男の子の夜が怖くなる 続 第七夜

続 第七夜

 目がさめると、同じ保健室では何事もなかったような感じだった。そこには恭子もすでにいなかったし、となりのベッドもあいていた。
 ぼくは起き上がって保健室を出ようとしたが、その時に首から肩のあたりになにかむずかゆくなっているのを感じた。指にからめてみると、一本の長くて黒い毛のようであった。その毛を自分の耳のあたりにあてて伸ばしてみると、ゆうに自分のお尻をこえるくらいあった。
「もしかして、あの子の髪の毛?」
 やはり、中村恭子が自分のことを襲っていたのは夢ではなかったのだろうかと思った。
 教室に戻り、なにげなく授業を受けていた。午前中に自分を興奮させていた、矢野素子のおさげ髪にもようやく見慣れてきたが、その日の放課後の帰り道で、素子がおさげの姿のまま自分を追い抜いて歩いていったため、ぼくは素子のあとをつけたくなってみたのである。
 すると、後ろで背中をたたく者がいた。振り向くと、立っていたのは中村恭子だった。また髪形を変えていて、今度はツイン・テールにして耳もとに白いヘア・ゴムを巻きつけていた。
「おほほほ、あなたの獲物がさっそく見つかったわね」
「えっ?」
「やっぱりね。あなたは髪の毛が長い女の子、三つ編みの子に、妄想を抱いているみたいね」
「妄想って、やだ」
「うふふふふ。わたし、矢野素子ちゃんとは去年同じクラスにいたし、遊びに行ったこともあるから。そうだわ、いまからわたしと素子ちゃんの家に行くのよ」
「ええっ?あっ」
 恭子が前に垂らしていたかたほうのツイン・テールの黒髪を自らなでるのを見てしまったぼくはその時、意志もないのに恭子の思うようにあやつられて歩かされているような感じになった。そして、とうとう矢野素子の家に来てしまったのである。
「待ってね、ここで。先にわたしが家の中に入って、玄関をあけておくから」
 素子に自分の姿が気付かれないように、ぼくは門の横で待たされたのであった。
「まあ、恭子さんじゃない、とつぜんどうしたの?」
「クラスが変ってからしばらく遊んでないから、たまにはいいかなと思って」
「そう、じゃあどうぞ」
「お邪魔します」
 いったん、玄関の扉は閉められたが、しばらくするとまた、それもひとりでに開いたという感じであった。しかも、なかから強い風がふいてきて、その風に自分が吸い込まれるようにして動かされたのである。そして、素子の家にとうとうあがってしまった。靴は自然にぬいでいた。
 ぼくは、やはり恭子にあやつられて素子の家のなかに誘われたのであった。
「ほら、いま、素子ちゃんはトイレに行こうとしているわ。トイレにはいろうとする時に、背中にとびつくのよ。それに、あなたもはいているものはぬいでおいたほうがいいわ」
「ああっ、うっ」
 また恭子の長いおさげ髪の毛先にあやつられて、ぼくは床から少し宙に浮いたような感じになり、はいていた半ズボンとパンツもひとりでにぬげてしまった。そして、素子がトイレの扉を半分ほどあけている瞬間、素子の背中にとびついたのであった。すぐに素子もトイレのその扉の、内側のノブに手をかけていて扉を閉めてしまった。そしてはいていた赤いスカートのホックをはずし、パンティーもおろして洋式便所の便座にまたがろうとしたところで気付いたようだった。
「やだわ、なにか背中が重たい感じがするわ」
「くくくく」
 素子の下着も露骨にあらわした下半身も見えて、ぼくはその時にしがみついていた素子の背中から、両方のわきの下から腕をのばして前に垂れ下がっていた三つ編みのおさげ髪をそれぞれの手でひっぱりはじめた。右手でまとめている黒いゴムのところを、左手ではとちゅうの編み目のあたりをわしづかみにした。
「いた、いたいわ、だれ?髪の毛を引っぱるのは」
「うふふふ」
 ぼくはついに牙を出して、素子のうなじの右側のあたりにまずかみついたのであった。
「きゃあーっ!いたい!なんなの?」
 うなじの髪のはえぎわに血が流れ、ぼくは舌でなめはじめた。素子のおさげ髪をひっぱりながらおっぱいもまた指でもみはじめたのであった。きっちりと結われている三つ編みの髪を見つめながらだんだんと興奮してきて性器がまたぼっきしてしまい、精液も流れ出て、素子の下着をぬいでいたお尻に直撃したのであった。女の子を襲う快感にひたったぼくは、すっかり心を悪魔に売ったようである。
「いひひひひ、いひひひひ。おまえも、吸血鬼にしてやるよ」
「きゃあー!だれ?たすけて!」
 ひごろから憧れつづけていた長い髪の毛に、こうして初めてさわったりわしづかみにしたり、絶頂の興奮を感じずにいられないぼくだった。しかも、相手がいやがっているのを襲っているのにますます快感をおぼえてしまった。このまま、この子を吸血鬼にしてしまえば、ぼくのおこないも悪いことにならなくなってしまう。吸血鬼の世界では許される行為なのである。
 とうとう、ショックで、素子もその場でおもらしをしてしまった。ちょうど便座のところであるからいいが、はいていた下着も濡れてしまった。
「くくくく、女の子の血って、こんなにおいしかったなんて」
 トイレの床には、ぼくの白い精液もまた便器からもれていて、ぽたぽたと流れ出ていったのであった。

