テレパスキッド 2

 想像した通り、その日の授業時間はずっと、ダニエルにとって、「期待に胸を膨らませる天国」と、「最高のご馳走を焦らされる地獄」との往復のような時間になっていた。ステファニーと同じクラスで受ける授業の間、彼女はチラチラとダニエルの席の方を振り返る。彼と目が合うと、ステファニーはニコッと天使のようなスマイルを見せてくれたり、悪戯っぽくウインクしてきたり、やがては小さな手振りで投げキッスを送ってきたりする。周囲の生徒たちも、彼女の異変に少しずつ気づきつつあるようなので、ダニエルは繋がったままでいる『氣のコード』を通じて、彼女の『ダニエルへの愛のレベル』を微調整する。すると、少し冷静さを取り戻したステファニーが、自分の行為を思い出して、顔を赤らめて身をすくめたり、机に突っ伏したりして、恥ずかしがる。その様子もまた、ダニエルの目を楽しませてくれた。

 

 午後の現代英文学の授業中、ダニエルは退屈しのぎにステファニーにちょっかいをかける。

 

『ステファニー。こっち向いて。』

『先生に注意されるよ。ちゃんと前を向いて。』

『先生の目を盗んでこっちを向いて、朝みたいなウインクを頂戴。』

『ほら、勉強に集中して。』

 

 真面目でかわいいステファニーが、ダニエルの指示通り、機敏に反応して動いたり、表情をコロコロ変えたり、感情をかき乱されたりするところは、本当に愛おしい。まるで完璧な見た目と、健気で愛くるしい内面とを兼ね備えた、最高のラジコン、あるいはペットとじゃれ合っているような気分だった。その、じゃれ合いを続けるほど、また同時に、放課後の、自分の家で2人っきりになった後でのことへの期待が高まっていってしまう。大声で叫びながら、彼女を抱えて教室の窓から飛び出して家まで駆けていきたいような気持ちと、必死に格闘しながら、その日を過ごしたのだった。

 

 

。。。

 

 

 ママのクルマで、姉と一緒に家まで送ってもらったあと、ダニエルは焦る気持ちを抑えつけながら呼吸を整え、ママと姉のエミリーにも、『氣のコード』を挿入する。2人には、この後のステファニーとのことを、黙認するか、無視してもらう必要があった。今までの人生のなかで一番好きになった女の子と、部屋で2人っきりになる。その間、家族の目や耳を気にして過ごす気にはなれなかったのだ。

 

『ママ、エミリー。君たちはダニエルが今日、家にどんな友人を迎え入れても、ダニエルの部屋からどんな物音や声が聞こえてきても、気にしない。ダニエルの邪魔をしないことが、今日の最優先事項だ。わかった?』

 

 ママはキッチンへ向かいながら、エミリーはリビングのソファーに寝そべって雑誌をめくりながら、2人はほぼ同時に、コクリと頷くのだった。

 

 

 そんなわけで、ステファニーがダニエルから渡された住所のメモをもとに、彼の家にやってきた時、リビングで出迎えてくれたダニエルの家族が、妙にリアクションが薄く、冷淡にすら見えたことで、少し彼女の表情が曇ったのだった。彼女は襟のある白いシャツと、青空のように綺麗な色のスカートをはいてきていた。学校で見た、Tシャツにジーンズのカジュアルな姿よりも、女性らしいコーディネート。その彼女が、自分はダニエルの家族に歓迎されていないかもしれないと、気を遣っている様子だった。本当に優しい子なのだ。ダニエルは慌ててルシールとエミリーの、ステファニーに対する興味・関心度を微調整しようとしたけれど、実際のところ、かなり苦戦した。考えてみると、同時に複数の人数の感情を調整するなんて、初めての経験だった。ミヤグニさんの「少しずつ慣れていくしかない」という言葉の意味を、実感することが出来た。そこでどうしたかというと、ダニエルは、ルシールとエミリーの態度を適切なレベルに同時にチューニングしようとするのを一旦諦めて、ステファニー1人の気持ちのコントロールに集中したのだ。

 

『僕の家族の君に対する態度は気にしないで。ステファニーはダニエルと2人っきりになりたくて、この家に来たんだから。』

 

 そう念じて氣を送ると、ステファニーの困惑した表情は、すぐに晴れわたった。

 

「ダニエル。早く貴方のお部屋に行きましょっ。私、貴方にだけ知ってもらいたいことが、沢山あるの。…………誰にも見られないところで、貴方とだけしたいこともあるし………」

 

 恥ずかしそうに照れ笑いを浮かべると、ステファニーは勇気を出して、ダニエルの目を真っ直ぐ見る。ダニエルにも、断る理由なんて1つもなかった。家族への(極めて事務的な)挨拶もそこそこに、2人で手を繋いで2階へ上がる。指を絡め合うような手の繋ぎ方は、ダニエルにとって初めてかもしれない。1つ1つのちょっとした行動が、心を躍らせるほど嬉しく、楽しいものだった。

 

 ダニエルの部屋のドアを開けて、2人で入ると、きちんと部屋の中を見渡す余裕もなく、ステファニーはダニエルに抱きつくと、キスを求めた。せっかく姉の部屋から借りていたお洒落なお香のような棒にも、彼女が気がつくことはなかった。

 

 まだドアが完全に閉まっていない状態で、今朝の学校でしたよりも、濃厚な、大人のキスをする。舌を絡ませ合いながら、ダニエルはステファニーをベッドに押し倒す。2人でベッドに倒れこんだところで、ダニエルは足を伸ばして、キスをしながらも足でドアを閉めた。学校でも指折りの美少女。ステファニー・マイルズの匂いが、彼の口いっぱいに広がって、鼻腔をくすぐる。同時におたがいにポジションを変えながら転がるベッドのシーツにも彼女の匂いが移る。そのことが、ダニエルにとってはたまらない喜びだった。ステファニーは石鹸の匂いの奥に、しっとりとして上等なクッキーのような、甘い匂いを放っていた。

 

「私、男の子と、こういうことするの…………初めてだから、上手に出来なくても、嫌いにならないでくれる?」

 

 ステファニーはキスの合間に、懇願するように伝える。体を起こすと、ダニエルと向かい合った。2人の距離は10インチくらいしかない。

 

「僕も。…………今までガールフレンドとかいなかったから、経験ないんだ。…………ガッカリしないでくれると良いけど」

 

 ダニエルがそういうと、ステファニーは両手でダニエルの頬を包み込むようにして、彼のおでこにキスをした。

 

「私が貴方に幻滅することなんて、ありえないわ。私の全ては、ダニエル。貴方のものなんだから」

 

 そう言いながら、胸元のボタンを1つ1つ外していくステファニー。ピンクとヴァイオレットの中間くらいの色合いの、ブラジャーが見えてきた。可愛らしさと大人っぽさの、両方を感じられるような魅惑的な色合い。きっと、今の彼女の、一番お気に入りの下着なんだろう。ミルクのように白い肌も、顔と胸元を中心に、ピンク色に紅潮している。シャツから腕を抜き取り、肩を出すと、少しもどかし気に、少し、はにかみながら、ステファニーが、来ていたシャツを、ダニエルの前で脱ぎ捨てて、ベッドの後ろにやった。10秒くらいの間、ダニエルとステファニーは、その状態のまま、無言で向かい合う。どちらが何をすべきなのか、探り合っているような時間だった。

 

 しばらくの、ギコチない沈黙のあとで、ステファニーが両腕を背中に回して、ブラジャーのホックを外す動きをしながら、ダニエルに判断を求めるかのように、首をわずかに傾げた。ダニエルも、何と言っていいのかわからないまま、生唾を飲み込みながら首を縦に、大きく2回振った。プチっとホックが外れた音がすると、ブラジャーの姿勢が少し崩れる。後ろに回していた手を肩にかけると、ストラップをゆっくりと、白くて細い肩から滑らせた。

