第十話 「パールの章2」
「あ~、めんどくせ~・・・・・・楽しいけど、死ぬほどめんどくせ~」
支離滅裂な言葉をこぼしながら、ドリーパはカタカタとパソコンのような機器にデータを打ち込んでいく。
今ではすっかりドリーパの別宅と化した、穂谷家の居間。
ドリーパが持ち込んで散乱させていた怪しげな機材や書類を、亜樹がてきぱきと片付けていた。
「ふんふん~ふふん~♪」
裸エプロン姿の亜樹は丸出しになった尻を振りながら、楽しそうに掃除機をかける。
鼻歌を唄ったりと、かなりご機嫌な様子だ。
「・・・・・・はいっ、おしまい。きれいになりましたわ、ドリーパ様」
「ごくろーさん。どうよ、使い心地は?」
「とってもいいですわ。もう、お掃除が楽しくって楽しくって!」
亜樹の使っていた掃除機からは、普通のものにはないコードがもう一本延びている。
そのコードは、亜樹の秘所にずっぽりと埋まっているバイブへとつながっていた。
ドリーパが改造したその掃除機は、電源が入ればバイブも動き出す仕組みなのだ。
「気持ちよくなれるうえにお部屋もきれいになるなんて、なんていい事尽くめなのかしら!」
「ケケケ、やっぱオレって天才だよな~」
ドリーパはコードをひっぱり、ゆっくりとバイブを引き抜く。
「あっ、あんっ」
自分の膣内から排出される感覚に、亜樹はブルッと身を震わせる。
床に転がり落ちたバイブはすっかり愛液にまみれ、湯気でも立ち上ってきそうなほど湿っていた。
はあ・・・っと亜樹は熱のこもった息をつく。
めくれあがった花弁が物足りなさそうにひくついている。
「バイブじゃ満足できないみてえだな~。んじゃ、ソニックが帰ってくるまで遊んでやるとするか」
ドリーパは亜樹の腰に手を回して抱き寄せると、ソファーに押し倒した。
「あ、いやぁん」
ポーズとして、ウブな少女のようにドリーパを押し返そうとする亜樹。
しかしその目は淫らな期待に満ちあふれており、秘所からは男根を待ちきれずに多量の愛液がこぼれだしている。
そこに、主人の張りつめた肉棒が今まさに突き刺さろうとした。が、
「ただいま帰りました、ドリーパ様!」
惜しくも挿入される直前に、夕が帰ってきた。
「あん、もう・・・タイミング悪いわねえ」
「あ、お母さんはめてもらうとこだったんだ?ごめんね」
邪魔をされてふくれっ面の亜樹を尻目に、夕はドリーパのもとへ歩み寄ると後頭部に腕を絡ませてキスをする。
ドリーパが最近好んで命じる、主人への挨拶の仕方だ。
唇が重なるとすぐに、ぐちゅり、と水っぽい音が響く。
あらかじめ口内を唾液で満たして、舌をぬめらせておいたのだ。
温まった唾液を送りながら、夕は主人の口内を犯していく。
ドリーパは流されてくるその液体を美味そうに飲み干すと、自らの舌を夕の口内へと滑り込ませる。
「・・・・・・んっ・・・」
思わぬ主人の反撃に夕は少し驚いた顔をしたが、すぐに受け入れて口全体で愛撫する。
ドリーパは口内で弄ばれる感触を充分に堪能した後、夕の顔を引き離した。
夕は熱に浮かされたようなぼんやりとした表情で、キスの余韻にひたる。
「な、『あれ』やってくれ、『あれ』!」
ドリーパが催促をすると、夕はハッと我に返った。
「え・・・『あれ』ですか?もう、ドリーパ様ったら好きなんだから・・・」
クスクスと笑いながら、夕は手をかざす。
きらめく青い閃光が身体を包み、その姿は戦士へと変わった。
「アクアマリンの戦士、ジュエルソニック!ご主人様へのご奉仕のために参上っ」
「おお~し、待ってました~!」
「きゃ、夕ちゃんってばかっこいい!」
拍手を受け照れくさそうに舌を出すと、ソニックはブーツを脱いで素足を晒す。
そしてテーブルに置かれたものを横にやると、空いたスペースに腰掛けてドリーパと向かい合った。
そそり立った肉棒に、引き締まった細身の足が添えられる。
左右から包み込むようにして挟むと、その両足はゆっくりと肉棒を擦り始めた。
最初は優しくさするような動きから、徐々に勢いよくしごきあげる動きへと移っていく。
肉棒はますます膨れ上がり、やがて鈴口から先走り液がこぼれ出てきた。
「あはっ・・・」
ソニックは親指でそれをすくうと、亀頭や竿に塗りつけだす。
にちゅ、と粘っこい音が微かに響いた。
ペ○ス全体に塗りつけ滑りをよくすると、ソニックは捻りを加えてごしごしとこすりあげる。
「ん・・・それじゃ、いきますね」
そう言うが早いか、肉棒を擦る足の動きが飛躍的に速まった。
一体どれほどのスピードで動かしているのか、足の輪郭がぶれて見えるほどだ。
二チュチュチュチュチュチュチュ・・・ッ
普通の人間には到底不可能な速度での足さばきに、粘液もまず聞くことない奇妙な響きを奏でた。
驚異的な速度を維持しながらも、ソニックは肉棒が痛まぬよう絶妙な力加減で攻め立てていく。
「うっひょおお―――っ、たまんねえ~!」
「ドリーパ様ったら・・・とっても気持ちよさそうね」
亜樹は興味津々に、縦横無尽に動く足に翻弄されるペ○スを覗き込んだ。
「さすがにこれは、夕ちゃんじゃないとできない芸当よねえ。・・・ちょっとくやしいわ」
何かと娘に株を奪われがちなことを嘆きながら、パクパクと口を開く鈴口に息を吹きかける。
極限の興奮状態にあったペ○スには、それはとどめとなるほどの刺激だったようだ。
「―――う、おおおっ!」
ドリーパはうめいた後、間髪入れずに溜まった精を放出した。
「きゃっ・・・」
「あ、あぁん」
勢いよく放たれた精液は宙を舞い、ソニックと亜樹の顔に降りかかっていく。
「く、あああ~!こりゃマジで癖になっちまいそうだぜ~、ケケケケ!」
ドリーパは立ち上がると、肉棒をしごきながらその発射口をソニックの顔に押し当てる。
ソニックは顔を背けることもなく、むしろ喜んで全体に満遍なく白濁液がかかるように顔を動かした。
「はぁ・・・どうでしたか?満足できました?」
最後の一滴まで掛けられた後、鈴口を軽く啄ばみながらソニックは期待に満ちた目で尋ねる。
「もう最高だぜ~!オマエを人形に選んで正解だったな。また今度も頼むぜ~」
「よかったあ!ドリーパ様がお望みなら、またいつでもしてあげますから!」
主であるドリーパに尽くすことが全てとなったソニックにとって、お褒めの言葉はどんなプレゼントよりも価値のあるものとなっている。
