ドールメイカー・カンパニー2 (6)

(6)暗闇の台頭

 怜はマンションの階段をリズミカルに駆け下りていた。特に急ぐ用事など無いのだが、のんびりとエレベータが上がって来るのを待っている気分ではなかったのだ。
 久しぶりに会った諒子のテンションが怜を刺激していた。
 そして黒岩というビッグネームが更に怜を熱くした。
 今までに2度も追跡の糸を断ち切られてしまっていた相手だ。狩猟本能が疼いていた。
 たちまちロビーに到着すると、小走りに駐車スペースへ向った。12月の冷たい外気が火照った頬に心地よく吹き付ける。
 真っ赤なバイクは主人の帰りを静かに待っていた。
 怜はすっかり冷え切ったバイクに跨る前に、念のため携帯の電源を入れ着信を確認した。すると一件だけ記録が残っていた。
 しかしそれを見た怜の表情が僅かに曇った。

「課長・・・かぁ」

 怜の直属の上司であり、そして最も信頼していない男でもあった。
 ただキャリア官僚としての人脈作りのためだけに動いているのが誰の目にも明白なのである。
 怜の中では、過去2件の黒岩事案の情報リークをした内通者の最右翼だった。

「ったく、何の用だってのっ」

 怜は高揚した気分に水を差され、あからさまに不快な口調で呟いた。
 そして面倒くさそうに携帯を操作すると、コールバックした。

「はい。神田ですが」

「松田です。ご連絡いただきましたか?」

 神田孝一郎は、別宅のマンションのソファで寛ぎながら、待っていた連絡に頬を緩めた。

「あぁ、ご苦労。今何処に居る?」

「○○市の市場通り付近です」

「ほぉ。それは丁度いいな。それじゃあ、ちょっとウチまで来て貰えるかな?」

「課長のご自宅ですか?あいにく私はバイクですからお迎えに上がることは出来ませんよ。事件ですか?公用車を呼ばれた方が早いですよ」

「いやいや。事件じゃないんだ。ちょっと課長として部下の状況を把握をしておきたいので、ウチに来て貰おうかなって思ってるんだ。それに・・・自宅じゃなくて『別宅』の方。もう何度も来てるから場所は判るだろ?」

 怜は、この突然掛かって来た課長の妙な電話に憤慨した。

「申し訳ありませんが、私を誰かと勘違いしてませんか。課長の『別宅』など知りませんし、こんな時間にお伺いする必要も感じません!」

 怜はきっぱりと言い切った。
 しかし神田は余裕たっぷりに言葉を続けた。

「ふふふ・・・。相変わらず手厳しいな、君は。ま、その辺が君らしいところで、私としても気に入っているのだけれどね。でも、ちょっとだけ言葉が過ぎるようだな。もう少しだけ『女のわきまえ』ってヤツを身に付けて貰いたいものだね」

 怜は課長のこの言葉に憤慨を通り越して気味悪さを感じていた。背中の毛が逆立つような不快な波動が走る。

 (何だ?この脱力感は・・・)

 蟻地獄に引きずり込まれるような無力感に、怜は思わずバイクに片手をついて身体を支えた。
 先ほどまでの高揚感など消し飛んでいた。
 しかし、携帯だけは耳にしっかりとあてがっている。まるで地獄の審判を聞くように、怜は神田の言葉を待っていた。

「それじゃあ、いつもの言葉を言ってあげるよ・・・。『怜、コックロビンは飛び立った』・・・」

 その瞬間、怜の瞳は絶望に見開かれた。
 そして視線は冬の澄んだ夜空に浮かぶ星を見上げたまま、凍りついたように数秒の間身動ぎもしなかった。
 その姿は、まるで魂を吸い出された人形のようであった。

 しかし・・・やがて微かな吐息と共に怜は再び動きを取り戻した。
 顔にかかった長い髪をゆっくりと振りほどく。
 けれど、その下から現れた表情・・・それは『松田怜』を昔から知っている人間が見れば目を疑うような儚げな、それでいて淫蕩な笑顔だった。

「神田・・・課長・・・。只今から・・・お伺いいたします」
「あぁ。頼むよ、怜。いつもの格好でね」

 神田はそう言うと携帯を切り、暖かい部屋から眼下の夜景を目を細めて見下ろしたのだった。
 一方、怜は携帯をジャケットに仕舞うと、一旦バイクから離れ、夢遊病者のような足取りでゆっくりと近くの茂みへ消えていった。

