DEMON PERFUME 第三話(前篇)

第三話(前篇)

 俺は今、悩んでいた。
 幸いにも一晩で元気になったのだが、新たなる問題が浮上したのだ。
 う~んどうするかな・・・。
 何を悩んでいるかって?
 今日から俺は登校するんだが、それに香水をつけていくか迷ってるのだ。
 そんな事で悩むな?さっさとつけて行け?
 そりゃ、皆にすればその方がいいんだろうが・・・。
 亜美とあんな事になったしな・・・。
 後悔はしてないんだが・・・。
 今から思い返せば、あれはレイプと一緒だったと思う。
 え?気付くのが遅い? 
 あの時は香水を手に入れて舞い上がってたからなぁ・・・。
 結果オーライだったが、今度からもそういくとは限らないし。
 ・・・でもないと結構不安だし・・・。
 よしっ!俺はつけて行く事に決めたっ!
 亜美とはセックスフレンドって事で一件落着?だったが・・・。
 他の人間とじゃ、こうはいくまい。
 そこで、だ・・・防衛の為につけるのだ。
 きっと何かあった時、身を守ってくれるに違いない。
 え?男には効かないだろうって?
 心配するな・・・武道をやってるのは亜美だけじゃない。
 香水をつけるのは、女の子を殴るわけにもいかないからだ。
 男なら半殺しにしてやるけどな・・・。
 それだけの理由で亜美を恐れているわけじゃないぞ。
 アイツはキレるとマジでヤバイんだ。
 どれくらいって・・・アイツはジュニア女子の日本代表だぞ?
 この前男の空手五段に勝ったのに、昇段が認められなかったってボヤいてたんだぞ・・・。
 え~空手、柔道、合気道・・・全部黒帯を持っているという、反則な妹なんだ。
 顔が良くないと、絶対に男は近寄らないだろう・・・。
 ここまで考えているうちに俺はもう家を出て、学校付近まで来ていた。
 言い忘れた気がするが、引っ越しは日曜日だった。
 矛盾だらけで都合が良すぎる?
 さっき見かけた電柱に『話の都合』と書かれてあったぞ。
 ・・・妙に寒くなったが、俺は気にせず校門をくぐった。
 

「君が桐坂陽介君ね」
 職員室に行った俺に、一人の美女が立っていた。
 う~ん・・・お約束な展開だとは思うが、この場合は素直に感謝しよう。
 肩まで伸びた髪さらさらとしていて、くっきりとした目鼻立ち・・・。
 上手く言えないが、知的で温和な大人の女性だ。
「は、はい・・・」
 情けないが俺は圧倒されていた。
 彼女は神々しいオーラ―を発し、周りに絶対的な存在感を示している。
 優しく包み込むような、それでいて何処か近寄り難い雰囲気。
「私が担任の水崎しのぶです。宜しくね」
「こ、こちらこそ」
 二人は会釈した。
 しのぶ先生・・・何て素敵なお名前・・・て俺は何を言ってるんだ?
「いきなり欠席とは良い度胸じゃない」
 はうっ・・・い、痛いところを・・・。
 まさか義妹相手に張り切ってました、なんて言えないし・・・。
 俺は返答に困ったが、
「次から気をつけなさいね」
 そう言って彼女・・・しのぶ先生はウインクした。 
 す、凄く素敵な人だ・・・もしかして俺って一目惚れか?
 正直、もっとこの場にいて彼女と話をしていたかった。
「あら、もうこんな時間。教室に急ぎましょう」
 ・・・時の流れの何と無情なことだろうか・・・・・・。
 少しだけ、異人さんじゃなくて詩人の気持ちになりたかった。