彼女の心は今、幸福感でいっぱいだった。
「さすが、夕ちゃんは性技の味方ね。エッチなご奉仕のできる豚さんになれるなんて、お母さんうらやましいわ」
亜樹はキスをするように精液を吸い取り、汚れた娘の顔を掃除しはじめた。
口に含み、舌で転がして味わい、時々娘の口にも流し込んでやる。
ソニックは青臭い液を恍惚と飲み下し、亜樹の唇を咥えこんでさらにおねだりをする。
亜樹はまた娘の顔から精液をすくい、口に入れる。
延々と続く母娘のディープキスをドリーパはしばらく面白そうに眺めていたが、ふと自分がしていた仕事のことを思い出した。
「ところで、マジシャンに会うようにこぎつけることはできたか?」
「ぷあ・・・はい。日曜日に家に遊びに行くよう約束しました。言いつけられたとおり、玲香ちゃんたちも一緒です」
「よ~し。オレが頼まれてたものも、もう少しで完成するからよ。どうするかはわかってんな?」
「一つは玲香ちゃんに渡して、もう一つは光ちゃんにプレゼントですよね」
「よしよし、ちゃんと頭に入ってるな」
ドリーパはプラグを一本動かして、大きく開かれたソニックの股間にこすりつける。
すると、すぐに丸を描くように染みが浮かび上がってくる。
「足コキやって興奮したか?部活動がんばってるから、どんどんやらしくなってくなーオマエ」
「あ、ん・・・。ドリーパ様が部下の人たちを派遣してくれたから、みんなトレーニングに一生懸命で・・・。やっぱり生チ○ポは違うって、好評なんですよ。わたしもついがんばちゃって・・・んんっ」
じゅく、とさらに愛液が滲み出て、染みはどんどん広がっていく。
ドリーパによって自我を書き換えられたソニックは、今やいやらしいことを口にするだけで濡れる身体になってしまっていた。
「ケケ、どうしてほしい・・・?」
「・・・んっ、ドリーパ様の、おっきなチ○ポを・・・おま○こに、ハメてほしいですっ!」
湧き上がる衝動のままに、恥かしげもなくソニックは懇願する。
亜樹もおあずけをくらったままなので、もう待てないと息を荒げて熱い視線を投げかけてくる。
「ケケケ!んじゃ前祝いっつーことで、朝までやりまくるとするか~!」
ドリーパは勢い込んで、二人を重ねるようにして押し倒した。
傍からすれば楽観的でいい加減なようだが、ディスタリオンの面々は着実に湖山光を堕とす罠を張り巡らせてつつあった。
それはまるでクモの糸のように、気付かぬうちに一本、また一本と絡みつき心と身体を縛っていく。
そして身動きがとれないと気付いたときには―――すでに、狩人の懐の中なのだ。
一本目の糸が放たれるまでの時間は、あとわずかだった。
日曜日の午後、湖山家の呼び鈴が軽快に鳴り響く。
「みんな、いらっしゃい!」
笑顔で出迎える光の前には、玲香、奈津子、沙羅、夕の姿があった。
「さ、入って。光の部屋に行こ」
招き入れられて、玲香たちは玄関をくぐる。
フローリングの床に淡いベージュの壁といった、シンプルな空間がそこにはあった。
きちんと手入れされているのだろう、とくに目立った傷もなく目にまぶしく写る。
「すてきなお家ね」
玲香が誉めると、光ははにかむ。
「ありがと。でも、壁が傷むからってポスターとか貼らせてくれないんだよ」
二階に案内すると、光は自室のドアを開ける。
シンプルで目にやさしい玄関とは打って変わった、カラフルな色彩が玲香たちの目に飛び込んできた。
「うっわ~・・・」
「すごいな・・・・・・」
夕と奈津子が目を見張らせる。
星柄プリントのクッションやら、ピンクのレースのカーテンやらと、とにかく幼さを感じさせるものが目に付く。
小学生のころはこんな部屋だったかも、と遊びに来た四人は四人ともそんなことを思ってしまった。
「ありゃ?なんだこりゃ」
沙羅が、クローゼットがわずかに開いて中の物が出そうになっているのを目ざとく見つける。
「あ・・・!」
光があわてて静止しようとするよりも早く、沙羅は扉を開け放した。
途端に、ものすごい数のぬいぐるみが雪崩のような勢いで飛び出してくる。
「う、うわわわわ!?」
驚いて尻餅をついた沙羅の頭に、サルのぬいぐるみがぼすっ、と乗っかった。
「光~・・・一体何よこれはぁ?」
「あーん、せっかく隠してたのにい」
一体どうやって押し込んでいたのか、沙羅を埋め尽くすほどの数のぬいぐるみを、光は急いでかき集める。
「どうして隠す必要がある?」
奈津子が尋ねると、光は口ごもる。
「・・・・・・だって・・・子どもっぽい、って思われちゃうもん・・・」
それを聞いた玲香たちは、一斉に吹き出した。
「あははは、今更そんなこと気にしなくても」
「・・・むう~」
つまり、どう取り繕っても自分は子どもにしか見えないのだ、と光は落胆する。
「まあまあ、いいじゃないか。私もぬいぐるみは好きだぞ?」
「そうよ。持っていたって、変じゃないわ」
奈津子と玲香はそうフォローしてやる。
「それにさ、せっかく遊びに来たんだし、ありのままの部屋を見せてほしいじゃない」
「そうそう。会うときはいつも外だし、仲間の家に行ったことってほとんどないもんね」
沙羅と夕はぬいぐるみを手にとって、「ねえ?」と顔を見合わせる。
「んん・・・それは、そうかもしれないけどぉ」
光はどこか納得しかねる、複雑な面持ちだ。
しかし、散らかったぬいぐるみを片付けテーブルを囲うころには、どうにか機嫌を持ち直し笑顔になっていた。
五人はその後、テーブルを囲んで年相応の世間話に花を咲かせた。
しかし、それはあくまで表向きのこと。
玲香たち四人は、いつ『罠』を仕掛けようかとタイミングを計り、慎重に話題を進めていた。
少しずつ話の方向を調整して光を誘導した結果、ついに光の口からある言葉が飛び出した。
「・・・ね。みんなは、大人っぽい身体作りの運動ってどんなのか知ってる?」
話題にするのが恥かしいのか、ためらいがちに言う。
玲香は表情を変えず、心でほくそ笑みながら答えた。
「ええ。オナニーでしょ?」
「えっ!・・・玲香ちゃん、知ってたんだ」
清純に見える玲香の口からオナニーという言葉が出たことに、光は驚きを隠せなかった。
この前、自分がやったようなことをしているのだろうか。
そう思いながら改めて見る玲香の顔は、こころなしか色っぽく感じられた。
「わたしたちくらいの年齢のコなら、大抵やってるんじゃないかしら」