 

 素敵なブラジャーが彼女の腿に落ちた時、さらに素敵なものがダニエルの目の前に零れ出た。ボリュームはそこまでの大きさではないけれど、果物のように丸みをおびた膨らみが、フルルッと空中で揺れる。白くて形の良い彼女のバスト。それ以上にダニエルの目を惹いたのは、その真ん中にあるピンクの乳首だった。完全な、というか、この色をカラーサンプルのピンクとして登録して欲しいと思えるくらいの、光沢さえ感じる淡いピンク。男たちを本能的に奮い立たせるような、生き物としての完成形を思わせる、ピュアで無垢なピンク色の突起が、丸く柔らかそうなオッパイの真ん中でその存在を主張していた。

 

 ダニエルはその、ステファニーの左右の乳首から、一時も目が離せない。手を伸ばしてオッパイに触れ、ゆっくりと手に馴染ませるように揉み始めても、彼女の乳首と乳輪は見えるように、指を開いて揉むようにしていた。

 

「………そんなに見るんだ………」

 

 ステファニーが照れくさそうに両肩をすくめる。

 

「駄目?」

 

「うんん………。私のオッパイも、ダニエルのもの。オッパイだけじゃなくて、私の体のどこを見るのも、どこを触るのも、貴方の自由よ。…………私は拒めないの。私の身も心も、貴方のものだから」

 

 ステファニーが喋る一言一言、実は今、ダニエルが『氣の道』を通じて、彼が決めた台詞を話させている。けれど彼が思い浮かべた言葉も、ステファニーの声になって聞くと、まるでセックスドラッグのように彼を興奮させる。ステファニーは自分が口にしていることに、全く違和感を持っていないようだ。きっと彼女が心から、そう思っているからだろう。

 

 ダニエルが彼女のオッパイを下から押し上げるように触れながら、彼女に腰を浮かすように促す。彼の意図が簡単に察知出来るのか、ステファニーは腰を浮かすと、スカートのファスナーに手を伸ばして、下ろしていく。腰元が緩くなる、スカイブルーのスカート。彼女のとっておきのコーディネートは、ダニエルの家を訪れてから、10分も経たないうちに、ベッドの上に放り出されてしまった。今、彼女の無防備な体を守っているのは、ブラジャーと同じ色の、上品なショーツだけだった。端に小さなフリルのあしらわれた、お洒落なショーツ。男物の服の中にはまったく見られないような仕立ての、薄い柔らかな縫製品だからこそ、ついつい興味を惹かれてしまう。ダニエルはまだ左手でステファニーのオッパイを揉みながら、右手を彼女の下着の縁の部分に添わせる。彼女が両手を使ってゆっくりとショーツを下ろすのを、ダニエルも右手を使って手伝った。抑えつけられていたブロンドのアンダーヘアーが空気に触れて起き上がる。触れると若草のように柔らかいアンダーヘアだった。指を通すと微かな湿り気を感じる。気がつくとダニエルは、右手でステファニーの股間を撫でさすりしながら左手で胸を揉み、口でもう片方の胸に吸いついていた。夢中で彼女の華奢な体を堪能する。少し力が入りすぎたかもしれない。興奮のあまり、乳首を強く吸い、胸を揉みしだき、股間の割れ目に指を入れると、彼女は仰け反り、身を捩って声を出す。

 

「あぁっ………。ダニエルッ………。私の、ダニエルッ」

 

 本当は少し痛いのかもしれないけれど、ステファニーはブロンドの髪を振り乱し、スレンダーな体を弓なりに反らして喘ぐ。彼女のヴァギナに指を入れると、入り口の部分が熱く湿っているのが感じられる。ダニエルは口を名残惜しそうに胸から離すと、体をずらし、彼女の股間に顔を寄せた。両手でそっとヴァギナを広げる。彼女の乳首よりも、もう少し赤みがさしているけれど、やはり綺麗なピンク色の粘膜が、白い肌から続いている。そこに顔をつけて、肺一杯に彼女の匂いを吸いこんだあとで、クリトリスと思われるあたりにキスをした。ここで気がつく。ダニエルは自分の服を一切脱いでいなかった。経験者だったら、ムードを途切れさせることもなく、彼女の体を愛撫しながら、スムーズに自分の服も脱げるのだろうか? 今の彼の場合は、ドタバタと慌てて、Tシャツとジーンズとを同時に脱ぎ捨てようとして、バランスを崩してベッドに転がる。見かねたステファニーが服を脱ぐのを手伝ってくれた。

 

 少しホットな雰囲気が途切れてしまったけれど、ダニエルとステファニーの2人は裸で向かい合うだけで、すぐにまたハートに火が灯る。ステファニーの華奢な体を押し倒して、足を開かせ、腰を浮かさせる。いきり立ったペニスを、彼女の無垢なヴァギナに押し込もうとする。角度がうまく調整出来ていないのか、何度か、インサートに失敗する。手も使って誘導しながら、やっと彼女のヴァギナにダニエルのペニスの先が入りこんだ。途中まで押しこんだところで、ペニスのそれ以上の侵入を遮ろうとする抵抗を感じる。膣の中のヴェールのような存在。それを、ダニエルが、5秒くらいの迷いの後で、一気に押し通す。痛みと、色んな感情に襲われて顔をしかめながら仰け反るステファニーの表情は、なぜか、男としてそそられるものだった。腰をグラインドさせる。

 

「痛い? ………大丈夫?」

 

 腰を動かしながら、ステファニーにいちいち質問するダニエル。彼女は答えるかわりに、ダニエルの体をギュッと抱き寄せ、自分の胸をダニエルの胸板に押しつけた。

 

 血と他の体液とが潤滑油のような役割を果たして、結合した2人の性器のこすれ合いを誘う。熱く、締めつけの強い、今まで男を知らなかった彼女の女性器。陶磁器のような肌にさらにさす赤み。彼女の吐く熱い吐息。揺すられて毛先が踊るブロンドの髪の毛。ツンと立ち尽くした見事にピンクな乳首。上下左右に揺れる、柔らかい乳房。ダニエルは目と全身の肌とで、その瞬間をヴィヴィッドに記憶して心に刻みこむ。匂いが、感触が、目にするものが、全て刺激的で彼をこのうえなく駆り立てる。彼がおそらく一生忘れないであろう、最高の時間だった。

 

「あぁっ。ステファニー。凄いよ。………すっごく気持ちい。すぐにイキそうだっ」

 

 ダニエルは、切羽詰まった声を出す。ステファニーの様子を伺っていた。初めてのこととはいえ、避妊具を使わずにセックスしているということについての重要性は、「ヘルス」の授業で既に学んではいた。もしこのまま彼女が妊娠してしまったら、高校を退学させられてしまうかもしれない。もし彼女が「生みたい」という選択をして、スクールカウンシルに素直に申告したら、特別に2年くらいの休学を認められるかもしれないが、それでも、彼女の人生に重大な影響を及ぼすことは、目に見えていた。それでも、彼女の許しさえあれば、このまま、彼女のナカに出してしまいたい。そう感じてしまうほど、今、ダニエルに押し寄せているこの衝動は、本能に根ざしたものだった。

 

「いいわっ。ダニエル。私のナカで出して。………愛してるの。ダニエルっ」

 

 ステファニーの感極まった声が、部屋の中に響き渡る。いつの間にか、ダニエルのかく汗が、ステファニーの白くて無垢なお腹に何滴も垂れていた。余分な肉もついていないお腹をなぞるかのように、彼の汗は彼女のお腹の中心あたり、ヘソのくぼみに溜まろうとしていた。そして彼女のお腹のナカの奥に今、彼がペニスから熱い精液を放つ。思わず背を仰け反らす。一瞬意識が白くなるような強烈な快感のフラッシュを得て、2回、3回と、断続的に、彼は彼女の内部を、自分の体液で満たしていた。

