つい・すと 3日目・午後2

3日目・午後2 改造

「この花に頭いじくられるの、すごく気持ちよくないか?」

 一瞬の沈黙。
「……うん、気持ちいいね、すっごく。おまんこが、あっという間に濡れる」
 顔を赤らめて最初に同調したのは、マコトだった。
「お二人も、そうだったんですか。私だけだと思っていました」
 続いて叶が、安心したようにつぶやいた。
「そうか。……千晶はどうだ?」
「えっ」
 そう言って下を向く。答えはなかったが、その反応は典型的な肯定の仕草だ。

「どうしてこんなに気持ちいいんだろうな」
「わかんない。でも、洗脳される感覚って、こういうものなのかもな」
 俺の問いに答えたマコトは、目を閉じた。きっと、いじくられたときの感覚を反芻しているのだろう。乾いた唇を舐める仕草が、何ともエロい。
「クセになってしまいそうです。正直、もっとして欲しいです」
 叶は自身の頭上にある、見えないバラに目配せする。
 はぅ、と誰のかも分からないため息が聞こえる。空気が熱く湿っているのは、外の雨のせいではない。
「……ミリアさんに聞いてみたら、してもらえるかな、もしかして」
「いい提案だねぇ、ちー」
 マコトは千晶の言葉に飛び乗り、即座に席を立った。

 別棟から戻ってきたマコトに、俺は声をかけた。外はまだ雨が降っていたが、備え付けの傘を使えばもう問題ない降り方だった。
「どうだった?」
「『そうですか。じゃあ、待っていて下さい』だそうだ」
 マコトの目は、期待感で熱を帯びていた。
「そうか」
 平静を装って応えたが、俺も、興奮が抑えられない。身体の奥が熱い。……携帯電話の通知音が鳴った。

『洗脳等を受けるまでは、立ったままでお待ち下さい。
 ただし、頭を打たないよう、安全に十分ご注意下さい。
 また、洗脳される際には、どんな感覚か、周りにできるだけお伝え下さい。
 なお、お客様のスマートフォンは、ダイニングテーブルの上に置いたままで結構です』

 スマホから目を離すと、みんながスマホを置いて椅子から立ち上がり、ダイニングの側にある、暖炉の前の広間に移動していた。俺もスマホを置き、後を追う。
 俺達は、暖炉前のカーペットに立ち、中心の円模様を囲むように、向かい合って立った。俺の正面がマコトになり、右手に千晶、左手に叶が立つ。
 何となく俺は、千晶の手を握った。マコトも叶の手を握る。

「どうなっちゃうんでしょうね、私達」
「わかんないな。でも楽しいよね」
 そう言う叶とマコト。ダイニングの蛍光灯が点いているので、みんなの紅潮した顔がよく見える。俺は千晶を見るが、千晶の目にも熱が浮かんでいるのがわかった。

 八つの乳首は、見えている四つも、布の下にある四つも、完全に勃起している。パンツに隠れた、四つのマンコはどうだろう。少なくとも、女物のトランクスに隠れた俺のマンコは、間違いなく涎を垂れ流している。
「俺、マンコ濡れてる」
 確信犯的に、俺はつぶやいた。
「……あたしも」
 俺の手をぎゅっと握り、千晶が白状した。マコトと叶が、お互いに目配せしている。
「僕達のおまんこ、濡れやすくなってるんだっけ」
 それはミリアが言っていたことの復唱だが、マコトと叶の答えでもあった。

 唐突に、それは来た。

 僕の頭上が、オレンジ色に光った気がした。
「あ、来た!」
 次の瞬間、僕の頭に何かが入ってきた。
「あ、あ、あ! あたまに、ヘンなの入ってくる!」
 頭に異物が入ってくる感覚が、神経を通じて全身に一瞬で伝わる。
「あっ! おまんこ熔ける! 乳首熱いっ! 僕、頭おかしくなるっ! あ、あ、あ、はだか、はだかがっっ」
 頭がかき混ぜられる感覚に反応して、おまんこが、乳首が、全身が、蕩ける悲鳴を上げた。
「裸が!?」
「あっ、はだかになる、あ、いく、いく、おまんこ、漏れるっ!」
 僕は左手で、水着の上からおまんこを押さえる。でも、どうにもならなくて、お漏らしみたいに、何かが噴き出す。
 腰が抜けて、ずり落ちる。頭が真っ白になっていく。
 何もかもがどうでも良くなるほど、きもちよかった。