「アンタは未経験っぽいけど、やったことあんの?」
沙羅がからかうように尋ねてくる。
「ひ、光だって、それぐらいしてるもん!」
まだほんの数回しか経験はないのだが、光はつい見栄をはってしまう。
「そっか、光もやってるんだ。気持ちいいよね、オナニー」
「う、うん」
「エッチなお汁が出てきてさ、クチュクチュ音たてるのって興奮するよね」
「・・・!う・・・ん、そだね」
「指をあそこにつっこんでかきまわすのが好きなんだ、アタシ」
「・・・・・・・・・」
次々と出てくる沙羅の卑猥な話題に、光は知らず知らず興奮してしまう。
大切なところがむずかゆくなり、ついもじもじと内股を動かしてしまった。
「ねえ、今からみんなでやらない?」
夕が突如として提案する。
「ええっ!?ここでするの?」
「光ちゃん、今日家の人たちは?」
「お父さんとお母さんは出かけてて、お姉ちゃんは塾の受験対策講座・・・」
「だったらいいじゃない。見られて困ることもないし」
「・・・・・・ん~」
困惑気味に光は首を捻る。
と、奈津子がふいにシャツに手をかけ、ボタンを外しはじめた。
胸元がだんだん開いていき、大きく張りのある乳房がこぼれ落ちそうになる。
「奈津子さん!?」
「恥かしがらなくてもいい。こうやって、お互い見せ合ってするのもいいものだ」
そう言って胸を揉みしだくと、奈津子は促すような視線を投げかける。
性的なことに縁遠いと思っていた奈津子が誘ったことは、躊躇する光を後押しするのに充分な効果があった。
唾を飲み込むと、光は意を決したような顔つきで上着を脱ぎ捨てる。
玲香や夕、沙羅も同じく胸元を開いて肌を露出しはじめた。
「さーて、いい子にしてたら気持ちよくしてあげるよ~」
ブラを外した沙羅が、光に抱きつこうとする。
「いいよ、べつに!」
初めてのときに宮子にさんざん弄ばれたことを思い出し、光は断った。
「ええ~、つまんなーい」
「手伝ってもらわなくっても、一人でできるもん」
「あっ、それなら光がアタシを気持ちよくしてよ」
沙羅はこれは名案とばかりに手を叩き、股を開く。
ミニスカートがめくれがり、レモン色のパンティーが露になった。
「光が、するの?」
「そ。アンタがしたいようにすればいいから」
カモーン、と沙羅は手招きをしてくる。
どうすればいいのか、と光は対応に困って横目でちらりと他のメンバーを見る。
すでに隣では奈津子と夕が絡み合い、お互いの柔肌にキスを繰り返していた。
玲香もパンティの中に手を入れ、秘所をまさぐっている。
その指遣いや攻める箇所をよく観察すると、光は見よう見まねで沙羅を愛撫しはじめた。
まずは、そっと唇と唇を重ね合わせる。
舌を差し込み口内で一周させると、沙羅が伸ばしてきた舌を強く吸う。
ぬめって滑りぬける舌に繰り返し吸い付いた後、光はようやく唇を離した。
続いて、開いた胸元に顔を寄せ、木の実のような乳首をパクッと咥える。
「んっ」
沙羅が小さく声を上げる。
むぐむぐと唇に挟んで乳首をすり潰しながら、光は反対側の胸を手で揉む。
「はっ・・・ん、あ・・・光、けっこう上手じゃない・・・」
「えへへ、そう?」
お褒めの言葉をいただいた光は、素直に喜んでみせる。
「うん、意外なほど上手くってびっくりした。これなら、いつか彼氏とするときも喜ばせることができるかもね」
「そうね。男の人って、気持ちよくさせてもらうのが好きだから・・・」
玲香も頷いてみせる。
光はそれを聞くと、不安げな顔になった。
「でも、男の人とするのって、ちょっと怖いよ。だって、その・・・おち○ちん、入れられるんでしょ?」
「大丈夫、怖くなんてないって。逆にすっごく気持ちよくて楽しいんだから」
沙羅が光の不安を笑い飛ばすように肩を叩く。
「気持ちいいの?」
「そりゃもう。オナニーなんか目じゃないくらいにね。おち○ちんだって、見慣れるとかわいいし」
「そうなのかなあ・・・。光、見たことないからわかんない」
「あ、それならいいものがあるわ」
玲香がバッグをかきまわし、中から十センチほどの長さの、浅黒い棒を取り出した。
そしてそれを、光の鼻先に突き出す。
光はしばしポカンとその棒を見ていたが、それが何を模して作られたものなのか気付くと頬を紅潮させた。
「玲香ちゃん、これって・・・」
「うふふ、そうよ。おち○ちんそっくりに作った、バイブっていうオナニー用の道具。これは特にそっくりに作ってあってね・・・」
言いながら、玲香はそっとバイブの亀頭部分を手で包み込み、しなやかな手つきでさすりだす。
するとバイブはみるみるうちに膨らんでいき、柔らかだった表面がピンと張りつめてくる。
玲香の指が動くたびに脈動をくり返すそれは、最終的には二倍くらいの長さになった。
「うわ~、おっきくなったぁ・・・」
「そうよ。男の人のモノは気持ちよくなると太く、長く、硬くなるの」
玲香は鉄パイプのようになったバイブを、光の頬に押し付ける。
「やだぁ!」
光はまるで毛虫が張り付いたかのように、大慌てで払いのける。
「あらあら。そんなことじゃ、好きな人を喜ばせることはできないわよ?」
「光には、まだそんな人いないもん・・・」
「そうなんだ?」
横から夕が会話に割り込んでくる。
「なら、早く見つけたほうがいいよ。好きな人を思いながらならオナニーもしやすいし、女性ホルモンもいっぱい出るから効果抜群だよ」
「みんな、好きな人のこと考えながらしてるの?」
その質問に他の四人は皆顔を赤らめ、まぶしい笑顔で答える。
まだ恋愛経験のない光でも、それが恋慕からくる表情であることがすぐにわかった。
「そっかー、みんな好きな人いるんだね。その人のこと考えてオナニーするから、そんな身体なんだ・・・」
光は奈津子の豊かな胸や玲香のくびれたウエスト、沙羅の形のいい尻や夕の美脚を羨ましそうに見る。
なんだか、いつも以上に自分だけが置いてきぼりにされている気持ちになってしまったのだ。
「光もみんなくらいにいっぱいホルモン出すには、どうすればいいかなあ?」
「う~ん・・・・・・あ、そうだ!」
夕がテーブルの上に一枚のDVDを置いた。
何のプリントもされていない、そっけないものだ。
「これ、何が入ってるの?」
「くふふっ。・・・セックスやってる、映像」
「ええ~っ!?」
光は思わずDVDを手に取り、透かしたりひっくり返したりする。
