マッサージ・兄妹編

「ふー。終わったぁ」
 私の名前は希(のぞみ)。大学4回生。二歳上の兄がいる。ごく一般的な家庭。今は実家を離れ、大学の近くに兄と二人で暮らしている。
 たった今、卒業論文の作成が終わり、明日提出する。あとは、卒業を待つだけ。幸いにも、この不況の中、大手商社に入社が決まっている。
「肩、凝っちゃった」
 宿題をするのに根を詰めていたので、肩や痛いと言うのか重いと言うのか。

「お兄ちゃんに、マッサージお願いしちゃおかな」
 兄の名前は望(のぞむ)。私たち二人合わせると「希望」になるの。私たち兄妹を知っている人は、私を重度のブラコンだと言う。自分でも自覚がある。自分でも理由は分からないが、いつの頃からか兄が好きで好きでたまらない。兄さえいれば、他に誰もいらないと思うほど兄を大切に思っている。
 私は今まで男性とお付き合いした事はない。友達関係になった男性は多く何度か告白された事もあった。だけど、兄に比べ何かの欠点を見つけては、断っていた。
 兄には一時期、親密な間柄の女性がいた。でも、今は別れてしまっている。今思えば、私たち兄妹に振りまわされた可哀想な女性だと思う。

「お兄ちゃん。のぞみ、マッサージして欲しいなぁ」
 夜11時を過ぎて、パジャマに着替えてから兄の部屋を訪ねる。兄に対し、甘えた口調になるのも私がブラコンの証拠。
 兄はベットに横たわり本を読んでいたようだ。もう少し遅ければ、兄は寝ていたかもしれない。
「良いよ。いつもので良い?」
「うん。い・つ・も・の」
 兄にしてもらうマッサージは、特別な物。兄以外には出来ないし、仮に出来たとしてもお願いしない。
「じゃあ、のぞみ、ここに座って」
「うん」
 兄がベットに座りなおし、その横に私を座るように促す。

「軽く目を閉じて、ゆっくり深呼吸・・・。ゆっくり、ゆっくり・・・」
「すーー、はーーー、すーー、はーーー」
「深呼吸すれば、だんだん気分が落ち着いてくる。リラックスしてくる・・・」
「すーー、はーーー、すーー、はーーー」
 兄にしてもらうのは、催眠術を使ったマッサージ。だから、兄にしか出来ない。

 兄は学生時代に催眠術を習った。催眠術は、魔法や超能力のように受け止められている事もあるけど、そんなのウソ。ある程度の素養はいるとは思うけど、書道や柔道のように努力すれば、誰にでもマスターできる。
 それとマスターできても、誰にでもかけれると言うものじゃなく、相手と信頼関係が結べないと無理。だから、マンガのように街ですれ違っただけの人にかけて、イタズラするなんて到底無理。私が兄の催眠術にかかりやすいのは、この信頼関係があるから。

「ゆっくり目を開けて、僕の目を見て・・・。目をそらしちゃダメだよ。目を瞑るのもダメ」
「・・・」
 目を開けると、兄の優しい顔が目の前にある。言われるまま兄の澄んだ瞳を見詰める。
「僕の目を見詰めていると、瞳に吸いこまれそうな感じがしてくる。だんだん、吸いこまれる」
「・・・」
 瞳を見詰める「凝視法」は大好き。だって兄の目を見詰める事ができるから。
「どんどん、僕の瞳に吸いこまれる。ほら、目を開けているのが辛くなってきた。目を開けているのが辛い。まぶたが重くなって、もう目を開けていられない」
「・・・」
 瞼が閉じる。瞼「を」閉じるでなく、瞼「が」閉じる。同時に意識がすーっと遠くなる。

「もう、のぞみは、深~い深~い催眠状態になった。と~っても気持ち良いだろ」
「・・・」
「ほら、こうしてるとどんどん催眠が深くなる。気持ちが安らぐ・・・」
「・・・」
 体がゆっくり、そして優しく揺すられる。意識がどんどん遠くなる。兄相手だから、全然不安にならない。ゆったりした、良い気持ちになってくる。

