催淫師 暗躍編(4)

暗躍編(4)

 二人が入ったのは、六畳の和室であった。そこには机が一つあるだけで、片付いているというよりは他に何もなかった。
「ここは・・・?」
 尋ねる啓人の声にも、不思議そうな響きが含まれている。ゴミどころか、塵一つ落ちていないその部屋からは、生活の臭いがまるで感じられないのである。
「私の部屋です」
 その回答は予想していた事である。
「それにしても、片付きすぎてないか?」
 まるでこの部屋を作った直後、ずっと時が止まっていたかのようであった。啓人の疑問を悟ったのか、佳純は苦笑した。
「双子の姉と暮らしてるんですが、これくらいやらないとその子が煩いんですよ」
 そう言う佳純の顔は、子を慈しむ母親のようであった。
(潔癖症って事か・・・)
 そう結論付ける。
「それじゃ脱げ」
 佳純は二、三度瞬きをした。
「脱ぐって・・・今此処で、ですか?」
「当然だろう」
「え・・・でも・・・」
「脱ぐんだ」
「は、はい・・・」
 強くなった語気に、圧されて佳純は脱ぎ始める。はらりと服が、下着が落ちていき、やがて真っ白な肢体が現れた。
「思ったより、良い体をしているなあ」
 ふくよかで形の良い胸、くびれた腰・・・幼さが残る顔や仕草とは、ギャップがある。
「そ、そんなに見ないで下さい・・・」
 本人は顔を真っ赤にして、胸と下半身を手で覆う。
「何故隠す?」
 不快感を押し殺したような声である。
「いえ、その・・・は、恥ずかしくて・・・」
 最後の方は、声にならなかった。
「俺以外に誰もいないのに、何故恥ずかしがる?」
「だから、その・・・」
「はっきりしろ!」
 その‘喝‘で、佳純は思わず背筋をしゃきっと伸ばした。
「ご、ごめんなさい・・・」
 わけも分からないまま、謝罪の言葉を口にした。それを見ていた啓人は、眉をひそめると佳純に近づいた。
「どうやら甘かったようだな」
 低く押し殺した声と、氷のような視線。それに気付いた佳純の背中に、悪寒が駆け巡った。
「ひっ・・・」
 怯えた顔になると、佳純は後ずさりを始めた。まだ健在である退魔士の血が、彼女に警告を促していた。
「止まれ」
 冷徹な声が彼女の体に命令すると、足の動きがぴたりと止まる。
「な、なんで・・・?」
 佳純は泣きそうな顔になっている。その様子から、彼女の意思に反した行為である事はわかる。
「ふん・・・」
 啓人は疑問に答えず、嘲りの声をもらした。
「度が過ぎる羞恥心は邪魔なだけだ。お前は‘人形’にした方が良さそうだな・・・」
 言い終わると同時に、体からは妖気が溢れ出す。佳純の体がドクンッと鳴ると、体内から霊気と同時に妖気も流れ始めた。啓人が佳純の魂に妖気を密かに刻み込んでいたのである。これこそ、佳純を束縛していた原因であった。
「え?え?」
 自分の体内から妖気が出ている事に気付き、佳純は完全に錯乱していた。
「煩い・・・」
 啓人はそう呟くと、妖気の塊を佳純の頭に浴びせる。それは佳純の霊力では到底防ぎきれず、たちまち佳純の意識は飛ばされた。目は開いているが、顔に表情というものが全くない。
「傀儡の術を使っても良いんだがな・・・はっきり言って面倒だからな」
 啓人にとって、面倒なだけの術を使ってまで手に入れたい存在ではなかったのである。
(千鶴がいれば、千鶴にやらせても良いんだが・・・)
 忠実な女を連れて来なかった事を、少し後悔している。
「まあ良い・・・」
≪隔つる壁を穿ちて黒き糸を紡がん・・・≫ 
 詠唱を終えると佳純に、体と言うよりその魂に作った‘道’を通して更なる妖気を送り込む。
「うっ・・・あ・・・」
 自分の思考や意思を付加した気─‘思念’を相手の脳に直接送り込み、従来の精神を破壊もしくは制圧する。これによって、自分の忠実な存在を作り上げる・・・精神感応の強力版ともいうべきこれこそ、啓人の言う傀儡の術なのである。どのみち、自分の精神で対象の精神を支配するという術なので、常人が行えば廃人にもなりかねない、術者にとっても危険な術の一つなのであった。
