第三話 花見酒
香織の処女の美肉に夢中になっている間に、涼子の姿が消えうせていることにヒロシは気づいた。
この付近から出ないように暗示をかけてあったのでそう遠くには行けないはずだった。
レモンイエローのシートに突っ伏したまま泣きぬれる香織の傍(かたわ)らに寄り添ったヒロシは、彼女の耳の横で指を鳴らした。とたんに嗚咽がぴたりと止む。空に向かって突き出したお尻を手で押すと、香織は横倒しに崩れ落ちた。
香織の表情は消えうせていた。無表情のうえに目を閉じているので眠っているかのように見える。睫毛の縁から頬にかけて涙の跡が残っていた。その表情はまるで、泣きながらいつしか安らかに寝入ってしまった幼い少女のようだった。
反面、その姿は無慘である。ライトブルーのTシャツは脇の下あたりまでたくしあげられ、ホックの外れたブラジャーが肌蹴た乳房の上に頼りなく引っかかっている。下半身はと言えば、程よく脂ののった艷やかな太腿の中ほどにライトブルーのショーツをまとわりつかせただけで、魅力的な曲線を描く腰と健康的に張り出したお尻を春の陽射しに曝(さら)していた。
ひろしは傍らに投げ捨ててあった彼女の濃紺のシャツを拾い上げ、香織の剥きだしになったお尻の上にかけてやった。
「しばらくそこで眠っていてね」
目を閉じたままの香織の頬に優しく口づけを与えて、シートの上に立ち上がった。
辺りを見渡し涼子の姿を探したが、どこにも見当たらない。こういうときのために、呼んだら返事をするようにという暗示をかけてあったので心配はしなかった。
「涼子!」
ヒロシが叫ぶと反対側から遠くかすかに返事があった。
「はい、御主人様」
どうやら涼子は滝の近くに潜んでいるらしい。ヒロシは声のした方角に向かって歩き始めた。
滝の側にたどり着いたヒロシは渓流を背にして辺りの茂みを見回した。水の中には逃げないように暗示をかけてあったので、涼子が隠れているとすれば目の前の雑木林のどこかである。
スカート姿で兎跳びをする涼子が深い茂みの中に逃げ込むとは思えない。潜んでいるとすれば少し開けた場所だろうとヒロシは見当をつけた。
試しに一度呼びかけてみる。
「涼子!」
「はい、御主人様」
桜の木々の間から、滝音にかき消されそうなか細い返事が聞こえてきた。声がしたその方向だけは茂みが薄く、地面には背の低い下草しか生えていない。
ヒロシは期待に胸を膨らませて木々の間に歩を進めた。
少しずつ奧へと進むにつれ、徐々に滝音が小さくなってゆく。青空は密集した木々の梢枝に覆われているため、あたりはかなり薄暗い。日光を遮られた雑木林の中は春だというのにかなり冷え冷えとしていた。
ふいに茂みが、かさっと鳴る音がしたのでヒロシは足を止めた。身を屈めその方向に忍び寄る。太い幹に隠れ、そっと顔を突き出して覗き見た。
三十メートルほど離れたところに可愛らしい兎がいた。
涼子は茂みの間にヒロシに背を向けてうずくまっていた。まだこちらには気づいてないようだ。白いブラウスに白いプリーツスカートという白づくめの姿なので、暗い緑の中でもその姿は目にも鮮やかに浮びあがる。両の掌を頭の上にかざして震える姿は文字通り可憐な白兔だった。
ヒロシは草むらを探し小石を拾い上げ、香織の横の茂みに向かって放り投げた。
大きな弧を描き茂みに落下した小石は、思いのほか大きな音をたてた。涼子は反射的に身をこわばらせ、か細く小さな恐怖の悲鳴を洩らした。慌てて周囲を見廻し、今度は見えない追跡者から少しでも身を潜めようと屈くまる。
涼子の狼狽えぶりがあまりにもおかしかったので、ヒロシはもう一つ小石を拾い上げると、今度はさっきとは逆の方向に放り投げた。
再び茂みにおこった大きな音に、涼子はその身を硬直させた。傍から見ていても憐れなくらいに慌てふためく。逃げようにもどちらに向かえばいいのか判断がつかず、完全なパニック状態になっていた。
三個目の小石が音をたてると、涼子はその場に跪き肩を震わせた。恐怖と混乱のあまり泣きだしてしまったようだ。抑えた嗚咽が木々の間を儚げに抜けて行く。そのなんともか弱い感じがヒロシの憐憫の情を誘った。
ヒロシは右手を出し、指を鳴らした。同時に涼子の嗚咽が止まる。
ヒロシは身を隠していた幹から姿を現すと、離れた涼子に声高に指示を与えた。
「涼子、そのまま聞きなさい。君は今何をしていた?」