「のぞみ、ゆっくり目を開けて。目を開けても、催眠は解けてないよ。深~い深~い催眠状態のまま」
「・・・」
 目を開けるといつの間にか、後ろから抱きかかえられていた。パジャマ越しに兄の体温を背中に感じる。
「パジャマ脱がすよ」
「・・・」
 後ろから手を回され、ゆっくりパジャマの前ボタンを外される。おっぱいを丸出しにされる。パジャマの袖を腕から抜かれる。
「僕の手を見て。薄っすら光ってくる。淡い銀色の光に包まれてくる・・・。ほら、光ってるの見える」
「(こくん)」
 兄の両方の手のひらが、銀色に光出した。いつ見ても不思議な光景。

「これで、僕の手は魔法の手になった。だから、こうやって肩に手を置くと、皮膚を通り越して神経を直接、触れるよ」
「あっ」
 兄の手が肩に触れたかと思うと、皮膚を通り越して筋肉に、そして神経を直接触れているのが分かる。
「触っているところが、だんだん温かくなる。触っているところだけじゃなく、回りも温かくなってくる・・・ほら、温かいだろ?」
「(こくん)」
 手のひらの当たっているところを中心にして、肩全体が温かくなってくる。
「こうして揉んでいると、あっと言う間に凝りがほぐれる。肩が軽くなる」
「んっ、ん」
 兄は手のひらで肩全体を揉んでくれる。神経を直接触って、凝りをほぐしてくれる。肩全体が軽くなる。
「肩だけじゃない。首も腕も僕が触るところ全部、凝りがほぐれて体が軽くなる」
「ふん、ん、あ」
 優しく首筋や腕を揉まれる。心地よさに声が漏れる。

「女の子は、おっぱいの重みで肩が凝るんだ。だから、おっぱいも揉んであげるね」
「あっ、あん」
 今漏れた声には心地よさ以外の物が含まれている。
「気持ち良い?」
「・・・うん・・・」
 やわやわと、おっぱいを揉みしだかれる。気持ち良い・・・。
「僕の手を見て・・・だんだんとのぞみの胸にめり込んでいくよ。皮膚の中にめり込む。肉の中にめり込む」
「あ、あ、あ」
 兄の手を見ると、だんだんとおっぱいの中へ中へとめり込んでいく。
「もうすぐ、心臓に触れる・・・。ほら、心臓を掴んだ」
「・・・んっ・・・」
 心臓を手で掴まれた。びくっと体が跳ねる。
「僕に心臓を掴まれても、苦しくない。心臓を揉まれるのは気持ち良い。心臓を揉まれるのは快感」
「・・・あっ、あ、あ・・・」
 ゆっくりと心臓を揉まれる。
「心臓を揉まれると、セックスしているみたいに気持ち良い。僕の手がのぞみの心臓とセックスしているよ。セックスみたいに気持ち良い。セックスみたいに感じる」
「・・・んっ、あ、あん、あっ・・・」
 兄が手のひら全体を使って、私の心臓を愛してくれる。私の体は艶かしく揺らぐ。
「気持ち良い?」
「・・・あぅん、あ、うん、あん・・・」
 本当のセックスじゃないのに、気持ち良い。兄とセックスして感じている。

「今から五つ数えると、のぞみは逝くよ。心臓でセックスして逝く・・・一つ・・・二つ・・・三つ・・・四つ・・・五つ。はい!」
「・・・あ、あん、あっ、あぁ、あーー!!」
 数が増えるたび、強く心臓を揉まれて逝かされた。体がぴくぴく痙攣している。兄の手はまだ私の体の中で、優しく心臓をマッサージし続ける。
「のぞみ、心臓でセックスして逝ったね。これで、のぞみの心臓は強くなった。これから一生、心臓の病気にかからないくらい強くなった」
「・・・」
 逝っちゃったあとの心地よい気だるさの中、兄の言葉が聞こえる。兄は後ろから私を抱えながら、体全体を愛撫してくれる。