 しのぶ先生と言葉を交わしながらも、俺は教室へ歩いていた。
 だが、先生の言葉は碌に聞いてなかった・・・と言うより、聞けなかった。
 何故なら・・・香水やら化粧やらの匂いが凄まじかったからだ。
 そう・・・一種類なら“良い匂い”で済ませても、それが何十種ともなると・・・鼻が曲がりそうだ。
 そのうち教室に着いた。
 ・・・ヤバイな、道順なんて覚えてないぞ・・・。
「ちょっと此処で待っててね」
 そう言うとしのぶ先生は、教室の中へ入って行った。
 転校して最初の仕事は自己紹介・・・何て言うか考えてないな。
「はーい今日はお知らせがありまーす」
 先生の良く通る声が、教室内に響いた。
 あれ?席に着いて、なんて言わなかったぞ・・・もしかしなくても皆着いていたのか・・・?
 お、俺この学校に馴染めるのか・・・今更だが何か心配になってきた・・・。
「今日は転校生が来まーす」
 先生の声と一瞬の沈黙。
「本当?」
「普通月曜日じゃない?」
 急に騒がしくなった。
 この辺の反応は同じなんだな・・・ちょっと安心した。
 でも、どよめき声が一つも起こらなかった辺りが・・・。
 何か貴婦人達のひそひそ話の声が大きい版みたいな・・・。
「じゃあ入ってきて」
 その声に再び沈黙が訪れる。
 な、何か入りにくいな・・・。
 こういう場合、ウケを狙う時は後ろや窓から入るんだが・・・それを此処でやると、全員に引かれる恐れがある。
 ここはひとまず・・・普通でいこう。
 ガラッと、扉を開けると・・・うっ全員からの注目が・・・。
 先生の近くまで行くと、正面を向いた。
 ・・・女子が多い・・・男子は三人しかいない。
 噂には聞いていたが、ここまでとは・・・。
 
「桐坂陽介です、宜しく」
 ・・・七十を越える瞳に見つめられ、かなり緊張した。
「じゃあ君の席はあそこ」
 先生が指差した席・・・窓側から二列目の一番後ろ。
 そこに男子三人が固まっていた。
 ・・・女子から隔離されてるのような気がするのは、俺の気のせいか?
 まあとにかく。
 今から俺の新しい学校生活が始まるんだな。
 席に近づくと、その三人に声を掛けられた。 
 一人目は背の高い、眼鏡を掛けた奴。
 こいつはまあ・・・痩せ細ったがり勉君と言ったところか。
 二人目は小柄で丸顔。
 アン○ンマンみたいな奴だ。
 三人目は・・・特に特徴はない・・・平凡君だな。
「俺は袖之岡だ」
 そう言って手を出してきたがり勉君。
「僕は堂道(どうみち)ー」
 マンマル君。
「そして俺が南本だ」
 そう言って笑いかける、白い歯が印象的と言うか、他に触れるべき点が見つからない南本・・・すまん。
 ちなみに席は俺の隣が袖之岡、前が南本、そして左斜め前に堂道。 
 右隣は当たり前だが女子。
 髪を後ろで一つに束ね、縁なし眼鏡を掛けている。
 何か知的で冷たく、真面目な優等生といった感じだ。
 やっぱりこんな子もいるんだな・・・。
「たまにはまともな男も来るのね」
 え?い、今何て言った?
 確か“たまにはまともな男も来る”って言わなかったか?
 こ、この子見た目みたいに、いや見た目以上にキツイな・・・。
 袖之岡・堂道・南本のどこがまともじゃないんだ?
「おい、桐坂」
 この声は南本だ。
 え?分からない?・・・ほっとけ。
「言わなくても分かるだろうが・・・此処は『女尊男卑』だ」
 そんな事、百も承知だよ・・・。
「それがどうした?」
「だ~か~ら~女子を口説こうとは思わないように」
 ・・・はあ?
 南本は何やらおかしそうに笑っているが、俺に身に覚えはない。
「何言ってんだお前?」
 こんな女子しかいないような世界で、そんな度胸があるわけないだろ。
 でも、南本はにやにやしてやがる。
「だってお前、御代(みしろ)さんを見てただろ?」
 そうか・・・御代って言うのか・・・いちいち読み方なくても、それぐらい分かるだろ。
「説明されなくても分かるって」
 そう言ってやったら、
「いや、ミダイって読んだ奴がいたんだよ」
 こう返事が来た。
 ・・・確かにそう読めるかもしれないが・・・
「誰だよそれ?」
「俺だよ、俺」 
 南本の奴、笑ってそう言いやがった・・・お前かよ。 
「ところでさー」
 いきなり別の声が割り込んできた。
 この間延びした話し方は堂道だな。
「桐坂ってさー洗顔はどうすんの?」
 ・・・はい?
「やっぱり顔で石鹸を洗うタイプ?」
 俺は・・・・・・ん?何か変じゃなかったか?
 顔で石鹸を・・・?
「・・・あのさ、顔を石鹸で、じゃないのか?」
 石鹸を洗ってどうする・・・。
 それを聞いた南本が、
「正確には石鹸で顔をって言いたかったんだ」
 と訂正してきた。
「そうとも言うねー」
 ニッコリ笑ってやがる。・・・御代が言った事、なんか分かるような気がする。
 と、取り敢えず袖之岡はまともだろ・・・いや、そうあって欲しい。
「おっ、先生が来た」
 やっと授業か・・・少し救われた気分だった。

