BLACK DESIRE #24-1

0.

 週が明け、新しい月曜日の朝が来た。僕は朝早く薄暗い頃から星漣学園に登校すると、正門から入ってすぐの桜の木の幹に寄りかかって生徒達の登校の様子を眺めていた。木陰に居るとは言え、目立つ星漣の白い制服姿にみんな即座に僕に気が付いて笑顔で挨拶してくる。

「おはようございます、先輩」
「うん、おはよう」
「あ、先輩おはようございまーす!」
「やあ、元気だね。おはよう」

 純白の長いスカートをひらひらとはためかせながら下級生の女の子達が会釈して通り過ぎていく。この清く真っ直ぐな星漣の娘達を象徴するような星漣の夏服も今週で見納めだな、と思うとちょっと名残惜しい気がする。来年の夏服シーズンには、僕はもうこの学園にはいないのだから。
 とは言え、僕は別にこの最後の夏服の光景を目に焼き付けるためにこの場にいるのではない。むしろ、それよりももっとオイシイ光景がこの先に待っているのだ。

 外界と敷地を隔絶する正門の境目。このラインより内は契約者・宮子によって書き換えられた僕の支配領域だ。夢魔の力も得たブラックデザイアの力で、この常識的な光景が夢の光景へと書き換えられていく。数人のグループが僕の姿に気が付くと、嬉しそうに笑いながら小走りに寄ってきた。

「おはようございます! 運営委員長!」
「ああ、おはよ。どうしたの、そんなに急いで?」
「あの、私達白組なんです!」

 そう言って、女の子達は証明のために自分の生徒手帳を開いて見せた。それぞれの表紙の裏のページに、自分の顔写真と一緒に柊組の生徒である旨が学園の証明印付きで記載されている。僕はそれを確認すると、大きく頷いて見せた。

「あ、そうなんだ。じゃあ、水泳競技優勝の印をあげないとね」
「はい! お願いします」

 ごそごそと自分の鞄を漁り、中から白色のリボンロールを取り出す。これを身に付けることが競技優勝の証となり、そして、その間だけある特典が彼女達には解禁されるのだ。

 まず、第1の特典。

「それじゃ、脱いじゃいますね」

 そう言うと、身分証を鞄にしまった生徒達はにこやかな雰囲気で制服を脱ぎ始めた。こんなすがすがしい朝日の降り注ぐ道端で、道行く他の生徒達や僕という男子生徒の視線が有るのに、である。僕は白い制服の内側から露わになる、それに負けず劣らず清い乙女達の柔肌を無遠慮に見つめ続けた。その眼差しに気が付き、1人の生徒が少し顔を赤らめながらニコッとこっちに向けて笑ってくれる。

「あの……すぐに下も脱ぎますから、見ててくださいね」
「うん、よろしくね」

 笑い返すと、その娘は僕に見つめられる中パンツをするすると下ろして片足ずつ抜き取っていった。かわいいお尻とふわふわとした股間の毛が陽光と僕の不埒な視線に晒される。そして、同じ様に僕の視線の中、ブラも外して完全に裸になってしまった。

「脱ぎました……リボン、お願いします」
「はいはい。どこがいいかな……?」
「じゃあ、手首に」

 そう言って左手を差し出してきたので、適当な長さに切ったリボンを結んであげる。ひらひらと揺れる純白のリボンの結び目を掲げて見つめ、それ以外靴下と靴しか身に付けていないのにも関わらずその娘は満足げに笑った。

「私、2年柊組の相沢梢(あいざわこずえ)です。みんなでこの格好で待ってますから、いつでも私達の裸、見に来てくださいね?」
「うん、必ず行くよ」
「はい!」

 ……つまり、この格好が1つめの特典だ。それぞれの部の優勝チームは、その次の競技終了までの間、「優勝リボンを制服の代わりとして着ることができる」。これは、僕が女の子のエッチな姿を見て気分が良くなって射精したらポイントになる今回の体育祭においては非常に有利な特典だ。他の組の生徒が普通の制服でいる中、ほぼ全裸の格好で僕の視線を引き寄せる事ができるのだから。

 もちろん、言うまでもない事だがこのリボンも魔法の物品で、身に付けた少女達の柔肌を守ってくれたりする効果付きである。この格好で激しいスポーツをしても擦り剥いて怪我したり、身体が冷えて風邪を引く心配もしなくていいんだ。便利だね、魔法って。

 さて、競技優勝したチームにはもう1つ特典が有るんだけど……それを説明する前に、各学年の柊組の女の子達がわらわらと集まってきてしまったんで僕は大わらわになってしまった。次々と現れる裸の女の子達に、時には先ほどの梢ちゃんの様に手首に、希望者には蝶ネクタイのように首に、お洒落で大胆な娘には太股にきゅっと結んであげる。
 おっぱいの大きな娘にはブラ代わりに胸をリボンで持ち上げるように両肩間を結んであげた。肩が動くと大きな胸がゆっさゆっさして真に眼福な光景である。中には髪を結ぶリボンにして欲しいと頼んでくる娘もいて、多種多様なリボンの付け方に辺りはきゃいきゃいとお洒落にいそしむ更衣室の様な雰囲気だ。何度も言うけど、ここって朝の青空が拝める紛う事なき屋外で、君達みんな乳首も割れ目も剥き出しの素っ裸なんだけどなぁ。

 そうこうしている内に、僕の位置から正門の外に停まる黒塗りの高級車の姿が見えた。ドライバーが素早く運転席から降りて後部座席のドアを恭しく開く。すらりと白いスカートに包まれた両脚が地面に降りるのが見えた。

「あっ……」

 女の子の1人も、僕の見ているのと同じ光景に気が付いたのだろう。驚き半分、溜め息半分の微妙に熱を持った声が唇から漏れる。その動揺は素早く辺りの娘達全員に伝播し、その場にいる全員の視線がそのドアの向こうに吸い寄せられた。

 すっ、と。言葉にしてしまえばそれだけの表現だが、後部座席に座っていた人物が立ち上がり、姿を現す。だが、その途端これまでの晴天が実はゲリラ豪雨寸前の曇天模様だったのではないかと思えるくらい、一瞬で世界にぱぁーっと彩りが吹き抜けていった。
 長く、くるぶしまで届きそうな見事な黒髪。スタイルも姿勢も完璧に調和した優美な身体付き。誰もがそこに雲の上の羽を持つ存在を思い描く微笑を浮かべた優しげな表情。その女性は、運転手に対して僅かに頷くとこちらに向き直り、歩き出す。

「わぁ……」

 女の子達の中から、今度は羨望と溜め息の混じった先ほどよりずっと熱い声が漏れ出た。僕も自分の見ている光景に思わず目を細めて息を止めてしまう。
 少女マンガの効果では無いが、一歩一歩、その女性(ひと)が歩を進める毎にまるでその足下から新芽が生えて即座に花が咲いているのではないか。そう思えるくらいその周囲の空気が華やかに彩られていく。存在感、とか、カリスマ、とか、そういった他者を畏怖させる雰囲気とは真逆の、それでいて思わず頭を垂れたくなる圧倒的に神聖な気配が高まっていく。

 そしてその女性は集団の前まで来ると、いつものように優しく微笑みながら僕たちに語りかけた。

「――ごきげんよう、みなさん」

 この学園の姉(エルダー・シスター)、優御川紫鶴(ゆみかわしづる)の降臨……もとい、到着であった。

 紫鶴を交えた一団となった僕達はそのまま彼女の歩みに合わせて校舎方面に進み、セイレン像に対するお祈りを済ませたところで当の紫鶴と僕は集団と別れた。少し話したい事があって、僕が彼女を誘ったのだ。
 校舎へと進む残念そうな女の子達のざわめきを余所に、静寂に満ちた礼拝堂への小道を少しだけ歩いて通学路から見えない位置まで進む。ここなら、僕と紫鶴が内緒話をしているところも見られないだろう。僕が足を止めて振り返ったので紫鶴もわかったのか、立ち止まって僕に正面が向くよう身体の向きを変え、「それで、お話とは何でしょうか」と首を傾げた。

「えっと……先週の、水泳の競技中。僕が紫鶴さんに言ったこと……覚えてますか?」

 僕の問いかけに、紫鶴はふわっと微笑みを浮かべる。

「シャワー室での郁太さんの言葉ですよね? ええ、覚えています」
「実はあの後、生徒会長とも話し合って紫鶴さんに今回の体育祭でやって欲しい事を、少し修正したんです」
「私が……郁太さんのための、『奉仕の君』になるというお話でしたよね」
「そうです」

 先週の土曜に行われた体育祭第1部、競泳・水上競技の部は祭事としては成功だったが、紫鶴への僕の対応は下の下、最悪の一歩前だった。僕は彼女をただ自分の欲求のまま役職を付けて囲い込みをし、一切の行事への関与をさせなかったからだ。それにギリギリで気付けたのも、紫鶴自身の心情の吐露が有ったからというのが実に情けない。
 紫鶴の想いを聞いた僕はその場で彼女と約束した。もっと紫鶴が積極的に体育祭に参加できるよう、役職に新しい意味を与えるって事を。その為に、競技終了後に宮子と学校に残って体育祭の実施要領について修正作業を行ったのだ。その件について、本人の確認を得る為に僕はさっきの場所で紫鶴を待っていたんだよね。

「今朝は授業が始める前に朝礼を行ってもらうよう、生徒会長に頼んであるんです。その場で、紫鶴さんの役職について追加事項の説明を行いたいと思います。その際、紫鶴さんに一緒にして欲しいんです」
「了解しました。ですが、私はどのような役目をする事になったのでしょう?」