 俺は、興奮した――のではない。あまりの早業に、面食らった。
 マコトのカーネーションがぼわっと光り、マコトが「来た」と言った瞬間、ただでさえ固かったマコトの両乳首がカチン、と音を立てるように屹立した。身体を跳ねさせたマコトの声は完全に女、というかメスのそれだった。そして、ものの数秒でマコトは絶頂に達し、潮を噴いて、内股で座り込んだ。
 おまんこ。乳首。裸。断片的なマコトの叫び声が、俺の頭に残った。

 私の左手にしがみついたままへたり込んだ真琴さん。その様子を呆然と見ていた私のバラが、オレンジ色に光った気がした。
 不意打ちだった。
「あうっ!?」
 世界が歪んだ気がした。私の心がねじれる。
「あっ! だめっ! だめっ! ちがうのがっ! ちがうのがはいってくる!」
 私の心に本来無いものが、当たり前のように加えられていく。
「こわいっ! 気持ちいいっ! 感じるうぅっ! あっ、男がっ、おとこのひとがぁっ!」
 目の前にマッチョと優男が現れ、身体が勝手に、私の乳房を突き出していく。直後、普段の性交が目じゃないくらいの快楽に膝が折れて、今度は女陰を突き出すように倒れた。
「あうっ、いんけいっ、陰茎がっ、女陰に、子宮にいいぃぃぃぃぃっ」
 熱くて太い陰茎が、私の身体を下から貫く。その感覚に、頭が真っ白になった。
「いくっ! あおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」

 マコちゃんに気を取られていたあたしは、カナちゃんの叫び声で我に返った。
 「男」って言った瞬間にびくん、とカナちゃんの身体が揺れて、大きいおっぱいがぷるん、ってなった。
 そのまま力が抜けて膝をついたと思ったら、そのままカナちゃんはブリッジのような体勢になって、アソコを突き上げるようにして。
 叫び声を上げて、飛んでいった。

「う……」
 しばらく呆然として座っていたマコトが自我を取り戻したらしく、まだ倒れたままの叶の手をつかんだまま、のろのろと頭を動かした。
「きもちよかった…………あれ?」
 上半身だけ起き上がったマコトは、自分の股間を、いや水着のショーツを見て、首をひねった。
「マコト、潮噴いたな」
「ああ、これ、潮なんだ。恥ずかしいな……いや、そうじゃなくて」
 そう言うとマコトは、まだ倒れている叶を気にしつつ、大丈夫そうだと判断したのか、右手をゆっくりと離す。そして膝立ちになり――ショーツを下ろした。
「おい、何やってんだよ!」
「え、何って……うわすっごい、ビッチャビチャだ」
 俺の制止をものともせず、マコトは左足を、次に右足を、ショーツから抜き去る。そしてそのままショーツを床に置き、よりによってあぐらに座り直した。

 おかげで俺からは、しっとり濡れたマン毛――いや。
 水着対策だろう、短く切りそろえられたマン毛の奥にある、いやらしく開き、下を向いたマンコまでもが丸見えになった。
 そして。マコトのマンコからはマン汁が糸を引き、――たらり、と、カーペットに垂れた。

 170cmの長身。モデル体型で、とびきりの美人。その美人が、背筋を伸ばして全裸であぐらを掻く姿。
 マコトの全身は、絶頂の余韻で紅潮し、その発情したおっぱいが、マンコが、隠されようともせず晒されている。顔は正気を取り戻してはいるが、いや、正気を取り戻しているからこそ、却って無防備な雰囲気を作り上げている。