「全部脱いじゃおうか」
「(こくん)」
 兄が優しくパジャマのズボンと下着を脱がしてくれる。私も腰を上げて、脱ぎやすくする。
「のぞみ、子宮もマッサージしてあげるね」
「(こくん)」
 兄の手が私のお臍の下辺りを撫で出す。
「僕の手が、のぞみのおなかにめり込んでいくよ。ほら、指先がめり込みだした・・・もう、指全体がめり込んだ・・・手のひら全体もめり込んでいくよ」
「・・・あ、ひゃ、ふぁ・・・」
 兄の手がおなかを擦るたび、だんだんと体の中にめり込んでいく。
「おなかの中、直接マッサージされるの気持ち良いだろ。これがのぞみの子宮。分かる?」
「・・・あん、ひゃん・・・」
 子宮を強く掴まれた。小さな山だけど、また逝かされた。
「のぞみ、また逝ったね。女の子って何度でも逝けるんだよ。何度でも、気持ち良くなれるんだ」
「・・・ふぁ、やっ、ん・・・」
 逝った直後なのに休ませてくれない。優しく子宮を撫で続けられる。
「今度、子宮の中から愛してあげる」
「・・・んっ、あ、あん・・・」
 優しく体を持ち上げられる。そして兄が胡座(あぐら)をかいた脚の間に下ろされる。兄のペニスが私のアソコに挿し込まれる。ゆっくり抜き差しされる。
「抜き差しするたびに、僕のペニスが伸びていく。ペニスがのぞみの奥へ伸びていく。もうすぐ、子宮の入り口に届く。ほら、入り口に届いた」
「・・・あ、ひゃ、ふぁ・・・」
「もっと奥まで伸びるよ。ペニスが子宮の入り口を通り抜けた。子宮の内側から、壁を擦ってるよ。すごい快感。子宮の中から愛されるのは気持ち良い。もう、普通のセックスじゃ満足できないほど気持ち良い」
「・・・ふぁ、ひゃ、んっ、あ、あっ、あーー!」
 子宮の中を愛されて逝かされた。普通のセックス以上の快感だった。体中が痙攣してる。口からは涎が流れているのが分かる。

「これでのぞみは、一生僕から離れられない。僕なしの生活なんて考えられない」
「(こくん)」
 体を優しく愛撫される。兄が触れるたび、触れた個所がぴくぴく小さく痙攣する。兄の言葉通り、もう兄なしでは生きていけない。
「その代わり、僕に甘えれば、いつでも今日みたいな快感を味わう事が出来る。だから、のぞみは幸せ。のぞみが幸せなら、僕も幸せ」
「・・・」
 兄のやさしい声が、心の隅々にまで染み渡る。兄に抱きかかえられて、至福の時を過ごす。

「今から10数えると、のぞみは、催眠から覚める。催眠から気持ち良く目覚める。一つ・・・二つ・・・三つ・・・意識が少しハッキリしてきた・・・四つ・・・五つ・・・徐々に手足に力が戻ってきた・・・六つ・・・七つ・・・意識はもうハッキリしてるよ・・・八つ・・・手足に力が行き渡っている・・・九つ・・・次で完全に催眠が解ける、気持ち良く目覚める・・・十。はい(パン)。催眠から覚めた」
 手を叩いた大きな音で、私は催眠から覚めた。

「のぞみ、気持ち良かった?」
「・・・うん・・・」
 気が付けば、兄も生まれたままの姿になっていた。
「へへ、のぞみが逝った時、僕も逝ったよ」
「・・・」
 兄が後ろから優しく抱きしめてくれる。背中に当たる兄の広い胸が気持ち良い。

「のぞみ、結婚しような」
「・・・うん・・・」
 私と兄は血が繋がっていない。私と兄は従兄妹。私の両親は、私が生まれてすぐに事故で亡くなっている。私たちが結ばれたのは、私たちが本当の兄妹でないと分かってすぐ。

「・・・ごめんね。お兄ちゃん・・・」
「良いんだよ」
 私が何を謝っているのか分かってくれている。
 私たちは小さな頃から相手を異性として見ていた。でも兄妹だからと、無理やりその思いを無視してきた。そして、兄は私に似た女性と結婚直前まで行った。
 結婚直前になって、両親から私が養女であると聞かされた。その日のうちに、兄は婚約者に婚約破棄を申し出た。相手の女性から訴えられた。うちの両親からも勘当された。

 でも、私たちは幸せになれた。私たちを祝福してくれる人は少ない。でも、私たちは誰にも負けないくらい幸せ。

「お兄ちゃん、今度は、私がお兄ちゃんに催眠術かけてあげる・・・。私の目をじっと見て・・・」
 今度は私が兄を幸せにしてあげる。

< 終わり >

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