの?」

 逆に、賢人の方から質問してしまう。先生は、昨夜のことを思い出したのか、顔を赤くしながら、言いにくそうに話した。

「………うん。………昨日はご命令を頂いたら、意識が途切れそうになるくら疲れていても、体が、まるでロボットになっちゃったのかって思うくらい、勝手に動いてでも、ご命令を遵守してたの。………変な感じだったけど、今日も、夕方までは、そうでもしないと、授業中に寝ちゃいそうで………」

 体がまだ疲労困憊なのだから仕方がないのだろうが、普通に授業を続けるために、先生の方から、賢人の命令を求めてきている。そう思うと、賢人の気持ちがまた大きくなる。少し、悪戯心までが湧いてきた。

「良いよ。………怜奈先生。今日のスケジュールの最後まで、先生は普段通り、授業をして、放課後のお仕事もしなさい」

 賢人が伝えると、怜奈先生はホッとした表情になる。命令に対しての御礼を言おうと、口を開いた。それを遮るように、賢人が言葉を繋ぐ。

「………但し、ノーパンで。脱いだパンツは、他の人にバレないように、また僕に頂戴」

「……ご………………ご命令…………ありがとうございます」

 恥ずかしさのせいか、怒っているのか、顔を赤くしてプルプルと震えた怜奈先生は、授業が始まる前に、急いで女子トイレへと駆け込んでいった。

 そして授業が始まる。先生は、まだやつれているように見えたし、時々フラフラとはしていたけれど、授業はいつも通り行ってくれた。そして、生徒たちの机の間を行き来するなかで、賢人の席の横に来た時に、スッとコブシを賢人の机の中に入れる。何事もなかったかのように、歩き去って、教科書を読み上げ続ける先生。賢人が机の中に自分の手を入れると。予想していた通りの、まだ生温かい、柔らかい布が入っていた。

 その後の授業は、先生の歩く歩幅が微妙に短くなったような気がするのと、時々、先生が内膝を擦り合わせるように、モゾモゾっと動くことを除けば、順調に過ぎて行った。賢人は興奮していた。昨日、裸で賢人に夜通し奉仕をしていた怜奈先生が、今は何事もなかったような顔をして、授業をしている。けれど彼女が今、寝落ちしないで音読出来ているのも、すべて賢人の命令のおかげだ。

 怜奈先生はさっき、命令を受けると、自分の普段の精神力や体力を超えるくらい、体の力を振り絞って、命令に従ってしまうと、自分からその実感を語ってくれた。それならば、先生が本当だったら相当に抵抗したいようなことでも、賢人は命令一つでやり遂げさせられるということではないか。そして賢人がその気になれば、全ては怜奈先生自身の思いつきでの行動だと『信じこませる』ことも出来るし、これが本来自分がやりたかったことだと『思いこませる』ことも簡単に出来る。そう思うと、賢人にとっては今の怜奈先生も、とてもセクシーに見えてきた。すこしやつれた様子で、それでも気丈に授業をする先生。けれどその、限りなく普段の彼女に近い振舞いさえも、賢人の命令があってこそ、行うことが出来ている。昨日、裸で体の隅々まで調べさせてもらった先生の様子とはまた別の種類の、気持ちをたかぶらせるものを、今の、すました怜奈先生から感じとっていた。

 放課後に一度、トイレでフェラチオでヌいてもらっただけで、満足することが出来た賢人は、怜奈先生に早めに仕事を片付けて、家でゆっくり休むように命じた。1回だけ、イクまでオナニーをして、その後は早めに寝るようにと。やっとホッとしたような表情を見せた先生は、職員室へ急いでいった。賢人が本格的に、先生を『飼いならし始めた』のは、次の日からのことだ。

 賢人は朝、今までよりも45分は早起きするようになった。朝一番に、大好きな先生から、メールが入ってくるからだ。朝のご挨拶と、スッピンの先生が恥ずかしそうに見せるキス顔の写真。それを見て、賢人はニマニマしながら目を覚ます。