 キーンコーンカーンコーン。
 いきなりだが、今は昼休みに入ったところだ。
 授業は結構早いが、ついていくのに問題なかった。
 ただ、休み時間の方が問題だった。
 休み時間になっても、男三人組以外は誰も俺に話し掛けて来ない。
 時々、遠くからの視線を感じたが、それだけ。   
 何か気にはなるが、取り敢えずは男達と友情を深める方が先だ。
 まあちょっと変わってはいるが、三人共悪い奴じゃなくて一安心だ。
 ・・・この三人と一緒にいるって事で、俺も変人扱いされてるとか?
「おーい一緒に飯を食おう」
 例の調子で南本が声を掛けてきた。 
 別にそれはいいんだが・・・
「何処に行く?」
 そう、これが問題。
 クラスはもとより、何処に行ってハーレム状態。
 但し、とてつもなく居心地が悪い。
 いくら男子がいるっていっても、数が少なすぎるのだ。
 せめて後一人か二人・・・こう思うのは俺だけだろうか?
「食堂だ」
 食堂ね・・・よりにもよって・・・。
 俺の反応を気にもせず、三人は歩き出した。
「お、置いてくなよ」
 一人で教室に・・・なんて考えたくもない、俺は急いで追いかけた。
 食堂に行く最中に会う人間、全員が女だった。
 ・・・此処に他の男はいないのか?
「なあ、何で他に男は見かけないんだ?」
「えーとねんぐっ」
 真っ先に反応した堂道の口を、南本が塞いだ。
「他の連中は教師も生徒も、教室や職員室で小さくなってるんだろう」
 なるほど・・・でも、何で堂道の口を塞いだんだ?
 何となくは分かるが・・・。
 
 俺達四人は開いていた場所に座る。
 しかし・・・何なんだこいつら?
 俺は母さんの特製弁当を持って来てるんだが、こいつらは食券を買っていた。
 いや、問題はその量なんだ。
 南本はうな丼と天ぷらうどんとハンバーグ。
 堂道は牛丼大盛りにパスタ、カレーパンとチャーハン。
 この二人は、まあ見た目以上と言えばそれまでだが・・・。
 袖之岡はサンドイッチと焼きそば、きつねうどんにカツ丼、酢豚。
 しかも焼きそばとカツ丼は大盛りらしい。
 こ、こいつら・・・大食いトリオだ・・・。
 いやいやそれより、袖之岡、どこにそれだけ入るんだよ?
 と言うか、何でそれだけ食べるのにそんなに痩せてるんだ?
 おかしーじゃねーかあぁぁーーーっっっ!!!
「お前どうしたんだ?」
 不思議そうなその声にはっと我に返った。
 辺りを見回すと、三人はもとより他の人間も俺を見ている。
 ・・・どうやら俺は声に出してしまったらしい。
 食堂のおばちゃんまで、手を止めてこっちを見ていた。
 ・・・・・・・は、恥ずかしい・・・。
 多分俺の顔は真っ赤になっていたに違いない。
 いたたまれなくなり、俺は座った。
 ・・・座った?・・・・・・つまり俺は・・・立ち上がってたのかっ!?
 うっ・・・ま、周りの目が痛い・・・。
「ところでさー」
 おおっ、相変わらずのマイペースさ。
「桐坂ってさーご飯とお茶?」
 ・・・な、何が言いたいのだろうか?
「それともさーウシチチ?」
 え・・・?ウシチチ・・・?ウシのチチ・・・?
「も、もしかして牛乳の事か?」
 恐る恐る訊き返した俺に、南本は頷いた。
「そうとも言うねー」
 当の本人は、カレーパンを頬張りながら答えてくれた。
 よく分かるように発音出来るな・・・器用な奴め。
 それよりも一番の謎は・・・
「南本、よく分かるな」
「堂道の事か?」
 そう・・・何でこいつは分かるんだ。
「それはな、付き合いが長いからさ」
 ・・・爽やかに言い切りやがった。 
「ふーっ食った食った」
 一人だけ沈黙を守っていた袖之岡。
 俺が見た時、見事に全てを平らげていた。
 こ、こいつが一番の化け物か?
「早いなお前・・・」
 もう俺の言葉には、呆れしかこもっていなかっただろう。
「まあ腹八分目って言うからな・・・これくらいにしておかないと」
 は、腹八分目ってお前・・・。
 真顔で言ったぞこいつ。
 ・・・このメンバーがもう嫌になってきた・・・。
(まともな男・・・)
 御代の言葉が思い出された。
 きっとあいつも苦労したんだろう・・・。
 こいつら、絶対に普通じゃない。
 いや、南本は普通かもしれないが・・・多分これは願望だろうな・・・。