 話を聞く前に2つ返事で了承してくれる。信頼されてるんだなぁ。若干の罪悪感が湧かないでもないが、これは僕の使命であり欲望でもある。いつか僕の命が失われて魂が地獄に堕ちることになろうと、これだけは叶えさせてもらいます。

「はい、紫鶴さんには『奉仕員長』として、今日から競技優勝者やメダリスト達に解禁される『奉仕活動』の実演を、みんなの前でしてもらいたいんです」

 これが先ほど言いそびれた特典のその2。各部優勝チームにだけ与えられる『奉仕員』としての活動許可だ。
 本来、体育祭の規約では自分から直接接触したり競技や検査と関係のない卑猥な行為によって男子生徒を射精させても、ポイントにはならない。しかし、この『奉仕員』にだけはそれが許可されているのだ。授業中はさすがに無理だが、それ以外の休み時間や競技への応援を通して僕を直接誘惑し、ポイント稼ぎを狙うことができる。参加者にとっても僕にとっても、とっても魅力的なルールだね。

 え? 体育祭関係ないじゃないかって? そんな事はないさ。この体育祭は「学園生徒達の健康な心身の成長を確認し、高め合う」ための場だよ? 肌をぶつけ合ってその成果を知るのも大切な目的の1つに決まってるじゃないか。

 まあそんな事情で。紫鶴にはこの学園の憧れの姉として、そういった方面には疎そうなこの学園の生徒達に、身を持って手解きしてもらおうと思うんだ。

「ですが、私もこの間言った通り余り詳しいわけではありませんが」
「大丈夫です。朝礼の際には代表的な奉仕行為の幾つかをこちらから指定しますから。紫鶴さんはいつもの通り、貴方らしくしていてもらえばいいんです」
「郁太さんがサポートして下さるんですね? 助かります」

 そう言って安心したように朗らかに笑う紫鶴。「どんな事をすればいいんでしょう?」と首を傾けるので、こっそりと耳打ちしてあげた。その内容に、ほんのりと色っぽく首筋が赤くなる。

「……まあ、そんな事ができるんですか? 上手くやれるかしら」

 もじもじと両手の指先を胸の前で絡め、恥ずかしがりながら紫鶴は承知してくれた。完全に僕の事を信頼してくれている。僕はそんな彼女の優しさと麗しさと初々しさに心と視線を奪われたまま、精一杯の笑顔を返した。

「紫鶴さんなら、大丈夫ですよ。絶対」

BLACK DESIRE

#24 「A CLOCKWORK GIRL 7」

1.

 星漣学園の朝礼は、実のところ定例行事ではない。生徒会主体のこの学園の事、別に学園長のありがたいお言葉や教師からの連絡が行われるわけでも無く、その程度の用事なら掲示板での連絡や校内放送、特に重要な事でもクラス委員からの伝達でほぼ事が足りてしまう。だから、やらないことの方が多いのだ。だが、今日の様にみんなの前で特に連絡しなければならない事がある場合は、その日の7時35分までに生徒会執行部に申請することで「朝礼:有り、場所:正面玄関前」の様に掲示と15分前の放送を行ってくれる。

 校舎の正面玄関前と言えば、5月に僕が転校した初日に初めて紫鶴と出会った場所でもある。僕は麗らかな日差しの中、3年柊組が育てた花壇の花に囲まれている紫鶴を見て天使と見間違い、いっぺんに彼女の虜になってしまったのだ。
 現在も何の花かはわからないが、相変わらずその花壇には見事な色とりどりの花が咲いている。紫鶴を星漣の新しい象徴とするのに、これほど相応しい場所は無い。

 生徒会長との簡単な打ち合わせの後、僕と紫鶴は朝礼の下準備として彼女自身のお召し替えを行う事にした。

「私も白組ですから、証を身に付けないといけませんよね?」

 ちょっと首を傾げる紫鶴の言葉にニヤッと笑って頷く僕。紫鶴の姿にみんなを驚かせて意識改革の効果を高めるために、この着替えはこっそり気付かれない様に行わなくては。正面玄関付近で誰にも見つからないところ……第二図書館は受付内を通らないと出入りできないし、窓口からひょいと覗き込むだけで見えてしまうから駄目だな。同じ理由で出入り自由な保健室もダメ。じゃあ……。

「申し訳ないですけど、ここで」
「まあ。ここに入るのは初めてです」

 僕が紫鶴を連れ込んだのは来客用の男性用トイレだ。1階に空き教室は無いから仕方無い。普通の女子生徒なら入るのも躊躇う様な場所だけど、紫鶴は僕を信頼しきってくれているので、ちょっと恥ずかしそうにしながら僕に着いてこじんまりとした薄青のタイルの敷き詰められたスペースに入ってくれた。初めて見たのか、男性用小便器の姿に興味を引かれている様だ。

「……使い方、教えましょうか?」
「奉仕を役目とする者として、知っておいた方が良いんでしょうか?」
「そうですね。紫鶴さんと並んで一緒にできたら僕も嬉しいです」
「では、この後にやり方を教えて下さいね。いつでも郁太さんと一緒に出来るように合わせますから」

 紫鶴と連れションか。これはまた楽しみが増えたよ!

 喜びにニコニコしながら僕が「じゃあ、着替えちゃいましょう」と声をかけると、僕が喜んでいる事自体が嬉しいのか紫鶴も微笑みながら「ええ」と頷く。そして、制服のファスナーに手をやった。

 目の前で異性が見つめているのに、何の疑問も抱かず躊躇いのそぶりも見せずに星漣の夏制服をふわりと脱ぎ捨てる紫鶴。大人っぽい黒い下着とそれが覆う魅力たっぷりの肢体が露わになり、温もりの残る衣類を受け取りながら僕はごくりと唾を飲み込んだ。ブラのホックを外すとぷるんと押さえつけられていた2つの膨らみが本来の弾力と勢いを取り戻す。ツンと形良く細まった頂点はわずかに上を向き、そのベクトルに吸い寄せられて強制的に僕は寄り目させられる。
 さらに腰の両サイドに手をやり、紫鶴は黒いパンティをするすると膝下まで脱ぎ下ろした。上体が屈み、彼女の胸が下向きに迫力の紡錘型2つに形を変える。思わずそこに手を伸ばして手の平で受け止めてあげたいぐらいのボリュームだ。前屈みになって食い入るようにそれを見つめていると、脚から下着を抜き取って紫鶴は身体を起こして少し首を傾げた。たっぷりとした乳房がゆっさりと大きく揺れる。僕は慌てて身体を起こした。

「では……郁太さん? リボンをお願いします」

 先ほどの制服よりももっと露骨に身体の温もりが残る下着を僕に手渡しながら、紫鶴は微笑んだ。頷きながら自分の鞄から白いリボンを取り出しかけ、ふと動きを止める。

「……どうかしましたか、郁太さん?」
「みんなの前に立つのですから、リボンで身体が隠れる前に身体のチェックをしておきたいんですけど、良いですか?」
「ああ、そうですね。気が付きませんでした」

 僕の欲望に任せた提案に微笑んで賛同する紫鶴。「では、お願いします」と両手を身体の横に開いて僕に全てを見える様にしてくれる。

「じゃあ、まず……ここから」
「あ……」

 僕は両手を伸ばし、紫鶴の豊かなおっぱいに手の平を置いた。そしてその弾力を確かめるように指をその膨らみに沈み込ませて揉みしだく。十分にその柔らかさを堪能した後、更に親指をその先端部に当ててくりくりと撫で回した。

「んっ……」

 紫鶴が俯き気味に漏らした吐息が、僕の腕に熱く届く。親指に当たる感触が次第に芯の有る主張を行うようになってきた。胸を揉み上げていた手をずらし、親指と人差し指にその立ち上がった部分を挟み込んでさらに責め上げる。我慢できなくなったように、紫鶴は「はぁっ」と大きく息を吐いた。

「ん、いい感じですね」
「そ、そうですか……?」
「次は、お腹の方を確認しますから」
「はい。お願いします」

 膝を曲げて腰を落とすと、スレンダーなお腹まわりとお臍、そして整った恥毛が僕の視界に大写しになる。思わず吐いた息に触れてふわっとそれが揺れ、紫鶴は擽ったそうに少し身を捩った。

「どうでしょうか?」
「少し見え辛いんで、もう少し明るいところに移動しましょうか」
「ええ。こちらでいいですか?」

 2人で磨り硝子窓からの光の当たる位置に移動し、僕がその前で再度しゃがむと、紫鶴は何も言わずとも自分の指をやって茂みの毛を左右により分けて秘部の襞を見えやすいようにしてくれた。現れた濃い色の部分に目が吸い寄せられ、胸中の動機が速まる。

「す、少し触りますからね」
「どうぞ、お願いします」

 僕の視線は真っ直ぐに紫鶴の割れ目からわずかに覗いた突起に向けられていた。興奮に震えながら指先を伸ばし、人差し指の腹を上に向けてそれを乗せるようにちょん、と触ってみる。「んっ」と押し殺したように紫鶴が息を漏らした。ゆっくりと左右の襞を押し除けながらその部分を円を描くように転がすと、その刺激に耐えるためか時折彼女の内腿や腹部がひくっと力が入る様子が見て取れる。だが、紫鶴は僕の悪戯心を止めることなく、むしろ受け入れるかのように僅かに膝を左右に開いて股の間に隙間を作ってくれた。

「あぁ……あっ、い、郁太さん……」
「どんな感じですか?」
「何だか……じんじんして、ドキドキ、します。熱くなってきたみたい……」
「痛くはない?」

 顔を赤らめ、コクリと紫鶴が頷く。指先に乗っていた粒はぷっくりと膨れ始め、張りつめて堅くなってきていた。僕の股間のモノもそれにつられ、どんどんと堅さを増していく。唾を飲み込み、さらに紫鶴に恥ずかしい行為を要求してみる。