 殺人的なまでに、淫靡な姿だった。相手が親友のマコトでさえなければ。あるいは、隣に千晶がいなければ。今の自分にチンコが無いことも忘れ、その肢体に間違いなく飛びかかっていただろう。二つの大きなブレーキで、何とか俺は踏みとどまった。
 俺はそこで慌てて、千晶を見る。幸運にも千晶は、完全にマコトに気を取られていたので、俺の醜態には気づいていなかった。俺の緩んだマンコが、トランクスの中で強く疼くのがわかる。気持ちは踏みとどまっても、身体は素直に反応していた。明らかな「男の衝動」で、俺の身体が「女の反応」を見せているのが、ちょっとだけ可笑しかった。

「ん……」
 そうこうしているうちに、今度は叶が気づいたようだった。とっさにマコトは叶の右手をつかみ、四つん這いで叶に近づく。おかげでマンコは見えなくなったけれど、今度は小さめの尻が丸わかりだった。

「叶、大丈夫?」
「あ、真琴……さん」
 マコトは叶の上半身をゆっくり持ち上げる。一瞬叶は正座の格好になったが、そのままマコトの方にしなだれかかった。マコトも体勢を変えて、叶の横に座る。
「気持ち、良かったです……」
「みたいだね。叶は何をされたんだい?」
「え? うーん……」
 叶は五秒ほどマコトを見つめ、そして首をかしげる。
「わかりません。ところで真琴さん、裸なんですね」
「え? だってここ、部屋みたいなもんだろ。なら当たり前じゃないか」

 ……どうやらマコトは、「部屋の中では全裸なのが当たり前」だと洗脳されてしまったようだった。だけど、このダイニングは部屋か? まあ、俺達以外に人はいないし、マコトがそれだけくつろいでいる、とは言えるかもしれないが。

 全裸のマコちゃんを思わず見つめいていると――あたしの花がオレンジ色に光った。
「んっ! ああっ!」
 その瞬間、開きかけていたアソコがぱっくり開いた気がした。大きくなったお豆が、水着に擦れる。
 そして、頭の中、おなかの中が、ぽっかり空いた気がした。
「あ、シたい!」
 シたい。受け入れたい。貫かれたい。頭がスることで一杯になって、他のことが頭から逃げていく。
「だめっ」
「うぉっ」
 思わず、私は俊ちゃんに突進した。
「俊ちゃん、アソコ、ほじって、メチャクチャにしてぇっ!」
 あたしは俊ちゃんのトランクスに手をかけて、引きずり下ろす。
 でも、そこに目当てのものはない。そして、からっぽの頭の中がチカチカ光った。
「あ、ダメ、シたいだけで飛んじゃう、からっぽなのに、ああ、あっ、っっっっっっぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅううううううう~~~~!!!」

 千晶の頭上が光った途端、何か叫んだ千晶は、崩れるかのように俺の腰に飛びついた。そのまま俺の腰にしがみついたまま、千晶は絶頂し、ずりずりと崩れ落ちた。そのイキ顔は、とても切なそうに見えた。「からっぽ」って言ってたから、突っ込んで欲しかったんだろう。きっと、俺のチンコを。
 俺はずり落ちたトランクスを引っ張り上げ直す。今度は俺の体型のせいではなく、千晶に腰紐がほどかれたからだ。そこには、千晶がきっと欲しがっていたものは、今はない。
 ちょっと、かわいそうだな――そう思っていると、うめき声を上げて、千晶が動き出した。
「大丈夫か?」
「うん……」
 そうつぶやいて、立ち上がる。
 そして俺が何かしゃべる前に、
「どうしよ、俊ちゃんとすっごくシたい」
 と困ったように首をかしげた。
「いや待てよ、これからもう一遊びの予定だろ」
「そうだけど……そうだよね……」
 当然渋る俺と、不承不承といった感じの千晶。
「随分積極的になったね、ちー」
「え? ……あたし、いつでも俊ちゃんとシたいよ?」
 爆弾発言をしながら、千晶は再び首をかしげる。普段の千晶ならばあり得ない物言い(内心はもしかしたら……と思わないでもないが、絶対に口には出さない)だが、何の疑問もない様子だ。……どうやら、千晶は積極的になる洗脳をされたようだ。いや、確かにそれは、俺にとっては望ましい洗脳かもしれないけれども……。