 休み時間を過ごした筈なのに、何故かとても疲れた俺。
 こんな事で大丈夫なのか・・・?
 ・・・そう言えば、亜美の奴・・・あいつはどうしてるのだろうか。
 一応引っ越したのだから、あいつも転校したのだ。
 まぁあいつの事だ、早速友達とファンクラブが出来てるだろう。
 それに引き換え俺は・・・
「桐坂ー卵焼きを醤油にかけるー?」
 ・・・まだ言ってる・・・もう答える元気がないよ、堂道。
「醤油を卵焼きに、だろ」
 いちいちツッコミを入れてる南本・・・本当によくやるよ。
 何でも『ミスター通訳』と呼ばれているらしい。
「・・・クリームパンも食っとくべきだったか・・・」
 残念そうに腹をおさえている袖之岡・・・まだ食う気なのか?
 あれ以上は物理的に不可能だろう・・・と言うか、こいつあれだけ食って何で太らないんだ?
 他の二人も、癖がある。
 でも・・・袖之岡は自然の法則を完全に無視している。
 例え『食べても太らない体質』でも、物事には限度ってものがある・・・ある筈だ・・・あるかもしれない・・・。
 駄目だ・・・頭が痛くなってきた・・・もうこれ以上考えるのは止めよう。
 

 ・・・・・・・・・・・・おい、桐坂。
 ・・・・・・誰かが呼んでいる?
 ドオンッ
「ぐっ・・・・・・」
 とてつもない痛みの所為で、俺は頭を起こした。
 見上げると、何故か距離を取ってこっちを見てる三人。
 そして俺を殴ったらしい女子生徒が目に映った。
 そいつが手にしていた物は、鞄だ。
 しかも荷物がぎっしりと詰まっている事が一目で分かる程、重そうな鞄だ・・・普通、そんな物で人の頭を殴るか?
 一言文句を言ってやろうと、その女子の顔を見た。
 か、可愛い・・・いや綺麗だ。
 悔しいが、そいつは非常な美人だった。
 眉目秀麗という言葉がぴったりな上、明るく華やかな雰囲気を纏っている。
 こいつの前じゃ、どんな花も霞むだろう・・・なんて言っても、全然不思議じゃない。
 可哀想だが、亜美よりもランクは上だな。
 しのぶ先生クラスだろう・・・でも全然動揺しない。
 多分、鞄で頭を殴られたのが原因だろう・・・。
 直接見た者以外は、絶対信じないだろうが。
「転校してきていきなり居眠りとは余裕ねー」
 そう言って微笑む女。 
 悔しいが、様になっている。
 嫌味なその台詞と笑顔にお嬢様育ちな優雅さ・上品さが感じられる。
 やはり来たか・・・でもこんな所で使うわけには・・・。
 薄情な三人とこいつ以外にも、教室には人が残っている。
「先生に睨まれても、SHRが終わってもずっと寝てるなんてねー」
 何て嫌味な・・・え?
 SHRが終わっても?
 俺の目は時計へといく。
 じ、時間は三時・・・十分・・・?
「な、何イイイイイイイィィィィィィ――――――ッッッッッッ!!!!!」
 俺の絶叫が教室に、いやこの階に響き渡った。
 お、俺はそんなに寝てたのか・・・・・・?
「て、起こせよお前等ぁーっ!」
 怒りの矛先は当然、三人組にだ。
 するとその三人は、
「俺達は起こしたぞー」
「何度やっても起きなかったぞー」
「自業自得だぞー」
 離れたところから口に手を当てて叫ぶ。
 あ、あいつ等・・・でも待てよ・・・?何であいつ等はこっちに来ない?
「もう良いかしら?」
 疑問に思う俺の耳に聞こえたのは、低く押し殺された女の声。
 思わずそっちを見た俺の目に映ったのは、耳を抑えわなわなと震えている女子の姿。
 気のせいか、目には灯が点っていた。
 ・・・そ、そういう事か・・・。
 俺もようやく事態を悟った・・・正しくは推測出来た。
 あ、あいつ等・・・俺を裏切りやがったなっ!?
「貴方には今日、教室掃除を一人でしてもらいます」
 な、何っ!?何で俺が・・・いやそれよりお前が決める?
 俺は無駄かもしれないと思いながら、一縷の望みに賭けて三人の方を見る。
 袖之岡は俺から目を逸らし、他の二人は合掌して何やら言っている。
 ・・・俺は読唇術なんぞ出来ない。
 だがっ、状況と動かし方から察するにあいつ等・・・
「ご愁傷様」
 なんて言ってやがるのだ。
 こ、この裏切り者共がぁっ!!
「良いわね?」
 ずんっ、と迫力を増す女子の声。
「は、はい」
 結局俺はその圧力に屈し、泣く泣く掃除をした。
 ちなみに・・・あの三人は忍者顔負けの素早さで逃走。
 あいつ等だけは・・・絶対に許さんっ!!

