なかば強引に、本倉楓さんを連れて入った店。そこは、昼は喫茶店としてコーヒーや軽食を出しているが、夕方以降はアルコールも出している、というタイプのお店だった。最初のうちは席についてもまだ呆然と、そしてウットリと、劇のことを思い返しているような様子だった楓さん。彼女もアイスコーヒーが出される頃には、冷静さを取り戻し、同時に、佐々村優という、よく知らない男性と一緒に店にいる自分に、居心地悪そうな様子を見せ始める。その展開を打開するような経験値も、テクニックも持っていない優は、この時間はこのまま硬さを増していって、やがてお互いがコーヒーを飲み終わったところで、終わるのだろう、と覚悟するしかなかった。
けれど、優が、さっき見た演劇の話や、よく舞台を見に行くのか、といった話に向けた途端、急に彼女の表情に熱がこもった。
「えぇ…………。私、舞台とか、演劇とか、他のお芝居なんかも大好きです。今は派遣社員をしていまして、そういったものを際限なく観られるほどのお給料も頂いていないんですが、いつか、もう、演劇鑑賞漬けになったりするのが夢ですね」
「そうなんだ………。もともと、芝居とかお好きなんですね。そんな中では、さっきの劇とか、どう思われましたか? 僕、ああいうのを見慣れていないからかもしれけれど、正直、全然ついていけなかった、って感じします。何か凄い感じはしたんですけど」
優が素直な感想を伝えると、楓さんは両手で口を押さえながら、クスクス笑った。
「私も、ああいう、アングラっぽい雰囲気の小劇団のものはそんなに見たことがなくて、もしかしたら、佐々村さんよりもわかっていないかもしれません。うふふふ。………なんだか、途中の記憶もちょっと曖昧だし………。でも、今、仰った、『何か凄い感じはした』っていうのが、実は、素晴らしい演劇鑑賞体験の1つだと思うんです。別に、たくさん観劇したから、筋や面白さを理解したから、良い鑑賞体験が出来る、っていう決まりはないですから」
正面から、本倉楓さんが微笑んだり笑いかけてくれたり、優しく語ってくれるのは、これが初めてのことだった。優はもうすでに、自分は彼女のことを好きになる、という予感を抑えきれずにいた。
「私たち、CGとかAI生成動画とかでは、もっと派手で奇妙なビジュアルって見ることが出来ると思うんです。でも、生身の人間と人の手で作られた道具や背景を元に、生きてるお客さんの前で演じて見せることには、独特の迫力があります。それは同じ舞台を同じように演じていても、毎回の演技のアンサンブルや微妙なタイミングの違い、熱のこもり方、伝わり方が変わってくるんです。そういう、一回きりのものだからこそ、観ている人の心が動かされる、っていうこともあると思います。何か、説明出来ないくらい、変なものを観た、っていうのも、物凄く貴重な体験なんだと思いますよ」
開演前の楓さんの遠慮がちの様子とも、観劇直後の放心状態のような様子とも違って、彼女の目に光が灯っている。コーヒーを飲み終えたあとも、何となく2人はドリンクメニューからアルコールをオーダーして、演劇について話す流れになった。
「本倉さんは、ミュージカルってどう思われますか? 僕、たまに映画とかであるミュージカルって、結構馴染めないっていう印象なんです。今まで、普通に喋っていた人が、急に歌いだして、周りの通行人を従えて踊りだしたりして、………違和感しかない、っていう………。けど、今日の劇のミュージカルっぽい進行は、そんなに受け入れられない、っていう感じはしませんでした。そもそも、違和感と不自然さしかないような演目でしたし………ね」
「あぁ……。ミュージカルが苦手っていう方、特に男性に多いかもしれません。一定数いますよね。私、思うんですけれど、………そもそも、ある人の半生とか、あるいは男女が結ばれたり離れたりする数年間とか、2時間や3時間で語りきる、っていうことが、無理なんじゃないか、って。…………だから、日常が大きく変わったような心境の変化とか、人生の岐路とか、あるいは逆に、なんでもないような日常に急に降って湧いた、心が躍るような出来事とか、その2時間で語りきろう、っていう無理をするなら、むしろ急に音楽が流れて、気持ちよく歌って、っていうあれくらいの非日常を見せた方が、誠実で正確にそこで伝えたいような劇的な出来事を、スムーズに伝えられるんじゃないか、って。だから、そういう方法論というか、演出方法も、警戒せずに受け止めてみたら、意外と面白いものも多いと思うんですよ。ここからは、理屈じゃなくて、マジカルなことが起きているんです、っていう、脚本家や演出家のメッセージだと思うんです」
「へぇぇー…………。凄い………、そんなこと、考えたこともなかったです。…………新鮮な発想ですね。……………本倉さんって、本当に、演劇がお好きなんですね」
優が褒めると、楓さんは頬をポッと赤らめた。
「ゴメンなさい、なんだか、私ばっかり、熱っぽく、喋っちゃって」
カルーアミルクのストローを口にして、ゆっくりと飲む、楓さん。喉が渇くほど、優に語りかけてくれていることが、嬉しかった。
「本倉さんはそんなに、演劇が全般的にお好きで………、その、ご自分でも演じてみたい、って、思ったりはしないんですか? とても詳しいし、上手に演じることも出来るんじゃないか、って思って………」
(何より、凄く綺麗なんだから…………。って、これは、言わない方が良いな。ちょっと、僕は、飲み過ぎかな?)