「これで、残るはシュンだな」
 にんまりと、マコトが俺を見て笑う。その言葉で、千晶も、叶も、俺を見た。
 そうだ。マコト、叶、千晶と来たら、残るは俺しかいない。マコト達は俺がいつ、どんな洗脳をされるのか、興味津々で待っている。俺は、マコト達のその好奇心を跳ねつけることはできない。だって――俺自身が、何をされるかをドキドキしながら待っているのだから。
 俺はトランクスの腰紐を結ぶのも忘れ、左手でトランクスを押さえたまま、その時を待った。

 そして。
 ついに、俺の頭上が――赤く光ったのが見えた。
 赤く? そんな光は初めて見た。
「赤?」
 マコトが思わずつぶやく。
 その瞬間は、何も起こらなかった。
「……あれ?」
 だが代わりに、頭の中に声が響いた。

 ――オッパイヲ、ミセツケロ――
「はい……おっぱいを、みせつけます……」
 少女のような高い声で、誰にでもなく返事をして、俺は千晶と握っていた右手を、トランクスを捕まえていた左手を、頭の上に回す。トランクスが滑り落ちて、俺のマンコが三人の前にさらされるが、どうでも良かった。両腕を頭の後ろで組み、胸を張ると、
「あっ――」
 頭の中を蕩けさせられる感じがした。俺は真っ白になり、女乳首とクリが固く張る。
 すると、女乳首だけでなく、胸全体がぐうっ、と張る感じがした。
「あっ」
 胸を見ると、ゆっくりと、だが確実に、胸が膨らんでいくのが見えた。感覚を研ぎ澄ますと、確かに胸が――おっぱいが、成長していくのを感じる。
 全身を這う感覚の正体が、直感で分かった。皮膚の下にある細い針金のような感覚が、俺の身体を改造していた。昨日の朝、頭上のカーネーションを見つけた直後に気になった感覚だ。

 これ、根っこだ――
 頭上の花が教えてくれた。カーネーションが、根っこを通じて俺の身体を改造している。全身に行き渡った根っこは、細胞の一つ一つに作用して、とっくに女にしか見えなくなっている俺の身体を、百パーセント完全無欠な女に造り替えていく。

「ああっ」
 カーネーションが、俺の遺伝子を書き換え始めた。分かるはずのない感覚が、はっきりと分かった。
「おおおおおおっ」
 俺の性染色体が、XYから、XXに書き換えられていく。俺の身体の歴史が全否定され、一から作り直されていく。全身を、表現できない激烈な快楽が襲った。足先から、太もも、ふくらはぎ、腰、腹、背中、肩、腕、手、顔、そして――頭皮、髪。……脳だけは、何故か置いていかれた。

 遺伝子が書き換えられるにつれ、女乳首がフル勃起したまま、千晶よりはまだ低かった膨らみが、だんだん高くなっていく。膨らみの範囲も、一回り広くなっていく。
 それだけではない。見えないけれど、ケツがせり出してくるのも感じる。重心が少しずつずれていき、俺は少しずつ身体をくねらせ、バランスを取る必要があった。
 俺の目の前で、俺の胸が膨らみきる。ふと、腰が完全にくびれているのも分かった。

 ――カラダハ、オンナダ――

「……はい、からだは、おんなです……あぁ……」
 俺の口から出たのは、完全な女の声。胸が膨らみきったと同時にそう言わされ、その瞬間に全身が蕩けた。
 イッたというには、あまりに強烈すぎる絶頂だった。

