束縛の歌
「ねえ、すみれちゃん。今日家に行っても良い?」
なんだか今日はすみれちゃんと遊びたい気分。塾も無いしね。
すみれちゃんはクォーターでブロンドの髪の毛のお人形さんみたいな可愛い女の子。大人しい印象もあるし、それでいじめられることもあったけど、そう言うときはびしっと言うんだよね。
あおちゃんみたいに手は出さないけど、言葉で言い負かされちゃう。スポーツもできるから、手を出されても普通に負けないと思うし。なんと言うか、完璧超人?
「え、と……うん、いいよ。大丈夫。今日はお母さんもいないし」
すみれちゃんが少し考えて返事をする。そっか、お母さんにないんだ……都合がいいなぁ。あれ?なんですみれちゃんのお母さんがいないと都合がいいんだろう?
「それじゃあ、一度家に帰ってから遊びに行くねー」
「うん、待ってる」
今日の放課後が楽しみだなー。
学校が終わってすぐ、家に帰ってランドセルを置くと、部屋の片隅に隠しておいたDVDロムを入れるとはじかれるように飛び出していった。
「行ってきまーす!」
わたしは自転車に乗ってすみれちゃんの家に向かった。
ぴんぽーん。
私はチャイムを鳴らした。
「いらっしゃい。上がって」
中からすみれちゃんが出てくる。けっこう大きな家で、裕福な家庭なんだよね。ここに来るとうらやましいなっていつも思うよ。
自室に案内された。
いっぱいぬいぐるみがあって、可愛い部屋。いろいろ買ってもらえるんだなぁ。あ、四色猫侍の等身大ぬいぐるみ!
いいなぁ~、わたしも欲しかったけど、買ってもらえなかったものな~。
「あ、飲み物持ってくるね」
そう言ってすみれちゃんは部屋から出ていった。
その間にわたしは部屋を見まわした。
机には参考書。って、これ何年も先に習う所だよ。進んでいるなぁ。本当に塾に……誘えるかなぁ。
パソコンは……あるけど、新しくなってない?パソコンも欲しいってママにおねだりしてみたこともあるけど、まだ早いって拒否されちゃったのに……。
なんか悔しいぞ。
「おまたせ」
すみれちゃんがお盆にオレンジジュースを二杯乗せて戻ってきた。
「?パソコンを使いたいの?」
わたしがパソコンをじっと見ているのに気づいてすみれちゃんが言う。
うん、そうなんだけど、私が、じゃないんだな、これが。
「えーと、パソコンのゲームを貸してもらったんだけど、私の家にはパソコンが無いしさ、一緒に遊ぼうと思って」
「へぇ、そうなんだ。どんなゲーム?」
わたしはカバンからDVDロムを取り出しながら答えた。
「わたしはやったこと無いけど、音感ゲーム、って言うのかな?」
「??それ、DVD-Rだよね?コピー品?」
「え、DVD-R?コピー?何の事かはわからないけど、これは私の行っている塾の先生が趣味で作ったゲームなんだって。見ていて面白そうだから貸してもらったけど、遊んだら感想が欲しいって」
「そうなんだ」
すみれちゃんにパソコンの電源を入れてもらって、DVDロムをセットする。
自動でゲームが起動してタイトル画面が出た。
「すみれちゃん、先にプレイして良いよ」
「うん、でもどうやって遊ぶの?」
そう言われて、いっしょにもらったメモを見る。
「えーっとねぇ……。ゲームをはじめると、画面右端から、七色の音符がゆれながら飛んで来るから、左端の……色の変わっているラインに入ったときにボタンを押すんだって」
「何色がどのボタン?」
「ちょっと待っててね……。えーっと……赤色、オレンジ色・黄色・緑色・青色・藍色・紫色の順番でZXCVBNMのキーだって」
「虹の色、の順番なんだね」
「そうなんだ……」
し、知らなかった……。虹が七色なのは知っていたけど。色の名前がそんな風でそんな順番だったなんて。
「じゃ、始めるね」
すみれちゃんがゲームを始めると、パソコンから音楽が流れ出した。
えーと、これはきらきら星だね。……なんか簡単そうにやってるんだけど、音符がふわふわ上下にゆれながら迫ってくるから、すごく難しく感じるんだけど。
やっぱり、すごいな。すみれちゃんは。
きらきら星をクリアして、二曲目は禁じられた遊び。なんか、音符のゆれが激しさを増しているんだけど……。よくやれるなぁ。
「クリアっと……このゲーム、難しいねぇ……」
すごく簡単そうにクリアしているように見えるんですけど。画面をぼうっと見て、楽にやっているように見えるんだけれど。
「でも、このゲームをやっていると、ふわふわして楽しいよ……」
うん、先生の作ったゲームだもん。楽しくないわけ無いよ。
三曲目はえーと・……なんだろうこの曲……。聞いたことはあるんだけど思い出せない……。
あ、エリーゼのためにだ。音符がたくさん……。私にはできないよぅ。
「………」
声も出さずに夢中になっているよ。わたしはそっと近づいて目の前で手をひらひらさせる。
反応が無い。
「すみれちゃん、聞こえる?聞こえたら返事をして」
「は……い……」
ぼうっとした表情のまま力無く答える。これでよし!
