催淫師 妖染 崩山(4)

妖染 ─ 崩山(4) ─

 柏山大附属高校の運動場では、体育の授業でラクロスが行われていた。赤と白のどちらのチームの選手も全員下着姿であった。そして二チームが対戦している間、他の生徒達は腰を下ろして見学していた。
「ゴール!」
 白チームが得点し、それを同じく下着姿の審判の生徒が告げた。それを見ていた他の生徒達から、拍手が沸き起こる。その中で二人だけ反応しなかった者達がいた。男子と女子が一人ずつ、彼等は試合を見ていなかったのである。
「あっ・・・ふうっ・・・冴草君の・・・おいしい・・・」
 女子生徒は男子生徒・啓人にパイズリをしていた。胸だけでなく時々口でも奉仕している。そしてその一挙一動を啓人は見ていた。
「ちょっと、それも良いけど試合も見なさいよ」 
「そうよ、もうすぐ一時間目は終わるんだから。最後くらい見れば?」
 二人の事に気付いた周りの生徒は注意した。だが実際には女子生徒に言うだけで、啓人には誰も注意しようとしなかった。
「試合終了~!」
 審判の声を合図に観戦者は立ち上がると、全員で後片付けを始めた。だが啓人はそれに加わらず、一足先に教室に向かった。

「んんっ・・・んんっ・・・」
 周りが制服を着ている中、いち早く着終わった者が啓人の足元に跪いていた。
「大分巧くなったな」
 そう褒められた少女は、口を動かしながらも嬉しそうな顔をした。
「出すから飲めよ」
 言うと同時に精液が放たれ、少女は喉を鳴らして飲んでいく。一滴も零さずに飲み終わると、チャイムが鳴って教師が入って来た。
「起立っ!礼っ!着席っ!」
 授業前の挨拶が済むと、女教師は教室内を見回す。女生徒が各学年十三名ずつ、そして男子が一名の計四十名。
(全員出席ね)
 担当クラスの出欠を確認し終わると、女教師は教卓の上に腰を掛けた。顔ぶれは毎日多少変わっているが、何ら問題はないのである。
「それでは授業を始めます」  
 女教師はそう宣言すると上下の下着を器用に脱いだ。そして右手を胸に、左手を股間へと持っていく。
「ん・・・」
 彼女は両手で敏感な二箇所を刺激しながら声を上げる。女教師は授業の最初に自慰に耽る姿を見せるのが‘当たり前’なのである。
「んっ・・・あ・・・あぁ・・・」
 彼女が全てを曝け出し、あられもない声を上げる姿を教室内の全員が見ている。
「はあぁ・・・ああ・・・」
 生徒達の視線を意識しながら、淫気を発し始めている。そして達するまでは絶対に止めてはいけないのである。
(皆こうやるのよ・・・)
「ああっ・・・あんっ・・・」
 心の中で生徒達に語り掛けながら、両手の動きは速くなっていく。淫気に当てられた少女達は、頬を上気させながら見守っている。中には触発されて始める者もいる。
「あん・・・ああ・・・」
「あっ・・・あ・・・」
「ふあぁ・・・」
 一つしかなかった喘ぎ声が、少女達の中からも上がり始める。
「ああっ・・・いい・・・」
「ああ・・・うん・・・」
「んっ・・・あっ・・・」
「あ・・・ああ・・・」
「んん・・・あぁ・・・」
 幾つもの声が入り混じり、淫靡な空気が教室内に広まっていく。そして更に多くの少女が始める。
「ああ・・・んん・・・」
「んくっ・・・あっ・・・」
「はあぁっ・・・ああっ・・・」
「あっ・・・ああっ・・・」
「あんっ・・・ああんっ・・・」
「ふっ・・・あっ・・・んっ・・・」
「ん・・・んん・・・」
 その現象はやがて教室全体へと広まった。程度の差はあるが、一人しかいない男子以外は全員快感に浸り始めた。
「ああっ、あああっっ・・・」
 女教師は一番速く達しようとしていた。
「あああっ、イ、イきそうっ、ああっ・・・」
 だが後少しというところまでいきながら、どうしても達せない。
「ああっ・・・・・・君・・・さ、冴草君・・・」
 彼女はうわ言を言うかのように、男子生徒の名を繰り返した。決して大きくない声を聞きつけると、啓人は席を立って教師の側へ行った。
「呼びましたか?」