「みんなに見てもらうんですから、脚の間の部分もちゃんとチェックしないと。隠れているところ、全部見えるように開いてもらえます?」
「わ、わかりました」

 紫鶴は素直に頷いて脚を一気に左右に開くと、僕が注視する目の前で指先を使って秘肉をぐにっと押し開いた。透明感のある濡れたようなピンク色の彼女の女の子の部位が、はしたなくも全開で空気に晒される。僕は食い入るように顔を近付け、紫鶴の膣口や尿口、先ほどまでそれらを隠していた引き延ばされた陰唇を観察した。思わず脳裏に浮かんだ率直な言葉が口からこぼれ出る。

「綺麗です、紫鶴さん……」
「ありがとう……郁太さん……」

 紫鶴は恥ずかしそうに、擽ったそうに、そして少し嬉しそうに俯いたまま股間の前の僕を見下ろし、笑いかけてくれた。濡れたような反射光を煌めかせた彼女の膣口もまた、紫鶴の笑顔と同時にひくっと震えたのが印象的だった。

 紫鶴のチェックを終えて男子トイレから出てみると、既に正面玄関前には校舎に正対し、花壇の隙間の道を埋めるように300名弱の生徒達が整然と並んでいた。その中で柊組の列だけが全員朝方配った白いリボンだけを身に付けたあられもない格好なため、若干粛然とした雰囲気が乱れてしまっている。が、それを見る他の組の生徒達はその様子を羨ましそうに視線を送ることはあっても、嫌悪や恥辱と言ったマイナスの表情は見られない。柊組の娘達も若干恥ずかしさに顔を赤らめているが、誇らしげに胸を反らしている。その格好は優勝者の特典なんだから、当然だ。

 そんな様子を玄関の内側で静かに見守りつつ、僕と紫鶴は自分達の出番を待つ事にした。

「もうすぐですね。会長の説明が終わったら出ますから」
「はい。私の準備はできてます」

 傍らに説明の小道具として使う椅子、そしてドアの陰に肩をくっつけるように身体を寄せている紫鶴。僕は「準備OK」と言っている彼女の姿を改めて上から下までまじまじと見つめ直した。

 先ほどの着替えの結果、紫鶴もまた他の白組の娘達と同じ様に靴と靴下とホワイトリボンを除き一切の衣服を身に付けていなかった。豊かなおっぱいは強調されるように胸の下から紐で持ち上げられ、つんと飛び出た2つの乳首が上向きに僕の鼻先へと突き出している。するりとスマートに伸びた腕や脚はリボンを編むようにして飾られ、それぞれ二の腕と太腿で飾りリボン結びで止められてた。
 しかし、それだけリボンを使っているのにも関わらず、紫鶴の女の子としての大事な部位は一切隠されていなかった。整った股の茂みも、なだらかなカーブを描く背中からお尻にかけてのラインも、全部が全部丸見えだ。白い床面に反射する陽光できらっと光る紫鶴の恥毛の奥に柔らかそうな割れ目付近が透けて見え、僕は息を詰めて気が付かれないよう唾を飲み込んだ。
 この格好は、僕のセンスでは無い。とてもじゃないが僕なんかのセンスで紫鶴にリボンを結んでもチープになってその評価を目減りさせてしまうに決まっていたから、ボディチェック終了後に宮子を呼び込んでデコレーションを頼んだのだ。いい仕事してるよ、ホント。

 当の宮子は今、校舎正面玄関の段の上から今日の朝礼の趣旨をみんなに説明している。相変わらず会長モードの宮子は凛としていてとても格好いい、ってのは僕の贔屓目かな?

「みんな真剣な表情ですね。ポイントに関わるからでしょうか?」
「それもありますけど、紫鶴さんから直接教えて貰えるからじゃないですか?」
「上手く伝えられればいいのですけれど」

 そう言って、紫鶴は落ち着くためか鎖骨の辺りに右手の指先を置いて目を閉じ、すぅっと深呼吸した。その動きだけで肩に引っ張られたリボンに釣られて柔らかな膨らみが「もにゅん」「ぷにゅん」と形を変える。先ほど刺激を与えて置いた成果か、少し張りつめた様子の乳首が弾ける乳房の先端部でぷるぷると僕の唇に誘いをかけている。うぐぐ、さっきから僕の股間部は裸の紫鶴との接近で緊張しっぱなしなんだけど。説明の途中で暴発しかねないぞ、これ。
 僕の方も少し気を逸らそうと深く呼吸したところで、ちょうど前振りが終わったのか宮子が言葉を止め、こちらにちらりと視線を向けるのが見えた。出番だ。僕と紫鶴が頷くと、了解のサインを受けて宮子が繋ぎの台詞を言った。

「では、ここからは実際に奉仕員長と運営委員長に説明してもらいます」

 宮子から「では、お願いします」と促されたので紫鶴はドアの陰から進み出た。僕もクラス委員数名と協力してしっかりとした重い肘掛け椅子を運んでそれに着いていく。ひとまず段の端に寄ったところに小道具を置いておき、中央部に立った紫鶴のやや斜め後方の位置に着いた。紫鶴を頂点とした対称位置には宮子が下がってきている。
 ざっと並んだ娘達を見渡すと、「ほぅ……」と感嘆の意味を込めた息が観衆全体に充満し、羨望の眼差しが紫鶴に集中しているのを感じた。自分の事ではないのに、何故か僕はこの完璧な少女に送られた無言の讃辞が誇らしく感じられた。

「では、奉仕員長として私から説明させていただきます」

 先ほどの緊張していた様子を素振りにも見せず、周囲に穏やかな視線を送りながら紫鶴が話し始めた。

「まず最初に、男子生徒に気持ち良くなってもらうために一番大切な事をお伝えします。それは、私達奉仕者とその男子との間にお互いを認め、思いやる心の交流が必要だという事です……結果的にその生徒を射精に導けば体育祭のポイントになりますが、それはあくまで奉仕した結果です。ポイントを得ることが目的になってしまってはどれだけ時間をかけ、技巧をこらしても十分に満足してもらうことはできません。相手の事を第一に考え、心身を尽くしての奉仕を心がけましょう」

 自分の心の在り場所を示すように、片手を胸元に、もう反対の手を腹部に当てて語りかける紫鶴。僅かに目を伏せ、微笑を浮かべながらすらりと立つその姿は迷える子羊を導く聖女の様だ。その立ち姿が眩しいのは朝の日差しのせいだけでは無いのだろう。紫鶴の真心からの説法は続く。

「男子生徒の望む事には心から応えてあげましょう。男性の中には女性の心理にとてもナイーブな方がいます。少しでも嫌がったり、断りたいという気持ちを、表情に出さなくても脳裏に浮かべてしまうとそれだけで気後れしてしまう方もいるのです。全てを委ね、喜びを持って従う慈愛の気持ちを大事にして下さい」

 先に伝えておくべき事が終わったのか、そこでいったん紫鶴は言葉を止めた。しんとして遠方の小鳥の鳴き声しか聞こえてこないこの場に、すん、と鼻を鳴らす音が僅かに響く。見れば、僕を含めこの場の全員が潤んだ目で紫鶴を見つめていた。彼女の清らかな心意気に大いに感化されてしまったのだ。ほんと、紫鶴って凄い。
 そんな紫鶴が、ちらりとこちらに顔を向けて目配せしてきたので思わずドキリと心臓が高鳴る。「郁太さん」と僕にだけ聞こえる唇の動きに誘われ、ふらりとその側まで歩み出てしまった。

「では、運営委員長と一緒に奉仕員がどう行動したらいいか、実演してみたいと思います」

 紫鶴はそう言い、僕の方に向き直ってもう一度「郁太さん」と呼んだ。

「お願いします」
「あ……はい」

 そう言われても、彼女のオーラに当てられて僕は上の空で返事することしかできない。戸惑う僕の様子に、紫鶴はにこっと笑みを浮かべた。

(宮子さん、椅子……お願いします)
「はい?」

 小声で呼びかけられ、我に返る宮子。あの生徒会長ですら今の紫鶴の存在感には圧倒されるのか。慌てて先ほど端の方に寄せていた椅子を委員たちと中央部まで運んできた。

(郁太さん、先に座って下さい)
「え?」

 段取りが違う、と脳裏に疑問が浮かぶが今の僕は紫鶴に逆らえない。黒い本の魔力でこの場の常識を改変してるのは僕なのに、支配し上位に立っているのは紫鶴の方なのだ。言われたままに椅子に腰掛けると、紫鶴は僕の脇に立ち位置を変えた。

(こちらを向いて、私だけを見て下さい)
(りょ、了解しました)

 僕がお尻を動かして紫鶴の方に向いたのを確認し、紫鶴はみんなの方に顔を上げ、口を開く。

「男子生徒と交流するにあたって、まずは相手に自分の事を認識し、感じ取ってもらうことが重要です。それには、普段制服で見せないような場所、下着で隠してしまっている場所も確認してもらうと良いと思います」

 そう言うと、紫鶴はみんなにお尻を向け、僕を誘うように片手の指を一本立てて僕の目前にもって来た。自然に視線がそれに引き寄せられ、ちょっと寄り目になる。すうっとその指が動き、紫鶴自身を指さした。