あれ?何がこれでいいの?
「すみれちゃん、わたしの言うことをよく聞いて。わたし達、友達だよね?」
わたしはすみれちゃんの顔を自分のほうに向けながら言った。
「はい……」
「友達に聞かれたら、何でも答えるよね?」
「はい……」
「友達の言うことは、全部本当だよね?」
「はい……」
「わたしが言うことは、全部本当になるよね?」
「はい……」
「これから、わたしが三つ数えて手を叩くと目がさめるけど、今言った事は本当だよ」
「はい……」
「あと、私がすみれちゃんの頭に手を置いて『スイッチ・オフ』と言うと、またこの状態に戻るよ」
「はい……」
「1……2……3!」
ぱんっ!
自分でもびっくりするぐらい大きく乾いた音が部屋に響いた。まるで、心の中の風船を割ったみたいに……。
なんだか、すごく心地良い感じがした。
「あ、あれ、私……」
「すごいよすみれちゃん。初めてのゲームなのにあんなにうまくできるなんて」
「う、うん……。私、ピアノもやっていたから……。でも、あれ?」
ピアノも習っていたんだ……。本当に何でもできるなぁ……。
すみれちゃんはなんだか釈然としない顔であたりをきょろきょろと見まわしている。
「ね、すみれちゃん。ゲームをやって暑いよね?」
「え?……う、うん、ちょっと暑いかも……」
「じゃあ、服を脱げばいいんだよ。涼しくなるよ」
「うん、そうだね」
すみれちゃんはパパっと服を脱いで靴下と緑のストライプのパンツと薄い青のブラジャーだけになった。……ブラジャー……。やっぱ、胸おっきぃ……。
シャツの胸元から自分の胸を見る。なんだか、すごい敗北感が……。
でも、服を脱ぎ散らかすなんて……。けっこうだらしない?でも部屋は片付いているし……。
「ねぇ、すみれちゃんは片付けるの、嫌い?」
「うーん、嫌いって言うか、苦手。でも、今日は麻奈ちゃんが来るから急いで片付けたの」
へー。弱点見っけ。って、急いで片付けられるって、本当は得意なんじゃ……。
「ねぇ、家庭教師って、やさしい?」
私はオレンジジュースを飲みながら質問する。
「うーん、やさしいけど、ちょっと厳しいかな?」
「好き?」
「うん」
「そうなんだ……。わたしと同じ塾に行きたくない?」
「え?」
すみれちゃんはちょっと考えて口を開いた。
「うーん、だめ。家庭教師の……可憐先生、やさしいし、教え方もうまくて、良い先生だから」
「……でも、本当はいっしょの塾に行きたいんだよね?」
「え……でも……え?」
なんだか、自分の考えがわからないって感じ。なんだか混乱しているすみれちゃんに助け舟を出した。
「行・き・た・い・よね?」
「……うん、行きたい」
「じゃあ、お母さんに相談してみて?」
「そう……だね……」
そこまで言って、私は大変な事を思い出した。あの塾に入るには試験があるんだった。
まぁ、私でも入れたんだから、すみれちゃんが入れないわけ無いんだけど。たしか、やる気があるかどうかを見るだけ、らしいから。
「あの、さ、塾に入るには試験があるんだけど、わたしが覚えている分だけでもやってみる?」
「うん、やってみる」
「じゃあ、まず聞くけど……オナニーってしたこと、ある?」
「……ある、よ。でもなんでそんな事を聞くの?」
顔を真っ赤にしながら答える。そうか、あるんだ……。わたしは塾に行くまで言葉すら知らなかったのに。