 そう尋ねる姿はとても落ち着いており、淫靡な空気が満ちた教室内にいると思えない。
「あ、あの・・・お願い・・・」 
 潤んだ目で見上げ、体をくねらせて生徒を誘う。その姿は教壇に立つ人間とは思えない程色っぽい。
「早くして・・・あなたのオチ×チンを・・・」
 啓人が沈黙しているのを見て、尻を振って誘惑しようとする。
「先生は結婚してるんでしょう?」
 啓人は尻の動きには目もくれず、指輪がはめられた教師の薬指を見つめる。
「関係ないわ・・・生徒に犯らせるのが教師の務めよ」
「そうでしたね」
 啓人はニヤリと笑いながら服を脱がせていく。やがて多少たるんでいるが、肉付きの良い官能的な体が露わになる。
「ねえ・・・早くぅ・・・」
 待ちきれないとばかりに女体が啓人に擦り寄る。
「全く・・・可愛がってもらってないのか?」
 啓人は指を二本、たっぷりと濡れた中へ挿入した。
「あああっ・・・ち、違う・・・」
 指で掻き回され、よがりながら首を振る。
「何が違うんですか?」
「ゆ、指じゃ、ああっ、あああっっ」
 意地の悪い質問に答えようとした時、強烈な快感を送られて仰け反った。
「佳枝先生・・・日本語を話して下さいよ」
 全ての元凶は笑みを浮かべながら言い放った。
「あぁ・・・意地悪・・・」
 恨めしそうな佳枝を見て、啓人はますます楽しそうな顔をした。
「意地悪?じゃあ止めましょうか?」
「ダメッ・・・早くオチ×チンを・・・」
 佳枝は全身をくねらせて懇願する。その拍子に股間から液体が零れ落ちた。
「がっつかないで下さいよ。大体‘節操’はどうなんですか?」
 啓人はあくまでも焦らすつもりらしい。
「私がダンナを愛してれば良いのよ。それにこれは授業よ。浮気じゃないんだから」
 我慢が出来なくなったのか、体のくねりが大きくなっている。
「はいはい、教師の鑑ですね」
 啓人は指を抜くと、ようやく佳枝の中へ入っていった。
「あううっっ・・・」
 待ち焦がれた感覚の前に、僅かに残っていた佳枝の理性はあっけなく崩壊した。
「はあぁっ・・・凄いっ・・・凄いのぉ・・・」
 啓人に何度も突かれ、佳枝は強烈な快感に襲われる。
「くうっ・・・ああっ・・・あああっっ」
 十分手加減をされているとはいえ、啓人の遠慮のない責めに佳枝はひたすらよがり続ける。
「全部模範解答だったからご褒美だ」
 啓人がぼそっと言った事も彼女の耳には届かなかった。
「ひゃああっ、ああっ、あああっっ」
 佳枝が達すると全身が激しく痙攣し、口から涎が垂れて床に零れた。
「あああ・・・」
 佳枝は苦鳴をもらしてうつ伏せに倒れ、苦悶の表情を浮かべた。快感が転じて苦痛に変わったのである。
「少し刺激が強かったか・・・」
 啓人は佳枝の様子を見て、加減が甘かった事を反省した。快感を送る事に関しては、啓人も時々加減を間違える場合もある。
「まあ良いか、慣れれば問題ないだろう」
 無責任な一言で締め括った。 
「ああっ・・・ううんっ・・・」
「あっ、あっ、あっ」
「んんっ・・・んっ・・・」
「はあぁ・・・ああ・・・」
 佳枝が崩れた事によって、少女達の喘ぎ声がはっきりと教室内に響くようになった。
(あっちはどうするか・・・)
 佳枝の姿を見ながら、啓人は思案に耽り始めた。流石の啓人も三十九人と同時にするのは辛いものがある。決して不可能ではないが・・・。
「あの・・・冴草君・・・」
 啓人が呼ばれた方を向くと、四人の少女が立っていた。乱れた服装を直さずに太腿を擦り合わせ、期待と不安が入り混じった目で啓人の事を見ている。
「年功序列だな」
 少女達の意図を察した啓人はそう断を下した。それを聞いた四人は目を輝かせ、いそいそと列を作った。
「まずは岩崎から・・・」
「待って・・・」
 後ろから呻くような声が聞こえ、五人は思わずそっちを向いた。
「年功序列なら私が最初よ・・・」
 教卓に手をついて佳枝は起き上がった。喘ぎながら、フラつきながらも啓人の方へ近づく。
「大した回復力・・・いや執念か」