無論、そんなことをしても何の意味もないのだが。
「なるほど。映像の女性に自己投影してみるわけか」
奈津子の言葉に、夕は頷く。
「そう。男の人を、いつか出会う素敵な彼氏って思って観れば―――いつもよりドキドキすると思うよ」
「じゃあ、さっそく今から鑑賞会をはじめようか!」
沙羅が光の手からDVDを引ったくる。
すると玲香がさらに横から掠め取って、光の手に戻した。
「そうしたいところだけど、そろそろお開きの時間だわ」
一同は部屋に掛けられた時計に注目する。
いつの間にやら、時刻は五時をまわろうとしていた。
「わ、ほんとだ。残念」
沙羅は面白そうだったのに、と未練がましくDVDを見ていたが、あきらめて渋々立ち上がる。
玲香たちも服装を整えると席を立つ。
「あ、あのDVD貸してあげるから」
家の前の通りまで見送ったときに、夕がそう言ってウインクしてきた。
光は複雑な顔をして、曖昧に頷いた。
部屋に戻った光は、ポスンとベッドに腰を下ろす。
身体全体が無性に熱い。
先ほど見せ合ってオナニーしたときの熱気が、まだ部屋にこもっているような気がした。
テーブルに置かれたDVDを、光はじっと見つめる。
両親は夜遅くまで帰ってこないと言っていた。姉も帰ってくるまでにはまだ時間があるはずだ。
「・・・ん~・・・・・・・・・」
数分間悩んだ後、光は意を決してDVDをデッキに入れる。
男の子ではないが、やはり少なからず興味をそそられたのだった。
自室の小さなテレビに、いつものドラマなどとは違うエッチな映像が流れるのだと思うと、妙に胸がドキドキしてくる。
デッキが読み込みを始める。
光は、黒一色のテレビ画面を食い入るように見つめた。
ザザザ・・・と微かなノイズがバッグに絶えず流れている。
そして暗闇が三十秒ほど続いた後、唐突に男女がベッドで交わるシーンが映し出された。
柔らかな茶髪を胸にかぶさるように垂らした女性が、全裸でベッドの上に座っている。
「ねえ・・・きて。あなたに抱いてほしいの・・・大好き・・・」
女は、ねっとりとした媚のこもった視線で呼びかける。
すると男が画面に入ってきて、小柄な女性の身体を抱きしめた。
男の姿は全身影になって、どんな人間なのかよくわからない。
ただそのシルエットから、いかつい体格の大柄な男性だということはわかった。
男は女の顔に自分の顔をぶつけ、唇をむさぼる。
女の方も、恍惚とした表情で男の唇をむさぼっていく。
乱暴で野生的なキスが終わると、女はかがんではちきれそうなほど勃起した男のペ○スを両手でつかむ。
そして、一心不乱に舌を這わせて奉仕を開始した。
敏感な先端から袋の皺まで、余すことなく丹念に舐めていく。
やがて男のペ○スが反り返り痙攣をはじめると、女は口を大きく開けて竿をしごいて懇願した。
「出して!あなたの精液を飲ませてっ!全部飲んであげるから・・・!」
それに応えるように、男は女の顔目掛けて勢いよく射精した。
「あはっ・・・はあぁ・・・・・・ん、美味しい・・・」
女は顔中にぶちまけられた白濁液を指ですくうと、夢中で口に運んでいく。
口の端から唾液と精液が交じり合った粘液を垂らして目を細める姿は、背筋を震わせるほど妖しげな魅力を感じさせる。
「んっ、ねえ、もう我慢できないの。お願い、あなたの大きなそれをここに入れてえ」
男根を啄ばんで硬さを取り戻させると、女は感極まった声を上げて秘所を指で拡げて見せる。
そこはもうしとどに濡れて、男のものを今か今かと待ちかねていた。
男は女を抱え上げ、天を突く剛棒の上にゆっくりと腰を下ろさせる。
ずぶずぶと膣内にペ○スが進入していき、女は艶かしい叫び声をあげた。
「んっ、や、あはあぁん!すご・・・い・・・大きい、大きいのぉ!」
「・・・痛くないのか?」
今まで黙っていた男が、ふいに尋ねる。
女は涎を垂らしながら首を振った。
「痛くないわ・・・だって、大好きなあなたのものだもの。もっと・・・もっと激しくしてぇ!」
女はすっかり快楽に酔いしれているようだった。
自ら腰を動かして、咥え込んだ男のモノを刺激していく。
男も力強く腰を打ちつけ、さらなる快楽を引き出していく。
「あ、んあっ、だめ!わたし・・・もうイく!イッちゃうの!イく―――ッ!」
女が一際大きな声を発してのけぞると、男は女の膣から肉棒を抜いて再び射精した。
体中に熱い液体をかけられた女は、ベッドに身を投げ出してハアハアと荒い呼吸をくり返す。
疲労の色を顔に浮かばせながらも、女は幸せそうに微笑んだ。
「これでわたし・・・あなただけのものになったわ・・・。ずっと・・・永遠に、あなたのそばにいさせて・・・。好き・・・好きよ、大好き・・・」
そこで、映像は途切れた。再び画面を暗闇が支配する。
光はしばらく変化のない画面をぼんやりと見続け―――そして、ハッと我に返る。
「・・・す、すごかったあ~」
顔を真っ赤にしてつぶやくと、テレビの電源を切った。
「あれが、セックスなんだ・・・。本当に、ここにおち○ちん入れちゃうんだ・・・」
スカートをめくり、自分の股を覗いてみる。
真っ白なパンティに、染みができていた。
「やだ・・・濡れちゃったよお」
自分がすごくいやらしい女の子のように思い、光は涙目になる。
と、足に何かがコツンと触れた。
見ると、そこには玲香のバイブが転がっている。
「玲香ちゃん、忘れて帰っちゃったんだ」
光はバイブを拾うと、顔の前に持ってきてじっくりと観察してみた。
(さっきの女の人、たしか舐めたりお口に入れたりしてたっけ・・・)
舌を伸ばし、そっとバイブを舐めてみる。
バイブは敏感に反応し、ピクンと脈打って大きくなった。
女がしていたことを思い出しながら、光はさらにしゃぶってみる。
よほどインパクトが強かったのか、一回見ただけの映像は頭の中に鮮明に映し出された。
「んちゅ・・・くちゅ、ふ・・・れろ・・・」
光の舌が這いまわる度にバイブはどんどん太く、硬くなっていく。
『男の人のモノは気持ちよくなると太く、長く、硬くなるの』―――玲香の声が、頭に響く。
いつか大好きな人にも同じ事をしてあげたら、こんな風になるんだろうか。
気持ちよくなって喜んでくれるんだろうか。
そんなことを思いながら、光は先端に空いた小さな穴に口づけ、強く吸ってみた。
―――ビュク!ビュルルルルルッ!