「はい、鬼ごっこをしていました。狼と兎という遊びです」
涼子は抑揚のない平坦な声で答えた。
「その狼は誰?」
「はい、御主人様です」
「違う、僕は狼なんかじゃない。狼は別にいる」
「はい、御主人様は狼なんかじゃありません。狼は別にいます」
よし、これでいいとヒロシは思った。ついでに後のことを考えて暗示を加えてゆく。
「僕と君は初対面だ」
「はい、御主人様と私は初対面です」
「君は狼が恐くてその場所から一人では動けない」
「はい、私は狼が恐くてこの場所から一人では動けません」
暗示を与え終わったヒロシは満足の笑みを浮かべた。
「じゃあ、続きを始めようか」
ヒロシはもう一度幹の後ろに隠れ直すと、指を鳴らした。
涼子はスイッチを入れられたおもちゃのように、再び肩を震わせてすすり泣いた。
充分に間を取っておいて幹の後ろから姿を現す。その足音に気づいた涼子は悲鳴をあげながら身を固くして身構えた。
「君……こんなところでどうしたの?」
現われたのが狼ではないと知った涼子は安堵のため息をつき、呆けたように膝を突いた。ただ両手は頭の上にかざしたままである。
ヒロシは近寄り、片膝を突いて涼子の顔を覗き込んだ。
「ねえ、何かあったのかい?」
出来るだけ優しく問いかける。
「お、狼……狼が……」
「狼?」
涼子はそれ以上何も言えず、わっと泣きだしたかと思うと、ヒロシの胸にすがるように頭を埋めた。恐怖と緊張から解放され、感情を爆発させたかのように泣きじゃくる。
ヒロシは愛おしげに肩を抱き、長いサラサラとした髪を撫でてやった。
「もう大丈夫……もう大丈夫だよ」
涼子は顔を埋めたまま、さかんに嗚咽を繰り返すばかりだった。
「狼がいるのならどこか場所を移したほうがいいね。どう、立てる?」
涼子はヒロシの腕の中で弱々しく頭を振った。
「じゃあ、抱っこしてあげよう」
そう言うとヒロシは泣き濡れる涼子を両手で抱え上げた。左手で涼子の背中を、右手でそろえた太腿を支える。小柄な涼子は子兎のように軽く、柔らかだった。
「ここは寒い。もっと暖かいところにいこうね」
涼子は小さく頷いた。
ヒロシは涼子を抱えたまま、さっき通った道を戻り始めた。涼子はおとなしく抱かれたまま俯いている。もう涙は止まったようだ。
薄暗い雑木林を抜けると午後の陽射しがまともに目に入ってきた。
日光を反射した涼子の白いブラウスが目に染みる。
すぐ近くの日溜まりの中に、ひときわ見事な花を咲かせている桜の巨木があるのにヒロシは気がついた。さっきは凉子を追うのに夢中で目にとまらなかったらしい。
ヒロシは幹の根元まで歩いて行くとそっと跪き、抱えていた涼子を優しく下草の上に降ろして座らせた。
「ちょっとそこで待っててね」
言ってヒロシはその場を離れるために立ち上がった。
「あっ! 行かないで!」
置き去りにされる恐怖に涼子は叫んだ。
「そんなに心配しないで。すぐに戻ってくるよ」
「でも……」
涼子は大きな瞳を潤ませて、すがるような眼差しでヒロシを見つめた。
「大丈夫。ほら、これを僕だと思って持っていなさい」
ヒロシはジャケットのポケットから青い百円ライターを取り出すし、涼子の手に握らせた。
「これはお守りだよ。持っていれば狼は寄ってこない。ただし、一生懸命に心の底から何度も念ずるんだ。どうか私をお守り下さい。守っていただけたらなんでもしますってね」
百円ライターを握った涼子の細い指を、ヒロシは両手で包み込みながら念を押した。
「分かった?」
「はい、一生懸命に心の底から念じます」
「じゃあ行ってくるよ」
ヒロシが歩き始めると、涼子は安物のライターを胸にかき抱き、目を硬くつぶって一心に念じ始めた。
「ああ、そうそう。念じるときには言葉にしなきゃ効き目がないからね」
言い捨てて桜の巨木を後にすると、背中から凉子の声が聞こえてきた。
「どうか私をお守り下さい。守っていただけたらなんでもします。どうか私をお守り下さい。守っていただけたらなんでもします。どうか私をお守り下さい。守っていただけたらなんでもします……」
切ない祈りの声を聞きながらヒロシは荷物置き場に戻って行った。
シートの上には香織がさっきと同じ格好で横倒しになっていた。ただ、腰を覆っておいた濃紺のシャツは、風に飛んだのか、シートの上に折れ重なっている。覆いを無くし剥きだしになったお尻は春の陽射しに曝され、その白い肌を照り輝かせていた。