 啓人は苦笑で済ませてしまったが、四人の少女達は女教師の行動に呆然としていた。 
「授業はどうするんですか?」
 意地悪く尋ねる啓人はどこまでも嫌な奴である。
「校訓は‘欲望に殉ずるべし’よ」
 ‘模範的回答’をすると、佳枝は意地の悪い生徒を睨みつけた。睨まれた方は肩を竦めただけで、相手の怒りなど歯牙にも掛けていない。
「快楽に勝る欲はなし・・・だな」
 その呟きは誰にも聞こえないような小さなものであった。例え聞こえたとしても、快楽を求める彼女達は気に止めなかったに違いない。
「で?誰からなの?」
 啓人に迫る佳枝から殺気が滲み出ていた。
「勿論先生からですよ」
「えへへ・・・当然よね~」
 佳枝は淫蕩な笑みを浮かべると、啓人に抱きついてキスをした。
「んんっ・・・」
 佳枝は積極的に舌を絡め、生徒の口腔を貪る。
「んっ・・・はあ・・・冴草君・・・」
 唇を離すと甘い声を出しながら、啓人の股間へ手を伸ばす。啓人は佳枝の手首を掴んでそれを制した。
「ダメですよ、先生」
 啓人は佳枝の体を簡単に反転させると、教卓に両手をつかせた。
「強欲教師には調教が必要ですね」
 そう言って尻の割れ目を人差し指でなぞった。
「ひゃんっ、教師と生徒がセックスして何が悪いのよ」  
 佳枝の抗議を無視し、啓人は後ろの穴に挿入した。
「あああ・・・」
 全く濡れていなかったにも関わらず、佳枝は喘いでいた。肉体が啓人の支配化にある為、前戯は必要としないのである。ちなみに啓人が前戯を省いたのは、単に面倒だったからだろう。
「はあっ、ああっ、あああっっ」
 啓人が動くまでもなく、佳枝は積極的に腰を振る。
「ああっ、ああんっ、ああっ」 
 間近で少女達が見ているにのにも関わらず、その動きはより激しいものになる。
「急ぎ過ぎだな」
 啓人がそう言うと、佳枝の体に様子が変化する。
「ああっ、ああっ・・・ああ・・・」
 体を満たしていた快感が消えていき、体も段々動かなくなる。
「ど、どうして・・・」
 佳枝の頭は、突然の事に混乱した。
「焦らない、焦らない」
 憎たらしい程落ち着いた啓人は、再び佳枝の体を反転させた。佳枝の目には、立ったまま自慰をしている四人の少女が飛び込んで来た。
「岩崎、裸になれ」
 啓人は佳枝の首を掴んで、その口を露わになった少女の胸までもっていった。
「ほら、舐めてやれ」
 佳枝は犬のように生徒の胸を舐め始める。
「あ・・・う・・・ああ・・・」
 少女の乳首を舌で舐め回す。
「ああぁ・・・ああ・・・」
 啓人が佳枝の手を岩崎の股間へもっていくと、その手は自然と愛撫を始めた。
「ふあっ、あっ、ああっ」
 上下を同時に責められ、岩崎は一気に上り詰めていく。
「あああっっイ、イク・・・」
 達してしまうとフラフラになり、その場に座り込んでしまった。
「満足したか?」
 その言葉に首を横に振ると、啓人達の結合部に目を遣った。どうやら快感ではなく啓人が目的らしい。
「分かったから待ってろ」
 視線の意味を察した啓人は、苦笑すると佳枝を突き始めた。
「はああっ、あっ、ああっ」
 佳枝は突然凄まじい快楽に襲われ、理性を吹き飛ばされる。 
「あああっ、イッ、イクッ、イクウッ!」
 啓人が離れると佳枝は支えを失ってその場に崩れた。啓人は佳枝には見向きもせず、岩崎に手を貸して立たせた。立った拍子に揺れた小ぶりな胸を啓人は揉み、空いた手で股間をまさぐった。
「ああっ・・・」
 嬉しそうな声をもらした少女は、一度達しているだけに既に濡れていた。
「もう十分だな」
 啓人は乳首とクリトリスを同時に刺激する。
「ああああっっっ」   
 達する程ではないが、それでも快感は凄まじかった。
「はあ・・・はあ・・・」
 岩崎はもうフラフラになり、啓人に寄りかかって来た。その髪を優しく撫でると、啓人は一見爽やかな笑みを浮かべた。
「いくぞ」
 岩崎の目を見ながら啓人は宣告した。佳枝の時とは打って変わって優しい口調であった。
「うん」