 神田の別宅のマンションの呼び出し音が鳴ったのは、それから30分ほどしてからだった。
 孝一郎は自ら玄関に赴くと、ドアを開けた。

「課長!夜分遅く失礼しますっ!」

 そこにはヘルメットを片手に敬礼している怜の姿があった。

「あぁ。よく来た。入れ」

 孝一郎はそう言うと、怜を中に招き入れた。
 そしてすぐに先ほど電話をしていたリビングに連れて行くと、夜景を眺めていた窓をバックに立たせた。直立不動だ。
 皮のジャケットに同じく皮のパンツ、手はバイク用のグローブを嵌めたままで立つ怜は凛々しく、まるでバイク用品のコマーシャル撮影をしている女優のようだった。
 孝一郎はそんな怜を、まるで商品を検分するように頭のてっぺんから足のつま先までじっくりと眺めた。そして、やがてその完成度に満足するように頷くと、手を伸ばしジャケットの上から怜の乳房を鷲づかみにした。
 冬の外気で冷やされたジャケットの奥に、柔らかな手ごたえがはっきりと感じられる。孝一郎は怜の表情を観察しながらゆっくりと両手でその感触を楽しんだ。
 微かに怜の唇が開き、吐息と共に白い前歯が覗いた。
 しかし相変わらず直立不動の姿勢は崩さない。僅かに頬を上気させ、まるで人形のように孝一郎の為すがままになっている。少しでも松田怜を知っている人間が見れば、この成り行きは決して信じられなかっただろう。
 しかし、孝一郎はそれを当り前のように行っている。怜が決して自分に逆らえないことを熟知しているのだ。
 そして乳房からわき腹、そして下腹部、股間、尻・・・皮のジャケットの上からとはいえ、怜の体中を我が物顔で孝一郎の手は這いまわったのだ。

「ふむ。触診によるボディチェックでは問題無さそうだな。松田刑事、これで課長の私邸に入る時の安全確認は充分だったかな?」

 孝一郎は怜の腰に手を廻したまま、陰湿な笑顔を浮べて訊いた。

「いいえ。これだけでは・・不十分です。課長のようなVIPの私邸に入るには、目視確認も・・必要です」

 怜の頬の赤みは更に増していた。

「ふふふ。そうだったな。それじゃあ、拝見することにしようか」

 孝一郎はそう言うと、怜の首に手を伸ばしマジックテープを引き剥がした。そして、その下から出てきたジッパーの取っ手を掴むと、そのまま下に引き下ろした。
 ジッパーの留め金が外れ、ジャケットの前が全開になる。自然に広がっていくジャケットの合わせ目から姿を現したのは、先ほどまで着ていた厚手の綿のシャツではなく、白い素肌そのものであった。ブラジャーさえしていない。93センチEカップの乳房が孝一郎の目の前に晒された。
 孝一郎は両手をジャケットの内側に入れ、両乳房を鷲掴みにした。そしてゆっくりと揉みしだきながら、その弾力と体温を味わった。乳首は既に頭をもたげている。掌でその感触を楽しんでから、孝一郎は片方ずつ口に含み舌で転がし吸い出した。

「へへっ・・胸は大丈夫のようだな。それじゃあ、次はここかな。『休め』の姿勢になりなさい」

 孝一郎はそう言って怜に足を広げさせると、皮のパンツのボタンに手をかけた。そしてジャケットと同じようにジッパーを引き下ろしていった。
 忽ち怜の白い下腹部が孝一郎の目に晒された。やはり下着も付けていない。僅かに茂みが覗いていた。
 孝一郎は右手を下腹部に沿って下ろしていき、怜の股間に手を潜り込ませた。掌全体にシャリシャリした怜の茂みが当たる。そして伸ばした指先は怜の媚肉の奥に沈みこんでいた。すでに充分な湿り気が指先を濡らしている。
 孝一郎は右手を股間に沈め左手を乳房に食い込ませながら、怜に訊いた。

「松田刑事、君の任務は何かね?ここで言ってみたまえ」

「は、はい・・・。私の・・はぁぁぁん・・・任務は・・・神田ぁ・・課長のぉ・・・・んんっ・・せ・・性奴隷としてぇ・・・いつでも・・・ぁんあっ・・・ザーメンを・・・注いで頂くことです」

「ふふふ。それは随分と変った任務だねぇ」

「はあ・・・ん・・そ、それはぁ・・・わたしが・・無能で・・役に立たない女刑事だから・・・んぁああっ・・・優秀なぁ・・課長のぉ・・んんぁ・・・気分転換にぃ・・・使って頂くしか・・・あああああ・・・ないのですっ」