もう一度お尻をシャツで覆ってやったヒロシは、荷物を漁り始めた。
バッグの中を覗くと、一人分の食料しか残っていなかった。最初はこんなに長い時間ここにいるつもりはなかったので、香織に用意させるのをつい失念してしまったのだった。
時計を見ると三時を回っていた。
「もう一度買い出しに行くか……」
ヒロシは眠っている香織を眺めながら呟いた。もちろん自分が行くのではなく香織に行かせるつもりだった。
しかし、人前に出すには香織は汚れすぎていた。汚濁が流れた跡が内股から太腿の内側にかけて白く乾いてこびりついている。汗が乾いた跡も全身のあちらこちらに散見できた。
「ちょっと待ってな。今、拭いてあげるから」
ヒロシは渓流の側まで行くと、ポケットを探りハンカチを取り出した。過去に自分の股間と涼子の涙を拭いたあのハンカチだ。水に漬け軽く揉み洗った。暖かくなってきたとは言え渓流の水はまだ冷たかった。
香織の元に戻ったヒロシは、彼女の顔を仰向けた。シート上に寝かせたまま前髮を指で掻き上げてやり、濡れたハンカチで額や頬の汚れを拭い取った。背中側に回って抱き起こし、首筋から肩にかけて拭ってやる。
香織は俯いて目を閉じたまま何の反応も見せずに拭われていた。
小さなハンカチはすぐに水気を失った。その度にヒロシは何度も水辺まで往復しなければならなかった。ハンカチを濡らしては香織の元に戻って体を拭いた。
上半身を拭くときにTシャツが邪魔になったので苦労して抜き取った。香織に服を脱ぐように命令すれば簡単に済むことだったが、ヒロシはそうしようとはしなかった。自分で苦労して脱がしているうちに、それが苦労だとは思わなくなっていた。むしろヒロシは快感すら覚えていた。意識を失い無力になった女から、衣服を剥ぎ取ってゆく作業のなんと楽しいことか。その女が知的で健康的な美女ともなればなおさらだ。
剥いだTシャツを傍らに投げ捨て、続いてストラップだけで下がっているブラジャーも、両肩から外して抜き取った。これで香織はライトブルーのショーツを太腿にまとわりつかせただけの、ほぼ全裸と言っていい姿となった。
ヒロシは香織をシートの上に俯せに寝かすと、曲がった両脚を真っ直ぐにし、足の裏が見えるように爪先を伸ばした。頭の方に回って香織の顎を持ち上げ、彼女の両腕を折って下に入れる。
腕の上に顎を降し、その姿を眺めてみると、香織はまるで全裸で日光浴をしているかのように見えた。肩から背中、そしてお尻から太腿にかけての見事な曲線美が、男心をくすぐる。
ヒロシは香織を跨ぐと、そのお尻の上に腰を下ろした。肉の弾力を感じながら、しなやかな背中を拭ってやる。何度か拭っているうちに、ふと良いアイディアが浮かんだ。
香織のお尻から立ち上がり、ベルトを外しズボンとトランクスを脱いでしまう。下半身を剥き出しにしたまま、もう一度香織のお尻に腰かけた。
肌と肌を直接触れ合わせる感触は最高だった。ぷりぷりした肉の弾力に加え、すべすべとした女の肌の感触が、直接自分の尻の皮膚を通して感じられる。ヒロシが背中を拭くと、その動きに合わせて若く張りつめた尻肉が弾み揺れた。
女の肌の温もりを尻で感じる喜びに、ヒロシの股間はみるみるうちに勃起してきた。さっき大量に放出したばかりなので、なんとか我慢が出来る。
ヒロシは背を曲げ右手を伸ばし、香織の脇の下にハンカチを当てゆっくりと拭った。空いた左手は俯せになった上半身の下に差し込み、胴体の重みで扁平に潰れている乳房をつかみ取る。ぐいぐいと揉みしだきながら楽しい作業を続けてた。乳房を揉む掌を乳首の先端がくすぐるのがこそばゆい。
上半身の裏側を全部拭くのにはハンカチは小さすぎた。ヒロシはハンカチを捨て、香織の着ていたTシャツを拾い上げタオルの代わりに使うことにした。水辺に行って濡らすと、すぐに香織のお尻の上に舞い戻る。
程よく水を吸ったTシャツは、タオルの代用品としての機能をそこそこ果たしてくれた。
両の脇の下の清掃が終わったヒロシは、今度は細くくびれた腰のあたりを拭い始めようとした。しかし、そこは自分の股間のすぐ傍であるため、拭う手を動かすには少々窮屈だった。
ヒロシは自分の腰を上げ、魅力的なお尻から艷やかで健康的な太腿の上にその位置を変えた。