優はハイボールのグラスを手で触れた後で、飲むのをちょっと休憩することにして手を離した。
「全然、駄目です。………私、昔、中学校の頃に、演劇部に入っていたんですけど、舞台で喋ろうとすると、緊張しちゃって、お地蔵さんみたいになっちゃうから、途中で自分からお願いして、衣装係に回してもらいました。舞台袖とか、客席から、上手に演技できる演者さんを見ているのが、幸せです。…………空想上のキャラクターとか、悲劇のヒロインとか、正義のヒーローとかに成りきれる、成りきるだけじゃなくて、観ている人を納得させられる、って、凄い才能だと思います。私はそれを袖からとか、客席から、観て浸っているだけで、もう充分です………」
楓さんは少しだけ黒目を小刻みに動かした後で、また遠くを見つめるようなウットリとした視線になる。この人が本当に、演技というものに憧れを持ちつつも、観劇自体を愛していて、演者を尊敬している、ということが良く伝わってきた。
「………じゃ、今日みたいに、舞台に上がって、俳優の人たちと一緒にパフォーマンスしたりっていうのは、最高の思い出になるんじゃないですか?」
優が、彼女の気持ちをさらに良くしたいと思ってそう言うと、楓さんはキョトンとした表情で、優のことを見返す。
「舞台に上がる? …………私が、ですか? ……………とんでもない。恐れ多くて縮み上がっちゃいますよ。私、今も言いました通り、人前で何か目立つことをしようとすると、緊張して、お地蔵様になっちゃうんです。無理です無理です」
楓さんは顔の前で右手を仰ぎながら、恐縮するように肩をすくめて、優の言葉を否定する。その様子は、? をついているとはとても思えなかった。
(ずっと、この人、劇団の演出の一部を担っている、サクラなんじゃないか、って、疑ってたんだけど。……………これだけ演技とか演劇っていうものにリスペクトを持ってる人が、客席に紛れて観客を騙す手引きをするとも思えないな……………。もしかして、本当にこの人、劇場が仕掛けた催眠術に掛かっていたのかも…………。)
そう思った優は、少し黙って考えてから、また口を開いた。
「本倉さん、でも、貴方、今日の劇の中で、催眠術を掛けるっていうシーンがあるたびに、立ち上がっていたり、記憶が曖昧になっていたり、しませんでしたか?」
そう言われた彼女の頬が赤らむ。
「………あ………、そう、私、気がついたら、隣に座っている佐々村さんに手をぶつけてしまったり、立って観ていたり、しましたね。…………やだ………、後ろのお客さんにも、迷惑だったかも………」
「あれって、…………本倉さん、本当に催眠術に掛かっていたんじゃないですかね。…………本倉さんくらい真剣に劇を見る人で、舞台の途中で記憶が頻繁に曖昧になってる、っていう経験って、あんまりないんじゃないですか?」
優が問いかけると、楓さんは3度ほど瞬きをして、真剣に何かを思い出したり、考えたりしている様子だった。
「……………催眠術………。私が、………ですか? ………………ちょっと、怖いですね」
「ちょっと怖いかもしれませんけど、もしかしたらそれも、さっき本倉さんが言われていた、非日常的な演劇体験の一部だったのかもしれませんよね? そこをもうちょっときちんと理解できると、今日の舞台の、本当の面白さみたいなものが、改めて理解出来るかもしれない」
優が話している間、楓さんは彼と目を合わせて聞き入ったまま、目を逸らさない。普段は大人しくて控えめな人だけれど、とても素直で集中力がある人なんだと思う。(これはもしかしたら、いけるかもしれない)と、優は心の中で呟いて、テーブルの端に置いてあったキャンドルグラスを、スーッと中央まで寄せてみた。
「本倉さん、このキャンドルの火を、よーく見てみてください。………さっきの舞台の燭台の光とか、スポットライトの点滅、それを見ていた時の感覚が甦ってきませんか? ついさっき、貴方が体験した、素敵な観劇体験が戻ってくる。あの気分、あの気持ち良い感じです」
楓さんの目がトロンとしながらも蝋燭の揺れる火に釘付けになっている。さっきまで観ていた劇の中で、彼女が繰り返し催眠状態に誘導されていたとしたら、その余韻というか、その時の感覚が戻ってくることで、導入されやすくなっている、ということがあるのかもしれない。
「劇を観ている時、貴方は舞台の上の役者さんに集中しますね。すると周りの客席の騒音や人の気配も気にならなくなる。集中している時、体は緊張していますか? いえ、体の力は抜けて、リラックスしているから、感覚が鋭敏になる。本倉さんは演劇がお好きだから、その集中力が研ぎ澄まされています。その時の感覚を思い出しながら、今はこの火に集中する。すると、この火以外のことが全く気にならなくなる。僕の声とこの火にだけ集中する。僕の言葉が必ず本当になる。本倉さんは僕の言葉に心と感覚を委ねて、非日常的な体験を楽しむことが出来る。必ずそうなります」
彼女の瞬きの数がぐっと少なくなる。そして黒目の大きさが少し変化したように思える。彼女の瞳孔が開いたように見える瞬間に、優は、楓さんがテーブルに置いている右手の甲を急に掴んで、グッとテーブルに押しつけた。
「ほら、この手がテーブルにくっついちゃいました。僕が離れると言うまで、貴方はこの手をテーブルから1ミリも離すことが出来ません」
台詞を? まないように気をつけながら、優は声に力をこめて、やや早口に言い切った。「僕が離れると言うまで」という言葉も付け加えたために、急いで言うことになってしまったが、導入時にはこういった、相手を心配させない配慮をした暗示の掛け方が必要ではないかと、思ったのだ。
「…………え? ……………あれ? ………………どうして……………。佐々村さん…………。これ…………、取れません。……………くっついちゃった…………」
右腕の肘までは動かせるのに、手首から指先までが、優の言う通りにピッタリとテーブルに密着してしまったという様子の楓さんが慌てる、左手で右手の手首を掴んで引っ張り上げようとしているのに、右手をテーブルの板から全く離せないようだ。彼女の両腕に筋が張っていることから、力を入れていることがわかる。
(うまくいった! …………これはやっぱり、僕の力というよりも、楓さんがさっきまで繰り返しトランス状態に導入されてきたことから、本人が深層意識で催眠状態に入りこむコツを覚えちゃってるってことだよな……。)
優は、焦って次々と試したくなる自分を抑え込むように、慎重に言い聞かせる。ここはあえて、似たような暗示を繰り返してみる。
「本倉さん、大丈夫ですよ。僕があなたの右手にもう一度触れると、その手は簡単にテーブルから離れる。ほらね」
優が楓さんの手の甲をポンと触る。すると、いとも簡単に、彼女の右手は解放された。自分の右手なのに、楓さんは手の甲やひらをクルクルさせて、不思議そうに見つめている。その間に、無造作にテーブルに置かれている、彼女のもう片方の手、左手に優がポンと触れる。今度は押しつけるように力をこめることもしない。
「あれ、今度は、左手の方がテーブルにくっついちゃった。もう1ミリも動かない」
「………え? ……………やだ…………。今度はこっちが……………。もう………。どうして?」