「塾の試験でやるから。普通でしょ?」
「そう……なんだ……」
「じゃあ、ちょっとやって見せて。女の子同士だから、見られても大丈夫だよね?」
「え!?……は、はい……」
すみれちゃんはベッドに座ると、パンツを下ろして、右足首に引っ掛けたままで脱いだ。
「ん、ん……ふぁ……」
右手でおまんこをこすりながら、左手でブラジャーの下から手を入れて胸を揉んでいる。
すご……。
「けっこうオナニーしてる?」
「ふ、あぅん……そんなに……していないよ……。時々……月に二回くらい……むずむずしたときにしているだけ……」
それにしては、慣れているような……。う~ん。
「もう、止めてもいいよ」
「え、あ、ちょっと待って。……くぅん、あとちょっと、あと少しだからぁ……きゃうぅんっ!!」
腰が跳ね、がくがくとしたかと思うとそのままベッドに仰向けに倒れこんだ。もう、イくこともできるんだ……。なんだか、劣等感が……。
「はぁ……はぁ……」
「きれいにしてあげるね」
「え?きゃうんっ!!」
わたしは体を半分ベッドにあずけているすみれちゃんの両足を広げると、おまんこに舌を這わせた。
「き、汚い、よ」
「うぅん、すみれちゃんのは汚くなんか無いよ。わたしに任せて、ね」
「はいぃ……」
すみれちゃんは頬を赤く染め、目をぎゅっと閉じている。かわいいっ。
ぴちゃ、ぴちゃ、ぴちゃ。
なんか、わたし犬みたいだなぁ。
「はい、きれいになったよ」
「は、はい……」
すみれちゃんはのろのろと起きあがってパンツを穿いてずれたブラジャーを元に戻した。
「これなら、合格間違い無いよ。あとはお母さんを説得するだけ、だね」
「はい……」
「ところですみれちゃん。好きな男の子っている?」
「……………………」
答えない。と言うよりも考え込んでいるようだ。
「いない……」
「気になる男の子は?」
「それも、いない……。よくわからないけど、私には恋愛ってまだ早いんじゃないかな?」
すみれちゃんが好きって男の子、たくさんいると思うのになぁ……。
そんな男の子達がすみれちゃんを取り囲んでいる姿を想像した。その中にゆーきくんもいたりして……自分で想像して落ち込みそう。
「それじゃ、『スイッチ・オフ』」
私はすみれちゃんの頭に手を置いて、キーワードを言った。
すみれちゃんの瞳から意志の光が消える。すっごくかわいいっ!おなじ女の子のわたしでもすっごくどきどきしちゃう。
わたしが男の子だったら、間違いなく抱きしめてキスしちゃってるよ。……でも、無理やりするのはよくないよね。
「今日、塾のことお母さんに相談してみてね。もしだめだったら私に言って。何とかできるように先生に相談するから」
「はい……」
「それじゃ、三つ数えて手を叩くと目を覚ますよ。目を覚ますと今まであった事を忘れるの。わたしが遊びに来て、パソコンでゲームをやっていた。それだけだよ」
「はい……」
「1……2……3……」
ぱんっ!!
「あ、あれ?」
「すみれちゃん、いっしょに塾に行けるといーね」
「う、うん……」
「それじゃ、今日は楽しかったよ。またねぇ」
「うん、またね」
本当に、すみれちゃんといっしょに塾に行きたいなー。これからよりももっと楽しくなるだろうし。
< 続く >