おねえさんの下僕になって 2

第二夜

(みなさん、こんばんは。
 【会場より】こんばんは。
 はーい、御声援ありがとうございます。
 あ、実はすごく嬉しいお知らせがあるんです。
 【会場がシーンとなる】
 やだなあ、結婚じゃないですよ。
 何って?実は、僕に名前がないからって、全国の方々から僕に名前を考えてくれて送っていただいて、本当に皆様、有難うございました。
 それで、せっかくだから、いただいたうちから一番多かったものを選んだので、僕の名前が決まりました。
 では、発表します。
 カウントダウン!
 十
 ↓
 九
 ↓
 八
 ↓
 七
 ↓
 六
 ↓
 五
 ↓
 四
 ↓
 三
 ↓
 二
 ↓
 ワン!
 ↓
 〇!ジャーン、ハイ!ズバリ
 犬(いぬ)でーす。ぜひ、僕をこれから犬と呼んでください。
 【会場より】「いーぬ、いーぬ、いーぬ」
 はいはい、どうも。あ、早く始めないと、では。)

 美子に誘われて家のなかに入れられた百合樹は、ついにお風呂場の脱衣所にまで連れ込まれてしまった。しかも、自分の意志ではなく、百合樹の長い髪の香りに操られて、いやでも美子の家に来てしまったのである。

「ほらほら、ズボンのここ、ふくらんでいるじゃない。さっそく、ぬがしてあげるわね」
「おねえさん、やめてってば」
「ふふふふ。いやがっているようで本当はいやじゃないの、わたしにはわかるのよ。まあ、いやがっても無理やりやるけどね」
「あっ」

 美子にさっとベルトをはずされ、下着も一気に脱がされて男の性器をもう露骨にさらされてしまった。

「まあ、やっぱりいやらしいわねえ、こんな大きくなって…」

 百合樹は、いま美子の姿を見たばかりだからと言いたげであったが、きっと超能力で本心を知られてしまうのだろうからあえて言わないでおこうと思った。やはり、美子のしている三つ編みの長いおさげ髪を見て興奮せずにいられなかったのである。

「じゃあ、わたしも脱ぐから、目をそらしちゃだめよ」

 顔を背けたり、目を閉じたりしようとするとまたすぐに髪の香りが百合樹に向けられてしまい、美子のストリップをいやでも見ていなければならなくなったのである。

「もしかすると、あんた、ヌードとかストリップとか見たことないでしょ」
「うん」

 やっと、
 返事をするだけで精一杯という感じの百合樹だった。

「こんな簡単に、女の裸が見られるなんて、そう幸運な男の子、いないわよ」

 美子は、着ていた制服も脱ぎ、下着だけの半裸姿になった。すると、百合樹がもう興奮を抑え切れず、早くも上向きに大きく勃っていた性器から潮を吹くようにして精液が現われてきたのである。

「きゃー、だめよ」

 美子がすぐに百合樹の性器に口を加えさせてしゃぶり始めた。前に垂れていた三つ編みの髪の毛を両方とも背中にはらいながら、精液が床に落ちないように受け止めていたのだった。

「あー。わたしの着ている下着も汚したわね」
「ご、ごめんなさーい」
「まあ、あとでお返しはたっぷりするから」

 何をされるかわからないと不安に思う百合樹だが、美子の下着を脱いで裸になっていく場面を見ると、やはりきれいな女の身体だなあと思ってぼーっとしてしまうのであった。

「さあ、あんたも残っているもの全部脱いで」
「おねえさん、自分で脱ぐから、髪の毛で操らないでよ」
「ふふふ。じゃあ、わたしもあんたのストリップをたっぷり見せていただくわ」

 こうして、二人とも全裸になり、浴室のほうへ入っていった。

 浴室で、美子が背中に払っていた髪の毛をまたつまんで前に差し出して、百合樹に香りを浴びせるのであった。

「うう…」
「ほーら、そこへよつんばいになるのよ」

 言われたように、百合樹はよつんばいになった。

「犬の鳴き声をしてみなさい」
「うー、ワン、ワン」
「ふふふふ、可愛い声ね。じゃあ、この足をおなめ」

 百合樹は、美子の大根足のようなその足首に頭をもたげてまた舌を出し、なめるのであった。

「今度は爪先よ」

 百合樹は、まるで本物の犬になり切ったように舌で美子の足指を打ったりするのであった。

「ふふふ、今度はおすわり」

 また、本物の犬がやるようなしぐさをさせられている百合樹だった。

「ふふふふ。今度は、ここをおなめ」
「えっ?」

 とうとう、アンダーヘアーのある股からお尻のあたりをなめさせられてしまった。

「今度は、片足だけ立って、ほほほほ。そのおちんちんもぶらぶらさせるのよ」
「うう…
 」
「ちゃんと、犬の鳴き声で、あんあんって鳴くのよ」
「あん…、あん」
「ふふふふ、今度は足だけ床について、両手をくっつけて揃えて前に、お尻を振って」