「顔」

 紫鶴の微笑みが見える。

「唇」

 形良く、健康的に色付いた皮膚と、僅かに開いた隙間から見える白い歯。紫鶴の指先が順を追って下がっていく。

「胸」

 やわらかそうで、彼女の母性が溢れてる。

「乳首」

 色も形も完璧。触りたくなってきた。

「お腹……お臍」

 この下に紫鶴の……赤ちゃんを作る場所が。

 ここでいったん紫鶴は指を止め、小声で「肩、貸してもらって良いですか?」と問いかけてきた。頷くと、彼女は大胆にも僕の座る肘掛け椅子によじ登ってきた。僕の肩に手を置いて向かい合い、身体を跨いで肘掛け部分に膝を乗せる。更に、「失礼します」と片足を上げ、僕の肩にその脚を掛けたのだ。すぐそこ、匂いすら感じ取れる目の前に紫鶴の大事なところが丸見えになっている! 視線が動かせないのでよく分からないが、驚きとざわめきの気配が紫鶴の背中側から波動のように伝わってきた。
 僕の視線がその場所に釘付けになっているのに満足そうに笑い、紫鶴は歌うように先ほどの続きを再開する。

「自分の事を良く把握してもらうために、この場所も知ってもらいましょう」

 そして、また指先の誘導が始まる。すーっと人差し指が紫鶴の股間部に近付き、反対の手が躊躇いもなくその部分をくぱっと左右に押し開いた。

「……クリトリス……」

 つやっと、真珠のように輝く宝石が僕の口元に突き出ている。

「尿道口……」

 小さな小さな排泄器官が、このまま放出すれば僕の口に直接飛び込みそうな近所で息づいている。

「膣口……」

 角度が有るため見えにくいが、僕はそこにぽかりと空洞が空いているのも、そこに彼女の乙女の印が薄紅色に存在していることも知っているし、実感できる。

「……そして、お尻の穴……肛門も、男子生徒に興味をもって貰える場所です。全て、確認してもらって下さいね」

 僅かに紫鶴が腰を上げてくれたので、僕からは彼女の股間を下から見上げる体勢になった。彼女の言葉通り、開いた脚の間から皮膚に引っ張られて僅かに形を崩した彼女のお尻の穴を見る事ができる。
 紫鶴は割れ目を開いていた手を離すと、お尻側から手を回して両手でそこのお肉をぐっと広げてくれた。引き伸ばされ、少し色の薄まった色付いた排泄口がほんの15cm位のところに見えている。

 十分にそこを僕に見せつけた後、紫鶴はぱっと手を離すとまた腰を落とした。そして、今度は僕の手に先ほど視線を誘導した自分の手を重ねてくる。少しひやりとした、気持ちいい感触の紫鶴の手の平。

「見て、そこの形を覚えてもらったら、触れて肌で感じてもらうともっと知ってもらうことができます……」

 紫鶴の手に持ち上げられ、再び、今度は僕自身の指で少女の身体部位の確認が実施される。

「……顔」

 滑らかできれいな形の頬、顎。

「……唇」

 柔らかく、薄く敏感そうな感触。僅かに唇と唇の間に入った指先にちょん、と濡れた舌先が触れたのは紫鶴の茶目っ気だろうか。彼女の粘膜の感触に、びりっと背筋に快感が走る。

「……喉……胸」

 つうーっと紫鶴自身の誘導に従い、白い柔肌を僕の手が辿っていく。2つの膨らみの上に来たところで視線で彼女に問いかけ、微笑みの返答が返ってきたので思い切って指だけでなく手の平まで付けて触ってみた。もにゅっと僕の手を包み込む柔らかさと、確かな掴み心地の弾力が返ってくる。それだけで僕の股間は内部の熱気を爆発させそうになっているのに、さらにそこはその内の生命の息吹をドキドキと主張していた。紫鶴も落ち着いているようでその内面では胸を高鳴らせていたのだという事実に、僕は身震いするような感動を覚えた。

「……んっ……乳首も……」

 僅かに吐息を漏らしながら、紫鶴が次の場所を指定する。はっとして手を離すと、すうっと手の平が空気に触れて冷える感触がある。紫鶴、汗ばんできている?
 紫鶴はもう僕の手に自分の手を重ねていなかった。2つの膨らみの上に、動悸を押さえるように両手を軽く置いて胸を晒し、僕の指を待っている。呼吸を荒くしないよう深く息をしながら手を伸ばし、その先端部を軽く摘むと「ぅんっ……」と可愛らしく鼻を鳴らした。

 摘んだ人差し指と親指の腹に張りつめたような弾力が感じられる。軽く触れながらくりっと指先で突起の周りを撫でると、びくっと紫鶴の肩が震えたのがわかった。少しだけ持ち上げるように引っ張り、先端部の僅かな窪みの部分までまじまじと観察する。口に含み、吸い上げたいと僕の原始の欲求が呼び覚まされる。

(紫鶴のおっぱい、ここから飲んでみたいな)

 口には出していないのに、目だけで気持ちが伝わってしまったのか。ふふっと小さく笑うと、紫鶴は僕にだけ聞こえるように、

(まだ、出ませんよ)

 と窘めた。そして、まだ未練が残る僕の手を再度握ると、「……お腹……お臍……」と紫鶴の身体探索の旅へと促す。腰まで来たところでその手は先ほどとルートを変え、背中側へと僕を導いた。

「お尻も、触って下さい」

 彼女の勧めに従い、胸と同じく手の平全体で、今度は両手を使ってその部分の弾力を楽しむ。持ち上げ、引っ張り、揉み回し、するりと撫でてその曲線を触感で覚え、そして指先が次第に中央部の微妙なところに向かい始めたところで紫鶴の手に掴まえられる。ここは駄目なのかと一瞬落胆しかけたところで、微笑みながら彼女は両手で自ら自分の秘部を割り開いてみせた。

「ここは、女性にとって一番敏感なところですから……お互いに十分気を付けて触れ合うようにして下さい」

 そう言ってから、紫鶴は僕の眼前で自分の秘肉を広げた体勢のまま、「順番に、触って感触を確かめて」と求めてきた。僕はもう、その濡れたような彼女の大事な場所の光景に思考を圧倒され、操られるように震える指先をそこに持って行く。ちょん、と中指の先に先ほどの乳首のような弾力の、それより遙かに小振りでつやっとした感触が弾ける。

「っ……く、クリトリス……」

 その下の、ちょっと見では僅かな窪みの様な場所に人差し指を置く。

「そこが……尿道……おしっこの出るところです……」

 襞を辿っていくと、ちょうど中央部の中指がつぷっと少し濡れた熱い襞の間に潜り込んだ。

「そこ……膣口です……女の子の、一番大事な場所」

 はっと、そこを傷つけてはいけないと指を離すと、その指先と彼女の粘膜との間につうっと粘液の糸が伸びた。ぬ、濡れてるの? 紫鶴が!? びくびくっと股間のモノが跳ね、それだけで僕は出しそうになるのをすんでのところで堪えた。もう、先走りでパンツの中はびしょびしょに違いない。
 僕の内心の葛藤を知ってか知らずか、少し上気した顔で紫鶴は微笑み、そして僕が触りやすいように腰を上げた。

「後は、肛門……お尻の穴も触って、どういうところか覚えて下さいね」

 紫鶴の手が一度離れた僕の手を太腿の間に導き、そして指先をその部分に触れさせた。敏感な僕の手は、その部分の凹凸、大きな皺と小さな皺の違いまで克明にその部分の感触を伝えてきた。おずおずとその部分を撫でていくと、前から流れてきたのかそこは少し粘つく液体で潤ってくる。指先が触れる度に、ぬちゃっと小さな水音がするまでになった。

「ん……はぁっ……」

 いつの間にか紫鶴は目を瞑り、何かを堪えるように口元に手を当てていた。熱い吐息と共に僕の肩をぐっと掴んだので、それがストップのサインだと思った僕は名残惜しいが彼女のお尻の穴から指を離す。

「また……んっ……肩を貸して下さい」

 唾を飲み込みつつそう言った紫鶴は、僕にもたれ掛かるように体重を預けてずっと上げたままだった片膝を肩から降ろした。そして身体を離し、すとんと地面に足を付く。一呼吸置いてくるりとみんなの方に振り返った。

「……今のような感じで、男子生徒に自分の身体の事を教えてあげて下さい。良く知って貰い心を通わせる事で、この後の奉仕の気持ちよさをより高める事ができるのです」

 胸の前で手を重ね、何かを引きつけるような動作をする紫鶴。そこにいた全員が、何か暖かな輝く「気」のようなものが紫鶴の胸の内に存在する事を確信した。それは、「愛」とでも言うべきものなのだろうか。
 紫鶴は更に、全員を見渡しながら彼女の奉仕への考えを語っていく。

「先ほど私は普段隠している事を知って貰うように言いましたが、それは身体の部位だけではありません。隠れてするような行為も、興味を持って貰えるなら積極的に行うべきです。望まれたら恥ずかしいと思っても、自分の事を知って貰う機会と思って受け入れましょう」

 そう言うと、紫鶴は僕の方に首を傾け、ちらりと微笑む。ああ、この表情。完全に僕の事をわかってくれている。

「……例えば、放尿行為。男子生徒にとって、女子のおしっこは下着の下と同じくらい興味を持って貰える行いです。幸い、この体育祭期間中は特別に運営委員長と一緒に屋外トイレを使用する事が許可されてますから、積極的に放尿するところを見て貰うのが良いでしょう」

 そして、紫鶴は手をさぁっと左右に開くと、みんなに向かって笑いかけた。

「この玄関前の花壇近辺も指定されているエリアですので、今からみなさんに実際に行うところを見て貰おうと思います。少し、前列の方は左右に移動して正面を空けて貰えますか?」

 紫鶴の口上にうっとりと聞き入っていた生徒達も、その腕の動きにはっと気が付かされてささっと左右に寄った。まるで1学期の生徒総会の時のように集団の中央に縦に空間が開く。いくら段の上からとはいえそこまで遠くには飛ばないと思うけど、これも紫鶴のシスターパワーのなせる技か。

 紫鶴はそれを確認し、椅子に座ったままの僕に振り向くと少しはにかみつつ微笑んだ。

「……郁太さん。私に、おしっこさせて貰えますか?」
「え? は? ど、どうやって?」

 想定外の申し出に慌てる僕に紫鶴は腰を屈めて顔を寄せ、手を合わせる。

(郁太さんの膝と手を、少し貸して貰えば良いんです)
(わ、わかりました……けど)
(ありがとうございます)

 良く分かっていない僕に微笑んで礼を言い、紫鶴は腰を起こした。そしてみんなに向き直る。

「今から運営委員長におしっこをさせて貰います。みなさんも次にするのは自分だと思って、良く見ていて下さいね」

 そう宣言すると、紫鶴は僕に「失礼します」と小声で言ってから背中を向け、なんとひょいっと僕の両膝の上に座ったのだ! 制服越しに紫鶴の柔らかいお尻の感覚が太腿に伝わってくる。それだけでもとろけそうなくらいの感触なのに、さらに彼女は僕の胸に背中を預けてきた。僕の首筋に傾けた紫鶴の頭こてんと乗っかる。髪と首筋からの何とも言えない良い匂いが鼻腔を擽った。
 その状態で紫鶴は僕の方を見上げ、上目がちに囁く。

(郁太さん、膝を抱えて貰えませんか?)

