視聴覚室の従属

「ちょっとっ!」

 麗らかな昼下がり。視聴覚室で昼寝をしていた男子生徒は、そのいらだたしげな声で叩き起こされた。
 まだ完全に覚醒していない頭、トロンと眠そうな目を瞬かせて擦りながら見上げた先には一人の少女が仁王立ちをしていた。
 ショートカットの髪型、切れ長の目が縁なしの眼鏡の下からじろりと男子生徒を睨んでいる。少女は怒りを隠そうともしていなかった。

「ちょっとあんたっ、今何時だと思ってるの!!」

 男子生徒はその問いに目の前にかかっている時計を指し、再び寝の体勢に入る。指さした方向をつられてみてしまった少女はバカにされたと思い、顔を真っ赤にして男子生徒を振り返る。

 バン!

「ふざけないで! 授業サボってんじゃないわよ!!」

 勢いよく少女の手が叩きつけられる。その痛みに少女は顔をしかめたが怒りのままにまくし立てる。
 その荒げた声に男子生徒は初めてじろりと少女を見返す。その瞳にも少女は怯むことなく目をつり上げて睨み返していた。

「あんたが居ないせいで風紀委員の私が探しに来させられるのよ! ほら、教室に行くわよ!!」
「・・・・・」

 少女はぐいと男子生徒の腕を引っ張り立ち上がらせようとする。男子生徒はそんな少女を無言で睨み、威嚇する。
 だが、少女はそんな様子を気にもせず、なおも男子生徒の腕を引っ張った。

「ほらっ・・立ちなさいよっ!」
「はぁ・・・・」

 男子生徒は短くため息を吐くと、少女に持ち上げられているのとは反対側の手で携帯電話を取り出し、少女の死角へと滑り込ませる。

「いい加減にっ!!」

 少女がぐいっと男子生徒の腕を持ち上げた瞬間、男子生徒は携帯電話のカメラボタンを押した。
 パシャッ!!

「きゃっ」

 強烈なフラッシュが焚かれ、少女は怯む。その瞬間を逃さずに男子生徒は声を滑り込ませた。

「もう目を開くことはできない!」

 男子生徒はすっと椅子から立ち上がると、ぎゅっと目を閉じている少女の瞼の上に右手を、後頭部に左手を当てて少女の頭をぐるぐると回す。

「ほら、どんどんと頭の中から色んな物が抜けていく。こうされると何も考えることができなくなる。そして、段々と体から力が抜けて、立っていることもできなくなる。さあ、座ってしまいましょう」

 近くの椅子を引っ張り出し、そこに少女を座らせる。

「さあ、もう、何も考えられない。どうしてここにいるのか、自分が何者なのか、それすらもわからない。さあ、三つ数えると体中の力が抜けてしまいますよ。一つ、二つ、三つ」

 がくんと少女の頭が後ろへと下がる。背もたれいっぱいに体をもたれかけ、頭が背もたれの上から後ろへとくずれる。その拍子に顔にかけられた眼鏡が少しずれた。
 口が力無く開き、呼吸を繰り返す。大きく仰け反らされた胸がそれに合わせて上下に動いていた。

「・・・・・・」

 男子生徒は暗示を入れようと口を開き、そして、数秒固まった後、声を漏らした。

「名前、なんだっけ」

 声が聞こえなかったのか、少女は反応を示さない。男子生徒は気を取り直すと再び少女へと向かった。

「ここは君の中、聞こえる声は全て君の言葉だよ。自分に嘘をついても仕方ないよね。だから、君はどんな質問にも答えてしまう。聞こえてくる言葉は全て君が思っていることだから、必ずそうなってしまう。どんな恥ずかしいこと、どんな嫌なことでも必ずその通りになってしまうよ」

 男子生徒はそこまで言うと改めて少女を見た。その顔は確かに見覚えのある物だったが、いくら見ても男子生徒は少女の名前を思い出すことができなかった。

「名前は?」
「り・・・・・つ・・・・・」

 男子生徒の言葉。それに導かれるように少女は口を開く。

「そう、声に答えていくのは気持ちいい。気持ちよくなりたいだろう?」
「なり・・・・・たい・・・・・」
「声に答えるのはとても気持ちいいよ。名字は?」
「か・な・・・・め・・・・・」

 答えながら綻んでいく少女―――要 律の表情。
 そんな律を見て、男子生徒もクスリと僅かに笑みを見せた。

「ほら、どんどん気持ちよくなっていくね。とても気持ちいいからずっとこのままでいたい。そうだね?」
「う・・・・ん・・・・・ずっと・・・・・この・・・まま・・・・・」