 赤い光が消えた途端、シュンが、崩れ落ちた。
 白目を剥いていた。おまんこからは、透明な液体が噴き出している。
「俊ちゃん!?」
「おいシュン、大丈夫か」
「俊一君?」
 三人が駆け寄る。シュンの呼吸は激しかったが、すぐに落ち着きを取り戻す。
「……」
 とりあえず、最低限の処置としてその場に仰向けで寝かせた。ちーが、シュンのトランクスを引っ張り上げて、シュンのおまんこが隠れる。すると、
「ん……」
 シュンが目を覚まし、ゆっくりと起き上がった。
「……なんで寝てるんだ、俺」
「倒れたんだよ」
 とても簡単に、シュンにあらましを説明してやる。
「そうだったのか……全然覚えてない」
 そう言いながらシュンは立ち上がった。僕達もつられて立ち上がる。
「あれ?」
 完全に穿けていなかったトランクスを上げきろうとして、上がらなかったようだ。不意にシュンが後ろを向き、状態が分かった。
 お尻が大きい。シュンが穿いているのはトランクスなので入らないということはないけど、シュンの頭にあった自分の身体の形と違ったので、手がお尻に当たったのだろう。

 トランクスを身につけ直したシュンの身体は、ついさっきとはかなり違っていた。
 お尻だけじゃない。胸も一層大きくなった。多分、Dカップはある。そして、先ほどまで周りから少し飛び出ていた乳輪部分が、山腹から自然なラインを形作っていた。それは、胸の成長が完了したという意味だ。
 さっきまでは骨格にも「変化の途上」と感じる部分が残っていたけど、もう、大人の女――シュンと同じ年の女の子として、全く違和感がなくなっていた。
「何かまた、俺の身体が変わってる……」
 その声は、先ほどから半オクターブくらい低く、落ち着いていた。……それは、男の子に戻っているのではない。変声期の終わった、大人の女の声になっているのだ。
「覚えてないけど……なんか、気持ちよかった気がする」
 一瞬。そうつぶやいたシュンが見せた顔は、完全に、快楽に魅入られたオンナのそれだった。直後、シュンがはっとする。
「……何言ってんだ、俺」
 一転して苦虫を噛み潰した表情になって――その顔を、僕は目の端で捉えた。
 僕の目は、ちーの頭上に向いていた。

「覚えてないけど……なんか、気持ちよかった気がする」
 その言葉には、反応できなかった。
 気づいたら、あたしのバラが、今度は赤く光っていた。
 二回目が来るとは思ってなかったから、何が起こったか一瞬わからなかった。でも、

 ――オッパイヲ、サラセ――ミセツケロ――

 頭の中に声が響いた瞬間、どうでもよくなった。

「はい、おっぱいを、さらします……みせつけます……」
 あたしは右手を背中に回して、ビキニの背紐を引っ張った。はらりと結び目がほどけたので、そのまま腕を抜くと、黄色い水着のブラがぽとりと落ちた。
 さっき飛んだばかりだから、おっぱいの先はまだ大きかった。俊ちゃんが、マコちゃんが、そしてカナちゃんがあたしのおっぱいを見つめていたけれど、気にならなかった。そのまま両腕を後ろに回して、腰の後ろで組むと、自然におっぱいが張った。
「ああ、あ、ああ」
 頭の中が、強制的に真っ白にさせられて、その直後、気持ちよくさせられた。あたしが感じていると、おっぱいに違和感があった。風船に空気が入っていくような、そんな感覚。
「すごいっ」
 頭にあるバラが、あたしのおっぱいを大きくする信号を送ってるって、「分かった」。
 膨らんでくるだけじゃなくて、おっぱいがつんと張るような感覚。見ていると、柔らかい感じだったあたしのおっぱいが、張りのある、身体の前に飛び出たような形になった。ちょうど、メイドのミリアさんのように。

