髪射へび少女 第八話

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暁子が田崎博士の車で、へび女にされていた人々を、ようやく開発されたワクチンによって元の人間に戻しながら家の近くまで帰ってきたが、その間にも暁子の学校ではへび女がふえていた。
暁子のクラスに転校してきた尾藤真里が、暁子の兄を襲って下僕のへびにし、暁子のクラスでまず女子全員をへび女にすると、その女子をひとりずつ使って男子をも襲わせていたのである。

真里「うふふふ、女の子のいうことをなんでもきくようになれば、あなたも夢のような気持ちになれるのよ。ほら、わたしみたいな長い髪の毛が好きでしょう。さわらせてあげる。」

ああっ、ああっ…真里に襲われた男子生徒も、真里のような長い髪の毛にあこがれていたため、真里が転校してきた時にひと目で好きになっていた。ただし、この男子生徒のことをべつに好きな女子生徒がほかのクラスにいるため、あとで襲わせようとするために真里は目をつけていた。事前に女子たちのあいだでも、自分のことを好きな男子がいるか、また自分が好きな男子はだれかなど、いろいろ打ち合わせてひとりずつ奪い合いにならないように担任の女教師も含めて取り決めていたようである。

真里「くくくく」

ばっさりと垂らした前髪を男子生徒の背中に抱きつきながら肩にかけて香りをかがせ、その男子生徒の意識が早くも朦朧となって倒れてしまった。
水無川芳美も、自分のことをかねてから好きになっていた男子生徒に抱きついてツイン・テールの長い黒髪をその男子生徒の肩から胸にかぶせていた。

芳美「うふふふ。あなたを離さないわ。いやって言ってるけど、女の子に襲われて男の子がいやと言うのはほんとうはうれしいっていう意味だと女の子は思っているのよ。あなたもわたしのようになるのよ。」

芳美の手が、男子生徒のはいていた制服のズボンのベルトをゆるめて股のところをまさぐり始め、男子生徒を興奮させてしまった。ああ、ああ…。
寺田明美は、自分のことを好みにしている男子がいないようで、逆に自分が片思いを抱いていた男子生徒の背中に抱きついていった。三つ編みのおさげにした髪の毛先で男子生徒の首すじをくすぐり、興奮させていた。毛先もへびの顔になって、男子生徒を驚かせていた。

明美「うふふふ、わたしのことをきっと好きになるわ。」
栄美子「くくくく。」

西崎栄美子も前髪を後頭部で黒いヘアゴムをまとめて肩に髪を垂らした姿で男子生徒を興奮させていた。
担任の若い女教師も、ひとりの男子生徒の顔を自分の胸にうずめさせていた。
女子生徒たちの不気味な笑い声と、男子生徒たちの絶叫やあえぎ声などが交錯していた。女子生徒たちの恐ろしいうろこだらけの顔や伸びる胴体、つりあがっていく目、耳の近くまで裂けている口、また伸びた胴体で男子生徒の身体をぐるぐる巻きにして苦しめる女子生徒もいた。かわいいと思って好意を抱いていたはずの女子生徒がこんなに恐ろしい姿に、そして恐ろしい行動を…、男子生徒たちも逃げられた者はだれ一人としていなかった。
まもなく、男子生徒は全員倒れ、気を失ったようであった。

主犯格の真里が教室内の全員に指示した。

真里「さあ、いいわね、みんな。まだとなりのクラスは体育をやっていて教室に帰ってきてないから、こんどは女子更衣室でとなりのクラスの女子を全員仲間にするのよ。」
芳美「となりといっても、体育だったら二つのクラスが男女わかれてるから…。」
真里「半分はここにいる男子に襲わせるのよ。」
栄美子「そっか、じゃあ、先に女子をへびにして、またそれぞれのクラスで女子に男子を襲わせればいいわけね。」
明美「そしたら、ここにいる男子をまず…。」
真里「そのとおりよ。さ、みんな、スカートや下着をぬいで、精液を男子の頭にかけるのよ。」