 僅かに開いた口から、微かに漏れる言葉。

「だけど、目が覚めると、この気持ちいいのがなくなってしまうよ」
「や・・・・・そんなの・・・・・・嫌」

 ふるふると弱々しく首を振る律。
 その頭を両手で包み込み覆い被さるように男子生徒は律を見下ろした。

「うん、嫌だね。ずっとこの気持ちいいままでいたいよね。大丈夫、あなたの鍵は目の前の男の子が持っているから、いつでもこの気持ちいいところへと戻ってこられるし、これから言う言葉をしっかりと心の中に刻みつけておけば、目が覚めても気持ちいいままなんだよ」

 言って、男子生徒は律の唇に軽く人差し指を当て、そっと律の耳へと口を持って行く。

「私はご主人様の奴隷です。なので、ご主人様の命令にはどんな命令でも絶対服従します。さあ、この言葉を心の中にしっかりと刻みつければ、あなたはこの気持ちよさのまま目をさますことができる。しっかりとあなたの心に刻みつけられたら、あなたは自動的に目が覚める。そして、目が覚めた後、目の前にいる人があなたのご主人様です。でも、これは心の奥底に刻みつけられた事なので、普段のあなたは目の前の男性がご主人様だとわからないまま従ってしまいます」

 男子生徒は向かい合うように椅子に座る。

「さあ、先程の言葉を心に刻みつけましょう」

 律の変化を見る。律はぶつぶつと何かを呟いている。突然、その呟きが止まると、律の頭が持ち上がり、ゆっくりと起きあがる。そして、そのまま前に崩れて、俯くような前傾姿勢になる。額の方にずれていた眼鏡はカクンと前にずれ、落ちる一歩手前の所で引っかかった。

「ん・・・・・・」

 律は眼鏡が落ちないように押さえながら、軽く頭を振る。眼鏡を元に戻し、律は顔を上げた。そして、その視界に男子生徒が入っていく。
 ピタリ。
 律の動きが止まる。目を大きく見開いて、パチパチと瞬きを繰り返す。
 その瞬間、チャイムが校舎中に響いた。

「あーーーーーーっ!!」

 律は絶叫と共に立ち上がり、時計を見て愕然とした。

「授業終わっちゃったじゃない!! あんたがぐずぐずしてるからっ」
「黙ってろ」

 ジッと律をみて静かに宣告する。

「っ・・・・・黙ってろ・・・・黙ってるの・・・・はい」

 そして、律は男子生徒を見下ろしたまま立っていた。
 値踏みするように律を見ていた男子生徒はおもむろに立ち上がると、立っている律の後ろへと回り、そっと胸を持ち上げる。

「ひゃぁっ!」

 突然の行動と刺激に律はあられもない声を上げる。後ろから揉み上げられた胸がふにふにと形を変えて、男子生徒の手を愉しませる。
 困惑しながら律は男子生徒を引き剥がそうと、体を捩る。男子生徒は律の耳に口を寄せ、そっと囁いた。

「抵抗するな」
「・・・抵抗しない・・・の?」

 その言葉に律の抵抗がピタリと止まる。
 男子生徒は胸を揉み、律の制服を脱がしていく。セーラー服をたくし上げ、胸を露わにする。ピンと留め具を弾き、ブラジャーを外すと形のいい胸がポロンと零れた。
 その胸を片手でもみほぐしながら、男子生徒は律の顎を持ち振り向かせる。羞恥からか赤く染まっているその頬を舐めて、その唇を奪った。

「ん・・・・・」

 律は驚愕に目を見開きながらその唇を受け入れる。そのつながった唇を通り、舌が律の口の中へと差し込まれる。その舌が律の口内を蹂躙していく。
 その動きを受け入れる律。満足した男子生徒が解放した口からは熱い吐息が漏れていた。

「ぅ・・・・・はぁ・・・・・」

 ぺろぺろと首筋を舐め、律を向かい合わせる。律は快楽を感じているのか、ぼうっとしたまま肌を桃色に染めている。

「パンツを脱げ」
「・・・はい・・・・」

 胸を揉まれたまま、律は前屈みになり、ショーツに手をかける。既に濡れて脱ぎにくくなったショーツはくるくるとねじられながら足を通っていく。

「そこでいい」

 律の手が膝の辺りまできた時に、男子生徒が言う。丸まったショーツは膝の辺りにつけたまま律は再びまっすぐに立った。
 スカートに隠された律の秘所へ男子生徒の指が伸びる。
 クチュリ。
 触れた瞬間に水っぽい音が響き、びくっと律が震える。律は目を伏せ、頬を赤く染めて、しかし、それでも律は動かない。

「ふっ・・・・ぅ・・・・・」

 ぴったりと閉じられた少女の秘裂。その谷間にそって男子生徒の指が滑っていく。
 男子生徒の指が動くたび、律の体がビクビクと震える。
 ぎゅっと目を瞑り、内から湧き出てくる感覚を必死に抑えていた。