右手が自由になったと思ったら、今度は左手がテーブルに接着されてしまった彼女は、困った顔で左手を引っ張るけれど、その手はまるでテーブルと一体化してしまったかのように、ビクともしない。そして彼女の意識が左手に集中している時、優は席を立って彼女の横へ回り込み、彼女の右手を手首のところで掴み、ブラブラと揺する。
「ほらこっちの腕の力がスーッと抜けていって、僕がこっちにくっつけると、この手も頭から離れない」
優の言葉に従って脱力していった彼女の右腕を肘で折り曲げるようにして、その手のひらを彼女の後頭部にくっつけると、硬直の暗示を入れる。本倉楓さんは、左手はテーブルの上、右手は自分の後頭部にくっつけた状態で、離せなくなってしまった。
「今度はそのまま、全身も椅子にくっついちゃいますよ。僕が合図をすると、貴方は椅子から立つことが出来なくなる。背中もお尻も椅子にくっついてしまって、完全に身動きがとれない。ほらっ」
優は彼女の椅子の後ろへ回り込んで、彼女の両肩に手を置いてグッと押しこむ。すると、楓さんの背筋にグッと力が入って、背もたれに密着してしまった。
(椅子から立てなくなる、っていう暗示は大技っぽいけど、そもそも導入側の人間が椅子に座ってる人の態勢を変えさせないようにしながら、両手で肩を押さえてるんだから、立てないのは自然なことだよな…………。でも、楓さんの場合、今、グッと自分で力を入れて背もたれに密着して硬直した。やっぱり、被暗示性が抜群だよ。僕の導入がうまくいったのなんて、初めてだ。)
同じような暗示を繰り返したのは、『佐々村優の言う通りになってしまう』ということを繰り返し、彼女の体と心に刷りこむ、ということが目的だった。ついでにさりげなくボディタッチを続けることで、彼女に警戒されない存在としてガードを擦り抜け、深層意識で距離を詰める。こうして、即席のラポールを作る、ということが、とっさに思い浮かんだ佐々村優の作戦だったのだ。そろそろ、次の一手についても考えるべきタイミングだったが、この時、優は自分の初めて成功した催眠誘導の成果に、思わず見とれてしまっていた。左手はテーブルの上、右手は自分の後頭部につけて、背中とお尻が椅子に接着されて、身動きとれなくなっている楓さん。その姿は、とりわけセクシーというわけでもない体勢だが、優をゾクゾクさせるものだった。自分の掛けた暗示で、こんなに綺麗な大人の女性が、身動きとれなくなっている。そう思うと、まるで美しい蝶を自分の巣の糸で絡めとった蜘蛛のような、気分に襲われた。それは激しい興奮を伴う、背徳的な達成感と期待感だった。
「う…………動けない…………。佐々村さん………、助けてくださーい………」
同じポーズで硬直したまま、本倉楓さんが、優を見上げて懇願する。優は我に返って、慌てて彼女の暗示を解くことにする。
「はい、大丈夫です。僕が合図をすると、両手も体も解放されて、とーっても楽ーになる。はいっ」
優は周囲の目も気にしながら、自分の席に着く。少しずつ、他のお客も入ってきている。ウェイトレスさんも、優たちのテーブルの動きについて、少し気にかけているような様子。この店でいつまでも、催眠を深めるステップを踏んでいられないかもしれない。
「本倉さんすみません。リラックスしてください。突然のことで、ビックリしたでしょう? 喉が渇いたら、飲んでください」
優が手のひらを上にして、彼女の手元にあるカルーアミルクを指し示すと、楓さんは、本当に喉が渇いていた、と言わんばかりに、これまでよりも早いペースでグラスの中のお酒をストローで吸い上げて飲む。それを見ていて、優は次のステップを思いつく。頭の中を整理して、暗示の言葉を推敲してみる。
「本当にビックリしました。佐々村さんって、こんなことが出来るんですね。催眠術…………。もしかして、佐々村さんは、こっちの方に興味があって、今日の劇を観に来られたんですか?」
「…………実は………、はい、そうなんです。…………僕、演劇の方はこれっぽっちも興味がなかったのに、…………『劇団ヒュプノ』っていう名前とか、『催眠演劇』っていう煽り文句に惹きつけられて、来ちゃったんです。…………でも、思ったよりも面白いものが見られました。それで、最近はだいぶん冷めていたはずの、催眠術っていうものにも、また、興味の火が点いちゃったかもしれないです」
「…………そうなんですね………。でも、私、急に手がテーブルにくっついちゃったりして、本当に驚きました。プロの人かと思いました」
楓さんはやっと喉の渇きが潤ったのか、お酒を飲むのをやめて、さっきのことを思い出している。優は話を続けることにした。
「いやぁ、急に驚かせてしまって、ごめんなさい。でも、とっても面白い体験だったでしょ? …………楓さんは演劇にとてもハマっていると思いますが、僕も催眠術とその周辺の世界………というかコンテンツには、一時期、相当ハマりました。これもなかなか奥深くて、面白い世界なんです。さっきは、楓さんに演劇の世界の楽しさを、とっても魅力的に教えてもらったので、もしよろしかったら、もう少し、僕のハマった催眠術の面白さについても、ちょっと披露させてください」
「…………は…………はい………」
自分で筋道を立てておいて、これは少し、意地悪な攻め方かもしれない、と優は思った。「もともと演劇に興味の無かった僕に、さんざん、楓さんの好きなことの話を聞かせてきたんだから、今度は僕の好きなものも紹介させてください」と言っているのと、変わりはない。こう言われると、良識があって優しい性格の本倉楓さんは、少なくとももういくつかくらいは、優が試す催眠術に付き合わない訳にはいかないだろう。そんな意地悪な攻略法を、優は敢えて選択した。そうまでしてでも、こんなに美しくて魅力的な、被暗示性の高い相手に、催眠誘導を試させてもらえるような機会を逃したくない、と思ったのだ。
今までに楓さんが飲んだカルーアミルクのグラスを見ると、4割くらい、まだお酒が残っている。それを横目で確認しながら、優は人差し指を突き出して楓さんの顔に近づけた。
「楓さん、この指先をよーく見てください。顔を動かさずに、目だけでこの指の動きを追いかけてみましょう。右に………左に…………。ゆっくり動く指の動きを追っていくと、気持ちが落ち着いて和らいでくる。この指と僕の声だけに集中できる。周りのことは全く気にならない。……………すると、僕がこれから言うことが、本当になります。僕がこの指でこちらのグラスを鳴らすと、このグラスの中のお酒が、テキーラ・サンライズに変わります」
真っ直ぐに立てた人差し指を、左右にゆっくり振る。そのスピードをじっくりと遅くしていくと、それに合わせて黒目で指を追っている楓さんの呼吸がゆっくりになり、やがて瞬きの回数が減っていく。黒目の中、瞳孔の大きさに僅かな変化だ出た、と思った瞬間に、優は人差し指を下へ向けて、グラスの縁をその爪の先でキンッと弾いた。
「飲んでみてください。楓さん」
優の言葉にうながされるままに、顔をグラスへ近づけてストローを口にする楓さん。そこまでは夢を見ているようなボンヤリとした表情になっていたのだが、ストローを上がってくるカルーアミルクを口にした瞬間に、両目が丸くなる。驚きながらもゴクリと喉にお酒を押しこんだ楓さんは、手で口を押さえながら優を見つめる。
「味…………変わりました」
素直に驚いている楓さんの表情に胸がグッときながらも、優はさらにグラスを弾く。