 そ、それって……座っているけど、赤ちゃんにおしっこさせるポーズじゃないか。僕におしっこ「させてもらう」って、こういう意味だったのか! 紫鶴は奉仕行為のお手本として、自分が僕にしーしーさせてもらうところを皆に見て貰おうとしてるのか!
 激しく動揺とそれ以上の興奮を覚えつつ、紫鶴の要求通りに手を差し込んで膝を持ち上げてやる。長い脚が身体の左右に折り畳まれ、ぷらんと彼女自身の肩の高さから左右に脛が垂れた。紫鶴の腰が僕の腰に密着し、意図せず僕のモノが彼女の背中に押しつけられる。そこが解放を願ってビクビクと痙攣しているのも彼女には伝わってしまっただろう。だが紫鶴は、彼女の脚を持った僕の腕に軽く触れ、(もう少しだけ、頑張って)と励ますように軽く撫でてくれた。

 正面の娘達の視線は完全に無防備な紫鶴の股間部に集中している。顔を赤くしながら、それでも自分の言葉通りに恥ずかしさを受け入れ、その顔は正面に向いて自分の妹達へと微笑んだままだ。そして紫鶴は両手を股間部にやると、みんなに見えやすいように自らその部分をたおやかな指で左右に一杯にくつろげたのだった。声には出なかったが、その場所を直に見た生徒達から感嘆の吐息が漏れたのを感じた。
 紫鶴の頭が上向きに動き、もう一度僕を見上げてくる。それが放出の許可を貰う為のものと分かったので、軽く頷いてみせる。ここからだと紫鶴の股の間を正面から見る事はできないが、細くなだらかな肩の向こうの豊かな2つの膨らみ、そしてその谷間から折り畳まれて窮屈そうな腹部越しに、細い両手の指を使って秘部が驚くほど柔軟に左右に割り開かれてる様子がしっかり見えていた。彼女から放出されるもの全てを見下ろすことができる、ベストポジションだ。

「では……おしっこします」

 そう言うと、僕の腹に乗った紫鶴の背中にきゅっと緊張が走った。脱力して僕に抱えられるだけだった膝がくっと閉まり、つま先がぴくっと縮こまる。内股のところに筋が浮き、下腹部に力が入ったのが感触でわかった。

「……んんっ」

 小さな僕にだけ聞こえるような吐息と共に、その可憐な秘所からぴゅるっと一直線に水流が飛んだ。それは飛沫となって飛び散ることもなく、まるで一本の線のように綺麗にまとまったまま1m以上飛翔し、段差を飛び越えて地面に落着する。どちらかによれる事もなく、真っ直ぐに左右に分かれた生徒達の真ん中へと吸い込まれるように落ちていく。
 地面へと命中した水流はそこで初めて弾けて飛散し音を立てる。だが、不思議な事にかなりの勢いの筈なのに、小川に雨水が滴り落ちるようなちょぼちょぼといった感じの控えめな音しか聞こえてこない。風向きの関係か、尿らしい匂いも嗅ぎ分けられない。馬鹿な話だが、もしかしておしっこにも気品が備わるのかと、その時の僕は本気で信じた。

 黒い本の効果か、それとも紫鶴の存在感の効果か。人前でのあられもない格好での羞恥行為にも関わらず、この場にいる全員が彼女の放尿姿に見とれている。いや、もうこれは尿とかおしっことか言って良いものじゃない。正しく、「聖水」だ。紫鶴という聖女から湧き出る「聖水」をみんなで見守っているんだ。そう考えれば、この場の熱気と敬虔さが共同した雰囲気の説明がつく。

 そうやってみんなが一体となってじっと紫鶴の尿口に集中していたせいか、その放尿は体感的にかなりの長さに感じられた。実際は1分も無かったのかもしれない。できあがった水溜まりもそれ程広くは無かったから。だが、一種のトランス状態に陥っていた僕らにとって、それは何十分もの至福の体験であった。
 ひゅぅっと宙に浮かんでいたアーチが縮まり、始まりのシーンを巻き戻したように紫鶴の股の間にそれが引っ込む。はっと目が覚めた様に忘れていた瞬きを全員が一斉に行う。

「……出し切る時は、運営委員長に言って最後の一滴まで見て貰いましょう」

 歌うように紫鶴が言う。そして僕を見上げ、「一番最後、見て貰えますか」と問いかける。僕はもう全身が心臓になったように感動と興奮でドキドキしながら、やっとの事で「お願い」と頷いた。

「……はいっ」

 こくりと頷いた紫鶴。僕の視線が自分の股間に向いている事を確認し、微笑みながら再度身体に力を入れた。

「……ぅうんっ……!」

 僕の顔を見つめたまま、微笑んだままで最後の放尿。びゅっと勢いよく飛び出した一筋が、今までで一番遠くまで飛んだのが見えた。「わぁ」とか「おぉ」とか小さく感嘆した声が周囲からぽつぽつと上がる。

 完全に放出が止まり、紫鶴が身体から力を抜いても僕はしばらくそのまま彼女を抱え続けた。紫鶴が自分の割れ目を押し開いたままのポーズを維持していたから、僕もそのまま動かないようにしていたのだ。すると、紫鶴は少し頭を動かして僕に囁いてきた。

(あの……郁太さん)
(あっ、はい! どうしました?)
(何か、拭く物持ってますか?)
(あ、そうか……!)

 今の紫鶴はリボン以外靴と靴下しか身に付けていない、ティシュやハンカチなんか持っている筈がないのだ。

(ティッシュ、有りますけど使いますか?)
(……良ければ、ですけど)

 紫鶴は頭を動かし、上目でちょっと恥ずかしそうに僕に微笑む。

(男子生徒との触れ合いの見本という事で、郁太さんが拭いて貰えますか?)
(!……も、もちろん、いいですとも!)
(私、このまま指で押さえてますから)

 相当恥ずかしい事の筈なのに、自分から男子生徒におしっこの後始末を申し出てくるなんて! 紫鶴の奉仕員長としての素質と自覚は僕の思った通り最高級の物に間違いない。紫鶴の足を開脚状態のままで僕の膝の外側に下ろし、手を離してもどかしげにポケットティッシュを取り出す。新品のそれをミシン目で破って数枚取り出す間、紫鶴は黙って僕に跨がったまま自分の秘部を開いたポーズで待っていた。

 興奮に震える手を紫鶴の股間に差し入れる。ティッシュ越しだが、彼女の細い陰毛と複雑な襞の形がくっきりと判別できる。そのまま尿道口とおぼしき場所にあたりを付け、指先で揉み込むように静かにその付近の滴を拭き取る。

(敏感な所だから、乱暴に擦って傷つけないようにしないと……)

 拭うと言うより、当てて吸い取る様にしてそこの湿り気を取っていった。1回目のティッシュで大まかに、交換して丁寧に。「もう、良いですよ」と言われるまで、僕はつい夢中になって紫鶴の股間を綺麗にすることに集中した。紫鶴に割れ目を開かせて僕が世話をする、このシチュエーションはそれくらい倒錯的で僕を魅惑したんだ。

「……ありがとうございました、郁太さん」
「あ……はい!」

 我に返って返事をする僕に、紫鶴はにこりと微笑む。

「優しい気持ち、郁太さんの手からいっぱい伝わってきました。とても……安心できました。気持ち良かったです」
「い、いや、そんな……別に」

 か、勘違いじゃないの? 僕はその、微妙なところに万が一のことが有ったらいけないと思って慎重にやったけど、それも裏に紫鶴のイケナイところに沢山触りたいって下心が有ったからで……。
 しどろもどろに慌てている僕を優しく目を細めて見つめる紫鶴。いつの間にか姿勢を崩していた彼女は、膝を片方に寄せて僕の膝に横座りするような体勢になる。そして頭を近付け、片手の指をそっと僕の唇に触れさせた。たったそれだけで、一切の言葉を奪われ口を噤んでしまう。

「……ここからは、私が郁太さんを気持ち良くしてあげますね」

 そう言うと、僕の方の長い睫の片目を閉じて可愛らしくウィンクした。あぁああ~、駄目だ、この女性(ひと)は何でこんなに多彩な魅力を持ってるんだ! ある時は聖女、ある時は乙女。時には天使の様に無垢、時に母親のような包容力を見せ、今はまるで小悪魔の様に簡単に僕のハートを鷲掴みにしてしまう。およそ世界、いや宇宙全部の魅力的な女性を全て足してそのまま割らなかったような奇跡の存在なんだ。誰もこの人に適うわけが無い。