 

「あぁっ。ダニエルっ。素敵…………。私は完全に貴方のものね………」

 

 ステファニーのヴァギナが、まるでダニエルのペニスから最後の一滴まで搾り取ろうとしているかのように、収縮する。ダニエルは強烈なエクスタシーの余韻に浸るように、ステファニーの体の上に倒れこんだ。まだ性器同士を結合させたままで、2人は抱き合って折り重なる。脱力しきったようにまどろんだ。

 

 

。。

 

 

 ダニエルはまだ、ベッドでステファニーの横に寝そべり、天井を見ながらさっきの時間のことを考えていた。エクスタシーの余韻。それは頭の奥に残る疼痛か痺れのようなもので、手綱を放してしまうとこれが快感なのか疲労感なのかも、よくわからなくなる。だから、彼はついさっきの出来事をなぞるように思い出す。するとこの甘い刺激が、やはり快感であることを実感できるのだった。

 

「ステファニー。本当にありがとう。………これは、僕の今までの人生で起きた、最高の出来事だよ」

 

 顔を横に向けてそう言うと、息のかかるくらいの距離から、ステファニーが顔を近づけてくる。2人はもう一度キスをした。ダニエルは今日、何回目のキスになるのかは思い出せなかったが、ここに来てようやく、彼女の唇がどれほど柔らかくて弾力に富んだ、温かいものなのか、実感することが出来た。それまでのキスは、「ステファニーとキスをしている」という事実の方がショッキングで、それを現実のものとして定着させるために必死で、ゆっくりと感触を味わうことが出来ないほど、自分にとって切羽詰まったものだったのだと、改めて思い知らされたようだった。

 

「ダニエル………。私も、貴方が私と1つになってくれて、私の中で気持ち良く最後までイってくれて、本当に嬉しかったわ。…………最高の時間だった。本当よ」

 

 ステファニーの髪の中に顔を埋めながら、ステファニーの言葉の意味を、よく考えてみる。そこでダニエルは少し、気持ちがざわついた。

 

「…………ゴメン、ステファニー。君はイってないっていうことだよね? 僕だけ、勝手に気持ち良くなって、自分の好きな時に好きなようにイッていたのに、君のことを、ちゃんと考えられてなかったよ。………僕がこういうことに、経験無いから………。やっぱり、君にもちゃんと、イってもらわないと」

 

「うんん、ダニエル。良いの。………女の人の初めての時は、男の人とは違って、なかなか最初からイクことはないって、友達も…………。………あ、あれ? …………やだ………手が勝手に…………。やだっ………。ダニエル…………見ないで…………。こんなこと、したいわけじゃ………」

 

 ステファニーが恥ずかしがるけれど、彼女の手は、自ら動いて、オッパイとまだダニエルの精液と血が混ざった粘液が垂れる、プライベートな部分をまさぐり始める。ダニエルが、『自分で気持ち良くなって、最後までイって』と、氣を送ったからだ。

 

「あっ…………いいっ…………。駄目………。ダニエル…………見ないで………、私の………こんなところ………」

 

 赤面した顔をしかめながら、マスターベーションをダニエルに見られまいと体を捩らせるけれど、手の動きは止まらない。そして『自分で気持ち良くなって、最後までイかないと』という強迫観念のようなものが、今のステファニーを突き動かして、この自慰行為に没頭させてしまっているようだ。その様子を見ているダニエルは、空っぽになったはずの股間がまた、ムクムクと元気になってくるような感覚を覚えていた。

 

「恥ずかしがってるステファニーも、とっても素敵だよ。可愛いな。どんどん君を好きになっていく気がするよ」

 

「本当? …………嬉しい………オゥッ…………ワォッ………凄い…………」

 

 ステファニーの、マスターベーションへの反応がもう一段階、敏感に、そして素直になったような気がする。今朝から、『ダニエルのことを大好きになる』という氣を送ってきたこともあり、自分で自分自身の体を弄んで快感を得ている姿を見られるという恥ずかしさ。その意識の蓋のようなものを、「ダニエルもこうしている彼女が好きだ」という理解が、開封してしまったのかもしれない。恥じらいやモラル、罪悪感といった意識が変容するだけで、身体の反応までビビッドに変わってくるのだということを、ダニエルは、体験を通じて理解しつつあった。

 

「あぁ…………来るっ…………。もうすぐ……………もう駄目ッ…………我慢できない……………アッ……………アァアアッ」

 

 ステファニーが腰を浮かす、体がブリッジのように持ち上がって、腰からクイッ、クイッとひきつけを起こすようにグラインドした。全身に噴き出した汗の玉が、ピンク色の肌の上でスパークリングの飾りつけのようにきらめいた。彼女は経験の少ないダニエルにもはっきりわかるかたちで、オルガズムに達したのだった。

 

 ベッドに落ちるように体を委ねたステファニーは、荒い呼吸のまま、放心したように天井を見上げながらまどろんだ。ダニエルはそんな彼女の真横に寝そべりながら、綺麗なブロンドの髪に指を通して、感触を楽しむ。ダニエルはイッた。遅ればせながら、ステファニーも(彼女自身の指の力も借りながら)もイッた。2人揃っての初体験の後で、平等な立場に立てたような気がして、ダニエルは今、心から満足しているのだった。

 

「ステファニー………。質問してもいい?」

 

 ダニエルが聞くと、ステファニーはまだ少し呆けているような顔を横に向けて、彼に笑顔を返す。

 

「もちろん。何も遠慮する必要ないわ。私は貴方のものなんだから」

 

 ステファニーの無邪気で可憐な笑顔に、胸の奥をキュッと締め付けられながら、ダニエルは気になっていたことを口に出してみる。

 

「君は一体僕の、どこをそんなに好きになってくれたの?」

 

 目をパチクリと瞬きさせながら、しばらく黙るステファニー。

 

「…………………全部よ。貴方の全部。髪の毛の先から足の爪まで。私が大好きじゃない場所なんて無いわ」

 

「でも具体的に、どこの部分が、一番好き?」

 

「…………………なかなか、選べないけど…………。貴方の手とか、唇とか舌とか…………。あとは、ここ………って言っていいのかしら? ………私を、とっても幸せな気持ちにしてくれたわ」

 

「そこって、前から、好きだった?」

 

「…………………………………あの………。貴方には嘘はつけないから、本当のことを言うわね。私、………今日の今朝までは、貴方の素敵さに、全く気づけていなかったの。本当に、昨日までの私は、最低に馬鹿だったと思う。………でも、今朝、急に頭の中に光がさしてくるみたいに、気がついたの。私は貴方のものになるために生まれてきたっていうくらい、貴方のことが、貴方の全部が大好きなんだ、って。…………だから、もしかしたら私の心の奥底では、ずっと前から気がついていたけれど、それに気がつかない振りをしてきただけなのかもしれないわね」

 

 ステファニーは、自分の気持ちを素直に教えてくれる。ダニエルはここで、自分が送った氣が、どのように受け止められて相手に影響を及ぼすのかということを、相手の口から説明してもらえることが出来た。これはなかなか、勉強になった。そのあとは、趣味の話や好きなアーティストの話、クラスメイトの噂話など、他愛もない話を続けた。ダニエルにとっては、ステファニーのことをより良く知ることが出来る、幸せな時間だった。

 

『これから話すダニエルの話はとても面白い。笑いが止まらない。』

 