「今度は、テキーラ・サンライズではありません、ただのテキーラになりましたよ。ストレートでは飲んだことないでしょうか? とっても強いお酒です。ちょっとだけ、試してみてください」
優が言うと、楓さんはストローをグラスから抜いて、恐る恐るグラスをもたげて、直接グラスからお酒を飲む。吹き出しそうになって、慌ててグラスを離し、口を手で塞ぐ。
「んぐっ…………。これは、ちょっと、強すぎて、飲めないです。…………喉が焼けるみたい………。私、お酒はあまり強くないので、これは無理ですね………」
そう言いながらまだグラスを持っている楓さん。そのグラスの縁をまた、優が爪の先で弾いてキンッという音を鳴らす。
「もう大丈夫です。今、このグラスの中身は、ただのオレンジジュースに変えました。喉が焼けるようでしたら、このジュースで静めましょうか。すぐに楽になりますよ」
優がそう言うと、心配そうにグラスに口をつける楓さん。すぐに両目をパチッと開いて、飲みながら優に頷いて見せる。右手の人差し指と親指で輪っかを作り、「大丈夫」とジェスチャーまで送ってくれる。安心してカルーアミルクを最後まで飲み干した楓さんは、グラスをテーブルに置いて、ふうっ、と溜息をひとつついた。優としては、気がつく範囲で、楓さんが「心地良い」と感じる、ポジティブな暗示を増やしているつもりだ。こうすることで、彼女が深層意識で優の暗示を受け入れやすい体勢になってくれる。そう願っているのだった。けれど、ただただ、くつろげる、癒される方向の暗示ばかり入れていても、優の方が面白くなくなってしまう。ここらで、強めの暗示で彼女の心を縛ってしまいたい。悪戯心と、じゃっかんサディスティックな欲求が、優の心の中で燃え上がり始めていた。
「楓さん、僕が指をこう、パチンと鳴らすと、もっと意外なことが起きますよ。なんと貴方が飲み終えた分のお酒が、ぐっと強い、テキーラに変わるんです。ほら」
指の関節を鳴らす、乾いた音が出る。すると、反射的に楓さんが、ヒック、としゃっくりをした。喉をゴクリと飲み込む音。彼女は自分の体の中から起きてくる反応を、不思議そうに確かめているようだった。
「………ちょっと、佐々村さん………。私、お酒、弱いんで、無理です」
「大丈夫、強いお酒ですが、そこまで悪酔いはしないです。体がポカポカとして、体と頭が麻痺してくるみたいに、ボーっとして、ダラーンとしてくる。とっても気持ち良いんですよ。ほら、僕がもう1回指を鳴らすと、アルコールの度数が倍になる。さらに倍」
「………もう…………駄目ですよ~。佐々村さん、…………飲んじゃったぶんを、強くするのは、ズルいれす………」
話す時の、彼女の手振りが大きくなってテーブルに肘をついて寄りかかるような姿勢になる。そしてその肘のあたりまでシャツの袖を捲っている部分がテーブルの上を滑って、彼女はテーブルに上体を倒れこませるようなかたちになった。優は楓さんが倒さないように、慌ててグラスを掴み上げる。
「大丈夫ですか? 楓さん。気持ち悪くなるほど、意識を失うほど悪酔いはしないですよ。むしろ、気持ちいい、とーっても楽しい気分のお酒です。体中がポカポカします。楽ーになる。ほら、ポカポカするでしょ?」
優がテーブル越しに、楓さんの両肩を掴むかたちで彼女が上体を起こすのを手伝う。楓さんの体は、弛緩しきっているような重さがあった。顔を起こすと、目も顔も真っ赤になっている。特にその泣いた後のように充血して潤んでいる目は、黒目が座っているような様子で優のことをジーッと見据えた。
「ポカポカ………しますっ。…………気持ち良いれすっ…………。それは………確かにそう…………。でも……………、でもやっぱり、佐々村さんは、……………悪い人だと思いますっ」
彼女がろれつの回っていない口で色々と喋りだすと、舌を噛んでしまわないかと、優は心配になる。けれどそんな心配をよそに、楓さんは優のことを指さして、お説教のような口調で絡んでくる。
「だって、もう、飲んじゃったお酒を………強くされちゃったら………、こっちは、逃げ場がないですよ……………。だから、そういうことは、困りますと、言うことだけは、お伝えしたいれす………」
人差し指をブンブンと振りながら優にお説教してくる本倉楓さんは、見た目はとてもキッチリした身なりの美人さんなのに、酔っぱらう様子がまるで、居酒屋にいるオジサンのようだった。彼女なりの、酔っぱらいのイメージが表出されているのかもしれない。そのギャップも、優から見ると、可愛らしかった。
「でも楓さんはとっても、良い気分なんですよね?」
質問を受けて、瞼が半分くらい閉じている楓さんの赤い顔が、ふと真剣な表情になる。そして、隠しきれないといった様子で、口元から笑いが漏れ出てきた。
「………ん………んふふふっ……………。うん…………それは………そうかな………。んふふふっ。……………………ふぅっ………」
「さっき観た劇。催眠術にかかった先生とか、お姉さんの歌とか、覚えていますか? あんな風に、変な目にあわされたりすることはないですが、気持ちよさそうなところは、似てる状態かもしれない。ちょっと思い出してみますか?」
状態をユラユラさせながら、ひとしきり笑いを漏らした後で、楓さんは椅子の背もたれにドサッと体重を預けて、半分閉じていた両瞼を完全に閉じてしまった。優が彼女の様子を注意深く観察しているなか、彼女は口元でまだ薄っすらと笑いながら、クークーと寝息を立て始める。その姿は、駅のホームのベンチで居眠りする、幸せそうな酔っ払いオジサンによく似ていた。
「あのー、お水、お持ちしましょうか?」
声を聞いて顔を上げると、店員さんが来てくれていた。優は申し訳なさそうに頷く。ウェイトレスさんは明らかに、楓さんのことを心配して声をかけてくれたようだ。考えてみれば当然のことだ。楓さんはこのお店に来てからアイスコーヒー1杯とカルーアミルク1杯しか頼んでいないのに、今、泥のように酔って、クークーと寝息を立てているのだから。………そろそろこのお店で催眠術の実験をさせてもらうのも、潮時なのかもしれない。
佐々村優は席を立って楓さんの横に回りこむと、彼女の頭を抱きかかえるようにしてゆっくりと揺らしながら、耳元で囁く。
「楓さん、今から僕が3つ数を数えると、貴方の全身から、アルコール分が抜けていきます。けれど心地良いリラックスした感じとボンヤリ、ポカポカする幸せな感覚はむしろ強まる。貴方はより深い催眠状態に落ちて、僕についてお店を出るんです。僕と一緒に歩くのはとっても安心できます。貴方の頭の中は深―い催眠状態。けれど足取りはしっかりと、僕についてくることが出来ますよ。僕の誘導にすべて委ねて従いましょう。それが凄―く良い気分になれることです。ほら、3、2、1、ハイッ。楓さん、僕がお会計を済ませますので、そろそろお店を出ましょう」
優は、多少はお店の他のお客さんからの視線を感じながらも、声だけは彼女の耳元にだけ入るように注意して、思い切って暗示を入れ切った。ここまでやり切ることが出来たのは、彼も美人を前にハイボールを飲んで、多少は酔っていたのかもしれない。あるいは、自分の掛けた暗示と、楓さんの予想を超える素直な酔っ払い反応に、感化された部分もあったのかもしれない。優はいつも自分に対して感じている、臆病さや慎重さが、今日は自分の行動からほとんど感じられないことに、じゃっかんの驚きと、また手応えを感じていた。これまで、大学のゼミや民間の催眠術講座で催眠導入を試してみた時には、ほとんどうまくいかなかった。その違いは、今日の優にあるような、自信を持った態度の有り無し、というところにも、あったのかもしれない。