「あ・・・」
 佳純は全裸のまま、畳の上に倒れた。
「やっぱり面倒だな・・・」
 啓人は普段の調子に戻ってぼやく。他人の十分の一の速さで終えても、その様子に揺るぎはない。
「それなりに愉しまないと、とても割に合わないな」
 佳純を見下ろすその目は、楽しそうであった。啓人は屈み込むと、手の甲を佳純の頬に当てる。
「もう目が覚めるだろ」
 ぺチぺチと二、三回頬を叩く。
「うん・・・」
 微かに声がもらすと、佳純はふらつきながらも立ち上がった。
「起きたか?」
「はい・・・おはようございます、啓人様」
 啓人への忠誠心以外は全て消えた佳純の目は虚ろで、声に力もなく一本調子であった。
「快楽以外は何も感じないようにしてある。嬉しいだろう?」
「はい・・・」
 感情が全くこもっていない返事が返ってくる。快感以外は、もう喜ぶ事も悲しむ事も出来なくなったのである。
「それじゃつまらないからな・・・前の何倍も感じるようにしてやる」
 一度完全に傀儡と化した者を‘操作’するのは、大した事ではない。
「俺に全てを捧げてもらおう」
 啓人は、佳純を畳の上に寝かせた。佳純はどこも隠そうとはせず、脱力しきっている。
「それじゃまずは味見を・・・」
 片方を口に含むと、もう片方を手で掴む。
「んんっ・・・」
 まだ何もされていないのに、既に艶の入った声を出す。白くて弾力のある胸を揉みながら、口で乳首を弄ぶ。もう一方では、手だけで同じ事をする。
「あふんっ・・・・あっ・・・・んっ」
 ゆっくりとした責めにもかかわらず、佳純は悶え始める。
「んんっ・・・ああっ・・・」
 表情も段々と蕩け始めるのを見て、啓人は下へと矛先を変える。
「あっ!・・・」
 啓人がクリトリスを刺激すると、より顕著な反応をした。そして啓人は、舌を割れ目へと持っていく。
「おやもう濡れているな」
 佳純に聞かせる為ではなく、自然にもれた言葉の通りもう十分に濡れていた。
「挿入しても良いか?」
 わざとらしい質問に、佳純は力なく頷く。その次の瞬間、音を立てて佳純の中に啓人が入った。
「んあっ・・・」
 声を出して体を仰け反らせたが、佳純に処女喪失の痛みは全くなかった。
 それどころか破られた瞬間には、より凄まじい快感に襲われた。
「ああ・・・んあ・・・」
 啓人は念じて佳純の‘締め付け’を封じただけで動こうとせず、佳純は余波だけで喘いでいた。

「そろそろ良いか・・・」
 やがて啓人は呟いた。今まで動かなかったのは、佳純が耐えられるようにする為・・・苦痛ではなく、快感に。
「取り敢えず、感度は戻しておこう・・・」
 啓人が念じると、佳純の体に宿る妖気が、念じた通りに変えていく。
「これで大丈夫だろう・・・」
 佳純の感度を通常に戻したのである。
「さてと・・・」
 啓人はゆっくりと腰を動かし始めた。
「あ、うんっ・・・あっ」
 声を上げる佳純に、自分の体にしがみつかせると、啓人はいつもよりもきつめに責め始めた。
「あん、あん、あん」
 佳純は途端に、人形にされたとも思えない程喘ぎ出す。
「ああん、あん、あん、」
 啓人からは途方もない快感を送り込まれてくる。
「あっ、あっ、あっ、」
 啓人はいつもより加減していない為、普通なら失神してしまう程の快感に襲われているのである。喘いでいる筈の佳純の顔は、若干歪んでいる。
「やはりな・・・」
 啓人は溜め息をつくと、快感を送るのを止める。それに伴い、佳純はぐったりとして啓人に寄りかかった。
(過ぎたる快感は苦痛と同じ・・・か)
 佳純の体は、数回痙攣した。感度を下げていなければ、あるいは人形でなければ狂っていたかもしれない。
(やはり本気を出すわけにはいかないな)
 今回の‘実験’の結果、啓人はそう結論付けた。
「じゃあ今度こそ愉しもう」
 そう言った途端、佳純はぐいぐいと締め付け始めた。
(処女だっただけに、かなりの締まりだな)
 そう思いながら、啓人は一突きする。
