レタッチ 後編

後編 「貴方が槙村航太君ね。陸上部は今、貴方の噂でもちきりよ」  航太と澄華の前に立っているのは、陸上部のキャプテンで3年生の姉川ツカサ先輩。アスリートとしての能力、キャプテンを任される人格もさることながら、抜群のプロポ

もっと読む

レタッチ 中編

中編  タブレットに入っている、「レタッチ」というアプリは、基本的には直感的な操作を繰り返しながら、使い方を覚えることが出来る。メニューには一般的な操作法説明のリストはあったが、それほど懇切丁寧に使い方を教えてくれている

もっと読む

レタッチ 前編

前編 「ゴン………ゴンゴン」  航太の部屋の壁を叩く音がする。 「ほーい」 「ゴン、ゴンゴン」  航太がデスクトップから目を離さないまま、気の無い返事をしていると、また壁が叩かれる。槙村航太の部屋は2階にある。そして音は

もっと読む

うごけ 第2話

第2話  東新宿駅から徒歩5分の場所にあるアパートに御堂聖が住むようになって、2か月が過ぎようとしていた。やっと周辺を散策していても、道に迷う心配をしなくても良くなってきた頃だ。それでも、少し足を伸ばすと、ヒジリは簡単に

もっと読む

うごけ 第1話

第1話 「ご両親と連絡を取ることは出来ないかな? ……これは、きちんとした診断をしなければいけないし、ちゃんと説明しなければならないことだと思ってる。実は、僕は医者として、この件に関して、100%の確証を持てている訳では

もっと読む

バイト研修

 彼女、秋本麻衣(あきもと まい)は、どこにでもいる今時の女子大生だ。  明るい性格で、肩まである、ふわっとウェーブのかかった明るい茶色の髪に丸顔でくりっとした大きな瞳の愛くるしい顔立ちの子だった。  バイトをしようと思

もっと読む

傀儡の舞 1-4

(31)  アップテンポの曲が、フロアの上に響いていた。音楽に合わせて、女子部員の体が躍動する。一瞬一瞬で描かれては消えていく、花火にも似た刹那的な美しさが、そこにあった。 レオタードに身を包んだ五人の女の子達の一糸乱れ

もっと読む

傀儡の舞 1-3

(21)  夕方ホームルームが終わると、鈴菜はすぐに教室を出ようとする。 「鈴菜ぁ、今日もリハビリか?」  まだ部活が始まるまで、少し時間があった。早夜子は自分の席に座ったまま、クラスメイトと雑談していた。そのまま首を伸

もっと読む

傀儡の舞 1-2

(11)  鈴菜はそっと自分の体を抱きしめた。伝わってくる感触に、何の違和感もない。  そろそろ消燈の時間だった。白いチェック柄のパジャマ姿のまま、自室のベッドに腰掛けていた。どうしても、休む気になれなかった。  朝にな

もっと読む

傀儡の舞 1-1

プロローグ  座席の前の液晶パネルが、飛行機の現在位置を知らせてくる。まだアラスカ辺りだ。日本に到着するまで、まだまだ時間がありそうだ。こんな時は眠るに限るのだが、どうしても眠れない。四年ぶりの帰国に、どうも俺の神経は昂

もっと読む

腐葉土

 そろそろ意識が無くなってきた。  もうすぐこの腐った世の中にもおさらば出来るんだ。  痛みや恐怖はもう感じない。  ただあるのは脱力感だけ。 ドッ!ドッ!ドッ!ドッ!ドッ!ドッ!ドッ!  心臓が脈打つ度に僕の左腕から鮮

もっと読む

人に優しく

「あんなやつらには当然の報いだよ」  みんなで僕をいじめた。みんな笑ってた。誰も助けてくれなかった。 「僕は汚いかい?臭いかい?」  汚いのはあいつらだ!臭いのはあいつらだ! 「見知らぬ街に引っ越して来て慣れない環境での

もっと読む