ドリームチャット ROOM#02

《ROOM#2》

【処】
【女】
 
1つずつ表示されていく文字。

【告】
【白】

HNA 「わーい!」
ill「そんなことに4文字も使うか。だがその心意気や良し!」
 次々と表示される全員の承認。
 いまいち意味が分からないが、水をさすわけにはいかないので私もしかたなく承認した。
 PCが低くうなり声をあげる。こんなセクハラオヤジ親父たちに使われるPCが可哀想だ。そう思っていた時…。
「はい、処女です」
 え? 今の声、私なの?

TOSH「やっぱりそうだ~!」
HNA 「ナナちゃん最高!」
ill 「違ってたら違ってたでそれも良かったがな」

 今、私の口が私の声で私の感知しない言葉を発した。
 その事実に心が震えた。ただ機械的にしゃべらされたのではなく、私の記憶にアクセスした上で発せられた回答。持ち主である私の承認なしでだ。
 心底恐ろしい。私は自分の考えの甘さを悔やんだ。逃げたい。今すぐこの場から逃げ出したい。しかし報酬から逃げることはできない。ここで逃げたら今までの努力が無駄になる。

ill 「どうした? 元気ないぞ」
TOSH「もしかして逃げたくなったのカナー」
HNA 「えー、もっと遊ぼうよ」
TOSH「【逃げない】ってのを提案してみましょうか?」
ill 「それはひどい、自分の意志でいてもらうのがいいんじゃないか」
TOSH「それもそうですね」

 モニタの中で繰り広げられる恐ろしい会話。
 この人たちは本当に人間だろうか。
 こんな人たちが資産家の偉い人だなんて、信じたくない。
 何の前触れもなく予告ウィンドウが開いた。

【裸】

HNA 「お? 何ですか?」

【踊】
【り】

TOSH「うは、何だそりゃ」
HNA 「TOSHさん以外が提案するの初めてですね」
TOSH「でもな~」

 拒否の横についていく×の文字。
 承認1、反対2。

HNA 「あはは、拒否されますよー」
TOSH「3文字も使って、お気の毒に」
HNA 「そういうTOSHさんも拒否したじゃないですか」
TOSH「いや~、illさん申し訳ない」
HNA 「面白いんですけど、ナナちゃんのキャラじゃないんですよね」
ill 「ワシもそう思ってたよ、へんだ!」
TOSH「うはは」

 何だか分からないが救われたようだ。

TOSH「それはそうと、そろそろ綺麗な足をもっとみたいな」
HNA 「そうですねー、ヒップ83でしたっけ?」
ill 「いけいけ! 脱げ脱げ!」

 また話が自分に向けられてしまった。
「私ですよね」
 私しかいないのだから当然だ。実のところ、通常ルームにいたころは盛り上がりによっては上着までだったら脱いでもいいかな、と思うこともあった。特に要求もされなかったから実際にはまだやったことはなかったけれど、それで色々教えてくれた常連さんが喜んでくれるならそれくらいはいいかなぁと。
 しかし、この人たちは初めての人たちなのに、こんなことまで要求してくる。

TOSH「【スカート脱ぐ】だと文字多いんだよね~。【全裸】ならいいけど」

 リーダー格のTOSHが言う。これは脅しだろうか。しかし、身体が意志と勝手に動くぞっとする感覚を思い出し、それなら自分で脱いだ方がいいことに気付く。
「分かりました。リクエストありがとうございます」
 私はそう言って立ち上がり、臙脂色のスカートのホックに手をかける。

TOSH「お、素直だね」
HNA 「ナナさんはほんとに良い娘だなあ」
ill 「ドキドキじゃの」

 ゆっくりと手を動かし、後ろ部分を横に広げ隠すようにしていた前を外す。
 前部に小さなリボンのついた少し子供っぽいショーツが顕わになる。

HNA 「きたーー!」
ill 「白か」
TOSH「か、か、可愛すぎる~!」

 目の前には誰もいないのに、確実に男たちに下着を見られている。

TOSH「くるっと一周してみよう!」

 唇を噛み締めながら通りにする。

TOSH「柔らかそうなお尻いいなぁ」
HNA 「ほんとに83かな? もっとありそう」
ill 「うんうん、大きくて綺麗な安産型じゃな」
TOSH「腰のくびれも色っぽいよ~」
HNA 「ナナさん最高!」