 孝一郎の両手で好きなように身体を愛撫されながら、怜は普段では死んでも言わないようなセリフを口にしていた。

「ほほう。無能な税金泥棒にしては気が利くじゃないか。宜しい、松田刑事、君の希望どおり、俺のザーメン便器として君の穴を使ってやろう」

 孝一郎はそう言うと怜の媚肉から右手を引き抜き、形の良いヒップをパンと叩いた。

「こんなもの早く脱いで、いつもの格好にならんかっ」
「は、はいっ・・神田様」

 怜は唇を震わせて、慌てて皮のパンツを引き下ろした。すらりと形のいい足が剥ぎ出しとなり、腰から下は丸裸だ。しかし皮のジャケットだけはそのまま羽織らせている。
 奴隷刑事松田怜を演出する孝一郎の趣味だった。

「じゃあ、早速咥えさせてやろう」

 孝一郎はガウンの合わせ目を開き、すっかり臨戦体勢のペニスを突きつけた。
 怜はその場にしゃがみ込むと、上司のペニスに口を寄せ、片手で支えながら、片手で睾丸を愛撫し始めた。
 孝一郎は気持ち良さそうに目を細めて怜を見下ろした。
 普段は生意気で反抗的な、上司を上司とも思っていない女刑事が、今は命令されるまま裸のケツを丸出しで自分のペニスに舌を這わせ、睾丸を撫ででいるのだ。
 孝一郎は忽ち限界に追い込まれた。
 夜は長い・・・孝一郎はいつものように最初の一発を怜の口に注ぎ込むことにした。
 ジュボッ、ジュボ・・・
 濡れた音を立てて怜の口が孝一郎のペニスを咥え往復している。
 孝一郎はそんな怜の頭を両手でがっしりと固定すると、凄い勢いで腰を打ちつけ始めた。熱いペニスが喉をドシンドシンと直撃し怜の呼吸を圧迫するが、そんなことはお構いなしだ。
 まさにダッチワイフのような扱いである。
 そしてまさに注ぎ込む瞬間には、怜の顔を上向かせて、その美貌を覗き込みながら、その口中にドクドクと注ぎ込んでいったのだった。
 怜は口中に熱い粘液を溜めながらも手は休まずペニスをしごき続け、最後の1滴まで残さず搾り取っていった。

「ふう~」

 一週間ぶりの発射に孝一郎は満足の溜息を吐いた。
 ペニスはまだ怜の手の中にあり、先端に口を寄せて尿道の残りを吸い取っているところだ。

 (本当によく仕込んである)

 孝一郎はマインド・サーカスの腕をあらためて感心した。

 (このはねっかえりが、たった2千万でここまで調教されて俺の奴隷になるのだからな。まったく安いものだ)

 孝一郎は裸のままソファに腰掛け、跪いた怜を見た。
 まだ飲み込む許可を与えていないので、口の中にザーメンを溜めたままだ。

「見せてみろ」

 その言葉に怜は少し上を向いて口を開けた。
 口内には孝一郎の出した粘液がはっきりと溜まっている。

 (まさにザーメン便器だな。ふふっ、女など、どんなにいきがっていても、所詮は男のザーメンを溜めるしか役に立たんのだよ)

 孝一郎は歪んだ優越感に浸りながら、怜を見下していた。

                    *

「何だ?この手紙は」

 孝一郎があの手紙を発見したのは今日2度目のザーメンを注ぎ込み、風呂から上がった後だった。
 最初の発射のあと、少し落ち着いた孝一郎は夜食用に出前でとった鮨で腹を満たした。その間、怜は余興でオナニーショウを命じられ、ビールを片手に鮨を摘む孝一郎の前で、女の媚肉を曝け出し嬌声をあげて身悶えして見せていた。
 その後風呂に一緒に入り、奴隷のようにかしずいて孝一郎を洗わせられ、反対に体中を弄られ、そして湯船の中で抱かれながら貫かれ、体の奥深くに熱い粘液を浴びせられたのだった。
 そして風呂から出ると自分だけガウンを纏い、怜は裸のまま目の前に立たせて質問を始めたのだった。
 孝一郎が怜を奴隷にしたのは、無論自分の性欲を満たすためであったが、その一方でもう一つ目的があったのだ。それは、怜の情報収集能力の高さだった。怜は若いながらも自分独自の情報ネットワークを築いていて、意外な掘り出し物の情報を握っている事が有るのだった。
 過去何度かその情報を使い怜は署長賞を得ていた。孝一郎は怜を奴隷にすると、その肉体と共に持っている情報をも我が物にしていた。