倒れたままの男子生徒を仰向けにして、男子生徒のズボンや下着もはがすと性器を女子生徒たちは口に加え始めた。このときに男子生徒たちもいったん目ざめるのであるが、女子生徒の両ひざに首をはさまれて見えているのは半裸になっていた後ろ姿やお尻であった。男子生徒の性器をしゃぶりながら自らも女子生徒たちは興奮して精液を出してしまい、男子生徒の顔や頭を直撃してまた男子生徒たちはあえぎだしたのであった。

うう、うう…女の子の…血…血が…ほしい。
男子生徒の腕などにもへびのうろこが現われてくるのであった。

長原桂子の一家を元に戻した田崎博士や暁子の車が、暁子の家に向かっていた。学校はさらに反対方向にある。

暁子「パパやママがいたら…、元に戻せるかしら。」
田崎博士「もう、いままでにこうしてみんな治してきたんだから、自信を持ちなさい。」
暁子「それもそうだわ。あっ、この交差点わたってから左に曲がります。」

暁子の自宅に近づき、犬のコロがほえだした。

コロ「ワン、ワン…。」
暁子「家にだれかいるようね。」

やっと自分の家に戻ってきても、長原桂子のような見ず知らずの者たちの家に行くのとは勝手が違うような気がした。

田崎博士「油断してはだめだ。いまは、あなたのおとうさんやおかあさんではないと思うようにしたほうがいい。」
暁子「わかりました。」

暁子は、銃を抱えながらそっと、自分の家の玄関を開いてみた。鍵はかかっていなかった。だれもいるような様子がないという感じで不気味なほど静かであったが、コロがしきりに鳴き、また首を同じ方向に向けたがるので、だれかがそっちにはいるものと思って、廊下をとにかく歩いてみた。
コロがふすまに手をかけた。このなかは暁子の両親がいつも寝る部屋である。おそるおそる、暁子はふすまを開いた。その部屋で、暁子はまた異様な光景を目にするのであった。
暁子「あっ。」

暁子の両親が、三面鏡の前にもうひとり別の者を正座させて、しかもその者は髪の毛を長くして暁子の両親が左右に分け、ていねいにヘアブラシをとかしてふたりともその髪に黒いヘアゴムをはめてツイン・テールのおさげに結いはじめたのである。実は、兄の雅美也なのであるが、暁子は兄がそのような姿になったことをまだはっきりと知らなかったので、兄であることには全く気づかなかったのであった。豊富にまとまった量のおさげ髪の姿はどこから見ても女の子のようであった。

暁子の父「くくくく。」
暁子の母「くくくく。」
雅美也「うふふふ。」

三人とも不気味な笑い声ばかりが会話代わりになっているようであった。顔もへび女たちの恐ろしい姿になっていた。

田崎博士「いまだ、暁子さん、おかあさんの後ろから頭を狙いなさい。わたしはおとうさんのほうを撃つから。」
暁子「えっ?ええ。」

もう、そこにいるのは自分の親ではないとばかり強く引き金をひいて後頭部に薬液をうちこんでいた。
暁子の父「ううっ!」
暁子の母「ううっ!」
雅美也「はっ。」

ふたりの親が、その場で前のめりになって倒れると、雅美也は一瞬振り向いただけですぐに立ち上がって尻まで届いているツインテールの髪をはげしくふりながら、しかも壁をつたってへびのようにはいあがり、開いていた天井に逃げ込んだのである。しかも、下半身がへびの姿になっていた。雅美也は服も女ものであるスカートなどを着ていて女装していたのであるが、暁子にはまだ兄であることがわからなかった。