 本当に恥ずかしい。画面の中の私は顔中が耳まで真っ赤になっている。
「あ、ありがとうございます」
 一応は褒めてもらったので、軽く頭を下げてお辞儀をする。

TOSH「いいねぇ、礼儀正しくて」
ill 「ほんとほんと、すれてなくて品がある」
HNA 「今日この場に立ち会えて良かったですよ」
TOSH「立ってると疲れるでしょ。座ろうよ」

「はい、すみません」
 できるだけ足を開かないよう気をつけながら椅子に座った。

TOSH「どう、もう慣れた?」

 TOSHの質問に、どう答えていいのか分からない。
「いえ、今日が初めてですので。お客様に楽しんでもらえているか心配です」
 マニュアル通りの回答。

TOSH「もちろん楽しんでるよ~」
ill 「心配せんでも楽しんどるぞ」
HNA 「ほんとナナさん最高!」

 画面の向こうにいるのはどんな人たちなんだろう。今どんな顔で私を見ているのだろう。こちらからは何も分からないのが恨めしい。

TOSH「でもね~、ナナちゃんに楽しんでもらえてるかの方が僕たちは心配だよ」
HNA 「お、TOSHさんまさか?」
ill 「にやり」
TOSH「お、分かっちゃったかな~」
TOSH「じゃあ行きますよ!」
HNA 「おー!」
ill 「任せた」

 勝手に盛り上がるアクセス者たち。寒気がするのは服を脱がされたからだけではない。
 提案スペースでカーソルが点滅する。

【自】

 一文字目は自由の自だ。

【習】

HNA 「ええ!?」
TOSH「illさん空気読め!」
ill 「てへ」

 どうやらTOSHが入れた一文字目の後にillが割り込んで2文字文字目を入力し、提案を確定したらしい。複数人でも入力できるシステムのようだ。
 賛成1、反対2、私の最終承認まで回ってくることなく提案は否決された。

HNA 「illさんすげー、まじですげー」
TOSH「笑いのためにはお金を惜しまない心意気は認めます。でも笑えない」
HNA 「いえいえ、僕は笑わせてもらいましたよ。でもお金余ってるなら僕の会社にも投資してくださいよー」
HNA 「それとこれとは別じゃ」
TOSH「分かったら空気読んでください」

 なんだか分からないが、このまま制限時間が終わってくれればいい。
 あと残り時間は何分だろう。さりげなく視線を移すと、いつものチャットでは隅に表示されている制限時間が、今回は1秒ずつ増加している。つまり残り時間ではなく経過時間になっているようだ。だとすると、制限時間は…。

ill 「おまえたち、ナナ殿をいつまでほっとく気だ? 失礼だぞ」
TOSH「えー? そもそも誰のせいだと」
HNA 「そうだそうだ、TOSHさんしっかりしてくださいよ」
TOSH「えぇ!? 僕ですか」
HNA 「(笑)」
TOSH「では気をとりなおして」

 何だか分からないが話がまとまってしまったようだ。
 提案カーソルが点滅する。おそらく全員がそれぞれの環境で点滅するカーソルを見つめている。

【自】

 また一文字目は自。

【慰】

HNA 「きたー!」
ill 「進歩のないやつめ」
TOSH「まあまあ、お約束ってのも大事でしょ」
HNA 「TOSHさん分かってらっしゃる」

 自慰? そ、そんな…。愕然とする私。

HNA 「お、ナナさんいい表情」
TOSH「あはは、ほんとはさっきの”自”で分かってたでしょ。いい娘だなぁ」
HNA 「ナナさん分かってらっしゃる」

 あっという間に承認の横に○が3つ並ぶ。
 残るは私の最終承認のみ。
 自慰、オナニー、自分で自分を慰めること。それくらい私だって知っている。でも、そんなはしたないこと、しかも他人に見られながらなんて…。
 画面からしばらく俯いて考えてから、ディスプレイ上部のカメラに向かって深く頭を下げた。
「すみません、それだけは勘弁してください。私なんかの部屋に来てくれた皆さんには感謝してます、でも…。それだけはできません」
 私は誠心誠意謝った。この仕事は続けたい、それでもできるとこととできないことがある。謝って許してもらうしかない。