 悲鳴をあげつづけていた素子も、いつのまにかだまりこくったようであった。そして、少し声がかわったようなしゃべり方になっていた。
「うう…、ああ、ああん。血、血がほしいわ。血…、血を…」
 とうとうぼくは、素子をこれで吸血鬼にしたのである。ぼくはわしづかみにしていた素子の両方の三つ編みの髪をようやく離して背中に払わせた。三つ編みのおさげのその毛先がまた不気味に動くようであった。
 ぼくは、素子の背中から離れて、素子の正面にまわった。そして、首を前に垂れさせていた素子の首をあげさせ、自分のほうに顔が向くようにした。
「くくくく、おまえを吸血鬼にしたのはこのぼくだよ、今日からおまえも吸血鬼だよ、ふふふ」
 ぼくは、素子の背中に払われていた両方の三つ編みにしているおさげ髪をそれぞれの手でなで続けていた。また性器がぼっきすると、素子はぼくのその性器にずぼっと口をくわえはじめた。素子の強烈なフェラチオに、思わずもだえ始めた。素子の何度も揺らす首にともなってふたつの三つ編みの黒髪がはげしく揺れているのに、より興奮していた。
「ああ、ああん…」
「くくくく」
 ぼくは精液を大量に出して素子の顔を直撃させていた。髪の毛だけは汚さないようにと思って、素子の着ていた洋服の首のところに性器を移し、精液をそこに流し込んでいた。素子の身体はぼくの精液でいっぱいに覆われていくのである。

 半年後、素子の髪の毛も腰のあたりまで伸びてきた。素子はぼくが吸血鬼にした日以来、ずっと三つ編みをしないでいつもひとたばねにするか、両サイドの耳もとに黒いゴムをとめて背中におおっておろしていることが多かった。ぼくは授業中、素子の座席の後ろにいたので、素子の髪の毛を思う存分眺め続けてはトイレに行って興奮して濡れた性器を乾かしていた。
 ある夜、ぼくは自分を吸血鬼にしていた別のクラスにいる中村恭子と小島裕子に窓の方から呼び出されていた。ふたりとも三つ編みにした長い髪の毛のままだった。
「きょうは、素子ちゃんの誕生日よ。行っておあげ」
「えっ?」
 ついに、ぼくは身体を浮かせられて窓から外に出るようになってしまった。そしてふたりと同じように空を飛んでいたのである。
「ほら、ここよ」
「あっ」
 ぼくは、恭子と裕子によって身体を突き飛ばされていた。そこは、素子の家のお風呂場だった。風呂場は扉もあいていて、そのそばにある洗面所で素子が自慢の長いストレートの黒髪をブラッシングしていたのである。なにも髪飾りをつけていないこの姿も実はめったに見たことがなかったので、ぼくは心をそそってしまった。
「ああ、だんだんこうふんしてくる」
 素子はまた洗面台の鏡を見ながら、自分の黒髪をふたつに分けてそのかたほうをまず三つ編みに結いはじめた。毛先に黒いゴムを巻きつけて背中にぽんと払い、ひさしぶりに素子の三つ編み姿を、しかもより長くなっていた状態で見られたのである。もうかたほうの髪も結い終え、ずっとその場面を後ろからまじまじと見つづけてぼくはぼっきしてしまった。
 そのとき、おそろしいことが起こっていた。ぼくは着ていた洋服を恭子と裕子によって脱がされていた。恭子にパンツをずりおろされ、それに気をとられていると裕子がぼくの身体のまわりに縄を巻いてぼくの両手首もまた後ろに縄でまきつけてしばっていたのである。いわゆる、さるぐつわにされてしまった。
「さあ、おまえは素子ちゃんの復讐を受けるのよ」
「えっ?復讐って」
「ほほほほ、半年前に素子ちゃんの身体をあんたの精液で汚していたじゃない、女の子をそうしていたぶっていたなんて、あんたは男の風上にもおけないから、あんたには覚悟を決めてもらうことにしたのよ。いろいろ半年間考えたんだけれど、こういうふうにすることが決まったわ」
「こういうふうにって、いったい」
「ふふふ、やっていくうちにわかるわ、さあ、素子ちゃん」
 顔を振り向いた素子がぼくのほうに近づいてきた。ぼくは、風呂場のマットにすわらせられ、露骨に性器を立たせていた。その性器に素子が何をするかと思ったら、自分のいま三つ編みにしていたふたつのおさげ髪を左右から巻きつけはじめたのである。そして巻きつけ終えると、素子の目が急に光り出したのであった。
「くくくく」
「ああ、う、く、苦しい」
 ぼくの性器に巻かれていた素子の三つ編みの髪の毛が、とつぜんきつくなりはじめてぼくの性器を締め付けはじめたのであった。
「おほほほ」
「おほほほほ」
 恭子と裕子も不気味に笑い始める。
「い、痛い」
「こうして、あんたは永遠に長い髪の女の子に苦しめ続けられるのよ」 

< つづく >

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