「で、今週の情報はどうだ?何か収穫はあったのか」

 孝一郎は怜の茂みに指を絡ませながら、ニヤつきながら質問した。
 怜は、問われるまま、得た情報を躊躇いもなく話していった。

「ほお、先週の傷害事件の目撃者が居たか・・・。そりゃあ収穫だ」

 孝一郎は怜の手柄を自分の手帳に書き込んでいった。

「大体そんなところかな・・・質問としては」

 孝一郎は幾つかの質問の後、手帳を仕舞いながらそう言った。

「後は何かあるか?お前の方から報告すべき事項は」

 孝一郎は特に期待もせずにそう言ったのだが、怜の口から意外な名前が漏れ出てきて目を剥いた。

「はい。本日、極秘情報を入手しました。黒岩事案に関する情報です」

 怜の口から黒岩の名前が出て、一瞬孝一郎は肝を冷やした。
 孝一郎の影のスポンサーは、誰あろう黒岩剛なのであった。
 無論、怜を奴隷にした金もそこからの流れを使ったものだった。

「どういうことだ。詳しく話しなさい」

 孝一郎は居住まいを正して詳細に訊いて行った。そこで差し出されたのだあの手紙だったのだ。

「驚いたな、ガキが居るのは知っていたが・・・全く無茶するぜ」

 孝一郎は溜息を吐いて呟いた。
 本当に間一髪のタイミングだったのだ。
 明日になれば、怜はこの手紙を元に極秘チームを発足させただろう。そこに自分が噛むことはマズあり得ない。恐らく、キャリアとしてのライバル、宮本の方に流れるネタなのだ。
 そうなっては孝一郎の立場は非常に危うくなる。
 金の流れが断たれることも痛手だが、何より黒岩帝国の牙城にヒビでも入れば、そこから噴き出すスキャンダルは間違いなく孝一郎を直撃することになるのだ。
 しかし・・・孝一郎は薄笑いを浮べて立っている怜を見上げた。

「アゲマン・・ってやつだな、お前のマ○コは」

 一歩間違えばスキャンダルだったが、一旦自分の手に入ってしまえば、この手紙はまさに札束そのものなのだった。
 孝一郎は怜に電話を持って来させると、暗記している番号を押した。
 ワンコールも待たずに相手が出た。

「はい。黒岩でございます」

 感情を感じさせない声で、男が対応した。
 ロボット秘書と蔭で呼ばれている4名の内の一人だ。孝一郎は何度か会ったことは有るのだが、いつも名前も顔も覚えられない。まさに機械が対応しているような味気なさなのだ。

「県警の神田と申します。夜分恐れ入りますが、先生はご在宅でしょうか」
「神田さまでございますね。いつも黒田がお世話になっております。只今連絡を取りますので暫らくお待ち願えますか」

 言葉上は丁寧なのだが、まさに感情を一切挟まずに秘書はそう告げると、保留音に切り替わった。
 孝一郎はその間の暇つぶしに怜をテーブルの上で四つん這いにすると、尻を向けさせ洗浄済みのアナルにサインペンを突っ込みアナルオナニーを命じた。
 怜は自らの媚肉の合せ目から頭を擡げている肉芽を愛撫したっぷりと愛液を分泌すると、それをアナルに塗りこめサインペンをゆっくりと動かしながら自らの腸壁を刺激していった。
 保留音が止まったのは怜のアナルから湿った音が漏れ出した頃だった。

「あ、もしもし。黒岩でございます。わざわざご連絡を頂いた上、お待たせしてしまい大変申し訳ありませんでした」

 受話器から流れ立て来たのは黒岩剛の張りのある声だった。
 闇の帝王のように恐れられている男だが、それを感じさせる重厚さや威圧感など皆無だった。それどころか寧ろ爽やかな印象を聞くものに与えている。
 剛の行ってきたことを熟知している孝一郎でさえ、うっかりするとそんな剛の雰囲気に取り込まれてしまいそうになるのだ。一種のカリスマ性といってもいいだろう。

「とんでもございません。お忙しい黒岩先生にこんな夜分までお電話差し上げて大変恐縮なのですが」

 孝一郎も怜の尻を嬲りながらも言葉だけは丁寧に返した。

「ははは。先生は止めて頂けませんか。私など零細企業の一経営者に過ぎませんので、私からしたら警察庁の次世代を担う神田様の方がよっぽど『先生』と呼ぶに相応しいお方ですよ」
「そんなご謙遜を。お聞きしておりますよ、いよいよ中央に進出されるとか。もう名実ともに『先生』とお呼びするしか無いではないですか。それに私にとっては高校時代からお世話になっている大恩ある『理事長先生』ですから、どうかそう呼ばせて頂けませんでしょうか」

 孝一郎の声にも熱が篭る。剛の低姿勢に騙されて、つい不遜な態度でも取ろうものなら、いつ足を引っ張られるか判ったものではない。剛とコネクションを張りたいと思っている者は県警内部にもごまんといるのだ。