HNA 「ナナさん?」
ill 「済まないのぉ」
TOSH「…」
 私は3度頭を下げてから、最終承認ダイアログの「拒否」をクリックした。
 これで提案は否決される。
 だが、画面に表示された文字に私は目を疑った。
『承認3、反対1、提案は可決されました』
 画面の【自慰】の色がクリームから青に変わり、点滅している。
「え、どうして…」
 私は画面を凝視した。間違いなく拒否を選択したはずだ。

TOSH「もしかしてナナちゃん知らなかったの? そっち側の最終承認機能はバグがあって結局多数決になっちゃうって」
ill 「まあ最初からずっとそうで、これからも直らないと思うがな」
HNA 「これが噂に聞くファーストブルーってやつですか」
ill 「イキなことをするのぉ、君の会社も」
TOSH「illさんそれはちょっと」
ill 「お、すまない、今のなし」
HNA 「それより、ナナさん目が空ろですよ。しっかりして!」
TOSH「そうだね。しっかり頑張ってもらわないと」
 画面上で展開される会話は網膜に映るだけで頭には届いていなかった。
 PCから聞こえる断続的な駆動音、先程より長時間光り続けるアンテナ。
 そこからデータが転送されているはずの身体には痛みもかゆみもない。それが恐ろしさを増幅させる。
 最初に動いたのは、右手だった。次に左手が追うように背中へ回る。右手がいつも通りにブラのホックを外す。
「あ…あ…そんな、止めて、もう止めてください」
 ブラの下から二つの乳房がポロリと転がり出る。張りのある乳山がふるりと震え、前方に釣鐘型を突き出してしまう。

HNA 「きたーーー!」
ill 「乳輪も乳首も桜色」
TOSH「ほれぼれするような美乳ですな」
HNA 「乳輪は胸の大きさからいって普通かな。乳首は小さくてカワイイ」

 どこにいるかも分からない男たちに胸を見られ、勝手な批評を述べられる。こんなことって…。
 ブラを脇にある棚に載せた右手が戻ってくると、両手がそれぞれ胸の頂点に覆い被さる。乳首を隠してくれてほっとするのも束の間、手の平を精一杯開いて乳肉を柔らかく揉み始めた。

「えっ? やだ」
 手の中で乳脂肪が肉粘土のように形を変えていく。

TOSH 「大胆ですな~」
ill 「うむ、文字打つの忘れて見とれとった」

 私の手が持ち主の許可なしに私の胸肉をぐにゃぐにゃと押し潰し、円を描くように回転させる。

TOSH「なんか手馴れてるな。ナナちゃん、処女のくせにオナニーはよくするの?」
ill 「処女だってオナニーくらいするだろ」
HNA 「ナナさんも? そうは見えないなー」

 画面の文字が目の端に入る。
「そ、そんなこと、ない、ないですぅ。手が勝手に、ああ、おっぱい、もう弄らないで、ください」
 なんとか否定はしたが、最初はゆっくりだった乳房をもてあそぶ動作が少しずつ早くなり、胸肉を揉む力が徐々に強くなってきた。一揉みごとに内部に生みだされるこそばゆい感覚。

TOSH「ほんとはですね、膨大なデータベースに細かく情報が記録されてますから。オナニーの上手なやり方もね」
HNA 「なるほど、そういうことですか。いいなぁ、ナナちゃんのおっぱいぴったり手に収まるくらいのサイズで、皮膚も輝いててすべすべしてそうで、僕も揉みたいよー」
TOSH「あはは、自分でやらないのが低俗なそこら辺の下半身産業との違いなんですよ」
ill 「ほほう、こちらは高尚じゃと」
TOSH「そういう突っ込みはなしでお願いします」
HNA 「そんなことどうでもいいからナナちゃんの頑張りを応援しましょうよ」

 自分の手で丹念に揉みしだかれている胸はだんだんと張りを増し、皮膚が紅潮してくる。双丘をもみ続けながら、親指と人指し指が丘の頂点にある肉芽をつまみ、指の腹でこすり始めた。
 乳首の奥に電気が流れるような刺激がはしり、少しづつ固くなってくるのが指の感触でわかる。
「あふぁ」
 初めての刺激に無意識に変な声が漏れてしまったことに気付き、頭が白くなるほど恥ずかしくなった。歯を思い切り噛み締めて声が出ないように注意する。