女の尻は男に比べてかなり大きく張り出している。そのため腰を下ろすと、屹立した怒張の先がちょうどお尻の魅惑的な割れ目が始まる辺りにきた。
ヒロシは両手を香織の双臀にかけてみた。ぐいと割り裂くと、これまで陽に曝されたことがないであろう皺を寄り合わせたおちょぼ口が可愛らしく顔を覗かせた。
あいつはこれが好きだったな……。ヒロシはアナルセックス好きの友人の顔を思い浮かべた。例の装置の共同開発者だ。高校を卒業してすぐ留学のために渡米したので、もう一月近く会っていない。ひとつのことに熱中するタイプなので、一度研究に取りかかると他のことは目に入らなくなる奴だった。あれから連絡がないのは、おそらく何か新しい研究に没頭しているからなのだろう。ひょっとすると没頭しているのは金髮の美女のアヌスの方か……。
ヒロシにはアナルセックスの趣味はない。しかし、香織のアヌスは魅力的だと思っていた。拾いなおしたハンカチで皺の寄集ったあたりを丁寧に拭って清潔にしておいてから、怒張の位置を調節した。アヌスを枕代わりにつかって亀頭部を乗せる。そうしておいて割った双臀から手を離した。
弾けるように元に戻った尻肉はヒロシの怒張の胴体を左右から押し挾んだ。心地好いすべやかな弾力感と温もりに包まれた怒張は、嬉しさの余り興奮しみるみるうちにその体積を増した。
「おっとっとっと……冷静に冷静に……」
ヒロシは思わず呟いた。まだ涼子が待っているのだ。いくら若いとはいえ短時間に四発は辛い。ここで無駄弾(むだだま)を撃つわけにはいかないのだ。
出来うる限り邪念を振り払いながら、ヒロシは香織の清掃作業を続けた。
腰部を拭い終わり、臀部に移る。自分の腰をずらしながら、丸く張り出したお尻のカーブを丹念に拭う。続いて大腿部へと拭く手をずらしていった。とりあえず太腿の内側は後まわしにして、目の前の部分だけに集中する。
膝の裏あたりまで拭ったヒロシは一度立ち上がり、香織の細くくびれた腰の辺りに尻を降した。ただし今度は香織の爪先側を向いてである。
左手を伸ばして香織の右の膨ら脛の肉を掴み、自分の方に引き寄せる。浮き上った膝小僧の下に手を入れてさらに引き寄せ、俯せの香織の片脚だけを思いきり背中側に反らせた姿にした。テレビで見た新体操にこんなポーズがあったかもしれない。香織の体は驚くほど柔軟だった。かなり無理なポーズを取らせているつもりだったが、力を入れればまだまだ反り返りそうなほど余裕があった。大腿部の中ほどにあったライトブルーのショーツは、妖しく淫らな開脚のために、千切れそうなほど縦に長く引き伸ばされている。
ヒロシは細い足首を左手でがっしりと掴み、右手に持ったTシャツで膝の辺りから順に膨ら脛を拭い始めた。うまく持ち替え足首も綺麗にする。足の甲から足の裏に移ったとき、そっと指先でくすぐってみた。無論、意識のない香織は何の反応も示さない。ただ、ヒロシの脳裏には新たなアイディアが浮び上っていた。後で試してみることにして、ヒロシは脳細胞にそのアイディアを書き留めると、再び香織の清掃を始めた。
細い足指の一本一本を丁寧に拭っていく。指の股の間もおろそかにはしない。
かなりの時間をかけて清掃し終えたヒロシは、綺麗になった左脚をシートの上に横たえた。続いて右脚も左足と同じように反り返させ清掃する。
両方の脚が終わったところで、そろえた両足首を両手で掴んで引き寄せてみた。目の前まで爪先を引き寄せ清掃具合を点検する。整った十本の足指の先に、ちゃんと手入れをした爪がピンク色の光沢を輝かせている。汚れもちゃんと落ちているようだった。
ヒロシは反らせた両足首を左右に割り、それぞれを自分の脇の下に挾み込んだ。もうそれだけで香織はかなりの海老反り姿になる。挾んだ足首をなんとかずらして背後に送り出し、脇で抱える部位を脛へと移動させた。そのまま両脇で固定し、自分の尻の位置を後ろにずらす。ぐいと胸を張ると、香織は下半身と伸びやかな脚を反らせて見事な、しかもじつに淫靡なアーチを作った。
肩甲骨のあたりをヒロシの尻に敷かれた香織の体は、その柔軟さゆえに、信じられないほど背中側に腰を折られてた。
プロレスの技でこんなのがあったっけ、とヒロシは考えた。たしかボストンクラブだったかな……海老固めとも言っていたような気がする……。