 という念を送ると、ステファニーは話の冒頭から、クスクスと笑いだし、途中からはベッドに転がって手を叩いて大笑いする。『感動的』と念じれば目に涙を浮かべて聞き入ってくれるし、『楽しくて仕方がない』と念じれば両手で指を鳴らしながら、肩でリズムを取りながら聞いてくれた。『氣の道』が繋がった状態だと、いとも簡単に相手の感情を操作することが出来るということがわかると、ダニエルは心底安心することが出来た。『彼女ができたとしても、トークやデートで楽しませることが出来なかったらどうしよう』というのは、彼が以前から薄っすらと抱えていた心配だったのだ(もっとも、昨日まではその心配が実現する可能性自体も薄いものとも思えていたのだが)。

 

 

 気がつくと、ダニエルの父、ポールのクルマが家の駐車場に入ってくる音がする。彼はまだ新しい仕事について3ヶ月。残業して遅めに帰ることも多かった。時計を見ると、もうディナーの時間だ。ダニエルは、ママもエミリーも教えに来てくれなかったことに腹を立てかけたが、彼女たちが気にしないようにしたのは、自分だということに気がついた。

 

 ステファニーが家に帰るために、ママに車を回してもらうようにする。帰宅したパパが、自分が送ろうかと提案してくれたけれど、ママとエミリーはもう夕食を済ましていたので、ママに頼んだ。もともとママのルシールは明るく社交的な性格なので、『氣の道』を通じて年を送るまでもなく、了解してくれた(ステファニーに対して不干渉の態度は、その時に解除しておいた)。

 

「また明日ね。ステファニー」

 

「ええ。ダニエル。また明日、学校でね」

 

 ステファニーはそう言ったあと、近寄って彼の頬にキスをした上で、小声で伝えてくれた。

 

「今日の貴方、とっても素敵だったわ。これから、いっぱいああいうこと、しましょうね」

 

 彼女の囁く声を耳元で聞くだけで、また股間がムズムズする思いだった。

 

 

。。

 

 

 その夜、ディナーの後に部屋に戻ったダニエルは、ベッドに転がって、さっきの出来事を思い出しては、ニヤニヤする。ベッドのシーツとクッションを抱きかかえて、ステファニーを抱きしめた時の感触を自分のなかで反芻しながら、まだまだ余韻に浸っていた。なんなら、このあとの一生、今日の思い出と余韻で楽しんでいくつもりでもあった。

 

 コンコンコン。

「ねぇ、ダニエルッ。………私のディフューザー、知らない?」

 

 おもむろにノックとともにドアが開いて、姉のエミリーが顔を覗かせる。ダニエルは抱きしめていたクッションとシーツを投げうって、慌てて姿勢を直した。

 

「ディフューザー? よくわからないけど…………あれかな?」

 

 ダニエルが目を向けたのは、机の上に合った壺に線香が何本も刺さっているようなインテリア。良い香りが漂うものだったので、ステファニーが家を訪れる前に、部屋の片づけをしていたダニエルが、姉の部屋から拝借したものだった。

 

「これだよっ。何回も言ってるでしょうっ。私の部屋に勝手に入らないでよ」

 

 エミリーが両肩を下ろし、ため息をついて、両手を腰に当てる。ダニエルの内向的な性格と違って、エミリーは母に似たのか、外交的でよく喋る。特にここ数年は、弟の行動に対してはなかなか手厳しい。今も怒りのスイッチがしっかり入っているようだった。けれど、今日のダニエルは一味違う。そのことを証明したくなった。

 

「…………それで、エミリーは何をしに、僕の部屋に入ってきてるの?」

 

 ダニエルがベッドに足を伸ばして、背中を壁につけたまま、聞いてみる。もちろん、同時に『氣の道』を通して、練った氣を送ることを忘れていなかった。

 

「何って………、あんたにこれをあげるためよ………」

 

 エミリーは、さっきぶんどるようにして机の上から奪い取ったディフューザーを、少し不思議そうな顔をして見つめたあとで、ゆっくりと机の上に戻す。

 

「へぇ。それ、くれるんだ。ありがとう」

 

「……………あと…………。10ドルあげる………。今、財布持ってないから、あとで、持ってくるよ」

 

 エミリーの、怒りの持って行き場に困っているような表情が、面白い。いつもはダニエルを子ども扱いする姉が、今日は彼の思い通りに動いてくれる。こんなに気分がスカッとすることは、なかなか無い。

 

「10ドル? やったね。それは嬉しいな。………もう、充分だけど、まだ何か、僕に用事があった?」

 

 ダニエルの悪戯心は止まらない。エミリーは一度、部屋から立ち去ろうとしたところですぐに止まって、顔を赤くしながら迷い始めた。何か心の中で、とある意志というか衝動と、戦っているような様子だ。やがて、おずおずと、エミリーは動き始めた。

 

「これは………その、ママやパパには言わないようにして欲しいんだけど。………あんたに、これも、あげたくて………」

 

 エミリーはモゾモゾと膝や腰を動かしながら、両手でジーンズを下ろしていく。もともとバスケットボールをやっていた彼女の太腿は筋肉がしっかりついていて、スキニージーンズを脱ぐのには時間がかかるようだ。最後はピョンピョンと飛び跳ねながら、色のだいぶ褪せたジーンズをやっとふくらはぎまで下ろすと、両足首を順番に抜き取った。ベッドの前で直立すると、ダイナミックな脚線美が露になった。同時に、Tシャツの袖から、実用重視なデザインの、グレーのショーツが見える。自分の実の姉のものとは言え、突然晒されたスポーツ系美女の下半身に、ダニエルはつい、股間の疼きを覚えずにはいられなかった。

 

「ワオ………。どうもありがとう。今日はずいぶん、気前が良いし………。なにより大胆だね。エミリー」

 

 ダニエルが言うと、エミリーは覚悟を決めたかのように、自分で頷くと、まだ手を動かす。

 

「このくらい、大胆でも、何でもないよ。私たち、家族じゃない。大胆っていうのはね。こういうことを言うの」

 

 エミリーはそう言って、両手でショーツを摘まむと、一気に下ろす。アンダーヘアーはほとんど処理されて、少ししか残っていない。片足ずつあげてショーツから足首を抜き取る時に、彼女のプライベートな部分がほぼ、丸見えになってしまった。

 

「どう? ………これくらいが、大胆のマックスかな? そう思わない?」

 

 エミリーは、実際のところは耳まで真っ赤にしながら、懸命に平然を装っている。そしてダニエルが小さく口を開けたままで彼女の下半身に釘付けになっているのを見ると、ファッション・モデルのような足取りで、彼の部屋の中を闊歩し始めた。その時、彼に背中を向けたエミリーのお尻に、ダニエルはノックアウトされてしまった。ボリュームが、ステファニーのものとはずいぶん違う。パーンと水平に張り出している。鍛えられた筋肉にしっかりと支えられた、2つのバレーボールのように丸いヒップ。その迫力は、ダニエルを圧倒した。スキニージーンズや、布に隠れていないと、姉のお尻はここまでダイナミックなのかと、ダニエルは驚いていた。

 

「さすがだね。………とってもホットで、格好良いよ。…………でも、エミリー・ランバートだったら、もうちょっとだけ、攻めたりすることも、出来るかもしれないけど………」

 

 ダニエルが言ってみる。もうすでに、氣は練り上げて送りこんでいた。

 

「もちろんよ。………これなら、どう?」

 

 エミリーは最初は恥ずかしそうにモデルウォークを披露していたけれど、ダニエルに煽られる頃には、楽しさとスリルの方が勝っていたようで、快活に答えると、彼にお尻を向けたままの姿勢から両足を肩幅よりも大きく開くと、背筋を伸ばしたまま体を折り曲げ、両手で足首を掴む。そして股の間からダニエルに顔を見せた。ブラウンの髪が床につく。Tシャツも捲れてオヘソが出ている。そして筋肉質な足を伸ばしたまま開かれたお尻の割れ目は、彼女のヴァギナまでパカッと開かれた状態で、ダニエルの目に晒されたのだった。