TOSH「どうしたの? そんなに苦しそうな顔して」
ill 「でも今少し喘いでたぞ」
HNA 「初めてでそんなにスムーズにできるなんて、コンピュータに感謝ですね。僕が中学生のころ始めてオナニーした時なんて」
ill 「そんな話は聞きたくないわ」

 乳首を刺激すると血液が集まり大きくなる。それくらいは私でも知っていた。しかし実際に自分の小さな豆がぷっくりと赤く膨らんで来るのを見るのは変な気持ちだった。熱くむず痒いようにしびれる乳房と乳首。胸を苛めるのがこんなに気持ちいいなんて、今までの私には信じられないことだった。

TOSH「ナナちゃん、乳首勃ってきたね」
ill 「ぷっくりして可愛いな。しゃぶってやりたい」
HNA 「前言撤回します。乳輪は大きくないけど乳首はでかい方かな。穢れのない桜色がいやらしくていいなあ」
ill 「ほんとに綺麗な身体じゃな」
TOSH「お~いナナちゃん、仕事忘れてない? 僕たちとお話するのが基本ですよ~、ちゃんと画面見てますか~?」

 TOSHの指摘通り、溢れてくる快感に我を忘れそうになってしまっていた。
「は、はぁい、見てます、すみません…」
 変な声が出ないよう気をつけながら答える。

TOSH「はは、息荒いよ、初めてのオナニーそんなに気持ちいいの?」

 みんなから見られてるのに、気持ち悪くはない。繰り返される愛撫で固くなった乳首のコリコリした感触が指に伝わる。
「そ、そんな、気持ちよく…気持ちよくなんて、ありません。もう、止めて」
 身体の芯が熱くなってきているのは分かる。でも、私は人前で自慰を楽しむようなはしたない人間ではないはずだ。

TOSH「ふむ、そんなに瞳を潤ませちゃって説得力ないなぁ。そうだ」

 画面の提案スペースに【正直】の文字が表示された。

ill 「なるほど、そういう手もあるか」
HNA 「TOSHさん分かってますなぁ」

 正直? 私の気持ちを全部伝えるということ? そんなことって…ひどすぎる。
 私の画面に表示される最終承認の確認。だがこんなものは意味がなかったのだ。気付かないふりをしていると、やがて画面に浮かびあがる時間切れの告知。
 賛成3、棄権1、よって可決。
 PCは抜かりなく働き、アンテナから私のナノマシンへ命令を送る。
 右乳首を優しく撫でるようにこすっていた左手の人差し指と親指が、突然力強く乳首を捻った。
「あひぃ! 乳首、乳首痛い、そんなにつねっちゃ痛いです。乳首苛められるとすごくしびれちゃう、あぁ」
 強く噛み締めていたはずの口が許可なく言葉を紡ぐ。私自身による実況中継だ。

TOSH「で、どうなの? 気持ちいいの?」

 TOSHが再び質問してきた。
「はひぃ、とっても気持ちいいです。胸をこねる度に身体が浮かびそうにふわふわして、乳首がコリコリ大きくなってて触るたびに電気が流れたみたいに快感が奔って、あふ、ああん、変な声が溢れちゃいます。こんなにおっぱいを苛めるのが気持ちいいなんて知りませんでした。ひぁん! もっと、もっと強く揉みたい、乳首いじりたいですぅ!」
 口許からだらしなく流れる涎れと言葉。これが私の本音なの? これが正直な気持ち? そんな、そんな…。
 右手が突然胸から外れた。
「え?」
 その手が指を突き出す形になり、胸の下側、中央部へ触れる。