突如として、バイブから白い液体が噴き出してきた。
「んふうううう!?」
口に生暖かい粘った汁を流し込まれ、光は目を白黒させる。
が、すぐに顔をトロンと蕩けさせて白濁液を飲み干した。
「ぷはっ・・・・・・甘~い!」
光は目を輝かせて歓声をあげると、中に残った粘液を懸命に吸い出そうとする。
そう。口に出された粘液は、本当に甘かったのだ。
まるで極上の生クリームのような、なめらかな食感。
口に入れた瞬間に広がるその甘みは、しっかりとしているのにくどくなく飽きがこない。
食べれば食べるほど、次が欲しくなってくるような後を引くおいしさだ。
今まで食べてきたどのお菓子をも超えた、別次元の甘さだった。
「んっ、ちゅちゅ・・・ちゅっ・・はあ・・・」
粘液が徐々に出なくなり、バイブが小さくなってくる。
光は未練がましくバイブをしゃぶっていたが、やがて残念そうに口を離した。
「もう出ないの?・・・むう~っ」
しかしこれで、映像の女が男の出した精を夢中でむさぼっていたわけがわかった。
(男の人の精液って、こんなに甘くておいしいものだったんだ・・・)
光は間違った性知識を、頭に刻み込んでしまった。
「それに、このバイブっておもちゃ・・・お汁もちゃんと出るんだ。本当におち○ちんそっくり・・・」
無論、普通のバイブはここまで高性能ではない。
現代文明よりもはるかに進歩している、ディスタリオンの技術があってこそ作れた代物である。
だが光にそんなことが分かるはずもなく、これも誤った知識として覚えてしまったのだった。
「んう・・・なんか・・・オナニーしたくなっちゃった・・・」
ふつふつと湧き上がってくる欲求に、光は身をよじる。
やりかたを覚えてからというもの、光は毎日大人の体型を目指してオナニーに励んでいた。
くり返し身体をまさぐるなかで、僅かながら性感帯も開発されつつある。
自分でも気付かぬうちに、光は性的な悦びに目覚めようとしていた。
(夕ちゃんの言ったとおり・・・あの女の人を光だと思って、やってみようかな)
光は一旦停止したDVDを、もう一度再生する。
また、微かなノイズをバッグに暗闇が現れ―――そして、男女が愛し合うシーンが写る。
『ねえ・・・きて。あなたに抱いてほしいの・・・大好き・・・』
(抱いて・・・ほしい・・・大好き・・・)
女の言葉が、光の頭に入り込んでくる。
光はそれを頭の中で反芻し、自分と女を重ね合わせてみた。
ベッドの上で、素敵な男性を前にして呼びかける自分。
大好きな―――この世で一番愛おしい人にもたれかかり、舌で気持ちよくしてあげる。
『出して!あなたの精液を飲ませてっ!』
(出して・・・飲ませてほしい・・・)
男が精を放つ。
光はそれを口に運んでいく。口いっぱいに広がる、とろけるような甘み。
しかもそれは、大好きな人が出してくれたものなのだ。
そう考えると、光は幸福感でいっぱいになった。
『お願い、あなたの大きなそれをここに入れてえ』
光は我慢できなくなり、自ら股を広げて男におねだりをする。
男の剛棒が、光の小さな割れ目にめりこんでいき―――
―――そのとき、いきなり姉の月乃が部屋に入ってきた。
「ただいま、光」
「きゃわああああ!?」
光はベッドから少し宙に浮くほど驚いて、大慌てでテレビの電源を切り、バイブを布団の中に隠した。
「お、お、お姉ちゃんたら!なんでいきなり入ってくるの~!」
「なんでって、そんな今更・・・。いつもこうでしょ?」
「光にだってプライバシーがあるの!」
「あはは、いっちょまえなこと言っちゃって」
月乃はおかしそうに笑い声をあげる。
子どもが背伸びするのを見て笑う、そんな大人の笑い方だ。
「また子ども扱いするう」
いつもの通り頬を膨らませる光。
しかし、ふと思い立って月乃に尋ねてみた。
「ねえ、お姉ちゃんって・・・好きな人いる?」
「んん!?」
光の口からそんな話題が出るとは思わなかった月乃は、目を丸くする。
「どうしたの、いきなり」
「いいからぁ。好きな人、いる?」
「ん・・・まあ、ね。一応いるけど・・・」
「好きな人ができたら・・・どんな気持ちになるの?」
「何?あなた好きな人でも出来たの?」
光が『そうじゃないけど』と首を振ると、月乃は何故か安堵したように息をついた。
「そう、ならいいけど」
「それで、どんな気持ちになるの?」
光が再度質問すると、月乃はチチチ、と人差し指を振る。
「お・し・え・な・い!」
「え~!?なんで~!」
「あなたにはまだ早いわ、この手の話題は。もう少しそれなりの年齢になったら教えてあげる」
月乃はそう言うと、『今から夕飯作るから』と部屋を出て行った。
実年齢としては、もう充分にそれなりの年齢なのだが。
どうも月乃にとっての光は、見た目のままの幼い存在であるらしかった。
「・・・お姉ちゃんの、バカー!嫌い!」
光は閉まったドアに向かって、ぬいぐるみを手当たり次第に投げつけるのだった。
そんなこともあり、光はさらにオナニーに励んだ。
学校の帰りにシュクリーのマンションに寄って、宇美たちにコーチをしてもらう。