 おっぱいの成長(?)が止まると、あたしの頭がまた真っ白にさせられた。

 ――イヤラシイ、カラダダ――

「はい、いやらしい、からだです……あ、あー」
 身体の奥が熱で蕩け去るような感じがして、あたしは崩れ落ちた。
 お豆が水着に擦れて、それだけでまた飛んでいった。

「はい、いやらしい、からだです……あ、あー」
 理性のかけらも見あたらない千晶さんの声と同時に、私の頭にも声が響いた。頭上が、赤く光っていた。

 ――チブサヲ、サラセ――ミセツケロ――

「はい、ちぶさを、さらします……みせつけます……」
 目の前に崩れ落ちた千晶さんのことが急にどうでも良くなって、私は腕を後ろに回した。まず上から右腕を首に回して、結び目をほどく。次に背中に両腕を回して、大きいリボンの端をゆっくり引っ張ると、ブラジャーが外れて、ひらりと足下に落ちた。

 そのままピンと立って、右手を腰に当て、左手を下に下ろす。自然に乳房が、周囲に晒される。真琴さんも俊一君も私を見ているけれど、別にどうと言うことはない。声に従うことが全てだ。
「あんっ」
 頭の中の考えを一瞬で吸い取られるような感覚があって、まるで頭からおしっこを漏らすような快感があった。気持ちいい、と考えることすら許されない、絶望的な快楽。
「ん、膨らむ……」
 それが終わるとすぐに、私の胸にエネルギーが溜まっていくような感じがした。ガチガチに固くなった乳首が、さらに前に飛び出していく。ただでさえ大きい私の乳房が、爆乳というくらいに大きくなり、しかも釣鐘型の重量感あるものに変わっていった。
「あー、いいっ」
 それと同時に、水着のショーツの中で、私の女陰が熱くなり、膨らんでいく感覚がある。ただ発情しているだけではなくて、異物を受け入れやすいように、ぷっくりとした、柔らかい女陰にされている――って、私の頭に咲いているバラが言っている。淫核も飛び出て、水着に触れるのがわかる。

 全ての動きが止まった途端、また声が響く。

 ――イヤラシイ、カラダダ――

「はい、いやらしい、からだです……おおおおおおおおおっ」
 頭の中だけじゃなく、身体の奥から全部が流れ出る感覚があって、そのまま意識が消えていくような気すらした。

「大丈夫か、千晶」
 倒れ込んだ千晶を、俺は抱き上げていた。マコトは俺のすぐ後ろで、叶の面倒を見ている。
 呼吸は落ち着いていたが、千晶が目を覚ますには数秒を要した。

「…………?」
 目を覚ました千晶は、何も言わず、軽く首をかしげて、俺を見た。
 その様子は、いかにも千晶だった。
 俺は、千晶を抱き上げて起こし、立たそうとする。しかし、
「うわっ」
 上がりきらなかった。俺の方が千晶の上に潰れかかり、とっさのところで堪える。
「大丈夫? 俊ちゃん」
 俺が堪えている間に、千晶が体勢を立て直し、俺の下から抜け出した。そのまま、二人で座り込む。
「きゃっ」
 千晶は、そこで自分の上半身が裸であることに気づき、慌てて両手でおっぱいを隠した。
 それによって目の前に現れた胸の谷間は、俺が知っているものとは明らかに違った。
 千晶の胸が、一回りどころか、二回り、三周りも大きくなっていた。サイズは……多分、Fカップくらいある。それだけではない。千晶のおっぱいはとても日本人的な、柔らないおっぱいだったが、今のおっぱいは見るからに張りがあり、重量感が感じられる。おかげで、胸の谷間は圧倒的に深くなっていた。
 しかし。正直なところ、今の俺はそれどころではなかった。
「……どうしたの、俊ちゃん」
 おっぱいを隠したまま、千晶は再び首をかしげた。
「いや」
 俺はその場を取り繕った。何か言った気がするが、頭の中に残っていない。

 ショックだった。――自分の筋力で、千晶を支えられなかったことが。

< つづく >

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