両目を開けた楓さんは、まだ少し眠たそうだったが、さっきのような泥酔状態ではなかった。キョロキョロと周りを見回している彼女に、優が一言「行きますよ、楓さん」と伝えると、ほとんど何も迷うことなく、彼女はコクリと頷いた。
お水を持ってきてくれた店員さんに丁寧に詫びながら、優がレジへとお会計のために進む。楓さんは何も言わずについてきた。優が2人のコーヒーとお酒の支払いをして、店の外へと楓さんを連れ出す。彼女は優に促されるまま、彼にもたれるようにして歩く。
「そう、僕に体重を預けるようにして、腕を絡めて歩きましょう。とても楽です。一歩ずつ、前に歩くたびに、楓さんの催眠状態は深まっていきます。それはとっても幸せな気持ち。僕の体と言葉に委ねて、ゆったりと歩いていきましょう。まるで催眠の世界の奥深くに、一歩ずつ足を進めていくようですね。劇の中でかかっていた、女友達のキューピッドに操られる女性の歌を覚えていますか? あの役柄のように、操られるままに身を任せる感覚に近いのだと思います」
すれ違う通行人が男性の場合、必ずと言って良いほど、楓さんの美貌を確認した後でチラッと優を見ていく視線を感じる。なんでこんな普通っぽい男が、こんな美人と………、くらいのことは考えているのだろう。優は、本倉楓さんのような素敵な女性と連れだって歩いていることだけでも、誇らしく感じていた。ましてや彼女は今、優の腕と肩に体重を預けるように、すがりつくかのように、体を密着して歩いている。そして、彼ら見ず知らずの通行人たちには思いつくことすら出来ないだろうが、この美人のお姉さんは今、深い催眠状態にあって、優の誘導に素直に従ってくれるという夢のような状況なのだ。
(このままホテルに行きたい………、と、思ったんだけど…………。財布のお金が足りなさそうだな………。)
優は今日、家を出る時に十分な資金を財布に入れてこなかったことを後悔していた。朝の時点ではまさか、劇場の物販で8千円もの追加出費をすることになるとは予想していなかったし、その後にホテル代を考えるような展開になるとは、夢にも思っていなかったのだ。楓さんをエスコートするようにして、ゆっくり歩きつつ、代替案を検討しているなか、優は広めの公園に差し掛かった。ベンチや遊具の他に、林の中を通る遊歩道もあるような公園だ。少し迷った末に、優は楓さんを伴って、公園へ入っていくことにした。
「楓さん………。こちらのベンチに座ってみてください。とってもリラックスして、僕に何でも正直にお話しすることが出来ますよ」
深緑色のショールをお尻で踏まないようにだけ気をつけて、楓さんがベンチに座る。優も隣に座った。傍目には、夜の公園デートを楽しむカップルにしか、見えないだろう。だったら、することは、1つではないだろうか。
「楓さん、よく聞いてください。僕が数を3つ逆に数えると、貴方は自分が誰で、今何をしているのか、周りのことが何も気にならなくなる。まるで貴方は夢の中にいるような状態になります。そしてそれは、とても気持ちが良いものです。3、2…………、1」
3つ数えて指を鳴らす、彼女の視線がトロンと蕩ける。その肩に腕を回して、楓さんの状態をゆっくりと、円を描くように回転させながら耳元で囁く。
「貴方は今、大好きな恋人とデート中です。ベンチに座ったら、とても良いムードになりました。だから2人は、当たり前のようにキスをするんです。………いいですね?」
呆けたような視線で遠くを見たまま、彼女が2センチくらい頭を縦に動かして小さく頷く。優はその隙を逃すことなく、1回だけ生唾を飲み込むと、彼女を抱き締めるように腕で引き寄せて顔を近づけていった。
唇と唇が触れる。彼女の唇は濡れていて暖かくて、そして優しく瑞々しい弾力を持っていた。思わず強めにその唇を吸ってみると、彼女の背筋が少し逸らされて、気持ち体を捻って抵抗するような体勢になった。
チュパッ。
唇を離すと、彼女の表情を注意深く伺う。楓さんは顔をほんのりと赤らめて、恥じらうようにモジモジとしていた。これがきっと彼女の素顔なのだろう。優よりは年上だと思うけれど、楓さんは思ったよりも奥手で真面目な人で、異性との交際経験もそれほど豊富ではなさそうだった。だから、「大好きな恋人とデート中」という暗示には掛かっていても、それほど積極的なキスはしてくれない………。そこで優は、さらに頭を捻って、次の暗示を考えた。
「楓さん、よく聞いてください。僕が3つ数えると、今度は貴方は世界的な大女優になる。どんな演技もお手の物、百の顔を持つと言われる、変幻自在の実力派、演技派女優。そして今から演じるのは、情熱的で積極的な恋人の役。観客を圧倒するような愛の化身となって、恋人同士の猛烈な愛の表現を一切の躊躇なく、演じて見せるんです。いいですね? …………3、2、1。さぁ、愛の獣たちの幕が開きまし………ムグッ」
3つ数えて指を鳴らした後、まだ喋っている途中に優は唇を塞がれた。彼の頬を両手で包み込むようにして、楓さんが優の唇を奪い、圧し掛かるようにして優をベンチの座面に押し倒す。自分の口を4割ほど開き、そこから舌を出して優の唇を舐め、そして彼の口の中を舐めてくる。優は、彼女の勢いに圧倒されながらも、ペースを完全に彼女に握られないように、舌を絡めて応戦する。舌を絡めあう2人。一度口を離した彼女が、もう一度、彼の口を、角度を変えて舐めまわすように動く。角度を変え、向きや距離を変えながら、舌を入れたり、唇を重ね合わせたりする。
(………色んな角度から見てる、観客たちの視点を意識してるのかな? …………さすが女優………、というか、さすが、演劇ファン………。)
彼女に気圧されしすぎないように、優も手を出して機先を制しようとする。彼女のシャツの胸の部分に手のひらを伸ばした。ムギュッと豊かな膨らみを掴む。一瞬、背筋を反らして体を引こうとした彼女だったが、小さく「………ん…………」と声を漏らした後、またキスに集中しようとする。そんな彼女とお互いの口をまさぐりあいながら、優は今、楓さんのオッパイを触ることにも集中している。シャツの上から、さっき暗がりで見た、オフホワイト地にライトブルーの刺繍がされた、清楚な雰囲気の、彼女にピッタリの清潔感と高級感があるブラジャーに触れている。その奥に、彼女自身の柔らかさ、温かさがある。やがて、服の上から触っていることにもどかしさを感じ始めた優は、彼女の首元から、シャツのボタンを外していく。ズレたお互いの口元から、涎がアゴをつたう。この涎がどちらのものかは、もうわからない。ボタンを4つも外すと、彼女のブラジャーが完全に露出される。そこに手を差し込む。さっき見たのと同じ、楓さんの柔らかいブラジャー。そのカップの中に彼女の素肌の柔らかさがあった。手のひらを押し返してくる優しい弾力。カップの中で指を動かすと、感触の異なる突起に触れた。
(楓さんの乳首だ………。)
優が、躍起になってその乳首を指で摘まみ、愛撫しようとする。