そして家に帰れば、DVDと玲香の忘れたバイブを使って自主勉強。
シュクリーがくれた薬もしっかりと活用する。
ちなみに、バイブは時間を置いて使用すると、またあの甘い粘液を吐き出してくれた。
光が毎日欠かさず自主勉強できるのも、これの存在が大きい。
他にも宇美や宮子が貸してくれたエッチな漫画などを教材にして、光はどんどん性知識を身につけていった。
そして、さらに一週間近く時間が流れた。
「・・・や、あはっ!ひ、光・・・だめえ・・・ふあああ!」
喘いでいた宮子が、一際大きな声をあげる。
上は制服を着ているが、その下半身はスカートは脱がされパンティはずり下げられている。
そして隠すもののなくなった恥部には、光が顔を埋めて舌を這わせていた。
「・・・ぷちゅ。宮ちゃん、イッちゃった?」
光が顔を上げて聞くと、宮子は悔しそうな顔をしながらも頷いた。
「まさか、光にイかされちゃうとはねえ・・・」
「湖山さん、上手に・・・なりましたよ・・・ね・・・んっ!私も・・・さっきイか・・・されちゃいました・・・し」
宇美に指でクリトリスを攻められていたシュクリーが、口を挟む。
光はそれを聞いて、嬉しそうに微笑んだ。
今や光は、身体を使って相手を悦ばせる行為にすっかり抵抗を感じなくなっていた。
積極的に行為に励むのが親しい人間だった分、当たり前の行為なのだと受け入れるのも早かったのだ。
「まさか光が一番テクニシャンになろうとは・・・あなどれんなあ。彼氏ができたら喜ぶだろうね、そこまで上手かったら」
宇美がつぶやきを聞いて、光は先日姉に尋ねた質問を思い出した。
「宇美ちゃん、彼氏いるんだよね」
「いるよ。ちょっと頼りないやつだけどね」
言いながらも、宇美はどこか誇らしげだ。
「彼氏といるときって・・・どんな気持ちなの?」
「そうだね~・・・胸がキュンって絞られるようで、身体が熱くて・・・あと、アソコがムズムズするかな?」
「アソコも・・・なの?」
「うん。やっぱり好きな人が近くにいると、感じちゃう」
「光、今のはノロケだ。まともに聞かないほうがいいよ」
宮子が茶々を入れ、宇美は『ノロケて悪いのかあ』と反論してみせる。
四人は華やかな笑い声をあげた。
と、次の瞬間、それを打ち破るかのように轟音が響きわたる。
「うわっ、何!?」
四人は一斉に窓辺に近付き、外を見回した。
―――マンションから少し離れた交差点で、異様な姿の連中が周囲の物を手当たり次第に破壊しているのが目に飛び込んでくる。
ディスタリオンだ、と瞬時に気付いた光は、服装を整え鞄を手に取る。
「ど、どうしたの!?」
いきなり帰り支度をはじめた光を見て、宇美が驚いて声をかける。
「用事を思い出しちゃった!先に帰るね!」
言うが早いか、光はドタバタとにぎやかな音を立てながら部屋から立ち去ってしまった。
残された三人は―――先ほどまでの楽しそうな笑顔とは違い、どこか冷めた目つきになっていた。
「さてと、後は事の成り行きを見守るだけ・・・。上手くいけばおなぐさみね」
シュクリーが誰に言うでもなく、そうこぼした。
一体、何がどうなってるんだ?
ボッグは部下を引き連れ、破壊活動を楽しみながらも疑問を感じていた。
ジュエルエンジェル陥落までは目立った活動は行わないと決まり、それを破ったばかりに厳重に罰せられたはずなのに。
なのに突然、『破壊工作を行え』との命令が下ったのだ。
ただし、いくつかの条件がついてのことだったが。
その条件とは、
1.破壊活動は、決められた地区・決められた時間内のみ行うこと。
2.ジュエルエンジェルが現れても、交戦しない。絶対に傷を負わせてはならない。
3.よって、ジュエルエンジェルと対峙した場合、すみやかに退却すること。
というものだった。
「なんだって、こんな条件つきでわざわざ破壊活動をさせる・・・?」
自分なりに理由を考えようとしたが、元々頭を使うことをしないため、こんがらがる一方だ。
「やめだやめだ、考えても仕方ねえ!素直に楽しむとすっか!」
ブンブンと頭を振ると、ボッグは持ち主が逃げ出して乗り捨てられた自動車を思い切り蹴飛ばした。
自動車は回転しながら民家の塀を突き破り、炎上する。
ボッグはふん、と一瞥すると、今度は電話ボックスを裏拳で粉砕した。
「こら―――っ!やめろ、ディスタリオン!」
甲高い声で叫びながら、何者かがこちらに向かってくる。
「ち、もう来やがったか・・・」
舌打ちをして振り向いたボッグは、声の主の姿を見とめると呆然と立ち尽くした。
そこに立っていたのは、まさに天使と見紛うばかりの愛らしい少女―――ジュエルマジシャンだったからだ。
(うお・・・!?ジュエルエンジェルに・・・こんないい女がいたのか!)
ボッグは生唾を飲み込み、マジシャンの姿を目に焼き付ける。
「もう、いっつも悪いことばかりして!許さないんだから!」
そんなボッグの動揺に気付くことなく、マジシャンは睨み付けてくる。
しかしボッグにとっては、その様子ですら子猫が威嚇しているような愛らしさを感じるものだった。
(襲いてえ・・・滅茶苦茶にしてやりたくて、たまんねえぜ!)