 

「凄いね。お姉ちゃんには勝てないよ。エミリーが最高だ」

 

「そうでしょ。………それをあんたに、証明したかったの」

 

「チップとして、5ドル渡したいな」

 

「………………じゃ、差し引きして、私が後であんたに、5ドル渡せばいいわね。どうもありがとう」

 

 エミリーが体を起こして、振り返ってダニエルと向き合う。今の彼女は、自分に自信がたっぷりついたようで、スッキリしていた。ダニエルが彼女に『弟に褒められると最高に嬉しい。ポジティブな気持ちで溢れる』と、氣を送ったからだ。

 

「それじゃ、後でね。バイ」

 

 エミリーが部屋を出ていこうとする。その後ろ姿。無防備に晒されているお尻のボリューム感がやっぱり素晴らしくて、ダニエルはもう一つだけ、氣を送ることにした。姉が立ち止まる。

 

「ちょっとダニエル。バーイって言われたら、どうするの? 姉弟の挨拶は?」

 

 両手を腰に当てて、下半身丸出しのままで、弟をたしなめる、ホットな女子高生のエミリー。ダニエルは、今思い出した、といった表情を作ってベッドから起き上がり、右手を振り上げた。

 

 パチーーンッ。

 

 張りのあるお尻の肉が、ダニエルの平手打ちで大きな音を部屋に響かせる。

 

「OK! ありがと。………これからもお姉ちゃんのお尻を、挨拶のかわりに叩いたり、撫でたり、掴んだりしてね。……じゃ」

 

 お尻の山に手形が残るくらい、強めにひっぱたかれて、エミリーはさも、スッキリしたかのように笑顔になって、部屋から出ると、ドアを閉めた。下半身裸のままで、自分の部屋に戻っていくのが、足音でわかった。足取りは軽いようで、彼女の部屋のドアが閉まるまでは微かに彼女の口笛も聞こえていた。

 

 

。。

 

 

「ダニエル、さっきのステファニーって、とっても素敵な子のようだったけれど、君のガールフレンドかい?」

 

 リビングのソファーで、ナチョスを摘まみながらテレビを見ていると、夕食の後で食器洗いを済ませた父のポールが、ダニエルに聞いてきた。

 

「………んー………。まだ、はっきり約束したわけじゃないけれど………、たぶんそうなるかな………」

 

 ダニエルが答えると、父さんは嬉しそうに親指を立てて見せた。

 

「凄いじゃないか、あんなに可愛いガールフレンドが出来たなんて。父さんたちはてっきり、ダニエルがこっちでの生活に、全く馴染めていないんじゃないかって、心配してたんだぞ。………なぁ? ルシール」

 

 パパがいつものように、ママの同意を求めると、ママはキッチンから、レモネードとナチョスのお替りを手にしながら、当たり前のような顔でパパに応える。

 

「あら、私はダニエルのこと、全く心配していなかったわよ。それに、この子ももう大人だから、ガールフレンドのことだって、彼女と部屋で何をしていたって、私が干渉するべきことじゃないって思うの。何と言っても、私はダニエルのことを完全に信頼しているんだから。………そうよね? ダニエル。ナチョスのお替りと、飲み物をどうぞ」

 

 ママの、度を越した「物わかりの良さ」に、ダニエルはご満悦だ。食卓にいる父、ポールは、笑顔で頷きながら、両目を丸くして戸惑っていた。その戸惑いを、笑顔と頷きとで押しこもうと、苦闘しているようだ。

 

「ダニエルは本当に大人になったと思うわ。もう私も、弟とはいっても、子ども扱いなんて出来ないな」

 

 ちょうど2階から降りてきたエミリーが、会話に加わる。ランバート家で、こんなに会話が軽快に繋がるのは、最近では珍しいことだった。エミリーはソファーの前を横切る時に、それとなく、ダニエルの肩を手で触れる。親密なタッチ。それにダニエルは、彼女の張りのあるヒップを軽く叩くことで返した。エミリーは嫌がる素振りも見せずに、弟にウインクをする。それを見ていた父は、ますます混乱したようだった。

 

「あぁ……………。君たち、パパの知らない間に、ボードゲームか、フリスビーか何かで、盛り上がってたのかい? ………ずいぶん、仲が良くなったみたいだけど、今度はパパも混ぜてくれると嬉しいな」

 

 言葉を選びながらも、子供たちの成長と自立を否定しないように気をつける。軽い咳払いをしながら、親密すぎるスキンシップには戸惑いを示す。それでも家族仲の良さはポジティブに受け入れようと、懸命に状況を理解しようとしているポール。その姿が少し気の毒になってきたダニエルは、パパにも『氣の道』を繋いでしまおうか、と考えた。しかし、指を折りながら、残りの『氣の道』の繋ぎ先を考えると、パパにはもうしばらく、『変わりゆく日常』の中で多少の混乱を我慢してもらうしかない、と思い直した。せめて、もう少し間、あまりパパの前で急激な変化は見せないようにしておこう。

 

「OK、パパ。家族で一緒に楽しいことをする時は、絶対にパパを外さないようにするよ。約束ね」

 

 ソファーから振り返ったダニエルが、右手のひらをポールに向ける。ポールは満足そうに、ダニエルの手のひらを自分の手で弾いて、ハイタッチをした。

 

「それでこそ僕の息子だ。さぁ、ダニエル。明日も学校だろう? 寝る前にスナックを食べすぎると、眠りの質が落ちるよ。良く寝て、明日を楽しみなさい」

 

 ポールが少し自信を取り戻したかのうように、親らしい話しぶりをする。ダニエルも、ここは素直に従って、夜のチルタイムは早めに切り上げることにした。

 

 良く寝て、明日を可能な限り楽しむ。全く異論はなかった。

 

 

。。。

 

 

 ミヤグニさんは、『氣の道』を繋いで行動や考えに影響を与えるのは、最初は5人までにしておけ、と言っていた。その理由は大体、ダニエルにも理解できる。昨日、ステファニーが家に来た時に、同時にママやエミリーを操ろうとして苦労したように、複数の人間を同時に個別に操作するのには、慣れが必要なようだ。ゲームのキャラクターにリアルタイムで別々に操作するのにだって、テクニックとある程度の慣れが必要だ。きっと同じようなことだのだろう。

 

 けれど、5人という制限の中でダニエルの生活のクオリティをあげるためには、工夫が必要だ。まずステファニー。誰を諦めても、とにかく彼女だけはダニエルの影響下に置いておかせてもらいたかった。彼女はナンバー1だ。そして、彼の私生活の自由度を上げようとすると、ママ、それから学校の行き返りも一緒になるエミリーにも、ダニエルの味方でいてもらう必要があった。

 

 残るは2人。普通に考えると、これまで彼のスクールライフを恐怖に陥れていた、イジメっ子のジョニー・ロブソン。そして彼の兄である、学校1の暴れん坊、ジェイク・ロブソン。この2人を『氣』の力で制御出来れば、ダニエルの学校生活から悩みが一気に減ってくれることになる。

 

 けれど、5つの枠のなかの貴重な2枠を、ロブソン兄弟のために使ってしまうのは、もったいないとも思えた。何しろダニエルには、別の候補もすでに頭の中に浮かんでしまっているのだから。

 

 

「はい、クラスのみんな。授業を始めます。テキストブックの271ページを開いてね」

 

 ハキハキと喋る、知性的な声。重い代数(アルジェブラ)の本を開くと、ダニエルが目を上げる。ホワイトボードの前に立っているのは、今日はダークブラウンの髪を後ろでまとめている、ゴージャスでモデルのようなプロポーションの美人教師。カレン・ステイトン先生だった。