考えを巡らせ終わったヒロシが首を曲げて下を覗き込むと、大きく割った両腿にからみついたショーツが、今度は横に引き伸ばされているのが見えた。さらに香織を反らせてみると、ショーツの向こうに繊毛に縁どられた肉の花びらがその艶めかしい姿を覗かせた。
こうして香織の性器を間近で見るのは初めてだった。さっきあれほど激しく犯したのに、そこは瑞々しいコーラルピンクの色合いを保っていた。
しげしげと眺めているうちに、ヒロシは背筋に軽い疲労感を覚えた。海老反らされた香織も辛いだろうが、それを支えている方も結構きつい。なにせ人間の体はこういう形に曲げられるように出来てはいないのだ。いくら香織の体が柔らかいと言っても、力を弛めればすぐに元に戻ろうとする。
ヒロシは抱えた両脚を離し、シートの上に横たえた。香織の背中から降りて、その脇に膝立つ。上に向けた両の掌を俯せになった香織の胴体の下に差し込んで、そのままよいしょと転がした。
ごろりと仰向けになった香織は目を閉じたまま寝入っていた。その太腿を持ち上げ、両足首を自分の右肩に乗せた。両手を使って太腿にまとわりついているショーツをずり上げてゆく。膝を通過させた後は、太腿を乳房の上に畳むように折り、そろえた足首から抜き取って捨てた。
とうとう完全な全裸にした香織の両腿を両手で割り裂き、Mの字型に開脚させた。しかし、内股を覗き込もうとして手を離すと、正体を無くした肢体はくにゃりと折れ曲がる。しかたがないのでヒロシは命令することにした。
「香織、目を覚ますんだ」
香織は瞼を開き、霞んだ瞳で宙を見上げた。
「いいか香織、これから君は僕の言うとおりのポーズを取れ」
「はい、御主人様。これから香織は御主人様の言う通りのポーズを取ります」
香織は抑揚のない平坦な口調で答えた。
「じゃあ、脚をそろえたまま膝を折って太股を胸にくっつけるんだ」
「はい、御主人様。脚をそろえたまま膝を折って太股を胸にくっつけます」
香織は形の良い長い脚をそろえ、胸の上に畳み込んだ。
「そうしたら右手で右の膝の裏側を、左手で左膝の裏側を支えて」
「はい、御主人様。右手で右の膝の裏側を、左手で左膝の裏側を支えます」
言われた通りのポーズを取った香織のお尻の方に、ヒロシは回って座り込んだ。
「合図をしたら、そのままゆっくりと脚を開いてごらん。絶対に手を離しちゃダメだよ」
「はい、御主人様。合図をされたら、ゆっくりと脚を開きます。絶対に手を離しません」
「合図は何か覚えているかい?」
「はい、御主人様。御主人様が指を鳴らすのが合図です」
「よし。じゃあ、スタート!」
ヒロシが指を鳴らすと、香織はゆっくりと脚を開き始めた。それにつれて花弁が、徐々にその姿を変えていく。息を飲んで見守るヒロシの目の前で、最初は蕾のように閉じ合わされていた花弁がゆっくりと開花してゆく。
百二十度位広がったところで、ヒロシはストップをかけた。脚を開いた香織の内股の筋肉がひきつり、黒い繊毛に縁どられた大陰唇が大きく開かれている。その内側ではコーラルピンクの襞さえも恥ずかしげに口を開けていた。
「そのまま動くな。今、綺麗にしてあげるから」
「はい、御主人様。このまま動きません」
ヒロシはTシャツとハンカチを拾い上げ、水辺へと走った。両方を水に漬け、入念に揉み洗う。
洗う手を休めずに振り返って見ると。香織は足先を天に向けた大胆な開脚ポーズのまま固まっている。催眠暗示に従っているだけだが、素直に自分の言うことに従う香織を、ヒロシはなんとなく愛おしく感じ始めていた。
ヒロシは洗う手に力を込めた。さっき犯したとは言え処女同然の性器を洗うのだ。出来るだけ綺麗な布で拭いてあげようとヒロシは思っていた。
布の汚れを充分に落としてから、香織の傍に戻った。こんどはお尻の横に跪く。
「さあ、綺麗にしてあげるね」
香織の右足首を掴み、右の太腿の表側から内側にかけてを丹精込めて磨きあげていった。
「香織の脚は綺麗だな。それに長い。これなら誰かに誉められたことがあるだろう」
「はい、御主人様。何度かあります」
「そうだろうなあ」
ヒロシは感心しながら磨き続けた。一通り拭き取り、今度は反対側に行き左脚を清掃する。
総ての汚れを拭き取ると、香織の太腿は元の健康的な輝きを取り戻した。日光に照らし出された艷やかな肌が目に眩しい。