背徳的な情欲の炎が、胸の内で燃え上がってくる。だが、すんでのところで思いとどまった。
(今、手を出したら・・・下手すりゃ処刑もんだな)
すでに自分は、一度命令に背いてる。
再び命令に背いたときには、どんな罰が待っているのか―――想像もつかない。
「ち、仕方ねえ」
ボッグは渋々ゲートを開き、部下とともにその場から立ち去った。
「・・・あれえ?」
マジシャンに変身した光の口から、拍子抜けした声が洩れた。
今まで暴れまわっていた敵が、戦いもせずにあっさりと撤退してしまったのだ。
「う~ん・・・?あ、もしかして、自分たちがいけないことしてるってわかってくれたのかな?」
到底ありえない仮説を立てながら、光は変身を解除する。
それにしても、と光はふと思った。
(さっきのあの大きな人・・・どこかで見たような気がするんだよね・・・。よく知ってるような・・・)
誰だったろう。
思い出せそうで思い出せない感覚に、光はイライラした。
と、携帯電話が着信を告げる。
「あーん、もうちょっとで思い出せそうだったのに!」
光はぶつくさと文句を垂れながら電話に出る。
「はい、もしもし」
「光?私、咲夜だけど」
「あ・・・なんだ、咲夜さんか。画面見てなかったから、誰かと思ったよぉ」
さすがに関係のない咲夜に、八つ当たりしてもしようがない。
光は深呼吸して、どうにか気を落ち着けた。
「それで、光に何か用?」
「実はね、玲香と奈津子のことで―――」
「・・・?玲香ちゃんと奈津子さん?先週、うちに遊びに来たけど」
「ええっ!?」
何気なく口にした光の一言に、咲夜はひどく驚いた様子だった。
「本当に、二人が遊びに来たの?」
「うん。あと、沙羅ちゃんと―――」
夕ちゃん、と続けようとした瞬間。
―――ウンッ!
風を切る音がしたかと思うと、光の手の中から携帯電話が消え去った。
「え、あれ!?」
「いや~、危ないところだったわ」
聞き慣れた声に、光はその方向へと向きなおる。
「沙羅ちゃんに・・・夕ちゃん?」
そこには、沙羅と夕が立っていた。
二人は何故かナックルとソニックに変身していて、ソニックの手には光の携帯電話が握られている。
「え、どうしてここにいるの?」
「・・・ソニックがいてよかったよ。まさか、このタイミングで電話かけてくるなんてねえ」
光の疑問を無視してソニックの手から携帯電話を受け取ると、ナックルはベキリと握りつぶした。
「あ―――っ!!光の携帯でん―――」
非難の声をあげようとした光の首に、手刀が叩き込まれる。
「悪いが、しばらく眠ってもらうぞ」
ランサーの声が聞こえたと思った瞬間、目の前が真っ暗になった。
「ふ・・・あぁ・・・くう・・・あ、ああぁ・・・」
あれからどのくらいたったのだろう。
目が覚めると、光は目隠しをされた状態で手足を拘束され、柔らかな布団の上に転がされていた。
身体全体が焼けつくように熱い。
身をよじると布団に擦れた部分が甘く疼き、焦燥感が支配する。
光はわけもわからず、先ほどからずっと切ない声で喘いでいた。
「はっ・・・やぁ・・・ねえ、誰かぁ・・・ほどいて・・・ほどいてよぉ・・・」
と、扉が軋む音がして、誰かが光に近付いてきた。
「じじいの野郎・・・急に呼び出したかと思えば、奥の部屋に行ってみろだと?一体何があるって―――ああ!?」
声の主は光の存在に気付いたようだった。
驚きの声を発すると、急に黙り込む。
「んっ、誰・・・?ねえ、お願い・・・ほどいて・・・身体が熱いの・・・我慢できないよお・・・」
光は姿の見えぬ相手に向かい、必死に頼み込んだ。
声の主はしばらくためらっていたようだったが、やがて光の手足を拘束していた縄をほどきはじめた。
戒めが解け、光の手足に自由が戻る。
「・・・あ、ありがと・・・・・・」
礼を言いながら、光は目隠しを外した。
その目に、筋肉質で大柄な男の姿が飛び込んできた。
(あれ・・・?この人、誰だっけ・・・)
奇妙な既視感を光は感じる。
(この人、ディスタリオンだよね。でも、もっとどこか別のところで・・・・・・)
ふと、ある情景が脳裏に浮かぶ。
ベッドに倒れこみ、大柄な男を見上げる自分。この光景は―――。
(ああ、そっか・・・あのDVDの映像だ・・・)
そう考えた瞬間、まるでドミノのように次々と思考が連鎖していく。
(じゃあ、この人が光の大切な人なんだ・・・)
(胸がキュンってする・・・。身体も熱い・・・)
(宇美ちゃんが言ってたっけ・・・好きな人の側にいると、胸がキュンって絞られるようで、身体が熱くなるって・・・)
(わかった・・・光、この人のこと好きになっちゃったんだ・・・この人に・・・抱いて欲しいんだ・・・)
映像の中の女性と、自分とが重なり合っていく。
光の瞳が潤み、はにかむような笑顔が浮かんできた。
「ねえ・・・きて。あなたに抱いてほしいの・・・大好き・・・」
自然とその言葉が、光の口から紡がれた。
光は身体を起こすと、男に抱きついて唇を塞ぐ。
男は驚いた様子だったが、拒絶はせず、光の唇をそのぶ厚い唇で包み込む。
花火が爆発したようなショックが頭を駆け巡り、光の目にチカチカとスパークが走った。
「ん、んふ・・・ちゅ、じゅる・・・ちゅ、ちゅぷ」
二人は夢中で舌を絡ませ、唇を吸い、唾液を互いの顔に塗りつけていく。
やがて光のお腹に、何やら硬いものが当たってきた。
見ると、映像の男性よりもひとまわりは大きい男根が首をもたげてビクビクと脈打っている。
「あは、すごいね・・・。こんなに大きくなっちゃって・・・」
光はかがみこむと、剛棒を両手でつかみフェラチオをはじめた。
「はむっ、ちゅく・・・んふ、れろ・・・ちゅ、ちゅちゅっ」
たちまち男の肉棒は、破裂寸前になる。
「あーん・・・お口に出してもいいよ。光に精液、飲ませてね・・・」
竿をしごきあげながら、無垢な顔で射精を待つ光。
それがよほどそそったのか、男のうめき声と同時に多量の白濁液が発射され、光の顔に降りかかった。
「あはっ、じゅ・・・ちゅる・・・美味しい・・・幸せ~」