「あぁぅっ!」

 スカートの中でクリトリスが弾かれる。秘裂から溢れる密の量が増えた。しかし、律はスカートの裾をぎゅっと握りしめ、ぶるぶると体を震わせていた。
 瞼、そして口はこれ以上ないと言うくらいに強く閉じられていて、その姿は快楽に耐えているようにも、快楽を逃がさないようにも見えた。
 そんな律を見て、男子生徒はにやりと笑う。
 そして、上と同様にぴったりと閉じられた秘裂へと指を侵入させていった。

「・・・・・っ!!」

 律が息を呑み、その体が緊張に固まる。更に進められた指はその緊張をほぐすように快楽を与えた。

「はぁ・・・・・ふぅ・・・・・・」

 ブルブルと震える律の体。その口から漏れ出る吐息は熱く、甘い響きを持っていた。
 桃色に染まった肌にうっすらと汗が滲む。絡みつく肉の間を男子生徒の指が進むたびに律の体が震えた。
 男子生徒は秘裂を弄りながら、再び律の唇を奪う。口から漏れる熱い吐息を吸い込んだ。
 舌を伸ばし、律の舌を絡め取る。唾液をかき混ぜて、ぴちゃぴちゃと音をならした。
 それと同時に指の動きを激しくする。伝わってくる快感に律はビクビクと体を震わせた。

「んっ・・・ふっ・・・・・うぅっ・・・」

 ビクンビクンと律の体の動きが大きくなる。それに合わせて合わされた唇から僅かに喘ぎ声が漏れていった。
 男子生徒にされるがままに身を委ねる律。その体の震えは大きくなり、漏れる吐息が短く、早くなっていく。
 ゾクと律の体に鋭い刺激が走る。込み上げてきた感覚が律の体を満たし、溢れていく。
 その感覚に律の全身の筋肉が収縮する。感覚は快感へと代わり、律の脳を灼いていく。

「ぅっ・・・・んんっ・・・・ふっ・・・・・」

 短く途切れていく律の呼吸。男子生徒は口内を蹂躙したまま、指を秘所の奥へと突きこみ、クリトリスを強く弾いた。

「・・・・・・・っ!!」

 ビクビクと律の体が大きく震えて、固く閉じられていた瞳が大きく見開かれる。そして、その瞳はすぐにとろんと悦楽に染まり、その体からガクンと力が抜けていった。

「・・・・はぁ・・・」

 男子生徒は律の唇を、体を解放する。ふわふわと夢でも見ているように律はその場に立っていた。
 ビクッ、ビクッ。
 思い出したかのように、律の体が痙攣する。蕩けた瞳は男子生徒を見つめ、茫然としていた。
 ペロリと男子生徒は自分の指についた律の愛液を軽く舐める。

「俺のチン○を舐めろ」
「・・・・舐めればいいのね」

 男子生徒の命令に律は頷く。
 赤く頬を染め、俯き加減のまま、男子生徒の目の前に跪く。ベルトを外し、ズボンを下ろすと、出て来た肉棒をそっと触る。そして崇めるようにそれを見て、軽くキスをした。
 唇を離すと、恐る恐るその肉棒を舐める。伝わる味に顔をしかめながらも、律は懸命に下から上へと舌を動かす。

「もっと下から・・・・そう。口全体で飲み込んで、包み込むように・・・・そう」

 男子生徒の指示に従い、律は舌を動かしていく。稚拙ながらもその動きは確実に男子生徒の官能を刺激していた。
 肉棒は大きく屹立し、ゾクッ、ゾクッと腰を快感が走る。徐々に迫り上がってくる限界。

「下の袋も・・・刺激して・・んっ」

 はあと言う熱い吐息が肉棒へとかかる。その熱が移ったのか肉棒は熱を持ち、律の舌が触れるたびにビクビクと震えた。

「そう・・・・もう一度、銜えて・・・・奥まで飲み込む・・・・・歯で噛まないように」

 言われた通り、律は肉棒を口の奥まで銜え込む。

「そのまま・・・動くなよ」

 言って、男子生徒は乱暴に腰を動かす。肉棒の先が口の奥へと当たり、律は苦しそうな顔をして小さく咳き込む。
 男子生徒は構うことなく腰を動かし、快楽を享受していた。
 湧き上がる射精感。それを我慢することなく、男子生徒は律の口内へと射精した。

「んんっ!!」
「吐き出すな!!」

 突然の刺激に目を白黒させている律に向かい、男子生徒は叫ぶ。瞬間、律は口を押さえて湧き上がる嘔吐感に必死に耐えた。
 男子生徒は律の顎に手を当て、顔を上げさせる。男子生徒を見上げる律の瞳は涙に滲み、その表情は強ばっていた。