「おやおや。そんな昔話を・・。私の方こそ将来有望な若者に、早くから知り合えて本当に鼻が高いですわ」

 受話器の向うから剛の快活な笑い声が漏れてくる。

「それで、こんな老いぼれにご連絡を頂いたのは・・・」

 ようやく剛が本題に入った。

「ああ。実はですね、ちょっと気になる情報を小耳に挟んだもので、先生のお耳に入れておいたほうが良いのではないかと思いまして・・・」

 孝一郎はそう切り出して、怜の話しをかいつまんで伝えた。

「これは・・・な、なんともお恥ずかしいっ!ウチの馬鹿息子がそんな事をしでかしていましたかっ。全くこれでは親として完全に失格です。しかも、まだ未成年の息子の行為は全て親であるこの黒岩剛の責任です。神田様、どうか昔の誼で、貴方の手で私を逮捕していただけませんか」

 電話の向うで剛の神妙な声がそう言った。

「なっ・・・何を仰るんですか。先生には何の落ち度も御座いません。いえ、勿論先生のご子息にも全く問題など無いのです。それどころか未成年のご子息を誘惑したこの女教師、これは当然ながら淫行罪ですから、先生のご子息は被害者と言ってもいいのですよ」

 孝一郎は熱を込めた声でそう言った。

「なんと・・・そうなのですか。私、法律に関しては本当に無知でして、専門家の神田様に話しを御伺いできて本当に良かった」

 まるで狐と狸の化かし合いのように、剛も朴訥な口調で応じた。

「ただ・・・神田様、それでは一つだけ心配な事が有るのですが」

「判ります。将来あるご子息がこういった性犯罪の被害者となった事を、あまり世間に知らせたくないのですよね。全く親としては当然のお気持ちです」

「ご理解していただけますか。本来、こういった性犯罪は勇気を持って訴え出るべきなのは十分承知しているつもりなんですが、自分の息子がイザその立場に立たされると、矢張り内密にしてしまいたいのです。臆病なバカ親とお笑いください」

「とんでも御座いません。警察としましても、被害者に更に鞭打つ事が無いよう充分配慮をすべきだと認識しております。今回の事案に関しては、幸いまだ私の元に情報が止まっていますので、決して情報が漏れないよう対処いたします」

「これは・・・本当になんとお礼を申し上げれば良いのやら。このご恩は一生忘れませんっ」

「そんな・・これは市民を守る警察としての当然の仕事ですので。どうかお気になさらずに。それより、今後ご子息が再び同じような罠に落ちないために、問題の女教師がどういった手管を用いたか・・・ご確認になりませんか?こちらの手元にその女の手記が有りますので」

 孝一郎はそう持ちかけた。すると、

「・・・ほう、そんなものが・・・」

 ホンの一瞬、剛の声から虚飾が消えた。
 怜を嬲っていた孝一郎の手が止まる。

「それは、是非拝見したいものですね。バカ息子に女の怖さを教えてやるには絶好の教材でしょう」

 しかし、すぐにいつもの快活な声で剛は言った。

「畏まりました。それでは・・・そう、あと1時間ほどでお届けに上がります。もう夜も遅いですので、先生のご自宅の郵便受けにでも入れておきますので」

「いやぁ・・何から何まで。本当にお気遣いいただき申し訳ありません。この黒岩剛で役に立つ事があればいつでも仰ってください。微力ながらお力沿いをさせていただきます」

 そして剛はくどいほど礼を言って電話を切った。
 孝一郎は電話の切れる音を聞いてから満足げな表情で受話器を置いた。
 明日には孝一郎の隠し口座に入金されている事だろう。

「へへへ・・・。“アゲマン”デカってあだ名にしてやろうか」

 孝一郎はそう言って、アナルオナニーに没頭している怜の尻を叩いた。
 既に右手の指が2本もアヌスに潜り込み、同時に左手は前の媚肉でネチャネチャと音を立てていた。

「んぁぁぁんん・・・っくんあ・・・は・・いいっ・・・お尻の穴っ・・ああいいのっ」

 怜はテーブルに顔を直接付けて上体を支えながら、尻を掲げて孝一郎の目の前で全てを晒していた。
 すでにその瞳は力を失い霞んだ視線が宙を彷徨っている。口からは涎が溢れテーブルにしみを作っていた。

「さあて。いったいどの穴が本当のアゲマンか判らないから、3つとも入れとかないとな」

 孝一郎はそう言うと、怜をテーブルから下ろし、そのテーブルに両手を付かせた。そして突き出された尻を抱えると、すっかり柔らかくなりヌルヌルの粘液を分泌しているアヌスに今日3度目の肉棒を埋め込んでいった。
 待ち望んでいた熱い塊の衝撃が、怜の背筋を快感信号となって駆け上っていく。
 尻の穴を征服されるという異常な状況が、刷り込まれたマゾ性を完全に目覚めさせた。