暁子「だれかしら、あの子は…。」
田崎博士「逃げていった者には構うな。集中して撃ち続けなさい。」
暁子「はい。」

薬液を撃ち続けて暁子の両親が倒れたが、しばらくして顔や腕にあらわれていたうろこがだんだんと消えていった。

暁子「パパ、ママ…。」
田崎博士「コロも吠えなくなったから、ふたりとも元に戻ったようだぞ。ああ、そうだ。ちょっと車のほうを見て来よう。もう、だいじょうぶだからゆっくりおかあさんたちとお話してから、学校にあなたを送るから。」
暁子「はい、ほんとうにありがとうございました。」

コロも田崎博士の後をついていって玄関を出ると、暁子は両親が息づかいをしているのを感じた。

暁子「はっ。」
暁子の父「うーん、ここは…。」
暁子の母「わたしたち、へんな夢を見ていたような。」
暁子「パパ、ママ、元に戻ったのね。」
暁子の母「まあ、暁子…。」
暁子「よかった。」

暁子は母親の胸にとびついて泣きだすのであった。両親は、よく状況がいぜんとしてわからないままだったが、とにかく恐怖からは抜け出したと感じたのであった。

暁子「これで安心して学校に行ける…。」

だが、その学校では暁子の知らないうちにまたより恐ろしい状況になっていたのであった。

真里「うふふふ。」

真里に肩をかけられた男子生徒がうつろな表情で起き上がっていたが、真里の顔を見て一瞬はっと気がついたようすであった。しかし、真里はすぐに手鏡を出してその男子生徒の顔に向けた。男子生徒の髪の毛が真里のかけた精液によっていつのまにか女子のように長く伸びていたのである。ことに、真里のように長い髪の毛の者を好みにしている男子の場合はその好みどおりの長さにまで髪が伸ばされていたのである。

鏡で自分の姿を見た男子生徒はだんだんと興奮してくるのだった。

真里「ほら、こうして自分もへびになりきってくるのよ。おほほほ。」

ほかの女子生徒もひとりずつ、男子生徒を洗脳して下僕にしていたのだった。

芳美「わたしのゴムをかしてあげるわ。」
明美「わたしも。編んであげる。」

男子生徒には女子生徒が頭にさしていたピンやゴムなどがつけられて、女子生徒の命令どおりに行動するようになるのであった。髪の毛を長くされていた男子生徒にはまた女子生徒のようにヘアゴムがゆわえられていておさげになったり、三つ編みの姿になった者もいた。

栄美子「さあ、みんな、更衣室に行こう。」

となりのクラスではちょうど体育の授業が終ったところで、暁子のクラスでは6時間目の授業が担任の教師による担当で、その教師もへび女になっているために早めに授業を終えて生徒たちを更衣室に向かわせたのであった。体育の授業はふたつのクラスが男女別に分かれて各々合同で授業をしていて男子が教室に戻って着替え、女子のためにだけ設けられていた更衣室で女子は着替えるようになっていた。その更衣室で、となりのふたつのクラスの女子生徒より先に暁子のクラスの女子生徒が男子をひとりずつつれて入りこみ、体育の授業を終えた女子生徒を待ち伏せていたのである。

体育の授業を終えた女子生徒たちが戻ってくると、隠れていた真里たちが男子生徒をひとりずつ女子生徒に襲いかからせるのであった。

真里「いまよ。」

きゃあーっ!いっせいに悲鳴がおこった。正面から男子生徒に襲われた女子生徒、背中から抱きつかれた女子生徒、真里に襲われて下僕になった男子生徒はやはり好みである長い三つ編みの女子生徒の髪の毛を両手でわしづかみにしてひっぱりながら襲っていた。女子生徒を倒してさっそくその女子生徒の髪の毛を自分の性器に巻きつけては興奮して精液で髪の毛を汚すと、髪を汚された女子生徒たちも次々にへび女になっていくのであった。また、ふたつあるクラスの女子生徒には半分を男子が、もう半分の女子生徒を暁子のクラスですでにへび女になっている女子生徒がひとりずつ襲っていたのであった。男子生徒の行動を止めようとした女子生徒も、へび女になっている女子生徒につかまってしまった。男子生徒に好みもあるので、髪の毛が長い女子生徒や比較的顔のかわいい女子生徒、また胸や尻など好みにしている男子生徒がいたりして、逆にある男子生徒を好きな女子生徒もその男子に襲われたりしていた。