「あうっ・・・」
 快感がいきなり全身を駆け巡り、佳純は仰け反った。少しの間を置くと、啓人はまた一突きした。
「はうっ・・・」
 それを繰り返しながら、少しずつペースアップし始める。
「あんっ・・・・・あんっ・・・・あんっ・・・あんっ・・・」
 声は小さいが、確かに感じている。啓人は腰を動かしつつも、口で乳首を責め始める。
「あんっ・・はんっ・・・あんっ・・ああんっ」
 二点を絶妙に責められ、佳純は一気にクライマックスを迎えようとしていた。
「なかなか良い味だ・・・出すぞ」
「あっああっ!!」 
 啓人は佳純の中に射精し、佳純は失神した。崩れ落ちる佳純の体を手で支え、啓人はそのまま活を入れた。
「う・・・」
 佳純は直ぐに目覚めたが、気だるげな印象は否めない。まだ体が慣れていないのが原因である。
「今度は後ろだな。四つん這いになれ」
 命令に佳純は黙って従い、顔を啓人の方に向けた。
「こっちに向けるのは尻だ。後、手を机につけ」
 佳純はのろのろと言われた通りにすると、その恥ずかしいポーズのまま次を待っている。時間の経過と共に、外も部屋も暗くなり始めてきている。
「少し急ぐか」
 佳純を‘堕とす’為だけに来たわけではない。啓人は薄暗い部屋に妖しく映る、白い尻に手を伸ばす。啓人はそれをひとしきり愛で、その感触を愉しむと、後ろの穴に挿入する。
「んあっ・・・」
 佳純はうめきに近い声をもらした。
「こっちも良い感じだな」
 慣れるのを待たずに、啓人は動き始める。 
「んっ・・・あっ・・・んんっ」
 徐々に動きが速くなり、佳純の手にも力がこもる。
「あんっ・・・あんっ・・・あんっ・・・」
「ほら、もっと尻を上げろ」
 そう言ってパンッと尻を叩く。
「ああっ・・・あんっ・・あんっ」
 啓人は佳純の反応を見て、より荒々しく突く。
「あんっ、あっ、あっ、あっ」
 佳純はもう限界に近づいていた。
「ちゃんとイクッて言えよ」
「イ、イク・・・」
 佳純は、床の上に突っ伏した。
≪魅矢・・・≫
≪はい啓人様・・・≫
≪見張りはもう良い、こっちへ来い≫
 障子をすり抜けて、魅矢が部屋に現れた。
「啓人様・・・」
 魅矢は何か言いたそうに啓人を見る。
「ああ分かってるよ」
 誰かが此処の敷地に入って来たの感じたのである。
「霊気からして、多分佳純の家族だ」
「そ、そうですか・・・」
 そこまでは分からなかった魅矢は、驚くと同時に感心した。
(そんな事まで分かるなんて・・・)
「それより気配を隠せよ」
「は、はい・・・」
 啓人に指摘されて、魅矢は慌てて自分の気配を絶った。 
「ただいまー」
 涼しげな声が聞こえた。
「佳純ー、いないのー?」
 何も知らない声の主は、佳純を探しているらしい。
「佳純、迎えに行ってやれ」
 そう言われて、佳純は全裸のまま立ち上がった。その拍子にポタポタと、数滴液体が畳に落ちた。
「啓人様・・・」
 魅矢は驚きとも、呆れともつかない顔をした。それに気付いた啓人は、悪戯っぽい笑みを浮かべた。
「きっと面白い反応があるぞ?」
「それは・・・」
 魅矢が返事に困っていると、切り裂くような悲鳴が聞こえた。
「ほらな。俺達も行くぞ」
 啓人は立ち上がり、女霊を伴って声の聞こえた方へ向かった。
 

「佳純っ!どうしたのっ!?」
 玄関で妹の姿を見た清華は、靴を脱ぎ捨て、鞄を放り出して佳純に駆け寄った。一糸纏わぬ全裸の上、股間からは白い液体が流れている。
「佳純っ!」
 肩を揺さぶっても、虚ろな顔をした妹は全く反応しない。
「一体何があったのよっ・・・」
 清華の整った顔が、崩れる。 
「教えてやろうか?」
 不意に聞こえた男の声に、清華は愕然とした。そこには男だけではなく、霊の姿もあったからである。そして何より、男の顔には見覚えがあった。
「さ、冴草先輩・・・?」
 驚きを隠さずにその名を口にした。名前を呼ばれ、啓人も意外な顔をする。
「俺の事を知っているのか?栗橋」
(私を知っている?)