 

 時々、教室の斜め前の方に座っている、ステファニーとアイコンタクトをして、笑顔を交わし合いながら、ダニエルは叱られない程度に授業にも集中する。けれど目で追っているのは、ホワイトボードに書かれる記号や数式ではなくて、ステイトン先生の胸元や綺麗な脚だった。きっと、クラスの男子の大半が同じはずだ。どうしてこの先生は、頭が凄く良いのに、ルックスもこんなにホットなんだろう? 彼女に無いものは一体何だろう? ………ダニエルは授業の間、ボンヤリ考えていたが、「性格がキツめ」であるということが、男の目から見た、彼女の数少ないウィークポイントなのかもしれない、と思い当たった。けれどそのポイントは、もしかしたらスーパーストロングポイントに変わるかもしれない。ダニエルの『技』があれば。

 

 スー……………、ハーァァァァ、スー、スー、ハーァァァ。

 

 ダニエルが呼吸のリズムを変える。一昨日から何度も『氣を繋ぐ』行為を繰り返すうちに、自分の両目を薄く閉じなくても、氣が充満して満ち溢れていく様を見ることが出来た。その氣を練りこんで、コードと端子を作り、真剣に授業をする美人教師へと近づけていく。どうやら先生という職業は、氣の使い手から身を守るには不利な仕事のようだ。自分の方を向いて真剣に集中している様子の相手を、警戒して無碍に追い払ったりすることなど出来ない。ステイトン先生の淀みなかった口調が一転して、ピタッと止まる。両目を見開いて、自分に何が起きたのか、不思議に思っているようだ。ちょうどそれは、ダニエルが端子の接続を感じ、『氣の道』が繋がったことを確信したタイミングだった。

 

『カレン・ステイトン先生は、授業後に生徒のダニエル・ランバートを呼び止めて、人目につかない場所へ誘い出す。2人きりになって、しなければならないことがあるから。それはとても大事なことだよ。』

 

 ダニエルが念じると、一瞬だけ、ステイトン先生がビクッと背筋を伸ばして、つま先立ちに伸び上がるような姿勢になった。そのあとは、ダニエルは何もしない。『氣の道』は繋いだまま。けれど次の氣を送りこんだりはしない。すると先生は、キョロキョロと左右を見回した後で、生徒たちに説明を中断したことを謝ると、さっき途切れたところから、また説明を始めた。

 

 

「ダニエル、ちょっといいかしら? ………大事な話があるの」

 

 クラスが終わった後で、生徒たちが我先にと教室を出ていくなか、ダニエルは先生に、そう呼び止められる。ダニエルは驚きもしなかった。むしろ笑みを? み殺すのに必死だった。けれど可哀そうだったのはステファニー。ダニエルの席へ駆け寄って、一緒にロッカーまで行こうと誘うつもりだったらしく、先生の言葉に、眉を「ハの字」にし、唇を突き出して残念がる表情を見せた。

 

 ダニエルは目でステファニーに謝りながら、先生の作業デスクへと歩いていく。

 

「どうかしましたか? ………僕、何か問題あったでしょうか?」

 

「……………。いいえ、ダニエル。そうではなくて、もう少し大事な話があるから、ちょっと場所を変えましょう。ここだと人目につきすぎます」

 

 少し間を置いて、先生はそう答えた。

 

「あの、先生。……失礼ですが、友達も知っておくべきような大事なことでしたら、私も………」

 

 ステファニーの勇気を振り絞った言葉も、ステイトン先生が遮って言う。

 

「とても、大事な、こと、です。………私が言えるのは、それだけなの。ゴメンなさいね」

 

 ゴージャスだけど厳格な美人教師の迫力で、ステファニーの健気な提案は粉砕されてしまった。シュンとする彼女を教室に置いて、先生はダニエルの腕を引っ張って、他の部屋を探しに行く。ドアの、くりぬかれてガラスを張っている部分にカーテンを閉められる部屋を見つけて、ダニエルを押し入れるようにして部屋に入ると、先生はカーテンをシャッと閉め、内側から鍵をかけた。小さなカウンセリングルームだ。向かい合って椅子に座るダニエルとステイトン先生。お互いの顔を見ながら、しばらく沈黙の時間が過ぎた。

 

「……………………先生? ………」

 

 ダニエルが、肩をすくめて首を傾げながら、要件を聞いてみる。ステイトン先生は眉間に皺を寄せて、首をひねって何かを絞り出そうとしていたけれど、何と言っていいのかわからないようで、明らかに戸惑っている。

 

「えぇ………そうね…………。大事な話…………。大事な話……………。あの…………、ダニエルがうちの学校に転入して、もう3カ月くらい経つかしら? …………その………。どう? …………みんなと馴染めているかしら?」

 

「あぁ……………ありがとうございます。………お陰様で、…………何とかここ最近は、馴染め始めています。先生たちのおかげもあって………。その、とても…………オープンで………開放的な先生も、いるようで………」

 

 ダニエルはステイトン先生の方をチラチラ見ながら、言葉に困りながら、何とか回答してみた。

 

「そう………。オープンな先生…………。フレンドリーなのは、良いことね」

 

「えぇ………。ちょっと、こちらが驚いてしまうくらい、開放的です」

 

 ダニエルは咳払いをしながら、そう答える。まだ視線がキョロキョロと彷徨う。

 

「フレンドリーなのは、良いことだけど、あくまでも教師と生徒だから、その立場の違いはきちんと示しながらの、ホスピタリティであって欲しいものだけれど………。ちなみに、その先生のお名前を聞かせてもらえるかしら? ………生徒を驚かせるくらい、開放的、というのは、ちょっと度が過ぎるかもしれないから、私も気にかけておく必要があるかもしれないから」

 

「その…………ウ、ウンッ。ウェッホンッ」

 

 ダニエルの咳払いがあまりにもわざとらしいので、疑問に感じたらしいステイトン先生が、彼の視線の先を目で追う。そして見下ろして気がついたのは、自分の両手が白いカッターシャツのボタンを4つも外しているところだった。淡いライトブルーのブラジャー。そしてそのブラがやっと押しこめている、豊満な胸の谷間が生徒の目の前に晒されてしまっていた。

 

「イヤッ………。なんで私、こんなこと…………。どうして? 手が、止まらないの」

 

 ステイトン先生は、明らかに焦って狼狽しながら、ダニエルに釈明するように、この手の動きは自分のしたいことではない、ということを説明しようとしていた。ダニエルは、そんな説明は無くてもわかっている、そうさせているのが自分だからだ。

 

「駄目ッ。止まって! ………止めなさいっ」

 

 自分の両手を素行の悪い生徒に対するように?? りつけるステイトン先生。しかし、彼女の両手はそれにさらに反抗して見せる。ステイトン先生は悲鳴のような叱り声を出しながら、自分で自分のシャツを左右に乱暴に引っ張ると、残りの留まっていたボタンが弾け飛ぶほどの勢いでシャツを下まで大きく開きはだけてしまった。

 

「ダニエル。お願いっ。私を止めて。こんなことしたくないの。…………どうにもならないなら、他の誰かを呼んでちょうだい。これ以上酷いことになる前に、皆で私を止めて欲しいの」

 

 そう言いながら先生はブラジャーのカップに手を伸ばして乱暴に引き下げる。ホックか、ストラップのアジャスターかどこかが壊れたのではないかと思うほどの勢いだった。そしてその勢いを上回るくらいのスピードと重量感とで、2つの塊が空中に放り出される。ブルンブルンと揺れるのは、カレン・ステイトン先生が持っている、見事なオッパイだった。その存在感は、いつも服では隠し切れないでいるけれど、やや大きめの乳輪とダニエルの小指の第一関節くらいのサイズの乳首は、これまで見たことも無かった。きっと学校中の男子生徒たち、あるいは男子職員も含めた皆が、見たくて、見たくて、切望している、ステイトン先生の剥き出しのオッパイだ。先生は自分の手でオッパイを曝け出しておいて、もうその表情は限界に近づいているように見える。今にも泣き叫んで助けを呼んでしまいそうだ。だからダニエルは小さく氣を練って先生の頭の中へ送り込む。