「脚はこれで終わりだ。次は大事なところを洗ってあげよう」
ヒロシはお尻の方に移動すると、内股を洗い始めた。さっきよりは柔らかな手つきで汚れを拭き取って行く。徐々に付根へと近付くにつれ、その手つきは慎重さの度合いを増していった。
恥毛の汚れがなかなか落ちなかった。乾いて固まった汚濁が繊毛にからみついているので、布で拭き取るだけではそれをとりきることはできなかった。
「ちょっと待っててね」
大股開きの香織を残してヒロシはすぐ傍の荷物置き場にいざり行った。その中から香織のハンドバッグを探し出し、チャックを開けて中味をシートの上にばらまいた。可愛らしい化粧バッグがあったので拾い上げ、中から櫛と小さな鋏、そして小型の剃刀を取り出した。
ヒロシは香織の股の間に戻ると、彼女のお尻を持ち上げ自分の両膝をその下に差し入れた。両膝の幅と奥行きを調節し、自分の胸の辺りにお尻がくるように位置と高さを調節しておいて固定した。
目の前で空け広げられた股間の草むらを優しく櫛で梳(す)いてやりながら、ひっかかりのある部分を小さな鋏で刈り取った。切った毛先が花びらに落ちないよう、櫛を持った左手で性器を覆い隠しながら慎重に刈ってゆく。まだ水着を着るシーズンではないせいか、香織の恥毛は長いように思えた。
「香織の恥毛って濃い方なのかなあ? 手入れしてないとこんなものなのかい? どうなんだ?」
恥毛の端を摘まんで軽く引っ張りながら質問する。
「はい、御主人様。普通だと思います」
「ふーん……これで普通なのか……」
妙なところで感心しながら作業を続けた。
「でも、なんだか濃いと思うんだけどなあ……。うん、やっぱり濃いよ。よし、僕が普通にしてあげる」
ヒロシは勝手にそう决めつけると、自分の趣味に合わせて恥毛を刈り込み始めた。鼻歌混じりに大胆に鋏を動かし、ざくざくと切ってゆく。まあ、こんなものかなというところで鋏をシートに置き、代わりに剃刀を持った。
唾液で濡らした指を恥丘の上側に置き、刃で肌を傷つけないよう付近の恥毛に丹念に塗りたくる。充分に湿らせておいてから剃刀の刃を当てた。そっと動かすと、そこだけが芝刈り機に刈られたかのように蒼白い肌を露出させてゆく。
細かい作業に没頭するヒロシは顔を近づけながら、何度も剃刀の刃を往復させた。ついさっきまで黒々としていた茂みは次第にその面積を減少させていった。
だいたいの形を整え終わったヒロシは剃刀を持つ手を休めると、顔を引いてその様子を確認した。
ふっくらと盛り上がった恥丘の上に、黒い逆正三角形が出来上がっていた。ただ、その底辺が心なしか右側に傾いているようにヒロシには思えた。
もう一度顔を近づけ、剃刀の刃を当てる。慎重に剃ってからもう一度見直すと、今度は左側に傾いていた。
余りの不出来にイライラをつのらせたヒロシは再度挑戦する。三度目もやはり曲がっていた。
とうとう逆三角形に剃り上げるのを諦めたヒロシは、今度はハート型にチャレンジしてみることにした。
ヒロシは腕まくりすると逆三角形の底辺の角に剃刀を当て、丸みを帯びた曲線へと恥毛を剃り上げてゆく。
香織は霞んだ瞳を中空に留めたまま、大きく開いた脚の間を彷徨う刃物に、大人の女の証しである繊毛を剃り削られていった。
美女の恥毛を好みのままにデザインしていく快感は、ヒロシの芸術意欲に火を点けた。夢中になって形を整えてゆく。しかし、ヒロシには芸術に対する意欲はあったがセンスはなかった。
ヒロシの作業が終わったとき、香織の股間には五百円玉サイズのいびつな黒いハート型が残っただけだった。
「香織、ごめんね……でも、こんなんじゃ残しておくだけ恥ずかしいよね。うん、だから全部剃っちゃおう」
恥ずかしいのは自分の方だったが、再び剃刀を使って恥毛を剃っているうちに、そんなことは忘れてしまった。
剃刀を二、三度往復させるだけで恥丘上の恥毛は跡形もなく消えうせた。
ヒロシは左太腿の付根と大陰唇の間を指で押し開き、残った恥毛を剃り始めた。繊細な箇所なので慎重に刃を進める。下のほうでは微妙な皮膚の皺を指で伸ばしながらの作業になった。時には大陰唇からはみ出たサーモンピンクの襞を傷つけないように、指でそっとどかさなければならなかった。やっと大陰唇の左側を剃り終わったヒロシは、じっくりと作業の後を見、剃り残しがないのを確かめるとすぐに右側にとりかかった。