 またしても驚かされたが、一つの考えが浮かんだ。
「それは・・・先輩はもう有名ですよ?それより、先輩が佳純に何かしたんですね」
 清華も馬鹿ではない。状況から犯人が啓人である事は、既に見当がついている。
「人形になってもらったんだよ。結構良い出来だろう?」
 啓人は得意げな顔をした。それを見た清華は、たちまち頭に血を上らせた。
「貴方はっ!人間なんかじゃないっ!」
「失敬な。俺は人間だぞ」
 その答えに神経を逆なでされたが、清華はそれ以上は何も言わなかった。いきなり啓人へ向かって突進し、上段蹴りを繰り出した。啓人はその一撃を苦もなくかわし、あっさりと清華の後ろをとってしまった。
「そ、そんな・・・」
「遅いな」
 抱き締めるようにして、清華の動きを押さえ込んだ。 
「佳純」
 啓人に呼ばれ、正面に回った。
「佳純っ!目を覚ましてっ!」
 その叫びにも反応せず、佳純は只命令を待つ。
「姉を悦ばせてやれ」
 一瞬の間を置いて、意味を悟った清華から見る見るうちに血の気が消えていった。
「い、嫌っ!止めてっ!」
 じたばたともがくが、啓人はびくともしない。
「何をするのか、まだ言ってないぞ?」
 からかうような台詞を聞くと、清華の動きがピタッと止まった。
「え?だって・・・」
「一体何をされると思ったんだ?」
 清華の顔が真っ赤になった。勘違いしていたかもしれない、という考えが浮かび、恥ずかしさの為に何も考えられなくなった。
(隙アリ)
 啓人はその隙を逃がさず、清華の唇と自分のものを重ねた。
「んんっ!?」
 顔を背けようとしても、啓人の手がそれをさせない。啓人から流し込まれた唾も、強引に飲み込まされた。数秒後、啓人が唇を離すと清華は、床にへたり込んだ。
「あ・・・あ・・・」
 清華の目から力が消えていき、唇は開き涎が垂れる。
「け、啓人様?」
 何故清華に異変が起こったのか、魅矢達はついていけない。
「唾想朦だ」
「だそうもう?」
 初歩的な技の一つで、自分の唾を飲んだ相手の意識を奪う。但しこれは一時的なものであり、実用性は低い。
「どうしてそんな技を?」
 魅矢は解せなかった。何故わざわざ実用性の低い技を使ったというのか。そう言いたげな顔を見て、啓人はふっと笑った。
「退魔士なんかは、内から責めるのが有効なんだよ」
 そう言って、啓人は詠唱に入る。
≪隔つる壁を穿ちて黒き糸を紡がん・・・≫
 詠唱を終えると、啓人は清華の状態が回復するのを待った。

「ん・・・」
 清華はやがて戻って来た。瞬きをし、頭を二、三回振ると立ち上がった。
「私は確か・・・」
「エッチをしたくなったんだろう?」
 そう言われて、啓人の存在に気付いた。
「貴方はっ!・・・え?」
 怒鳴りつけようとした途端、いきなり心臓がドクンと鳴った。
(エ、エッチしたい・・・う、嘘でしょ?)