「あっ、ああっ、いいっ!いいのぉっ!あああ、ご主人様ぁ!れ、怜のぉ、飼い主様っ!いっぱい・・・いっぱい下さいっ・・・専用便器のっ・・怜の穴にっ・・んんんああっ・・・」

 怜の屈服の言葉に孝一郎の征服欲も限界まで膨れ上がった。

「怜っ!ザーメン便器っ!お前はっ一生ぉ俺のっチンポ奴隷だっ!肉便器だっ!」

 孝一郎は怜の逞しい尻を両手で固定すると、前の媚肉を突く時と同じ速さで腰を打ち付けていった。
 自分の赤黒い肉棒が尻の穴に自在に出入りするのを血走った目で凝視する。

 ジュボッ、ジュボッ・・・

 ぬかるんだ音と濡れ光る自分のペニス・・・。目を上げれば真っ白い背中が弓なりに反り、脇からブルンブルンと振動に震える乳房が見える。
 もう孝一郎は一瞬も我慢できなかった。
 尻を掴む手に更に力を込めると腰を中心に仰け反りながら、怜の腸の奥深くに熱い粘液をドロドロと注ぎ込んでいった。

「っふぅ~~~~」

 孝一郎は止めていた息を吐き出しながら、腰が痺れるほどの快感の余韻を味わっていた。
 怜は机に突っ伏したまま、気を失ったように身動き一つしない。
 孝一郎は怜の尻を撫でまわし、しっとりした手触りを楽しんだ。
 ペニスはすっかり柔らかくなってしまったが、まだ根元まで怜の尻の穴に差し込んだままだ。
 そして最後の仕上げにかかった。
 後から手を怜の胸に廻し、たわわな乳房の感触を楽しみながら怜の上体を引き起こしたのだ。
 身長は怜と孝一郎はほぼ同じくらい。そして足は怜の方が長い。
 このため怜の尻の穴で繋がったままでも腰の位置が合い、丁度二人は立ったまま密着した状態になっていた。
 怜は身体に力が入らないようで、引き起こされても頭がグラグラしている。そんな怜を孝一郎は後ろから顎に手を掛け強引に自分の方を向かせた。
 怜のトロンとした表情を見つめながら、孝一郎は最後の仕上げに下半身から力を抜いた。
 すると怜の腸の奥に差し込んだ孝一郎のペニスから暖かい小便がジョボジョボと溢れ出し、怜の体内に注ぎ込まれていった。
 その一瞬、怜の表情に驚きの色が浮かび、そしてすぐにウットリした嬉しげな表情に変わっていった。心の底から屈服しマゾの喜びに溺れたその表情が孝一郎にとって最後のご馳走だった。

 (ふふっ。文字通り便器になったって訳だ。くっくっくっ。当分手放せないな、この女は)

 孝一郎は怜を後ろから抱きかかえながら、その甘美な肉体を味わいつつ唇を貪った。

 一方、電話を切った黒岩剛はそれまでの張りのある態度を一転させ、苦々しい表情で秘書に携帯を渡した。
 そして無言で廊下に出て行った。
 ここは黒岩総合病院の最上階であり、院長室を始め病院幹部の執務室や応接室、そしてVIPのための豪華な個室病室が作られていた。
 剛はその病室の一つに入っていった。
 中にはホテルのような豪華なベッドや調度品が設えてあり、そこに一人の患者が横たわっていた。
 顔を包帯でぐるぐる巻きにされ、まるでミイラ男のような出で立ちのその患者は、無論健志であった。
 健志は入って来た剛に一旦視線を当てたが、すぐにテレビの方に向き直ってしまった。
 しかし剛はそんな健志の態度など歯牙にも掛けずに口を開いた。

「健志、お前の計画は中止だ」

 なんでもない事のように剛は軽く言い放った。
 しかし、健志の衝撃は大きかった。

「な・・・なんだてぇっ、オヤジッ!」

 包帯の間から血走った瞳が剛に向けられた。

「ちゅ、中止とはどういう事だっ!」

 健志はベッドの上で荒い息を吐いた。前歯が欠けてしまったため、フシュ~、フシュ~ッと息の漏れる音が耳障りだった。
 剛はそんな健志を横目でチラッと見るとゆっくりと言い含めるように言った。