「今日は、この下着の上下を身に着けて、学校に行きたいと思います。良いでしょうか?」

「服は、こんな感じです。………この前、ご主人様がお好きだと言ってくださった、紺のスカートの、少しシルエットが違うバージョンです」

「髪型はいつも通り、後ろでまとめます。メイクは薄めに。学年主任のチェックが結構厳しいので………」

「ブラジャー、大人っぽいね。………良いよ」

「服も良いんじゃない………。あ…………、やっぱり、もう一度、下着になって。…………ショーツ、膝まで下ろして、気をつけの姿勢で撮った写真送って」

「…………うん。オッケー」

 メイクのことや髪型、爪の色や服装のこと、事細かに怜奈先生が確認を求めてくれるけれど、正直に言って、賢人には大人の女の人のお洒落や身だしなみのことは、良くわからないし、判断しようも無い。けれど、こうして憧れの佐原玲奈先生の服装についてアレコレと指示を出したりチェックをしたり出来る立場にいる。それが嬉しくて、早起きもそれほど苦にはならなかった。そして時々、先生の朝の支度の最終段階になったのを見はからって、「あ、やっぱり、もう一度、下着姿に戻って、片方のオッパイ出してみて。パンツも足首に引っかけるようにして、何かポーズとって、写真送って来て。…………うん。やっぱりOK」と、先生の支度をやり直させる、嫌がらせのような指示を出してみる。先生は困った顔を見せながらも、生徒に弄ばれながら、文句ひとつ言わずに、きわどい写真を何枚も賢人に送っては、指示を仰ぐ。そうこうしているうちに、2人の朝の支度はいつも、時間ギリギリまでかかってしまうのだった。

 チャンスさえあれば、賢人と怜奈先生はセックスをした。賢人は少しずつこの行為自体に慣れてきたし、先生は繰り返し命令されるうちに、だんだんと丹念なご奉仕や大胆なセックスを繰り広げる自分を、受け入れるようになっていく。どんな堅物だろうと、性欲が大暴走している期間だから、本心ではヤリたくて仕方がないんだ、と明日香は説明していた。そしてこの時期に繰り返しセックスをしていると、加速度的に体の相性が良くなっていくらしい。明日香の薦めを思い出して、賢人はある時、怜奈先生に、「オナニーしている時は何を考えてるの?」と聞いてみた。先生は恥ずかしそうに、「ご主人様に強引に犯されるところを想像して、乳首やクリトリスを強めに刺激しています」と答えた。

 先生に妄想させて、告白させるという行為に、賢人がハマったのが、この時からだ。単純に賢人の指示通りに恥ずかしい恰好をさせたりするよりも、先生にも考えさせて、自分の恥ずかしい妄想を、赤裸々に告白させる。すると先生は余計恥かしがったし、賢人はさらに興奮した。なんだか、単独での悪戯が、先生も交えた、共犯関係に変わったような気分がしたのだ。

「先生の考える、凄く変態的だけど、ちょっとだけ興味があるエッチって、どんなもの?」

 賢人が聞くと、20分か30分考えこんだ、真面目な先生は、真っ赤な顔を俯かせながら、答える。

「夜の学校に忍びこんで…………。裸で廊下に立たされたいです………。水の入ったバケツを持って…………。私、教師の癖に学校でもエッチなことを考えてばっかりだから、…………罰として、立っているんです。………そこを、賢人お兄様に、定規でお尻を叩かれたり、後ろから力づくで犯されたりします」

 嘘や隠しごとを許されていない、怜奈先生の口は、どんなにはしたない妄想も、情けない心情も、全て包み隠さずに漏らしてしまう。言った後で、両手で顔を押さえて恥ずかしさに悶絶している先生の、背中を押すようにして服を着させて、さっそく深夜の学校へ再登校することにする。一応、妹尾明日香にもメールをしておく。大喜びで、校門前での待ち合わせを提案してくる返信が、すぐに届いた。

「賢人にしては、上出来じゃんっ。…………怜奈先生の思い付きなの? …………すっごいアナーキー。怜奈先生も悪い子になってきたじゃんっ」

 校門前で待っていた、ゴキゲンの明日香は、両脇に美女を引き連れていた。一人は賢人が前にも会ったたとこがある(そしてお世話になった)、井村雪乃という美人の人妻さんだった。そしてもう一人、モデルをしているという、これまた抜群に綺麗な顔立ちでスタイルの良いお姉さんも連れてきていた。

「深夜の学校で、変態三昧だっ。怜奈先生にとっては、職場荒らしだもんね。ドキドキするよねーっ」

 明日香は、この短時間の間に、賢人の知らないところで、他にも何か、手筈を仕組んだのだろうか? 夜の校舎には驚くほど簡単に、誰にも呼び止められることもなく、入っていくことが出来た。必要な場所だけ電気をつけて、教室の前の廊下で賢人と怜奈先生とが服を脱ぎ始める。全裸の先生に、水を張ったバケツを2つ持たせて、立たせているところを携帯で撮影した。今時、生徒がやらされているところも滅多に見ない、「立たされる」罰だ(賢人はバケツを持って立たされている生徒は見たことがなかった)。それを、このクラスの担任の先生が、全裸で遂行しているのだから、異様な光景だ。そのことをわかっているから、佐原玲奈先生は、恥かしそうに体をくねらせながら、顔を上気させ、目を潤ませて賢人の許しを懇願する。その怜奈先生を、いつもよりも強引にバックで犯す。先生は悶え狂いながら、口では反省の言葉を出して、許してくださいとねだる。けれど腰は自分からも振っていた。