長い時間をかけて緊張を強いられた作業を終えたヒロシは、がくりと腰を下ろし思わず大きなため息をついた。額の汗を手の甲で拭いながら剃り終わったばかりの場所を覗き込む。
香織の股間は総ての恥毛を失い真っ白な肌を外気に曝していた。肉の膨らみの上に指を伸ばして撫でてみると、ひっかかりは何もなく、ただすべすべとしている。間近に見る股間はまるで幼女のようだった。ただ、その下方は健康的に大陰唇を発達させ、その中に複雑な襞をもった立派な大人の女性器だった。
ヒロシは女性器の清掃を始めようと、シート上から布きれを拾い上げたが、それはすでに乾ききっていた。
疲れているので水辺まで行くのが億刧になったヒロシは、傍の荷物置き場に上体だけを伸ばし、クーラーボックスを引き寄せた。ミネラルウォーターが入っていないかと、蓋を開けて中を見た。しかし、缶ビールの他には缶ジュースが入っているだけだった。
まさかジュースで拭くわけにもいかないので、ヒロシは缶ビールを手に取った。少量ながらアルコールが入っているので、殺菌作用があるかもしれない。
タブを空け、缶を傾けて布きれにビールを注いだ。泡立ちがおさまるのを待ってから、香織の開いた股間に向き直った。
まず丁寧に恥丘の上に布を当て優しく拭き取った。続いて大陰唇に布きれを向け、微妙な厚さに盛り上がった唇の周りを丁重に拭き取ってゆく。充分に作業を進めてから一息入れた。
ヒロシは空いた片手の指を襞の上に這わせ、その指先にそっと力を込めた。襞が左右に押し開かれると目に鮮やかなコーラルピンクの内臓部が現われた。複雑な襞状になった肉壁が粘膜質の輝きを放っている。
ビールで濡れた布きれを肉壁の下側に押し当て、粘膜を傷つけないよう慎重に柔らかく動かした。そのまま布きれを徐々に上へ進めて行く。狭く閉じ合わされた腟口の周りを拭い、尿道口の入口は小指の先だけ布きれに当て優しく丁重に拭う。布きれ越しに指を動かす度に柔らかな粘膜の表面はその形を変え、いろいろな表情を見せた。
わずかにピンクの頭の先を覗かせているクリトリスは、特に丁寧にかつ執拗に拭いてやった。しばらくするとクリトリスは可愛らしい頭をゆっくりともたげ始めた。心なしか腟口もその口を開きかけているようだ。
今は翳りを失い白々とした股間越しに香織を見ると、さっきと変わらぬ無表情の霞んだ瞳で中空を見上げている。催眠暗示によって自意識を完全に封じ込まれていても、女の本能としての性感は目覚めているようだ。
ヒロシは片手の指でクリトリスへの刺激を続けながら、もう片方の指を腟口に向けた。まだ完全には開ききらない入口に指をかけ、粘膜のぬめりで滑らないように注意して、ぐっと開いてみた。息がかかるくらいに顔を近づけ中を覗き込む。
サーモンピンクの狭い肉のトンネルが複雑な襞を重ね合わせながら奧へと続いている。
見る角度を変え隅々まで観察したヒロシは腟口から顔を上げた。
指で開いた粘膜の中と、香織の顔とを何度も見比べる。見ようによってはグロテスクな紅鮭色をした粘膜質の造形物が、このすべやかな白い肌をした美女の持ち物だというのは、ずいぶんとアンバランスな気がした。
性器を押し開いたまま、やわやわとクリトリスの頭を撫でてみると香織の内股の筋肉がぴくりぴくりと痙攣する。それにともない美女の性器は音もなく花びらを開いていった。
美しい……とヒロシは思った。大きく開いた太腿の中心部に咲く淫靡で妖しい花びらに、ヒロシの目は釘づけになっていた。
ふと我に返ると喉に渇きを覚えた。香織から離れ、クーラーボックスから新しく缶ビールを取り出し、ダブを開けてひと飲みした。からからに渇いていた喉元を冷たいビールが駆け下って行く。
一息ついて空を見上げると、さっきまであんなに高かった太陽が、いつのまにか西にかなり傾いているのに気がついた。
早く香織を買い出しに行かせなければ、すぐに日が暮れてしまう。
ヒロシは缶ビールを手にしたまま香織に向き直った。
「香織。手を離していいぞ」
「はい、御主人様。手を離します」
香織が手を離すと、限界近くまで開かれていた太腿がわずかに閉じられた。
「そのまま背中と腕で支えながら、脚を閉じてお尻を上げろ」
「はい、御主人様。背中と腕で支えながら、脚を閉じてお尻を上げます」
「それから脚をそろえたまま爪先を上に向かって上げられるだけ上げるんだ」