「お前の女・・・京子とかいったか。アレがお前を警察に売ったぞ」

「なっ・・・・・・」

 健志は思いもかけない事態に言葉を失った。

「ワシの子飼いが警察にもおってな・・・今知らせて来よった。お前のした事を手紙に書いて来たそうだ」

 健志の中で京子の顔が蘇る。

 従順でどんな命令にも逆らわない完全な奴隷に躾た筈だったのに、蔭で俺を警察に売っていやがった・・・

 健志の中で凶暴な血が暴れだし始めた。
 怒りで体中が震え、荒い息に折れた前歯の間を通って染み出してきた涎が包帯の隙間から顎を伝った。

「お・・・おのれ・・・おのれぇっ!裏切りやがったなっ!」

 もうそこにはハンサムで快活なスポーツマンの仮面は無かった。怒りと屈辱で理性を抹殺しかかっている野獣のような狂気を湛えた瞳・・・黒岩健志の本性を現した姿だった。

「こ・・・殺してやる・・・京子もっ、石田奴らもっ!親父ぃっ、何で中止なんだぁっ!簡単な事だろっ、黒岩の力を持ってすれば、ヤクザの2,3人も突っかけてやれば良いだけじゃねえかっ」

「ふっ。駄目だな。ま、一応手紙の件は俺の子飼いが始末出来たみたいだが・・・。問題はそんな事じゃない。本当の問題は、お前が自分の女を読み違えていたことだ。お前が立てた計画は、全て京子がお前の側につく事を前提にしている。だから石田姉妹を拉致しようが、輪姦しようが、最終的には黒岩の名前は表に出る事は無い。ところが、肝心の京子が寝返ってみろ。二人の失踪を自分の件と関連付けて警察やマスコミにリークされてしまうかもしれんのだ」

「だから、早いとこ京子をやっちまえばっ」

「駄目だ。無論、お前の言うやり方でも7割程度は成功するだろう。しかし、それでも3割もリスクがある。これから中央政界に打って出ようとしている矢先に、こんな博打はうてんな」

 剛は完全に冷徹な経営者の顔になって健志に言った。

「そっ・・・それじゃあ俺は遣られたままかよっ!あいつ等に大きな顔をさせておくのかよっ!」

 健志が歯軋りせんばかりに剛に言い寄った。

「そんな訳が無かろうっ!!うろたえるで無いわっ!!」

 突然、剛の怒声が病室を震わせた。
 怨念を漲らせた健志でさえ、その迫力に飲まれた。

「この黒岩に牙を向けたメス犬を放っておいては、雑魚どもに舐められるわっ!良いか、健志。このメス犬どもの始末はこのワシが着ける。もう子供の出番ではない。ワシの遣り方を良く見ておきなさいっ」

 剛は言い放った。

「オヤジ・・・何をする気だ」

 健志は唾を飲み込んで訊いた。

「最も安全、確実な方法をとる」

 そう言って剛は後ろに影のように控えている男に視線を送った。

「健志、お前はこいつを・・室田を知っていたな」
「え?あぁ、知ってるよ。2年くらい前から親父の秘書をやってるんだよな」

 健志は『いったいそれが何の関係があるのか』といった訝しげな表情で答えた。

「こいつ、お前と最初に会ったときと大分雰囲気が変わったのは気付いているか?」

 この問い掛けに健志は思い出した。

 (最初に会った時は・・・そうだ、ウチに来て親父と何か仕事の話しをしていたなぁ。俺が学校から帰ってきて偶然遭ったんだ。こう、目を輝かせて・・・なんか野心家って感じだったな。でも・・・今じゃロボット秘書の一人・・・か)

「こいつ、中々優秀な奴でな。ワシの事業を大きくするネタを持っておった。それに抜け目も無い。それで秘書に抜擢してやったんだが・・・ちょっと優秀すぎてな、色々知らなくても良いことを探り当ててしまったんだ。それでワシにこう言いよった。『このまま警察に言いましょうか?それとも引退して僕に道を譲って貰えますか?』だと。無論、ワシの力を充分に知った上での賭けにでよったんだ。ネタは当然隠してあった。1週間以内にこやつから連絡が無ければ、自動的に警察にいくことになっておった。さて、ワシはどうしたと思う?」

 剛は気楽そうにソファに腰掛け、健志に問い掛けた。しかし、無論健志には皆目わからなかった。
 そんな息子の表情を剛は楽しげに眺めてから言った。

「なぁに簡単なことだ。1週間でこいつを洗脳してやったんだ。完璧にな」
「洗脳・・・って、なんだそりゃ。変なインチキ宗教みたいなことをしたんか?そんなんで効果あるのか」

 健志はあからさまに不信そうな顔をした。

「有るんだ。見てみるがいい、この男を」

 そう言うと剛は室田の顔から濃いサングラスを引ったくった。
 そしてそこに現れた室田の瞳を見て、健志は背筋が凍りついた。

 感情の無い、乾ききった心がそのまま表れているような瞳だった。まさにロボット・・・

「ワシの懐刀・・・いや違うな・・・恐らくジョーカーといった方が適切だろう・・・そんな組織が有るんだ」

 剛が健志を見ずに壁の方に向って喋り始めた。

「たとえお前でも・・・息子であるお前でも今はまだ詳しくは話せない、そんな組織がアンダーグラウンドの世界には有るんだ。ワシは2年ほど前にとある伝手でこの組織のことを知っておった。無論殆ど信用していなかったがな。しかし室田の件はワシも少々手を焼いていてな、あまり大事(おおごと)にせずスマートに解決したかったんだ。それで、試しにこの組織に接触し、依頼をしたんだが・・・」