 清華は自分の考えを知って愕然とした。
「俺に抱かれたいんだよな?」
「だ、誰が貴方なんかに・・・うっ・・・」
 清華は反論しようとしたが、胸を抑えて屈み込んでしまった。
(せ、先輩に抱かれたい・・・ど、どうしてよ?)
 自分の考えを知り、泣きたい衝動に駆られる。 
(佳純を、酷い目に遭わせた相手に・・・!)
 唇を噛みながら、清華は啓人に近づいていく。
「な、何をしたんですかっ・・・」
 清華は啓人を睨みつける。啓人はその視線を受け止めたが、質問には答えなかった。
「まず、下着を脱ごうか」
「嫌よ・・・!」
 感情を押し殺した声だが、悔しさは隠せない。
「でも脱ぎたいんだろう?」
 誰が、と言おうとした。だが、またしても心臓が鳴る。
(脱ぎたい・・・嫌っ!)
 そう思いつつも、手はスカートの中に伸びていく。
「だ、だめ・・・」
 そう言っても、白い布は既に手の中に収まっている。
「ふむ・・・下着は姉妹お揃いなんだな」
 簡潔に感想を述べられ、清華は俯いた。
「み、見ないでよ・・・」
 肩を震わせて言った。
「何て言ったんだ?」
「見ないでっていったのよ、この変態!」
 不意に顔を上げ、きっと啓人を見る。怒りが他のあらゆる感情を凌駕したらしい。
「結構しぶといじゃないか・・・」
「当たり前よ!誰が貴方なんかに!」
「そうか・・・」
 啓人は笑みを浮かべた。
(そうやって人を見下してなさいよ!)
 必ず後悔させてやる、その思いが清華を満たしていた。 
「エッチはしたくないんだな」
 そう言われた瞬間、ドンッ!と今までとは比べ物にならない感覚に襲われる。
(ど、どうして・・・?)
「う・・・あ・・・」
 体の内から湧き上がってくる、とてつもない衝動。
(したい・・・エッチがしたい・・・!エッチがしたい!)
(だめっ・・・だめっ!・・・したいっ!・・・したいっ!・・・だ、め・・・)
 頭を抱えて、その場に座り込んだ。
「佳純、手伝ってやれ」
 啓人は共に清華の様子を見守っていた、佳純を指名した。
「はい・・・」
 佳純はゆっくりと清華に近づくと、立ち止まって啓人の方を向いた。
「舐めてやるんだ」
 目で清華の下半身を示した。
「はい・・・」
 指示を確認した佳純は、正座すると清華のスカートを捲り上げた。
「か、佳純・・・」
 肩で息をしつつ、妹に話し掛ける。返事の代わりに虚ろな目で見られ、清華は言葉に詰まってしまった。
(佳純・・・・・・)
 目を伏せ俯くと、佳純が口を割れ目につけた。
「ああっ・・・!」
 本人の意思とは無関係に、快感が全身を駆け巡り体がしなる。
(だ、だめなのにっ・・・!あっ!)
 佳純は休む間もなく、ひたすら舐めている。
「か、佳純っ、だ、だめっ・・・や、止めっ・・・」
 快感を送り込まれ、抵抗する事が全く出来ない。
「あうんっ、だめっ・・・てば・・・ううんっ・・・」
 啓人と魅矢が見守る中、双子の姉妹が玄関で絡んでいる。
(そろそろかな・・・)
 二人を見ていた啓人は、次に移る事にした。
「もっと感じたいんだろう?」
 啓人の声は、甘い誘惑となって清華に届く。
「あうっ!・・・はあっ!・・・んうっ・・・」
(・・・もっと・・・・・・感じたい・・・・・・?)