 紫鶴は僕に腰掛けた姿勢のまま背筋を伸ばし、手を太腿の上に重ねて上体を捻ってみんなの方を向いた。相変わらず慈愛たっぷりの微笑のまま、優しく語りかける。

「今の様に、十分にお互いを認め合って意志の疎通が出来たと感じたら、いよいよ男子生徒を射精に導きます。その際、どちらから申し出ても構いませんが私達奉仕側から言い出す場合には、必ず了解を得てから行うようにお願いします」

 そして紫鶴は眼差しを僕に向け直すと、「初めてもいいですか」と問いかけてきた。いよいよその時が来たのだとドキンと心臓が跳ね、慌てて頷いて了解を返す。
 紫鶴は僕の返事を受けて落ち着いた様子で僕の制服のズボンに手を掛けた。スムーズな手付きでベルトを外し、ジッパーを下ろすとパツパツに押し上げられた僕の下着が晒される。「失礼します」と紫鶴はたおやかな指先をそこに差し込み、僕のモノを軽く握った。直接の刺激に思わず小さく呻き声を出してしまう。

「……男性器は男性のもう1つの心臓です。優しく、守るように触れて下さい」

 熱っぽい目で僕を見上げながら紫鶴が言う。僕の表情を見ながら、反応を確認しながらやわやわと表面の張りつめた弾力を調べていく。はあっと吐き出されたその吐息が、先ほどよりも遙かに熱を持って首筋に吹き付けられた。紫鶴の体温が、上昇してる? 無意識に受け入れの準備を始めてるって事?

 パンツがズラされ、僕のモノが紫鶴の手に守られながら日差しの下に晒された。そこは僕の予想通りに限界ぎりぎりまで膨張し、とろっと先端部から粘液をこぼしている。その雫はすでにモノに触っていた紫鶴の指先をどろどろに汚し、その緩やかな動きにあわせて粘ついた音を僅かに発していた。
 晒されたペニスに、女子生徒の間にも動揺のさざ波が走った。だけど紫鶴が十分にそこが大切な場所だと言い含めていたお陰だろう。殆どが男性経験の無い初見の乙女達であるのにも関わらず、嫌悪感を露わにする者は皆無でただその場所に熱い視線を送るのみだった。

 紫鶴は十分にみんなの動揺が冷め、集中を取り戻すのを待ってから続きを語り始めた。まだ、僕のモノに触れたままだ。

「男性を射精に導くには、男性器に適切な刺激を与えるのが最も効果的です。その刺激は、奉仕員ならば身体のどの部分を使用しても構いません。この様に指と手を使用したり……」

 片手を持ち上げ、先ほどのように紫鶴は自分の身体の各部位を指さしていく。

「唇、舌、口内……胸……密着してお腹で擦ったり、太腿の間に挟んだり……どこであっても、丁寧に、大切に奉仕を行えば男子生徒に気持ちよくなって貰うことができます。また、その際直接リクエストを聞くのも良いでしょう。先ほどまで奉仕員の身体を確認して貰ったのは、男子の側にどの部位を使ってみたいか想像して貰うためでもあります」

 紫鶴の指先は僕の先走り液でぬるぬるだった。わざとなのか天然なのか、彼女の指先がその肢体を指さす度に粘液が塗り付けられ、汚されていく。ぴんと立った乳首の先から糸を引き、お臍のまわりはてらてらと濡れ、そして舌に塗り付けられた粘液は唾液と共に彼女の喉奥へと飲み込まれていく。それは紫鶴が自ら僕のモノによるマーキングを望んでいる様で、ひどく僕の欲望を刺激した。新しい液体が先端部から溢れ、握っていた彼女の手を更に汚していく。彼女の手の中で、催促するようにビクビクと波打った。それを感じ取ったのか、紫鶴が僕の方に目線を向け「後、少し」と合図してきた。

「……それでは、実際に運営委員長に奉仕員の身体を使って射精していただくところを見て貰おうと思います」

 手を離し、再び僕の膝の上でかしこまった姿勢を取る紫鶴。とても重要な事を述べるのだとその姿が言外に語り、女子生徒達も固唾を飲んで一言一句に耳をそばだてる。

「先ほど奉仕員の身体はどこを使用しても構わないと言いましたが、射精の瞬間だけは特に男子生徒から要望の無い限り口内など、身体の内で受け止めるようにして下さい」

 紫鶴は目を閉じ、下腹部に手を当てて聖女の表情で語り続ける。

「男性器から女性に送り込まれる精子は将来赤ちゃんを授かる為に必要な大切な贈り物です。例え身篭もるための射精でなくとも、体内に受け入れてそこに込められた想いをしっかり受け止めて下さい。精液の1滴1滴が私達女子の身体に生命を芽吹かせる祝福の雫なのだと理解して下さい。そのためにも、奉仕員に選ばれたならば心身を尽くして男性をより満足のいく射精に導かなくてはならないのです」

 ……。
 ……感動して、言葉が出ない。

 僕、別に今紫鶴が言ったような事を「常識」として書き込んでなんかいない。ただ、奉仕員は僕を気持ちよくして射精させるのが使命であると思いこませただけだ。だから、そこに紫鶴なりの理由付けが行われた結果が今の言葉だって事になる。
 紫鶴を「奉仕の君」とする僕の判断は間違っていなかった。世界中を探したって、彼女ほど男性に自然体で尽くす事の出来る素質を持つ女性はいないに違いない。紫鶴は天性の「奉仕の君」なのだ。

 紫鶴は僕の膝から立ち上がり、再度先ほどの言葉を繰り返した。

「私達の身体は、男性器を様々な場所で受け入れ、奉仕することができます。そして、体内にそれを導こうとするなら口や……あるいは、お尻……肛門を使うこともできるのです」

 紫鶴の言葉は、話の流れで有る程度聡明なこの学園の女子生徒達に予想が出来ていたのだろう。全くの想定外という驚愕の声は起こらず、たださわさわと周囲の者と顔を見合わせたり恥ずかしそうに俯いたりといった戸惑いの反応があっただけだ。紫鶴自身もそれは想定していたのか、さらに笑みを柔らかいものにして目を細め、言葉を続けた。

「みなさんが戸惑うのも仕方有りません。私達は今までこの場所をその様に使うことが出来ると教わってきてはいませんでしたから。しかし、きちんと手順を踏めば私達の肛門は男子生徒を射精に導き、その精液を受け入れる最適な場所の1つとなります。ですから、今から私が運営委員長とする事を良く見て、学び、自分の身に置き換えて想像し、心に留めておいて下さい」

 紫鶴は言葉を止め、生徒達を安心させるように笑顔を周囲に向けた。その表情にみんなの動揺も静められたのか、僕達に視線が返ってくる。これから行われる事を一瞬も見逃すまいと、ほんのりと赤くなった真剣な表情で。
 自分の言葉がきちんと届いた事に満足したのか、紫鶴はにこりと笑ったまま僕の方に振り向いた。

(郁太さん、お待たせしました)

 そして、そう囁くと、ぐっと僕の太腿の間の座面に片膝を付き、顔を寄せてきたのだった。うおぉお! し、紫鶴の顔が近い! 瞳の中の僕の顔が見えるくらいに近い!
 その頬はうっすらと赤く、みんなの方に向いていた時の笑顔は形(なり)を潜めて少し不安そうに眉根が寄っている。僕の太腿に片手が置かれ、もう片手は軽く握られて恥ずかしそうに口元に寄せられていた。

(その……初めての事なので勝手が分からず不手際も有るかもしれませんが……精一杯やりますのでよろしくお願いします)
(こ、こちらこそ)
(それで、その、普通お尻で奉仕する時には、私はどちらに向けばよろしいのでしょうか?)
(は?)
(郁太さんの方を向けばいいのか、反対を向けばいいのか……分からなくて)

 え、えっと? つまり、対面でするか、背面でするかって体位を聞いてるの。そ、そんなの考えてもみなかったぞ。宮子の時はその場の流れで両方やったけど、どっちが良いかなんて気にもしてなかった、というか気にする余裕も無かった。そう言えば、登校中紫鶴にこの朝礼で「お尻での直接奉仕のやり方」を実演する事を依頼したけど体位については全く触れてなかった。
 どうしよう? 紫鶴にこっちを向いて貰うなら、正面から抱き合う感じで腰を密着させ、彼女のお尻に挿入する事になる。背面を選べば、えっと……さっきのおしっこのポーズみたいに膝に座って寄りかかって貰って、挿れるって事になるのかな。どっちが良いのかな……?