 ・・・結局四時になってしまった。
 こんなに遅くなったのは、
「窓拭きや床磨きもやるように」
 なんて厳命を受けたからだ。
 手を抜くと一週間、そして一月の間一人で・・・なんて脅迫に屈したのだ。
 誰かに声を掛けて操り、手伝ってもらっても良かったのだが、転校初日にそれをやると流石に怪しまれるだろう。
 ・・・今日は早く帰って寝よう。
「あら桐坂君」
 この声はしのぶ先生!
 振り向くと、愛しの・・・もとい担任のしのぶ先生・・・あれ?隣にいるのは誰だ?
 彼女(しのぶ先生)の隣に、見た事もない女の人が立っていた。
 輝くような金髪、ボンッキュッボンッの見事なバディ。
 この人もこの学校の先生かな?
「あの・・・その人は?」
 当然俺の目はその人に釘付けだ。
 それを見たしのぶ先生は、苦笑した。
「ああ彼女は・・・」
「私は外国人デース」
 そう言ってその人はニッコリ笑った・・・いやそれくらい分かるよ?
 それより、自分で“外国人”なんて言う人もいるのか・・・。
「それでね私の友達で・・・」
「YES!アイアムハーフレンドネー」
 ・・・その英語合ってるのか?
「名前は・・・」
「OH!もーこんなタイムネー!ネクストタイムまでウエイトをお願いネー」
 ・・・日本語と英語がごっちゃ・・・話し難くくないのか?
「それじゃ、バーイネ~!」
 手を振って去って行った・・・結局誰だったんだよ・・・。
 でも美人だったな~体も凄かったな~。
 ナイスバディで明るくて、美人で・・・凄い人ネー。
 ・・・し、しまった口調が・・・。
「桐坂君?」
 まあいいや・・・でも、でも一度でいいから・・・
「エッチしてみてー」
「え?桐坂君?」
 ・・・し、しまったぁっ!せ、先生の事を忘れてたぁ~!
「エッチしたい?」
 な、何故か真剣な眼差しのしのぶ先生・・・。
 ヤ、ヤバイ・・・停学いや退学になるかもしれない・・・。
 て、転校初日で・・・ああっ・・・俺の人生は・・・。
「どうなのよ?」
「エッチしたい!させろ!」
 もうやけだ・・・退学になって・・・香水の力を使って・・・。  
「いいわよ」
 そうだろ、いいよな・・・・・・え゛?
「い、今・・・今なんて?」
「いいって言ったのよ」
 ・・・えええーーーっっっ!?
「ついて来て」
 先生は歩き出した・・・。
 ちょっ、ちょっと待て・・・何でいいんだよ?
 おかしいだろっ!?
 体を操るだけなんだろ?
 なのに何で先生からオーケーが出るんだよ?
 ・・・でもついて行くか・・・。