 剛の顔が徐々に高潮してきた。

「完璧だった。僅か1週間でこの男は別人になって帰ってきた。優秀さはそのままに、俺に対する絶対の忠誠心を心に刻み込まれてな。それだけでは無い、こやつの生命線である極秘情報の隠し場所など、預けてたった半日で謳わしよった。あいつらは言いよった『貴方の望み、叶えます』と。それは本当だった、あの、マインド・サーカスの力は本物だったんだっ」

 健志は剛の言葉に圧倒された。

 (人の心を変えられるのかっ!あの高慢な諒子を、生意気な美紀を、こんなロボットにしてしまえるのかっ?!)

「今回の件は、京子が寝返った時点でお前にとってはゲームオーバーだったんだ。あとはワシがあの姉妹を洗脳して事件自体を葬り去る。これで一件落着だ」

 そういって剛は軽く手を打ち鳴らした。
 健志はそれを黙って聞いていた。何かを必死で考えるように鋭い視線を宙に据えている。そして、やがて小さく頷くと口を開いた。

「親父、一つだけ質問をさせてくれ。その組織に頼むとみんなこんなロボットになっちまうのか?」
「ん?いいや、そうじゃない。これは俺のリクエストだ。俺に牙を剥いた男には相応の罰を与えねばならんからな。俺はこいつから表情を奪ったんだ。こいつは俺の命令がないと笑うことも泣くことも出来んのさ」

 復讐と言うには余りに凄惨な仕打ちだった。
 しかし、健志はその仕打ちのことさえ頭に入っていなかった。それどころではない、気が狂うほどの歓喜が全身から湧き上がっていたのだ。

 (リクエストどおりに洗脳出来るんだっ!あの諒子も、美紀もっ!!)

「お、親父っ!お、お・・・俺にっ、リクエストを出させてくれっ!頼むっ」

 健志は恥も外聞も無く剛の膝にしがみ付いて頼み込んだ。

「健志っ!黒岩の男が跪いたりするなっ!」

 剛は健志を見下ろして叱責した。
 その言葉に健志が顔を上げる。
 一瞬、二人の視線が絡み合い、そして驚くべきことに剛の方が反射的に視線を逸らせていた。

 まるで地獄の亡者が這い上がってきたような、そんな怨念を湛えた瞳に豪胆な剛が一瞬たじろいでしまったのだ。

「健志・・・お前、そこまで執着するのか・・・あの女達に」

「ああ。俺は引かないぜ、親父。あいつ等に生き恥をかかせてやるまでは、10年でも20年でも絶対に引かない。この俺に、この黒岩健志に刃向かったことを死ぬまで後悔させてやるんだっ!!」

 黒岩の血に綿々と受け継がれてきた黒い力が一気に開花したように健志は異様な迫力を身につけて父、剛に迫っていた。
 一方剛は、まるで鏡を見るように健志の中に自分を見ていた。そして、小さく苦笑いをすると口を開いた。

「ふふふ。判ったよ。健志、お前の望みを聞いてやろう。やはり、お前は黒岩の男だ。見直したよ」

 そう言って肩をぽんと叩いた。

「明日の夕方まで待ってやる。それまでにリクエストを纏めておけ。判ったな」

 剛はそう言ってようやく病室を後にした。
 独り残った健志は、ベッドに腰掛けながらそれにも気付かずに自分の考えに没頭していた。

 (くくくくっ・・・いまに見てろっ、諒子、美紀、そして京子!地獄を見せてやるからなっ!決して終わらない地獄をなっ・・・)

 そして翌日、剛は意外な健志のリクエストを聞いていた。

「本当にこの2人だけでいいのか?それにリクエストはこれだけで良いのか?」
「ああ。いいぜ。その2人だ。そしてそのリクエストだ。最低限、親父に迷惑は掛からない内容にしたつもりだぜ」

 健志は徹夜に疲れた表情ながら、目だけは強く光らせて言った。

「ふん。確かにな。よかろ、ではこれで早速発注してこよう。ま、精々1週間程度で片はつくと思うぞ。お前はその時までに自分の身体を直しておくんだな」

「ああ。判ってるよ、親父。たっぷりと英気を養っておくつもりだ」

 健志はそう言って、満足そうな表情でベッドの上で目を閉じたのだった。

< つづく >

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