TOSH「お、やっとですか」
HNA 「そうこなくっちゃですね」
ill 「もったいつけおって」

 人差し指が胸の下からゆっくりとすべり、おへそをなぞって下腹部へ。純白のショーツの上でピタリと止まった。
「何? 止めて! 手を止めて!」
 私の命令は脳から神経に伝えられる前にナノマシンにキャンセルされ、人差し指はショーツの上から秘部を縦になぞった。
「はぁん…そこ、触っちゃいや、ひぃ!」
 主への忠誠心のない指は止まることなく割れ目をゆっくりと往復する。胸を揉んでいるのとは違った劣情が奔る。

ill 「ほお、下はショーツの上からか」
HNA 「コンピュータもなかなかやりますね」
TOSH「いえいえ、PCはただの道具です。そこに妥協のないデータを詰めたスタッフこそ褒めてあげないと」
 恥丘の割れ目に沈めるように指が動く。何度か往復すると、ぴったりと閉じていた肉の門がじわりと濡れ、白いシューツに染みが滲む。
「やだ、あそこが、切なくなっちゃう…」
 ショーツの染みはお漏らししたみたいに広まっていく。

HNA 「もう濡れ濡れですねー」
TOSH「ナナちゃん結構感じやすいのね」

「そ、そんなこと、知りません…あん…」
 指がぐっしょりと湿ったショーツを横にずらし、赤い陰唇が顕わになった。

HNA 「おおー!」
ill 「ご開帳か」

 画面に並ぶ文字列。

「や…そこ」
 包皮が開きかけたクリトリスを皮の上から指が刺激する。肉の蕾に血が集まり少しずつ大きくなっていく。その下に広がる真っ赤な粘膜器官が淫らに痙攣する。
「いやぁ、そんなに、弄られたら…おかしくなっちゃう、止めてぇ」
 しかし、男たちも、私自身の身体さえも私の頼みなど聞いてくれない。

HNA 「綺麗な赤色ですねー」 
ill 「本当に遊んでないんだな」
TOSH「こんな機能もありますよ、ほら」
ill 「おお、これはいいのお」

 TOSHの操作により、ディスプレイに私のあそこがアップで表示された。
「や、やだ、そんな、見ないで…」
 画面にはだらしなくふやけた真っ赤な陰唇と、絡みついている濡れた恥毛の一本一本までがはっきりと映し出されてしまっている。陰唇の間からとろみのある透明の液体がとめどなく溢れ、狂おしいほど切ない内襞が蠢いている。

ill 「内股にラブジュースが流れてお漏らしみいだな」
HNA 「僕もう、我慢できないです」
TOSH「ナナちゃんて大人しそうな顔して本当はいやらしい女の子なんだね~」

 画面の中のお客達の会話。
「あん、言わないで…ください。ああもう、あそこが変なんです、恥ずかしい…。あふぁ!」
 クリトリスを充分に開花させたことに満足したのか、今度は指が容赦なく陰唇に浸入してきた。そのまま柔らかい粘膜の中を第1間接までゆっくりと沈む。
「ああ! そこ、すごい、私の中に、指が入ってるの、あひぃ、膣内痛い、痛いの!」
 まず中指が浸入し、後を追うように人差し指が入ってくる。自分に陵辱されている私。

HNA 「初めてだから痛いのしょうがないかも知れないけど、頑張ってー」
ill 「でも下手な男にやられるよりはいいだろ」
TOSH「そうですよ、コンピュータが正確に性感を刺激し最高の快楽へ導くのですから。ナナさん、本当に痛いだけですか?」

 涙で曇った視界に浮かんだ男の質問をかろうじて読解する。
「痛いんです、あそこがいじられて、こすられて痛いです、でも…感じます、こんなに痛いのにすごく感じるの、あそこが痺れちゃって、ひぁ! 気持ちよくて、私、あひぃ、もうダメェ!」
 部屋の外まで聞こえるであろう嬌声。だがもう抑えることはできなかった。

HNA 「すごいっす、ナナちゃんすごいっす、もう最高」
ill 「ほんと、こっちまでおかしくなりそうだな」
TOSH「こんなに楽しんでもらえるなんて提案した僕もうれしいですね」

