催眠の季節 ~僕が義理の家族を犯した理由(わけ)~11

第五章 季節は廻りBへと誘う。    俺は……持っていた鏡を夏帆に向けた。 「いやああああっ!」  鏡を向けられた夏帆は大きな悲鳴を上げたが、しばらくすると、そのまま石のように動かなくなった。  その瞬間、 (良くやった

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催眠の季節 ~僕が義理の家族を犯した理由(わけ)~10

第五章 季節は廻りAへと誘う    俺は……持っていた鏡を床にたたきつけた。  パリンと言う音と共に鏡が砕け散る。  その瞬間、 (そうか……残念だよ、志貴。だけど忘れるなよ、お前が俺を否定しても俺はお前の中に居続けるっ

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催眠の季節 ~僕が義理の家族を犯した理由(わけ)~9

第四章 夏の夜の夢(後編)   -3-    夏帆姉ぇの話を聞き終えた俺は、ただ呆然とするしかなかった。  ……父さんも俺と同じ鏡を持っていた? それに夏帆を襲った……。  たまらなくなった俺は手元の鏡に向かって声をかけ

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催眠の季節 ~僕が義理の家族を犯した理由(わけ)~8

第四章 夏の夜の夢(前編)   -1-    その日はまさに、熱帯夜と言ってふさわしい夜だった。  ねっとりとした湿気が僕の全身にまとわりつき、着ているシャツも汗に濡れている。 「はぁ、はぁ、はぁ」  月はなく、街灯の明

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催眠の季節 ~僕が義理の家族を犯した理由(わけ)~7

第三章 冬の終わり(後編)   -3-    あの日、私は秋に入れてもらったコーヒーを片手に、夫と話をするために書斎へと向かった。  特にこれといった用があったわけではない。  ただ何となく、ここ最近の夫の様子がなんだか

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催眠の季節 ~僕が義理の家族を犯した理由(わけ)~6

第三章 冬の終わり(前編)   -1-    学校の保護者参観に父さんが来てくれたことは一度としてなかった。  だから冬美さんが保護者参観に来てくれたときは、嬉しさよりも驚きの方が大きかった。冬美さんを初めて見た友人たち

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催眠の季節 ~僕が義理の家族を犯した理由(わけ)~5

第二章 春の目覚め(後半)   -3-    最初から春香が僕たちのことをこっそり覗いていることはわかっていた。わかっていて、僕はわざと僕と秋の情事を春香に見せつけていた。 「あああっ! ご主人様! イキます、イキますぅ

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催眠の季節 ~僕が義理の家族を犯した理由(わけ)~4

第二章 春の目覚め(前編)   -1-    僕の本当の母親は、僕が小学2年生の時に死んだらしい。  母親の記憶はあまりない。だから死んだことに対しては別段悲しくもない。だが亡くなった母がベッドに横たわっている姿と、母が

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催眠の季節 ~僕が義理の家族を犯した理由(わけ)~3

第一章 秋の収穫(後編)   -3-    身体の上で気を失った秋をゆっくりとベッドにおろす。目の前で横たわっている秋を見つめながら僕は絶頂の余韻に浸っていた。すると頭の中で、 (どうよ、人間。念願かなって憧れの人に童貞

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催眠の季節 ~僕が義理の家族を犯した理由(わけ)~2

第一章 秋の収穫(前編)   -1-    秋が僕の家でハウスキーパーとして働くようになったのは、僕が中学の頃だった。  大学病院の医師として働いていた僕の父は家を空けることが多く、母親を亡くたった一人で父の帰りを家で待

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催眠の季節 ~僕が義理の家族を犯した理由(わけ)~1

第零章 はじまりの季節    裸電球が天井で左右に揺れている。  さっきあいつが私を脅かそうと大きく動いたときに体でも触れたんだろう。  しばらく天井を見ている間に、電球の動きはゆっくりと止まった。  しばらくすると、あ

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レタッチ 後編

後編 「貴方が槙村航太君ね。陸上部は今、貴方の噂でもちきりよ」  航太と澄華の前に立っているのは、陸上部のキャプテンで3年生の姉川ツカサ先輩。アスリートとしての能力、キャプテンを任される人格もさることながら、抜群のプロポ

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レタッチ 中編

中編  タブレットに入っている、「レタッチ」というアプリは、基本的には直感的な操作を繰り返しながら、使い方を覚えることが出来る。メニューには一般的な操作法説明のリストはあったが、それほど懇切丁寧に使い方を教えてくれている

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レタッチ 前編

前編 「ゴン………ゴンゴン」  航太の部屋の壁を叩く音がする。 「ほーい」 「ゴン、ゴンゴン」  航太がデスクトップから目を離さないまま、気の無い返事をしていると、また壁が叩かれる。槙村航太の部屋は2階にある。そして音は

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うごけ 第2話

第2話  東新宿駅から徒歩5分の場所にあるアパートに御堂聖が住むようになって、2か月が過ぎようとしていた。やっと周辺を散策していても、道に迷う心配をしなくても良くなってきた頃だ。それでも、少し足を伸ばすと、ヒジリは簡単に

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うごけ 第1話

第1話 「ご両親と連絡を取ることは出来ないかな? ……これは、きちんとした診断をしなければいけないし、ちゃんと説明しなければならないことだと思ってる。実は、僕は医者として、この件に関して、100%の確証を持てている訳では

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バイト研修

 彼女、秋本麻衣(あきもと まい)は、どこにでもいる今時の女子大生だ。  明るい性格で、肩まである、ふわっとウェーブのかかった明るい茶色の髪に丸顔でくりっとした大きな瞳の愛くるしい顔立ちの子だった。  バイトをしようと思

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傀儡の舞 1-4

(31)  アップテンポの曲が、フロアの上に響いていた。音楽に合わせて、女子部員の体が躍動する。一瞬一瞬で描かれては消えていく、花火にも似た刹那的な美しさが、そこにあった。 レオタードに身を包んだ五人の女の子達の一糸乱れ

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傀儡の舞 1-3

(21)  夕方ホームルームが終わると、鈴菜はすぐに教室を出ようとする。 「鈴菜ぁ、今日もリハビリか?」  まだ部活が始まるまで、少し時間があった。早夜子は自分の席に座ったまま、クラスメイトと雑談していた。そのまま首を伸

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傀儡の舞 1-2

(11)  鈴菜はそっと自分の体を抱きしめた。伝わってくる感触に、何の違和感もない。  そろそろ消燈の時間だった。白いチェック柄のパジャマ姿のまま、自室のベッドに腰掛けていた。どうしても、休む気になれなかった。  朝にな

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傀儡の舞 1-1

プロローグ  座席の前の液晶パネルが、飛行機の現在位置を知らせてくる。まだアラスカ辺りだ。日本に到着するまで、まだまだ時間がありそうだ。こんな時は眠るに限るのだが、どうしても眠れない。四年ぶりの帰国に、どうも俺の神経は昂

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