 誰ともすれ違わず、俺達が来たのは第二理科室だった。
 人気が全然ない。 
 先生は振り向くと、いきなりキスしてきた。
「んぐっ」
 せ、積極的だなー。
 何て柔らかい唇なんだ・・・んおっし、舌を・・・。
 あ・・・いきなり離れた。
 先生の良い匂いも一緒に・・・。
「ふふふ・・・どうしたの?」
 妖しく微笑むしのぶ先生・・・。
 本当にどうしたんだ?
 これも香水の力なのか・・・いやそんな事は聞いてないぞ。
 じゃあ先生はどうして・・・・・・一番考えられるのはあの野郎が何か隠しているって事か。
「せ、先生どうして?」
 ああ・・・!聞いてしまった・・・。
「君が誘ったんでしょ?」
 いや理由になってないよ、先生。
 先生が俺の彼女ならともかく・・・ああ、そう言えば俺って彼女いないんだよ・・・。
「本当の事言うとね、私にも分からないのよ」
 え?や、やっぱり・・・
「でも何か桐坂君とエッチしないといけない気になって・・・おかしいよね」
 そう言って悲しそうに微笑む先生・・・。
 俺の所為だ・・・。
「でも嫌じゃないのよ?」
 え?おかしいのに・・・嫌じゃない?
「何でかな・・・嬉しい気がするの?」
 ???・・・何言ってんだこの人?
 嬉しい?操られてるのに?
 ・・・操る?いや俺は操ってなんかいないぞ?
 体は操られても、心までは?
 うん?ちょっと待て。
 頭は?脳は?どっちになる?
 ・・・普通は肉体に入るよな?
 いや?体を支配しているのは脳だよな?
 つまり、香水の力は当然脳も対象内って事に・・・。
 ・・・もしかして最初から、相手の脳に命令すれば良かったのか?
 ・・・あ、あの、あの野郎っ!隠してやがったのかっ!?
 いや俺も気付けよっ!!
「桐坂君は私とするのが嫌?」
 うっ・・・媚びるような上目遣いに甘い声・・・。
 せ、先生もこの場にいたんだった。
 それにしても色っぽい・・・。
「そ、そんな事ないです」
 しのぶ先生にそんな目で見られて健全な男が拒否できるか・・・。
 当然この場はするに決まってる。
「それじゃあ・・・」
 先生はいきなりスカートの中に手を入れて、パンティを脱いだ。
 し、白だ・・・。
「残念だけど、時間があまりないの。このままで、ね?」
 本当に残念そうな先生・・・俺は幸せ者だ!
 俺は当然頷いた・・・ちょっと残念だったが。
「もうこんなになってるのね」
 俺の股間が先生の白い指に、撫でられた。
 そしてもう片方の手で、スカートを捲り上げた。
 うおっ白い、美しい脚が、太腿がっ。
 さ、さらにみ、魅惑の、男の憧れがっ。
「さあ・・・舐めてみて」
 言われなくてもいただきますっ!
 し、茂みが・・・割れ目がっ・・・。
 もう俺は止まらなくなった。
 そこを俺は舐める。
「あっ・・・」
 少しだが、先生が反応した。
「もっと!もっと気持ち良くなれっ!」 
 俺は叫ぶとより早く舌を動かす。
「あんっ・・・あんっ、あんっ・・・」
 一気に感じ始めた先生のクリトリスも責め、舌を深く入れる。
「ああっ!イイッ!イイのっ!」
 そう叫ぶと先生は、体を仰け反らせた。
「イ、イクッ!」
 早いな・・・おっと、香水の所為か。
 グニャリとなる、息の荒い先生・・・これはこれでそそるかも。
「先生」
 呼びかけてみたら、微かに反応した。
「桐坂君・・・上手なのね・・・」
 おおっ、喘ぎながら誉められた。
 亜美で練習した甲斐があったな・・・但しこれを言うとあいつは怒るだろうが。
 もう俺も限界だ・・・。
「せ、先生その・・・中に」
 やっぱり・・・言い難いなあ・・・。
「あ、待って」
 先生は手をついて体を起こした。
 ナマは嫌なんだろうな・・・こんな事もあろうかと俺はちゃんと持ってるぞ。
 と、思いきや先生もコンドームを取り出した。
「ちゃんと使ってね」
 分かってるよ先生・・・でも何で持ってるんだ?しかも二枚重ねだし。
 ・・・まあいいや。
 俺は分身に装着した。
 これで準備は整った・・・俺の分身よ行けい!

< つづく >

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