「んんっ……………っっっ」
キスをしたまま、くぐもった声を漏らした彼女が、口を離して今度は優の頬を舐める。そしてその流れで、人には見えないよう、聞こえないような自然な動きと音量で、優の耳元で囁いた。
「フリで………。手は…………フリだけで、いいから………」
優は最初、彼女の言っていることの意味がわからなかったが、少し考えて、やっと理解できた。彼女は今、『恋人同士の熱烈な愛の交歓』を演じていると思い込んでいる。そして、彼女はそれを堂々とやり切るだけの度量と、根性のある大女優。………けれど、観客からは見えないところでの優の指でオッパイを直接いじくる動きは、やっているフリだけにしてくれ………。彼女はそう、『男優』である優に要求してきたのだ。舞台上で………。これも、彼女なりのプロフェッショナル意識なのだろうか。
「楓さん、ストップ。そのまま深ーい催眠状態に落ちる」
優が耳元で注意深く囁いてくる彼女の目の前で、指をパチンッと鳴らす。すると彼女は驚きで目を丸くしまま、動きを止める。そしてゆっくりと体を後ろへ傾けていき、一気に背中をベンチの背もたれに倒した。もし彼女の友人が、今の楓さんの姿を見たら、酷い状態と言うだろう。顔は呆けたような表情のまま、遠くを見つめて動きを止めている。口元のナチュラルな色の口紅は唇からはみ出て溶けだしている。その口の端からは、楓さんと優の涎が混ざり合ったものが、アゴから首元まで垂れ落ちている。そして彼女のシャツは、はだけて下着を露出している。そのブラジャーまでもがカップから柔らかそうな彼女のバストを半分近くこぼしてしまっているのだ(もっとも、最後の服装の乱れは、優のせいなのだが)。気持ち良さそうにボンヤリとしている本倉楓さんの、しどけない、というか、みっともない姿。それは佐々村優をさらに掻き立てる。彼女が『本当の恋人とのイチャつき』という暗示にはウブな性格を見せ、『恋人同士の愛の交歓を演じる』という暗示に掛かっても、プロとしての『フリ』を求めてくる、というのなら、優は他の手段を考えるまでだ。ここで止まる訳にはいかない。…………優の心の中には、そのような、確信めいたものが固まりつつあった。
「楓さん、今から僕が3つ数えると、貴方は立ち上がって、深い催眠状態のまま、あちらの林の奥の方へ、僕と一緒に歩いていきましょう。そこで貴方は、木の役になります。木に成りきって自然とつながり、風が心地よくそよぐのを感じましょう。わかりましたね?」
目を開けたまま放心していた楓さんが、ゆっくりと頷く。唇が「…………はい………」という形に動いたように思う。それを観察したうえで、優が指を鳴らす構えをする。
「3、2、………1、パチンッ」
優が数を逆に数えて指を鳴らすと、機械仕掛けの人形のように、投げ出されていた楓さんの両足が膝の下にズレていき、踏み込んでスクッと体が立ち上がる。その間、彼女の表情は全く変わらず、遠くを見据えているのみだった。
「………こっちです」
優は彼女を誘導しながら、歩道をはみ出て、草むらに入っていく、大きめの木が不規則に立ち並ぶ中に入ると、人目は気にならなくなる。ノロノロと歩いてきた楓さんは、無言のまま、その場で気をつけの姿勢をとって、両手を上げる。木になりきろうとしているのだ。
「楓さん、ちょっと待ってください。貴方は今ここで、本物の木になりきろうとしています。これは貴方の渾身の演技でもあるんです。誰も貴方を見ている人はいないけれど、演技は演技。見る人をガッカリさせるような薄っぺらい嘘は駄目ですよね。…………楓さんは、お洋服を着ている木を見たことがありますか? ………木は自分が生まれ持った葉っぱや樹皮に守られているから、服なんて必要ありませんよね。ここでは誰も見ていません。貴方は安心して、本物の木のようになりきった演技をすることが出来ますよ」
優が言うと、しばらくの間、モジモジと迷っていた楓さんは、ようやく手をシャツのボタンにかける。すでに半分くらいのボタンは外れているので、全て外れるまで、時間はかからない。月明りと、5メートルも離れた場所にある街灯の明かりに頼って、彼女のシルエットを眺めていた優だったが、だんだん、その暗さに目が慣れてきた。
シャツの袖から腕を抜き、上品な仕立てのシャツを無造作に草の上に放ってしまう。楓さんはまるで、自分の服の価値自体に興味を失ってしまったかのように、淡々とホックを外し、ジッパーを下ろしてロングスカートを脱いでしまう。さっき、劇場の客席で見た、彼女の下着姿。月明りに照らされて、シルエットとして見る彼女の体は、繊細で華奢な腕や脚と優美で女性的なバストやヒップ。そしてメリハリをつける腰回りのくびれと、優の目には、芸術作品のように、美しく魅力的なものとして映った。
両腕を背中に回すと、プチッと音がしてホックが外れる。彼女のバストを守っていた白と水色で縫製された高級そうなブラジャーは、カップの内側がめくれるようにして彼女の体を晒す。零れ出た2つの丸みは、弾力を感じさせる揺れ方をして無防備になった。
スルスルと布が素肌をさする音。本倉楓さんが屋外の公園で、そして今日であったばかりの佐々村優の目の前で、ショーツを脱いでいく。目を凝らしている優は、彼女の丸く柔らかそうなヒップの谷間から割れ目と、そして前側で彼女の大切な部分を守ろうとするアンダーヘアーが淡くそよぐ様子を見た。そして楓さんは、凝視している優の存在を気にもしないかのように、完全な全裸となった後で背筋を伸ばして胸を張り、両腕を上にあげて、木になりきって固まった。
「………あ、………とっても立派な木がありますね………。生き生きとしていて、枝ぶりも良くて、本当に見事な木だ。惚れ惚れするなぁ」
優がそう言うと、固まっているはずの楓さんの表情が少しだけ和らいで、口角が上がる。木として褒められることを喜んでいるようだ。
「確かこのタイプの木は、このあたりの樹皮を触り続けていると、木の又から蜜が出てくるんだったよな………」
優が独り言をわざわざ言い聞かせながら、楓さんの形の良いオッパイを好き勝手に触り始める。指がムニムニとその丸みの中に押しこまれる。柔らかい弾力がそっと、指を押し返してくる。慎ましいサイズの乳輪と乳首。その乳首が、徐々にプクッと立ち上がってくる。心なしか、乳輪も半球のように押しあがってきているような気がする。
「…………んっ………。んん…………」
楓さんはわずかにアゴを上げて、熱い鼻息を漏らす。優がオッパイを強めに揉むたび、親指の腹で乳首を転がすたびに、肩がすくんで上体がヒクヒクッと震える。それでも、彼女は両腕を上げたまま、風にそよぐ木が動く程度の範囲以上は動かないように懸命にこらえている。
少し腰をかがめた優が、楓さんの右側のオッパイに顔を近づけて、遠慮なく吸いついた。乳首を口に含んで、舌先でチロチロと愛撫すると、『美しい木』は、伸び上がるように反応して悶えた。右手でまだ楓さんの左胸を執拗に揉み続けながら、左手は彼女の背中に回してお尻に手を伸ばす。円を描くように彼女のお尻全体を撫で回した。とても温かくてスベスベとしていながら、指に力を入れて掴むと、ムチッとした肉感が返ってくるお尻。左手でそのお尻を飽きずに撫でながら、右手を彼女の胸からお腹、そして脚の間へと降ろしていく。アンダーヘアーの感触を指先で掻き分けて、彼女の大切な部分に触れる。温かい割れ目の周りはすでにベタベタに濡れていた。