こうして、更衣室にいた女子生徒たちも全員へび女になってしまった。その女子生徒たちが戻ってくるのを待っていたクラスの男子生徒たちも、教室でまたひとりずつ女子生徒に襲われていくのであった。
くくくく、うわあーっ!
女子生徒の顔が恐ろしい表情になり、口から牙がでてきたり首や胴体が伸びていく。そして、男子生徒もひとりずつ全員その女子生徒の下僕になってまたべつのクラスやちがう学年の女子生徒にも襲いかかり、襲われた女子生徒がまた男子生徒を襲って、ついに学校じゅうの生徒や教師までもがへび女になっていったのであった。

学校へ向かおうとしていた暁子が乗った、田崎博士の運転する自動車では暁子が抱いていた犬のコロが急にほえだした。

暁子「まあ、右側のほうを向いてほえているわ。」
田崎博士「それじゃ、学校と反対側になってしまうが、ちょっと寄ってみるか。」
暁子「ええ。」

自動車が右折した道の方向には川があって、そのために勾配を登らなければならなかった。高い堤防にたどりついて橋を渡ったが、その時にまたコロがほえだしたのであった。
コロ「ワン、ワンワン…。」

コロが首を向けた方向は橋の下にある、いま入った方向とは反対にある土手であった。橋の途中は駐停車禁止となっていたので、渡ってからまた堤防上の道を左折して入った道の路肩に車をとめて、暁子は土手のようすを探し出していた。

暁子「あっ、あれは…。」

暁子が目にしたのは、さきほど暁子の家でへびになっていた両親が後ろから髪をとかしてツイン・テールになり、スカートをはいて女装していた、ほかならぬ暁子の兄である雅美也だった。しかも、そのスカートのホックをはずして下着もずりおろしながらまたがっていたその股の間には、別の少女、それも年齢の低い小さな少女を横にうつぶせにして、その少女の一本の三つ編みにしている長い髪の毛をわしづかみにしているようすだった。少女の髪はポニー・テールのように頭の上におだんごを作ってそこから三つ編みの腰までは届いていると思われる、生まれてから一度も切って短くしたことがないとみられるようだった。なお、雅美也のはいていたスカートなどは、雅美也をへびにした張本人である真里の、姉である留璃子がずっと使えなくなっていたからとおさがりで貸したものだった。

暁子「お、おにいちゃん…。」

顔を見て初めてわかったが、兄の雅美也もへびにされていたことを暁子もこの時初めて知ったのであった。表情が不気味に変わって口から長い舌も出かかり、うろこもあらわれていた兄の恐ろしい姿だったのである。そして、少女の後頭部の、髪のはえぎわに性器を押し付けて少女の三つ編みにしていた髪の毛を巻きつけていたのだった。そして、興奮した雅美也が精液を出して少女の髪の毛を汚し、少女もまもなく起き上がり、雅美也のまえに正座したのであった。

雅美也「うふふふ、おまえも今日からへび女だ。おまえは小さな女王だ。さっそくまわりの者をへびにしてくるんだよ。」

少女も、背中に垂れた三つ編みの髪をはわせながら首をたてに振っていた。そして土手の上をずずずっとはうようにして少女が出ていったのである。

田崎博士「どうしたのだ、早く銃をむけないと、私も運転中ですぐに銃を出せないが。」
暁子「おにいちゃんが、あんなに…。」

女装して髪が長くなった姿も、へびになっていたことも、そして恐ろしい方法で少女を襲って仲間にしたことなど、暁子にとってはおどろいて声も出なくなってしまうばかりで、田崎博士のいったように銃を出すのも忘れてしまい、どうしたらいいのかわからない心境になっていた。

< つづく >

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