 ……。

(……じゃあ、僕にお尻を向けて、みんなに見えるように)
(わかりました)

 何となくの感じで、僕は紫鶴を背中向きにする事を選んだ。イく瞬間の顔を見られるのが気恥ずかしいって軟弱ボーヤそのものの理由もある。仕方ないじゃん。今更だけど、これ以上紫鶴に情けないとこ見せたくなかったんだもん。

(郁太さんは、そのまま座ってて下さいね)

 紫鶴は座っている僕の膝の間で背中を向けると、前屈みになってお尻を突き出した。先ほどは正面から見上げるように観察したその部分が、今度は背面から見下ろし視点で見えるようになる。

 現在白組のみんなが身に付けている優勝リボンはただみんなの身体を保護するだけでなく、先週の特製水着と同じお尻を柔らかく、中を綺麗にする魔法が仕掛けられている。特に洗浄したり、解したりしなくてもお尻を使える様にしてくれるんだ。(宮子にちょっと聞いてみた感じ、言葉を濁されたけど結構「準備」には時間がかかった様だったしね。)
 だけど、ずっと前のプール大作戦の時も思ったけど、紫鶴のそこは綺麗に皺が並んで均整のとれた真円形で、とても彼女がここから不浄な物を排泄しているとは信じられない。それくらい美しく整っているんだ。こんなところに、本当に僕のモノなんかを挿れてしまっていいのか?って自分でこのシチュエーションを設定したのに今更怖じ気付いてしまう。

 そんな内心の葛藤を知るはずも無く、紫鶴は左手を股の間に差し入れてお尻側まで伸ばし、そっと僕のモノに手を添えた。もう片方の手は肘掛けの上の僕の手に重ねられ、きゅっと上から握ってくる。そろそろと腰を落とし、粘液で濡れたモノの先端部が紫鶴の窄まりの中央にくにゅっと触れた、その瞬間。重なった2人の手が同時にぴくりと反応した。ついに、この時が来た。

「……挿れますね」

 僕にだけ感じられる、若干緊張を含んだ紫鶴の声色。すぅ……、はぁ……とゆっくり目に呼吸をし、それに合わせてお尻の皺が緩むのが先端部に感じられる。僕は自分の腰を持ち上げ、思いっきり紫鶴の中に突き込みたいという欲求を懸命に堪えなければならなかった。ここは、紫鶴に任せないと。

「……んっ……んんっ……」

 ふぅっとお尻が緩んだ瞬間、ゆっくりと僕のモノが沈み込み始めた。紫鶴の肛門の皺が伸び、その部分を巻き込みながらお尻の中へと肉竿が潜り込んでいく……! 芸術的な丸みと工芸品の滑らかさを持つ紫鶴のお尻の中に僕のモノが杭のように突き刺さっていく光景は、この世の物とは思えないくらい幻想的で淫猥だ。そして、包まれた部分に熱いくらいの紫鶴の体温が伝わってくる。紫鶴の命を、今、直に感じているんだ。
 先端部が沈み込んだところで紫鶴は添えていた手を離し、自分の膝にその手を置いた。よく見ると、膝が僅かに震えている。長い髪に覆われた背中もじっとりと汗をかいて陽光に反射し、乱れた髪の数本が張り付いていた。

「し、紫鶴さん」
「大丈夫……です。このまま、いけますから」

 ぐ、ぐ、ぐと紫鶴が体重を掛けると、更に深く竿が中に沈み込んでいった。僕の手に重ねられた彼女の手に力が入る。そして、ついに背中が僕の胸に当たり、紫鶴は僕の上に座った格好になった。僕のモノは8割がた埋没している。とうとう、紫鶴と繋がったのだ。
 はぁ、はぁと紫鶴は若干息を乱している。腹部の収縮に合わせ、僕のモノを包む直腸部もきゅう、きゅうと締め付けを繰り返す。そこは宮子の時のように暴力的に快感を吸い込んだりはしないが、ひくひくと彼女の初々しさを示すように震える腸の襞の感触は、気を抜けば即座に白濁を滔々と漏らしそうなくらい気持ちが良かった。

「あっ……まずっ……良すぎる……!」
「気持ち……良いんですか?」

 思わず漏れた呟きに、紫鶴は僕の手を撫でながら囁いた。そして、きゅっと指に絡めるようにしてその手を持ち上げる。

「ごめんなさい……私、足が震えて、上手く動けません……」
「じゃあ、このまましばらく待ちますか?」

 今動くと即座に出てしまいそうなんでそれはありがたいんだけど……。しかし、紫鶴は持ち上げた手を自分の太腿の方に誘導し、流し目で僕に哀願してきた。

「いえ。この場にいるみなさんにも、お尻で男性を受け入れる事ができるんだと見て貰わないと……。すみませんが、郁太さんのが入っている様子が見えるように、持ち上げて貰えませんか……?」
「み、みんなに見せるんですか?」
「はい……お願いします」

 奉仕員長としての責任感か、この学園の姉としての献身か。まさかこんな事まで言い出すとは。よ、よし! 僕も、紫鶴を見習ってもう少しだけ頑張ってみよう。
 紫鶴の肩の上から顔を出して身を乗り出し、彼女の太腿の下に両手を差し入れる。やわらかい腿の裏側は汗でじっとりと濡れて熱くなっていた。
「じゃ、上げますよ」
「お願いします」

 一言断ってから、ゆっくりと脚を持ち上げていった。靴の底が地面から離れて両脚がぷらんと浮いた途端、ずぬりと濡れた背中が滑ってペニスが更に奥へと食い込む。

「あんっ! あぁあっ……!」

 咄嗟に手で口を押さえようとしたが間に合わない。思わずと言った感じで紫鶴の唇から高熱を含んだ喘ぎが漏れた。今の、痛みとか驚きの声じゃない。今のは、快感の嬌声だ! 紫鶴、お尻を犯されて感じてる!
 急激に僕の胸中である種の征服欲がもたげてきた。この完璧な少女を僕の思い通りにしてやりたい。紫鶴が快楽に身悶え、痴態を晒す様を見てみたい。その欲求のままに紫鶴の身体を脚ごと自分の腹の上に抱え込み、ぐいっと腰の方に押しつけた。ずぶっと肉棒が紫鶴の奥底を抉る。

「はぁっ……いっ……ぁんっ……!」

 抱えられた紫鶴の足先がぱたぱたと揺れる。細い顎先から汗が滴り、折り畳まれた腹部にぱたぱたと落ちた。僕はこれで最後、と今にも内容物を吹き出しそうなモノを歯を食いしばって堰き止め、一瞬持ち上げた彼女の身体を落とすと同時に腰を跳ねさせて下から突き上げた。

「ぐぅっ……!」
「んんっ……!」

 僕の口からは呻き声が、紫鶴の口からはくぐもった喘ぎ声が同時に漏れる。僕のモノは、その最後の一撃で遂に根本まで彼女の内に潜り込んだ。その瞬間、勢いに押し出されたように彼女の股間からぴぴっと滴が飛んで椅子の前にぱたぱたっと跡を付けたのが見えた。紫鶴も、今ので軽くイったの?
 一瞬股間はきゅうっと締め付けられたけど、痛みを伴うほどの物ではなかった。ただ、ドキドキと早鐘のような鼓動が押さえつけられた紫鶴の身体と腸壁から直に感じられて、それで彼女ともの凄く近しい場所で1つになっている実感を強烈に知覚できた。それが何よりも嬉しい、幸せだと感じた。

 はぁはぁと荒い呼吸を深呼吸して静め、紫鶴が顔を上げた。潤んだ瞳で周囲を見渡し、お尻を僕に刺し貫かれながら気丈に微笑みを浮かべる。

「み……見えますか? 今、私と運営委員長は1つに繋がっています。お尻を使用して貰って、私達は男性の体を受け入れる事ができるんです」

 僕に脚を抱えられて紫鶴の腰は大きく前にせり出している。伸び切って色の薄くなった肛門も、そこに僕のモノを根本まで飲み込んでいる様子も、熟れて愛液をこぼす秘裂も、全てが正面の星漣学園全生徒達に晒け出されている。そんな羞恥の極みの様な体勢にも関わらず、紫鶴は自ら進んでそこを皆の視線に晒し、彼女達の不安を取り除こうとしているんだ。紫鶴はその体勢のまま、自分の下腹部に手を当てて眼を閉じる。

「こうしてお尻の中にいっぱいに運営委員長を感じて……1つになって初めて私も理解したことがあります。それは、男性をこの身体で受け入れるのは、それ自体が大きな喜びであるという事です。身体の中に運営委員長のもう1つの心臓である男性器を受け入れ、凄く、満ち足りた幸せを感じています」

 そう言って、紫鶴は僕の方にも顔を向けて優しく問いかけた。

「郁太さん。郁太さんにも、この気持ち……届いてますか?」
「……わかります。今、紫鶴さんと繋がっていて僕も幸せですから」
「……良かった」

 そして紫鶴は少しはにかんだ笑顔を見せる。

「後は、郁太さんに射精して貰わないといけませんね」
「まあ……そうですけど」
「脚を下ろして貰って良いですか? 私が……したいんです」

 僕は頷くと抱えていた紫鶴の脚をそっと下ろして膝の上に乗せた。最初の体勢に戻ったけど、カタチを覚えた僕のペニスと紫鶴の肛門は深く繋がったまま離れない。紫鶴は大股開きで僕の腰に跨がった状態で両肘かけの上の僕の手を握った。

「動かし……ます」

 そう言うと、僕の胸から背中を離し紫鶴はゆるやかに腰を上下させ始める。腰を落とすと粘膜ごと僕のモノが彼女の尻穴に根本まで飲み込まれ、上げるとカリぎりぎりまで引き出され、それを離すまいと吸いつく様に裏返った直腸粘膜が外気に晒される。その強烈に淫靡な光景と、紫鶴の魂そのものに包まれた様な優しい扱き上げに、急速に腰回りの熱が高まっていく。

「あうっ……いいですっ、紫鶴さんっ……!」
「はぁっ……んんっ……郁太さんっ……あぁっ……!」

 紫鶴も感じている。震える腕と太腿は今にも力が抜けて僕の方に倒れてきそうだ。でも、紫鶴はきっと体力と気力の限界を超えたってこの動きを止めない筈だ。僕のために全身全霊を掛けて奉仕する、それが今の彼女の存在原理だから。

「しづる……さんっ!」
「あぁっ……いくたさんっ……!」

 頭の中が紫鶴で一杯になり、僕は夢中で手を上げて彼女を後ろから抱き締めた。無意識に腰が持ち上がり、紫鶴の一番深いところまでモノを届かせる。間髪入れず、轟然と精液の噴出が始まった。
 それは射精というより放尿に近い止めどない噴出だった。びゅるる、びゅるるるる、と睾丸がフイゴの様に収縮して内部の精子を紫鶴の中へと流し込み続ける。やわやわとした腸壁の収縮はその間も絶え間なく続き、まるでピタリと息の合った熟練の作業のように放出と吸入が釣り合っていた。

「お……おぉ……」
「あぁ……んぅ……はぁ……」

 魂が天空にぶっ飛ぶような鮮烈な快楽では無い。だが、鈍重で濃密な快感の塔が確実に積み上げられて上空に押し上げられるような、堅実で安定した驚異の快楽体験。おかしな話だが、射精をしがならその中でさらにイき続けている! 射精が延々と止まらない!