「そう………しっかり蜜を出しているね。…………本当に良い木だ。…………楓さんの体はとてもエッチです………」
優は興奮のあまり、『木に話しかけている』というていを守れなくなっていた。本倉楓さんの体は、本当に抱き心地が良くて男の欲望を掻き立てるような肌質と肉づきをしていた。優は、その体にすっかり夢中になってしまっていた。
「楓さん…………好きだっ。……………しようっ………」
彼女を抱きしめる力を強めながら、思わず彼女にのしかかるようにして押し倒してしまう優。膝をついて、彼女が勢いよく地面にぶつからないようには気をつけたが、それでも彼女は、倒れる時に声を出した。
「あぁっ……………。やっ…………」
楓さんが人間らしい悲鳴を上げるのを耳にしたところで、優が我に返る。
(しまった………。楓さんの催眠が解けた? ………)
優が彼女の体を抱えたまま、草の生えた地面に裸で寝転んでいる楓さんの様子を伺う。………彼女の目はまだ、ボンヤリと空を見据えている。顔の表情は少し悲しそうになっており、両腕は頭上に上げたままだが、若干体が脱力している。
(………これは…………きっと…………、木が切り倒されてしまった、っていう…………状態をイメージして、なりきっている…………のかな………。)
そのことに気がついた時、優はホッと深い溜息をついた。楓さんはまだ、催眠状態から解けていない。彼女の被暗示性は、本当に驚くべきものだった。あるいは、今日観た演劇のなかで、繰り返し催眠状態に落とされていたことで、より深い催眠状態で安定しやすくなっているのかもしれない。けれど、このまま優が夢中になって彼女とセックスしようとしていたら、さすがの楓さんも、途中で催眠状態から解けて、意識を取り戻していたかもしれない。
(木だって言い聞かせていたのに、人間扱いするような言い方も良くなかったな………。きちんと反省して、失敗のリスクを減らしていかないと……………。…………で………。ここからどうすれば、楓さんとデキるのかな………。)
優は少しの間(お尻を撫でる手は動かし続けながらも)考えて、楓さんが出来るだけ性行為に対して警戒心を持たないような暗示を絞り出そうとした。
「楓さん、よく聞いてください。僕が数を3つ数えて指を鳴らすと、貴方はもう、木ではありません。貴方は森に棲む、美しくて生命力に満ち溢れた、春の精になるんです。ファンタジーの演劇だったら、花形の役柄ですよね。春の精は目が覚めたら何をしますか? ………そう、春は繁殖のための季節です。貴方は精霊なので人間のモラルを気にする必要はありません。ためらったり恥ずかしがったりする必要もありません。僕と堂々とセックスをしましょう。良いですね? …………3、2、1。パチンッ」
優が指を鳴らすと、楓さんの両目の焦点が合う。意識を取り戻したかのように見えるけれど、まだ普通の意識ではない。彼女は目の前で彼女に覆いかぶさっている優の顔を、マジマジと見つめるけれど、さっき知り合った佐々村優という知人としては認識していないようだ。………ただの若い男。若くて健康な男と見定めたような顔で、彼女は悪戯っぽく「フフフ」と笑った。
「…………若いお方………。ワタクシと、1つになりましょう………。とっても気持ち良いことですよ」
楓さんは悪戯っぽい笑顔のまま、両手のひらで優の頬を包み込むようにして撫でると、恥ずかしげもなく、誘いかけてきた。「はい」と答えるかわりに、優は彼女をさらに強く抱きしめて、顔を寄せた。2人でさっきのキスを再現するかのように、またキスを繰り返す。そして彼女の唇を吸いながら、体中を撫でまわした。今度は楓さんも優の体をまさぐる。まるで人間の男の体というものを手で確かめながら理解しようとしているかのように、彼女は好奇心の赴くままに優のあちこちに触れていく。それも優にとっては心地良い刺激だった。
キスを中断して、優が体を楓さんの下の方へとずらしていく。太腿を開かせて、月明りを頼りに、彼女の股間を凝視する。
「ウフフ………。春の精の体を見るのは初めてかしら? …………綺麗でしょう?」
楓さんは膝を浮かせて足の裏を草の上につけるようにして、「М」の字に開脚している。彼女の両腿の間に優の頭があるくらいの距離で凝視されていても、恥ずかしいとは思わないようで、悪戯っぽい笑みを浮かべながらむしろ股間を突き出してくる体勢になった。優が、割れ目の上にある突起、楓さんのクリトリスを口に含んで舌で愛撫し始めると、楓さんは気持ち良さそうに腰を浮かして、背筋を反らせる。ブリッジの体勢ほどまで背中が反ると、形の良いオッパイが彼女の肩の方へと位置をわずかにずらす。そうした彼女の体の1つ1つの変化が、優の股間をギュンギュンと刺激するのだった。
舌先を素早く動かして、クリトリスを舐めまわす。両手で頭を抱えるようにして脇の下を曝け出して喘ぐ楓さん。
「んんんっ…………。気持ち良い………。そこ…………クリが…………凄く感じる……………。もっと強めに吸ってちょうだい…………。ああああぁっ…………。気持ち良いっ」
感じたことをそのまま、あけすけに語りながら、楓さんは両腿で優の頭をギュッと絞めつける。彼女のヴァギナ近くで舌を動かしている優の鼻に、ムワッと女性の匂いが充満した。こんな素直な反応は、きっと楓さんの恋人になったとしても、シャイな彼女からは得られないはず………。そう思うと、優の興奮は2倍にも膨れ上がるのだった。
きつく締めてこようとする彼女の両腿の間に、優は自分の腕を滑りこませてゆっくりと、こじ開けるように膝を割る。そして優の方が膝立ちとなって、自分の体を彼女の上の方へとずらしていく。ズボンとトランクを脚の下の方へと降ろしながら。そして、いきりたったペニスを彼女のヴァギナに入れようとすると、楓さんの方でも腰の位置や向きを調整しながら、優のモノを迎え入れようとしてくれる。おかげで、暗がりの中でも、経験豊富でない優でも、割とすんなりと、インサートすることが出来た。
彼女のナカは熱く濡れていた。ネットリした内壁に少しざらつく凹凸がある。それが優のモノを、握りしめて迎え入れるような感触。優が限界まで奥へ、奥へとペニスを入れていくと、楓さんは喘ぎながら顔を横へ向け、頬を草につけた。
「凄くイイ………。もっと奥まで突いて………。入れたり出したり、激しくして………。もっともっと、気持ち良くなりたいの」
そう言った楓さんは、自分自身、足腰に力を入れて、股間を優の腰へと押しつけてくる。2人がリズムを合わせながら腰をグラインドさせ、ぶつけ合い始める。荒い呼吸のたび、腰のグラインドのたびに、上を向いている彼女のオッパイがユサユサと揺れた。
楓さんのオッパイと乳首がユサユサプルプルと揺れるのを見ていて、ふと彼女の頭よりももっと先になる、草むらに、人影のようなものを見た気がする。暗くてわかりにくいのだが、1人………、あるいは2人くらいの視線を感じるような気がしなくもない。この公園は歓楽街の近くにあって、それほど大きな自然公園でもないから、人通りも多少はある。カップルが夜の公園でイチャついているところを、覗こうとするような輩もいるのかもしれない。