バイブの作り出す粘液を食べ続けた光のなかには、すでに「精液=甘くて美味しいクリーム」という図式が成立してしまっている。
その間違った認識は味覚にまで影響を及ぼし、青臭く苦い精を最上の美味へとすり替えてしまっていた。
顔にへばりついた精液を全て平らげると、肉棒に垂れた分も丁寧に舐め取り味わっていく。
一滴残さず喉を鳴らして飲みこむと、光は開脚してびしょびしょに濡れた幼い割れ目を男に見せつけた。
「んっ、ねえ、もう我慢できないの。お願い、光のアソコにおち○ちんを入れてぇ」
男は興奮を抑えきれない様子で光を抱きかかえると、自分と向かい合うような形で腰を落とさせた。
どう見ても光の小さな膣には不釣合いな男の凶悪なペ○スが、入り口に押し当てられる。
そして、メリメリという音が聞こえそうなぐらいに強引に肉を押しひろげ、進入していった。
「あ、あああっ、や・・・あははぁあああ!すご~い、大きいよお!」
自分の体内に焼ける棒を突っ込まれ、光は涎を垂らしてブルブルと身を震わせる。
その顔は夢見心地といったように蕩けていた。
「・・・痛くないのか?」
男が尋ねる。
光はにっこり笑うと、また自然に言葉を紡ぐ。
「痛くないよ・・・だって、大好きなあなたのものだもん。もっと・・・もっと激しくしてぇ!」
その言葉は男にさらなる情欲の火をつけたようだった。
堰を切ったように、男はがむしゃらに腰を打ちつけはじめる。
恥骨と恥骨がぶつかりあい、光の腹部が収縮をくり返す。
相手のことなど考えもしないような乱暴なその行為ですら、光にとっては嬉しくてたまらないものだった。
「もっと・・・ねえ、もっと光をめちゃくちゃにして!好き・・・大好き!」
二人の腰の動きが一体化し、さらに激しくなる。
そして、ついに男は限界を超えて、光の未成熟な膣内にあるだけの精を全て放出した。
「ん、あ、ふあああああ!熱い!熱いのがビュクビュク光のお腹に入ってくるよぉ!す、すご~い!」
熱湯のような精液の奔流に打ち震え、光も絶頂に達した。
―――しばらく、二人の時間が止まる。
「はあ、はあ、はあ・・・・・・はあ~っ」
やがて大きく息をつくと、光は男に力いっぱい抱きついた。
「・・・・・・えへへ~♪」
男の顔に顔を摺り寄せて、甘えた声を出す。
「これで光は・・・あなただけのものになったよ・・・。ずっと・・・永遠に、あなたのそばにいさせて・・・。好き・・・好きだよ、大好き・・・」
少女の柔らかな温もりを感じながら、ボッグは相当混乱していた。
(え・・・!?オレはゲルバのじいさんに呼ばれて、こいつはジュエルエンジェルで・・・ああ!?)
つながりが一向に見えてこない。
考えれば考えるだけ、どんどんこんがらがっていく。
ただ、ジュエルエンジェルであるはずの少女が自分のことを好きだと言い、肉棒を喜んで咥え込んでいることだけはわかった。
「ひっひっひ・・・気に入ってもらえたかの」
ゲルバがガードたちを引き連れて、部屋に入ってくる。
「じいさん・・・こりゃ、一体どういうことだ?」
「なに、オマエさんが喜ぶかと思ってな。人形を一体作ってみただけじゃ」
ゲルバに付き添ってきたガードが、ボッグに抱きついている光に声をかけた。
「素敵な人が見つかったみたいね」
「あっ、玲香ちゃん。奈津子さんや、沙羅ちゃんまで・・・どうしてここに?」
ガードたちは目を細めると、ゲルバにしなだれかかる。
「わたしたちも、素敵な人に出会えたの」
「そっか~!よかったね、みんな素敵な人に出会えたんだ」
「でもアタシたちのゲルバ様も、光のボッグ様もディスタリオンだよ?」
ナックルが言うと、光は首を振って即答した。
「いいの!光は・・・ボッグ様のものになったんだもん。光には、ボッグ様が一番大切な人なの!」
高らかに宣言すると、光はますます力強くボッグに抱きついた。
「ひひひ・・・どうじゃボッグ。もうつまらん喧嘩はやめにして、仲良くせんか?ジュエルマジシャンは、仲直りの証として受け取ってくれ」
「お、おう・・・」
ボッグは戸惑いながら頷き、立ち上がろうとする。
と、光が抗議してきた。
「やだ、まだ抜いちゃだめぇ!もうちょっとこうしていたい~!」
「し、しょうがねえな・・・よっと」
駅弁スタイルで挿入したまま光を抱き上げると、ボッグはドアの前に立った。
「じいさん・・・その、今まで悪かったな。これからは仲良くやろうぜ」
照れくさそうにそう言うと、ボッグはそそくさとその場を立ち去り、自室へと急いだ。
―――すでに新たな欲求が、むくむくと湧き上がってきていたのだ。
「ふん、単純なやつじゃわい」
ボッグが立ち去ると、ゲルバは小馬鹿にしたように笑った。
ここまで簡単に餌にひっかかる獲物も珍しい。
「ま、これでしばらく大人しくなるじゃろ。ようやくやりやすくなってきたわい」
「しかし・・・どうも、私たちのことはばれてしまった気がします」
ランサーが慎重に、口を挟んだ。
「ゲルバ様に言われて監視してなきゃ、マジやばかったよねー」
ナックルが『冷や汗をかいたよ』とこぼす。
「かまわんよ。すでに半数近くはこちらの手駒になった。少々抵抗されてもなんとかなるわい」
ゲルバは楽しげに喉を鳴らして笑うと、ガードをちらりと横目で見る。
「それで、ソニックはこちらの手駒となったことまではばれてないんじゃな?」
「はい、おそらくは。もし疑われたとしても、ばれることはないと思います。あの子は、主人であるドリーパ様がディスタリオンだと認識していませんから」
ソニックはまだ、元の人格と人形としての人格が混じりあう途中である。
不安定な状態であるが、本人に自覚がない分強みになっているともいえる。
「よしよし。あいつにはかく乱役を担ってもらわねばならんからのう」
疑心暗鬼は、チームワークを乱す要因となる。
いくら警戒されたところで、内側に不安要素がある限りは必ず隙ができるはずだ。
ゲルバの頭には、すでにジュエルエンジェル全員がディスタリオンに跪く姿がありありと浮かんでいるのだった。
< 続く >