 同意を得ると啓人は岩崎の尻に両手を回し、彼女の体を持ち上げた。
「きゃっ!」
 岩崎は予想外の出来事に驚き、思わず啓人の両肩を掴んだ。そんな事は予想していたのか、啓人は落ち着いていた。
「心配するな」
 そう言いつつ、器用にも手を使わずに挿入した。
「あ、うっ・・・う・・・」
 岩崎は眉をひそめながら啓人を受け入れた。処女ではなかったが、経験が多いわけでもなかった。
「真梨江が一番きつかったな」
 誰にも聞こえないようにボソッと呟くと、啓人はより深く岩崎を突き刺した。
「あっ、あぁっ」
 彼女は未知の感覚に体を仰け反らせた。
(こいつ、経験少ないな)
 あっさり看破すると啓人はゆっくり動き始める。
「ああっ・・・うんっ・・・」
 軽く突くだけの動きに、もどかしくなったのか自分から動き出した。
「んくっ・・・ううっ・・・」
 遠慮がちにしか動かしていないのに、与えられる快感は十分過ぎる程であった。
「はあぁ・・・あんっ・・・あぁ・・・」
 慣れてくるにつれて、腰の動かし方も段々激しくなる。
「ああっ・・・ふう・・・んんっ・・・ああっ・・・」
 全身を駆け巡る快感にじっくりと侵されているのである。性的快楽を覚えさせ、体を開発する為であった。啓人はこういう事はめんどくさがらずにするのである。
「あああっっ・・・凄い・・・」
 そして彼女はそれを悦んで受け入れていた。快感に大分慣れてくると、啓人の動きが段々と速くなる。
「あんっ・・・あんっ、あんっ」
 更に凄まじい快感が送られ、頭の中が真っ白になっていく。
「ああっ、あああっっ、ダ、ダメッ」
「取り敢えず今日も一人・・・」
 ぐったりとなった彼女を下ろし、啓人はまた呟いた。
「さて・・・」
 啓人の視線は待っている筈の三人へと向かう。だがそこにいる人数は十一人であった。
(・・・ちょっと待て)
 啓人は驚くというより呆れた。流石にここまで増えるとは思ってなかったのである。
「ごめん、後から来た人は戻ってくれ」
「えーっ!?」
 八人は抗議の声を上げたが、再度促されると渋々自分の席へ戻っていった。
「次は私達ね」
 そう念を押す事は忘れなかったが・・・。
(やれやれ・・・こんな事は初めてだな。まあ嬉しいんだが・・・)
 啓人は予想外の出来事の連続に溜め息をつくしかなかった。 
「次は?」
 促されるとショートヘアの少女とセミロングの少女が、待ってましたとばかりに前に出た。二人は同じ学年の三輪と西野であった。どうやら同時に相手して欲しいらしい。
「ま、良いか」
 啓人はその一言で片付けてしまった。目的や狙いは同じでも、やり方や与える快感の強弱はその時の気分で変えているからである。
「こっちに来い」
 啓人は二人を扉の近くに誘導すると、自分の手で服を脱がせる。どちらも比較的大きな胸をしており、下着の色もお揃いであった。
「じゃあくっつけ」
 いきなりそう言われて、二人は困惑した。顔を見合わせる二人を啓人は強引に抱き合わせる。
「西野が下になって寝転べ」
 再び顔を見合わせたが、啓人が手を煩わせる前に行動に出た。二人は抱き合ったまま床に寝転び、セミロングの少女が下になった。
(下着くらいは脱げよ・・・)
 頭の中で文句を言いつつ、啓人は二人の下着を脱がせた。露わになった部分はどちらも未発達な印象を啓人に与えたが、上の少女・三輪は処女ではなかった。
(流石にここまでお揃いとはいかないか)
 分かってはいたのだが安堵した啓人は、重なった剥き出しの股間に口を近づける、その中間とも言うべき点に舌を這わせた。
「あ・・・」
「ん・・・」
 二人はほぼ同時に声を上げる。啓人は口と手を使って、二人を同時に責め始めた。
「ああっ・・・ふうっ・・・」
「んんっ・・・あ・・・」
 二人は律儀にも抱き合ったまま、手を離そうとしない。啓人の指は下、舌は上のクリトリスを刺激する。
「うんっ・・・ああっ・・・」
「あっ・・・ああ・・・」
 経験の差なのか、下の少女の反応がやや鈍い。