 右手の邪魔と判断したのか、乳首を攻め続けていた左手が下に伸び、ぐっしょりと濡れたショーツを一気に下ろした。左足からはずれた純白のショーツは右足のふくらはぎあたりで一度からまってから、そのまま床に落ちた。

ill 「おー、はしたない」
HNA 「ほんとですね。捨てるなら僕にくれればいいのに」
TOSH「あはは、後で係の者に言っときますよ」

 ショーツの堰がなくなり、むっちりとした太腿の内側を流れるとろとろの潤滑液が量を増す。汗と愛液の入り混じった香りが微かに鼻に届く。

TOSH「ナナさん、今の気持ちは?」

 カメラの向こうにいる男からの質問。正直な口が無意識に動く。
「私の、見られちゃってます。私だってちゃんと見たことないのに、私の大事な、ぐちゃぐちゃしたところが中まで見られちゃってるんです…。指でいじられて、拡げられて、見られて恥ずかしくてたまらないのに…。でも、気持ちいい、もう気持ちよくてたまらないです、もっと、もっといじって、もっと深くまで突いて欲しいです…」
 出し入れされる指が徐々に深くなり、くちゅくちゅといやらしい水音が響く。少しずつ深くまで侵攻されている内部でひっかかるような感触。
「あっ!?」
 そのまま指が膜を破る。膣内から愛液に混じって真紅の鮮血が流れた。

TOSH「あ~、自分で処女膜を破りましたね~」
ill 「わしが破ってあげたかったのぅ」
HNA 「ナナちゃん、痛くない? 大丈夫?」

 そうか、膜が破られたんだ。赤い血液が内股を流れ落ちていく。それでも指は止まることなく膣内を犯し続け、第2間接が肉の壺に埋まっている。
「痛い、痛いです、痛くてたまらないです、でも気持ちいい、ひぃあ、もうおまんこが気持ちよくて、頭の中が真っ白で、ふぅぁ…ああ、あふぅ!」
 中指と人差し指はもう根元まで入っている。熱い膣の内襞が指をより深く銜え込もうと蠢き、肉がきつく締まる。愛液が後から後から溢れ出て、指と膣内を潤している。

HNA 「ナナちゃんの指エロすぎますよー」
ill 「指より指が入ってるあそこが卑猥すぎる」
TOSH 「ああ、もう私ダメかも」
HNA 「僕もそろそろ」

 視界が白くなり、ディスプレイの文字がかすんでいる。
 下腹部がさらに熱を持ち、突き上げる指への締め上げがきゅっと強くなった。
「もうだめぇ、膣が、溢れちゃう、イク、イっちゃう、イっちゃうの、あふぁぁぁぁ!!」
 恥ずかしい液がお漏らしするように溢れ、私は達してしまった。

ill 「おお、初めてなのに潮吹きよった!」
HNA 「ナナさん最高!」
TOSH「我々のナビゲートのおかげではないかと」
HNA 「ナナさんに楽しんでもらえて良かったっすね」
ill 「おーい、起きてるか」
HNA 「ナナさーん、ナナさーん」

 私は消えそうな意識を引っ張り出し、今自分がおかれている状況を思い出した。達したせいか身体のコントロールが戻っており、自分の思い通りに手足が動くことがうれしかった。だが、同時にさっきまでの痴態が頭に浮かび恥ずかしさが全身を包む。
「すみません、私、もうよく分からなくなって、取り乱してしまって…」
 今が仕事中だったことを思い出し、大事なお客にとりあえずのお詫び。
「私、お客様に楽しんで頂けたのでしょうか?」
 左手で両方の乳首を隠し、もう片方の手でしっかりと閉じた内股を抑えながら、カメラを見上げる。

TOSH「うんうん、すごく良かったよ~」
HNA 「ほんとっす、ナナさん最高っす!」
ill 「今さら恥らってるところもいいな」
TOSH「ほんと可愛いよ、あそこもサーモンピンクで綺麗だったし」

 こんな人たちでも大事なお客さんだ。もう数回やれば卒業までの学費が稼げるのだ。
 そう自分に言い聞かせて笑顔を作った。
「では、また次も遊びに来てくださいね」
 本当はもう来て欲しくないが、これも仕事だ、しかたがない。

TOSH「はっはっは、もちろん来るよ~」
HNA 「そうそう、今日のことは絶対忘れないですよ」
ill 「うむ、次も楽しみじゃ」

 嬉しいような嬉しくないような複雑な気分。

TOSH「でも、ナナさん」

 発言者はTOSHだ。
 背筋に悪寒が走るのを感じた。

< 続く >

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