 教室に戻ると、全裸で四つん這いになってゴソゴソと作業に励んでいる、雪乃さんとモデルのお姉さんがいた。明日香は机に腰を下ろして、クスクス笑いながら動画を撮っていた。雪乃さんとモデルさんは、生徒たちが扉の無いロッカーに置いていっている、音楽の授業のためのリコーダーを取り出して、吸い口の部分を順番に自分のお尻の穴に差しこんでは、腰をひねるようにしてよがっていた。そしてお互いのリコーダーを交換して、口でしゃぶって掃除する。そのようにして、汚れや匂いを消して、彼女たちの犯行の痕跡を消そうとしているようだった。今イッたばかりで、かろうじて立っていた怜奈先生も、明日香の命令で床に這わされて、生徒たちのリコーダーを汚す遊びに加えられる。3人の美女が、夜の教室で繰り広げる狂態を、明日香は嬉しそうに撮影していた。

 何故か合鍵を持っていた明日香に引き連れられて、夜の応接室に忍びこむと、そこにはこの学校の初代理事長の銅像がある。地域で有名な篤志家で、多くの優秀な人材の支援をした人らしい。その偉い人の銅像の両肩に、雪乃さんとモデルさんとが跨って、腰を振る。怜奈先生はその真ん中、銅像の頭に跨るような姿勢で、クリトリスを脳天に擦りつけるようにして、笑顔で腰を振らされた。その明日香のアイディアを聞いた時、真面目な先生は首をブンブンと横に振って嫌がったのだが、明日香と、そして賢人にも命令されて、従うしかなくなってしまった。両手でピースサインを作って、笑顔で腰を振る3人は、教育というものを冒涜する、変態的な愉快犯に見える。けれどよく見ると、特に怜奈先生のこわばった笑顔は、プルプルと震えているのだった。

「明日香って、いつもこうやって遊んでるの?」

 横でケタケタ笑っている妹尾明日香に賢人が聞くと、明日香は賢人に寄りかかるように、肩をつけてきた。

「んー………、夜の学校では、本当にたまに、って感じだね。今日は怜奈先生と賢人から面白いアイディアも貰ったし、私のお気に入りの玩具たちも使って遊びたくなった……。でも、この程度だったら、他の場所とかでも、やったこと、あるよ」

「問題になったりとかは、ないの? …………ほら、明日香の他にも、こういう力を持った人たちって、いるんでしょ? 教団には。……………この前の、ナカガワ先生みたいに」

 明日香は甘えるように、寄りかからせた体に体重を乗せてきた。

「パパとかは私を止められないよ。………もともと、私にパパらしいこと出来なかったとか言って、凄い遠慮してるし………。それにね、私、今はママがしでかしたことのせいで、謹慎中ってことになってるけど、多分、16になった時、この教団の総主教になるんだと思う。………他の、大人になってから信者になった人たちとは、決定的に違うから。…………つまり、無敵ってこと」

 明日香は悪戯っぽい目で賢人を見る。この子が言うと、あまり大げさなハッタリには聞こえなかった。

「私、育てられ方も、宗教説話の1つにある、『ヨアヒムが信徒の長老になるまで』っていう話の重要なポイントをなぞるように育てられたの。だから、私の生い立ちとか、私のことを調べようとすること自体が、説話を聞いているのと同じ効果を生むんだって。私に危害を加えようとして、私を狙うこともそう………。それだけで、魂が分離しちゃうの。無敵って意味。わかった?」

 銅像に腰を擦りつけている3人の美女が、そろそろイキそうな様子だ。それでも、賢人は明日香の話を止めようとはしなかった。

「もちろん、今でも、ヨアヒムの道筋の重要なポイントを外しちゃうと、私は力を失っちゃうよ。けれど、そのポイントっていうのは、1つずつ、外れる可能性を消されて行っている。ヨアヒムは物心がついた時から母親とは会えなかった。私も、ママと再会することは、もう物理的に出来ないと思う。ヨアヒムは生涯を通じて純潔を守った。私も小っちゃいころから性癖をグニャグニャに曲げられたから、男にバージンを上げたいなんて考えもしない性格になった。………そのぶん、女の人苛めるのが好きになったり、色々歪んで来たけどね」

 明日香は面白そうに、クスクスと笑った。

「そして最後に、ヨアヒムは32歳になるまで死ななかった。だから、私も、うっかり死なないように、自分のテリトリーの中で、護衛を連れて生きることを求められてる。………今の謹慎期間も、そういうことだね。……………無敵でしょ? …………無敵すぎて、つまんないくらい」