(少し加減するか)
 それに気付いた啓人は、下の少女へ送る快感を少し強めにした。
「ああっ・・・ああんっ・・・」
「あ・・・あっ・・ああっ・・・」
「ああっ・・・ああっ、ああっ」
「ああ・・・ああっ・・・ああっ」
 啓人の巧みな責めで、二人の差は縮まっていった。
「ああっ、あああっっ・・・」
「ああっ、ああっ、あああっっ・・・」
 二つの性器から溢れる液体を綺麗に舐めると、啓人は責めを中断して二人の様子を確認した。
「あああ・・・」
「あうう・・・」
 密着したまま喘ぐ二人の股間は、液体で溢れている。
(そろそろだろう)
 他にもたくさんいるのに、同じ相手と何度もしたい気分ではなかった。
≪それじゃあいくぞ≫
 真っ白になっている西野達の頭の中に啓人の声が響く。
(先に処女を貰っておくか)
 何となくそう思った啓人は、西野の中へ挿入した。
「ああっ!」
 快感に貫かれたような感覚に襲われ、西野は思わず体を仰け反らせた。
(感度は良好だな)
 素早くチェックをすると、三輪の中へ指を二本入れた。
「はうっ・・・」
 こちらはいくらか嬉しそうな声であった。一瞬の間を置いて、啓人は腰と指を同時に動かし始めた。
「ああっ・・・ああっ・・・」
「あうっ・・・うあっ・・・」
 中を掻き回されている二人の全身を、凄まじい快感が駆け巡る。二人の指はお互いの肩にめり込んでいる。
「はあっ、ああっ、ああっ」
「あんっ、ああんっ、ああっ」
 二人の体を襲っていた快感は、やがて精神も侵し始めた。 
「あああっっ、ああああっっっ」
「ああんっ、あああっっ」
 二人は同時に絶頂を迎えた。
「あぁ・・・」
「ふぅ・・・」
 けだるい疲労感と快楽の余韻の為、二人はぐったりとしていた。
≪直ぐに第二ラウンドだ≫
 啓人が抜きながらそう伝えると、二人は首を微かに振った。
≪どうした?≫
「もう・・・止めて・・・」
 どちらかと言えば哀願に近かった。
「お願い・・・」
 二人はそう言うのが精一杯であった。どちらの精神も限界に来ているらしい。 
≪ダメだ≫
 三輪の中に入れていた指を舐めながら、啓人は二人の願いを却下した。
≪三輪、お前は指で充分なのか?≫
 充分過ぎる、とは言いたくても口が動かなかった。啓人は洪水になっている二人の股間に息を吹きかけた。
「あっ・・・」
「うっ・・・」
 それだけの事なのに、二人の体には快感が走ったのである。
≪慣れたらさっきので充分なんて言えなくなるぞ?≫
 啓人は全てを承知しているのであった。三輪の尻を掴むと、今度は彼女の中に挿入した。
「あ・・・あっ・・・」
 三輪は軽く体をよじってそれを受け入れた。
「催淫師たる者、一度は‘中’でしてやらないとな」
 三輪の様子を見ながら誰にも聞こえないように呟いた。全くもって妙な拘りを持つ男である。
「あ、ついでだ」
 西野に指をまた二本入れた。
「ふうっ・・・ん・・・」
 彼女は軽く胸を反らしただけであった。啓人は再び動き始めた。 
「ああっ・・・ああっ・・・」
「あうっ・・・うんっ・・・」
 軽快なテンポで片方を突き、指でもう片方を掻き回す。
「ああっ、ああっ、ああっ」
「あうんっ、はああっ、ああんっ」
 一度達している為か、二人はさっきよりも速く上り詰めていく。
「あああっっ、ああああっっ」
「ああっ、あああ~~っっ」
 再度の絶頂を迎えた二人は、顔までが痙攣していた。西野の口から涎が垂れているのが見えた。
(上出来だな)
 二人を評価した啓人は、まだまだ余裕が充分過ぎる程あった。
「さてと、次は・・・」
「待ちなさい」
 次の相手に取り掛かろうとした啓人を、起き上がってきた佳枝が制止した。
「・・・何ですか、先生?」
(この女、あれだけしたのにタフだな)
 表面上は冷静な啓人だが、内心では呆れていた。手加減はしているものの、常人ならしばらくは行動不能になるレベルだったのである。退魔士とか言うのなら、また話は違ってくるのだが・・・。
(もしかして‘覚醒’したのか?)