 いったいどれだけの量を吐き出したのだろう。睾丸の中だけでなく、身体中の体液を代わりに吐き出してしまったような気がする。そこまで体感的に干からびているのに、まだ僕のペニスは紫鶴の中で往生際が悪く何かを吐き出そうとビクビク跳ねている。もう、1滴も出やしないのに。

「お……終わり、です」

 体中の倦怠感を無理矢理押さえ込み、僕は切れ切れに言った。このまま紫鶴の中に居たら精液は出ないのに永遠にイき続けてしまうとようやく悟ったからだ。紫鶴の身体は僕から快楽を引き出しているんじゃない。彼女の無限の慈愛と同じく、無限に快楽を与えてくれてるんだ。

 紫鶴は「はい……」と小さく頷き、脚の間のわずかな椅子の座面に両手を付いて腰を持ち上げ始めた。両足を僕の膝から外して地に付き、お尻を上げて僕のモノを抜きにかかる。
 ぬるぅ~っと精液やら紫鶴の体液やらにまみれたモノが彼女の身体から出てきた。外気に当たり、ひやりと冷えてぶるりと背筋に震えが走る。カリの所が引っかかり、伸びきった肛門粘膜を盛大に引きずり出しながらそれは徐々に姿を現し、遂ににゅぽんと音を立てて抜けてぶるんと粘液を飛び散らせた。

「あくっ……はぁー、はぁー……」

 前屈みになった紫鶴の身体が大きく呼吸のために揺れている。それに合わせ、先ほどまで僕のモノをくわえ込んでいたお尻の穴は驚くほど大きな穴を開いたまま収縮を繰り返していた。魔法の効果か、それとも僕のペニスの形に完全に染まってしまったのか、何も入っていないのに奥の奥まで直腸の内壁全部が観察できた。もちろん、そこに詰まってたぷたぷしている僕の精液の様子も、そしてそこから2人分の熱気が陽炎の様に漂い出ている様まで。

 その時、ふぅっと紫鶴の身体が傾ぎ、僕にもたれ掛かってきた。慌てて肩を抱く。

「し、紫鶴さん!?」
「……すみません。少し、郁太さんに甘えてしまってもいいですか?」
「え、ええ。大丈夫です」
「ありがとうございます……」

 む、無理をさせ過ぎたか? 紫鶴はそんなに身体が強い訳じゃない。それをいきなり自分で挿入させて腰を振らせるなんて無茶だったのか?

 だけど、紫鶴は僕に身体を預けたのは別の意図が有ったんだ。紫鶴は僕の顎先に額を寄せ、上目遣いで僕に「お願い」をしてきた。

「郁太さん……最後に、みなさんに郁太さんに出して貰った赤ちゃんのもとを……精子を、見て貰いたいと思います」
「え? ええ!?」
「その、こんな事を言うのは甘えてると思うんですけど……自分では力が入らなくて」

 紫鶴ははにかみ、恥ずかしそうに顔を伏せた。

「もう一度抱っこして貰って……郁太さんの手でお尻を広げて、中に精子が入ってるところをみんなに見せてあげてくれませんか?」

 え、えええ~!? 自分のお尻の穴を、みんなの前で広げて中をみんなに見て貰おうっての!? そこまでやる?

 でも、紫鶴はいつだって本気だ。自分の中に出された僕の精子を見せる事で、みんなにお尻での奉仕に自信を持って貰おうと考えているのだろう。この、300人近い女の子達の見ている前で、僕が紫鶴のお尻を開いてその中を見せるのだ。余りにもエッチな想像になんだか頭がくらくらしてきた。

「わ、わかりました……じゃあ、持ち上げます……よ?」
「はい」

 素直に頷き、紫鶴は足を爪先立ちにして膝を高くする。僕は熱に浮かされたように思考がぐるぐると紫鶴のお尻のことばっかりで埋め尽くされたまま、その太腿を抱え上げた。
 再びみんなの目と日光に晒される紫鶴の肛門。そこは先ほどの余韻に緩んだままで、とろとろと白濁液が漏れだし続けている。だが、紫鶴はそんな羞恥的な自分の姿を見せながら、胸の前で手を重ねて優しくみんなに語りかけた。

「女性が男性の射精を体内で受けて、命の種を貰う……それはとても自然で、素敵なことです。そして、ちっとも恐ろしいことではありません。今から、運営委員長に出していただいたところを開いて貰いますから、みなさんで確認して下さいね」

 そして、紫鶴は重ねていた手を取いて自分の膝を抱えると、僕に「お願いします」と囁いた。僕は無言で頷き、両手の指先を紫鶴のお尻の中央部へと持って行く。
 人差し指の先端に、どろっと粘液に濡れた肛門の皺が触れた。そこは最初に触れたときより柔らかく、そして艶めかしく緩んでいる。意を決し、その中央部へと片手の指先を侵入させる。

「んっ……」

 紫鶴の吐息と共に、思ったよりもずっとスムーズに最初の一本目の指が潜り込んだ。だけど、一本じゃ解すことは出来てもあからさまに開いて見せる事なんて出来やしない。更に、反対の手を窄まりに寄せ、ぐっとそこを押してみる。

「あっ……!」

 思わず、といった感じに紫鶴が声を漏らした。新しい圧迫感に喘ぎが押し出された、そんな感じの声だった。
 紫鶴の肛門は、簡単に僕の2本の指を第1間接まで飲み込んでいた。強い抵抗も無く、ただ輪ゴムのような括約筋の存在が指の腹に僅かに圧迫感を与えてくるだけだ。これなら、少しくらい開いても大丈夫だろう。

 ……と、思っていたんだけど。

「郁太さん……あの」
「え? あ、やっぱりキツいです?」
「いえ……その、まだ余裕有りそうならもっと指を入れて貰ってかまいませんから」
「ええ!?」

 逆だった。紫鶴は限界ぎりぎりまでみんなの為に奉仕するつもりだった。もっと指を……って、こう……かな。思い切って両手の中指を追加する。若干不安だったけど、解れきった紫鶴のお尻の穴は難なく僕の4本の指の侵入を受け入れた。ここから、開いていいの?

「大丈夫です。力、抜きますから……思い切って、開いてみて下さい」
「うん……いくよ」

 紫鶴の呼吸に合わせ、ぐいっと押し込んだ4本の指を四角形になるように力を込めた。体温に熱せられていた指先にすうっと風が当たり、そこが空気が通るくらい拡張された事を知らせてくる。ああ、やってしまった。紫鶴の肛門を、こんな、風がすかすか入るくらいに露出してしまった。僕の手で!

 並んだ女の子達にもその光景は見えたのだろう。「わぁ」と驚きと感激の声が上がる。

「紫鶴様……凄い……」
「お尻の中、綺麗……」

 彼女たちの目にも、伸びきったピンク色の穴の縁、てらてらと濡れた赤い直腸の粘膜、そこに溜まった白い精液のコントラストが映っている。それは、本来ならどんな人間であっても他人に見せてはならない恥辱の光景。それが年頃の乙女で、しかも星漣学園のお嬢様ならなおさら。その上、紫鶴は更にそのお嬢様方の憧れの君なのだ。絶対にあり得ない、あり得てはならない究極の常識破壊の光景だ。

 しかし、今はその常識は破壊されている。僕の黒い本の魔力と、そして紫鶴自身の素養によって。
 今日この場にいる女の子達は、単に僕の能力で常識を書き換えられただけじゃない。紫鶴の慈愛に満ちた魂によって、その魂までも書き換えられたのだ。

 ……いや、魂に書き換えるという言葉はおかしいか。書き換えたんじゃない、紫鶴の魂が乗り移り、染まったのだ。僕という男子生徒の望むままに心身を尽くして性的奉仕をする事が慈愛であり、この学園生徒の究極の使命であると。そして、男性器から放たれる精液を体内に受け入れる事が女性としての幸福であると。紫鶴の魂の輝きが、それぞれの魂に宿ったのだ。

 整列した生徒達のあちこちから「紫鶴さま」「紫鶴さま」と感動の呼び声が聞こえてくる。お尻を開放され、僕から立ち上がった紫鶴は相変わらずの微笑みを浮かべ、それに応える。その股の内側では尻穴からこぼれた白濁精液がどろっどろっと垂れ落ち続け、くるぶしを越えて足下に広がりつつあるのに、だ。

 僕は確信した。やはり、紫鶴はこの星漣の星として最も相応しい女性(ひと)だった。彼女の力が有れば、この学園を1つにまとめる事だって簡単な事なんだ。

「紫鶴さん」

 椅子から立ち、声を掛ける。紫鶴は微笑みながら、陽光の中に輝いているこの学園の生徒達をバックに僕に振り返る。長い髪がふわりと弧を描いて舞った。

「……あなたがいてくれて、本当に良かった」

 自然に出た言葉に、「あら」と少し目を丸くする紫鶴。しかし、すぐに目を細め、微笑みながら僕の両手を握ってくれた。

「私も、郁太さんがいてくれて……嬉しいです」

 ――この朝の出来事は、僕の能力と紫鶴自身のスター性によって星漣の生徒達の意識に深く刻み込まれた。心身を尽くし、男子生徒へと奉仕する星漣の乙女としての理想の姿……僕の思惑を越え、紫鶴はこの学園における究極の目標、「奉仕の君」としての立場を確立したのだった。

< 続く >

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