「まだ、飲み込んでないよな。口を開け」

 男子生徒の言葉に従い、律はその口を開き舌を出す。その上に乗っている精子、そんな律の姿を見て男子生徒はにやりと笑みを浮かべた。

「よし、それを飲み込め。一滴たりとも零すなよ」

 その命令に律は口を閉じ、精子を飲み込む。その味に顔をしかめたまま、ゴクリと喉を動かした。
 その様子を見て男子生徒は満足そうな笑みを見せると、近くの椅子へと座り律へという。

「もう一度舐めろ。綺麗にするんだ」

 男子生徒の足の間に潜り込み、律は再び肉棒を舐める。
 下から舐め残しのないようにペロリペロリと舐めあげた。

「俺の上に跨れ。自分で入れるんだ」
「自分で・・・私から・・・・」

 律はその命令に立ち上がると、ショーツを脱ぎ捨て男子生徒の足を踏まないように椅子へと上がる。
 自分が入れやすいようにスカートを持ち上げると、裾を銜え蜜の溢れ出る秘裂を再び屹立している肉棒へと宛い、一息に腰を下ろした。
 ブチブチッ!!
 幕が引きちぎられる感触。鋭く、激しい痛みが律の体を駆け抜けた。

「・・・・!!」

 その痛みに律の体が強ばる。繋ぎ目からは一筋、赤い糸が白い腿を伝い、痛々しさを強調していた。

「動け。俺を愉しませろ」
「はっ・・・・・いっ!」

 痛みに耐えながら、律は腰を上下に動かす。男子生徒に喜んでもらえるように、常に男子生徒の表情を確認して気持ちいいところを探る。

「くっ・・・・・・・ぅ・・・・・・ふぅっ・・・・・はぁっ・・・・」

 律の吐息に艶が混じり始める。男子生徒は律の胸を揉み上げ、その肌に指を滑らせていた。
 律はそれに溺れることなく、男子生徒へと奉仕する。それしか知らないかのように腰を動かし、男子生徒の肉棒を刺激し続ける。
 その間にも男子生徒の責めは続く。人差し指を臍に滑らせ、逆の手で尻を掴む。軟らかい肉をふにふにと揉み、律の神経を刺激する。
 そして、男子生徒は自分の腰を突き上げた。

「ぁ・・・・ぅっ・・・・・はくぅっ!!!」

 ズンと言う衝撃。
 びくりと律の体が震える。
 男子生徒は徐々に湧き上がってくる射精感を溢れさせるようにどんどん腰を突き上げる。

「あっ・・はっ・・・うっ・・・・あっ・・!!」

 突き上げられる腰に合わせて、律は体を震わせる。それはあたかも踊りを踊っているようにも見えた。
 ジュブジュブと秘所の中が掻き回され、桃色に染まった愛液が二人の接合部に溢れ出る。
 じわじわと駆け上がってくる射精感。弓を引き絞るように男子生徒はできるだけ射精を我慢する。

「あぁっ!! はっ!! ひっ!! ふぅっ!」

 痛みと快感。二つの溢れる刺激に律は上体を仰け反らせる。それでも腰は動いたままで男子生徒に射精を促す。

「っ!!!!」
「!!!!」

 男子生徒の腰がズンと大きく突き上げられる。そして、律の秘所の中に男子生徒は射精した。
 その感覚に律は口を大きく開き、体を震わせた後、一気に脱力した。
 糸の切れた操り人形のようにぐらりと力無く、律は男子生徒へとしなだれかかる。
 男子生徒は律の体を受け止めると、その耳に囁きかける。

「たて」
「・・・・は・・・・い」

 律はふらふらと揺れる体を動かし、椅子から離れて立ち上がる。はだけた制服、惚けた表情には生真面目だった律は見る影もなかった。
 男子生徒は律のポケットからハンカチを取り出すと、己の肉棒を拭くとそのハンカチを律へとわたし、ズボンをあげる。

「じゃあ、後始末しておけ。ここで起こったことを誰にもばれないようにしておけよ」
「当然でしょ。私だって、こんな事誰にも教えられないわよ」

 男子生徒の言葉に律はじろりとした視線を送る。
 律に見られないようにフッと男子生徒は笑みを浮かべた。

「ところで、何で俺たちはあんな事をしたんだ?」
「そんなの・・・・・あんたが言ったから・・・でしょ?」

 律は首をかしげながら、その問いに答える。

「それじゃな。先生には適当に言っといてくれ」
「わかったわ」

 服装を正し、床や椅子の掃除をする律を尻目に男子生徒は視聴覚室を出た。

< 了 >

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