 明日香の言葉は、一番最後の語尾に、一番力がこめられていたように聞こえた。

「そんな秘密を、僕に喋っちゃって大丈夫なの? ………もしかしたら、僕が明日香をその、ヨアヒムっていう人の生き方から踏み外させるかもしれない」

 賢人が質問すると、明日香はまたクスクス笑いながら、賢人の前髪に自分の細い指を通した。

「フフフッ、君が私を、32歳になるより前に、殺してくれるの? …………それとも、無理矢理、犯しちゃう? ………私に敵意を抱いて行動を起こした瞬間に、魂が分離して、無力な状態になっちゃうんだよ。………ママはもう、どこにもいないし……………」

 明日香に聞かれると、賢人は何も答えられなかった。明日香は悪戯っぽく笑うと、手のひらで賢人の頬をペチペチと、痛くないように叩いた。

「…………期待しとくね。賢人。………無理だったら、私が総主教で、君は私の側近の主教になるの。パパとか、古臭いこと言ってる主教は全員、引退させて、もうちょっと面白い教団にして、派手に暴れちゃおう。……………………ほら、アンタたち。私の命令も待たないでイッちゃったの? だらしないなぁ…………。一番盛り上がるシーン、撮り逃しちゃったじゃん…………。……………じゃぁ、3人とも、ちょっと腰上げて、その偉い人の銅像にオシッコかけてみて」

 明日香の思い付きに、綺麗なお姉さんたちが振り回されて、弄ばれていく。気の済むまで変態なシーンを撮りつくした妹尾明日香は、最後に怜奈先生に、自分のショーツを持って来させて、銅像の頭にかぶせるように指示した。そんなこんなで、その夜も怜奈先生は、ノーパンで帰宅することになった。

 翌朝、全校集会の場で、教頭先生から、学校の施設に侵入者があったと、説明があった。あまり具体的な内容は説明されなかったが、応接室も酷く破廉恥なかたちで荒らされたとのこと。学校側も防犯管理にいっそうの注意を払うので、生徒たちもこれまで以上に気を引き締めて生活し、私物をあまり学校に持ち込まないこと。そして怪しい行動や話をしている生徒が近くにいたら、それぞれ担任の先生まで申し出ることを、教頭先生から伝えられた。

 その話を聞いている間中、先生の並んでいる列の中に立っている佐原先生は、その美貌がかすんでしまうくらい、血の気の無い顔で俯いて、肩を震わせていたのだった。

<第7話に続く>

3件のコメント

  1. おお、オカルト側では新規のおまじない開発。主人公ならではの必殺技の習得といったところですね。
    そしてメインはカルト側。大きく話が展開しましたね。
    ボスキャラっぽさの漂う明日香ちゃん、能力はなんと自動防御。といっても本人は現状に満足していなさそうなので、付け入るスキはありそうな感じですが。
    カルト側とオカルト側、果たして全面対決となるのか。今後も気になるところです。

  2. 読ませていただきましたでよ~。
    セノオ主教、若い男だと良いなぁとか思ってたのでぅが、まさかの女性。しかも学生。
    特殊能力で(教会の力でぅけど)他人を操り、攻撃も効かないという無敵っぷりに結構違うけどブギーポップシリーズの水乃星透子を連想してしまいましたでよ。
    しかし、無敵の防御能力も綱渡りみたいなので賢人君、ないしはオマクラの人たち辺りにうまい具合に突破してもらいたいところでぅ。そして、防御能力はなくなっても洗脳能力はあるまま奴隷にして色んな人を操って献上させるとか見たいところでぅ。
    っていうか、ナカガワ先生が父親なら友介さんが司祭になっても雪乃さん取り返せないじゃないでぅか。ペガサス聖家族に入っちゃったから明日香ちゃんのこと調べた時点でアウトでぅし。
    雪乃さんや文乃さんはもう抜けられないとしか思えないでぅ。

    それはそれとして、今回の佐原先生には楽しませてもらいましたでよ。
    やっぱり操るなら自我も分別もはっきりしてる大人でぅよね。
    ところで西峰賢人くんのパートの始まりで宮内怜奈先生になってるのでぅけど、佐原玲奈先生の間違いで良いんでぅかね?

    次回は来週か、それとも夏なのか。
    とにかく楽しみにしていますでよ~

  3. 投稿お疲れ様です。
    話数的にそろそろ終わりかなぁと思ったらすごいボリュームで大満足。
    オカルト編は蓮君がなにか新技を披露してくれそうな流れで期待です。

    カルト編は、ああラスボスは人生に退屈しちゃってる無敵モードの女の子かぁ。
    このお姫様が飽き飽きしている日常(普通に見たら非日常)から助け出してくれる王子様役は誰になるのかな。あるいはラスボスを打ち倒す役の王子様なのだろうか。

    続きを楽しみにして待ちます。

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