 

『これは恥ずかしいかもしれないけれど、別にパニックになるようなことではないよ。先生はダニエルへの教育として、自分のオッパイを提供している。今は先生のオッパイは教材なんだ。だから我慢して、ダニエルに触れさせようね。きちんと観察させて、五感を通じて理解してもらうことが、大事な用事だったんだ。』

 

 ダニエルが念じるとすぐに、ステイトン先生の表情が少し穏やかに和らぐ。それでも、恥ずかしそうではある。

 

「コホン…………。ダニエル、落ち着いて。…………これはその、授業の一環です。…………私の胸は…………。どうかしら?」

 

 さっきまで泣き叫びそうなくらい慌てていたのは先生の方なのに、今は冷静さを装っている。ダニエルはほくそ笑みながら答える。

 

「どう、って…………。すっごくゴージャスですよ。…………触っても良いですか?」

 

「当たり前でしょう。その………、触るだけじゃなくて、匂いや、味………。乳首を弾いたりした反応や、強めに摘まんだりした時の感触。全部、きちんと理解しなくては駄目よ。本当は理解度を確かめるためにレポートを書いて提出させたいくらいなのだけど、今日はそこまでは求めません。そのかわりに、自分で納得するまで、徹底的に調べなさい。学びとは、そういうことよ」

 

 先生は、時々、自分でも首を傾げながらも、まるで自分を納得させるかのように、頷きながら話してくれる。せっかくのお言葉なので、ダニエルも遠慮なく、両手に収まりきらないような見事なサイズのオッパイを、少し乱暴なくらいの強さで揉み潰し、手に帰ってくる弾力を楽しむ。乳首に吸いついて軽い汗の味の奥にほのかに香る、ミルクのような甘い香りを吸いつくす。舌の上で乳首を転がしたあとで、衝動的に強めに吸いながら乳首を引っ張る。

 

「………んっ…………んふっ…………ぁあっ」

 

 先生は、顔を横に背けていたけれど、時々、あごを突き出して天井を仰いだり、くぐもった声を漏らす。少しハスキーなその漏れる声がまた、たまらなくセクシーだ。ダニエルは、両手と舌に戻ってくる弾力の強い感触とともに、耳をくすぐってくるその音を楽しむ。普段のツンと澄ました美人教師の威厳ある態度とのギャップにいっそう興奮させられて、ズボンのなかでイキそうになるほどだった。そのイキそうなペニスを我慢するために、全身に力を入れる。左手の中で先生のオッパイがムギュッとひしゃげて、甘噛みされた

 

 5分もその「学習」を続けただろうか。ダニエルは口を離して呼吸を整える。ステイトン先生は、「大事な用事の完了」を期待して、彼の顔を覗き込む。ダニエルはその期待の視線に応えた。

 

「先生の胸について、大体、理解出来たように思います。あとは………せっかくなので、学習の漏れがないか、真剣に考えてみたんですが………。あの、手や口で触感を確かめるだけじゃ、駄目だと思うんです。すみませんが、僕のペニスを先生のオッパイで包み込んで、擦りつけたり揉みこんだり、もらえませんか? その時にどんな感じがするか、確かめてみたい気がするんです」

 

 ダニエルの言葉にステイトン先生はショックを受けて口を開ける。その口で、何か叱責の言葉を出そうかと迷って、思い直したかのように、渋々と答える。

 

「………もちろん。自分で納得のいくまで、いろんな角度から学習して、物事を深く理解するのは、大切なことよ。………ダニエル、貴方、思ったよりも探求心が強いのね………。それは………、結構なことよ」

 

 自分で不満を押し殺すように頷きながら言うと、先生はボリューム満点のオッパイを両手で押し上げるように挟み込む。ダニエルがズボンのチャックを下ろして取り出したペニスから一瞬、目を背けながら、鼻から小さくため息を漏らしてそのペニスを白くて張りのあるオッパイで挟み込み、上半身を上下させたり前後させたりしながら、オッパイで彼のシャフトをシゴキ始めた。ダニエルはクラスの男子みんなに見せびらかしたくなるような光景を見下ろしながら、そのスベスベとした触感を楽しんだ。

 

「ダニエル…………。私が貴方にこんなことしたって、他の人たちには絶対に言っちゃ駄目よ。これは大事なことではあるけれど、変な誤解を受けると、私がまるでビッチであるかのように、噂を立てられたりするかもしれないから」

 

 上目遣いでダニエルを見上げるステイトン先生の困り顔は、ダニエルの悪戯心を刺激する。いつもは清廉、ストイックで自信満々の先生が、成績も凡庸で目立たない転入生のダニエルに、膝立ちになって恥ずかしい姿を曝け出しながら懇願しているのだ。そう思うと、彼女の本来の気の強さが、この状況をより味わい深くしてくれる、スパイスのようにも思えてくる。ダニエルはさらにいくつか、ステイトン先生への行動指示を氣で練りこんで送ってみる。先生は喋るのを止める。自分の舌が口の外に出て、下へ伸びてしまったために、喋れなくなったのだ。困った顔で自分のベロの動きを見ようとする先生。その舌の先から、透明な唾液がタラーリと、意図を引いて胸元へ垂れる。その唾液を潤滑油のようにして、ダニエルのペニスを更に激しくオッパイで揉み上げ、擦りたてる先生。ピチャピチャと、なんだか卑猥な音が出始めた。

 

「あぁ…………もう、嫌………。どんどん酷くなる………。どうしてこんなことを、私………」

 

「誰にも言いませんから、先生のしたいようにしてもらうのが、良いと思いますよ。僕にとっては、とても良い勉強です。先生のように魅力的な大人の女性が、一体どんなことをしたいのか、最高の学びの機会です」

 

「違うの。ダニエル。信じて。これは私がしたいことじゃないの。でも…………しなければ、ならないの…………。私は………貴方のペニスを…………ぁぁ………。許して………」

 

 両目を閉じて、体を震わせながら何かの衝動と戦っていたような様子を見せた先生が、やがてゆっくりと、両膝をフロアにつけてさらに自分の位置を低くする。先生の涎とオッパイとに揉みくちゃにされて、奮い立っているダニエルのペニスに顔を近づけて、我慢の限界のような表情を見せたあと、口を開けた。パクッとペニスの先を咥えると、敏感な先端部分を裏側から表側から、口内で舌を使って刺激する。鼻で大きく口を吸うと、口をもう一度開けて、ペニスの根元まで、口の奥まで使ってスッポリと咥えこんだ。頬を窄めてペニス全体を吸い上げる。頭を後ろに引く時に、唇で根元から先端まで撫でるように愛撫する。教育者であるカレン・ステイトン先生の、プックリと瑞々しい唇と、ザラザラとした舌。そして健康的な口内とがダニエルのペニスを喜ばせるために蠢く。

 

(これが、ステイトン先生のブロウ・ジョブ………。天国みたいだ。…………思っていたよりも、上手だ。)

 

 ダニエルは呆けたような顔をしながら、信じられない光景を見下ろしていた。

 

『先生はダニエルのペニスを情熱的にブロウする。どれだけ恥ずかしくても、したくなくても、ダニエルを先生の熱烈なフェラチオで、射精に導かなければいけない。これが先生にとって何よりも大事な使命だよ。』

 

 そう念じて、ついさっき、氣に練りこんで送ったのは、ダニエル自身だ。けれど、精神力の強そうなカレン先生が、抵抗は試みたけれど、これほど彼の念じた通りに行動してくれるとは、思っていなかったのだ。

 

 昨日のステファニーの行動は、彼女とダニエルのスクールカーストを考えると、奇跡的なものだ。けれど、立場としては同じ学校に通う、男女の高校生。彼女も大好きなボーイフレンドができたら、あれくらいのことはしていたかもしれない。エミリーも、普段の彼女の性格や振る舞いから考えると、ありえない行動をしたかもしれないが、突き詰めるとエミリーとダニエルは家族だ。しかし、カレン・ステイトン先生は、今、ダニエルに対してしていることを、誰かに見られたら、どうなるだろう? 教師の職を失うどころか、逮捕されたり、裁判になったりするかもしれないはずだ。社会生命をリスクに晒すことになるような行為なのに、ダニエルが念じたら、抵抗しきれずに従ってしまっている。それは一体、どれほど強力な力と説明すれば良いのだろうか?