 啓人が真っ先に考えたのは、佳枝の潜在能力が目覚めたかもしれないという事であった。理乃が魅矢を見れるようになったように、学校関係者もそれなりの影響を受けている筈である。そして何より誰がどんな風に目覚めるか、それだけは流石の啓人も予想出来ないのである。
(馬鹿馬鹿しい・・・いくら‘覚醒’しても、快感に対する耐久力には関係ないだろう。・・・‘奴’じゃあるまいし)
 自分の頭に浮かんだ考えを笑って否定すると、啓人は緩慢な動作で衣服を身に着けている佳枝を見た。
「冴草君」
 そう言った佳枝の顔は、教室に入って来た時のように引き締まっていた。
「授業を行います」
「どうしてですか?」
 啓人は意表をつかれたが、間髪を入れずに訊き返した。この男だからこそ出来た芸当だ。
「性の授業と一般の授業を両立させるべきだからよ」
「やれやれ・・・」
 啓人は溜め息をつきながら、佳枝の言葉に従った。本来なら自分が楯にする筈の‘決まり’を、教師にやられている事に複雑な気持ちになりながら。・・・岩崎と三輪、西野がそのまま放置されたのは言うまでもない事だろう。

「それでは足立さん、ここを読んで」
 佳枝に指名された生徒が、立ち上がって教科書を読み始める。
「ああ・・・ううん・・・」
「んん・・・はあぁ・・・」
「あっ・・・あっ・・・あっ・・・」
 足立の声に混じって喘ぎ声が、いや喘ぎ声に混じって足立の声が聞こえている。中には教科書を開いていない者、果ては啓人の上に跨って腰を動かしている者もいる。
「くうっ・・・あぁ・・・」
「ふうっ・・・ああっ・・・」
「あっ、ああ・・・ああっ・・・」
 淫靡な空気が満ちた教室の中で、教師と当てられた生徒だけが一般授業を行っていると言えた。
「はい、そこまでで良いわ」
 佳枝にそう言われると足立は着席し、手を自分の股間へと伸ばした。
「ん・・・あっ・・・」
 快楽の世界に戻った彼女を尻目に、佳枝は次に当てる生徒を探す。
「うーん・・・それじゃ、三沢さん」
 彼女の目が一人の生徒へと向けられた。だが彼女の机の上には、教科書どころか筆記用具さえ出ていなかった。 
「ああっ・・・んんっ・・・ああんっ・・・」
 そして当てられた事にも気付いていないらしく、夢中で両手を動かしていた。
「仕方ないわね」
 佳枝は溜め息をつくと、あっさりと彼女を諦めた。
「それでは、北野さん」
「無理です先生」
 間髪入れずに啓人が発言した。当然佳枝は啓人の方を見る。
「どうして?・・・あ」
 啓人に言われる前に彼女は気付いた。北野は啓人に跨って腰を動かしているという事を。
「ああ・・・あっ・・・ああっ・・・」
 貫かれているだけでなく、胸を口と手で刺激されているが、達するにはまだ時間が掛かりそうであった。それだけでなく、周囲は時々啓人達の方を見ている。
「これじゃ無理ね」
 流石に佳枝も生徒を当てる事を諦めなければならなかった。
「ああっ・・・あああっっ」
 一際大きい声が更に他の生徒を刺激する。そして立ち直っていた筈の佳枝も、再び快楽の世界へ引き込まれようとしていた。
(んっ・・・もう・・・ダメね・・・)
 体がまた疼き出した事を悟った佳枝は、片手を股間に這わせながら授業を続ける事にした。
「んっ・・・ここからは・・・あっ・・・私が・・・あうっ・・・読みます」
(これじゃ両立と言うよりごちゃ混ぜね)
 自嘲的な笑みを浮かべると、佳枝は快楽の世界へ旅立った。だから喘ぎ声が聞こえているのは、決して彼女の教室だけではないという事に気付かなかった。

< 続く >

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