(………どうでも良いよ。……………見たいんなら、見せてやろう………。僕は今、こんなイイ女とヤッテるんだ…………。この美人のお姉さんは、いつもだったら、相当な恥ずかしがり屋なのに、今は、ヤラしい気持ちもエロい快感も、全部、隠せない状態なんだ。………どうせなら、とことん、羨ましがらせてあげるよ。)
「…………どう? …………気持ち良い?」
「最高っ……………。すっごい良いっ。奥まで入ってきて…………。頭が溶けちゃうっ!」
楓さんは身を捩って、腰を突き出しながらよがり鳴く。両手で手元に生えている草を握りしめているが、力が入り過ぎて、ブチブチと草がむしり取られてしまう。
「気持ち良いっ。……………人間とのセックスも…………。凄く気持ち良いっ。…………人間も好きっ」
楓さんが大きな声を出す。優は思わず、笑いそうになってしまった。春の精になりきっている楓さんからすると、あえて人間とのセックスについて言うのもそれほど変なことではないかもしれない。けれど、彼女が催眠術に掛かっているとは思いもしない、ノゾキのオジサンたちには、どう聞こえているのだろうか? 予想外に、自分たちを超える変態に出会ってしまって、驚いているかもしれない。そんなことを想像すると、優はさらにゾクゾクする。ただ美女とセックス出来ている喜びだけではない、この、自分の思い通り、自在に状況を操ることが出来ているという、独特の万能感、優越感が、彼の肉体だけではなく、精神的にも満たしていく。
「………もう………すぐ、………イキそう………だよっ………」
「ワ…………ワタクシもぉおおおおおっ」
言いながら、腰の動きをさらに加速させてくる楓さん。エクスタシーに達しそうな自分を理解しつつ、少しでも多くの快感をその前にも貪ろうと、下半身を波うたせる。その、別の生き物のように動く腰を見て、そしてペニスで彼女の作り出す精一杯の刺激を味わって、優の我慢が限界に達する。まるで脳髄のあたりまで精液が溢れてきたような感触。優は溜めに溜めた自分の精を、ペニスの先端から一気に放出させる。それは楓さんの内部の一番奥まで入った時のことだった。
楓さんも彼女の膣の中で優の熱い精を受け止めて、膣壁をさらにもう一段強く締めるようにして、全身を痙攣させる。
「…………っ…………。ぅうううううっ…………あああああああんんっ」
ビクン、ビクンと体を仰け反らせて、楓さんもエクスタシーに達する。優も股間から脳天まで暴虐的に体内を暴れる快感に押し流されるようにして、ブラックアウトして、楓さんの上に倒れこんでしまう。2人して、体が繋がったままの状態で夜の公園の林の中、草むらの上で意識をさ迷わせながら、放心してしまっていた。
。。
優が気がついた時、彼は裸のまま草むらに寝そべっていた。自分は何分くらい、意識を飛ばしてしまっていたのだろうか? 慌てて上体を起こしながら周りを見回すと、すぐ隣で、まだ本倉楓さんは全裸で寝そべっていた。様子を伺っていると、まだ時々、体をヒクヒクッと痙攣させている。どうやら今もまだ、オルガズムの余韻に浸っているようだ。注意深く草むらや木陰を観察してみたが、人の気配はもうしない。ノゾキの男たちは、優と楓さんのあまりにも人目を気にしない奔放な絡みと気持ち良さそうな2人だけの世界に気圧されて、あるいは呆れて、帰ってしまったのかもしれない。
「…………楓さん。聞こえますね? ……………僕が3つ数えると、貴方は、幸せな気持ちはそのままに、ゆっくりと体に力が戻り、起き上がることが出来ますよ。けれど頭の中はまた、深~い催眠状態です。いいですね? 3、2、1……。はい、起きる」
優が促すと、楓さんは頭を頷かせる動きからそのまま上体を折り曲げるようにして腰に力を入れ、体を起こす。まだ、佐々村優の暗示は彼女に有効に受け入れられているようだ。
「転ばないように気をつけながら、楓さんのお洋服を拾い上げてください。服を着て、元の人間に戻りましょう。…………体や服に土や草がついてしまっているところは、おうちに帰ってから、きちんと洗濯したり、お風呂で洗ったりしておきましょう………」
優は女性がどのように服や下着を洗っているのか、よくわかっていない。洗濯機や乾燥機でひとまとめに洗う、というよりも、もっと個別に手が掛かりそうなことは想像出来た。
「…………ちなみに楓さんの、明日の予定は決まっているんですか? ………もしスケジュールが確定していたら、正直に答えてください」
女性が服を洗う手間について考えていたところから、ふと、優は楓さんの、日曜の予定が気になって、質問してみる。下着を拾い上げ、身に着けている途中だった楓さんは、ゆっくりと振り返って、こう答えた。
「…………私は、………明日また、…………今日と同じように、劇団ヒュプノの劇を、観に行かないといけません。これは…………私にとって、とても重要なことです」
まるで、誰かに刷り込まれた暗示分をそのまま復唱するような台詞回しで、彼女はボンヤリとした表情のまま告げる。佐々村優はそれを聞いた時、自分も明日、今日の劇場に行けば、また本倉楓さんと会うことが出来る、ということに思い当たった。
「楓さん、………それでは、明日、劇場で僕と出会ったら、貴方は僕と一緒に、その劇を観ましょう。これも、貴方にとって、とても重要なことです」
優はそう語りながら、今日の劇場を出る時に見た、『眠り男』風の痩せぎすの男の、意味ありげな笑顔のことを思い出していたのだった。
<第三幕に続く>

読ませていただきましたでよ~。
楓さんのすごい被暗示性でぐへへどころかもう一線超えてるのがすごいでぅ。
探り探りながらも丁寧に深化していくさまとかいい感じでぅ。
そして楓さんも被暗示性の高さもさることながら、暗示をちゃんと自分で解釈して女優モードのときにキス以外はフリだけとしてるのとかよかったでぅ。施術者と被術者の温度差というか、暗示は結局被術者の受け取り方次第というのが象徴されてると思いますでよ。
しかし、翌日の予定は劇団ヒュプノに奪われているのが気になる所(もともと劇団ヒュプノの催眠に乗っかってるわけでぅけどw)
優くんは楓さんをヒュプノの魔の手から奪い返せるのだろうか? それとも無惨に奪われてしまうのだろうか?(別に劇団ヒュプノが悪い組織だとは発覚してない)
このまま楓さんを乗っかって支配できていけばいいのでぅが(独占スキー)
楓さんがどうなっていくのか、新しい被害者が出てくるのか、結局劇団ヒュプノは何なのか。
気になることは色々有るので次回を楽しみにしていますでよ~。
であ。
ふへへ……「本人が覚えていないけれど、ガッツリ予備催眠や後催眠を入れられている子」って、最高に大好きなんです。はい。
そして「自分の意思」で罠にかかる獲物のようにショーに来てくれたり、催眠術に懐疑的な反応をしてくれるシチュなんて、ごはん何杯でもいけますね。
劇団ヒュプノ、うちの近所でも公演してくれないかなぁ……
そして、いい感じにそれを利用して楓さんをものにしちゃう優くんのやり手っぷりが光りますね。
初回からそれはやりすぎやろ……と思いつつ、前回のラストを見る感じ、優くんも劇団ヒュプノの掌の上とは思いますが。
気になるのは次回の演目ですね。前回のように演劇という体の光景が繰り広げられるのか、また違ったアプローチになるのか。
個人的には、こう、観客の前や公演後に恥ずかしい目に遭わせるいたずら暗示をげふんげふん。