「お前はもっと気持ち良くなりたい筈だ」
(私はもっと・・・んっ・・・気持ち良くなりたい・・・?あっ・・・違う・・・!そんな事を・・・はんっ・・・望んでなんかっ・・・ああっ・・・いるの・・・)
「なりたいんだろう・・・?」
「な、なり・・・ああっ・・・なりっ・・・んっ・・・なりたいっ・・・」
「佳純、止めろ」
 声に応じて、清華への攻勢がピタリと止まった。
「ど、どうして・・・?」
 腰をくねらせて、不平を言う。
「佳純、離れろ」
 スカートの中から顔を出し、立ち上がって数歩後退する。
「せ、先輩・・・」
 何とも形容し難い顔つきで、啓人を見る。
「何かようか、栗橋?」
 啓人はとぼける。その意図を察し、清華の顔は真っ赤になった。
「そ、その・・・」
 清華は俯きながら、全身でもじもじを表現していた。 
「お願いも出来ないのか?」
 大げさに肩を竦められ、小さくなってしまった。
「お、お願いします・・・」
「受け入れ態勢になったな。よしそれじゃあ・・・」
 啓人から清華へ、多量の妖気が流れ込んだ。
「きゃあ・・・・・・」
 清華が悲鳴を上げたのは一瞬の事で、虚ろな表情になった後、床に倒れ込んだ。何度か‘慣らし’をされていた上、受け入れ態勢になったので、佳純と比べてほとんど抵抗はない。
(こいつの自我は残しておくか・・・)
 精神の征服は行わず、自分への忠誠・愛情だけを植え付ける。
「うん・・・」
 清華は気が付くと、慌てて啓人に頭を下げた。
「あ、あの・・・その・・・」
「啓人って呼んで良いぞ」
「は、はい・・・啓人・・・様・・・」
 呼び方は少しぎこちなかった。
「で?何かあるのか?」
 少し冷淡な訊き方であった。
「え・・・その・・・処女を・・・」
 口をもごもごさせている為、かなり聞き取り難い。
「何だ?」
 眉をひそめられ、清華は少し焦った。
「わ、私の初めての人になって下さい」
「嫌だって言ったら?」
 勇気を振り絞った一言に対して、この即答である。当然と言えば当然、清華は泣き出しそうな顔になった。
「お、お願いします・・・お慈悲を・・・」
 そう言う声は震えていた。
「冗談だ」
 真剣な表情でそう切り返した。一瞬戸惑った清華を素早く抱き寄せ、手をスカートの中に滑り込ませた。
「きゃっ!」
 クチュッと割れ目をなぞられ、清華の体はピクッと反応した。その拍子に、床に数滴液体が飛ぶ。
「もうグショグショなんだな」
 そう囁かれ、頭を啓人の胸に預けるようにした。
「い、言わないで下さい・・・」
 そう言って顔を伏せる。啓人は指で、そんな清華のクリトリスを弾いた。
「あんっ!」
 その反応を見ながら、啓人はにやにやしている。
「淫乱なんだな」
「ち、違います・・・」
 清華は必死に否定しようとするが、啓人はそれを許さない。
「その通りです、だろう?」
 強めにクリトリスを刺激する。
「きゃんっ!」
 清華は思わず仰け反ってしまう。
「違うなら止めても良いんだぞ?」
 確認、というよりも脅迫に近い。
「どうなんだ?」
 今度は何もせず、清華の顔を見る。
「そ、そうです・・・私は淫乱です。だから・・・だから止めないで下さい」
 右手で啓人の胸を掴み、哀願するように啓人を見上げた。
「良く言ったな」
 啓人は左手で、清華の顎を撫でた。
「佳純」
 啓人は近くに控える少女を呼ぶ。それと同時に、清華も佳純へと視線を遣った。それは明らかに姉が妹へ向けるものとは違った。
「玄関の戸を閉めてくれ」
「え・・・」
 清華、そして魅矢から同じタイミングで声がもれた。今まで玄関の戸が開いていた事に、二人共気が付いていなかったのである。
「開けっ放しは嫌だろう?」
 そんな二人に啓人は、どこまでも意地の悪い笑みを浮かべた。

< 続く >

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