「はい、御主人様。脚をそろえたまま爪先を上に向かって上げられるだけ上げます」
ヒロシの命令に従った香織は頭を仰向けにしたまま、背中から上が一直線になるまで爪先を上げた。体を支えているのは首の裏側と肩と両腕だけである。
ヒロシはお尻の前に立ち次の命令を下す。
「両脚を伸ばしたまま左右に開け」
「はい、御主人様。両脚を伸ばしたまま左右に開きます」
香織は閉じ合わせた太腿をさっと割り、長い両脚をぴんと張ったまま左右に開いて、白い裸体で妖しいYの字型を作った。
「もっと開くことができるか?」
「はい、御主人様」
「じゃあ、開け。限界までだ」
「はい、御主人様。限界まで開きます」
香織は足を開き始めた。今度はさっとはいかず、ゆるゆると開いてゆく。開いた両脚が横一直線になったあたりで動きが止まった。ヒロシから見ると香織の姿はTの字になっていた。
「これが限界か?」
「はい、御主人様。これが限界です」
苦し気な声に聞こえたのは香織の意識が戻ったからではなく、窮屈なポーズで首を折り曲げ喉を圧迫しているためだった。
誰の手助けもなくこれほどまで脚を開けるとはヒロシは思っていなかった。ヒロシは香織の柔らかさに舌を巻くと同時に、嬉しい誤算に目を輝かせた。
目の前に美女の股間が惜し気もなく開かれている。その内股の筋肉はぶるぶると痙攣していた。
ヒロシは香織のお尻側に立ち左手で花びらをくつろげ、空いた指でクリトリスを撫で上げた。
「いいか、このまま動くんじゃないぞ」
「はい、御主人様。このまま動きません」
ヒロシは右手に持った缶ビールの飲み口を左手の指で開いた花びらの上に持っていった。腟口の辺りに見当をつけ、わずかに缶を傾ける。流れ落ちた少量のビールは、サーモンピンクの受け皿の上で泡立ちながら、ゆっくりと谷間に吸い込まれていった。
首を伸ばして見下ろすと、失った白い股間越しに香織の霞んだ瞳と目が合った。
「冷たいだろうけど、がまんしてね」
空白の表情をした美貌に微笑みかけてから、ビールの残りを花びらに注いでいった。
ゆっくりと缶を傾け水量を調節し、徐々に注ぎ込む。缶が空になったころ、香織の腟内が液体で満たされた。
ヒロシは花びらを開いていた手を離し、香織の股の上から下腹部へと持って行った。掌で膨らんだ下腹部を軽く叩いてみる。掌が下腹部を叩くリズムに合わせて、サーモンピンクの花びらが琥珀色の泡立つ液体をたぷたぷと滲ませた。
ヒロシはかがみ込み片手で香織の腰を支え、首を曲げて唇を花びらに押しつけた。閉じかけた襞を舌でかき分け、唇で粘膜の感触を感じながら、滲み出した液体を吸い取った。辛口のビールに混じって僅かにぬるりとした微妙な味覚が舌先をくすぐる。それは女の分泌液の味であろう。
唇を花びらに当てたまま、ヒロシは滲み出る蜜を吸い続けた。出が悪くなると香織の下腹部を押す。そうするとまるで尽きない泉のように花びらは蜜を滲ませる。吸い続け息をするのが苦しくなると唇をずらし、舌先で二、三度クリトリスを舐めあげながら呼吸を整える。その度に香織は無意識のうちに腰をがくがくと痙攣させた。
花びらとクリトリスの間を唇は何度も往復した。
やがて花びらから滲み出す蜜の味は、もはやビールより分泌液の方が勝るようになってしまった。舌触りも液体と言うにはあまりにも粘性が高い。
すっかり開ききった腟口の中に細めた舌先を進め、液体の残りを求める。
香織の下腹部を下から掌で思いきり強く押すと、子宮口に溜まっていた水分が圧迫され、狭くなった肉襞の中を駆け昇ってきた。
ヒロシは両腕で香織の尻を抱きかかえると、唇を花びらの中に押し込むように突き出して吸い始めた。
まるで内臓まで吸い取りそうな勢いだった。
腟口から湧き出て来た水分を総て吸い取り、一滴残らず舌で舐め取った。これ以上舐めても粘膜を傷つけるだけだと判断したところで、やっと花びらから唇を離した。
ヒロシは腰を下ろし大きく肩を上下させた。目眩がするのはアルコールのためだけではない。
軽く頭を振って見上げると、赤く色づき始めた空を真横に割るように、真一文字に開かれた白い女の脚があった。
白い尻の谷間の向こうに、すっかり充血した肉の花びらが顏を覗かせている。それは辺りの桜の木々以上に、赤く鮮やかに咲き誇っていた。
< つづく >