 こうして、百合樹は美子の遊び道具のように扱われてしまった。

「ふふふふ」

 百合樹の立っている背中に、美子は胸を押し付けるようにして抱きついていた。三つ編みの髪の毛をそれぞれ百合樹の肩の上から垂れさせていた。目の前に、自分の胸まで毛先が届いている美子の髪を見てまた百合樹はぼーっとなるのだった。百合樹のわきの下から美子が手を入れて百合樹の肩から垂れている自分の髪の毛をつまみ、百合樹の鼻におしつけていた。

「あっ、ああ…」

 その場で首をもたげてがくっとなり、百合樹はしばらく気絶していた。

 少したって百合樹が目覚めると、お風呂場の床に敷いてあるマットの上に仰向けになっていて、自分の身体の上には美子が抱きついて覆いかぶさり、あごを百合樹の顔に押し付けていた。もちろん、互いに裸のままで、美子の髪形も同じ三つ編みのおさげである。

「うふふふ。目が覚めたわね」
「おねえさん…」
「わたしの体の中、気持ちいいでしょ」
「でも…」
「なあに?」
「おねえさんは、ぼくのこと好きじゃないはずでしょ。どうして、こんなことするの?」
「べつに、こんなことするのに、好きも嫌いも関係ないわよ。そりゃあいくらなんでも、あんたなんかと両思いの恋人どうしになろうなんて無理だからね。こうやって、遊び相手ならいくらでもできるから」

 百合樹は、それでも美子に対してあこがれの心が消えているわけではなかった。どうしても、美子への思いが強まって仕方がなかった。片思いでも相手をしてくれる人なのかと思うと、いわゆる優しさといったら不似合いかもしれないが、そのためにますます好きになってしまうのであった。しかし、相手は普通の人間ではなく、恐ろしい妖怪の吸血鬼なのであると思うと、美子の優しさもまた怖いと思うのであった。

「あの…」
「まだ、ききたいことがあるの?」
「おねえさんは、吸血鬼なんでしょ。僕からまた血を吸うんでしょ」
「今は吸わないから心配しなくていいわよ」
「たしか、お父さんに血を吸わせるとか言ってたでしょ」
「ああ、わたしのパパのことね。パパは、わたしじゃダメなんだって」
「ええ?こんなきれいなおねえさんなのに」
「パパから見ればわたしは子供なの。もっと熟した美女じゃないとだめだなんて、ぜいたく言ってるから。だから、いま外国に行ってるわ。いちおう商社の仕事もしているから、たしかに血を吸われた時も外国で金髪の美人だったとか言って」
「じゃあ、いまのおねえさんは…」
「ふふふふ。でも、いつ吸血鬼の心が目覚めるかわからないからね」
「吸血鬼の心って…」
「人間、誰だって生まれつき持っているいろんな心のうちのひとつよ。わたしは時々そういう心が芽生えてくる性質らしいのよ。あんただって、長い髪の毛の女の子を見るとよく興奮するでしょ」
「いったい、おねえさんは生まれた時から本物の吸血鬼だったの?それとも、途中で誰かに吸血鬼にされたの?」
「いずれわかるわよ。うふふふ」

 その時、美子の背中におろしている二本にまとめた三つ編みの髪が、両方ともへびがはうような動きをして毛先が百
 合樹の手首に巻きつきはじめたのである。

「おねえさん、やっぱり妖怪…」
「さあ、わたしの髪の毛をなでて。なでられると気持ちいいの」
「あ、あの…」
「女の子を喜ばすことができれば、あんたもいい気持ちがするわよ」

 とうとう、手首を髪の毛で引っぱられて、美子のその髪の毛を、互いに反対側のほうの髪を撫でさせられてしまっていた。三つ編みの編み目により興奮した感触を味わって、また百合樹はぼーっとなるのだった。しかし、手首も痛く感じていた。

「おねえさん、離して…」
「くくくく、今だわ」

 美子の目つきがギョロッとなってきて、口の中が光りだしていた。ついに牙が出てきて、吸血鬼としての正体を現わしたのである。
 考えてみれば、とっくに美子には血を吸われて自分も吸血鬼にされ、すでに別の少女を襲って血を吸っていたことも思い出した百合樹であった。そう思うと、もう抵抗する気もなくなっていた。
 がぶーっ!

(はーい、すみません。犬でーす、あ、犬という名前になったんです。今回はここで時間切れになりました。まだまだ、
 濡れ場は続くみたいですよ。けれど、ちょっと途中、むかついた場面がありました。犬の真似だって、何ですか、あれは?ぼくたち、あんなみっともないことしませんよ。人間は本当に動物をばかにしています。困ったことです。あんまり言うと、この仕事クビになるかもしれないので、このへんでやめときますが、それにしても、男の子は嬉しそうですね。地獄のようで天国なんでしょうね、きっと。気になるのは、このおねえさんの正体は何なんでしょうか、それは次回に明らかになるか…どうかはわからないそうです。それじゃみなさん、ベートーベン…じゃなくて、バッハはーい…カエルじゃないだろって。ワンワン)

< つづく >

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