 

『先生は僕のペニスをブロウすることが気持ちよくなる。気持ち良すぎて、今すぐにエクスタシーに達するよ。』

 

 ダニエルがこう念じた5秒後には、急に鼻息が荒くなった先生が、ペニスを咥えたまま背筋を弓なりにして仰け反って痙攣する。

 

「ンンンッ! …………ンンーーーーーーーーーーーッ」

 

 剥き出しになったオッパイの真ん中にある乳首が狂おしいほどに立っている。先生の肌に鳥肌がたって、全身で発汗する。その匂いは、大人の女の人が発する、発情の匂いなんだと、ダニエルは本能的に理解した。

 

 まだビクビクッと痙攣するように仰け反ったり、内腿を擦り合わせたりして、オルガズムの余韻の反応を見せる先生の体。赤みがさして、荒い呼吸に波打つように上下する肌。上半身が裸になっているせいで、その反応はディテールまで観察することが出来た。

 

 ダニエルは肺一杯に空気を取り込む。ステイトン先生がイってしまった匂いが、彼女の股間から、衣服を通り抜けて香ってくる。甘酸っぱい、女の人の匂い。普段は強気に振舞っているゴージャスで美人な先生が、ダニエルが『イけ』と念じただけで、ほとんど何の刺激も無いままにオルガズムに達したという印。これは先生の体が、ダニエルのものになってしまったという、エビデンスのように感じられた。まだ懸命にダニエルのペニスを舐め擦っている先生の口。その口の中に、ダニエルはありったけの精子を噴き出して射精した。自分でも無自覚に持っていた、征服欲というものが、完全に満たされる瞬間の悦楽に浸った。

 

 彼の射精は断続的に精子をペニスから吐き出しながら、まだ止まらない。途中であることを思いついたダニエルは、先生に「口を開けてください」とお願いした。

 

 ピュッ、ピュッ……………ピュ、ピュッ。

 

 ダニエルは自由になったペニスを先生の口から出して、上下に振りながら、ステイトン先生の豊満な胸、そして高い鼻筋の通った綺麗な顔に、何滴か、精子をぶちまけた。先生が、ショックで口を閉じられずにいると、その唇からも白い精子が垂れる。学校中の男子が憧れる、ミス・ステイトンという神聖な存在に、好き勝手にマーキングをさせてもらったような気分になった。

 

「………ふう。これで、先生の大事な用は終わりましたね。…………本当はこの時間、世界史の授業に出席していないと行けなかったので、あとで先生に理由を説明する、メモを書いて欲しいです。もちろん、僕たちのしたことは正直に書かなくても良いですよ。このことは2人だけの秘密にしておきましょうか。…………先生が、今日みたいなことを、僕がお願いした時に、またしてくれるって、約束してくれるなら、僕は秘密を守りますよ」

 

 美人で評判のステイトン先生は、顔も口元も、胸元までもダニエルの精液でベタベタになってしまった酷い恰好のまま、自分の身に起きたことを良く理解出来なくて、ただ茫然としていたけれど、やがてダニエルの言葉の意味を理解して、弱々しくうろたえる。けれど、ダニエルがまた、一連の指示を『氣の道』を通じて先生の頭に送り込むと、先生は仕方なく頷くと、立ち上がって誓ってくれた。上半身裸のままで、まるで大統領が宣誓をするかのように直立して右手を小さく上げると、ダニエルに誓ってくれた。

 

「私は、ダニエルが求める時はいつも、他の人に見つからないように気をつけながら、貴方をフェラチオで射精に導きます。貴方の射精へのプロセスをスムーズにするためにも、貴方の提案を全て受け入れます。これは私にとって一番大切な使命です」

 

 そう堂々と宣言したあとで、また少し、正気を取り戻したかのように、手で口を押さえながら唇を噛むステイトン先生。ダニエルは部屋に備え付けてあったティッシュペーパーの束を、ドロドロになっている美人教師に手渡すと、ズボンを上げ、ベルトを締めて先に部屋を出ようとした。

 

「ありがとう。先生。また、よろしくね!」

 

「…………も………、もちろん………よ。ダニエル………。御礼を言いたいのは、私の、方? ………よ………」

 

 まだ少し、頭の中が混乱しているみたいだけれど、頭脳明晰なステイトン先生のことだから、すぐに考えを整理して、自分に自信を持って、これまでと同様に、充実した日々を過ごしてくれるだろう。そう思うと、ダニエルは笑顔で先生に手を振って、カウンセリングルームを後にするのだった。

 

 

 ダニエルはその日の午後、ジョニーの兄であるジェイク・ロブソンを見つけて、今のところは最後の枠である5本目の『氣の道』を繋いだ。『これからはダニエル・ランバートにちょっかいをかけたりしない。むしろ彼の味方になる。弟のジョニーにも、ダニエルに嫌がらせをするなと、キツめに教育しておく』と伝えたら、不良2人分の問題が一気に蹴りがついたのだった。

 

 

<第3話につづく>

5件のコメント

  1. こんにちは
    無法に思える神秘のMC術にも
    制限が適度にかかっていて
    これからレベルアップしていく期待に
    胸が膨らみます

    セクシーなステイトン先生最高です
    ツン系な彼女がダニエルの脇道に逸れるような感情で
    こうして変えらたり便利に使われたりしていくのかと思うと
    MCの醍醐味を感じざるを得ませんでした

    これからの展開も楽しみです

  2. 事情により永慶さんが書き込めないため、代筆いたします。
    ——————————————————–
    >皆様

    現在、掲示板に書き込みしにくい環境におり、
    個別にご返信出来ず恐縮です。
    皆様の感想が大変励みになります。
    今年の夏も5話完結を目指して書きます。
    ご都合よろしければ、しばしお付き合い願います。
    いつも本当にありがとうございます!

    永慶

  3. 久々に書き込みます。永慶さんの作品1番好きなんですよね~。面白いし。

    最近、グーグルでThe Erotic Mind-Control Story Archiveを翻訳するとEdge
    の翻訳より正確なんで読み直してるんですよね。すごい沢山あって飽きないし。

    で、永慶さんのこの作品読んでると、上記のサイトで翻訳した作品とあまり違和感無い差しか感じません。この作品英語に翻訳しても全然いけるんじゃね? って思いましたよ。

  4. 読ませていただきましたでよ~。

    肉体操作きたー!
    行動を操られるも操られた結果に理屈が伴わなくて困惑してる姉ちゃんとステイトン先生がいいでぅね。
    特にステイトン先生はセクシーすぎてたまらないでぅ。
    とりあえず5人分の接続を終えたダニエルはこの五人で経験値稼ぎでぅかね。
    ステファニーとイチャイチャしてる裏で困惑しながら弄ばれるカレン先生とかこないかなー?

    であ、次回も楽しみにしていますでよ~。

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